JP5214387B2 - 油圧ショベル - Google Patents
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Description
このような建設機械に搭載されたキャブ構造では、柱部材として用いられるパイプにも所定値以上の強度が要求される。しかしながら、強度を向上させるためにパイプの肉厚を上げたのでは、材料費や加工費等が増大してコストアップの要因となる。このため、強度面とコスト面との問題をともに解決可能なパイプの補強構造が求められている。
また、特許文献2には、外管パイプの内部に内管を挿入して外管の外周長を減少させる縮径工程を行うことにより二重管を形成してパイプを補強する二重管の製造方法が開示されている。
すなわち、上記特許文献1,2に開示されたパイプの補強構造では、パイプの長手方向に渡って一様な補強構造となっている。このため、例えば、旋回フレームに対して近接配置されたキャブを構成する柱部材が、キャブに対して付与された外力によって旋回フレームの一部に接触した場合には、柱部材に対して局所的な外力が付与されるために、その部分で折れ曲がるおそれがある。
ここで、上記第1・第2孔部と第1・第2板材とを組み合わせて構成される補強構造としては、例えば、旋回フレームのメインビームに近接する位置に配置された右後柱部材等のように、特に外部から局所的な負荷が掛かり易い柱部材に対して適用される。
これにより、長手方向に配置された複数の補強構造のつなぎ目の部分において局所的に強度が低い部分が形成されることを回避することができる。この結果、簡易な構成によって、柱部材の長手方向における特定部分の強度を向上させて、キャブ全体の剛性を向上させることができる。
これにより、第1孔部および第2孔部に対して、それぞれ1枚、2枚の板材(第1板材、第2板材)を挿入することができる。この結果、3つの孔部(第1・第2孔部)と3枚の板材(第1・第2板材)とによって、効果的な補強構造を形成することができる。
ここでは、上述した補強構造が適用された柱部材を、キャブの右後方に設けている。
ここで、キャブの右後方には、通常、油圧ショベル等の旋回フレームに含まれるメインビームが配置されている。よって、例えば、油圧ショベルが転倒した際等においてキャブの側面に大きな負荷がかかった場合には、キャブが変形して柱部材の一部がメインビームと接触して局所的に大きな負荷がかかってしまうおそれがある。
本発明の油圧ショベルでは、このような局所的に大きな負荷がかかりやすい右後方の柱部材に対して、上述した補強構造を採用している。
これにより、油圧ショベル等が転倒した場合でも、キャブを構成する柱部材が折れ曲がってしまうことを回避して、キャブ全体の剛性を向上させることができる。
これにより、第1・第2孔部に対して第1・第2板材を挿入していく際には、第1・第2板材の凸部が柱部材の第1・第2孔部に挿入された状態で固定される。この結果、治具等を用いることなく、第1・第2板材の凸部の部分によって、柱部材に対する第1・第2板材の位置決めを行うことができる。なお、ここで行われる位置決めとしては、第1・第2板材の挿入方向、柱部材の長手方向の少なくともいずれか一方であればよい。
ここでは、柱部材における所望の位置に形成された第1・第2孔部に挿入された第1・第2板材を、溶接によって柱部材に固定する。
これにより、柱部材の外周面から第1・第2孔部に挿入された第1・第2板材を、柱部材の外周面側から容易に固定することができる。
[油圧ショベル1全体の構成]
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1に示すように、下部走行体2と、旋回フレーム3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10と、を備えている。
旋回フレーム3は、下部走行体2上において任意の方向に旋回可能であって、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10と、を搭載している。旋回フレーム3は、ほぼ中央部分に、作業機4を取り付けるためのメインビーム3aを有している。メインビーム3aは、上方に向かって突出する一対の板状フレームであって、この間に作業機4のアームが装填されて回動可能な状態で固定される。なお、この旋回フレーム3の一部であるメインビーム3aとキャブ10を構成する柱部材34との近接部分X(図2参照)周辺の構成については、後段にて詳述する。
カウンタウェイト5は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリート等を入れて固めたものであって、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回フレーム3の後部に配置されている。
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、旋回フレーム3上における作業機4の取り付け部分の側方となる左側前部に配置されている(図2および図3参照)。なお、このキャブ10のキャブ構造については、後段にて詳述する。
キャブ10は、図2および図3に示すように、旋回フレーム3上における作業機4が取り付けられるメインビーム3aの左側に近接して配置されている。また、キャブ10は、図4に示すように、5本の柱部材31〜35や梁部材36等によって構成されている。
柱部材31〜35は、左前柱部材31と、右前柱部材32と、左後柱部材33と、右後柱部材34と、左中央柱部材35と、を含むように構成されている。
左中央柱部材35は、いわゆるBピラーと呼ばれる柱として利用されており、ほぼ直線状の柱としてキャブ10の左側面におけるほぼ中央部において床面から立設されている。
本実施形態では、図5および図6等に示すように、上述した油圧ショベル1に搭載されたキャブ10を構成する柱部材31〜35のうち、キャブ10の後方に配置されたCピラーに相当する右後柱部材34に対して、補強構造20を採用している。
なお、左後柱部材33については、旋回フレーム3のメインビーム3a等の他の部材と接触するおそれがないことから、図4に示すように、長手方向における中央部付近等に、同様の補強構造20が採用されていればよい。
(1)
本実施形態のキャブ10では、図2等に示すように、旋回フレーム3上に配置されたキャブ10を構成する複数の柱部材31〜34において、図6および図10に示すように、右後柱部材34の同一面に形成された孔部34aと孔部34b,34cとが、右後柱部材34の幅方向にずれた位置にあって、その端部において一部重複するように互いに略平行に配置されている。そして、各孔部34a〜34cに対して、それぞれ板材21a〜21cが挿入された状態で固定される。
これにより、長手方向に複数の板材21a〜21cを挿入して補強構造20を配置した場合でも、板材21a〜21cを挿入した部分同士の間等のように局部的に強度が劣る部分が形成されることを回避することができる。この結果、長手方向において安定して補強された右後柱部材34を構成することができる。
本実施形態のキャブ10では、図6、図7および図10に示すように、孔部34b,34cの間に挟まれるように孔部34aが配置されており、孔部34aと孔部34b,34cとは長手方向において一部が重複するように形成されている。
これにより、3つの孔部34a〜34cに対して、それぞれ板材21a〜21cを挿入し、孔部34aと孔部34b,34cとが長手方向において一部重複するように配置することで、効果的な補強構造を形成することができる。
本実施形態のキャブ10では、図4等に示すように、上述した補強構造が適用された柱部材として、キャブ10の右後柱部材34を用いている。
これにより、一般的に、キャブ10の右後方に近接配置されているメインビーム3a等に対してキャブ10の一部が接触するほどの外力がキャブ10に加えられた場合でも、接触部分における剛性を向上させることができる。よって、キャブ10が折れ曲がって破損する等の問題を回避してキャブ10の剛性を高めることができる。
本実施形態のキャブ10では、図5、図6および図8に示すように、各孔部34a〜34cに対して挿入される板材21a〜21cが、挿入方向に対して突出する凸部21aa等を有している。
これにより、凸部21aaを孔部34a等に嵌合させるように挿入することで、孔部34a〜34cにおける板材21a〜21cの位置合わせを容易に行うことができる。
本実施形態のキャブ10では、図5、図6および図8に示すように、各孔部34a〜34cに対して挿入される板材21a〜21cを溶接によって固定している。
これにより、各孔部34a〜34cに対して挿入された板材21a〜21cを、右後柱部材34の外側から溶接して容易に固定することができる。
本実施形態の油圧ショベル1は、図1に示すように、上述したキャブ10を搭載している。
これにより、剛性が高いキャブ10を搭載した油圧ショベル1を提供することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、右後柱部材34に対して、長手方向において3つの板材21a〜21cをそれぞれ挿入した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、幅方向においてずらして長手方向において一部が重複するように形成された2つの孔部に対して、それぞれ板材を挿入した補強構造であってもよい。
上記実施形態では、キャブ10を構成する柱部材31〜34のうち、右後柱部材34に対して、上述した補強構造を採用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、他の柱部材31〜33に対しても同様の補強構造を適用してもよい。
上記実施形態では、各孔部34a〜34cに対して挿入される各板材21a〜21cが、挿入方向に突出する凸部21aaを有している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、挿入方向に凸部のない、フラットな面の板材を用いて補強構造を構成してもよい。
ただし、孔部に対する板材の位置合わせ等の観点では、上記実施形態のように、凸部を有する板材を用いることがより好ましい。
上記実施形態では、右後柱部材34の長手方向における中央部付近に形成された孔部34b,34cに対して挿入される板材21b,21cの挿入方向を反対向きにした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、板材の挿入方向を全て同じにしてもよい。
ただし、キャブに対する外力が付与される方向が一定ではない場合には、様々な向きで 挿入された板材を含む補強構造であることがより好ましい。
上記実施形態では、本発明に係る柱部材の補強構造20を含む柱部材によって構成されるキャブ10を搭載した建設機械として、油圧ショベル1を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
2 下部走行体
3 旋回フレーム
3a メインビーム
4 作業機
5 カウンタウェイト
6 エンジン
10 キャブ
20 補強構造
21a 板材(第1板材)
21aa 凸部
21b 板材(第2板材)
21c 板材(第2板材)
31 左前柱部材
32 右前柱部材
33 左後柱部材
34 右後柱部材(柱部材)
34a 孔部(第1孔部)
34b 孔部(第2孔部)
34c 孔部(第2孔部)
35 左中央柱部材
36 梁部材
P 履帯
Claims (5)
- 内部に空間を含む異形断面を有する複数の柱部材によって構成されるキャブを搭載した油圧ショベルであって、
長手方向が前記柱部材の長手方向に沿って形成され、前記柱部材の左右方向において前記柱部材を貫通するように形成された第1孔部と、前記第1孔部に対して、幅方向においてずらすとともに、前記柱部材の長手方向において一部が重複するように形成された第2孔部と、前記第1孔部に対して挿入された状態で固定される第1板材と、前記第2孔部に対して挿入された状態で固定される第2板材と、を有する柱部材を備えたキャブと、
下部走行体と、
前記下部走行体上において旋回可能な旋回フレームと、
前記下部走行体上に設けられており、作業機が取り付けられるとともに、前記キャブを構成する柱部材における前記第1・第2孔部の重複する部分に対して近接配置されたメインビームと、
を備えた油圧ショベル。 - 前記第2孔部は、前記柱部材の長手方向に沿って並列に2つ形成されており、
前記第1孔部は、前記2つの第2孔部の間に形成されている、
請求項1に記載の油圧ショベル。 - 前記柱部材は、右後方に配置されている、
請求項1または2に記載の油圧ショベル。 - 前記第1板材および前記第2板材の少なくとも一方は、前記柱部材に挿入される方向に交差する方向に突出した凸部を有している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の油圧ショベル。 - 前記第1・第2板材は、前記柱部材に対して溶接によって固定されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の油圧ショベル。
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