以下、本発明に係る建設機械の排土装置の実施の形態を、キャブを搭載した油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は第1の実施の形態に適用される建設機械としてのキャブ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4と、前記下部走行体2に設けられた後述の排土装置11とにより構成されている。
ここで、油圧ショベル1は、上部旋回体3が小さな旋回半径で旋回することができる小旋回機として構成されている。この場合の上部旋回体3は、上方から見て略円形状をなし、全体としてコンパクトに形成されている。
油圧ショベル1の下部走行体2は、製缶構造体からなるトラックフレーム5を有している。このトラックフレーム5の前部には、左,右方向の中央部に位置してシリンダ取付ブラケット(図示せず)が設けられ、該シリンダ取付ブラケットを挟む左,右両側には、左,右の腕取付ブラケット5A(右側のみ図示)が設けられている。一方、トラックフレーム5の左,右両側には、駆動輪6と遊動輪(図示せず)とが前,後方向に離間して設けられ、これら駆動輪6と遊動輪には履帯(クローラ)7が巻回されている。さらに、油圧ショベル1の上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャブ8、カウンタウエイト9、エンジン(図示せず)等が搭載されている。
次に、第1の実施の形態に係る油圧ショベル1の排土装置11について、その構成を述べる。
即ち、11は下部走行体2の前,後方向の一側(例えば、前側)に設けられた第1の実施の形態に係る排土装置を示している。この排土装置11は、例えば、土砂の排出、整地等の排土作業、除雪作業等を行うものである。図2、図3に示すように、排土装置11は、後述する左支持腕12、右支持腕17、ブレード支持部材21、ブレード22、シリンダ取付梁24、前側補強板25、ブレードシリンダ26、アングルシリンダ27等により構成されている。
12は排土装置11の左支持腕を示している。図4に示すように、この左支持腕12は、後述する右支持腕17と左,右方向(下部走行体2の幅方向)に間隔をもって配置され、前,後方向に延びて設けられている。左支持腕12は、ブレード22を上,下動させるための腕部を構成するもので、その基端側は下部走行体2のトラックフレーム5に設けられた左側の腕取付ブラケットに上,下方向に回動可能に支持される。
図6、図7に示すように、左支持腕12は、左,右方向の内側に位置して前,後方向に延びた中実な厚板材からなる縦板13と、該縦板13よりも薄い薄板材を用いて形成され該縦板13の外面13Bに沿って延びた補強板14とにより構成され、該補強板14は、例えば、前記縦板13と対向する端面14D側が開口したU字状の板体として形成されている。この左支持腕12は、補強板14の開口側となる端面14Dを縦板13の外面13Bに溶接手段を用いて接合することにより、前記縦板13と補強板14とによって中空構造体を形成している。
一方、左支持腕12の基端側(例えば後側)は、左,右方向を軸線とする円筒状のボス部15となっている。このボス部15は、トラックフレーム5の腕取付ブラケットに上,下方向に回動可能にピン結合されている。さらに、左支持腕12の先端側(例えば前側)には、後述のブレード支持部材21が設けられている。
ここで、左支持腕12の縦板13は、作業時に落下してきた岩石等の重量物が衝突したり、走行時に岩石等の障害物に衝突して突き上げられたりした場合でも、大きく変形することなく、これらの負荷を受止めることができ、かつ、左,右方向の内側となる内面13Aに後述のシリンダ取付梁24を十分な溶接強度をもって接合できる厚さ寸法T1をもった中実な厚板材から形成されている。左,右方向の外側となる外面13Bには、補強板14が溶接手段を用いて接合されている。
なお、左支持腕12の縦板13は、後述する右支持腕17の縦板18と対称形状を成しているため、後述の幅寸法W1,W2,W3,W4は、この右支持腕17の縦板18と同様となっている。そこで、図5に示す右支持腕17の符号の後に左支持腕12の符号を括弧を付けて記載し、幅寸法W1,W2,W3,W4の関係について述べるものとする。
即ち、縦板13は、トラックフレーム5に取付けられる基端13C側が上,下方向に狭幅(小さな幅寸法W1)となり、ブレード22が取付けられる先端13D側が上,下方向に広幅(大きな幅寸法W2)となるV字状に形成されている(W1<W2)。このように、基端13C側から先端13D側に向けて広幅となるV字状に形成することにより、縦板13は、排土作業時に大きな負荷が作用しない基端13C側の重量を軽減することができる。一方で、ブレード22に近いために大きな負荷が作用する先端13D側で、大きな断面形状とすることにより、負荷に対する剛性を高めることができる。
さらに、図7に示すように、縦板13は、補強板14の上,下方向の幅寸法よりも大きな幅寸法とすることにより、上端縁13Eが補強板14の上面部14Bよりも上側に突出し、下端縁13Fが補強板14の下面部14Cよりも下側に突出している。これにより、縦板13は、例えば、作業時に岩石等が支持腕12に向けて落下してきたり、走行時に下側から突き上げるように岩石等が支持腕12に衝突したりする場合には、これらの岩石は、補強板14よりも突出した縦板13の上端縁13E、下端縁13Fに先に衝突させることができる。
左支持腕12の補強板14は、縦板13の外面13Bに対面する外面部14Aと、該外面部14Aの上端縁から縦板13に向けて延びた上面部14Bと、外面部14Aの下端縁から縦板13に向けて延びた下面部14Cとにより、上面部14Bおよび下面部14Cの端面14D側が開口したU字状の構造体として形成されている。補強板14は、上面部14Bおよび下面部14Cの端面14Dを縦板13の外面13Bに当接させ、この状態で、上面部14Bと縦板13の外面13Bとの間、下面部14Cと縦板13の外面13Bとの間にそれぞれ溶接を施して溶接ビード16を形成することにより、縦板13の外面13Bに接合することができる。この溶接作業は、外部から隅肉溶接を施すものであるから、溶接ロボット(図示せず)を用いて容易に行うことができる。
ここで、補強板14は、縦板13と一体化して中空構造体を形成することにより、曲げ方向(左,右方向、上,下方向)に作用する負荷に対する強度(剛性)を高めるものであり、例えば全体に亘ってほぼ均等な厚さ寸法T2をもった薄板材から形成されている。この補強板14の厚さ寸法T2は、縦板13の厚さ寸法T1よりも薄い(T2<T1)から、補強板14を設けたことによる重量の増大を小さく抑えることができる。
補強板14の上,下方向の幅寸法について述べると、縦板13とほぼ同様に、基端14E側が上,下方向に狭幅(小さな幅寸法W3)となり、先端14F側が上,下方向に広幅(大きな幅寸法W4)となるV字状に形成されている(W3<W4)。このように、基端14E側から先端14F側に向けて広幅となるV字状に形成することにより、補強板14は、縦板13とほぼ同様に、基端14E側を軽量化することができ、先端14F側の剛性を高めることができる。
さらに、補強板14の幅寸法W3,W4は、対応する縦板13の幅寸法W1,W2よりも小さな寸法に設定されている。これにより、補強板14の上面部14Bよりも縦板13の上端縁13Eを上側に突出させることができる。同様に、補強板14の下面部14Cよりも縦板13の下端縁13Fを下側に突出させることができる。
17は左支持腕12と左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びて設けられた排土装置11の右支持腕を示している。この右支持腕17は、後述のシリンダブラケット19Gが設けられている点を除いて、左支持腕12と対称形状となっているから、主要な構成を順次述べ、詳細な説明は省略するものとする。
右支持腕17は、中実な厚板材からなる縦板18と、該縦板18よりも薄い薄板材からなる補強板19とにより構成され、この縦板18、補強板19の基端側には、ボス部20が設けられている。縦板18は、内面18A、外面18B、基端18C、先端18D、上端縁18E、下端縁18Fを有し、厚さ寸法T1、基端18C側の幅寸法W1、先端18D側の幅寸法W2に設定されている。
一方、補強板19は、外面部19A、上面部19B、下面部19C、端面19D、基端19E、先端19Fを有し、厚さ寸法T2、基端19E側の幅寸法W3、先端19F側の幅寸法W4に設定されている。ここで、右支持腕17の補強板19には、外面部19Aの基端側寄りに位置してシリンダブラケット19Gが設けられている。
21は左支持腕12、右支持腕17の先端側に設けられたブレード支持部材である。このブレード支持部材21は、各支持腕12,17に後述のブレード22を揺動可能に取付けるためのブラケットを構成している。ブレード支持部材21は、左,右方向に延びる縦板からなるベース板21Aと、該ベース板21Aから先端側に向けて延びた三角形状の板体からなる上側ブラケット21B、下側ブラケット21Cとにより構成されている。上側ブラケット21Bと下側ブラケット21Cとは、上,下方向に間隔をもって平行に配置され、それぞれの先端側には上,下方向に貫通してピン孔21Dが形成されている。
ブレード支持部材21のベース板21Aは、例えば縦板13,18と同程度の厚さ寸法をもった厚板材から形成されている。これにより、ベース板21Aは、縦板13,18と一緒に、前述した補強板14,19、後述の前側補強板25を岩石の衝突等から保護することができる。
22は各支持腕12,17の先端側、即ち、ブレード支持部材21に設けられた排土作業用のブレードである(図2、図3参照)。このブレード22は、各支持腕12,17によって昇降動作することができ、さらに、ブレード支持部材21に揺動自在に取付けられることにより、左,右方向の中央部を支点としてアングル動作(揺動動作)することができる。ブレード22は、複数枚の鋼板等を接合することによって左,右方向に延びた高強度な板状体からなり、その前面下側には地面を平坦に削るためのカッティングエッジ22Aが設けられている。
一方、ブレード22の背面側には、左,右方向の中央部に中央ブラケット22Bが設けられ、右側に右側ブラケット22Cが設けられている。中央ブラケット22Bは、ブレード支持部材21の各ブラケット21B,21Cに対し、ピン孔21Dに挿通された連結ピン23を介して揺動可能に連結されている。右側ブラケット22Cには、後述するアングルシリンダ27のロッド部27Bがピン結合されている。
24はブレード支持部材21(ブレード22)よりも基端側に位置して左,右の支持腕12,17間を左,右方向に延びて設けられたシリンダ取付梁である。このシリンダ取付梁24は、円筒体からなり、その両端部が各支持腕12,17の内面、即ち、縦板13,18の内面13A,18Aに溶接手段を用いて接合されている。シリンダ取付梁24には、左,右方向の中央付近に位置して2枚のシリンダブラケット24Aが設けられている。
ここで、シリンダ取付梁24は、ブレード22を昇降させるためのブレードシリンダ26が接続されるものであり、この昇降動作時には大きな負荷が作用するから、該シリンダ取付梁24の両端は、各支持腕12,17に強固に接合する必要がある。この場合、シリンダ取付梁24の両端は、厚板材からなる縦板13,18に溶接することができるから、溶込が深くしっかりとした溶接ビード16によって強固に溶接することができる。
25はブレード支持部材21に設けられた他の補強板としての前側補強板である。この前側補強板25は、左,右の支持腕12,17間であってブレード22と反対側に配置されている。前側補強板25は、例えば、前述した縦板13,18、ブレード支持部材21のベース板21Aよりも薄い薄板材を加工することにより、上面部25A、側面部25B、下面部25C(図6参照)からなるU字状に形成されている。前側補強板25は、その周囲が各支持腕12,17の縦板13,18、ブレード支持部材21のベース板21Aに対して溶接されている。
前側補強板25は、各支持腕12,17の縦板13,18の上,下方向の幅寸法よりも小さな上,下方向寸法をもって形成されている。これにより、前側補強板25は、その上面部25Aを縦板13,18の上端縁13E,18Eよりも低い位置に配置でき、下面部25Cを縦板13,18の下端縁13F,18Fよりも高い位置に配置できる。従って、前側補強板25は、縦板13,18の補強板14,19と同様に、該縦板13,18、ブレード支持部材21のベース板21Aによって岩石の衝突等から保護することができる。
図1に示すように、26は左,右の支持腕12,17間に位置してトラックフレーム5とシリンダ取付梁24との間に設けられたブレードシリンダである。このブレードシリンダ26は、各支持腕12,17を上,下方向に回動させるものである。図2、図3に示すように、ブレードシリンダ26は、シリンダ部26Aの端部がシリンダ取付梁24の各シリンダブラケット24Aにピン結合され、ロッド部26Bの端部がトラックフレーム5のシリンダ取付ブラケットにピン結合されている。これにより、ブレードシリンダ26は、そのロッド部26Bを縮小,伸長することにより、各支持腕12,17と一緒にブレード22を上,下方向に昇降動作させることができる。
27はブレード22と右支持腕17との間に設けられたアングルシリンダで、該アングルシリンダ27は、ブレード22を連結ピン23を支点として前,後方向に揺動(アングル動作)させるものである。アングルシリンダ27は、シリンダ部27Aの端部が右支持腕17の補強板19に設けられたシリンダブラケット19Gにピン結合され、ロッド部27Bの端部がブレード22の右側ブラケット22Cにピン結合されている。これにより、アングルシリンダ27は、そのロッド部27Bを縮小,伸長することにより、連結ピン23を支点としてブレード22を前,後方向に揺動させることができる。
第1の実施の形態に適用される油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
作業現場で土砂の掘削作業等を行う場合には、上部旋回体3のキャブ8に搭乗したオペレータは、各種レバー等を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂を掘削することができる。
一方、排土装置11を用いて土砂等の排土作業を行うときには、ブレードシリンダ26を伸長して各支持腕12,17を介してブレード22を下向きに揺動し、カッティングエッジ22Aを地面に接地させる。この状態で下部走行体2を走行させることにより、走行方向の土砂等をブレード22により押出すことができ、作業現場の整地作業、土砂の埋め戻し作業等を行うことができる。
さらに、排土装置11は、上述した排土作業の他にも、アングルシリンダ27によりブレード22をアングル動作して前,後方向に傾斜させることにより、該ブレード22で掻き取った土砂等を下部走行体2の側方に排出することもでき、除雪作業にも使用することができる。
かくして、第1の実施の形態によれば、排土装置11の左,右の支持腕12,17を、前,後方向に延びた中実な厚板材からなる縦板13,18と、該各縦板13,18よりも薄い薄板材を用いて形成され該縦板13,18の外面13B,18Bに沿って延び該縦板13,18と対向する端面14D,19D側が開口したU字状の補強板14,19とにより構成している。この上で、補強板14,19の開口側の端面14D,19D側を縦板13,18の外面13B,18Bに溶接手段(溶接ビード16)を用いて接合することにより、前記縦板13,18と前記補強板14,19とによって中空構造体を形成する構成としている。
従って、各支持腕12,17に対しシリンダ取付梁24の端部を溶接する場合には、厚板材からなる縦板13,18の内面13A,18Aに溶接することができるから、別途補強用の部材を設けることなく、高い強度でシリンダ取付梁24の端部を各支持腕12,17に接合することができる。このように、補強用の部材を省略したことにより、各支持腕12,17の構成を簡略化できるから、この支持腕12,17上に載った土砂等を容易に落とすことができる。
ここで、土砂の掘削作業には、作業装置4による搬送途中に岩石が落下して排土装置11の左,右の支持腕12,17に衝突することがある。走行時には、地面に転がっている岩石等を乗り越えるときに、この岩石が下側から突き上げるように左,右の支持腕12,17に衝突することがある。このように、岩石が衝突した場合、各支持腕12,17等が損傷する虞がある。
これに対し、縦板13,18と補強板14,19とからなる中空構造体では、厚板材からなる縦板13,18によって岩石等の衝突に対する強度を高めているから、各支持腕12,17の損傷を防止することができる。その一方では、薄板材からなるU字状の補強板14,19は、重量の増大を抑えつつ、支持腕12,17に対して曲げ方向(左,右方向、上,下方向)に作用する負荷に対する強度を高めることができる。
この結果、左,右の支持腕12,17は、その重量の増大を抑えつつ、外部からの衝撃、曲げ方向の負荷等に対する強度を高めることができる。さらに、各支持腕12,17に対しシリンダ取付梁24を高い溶接強度をもって接合することができるから、排土装置11に対する耐久性や信頼性を向上することができる。
しかも、各支持腕12,17は、補強板14,19の上,下方向の幅寸法(W3,W4)よりも縦板13,18の幅寸法(W1,W2)を大きくすることにより、該縦板13,18の上端縁13E,18Eを補強板14,19の上面部14B,19Bよりも上側に突出させることができ、縦板13,18の下端縁13F,18Fを補強板14,19の下面部14C,19Cよりも下側に突出させることができる。
これにより、例えば、作業時に落下してきた岩石が支持腕12,17に衝突した場合、走行時に下側から突き上げる岩石等が支持腕12,17に衝突した場合には、これらの岩石は、補強板14,19よりも先に強度をもった縦板13,18の上端縁13E,18E、下端縁13F,18Fに衝突させることができる。この結果、補強板14,19の損傷を防止して支持腕12,17の耐久性をより一層高めることができる。
一方、各支持腕12,17を構成する縦板13,18と補強板14,19は、それぞれ基端側が上,下方向に狭幅で先端側が上,下方向に広幅となるV字状に形成している。従って、各支持腕12,17は、大きな強度を必要としない基端側を狭幅に形成することにより軽量化を図ることができ、大きな強度が必要な先端側を広幅に形成することにより剛性を高めることができる。これにより、各支持腕12,17は、重量が嵩まないように軽量化しつつ、十分な強度を得ることができる。
さらに、ブレード支持部材21のベース板21Aの基端面には、左,右の支持腕12,17間に位置して前側補強板25を設けているから、ブレード支持部材21と各支持腕12,17との間の取付強度を高めることができる。この上で、前側補強板25は、縦板13,18の上,下方向の幅寸法よりも小さな上,下方向寸法をもって形成しているから、岩石等を前側補強板25よりも先に強度をもった縦板13,18に衝突させることができる。この結果、前側補強板25を岩石等の衝突から保護することができる。
次に、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、ブレード支持部材に設けた他の補強板を、シリンダ取付梁まで延ばし、このシリンダ取付梁の外周面に溶接する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図8において、31は第2の実施の形態による左支持腕を示している。図9に示すように、この左支持腕31は、第1の実施の形態による左支持腕12とほぼ同様に、後述する右支持腕35と左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びて設けられている。左支持腕31の基端側は、下部走行体2のトラックフレーム5に設けられた左側の腕取付ブラケットに上,下方向に回動可能に支持される。
左支持腕31は、左,右方向の内側に位置して前,後方向に延びた中実な厚板材からなる縦板32と、該縦板32よりも薄い薄板材を用いて形成され該縦板32の外面32Bに沿って延びた補強板33とにより構成されている。この左支持腕31は、補強板33の開口側となる端面33Dを縦板32の外面32Bに溶接手段を用いて接合することにより、前記縦板32と補強板33とによって中空構造体を形成している。一方、左支持腕31の基端側(例えば後側)はボス部34となっている。なお、縦板32、補強板33の形状、寸法関係は、前述した第1の実施の形態による左支持腕12の縦板13、補強板14とほぼ同様であるため、これらの説明を省略するものとする。
即ち、縦板32は、内面32A、外面32B、基端32C、先端32D、上端縁32E、下端縁32Fを有している。一方、補強板33は、外面部33A、上面部33B、下面部33C、端面33D、基端33E、先端33Fを有している。
35は左支持腕31と左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びて設けられた右支持腕を示している。この右支持腕35は、第1の実施の形態による右支持腕17とほぼ同様に、中実な厚板材からなる縦板36と、該縦板36よりも薄い薄板材からなる補強板37とにより構成され、この縦板36、補強板37の基端側には、ボス部38が設けられている。なお、右支持腕35の縦板36、補強板37についても、その形状、寸法関係は、前述した第1の実施の形態による右支持腕17の縦板18、補強板19とほぼ同様であるため、これらの説明を省略するものとする。
即ち、縦板36は、内面36A、外面36B、基端36C、先端36D、上端縁36E、下端縁36Fを有している。一方、補強板37は、外面部37A、上面部37B、下面部37C、端面37D、基端37E、先端37F、シリンダブラケット37Gを有している。
39は左支持腕31、右支持腕35の先端側に設けられたブレード支持部材である。このブレード支持部材39は、第1の実施の形態によるブレード支持部材21と同様に、ベース板39A、上側ブラケット39B、下側ブラケット39C、ピン孔39Dにより形成されている。
40はブレード支持部材39よりも基端側に位置して左,右の支持腕31,35間を左,右方向に延びて設けられたシリンダ取付梁である。このシリンダ取付梁40は、第1の実施の形態によるシリンダ取付梁24と同様に、円筒体からなり、その両端部が各支持腕31,35の内面、即ち、縦板32,36の内面32A,36Aに溶接手段を用いて接合されている。シリンダ取付梁40には、左,右方向の中央付近に位置して2枚のシリンダブラケット40Aが設けられている。
41はブレード支持部材39の上側位置に設けられた他の補強板としての上側補強板、42はブレード支持部材39の下側位置に設けられた他の補強板としての下側補強板をそれぞれ示している。この上側補強板41と下側補強板42は、左,右の支持腕31,35間であってブレード22と前,後方向の反対側に配置されている。各補強板41,42は、例えば、前述した縦板32,36よりも薄い薄板材により長方形状の平板として形成され、上側補強板41は、ブレード支持部材39のベース板39Aの上側位置とシリンダ取付梁40の上部との間に亘って設けられている。一方、下側補強板42は、ベース板39Aの下側位置とシリンダ取付梁40の下部との間に亘って設けられている。
各補強板41,42は、各縦板32,36の内面32A,36Aとベース板39Aの後面とシリンダ取付梁40の外周面とに溶接手段を用いて接合されている。これにより、ブレード支持部材39の後側に中空構造体を形成することができ、この部分の強度をシリンダ取付梁40を利用して高めることができる。
ここで、各補強板41,42は、各縦板32,36の上,下方向の幅寸法よりも小さな上,下方向寸法をもって配置されている。従って、各補強板41,42は、縦板32,36、ブレード支持部材39のベース板39Aによって岩石の衝突等から保護することができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、長方形状の平板からなる各補強板41,42を、ブレード支持部材39のベース板39Aとシリンダ取付梁40とに亘って設けるだけで、左,右の縦板32,36とベース板39Aとシリンダ取付梁40と各補強板41,42とによって中空構造体を形成することができ、強度を高めつつ構成を簡略化することができる。
なお、第1の実施の形態では、左,右の支持腕12,17の縦板13,18と補強板14,19の両方を、基端側が上,下方向に狭幅で先端側が上,下方向に広幅となるV字状に形成した場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図10に示す第1の変形例のように構成してもよい。
即ち、図10に示すように、左,右の支持腕12′,17′は、その縦板13,18だけを基端側が上,下方向に狭幅で先端側が上,下方向に広幅となるV字状に形成し、補強板14′,19′は、前,後方向にほぼ一定の幅寸法をもって形成する構成としてもよい。一方で、図示は省略するが、補強板だけを基端側が上,下方向に狭幅で先端側が上,下方向に広幅となるV字状に形成し、縦板を前,後方向にほぼ一定の幅寸法をもって形成する構成としてもよい。これらの構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
第1の実施の形態では、左,右の支持腕12,17の先端にブレード支持部材21を設け、該ブレード支持部材21にブレード22を揺動可能に取付けたアングル動作可能な排土装置11を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図11に示す第2の変形例による排土装置51のように構成してもよい。
即ち、図11に示すように、排土装置51は、左,右の支持腕52,53の先端にブレード54を固定して設け、シリンダ取付梁55にブレードシリンダ56だけを設けた一般的な固定式の排土装置として構成してもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
各実施の形態では、上部旋回体3にキャブ8を備えた油圧ショベル1に排土装置11を適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席の上側を覆うキャノピを備えた油圧ショベルに適用してもよい。
さらに、各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えばブルドーザ等の他の建設機械に本実施の形態による排土装置11を適用することもできる。