本発明の一実施形態に係る油圧ショベルについて図面を用いて説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る建設機械の一例としての油圧ショベルの正面図である。
図1に示すように、油圧ショベル1は、左右両側に履帯2aを備えた装軌式の下部走行体2と、この下部走行体2上に旋回装置3aを介して旋回可能に設けられた上部旋回体3と、この上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたスイング式の作業装置4とを備えている。下部走行体2の前側には、排土板装置が昇降可能に設けられている。下部走行体2と上部旋回体3は、油圧ショベル1の車体を構成している。
上部旋回体3は、ベース部材としての旋回フレーム6を有する。旋回フレーム6の前端側には、作業装置4を左右方向に揺動可能に支持するスイングブラケット6aが設けられている。また、旋回フレーム6の後端側には、作業装置4と重量バランスをとる円弧状のカウンタウエイト6bが一体に設けられている。旋回フレーム6におけるカウンタウエイト6bの後方位置(上部旋回体3の後端位置)には、機体転倒時に運転者を保護するロールバー7が取り付けられている。
旋回フレーム6上には、カウンタウエイト6bの上方から旋回フレーム6の前部側に向けて延びるように建屋カバー8が設けられている。そして、建屋カバー8は、旋回フレーム6上の前後方向の中央位置から後方位置にかけて配置された原動機、ラジエータ、油圧ポンプ等の搭載機器類(いずれも図示せず)を上側から覆う箱状のカバーとして形成されている。
建屋カバー8の上面側には、オペレータが着席する運転席9が配設されている。運転席9は、蝶番(図示せず)を介して建屋カバー8の上面に取り付けられており、この蝶番を支点として運転席9を上部旋回体3の前方側又は後方側に回動させることで、運転席9の下方であって建屋カバー8の上面に設けられた点検窓が開口する構成となっている。建屋カバー8の前側には、旋回フレーム6の上側に位置して床板10が設けられ、運転者は、床板10を足場として運転席9に乗降する構成となっている。さらに、床板10の前部側には、走行レバー11a、作業レバー11b等を有するレバースタンド11が立設されている。
作業装置4は、旋回フレーム6のスイングブラケット6aに左右方向に揺動可能に取り付けられたリンク部材としてのスイングポスト12と、このスイングポスト12に基端側がピン連結されたリンク部材としてのブーム13と、このブーム13の先端側に基端側がピン連結されたリンク部材としてのアーム14と、このアーム14の先端側にピン連結された作業具としてのバケット15とを備えている。すなわち、バケット15は、スイングポスト12、ブーム13、アーム14等の複数のリンク部材を介して車体の一部であるスイングブラケット6aに連結されている。
旋回フレーム6とスイングポスト12との間には、スイングポスト12を左右方向に揺動させるスイングシリンダ(図示せず)が設けられ、スイングポスト12とブーム13との間には、ブーム13を上下方向に回動させる(俯仰の動作をさせる)ブームシリンダ16(油圧アクチュエータ)が設けられている。また、ブーム13とアーム14との間には、アーム14を上下、前後方向に回動させるアームシリンダ17(油圧アクチュエータ)が設けられ、アーム14とバケット15との間には、バケットリンク18を介してバケット15を上下、前後方向に回動させるバケットシリンダ19(油圧アクチュエータ)が設けられている。
図2は、図1に示すブーム13を単体で示す正面図である。
図2に示すように、ブーム13は、く字形に屈曲して成るブーム本体20と、アームブラケット21と、ブーム基端ボス22と、上下のシリンダブラケット24,23とを有する。ブーム本体20の前端部には、例えば鋳物の一種である鋳鋼により一体に形成されたアームブラケット21が溶接で接合されている。このアームブラケット21には、アーム14の基端部がアーム支持ピン51を介して回動可能に連結される。ブーム本体20の後端部に設けられたブーム基端ボス22は、スイングポスト12にブーム支持ピン31を介して回動可能にピン結合される。
ブーム本体20のく字型の凹部側には、左右一対の板状体を有する下側シリンダブラケット24が設けられている。下側シリンダブラケット23のボス部23aには、ブームシリンダ16のロッド側がピン連結される。一方、ブームシリンダ16のボトム側は、スイングポスト12にピン連結される。
また、ブーム本体20のく字型の凸部側には、左右一対の板状体からなる上側シリンダブラケット24が設けられている。上側シリンダブラケット24のボス部24aには、アームシリンダ17のボトム側がピン連結される。なお、ブームシリンダ16のロッド側は、後述するアーム14のシリンダブラケット44にピン連結される。
ブーム本体20は、長手方向に沿って上下に分割されたブーム上側リンク部25(第1リンク部)とブーム下側リンク部26(第2リンク部)とを有する分割構造のリンク部材であり、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26とは、ブーム本体20の先端部に設けられたブーム先端ボス27と、ブーム本体20の中間部に設けられたブーム中間ボス28と、ブーム本体20の後端部に設けられたブーム基端ボス22とを介して互いに固定されている。
図3は、図2に示すブーム13の分解斜視図である。
図3に示すように、ブーム基端ボス22は、ブーム上側リンク部25の後端部に設けられた中間ボス部22a(第1ボス部)と、ブーム下側リンク部26の後端部に設けられ、中間ボス部22aの左右側に同軸に配置される左右一対のボス部22a,22b(第2ボス部)とを有する。中間ボス部22aと左右のボス部22b,22cとにより形成されるブーム基端ボス22のピン孔には、左右一対のブッシュ30a,30bを介してブーム支持ピン31が摺動可能に挿嵌される。このようにブーム上側リンク部25の中間ボス部22aとブーム下側リンク部26の左右のボス部22b,22cとにブーム支持ピン31を挿嵌することにより、ブーム上側リンク部25の後端部とブーム下側リンク部26の後端部とが互いに固定される。すなわち、ブーム支持ピン31は、ブーム上側リンク部25の後端部とブーム下側リンク部26の後端部とを互いに固定する連結ピンとしての機能を有する。
ブーム先端ボス27は、ブーム上側リンク部25の前端部に設けられた中間ボス部27a(第1ボス部)と、ブーム下側リンク部26の前端部に設けられ、中間ボス部27aの左右側に同軸に配置される左右のボス部27b,27c(第2ボス部)とを有する。中間ボス部22aと左右のボス部27b,27cとにより形成されるブーム先端ボス27のピン孔には、ブーム先端連結ピン32が挿嵌される。このようにブーム上側リンク部25の中間ボス27部aとブーム下側リンク部26の左右のボス部27b,27cとにブーム先端連結ピン32を挿嵌することにより、ブーム上側リンク部25の前端部とブーム下側リンク部26の前端部とが互いに固定される。
ブーム中間ボス28は、ブーム上側リンク部25の中間部に設けられた円筒状の中間ボス部28a(第1ボス部)と、ブーム下側リンク部26の中間部に設けられ、中間ボス部27aの左右側に同軸に配置される左右一対の円筒状のボス部28a,28b(第2ボス部)とを有する。中間ボス部22aと左右のボス部22b,22bとにより形成されるブーム中間ボス28のピン孔には、ブーム中間連結ピン33が挿嵌される。このようにブーム上側リンク部25の中間ボス部28aとブーム下側リンク部26の左右のボス部28b,28cとにブーム中間連結ピン33を挿嵌することにより、ブーム上側リンク部25の中間部とブーム下側リンク部26の中間部とが互いに固定される。
図4は、ブーム13を図2中の矢示A−A方向から見た断面図であり、ブーム本体20の断面構造を示す図である。
図4に示すように、ブーム上側リンク部25は、左右の側板25a,25bとこれら左右の側板25a,25bの上端側に接合された上板25cとにより、下側が開口した断面コ字状に形成されている。ブーム上側リンク部25は、ブーム下側リンク部26を形成する部材(例えば鋼材等)よりも軽量な材料(例えばアルミ合金等)で形成されている。ブーム上側リンク部25は、鋳造手段により一体に形成しても良く、複数の板状部材を溶接で接合して形成しても良い。
ブーム下側リンク部26は、左右の側板26a,26bとこれら左右の側板の下端側に接合された下板26cとにより、上側が開口した断面コ字状に形成されている。ブーム下側リンク部26は、ブーム上側リンク部25を形成している材料(例えばアルミ合金)よりも強靭な材料(例えば鋼材等)で形成されている。ブーム下側リンク部26は、鋳造手段により一体に形成しても良く、複数の板状部材を溶接で接合して形成しても良い。
ブーム本体20は、断面コ字状のブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26とを組み合わせることで、断面四角形状の箱型構造体として形成されている。なお、図2に示す例では、ブーム先端ボス27、ブーム中間ボス28及びブーム基端ボス22の各中心点を結んだ分割ラインに沿って上下に分割しているが、この上下分割ラインは、ブーム上側リンク部25及びブーム下側リンク部26を形成する各材料の特性、アーム上側リンク部45及びアーム下側リンク部46の各部位に求められる強度や軽量化の程度に応じて設定される。また、ブーム上側リンク部25の左右の側板25a,25bの下端部とブーム下側リンク部26の左右の側板26a,26bの上端部との間には、間隙G1が設けられている。これにより、ブーム本体20に荷重がかかった時に、異種材からなるブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26の変形量の差分を吸収し、ブーム本体20に生じる応力を低減することができる。
図5は、ブーム13を図2中の矢示B−B方向から見た断面図であり、ブーム基端ボス22の断面構造を示す図である。
図5に示すように、ブーム基端ボス22は、円筒状の中間ボス部22aと、この中間ボス部22aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部22bと、中間ボス部22aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部22cとを有する。
中間ボス部22aは、ブーム上側リンク部25の上板25cの後端部下側に台座部(図示せず)を介して取り付けられており、左右の側板25a,25bから離間して配置されている。左側ボス部22bは、ブーム下側リンク部26の左側板26aと下板26cの各後端部に取り付けられており、右側ボス部22cは、ブーム下側リンク部26の右側板26bと下板26cの各後端部に取り付けられている。ここで、中間ボス部22aは、溶接により上板25cに接合しても良く、鋳造手段で上板25cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部22b,22cは、溶接により左右の側板26a,26b及び下板26cに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板26a,26b及び下板26cと一体に形成しても良い。
ブーム基端ボス22を左右方向に貫通するピン孔には、ブーム支持ピン31を摺動可能に支持する左右一対の円筒状のブッシュ30a,30bが嵌合して設けられている。ここで、左側ブッシュ30aは、左側ボス部22bの内周面と中間ボス部22aの内周面とに跨って配置され、右側のブッシュ30bは、右側ボス部22cの内周面と中間ボス部22aの内周面とに跨って配置されている。ブーム支持ピン31の中間部は、左右のブッシュ30a,30bの各内周面に摺接し、ブーム支持ピン31の両端部は、スイングポスト12に固定される。これにより、スイングポスト12に対してブーム13が上下方向に回動可能に支持される。また、ブーム上側リンク部25の後端部とブーム下側リンク部26の後端部は、ブーム上側リンク部25の中間ボス部22aとブーム下側リンク部26の左右のボス部22b,22cとにブーム支持ピン31(連結ピン)を挿嵌することで互いに固定されている。
図6は、ブーム13を図2中の矢示C−C方向から見た断面図であり、ブーム先端ボス27の断面構造を示す図である。図7は、図3に示すブーム上側リンク部25の内側を示す斜視図である。
図6に示すように、ブーム先端ボス27は、円筒状の中間ボス部27aと、この中間ボス部27aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部27bと、中間ボス部27aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部27cとを有する。
中間ボス部27aは、図7に示すように、ブーム上側リンク部25の上板25cの前端部下側に台座部25dを介して取り付けられており、左右の側板25a,25bから離間して配置されている。左側ボス部27bは、ブーム下側リンク部26の左側板26aの前端部に取り付けられており、右側ボス部27cは、ブーム上側リンク部25の右側板25bの前端部に取り付けられている。ここで、中間ボス部27aは、溶接により上板25cに接合しても良く、鋳造手段で上板25cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部27b,227は、溶接により左右の側板26a,26bに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板26a,26bと一体に形成しても良い。
ブーム上側リンク部25の前端部とブーム下側リンク部26の前端部とは、ブーム上側リンク部25の中間ボス部27aとブーム下側リンク部26の左右のボス部27b,27cとで形成されたピン孔にブーム先端連結ピン32を挿嵌することで互いに固定されている。
図8は、ブームを図2中の矢示D−D方向から見た断面図であり、ブーム中間ボス28の断面構造を示す図である。
図8に示すように、ブーム中間ボス28は、円筒状の中間ボス部28aと、この中間ボス部28aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部28bと、中間ボス部28aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部28cとを有する。
中間ボス部28aは、図7に示すように、ブーム上側リンク部25の上板25cの中間部下側に台座部25eを介して取り付けられており、左右の側板25a,25bから離間して配置されている。左側ボス部28bは、ブーム下側リンク部26の左側板26aの中間部に取り付けられており、右側ボス部28cは、ブーム下側リンク部26の右側板26bの中間部に取り付けられている。ここで、中間ボス部28aは、溶接により上板25cに接合しても良く、鋳造手段で上板25cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部28b,28cは、溶接により左右の側板26a,26b及び下板26cに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板26a,26bに一体に形成しても良い。
ブーム上側リンク部25の中間部とブーム下側リンク部26の中間部とは、ブーム上側リンク部25の中間ボス部28aとブーム下側リンク部26の左右のボス部28b,28cとで形成された左右方向に貫通するピン孔にブーム中間連結ピン33を挿嵌することで互いに固定されている。
図9は、図1中のアーム14を単体で示す正面図である。
図9に示すように、アーム14は、アーム本体40と、アーム基端ボス41と、アーム先端ボス42と、アーム中間ボス43と、シリンダブラケット44とを有する。アーム本体40の後端部に設けられたアーム基端ボス41は、ブーム13のアームブラケット21がアーム支持ピン51を介して回動可能にピン結合される。アーム本体40の前端部に設けられたアーム先端ボス42には、バケット15がバケット支持ピン53を介して回動可能にピン結合される。アーム本体40の中間部に設けられたアーム中間ボス43には、バケットリンク18の基端部がバケットリンク支持ピン55を介して回動可能にピン結合される。
アーム本体40の後端部上側には、左右一対の板状体を有するシリンダブラケット44が設けられている。シリンダブラケット44には、ボス部44a,44bが前後に離間して設けられている。そして、後側の44aには、アームシリンダ17のロッド側が回動可能にピン結合され、前側のボス部44bには、バケットシリンダ19のボトム側が回動可能にピン結合される。なお、バケットシリンダ19のロッド側は、バケットリンク18の先端部にピン連結される。
アーム本体40は、長手方向に沿って上下に分割されたアーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とを有する分割構造のリンク部材であり、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26とは、ブーム本体20の後端部に設けられたブーム基端ボス22と、ブーム本体20の前端部に設けられたブーム先端ボス27と、ブーム本体20の中間部に設けられたブーム中間ボス28とを介して互いに固定されている。
図10は、アーム14の分解斜視図である。
図10に示すように、アーム基端ボス41は、アーム上側リンク部45の後端部に設けられた中間ボス部41aと、アーム下側リンク部46の後端部に設けられ、中間ボス部41aの左右側に同軸に配置される左右一対のボス部41a,41bとを有する。中間ボス部41aと左右のボス部41b,41cとにより形成されるアーム基端ボス41のピン孔には、左右一対のブッシュ50a,50bを介してアーム支持ピン51が摺動可能に挿嵌される。このようにアーム上側リンク部45の中間ボス部41aとアーム下側リンク部46の左右のボス部41b,41cとにアーム支持ピン51を挿嵌することにより、アーム上側リンク部45の後端部とアーム下側リンク部46の後端部とが互いに固定される。すなわち、アーム支持ピン51は、アーム上側リンク部45の後端部とアーム下側リンク部46の後端部とを互いに固定する連結ピンとしての機能を有する。
アーム先端ボス42は、アーム上側リンク部45の前端部に設けられた中間ボス部42aと、アーム下側リンク部46の前端部に設けられ、中間ボス部42aの左右側に同軸に配置される左右のボス部42b,42cとを有する。中間ボス部42aと左右一対のボス部42b,42bとにより形成されるアーム先端ボス42のピン孔には、左右一対のブッシュ30a,30bを介してバケット支持ピン53が摺動可能に挿嵌される。このようにアーム上側リンク部45の中間ボス部42aとアーム下側リンク部46の左右のボス部42b,42cとにバケット支持ピン53を挿嵌することにより、アーム上側リンク部45の前端部とアーム下側リンク部46の前端部とが互いに固定される。すなわち、バケット支持ピン53は、アーム上側リンク部45の前端部とアーム下側リンク部46の前端部とを互いに固定する連結ピンとしての機能を有する。
アーム中間ボス43は、アーム上側リンク部45の中間部に設けられた円筒状の中間ボス部43aと、アーム下側リンク部46の中間部に設けられ、中間ボス部43aの左右側に同軸に配置される左右一対の円筒状のボス部43a,43bとを有する。中間ボス部43aと左右のボス部43b,43bとにより形成されるアーム中間ボス43のピン孔には、左右一対のブッシュ52a,52bを介してバケットリンク支持ピン55が挿嵌される。このようにアーム上側リンク部45の中間ボス部43aとアーム下側リンク部46の左右のボス部43b,43cとにバケットリンク支持ピン55を挿嵌することにより、アーム上側リンク部45の中間部とアーム下側リンク部46の中間部とが互いに固定される。すなわち、バケットリンク支持ピン55は、アーム上側リンク部45の中間部とアーム下側リンク部46の中間部とを互いに固定する連結ピンとしての機能を有する。
図11は、アーム14を図9中の矢示E−E方向から見た断面図であり、アーム本体40の断面構造を示す図である。
図11に示すように、アーム上側リンク部45は、左右の側板45a,45bとこれら左右の側板45a,45bの上端側に接合された上板45cとにより、下側が開口した断面コ字状に形成されている。アーム上側リンク部45は、アーム下側リンク部46を形成する部材(例えば鋼材等)よりも軽量な材料(例えばアルミ合金等)により形成されている。アーム上側リンク部45は、鋳造手段により一体に形成しても良く、複数の板状部材を溶接で接合して形成しても良い。
アーム下側リンク部46は、左右の側板46a,46bとこれら左右の側板46a,46bの下端側に接合された下板46cとにより、上側が開口した断面コ字状に形成されている。アーム下側リンク部46は、アーム上側リンク部45を形成している材料(例えばアルミ合金等)よりも強靭な材料(例えば鋼材等)により形成されている。アーム下側リンク部46は、鋳造手段により一体に形成しても良く、複数の板状部材を溶接で接合して形成しても良い。
アーム本体40は、断面コ字状のアーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とを組み合わせることで、横断面が四角形をなす箱型構造体として形成されている。なお、図9に示す例では、ブーム先端ボス27、ブーム中間ボス28及びブーム基端ボス22の上側に引いた分割ラインに沿ってアーム本体40をアーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とに分割しているが、この分割ラインは、アーム上側リンク部45及びアーム下側リンク部46を形成する各材料の特性、アーム上側リンク部45及びアーム下側リンク部46の各部位に求められる強度や軽量化の程度に応じて設定される。また、アーム上側リンク部45の左右の側板45a,45bの下端部とアーム下側リンク部46の左右の側板46a,46bの上端部との間には、間隙G2が設けられている。これにより、アーム本体40に荷重がかかった時に、異種材からなるアーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46の変形量の差分を吸収し、アーム本体40に生じる応力を低減することができる。
また、アーム上側リンク部45の左右の側板45a,45bは、アーム下側リンク部46の左右の側板46a,46bよりも厚肉に形成されており、左右の側板45a,45bの下端部は、左右一対の凸部45a1,45b1を有する。これにより、左右の間隙G2の内側がそれぞれ凸部45a1,45b1で塞がれるため、アーム本体40の外観を向上させることができる。また、アーム本体40に荷重がかかった時に、左右の凸部45a1,45b1との外側面とアーム下側リンク部46の左右の側板46a,46bの内側面とが面接触することにより、アーム本体40の変形を抑えることができる。
図12は、アーム14を図9中の矢示F−F方向から見た断面図であり、アーム基端ボス41の断面構造を示す図である。図13は、図10に示すアーム上側リンク部45の内側を示す斜視図である。
図12に示すように、アーム基端ボス41は、円筒状の中間ボス部41aと、この中間ボス部41aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部41bと、中間ボス部41aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部41cとを有する。
中間ボス部41aは、図13に示すように、アーム上側リンク部45の上板45cの後端部下側に台座部45dを介して取り付けられており、左右の側板45a,45bから離間して配置されている。左側ボス部41bは、アーム下側リンク部46の左側板46aと下板46cの各後端部に取り付けられている。右側ボス部41cは、アーム下側リンク部46の右側板46bと下板46cの各後端部に取り付けられている。ここで、中間ボス部41aは、溶接により上板45cに接合しても良く、鋳造手段で上板45cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部41b,41cは、溶接により左右の側板46a,46b及び下板46cに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板46a,46b及び下板46cと一体に形成しても良い。
アーム基端ボス41を左右方向に貫通するピン孔には、アーム支持ピン51を摺動可能に支持する左右一対の円筒状のブッシュ50a,50bが嵌合して設けられている。ここで、左側ブッシュ50aは、左側ボス部41bの内周面と中間ボス部41aの内周面とに跨って配置され、右側ブッシュ50bは、右側ボス部41cの内周面と中間ボス部41aの内周面とに跨って配置されている。アーム支持ピン51の中間部は、左右のブッシュ30a,30bの各内周面に摺接し、アーム支持ピン51の両端部は、アームブラケット21に固定される。これにより、アームブラケット21に対してアーム14が上下、前後方向に回動可能に支持される。また、アーム上側リンク部45の後端部とアーム下側リンク部46の後端部は、アーム上側リンク部45の中間ボス部41aとアーム下側リンク部46の左右のボス部41b,41cとで形成された左右方向に貫通するピン孔にアーム支持ピン51(連結ピン)を挿嵌することで互いに固定されている。
図14は、アーム14を図9中の矢示G−G方向から見た断面図であり、アーム先端ボス42の断面構造を示す図である。
図14に示すように、アーム先端ボス42は、円筒状の中間ボス部42aと、この中間ボス部42aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部42bと、中間ボス部42aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部42cとを有する。
中間ボス部42aは、図10に示すように、アーム上側リンク部45の上板45cの前端部下側に台座部45eを介して取り付けられており、左右の側板45a,45bから離間して配置されている。左側ボス部42bは、アーム下側リンク部46の左側板46aと下板46cの各前端部に取り付けられており、右側ボス部42cは、アーム上側リンク部45の右側板45bと上板45cの各前端部に取り付けられている。ここで、中間ボス部42aは、溶接により上板45cに接合しても良く、鋳造手段で上板45cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部41b,41cは、溶接により左右の側板46a,46b及び下板46cに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板46a,46b及び下板46cと一体に形成しても良い。
アーム先端ボス42を左右方向に貫通するピン孔には、バケット支持ピン53を摺動可能に支持する左右一対の円筒状のブッシュ52a,52bが嵌合して設けられている。ここで、左側ブッシュ52aは、左側ボス部42bの内周面と中間ボス部42aの内周面とに跨って配置され、右側のブッシュ52bは、右側ボス部42cの内周面と中間ボス部42aの内周面とに跨って配置されている。バケット支持ピン53の中間部は、左右のブッシュ52a,52bの各内周面に摺接し、バケット支持ピン53の両端部は、バケット15に固定される。これにより、アーム14の先端部に対してバケット15が上下方向に回動可能に支持される。また、アーム上側リンク部45の前端部とアーム下側リンク部46の前端部は、アーム上側リンク部45の中間ボス部42aとアーム下側リンク部46の左右のボス部42b,42cとで形成された左右方向に貫通するピン孔にバケット支持ピン53(連結ピン)を挿嵌することで互いに固定されている。
図15は、アーム14を図9中の矢示H−H方向から見た断面図であり、アーム中間ボス43の断面構造を示す図である。
図15に示すように、アーム中間ボス43は、円筒状の中間ボス部43aと、この中間ボス部43aの左側に同軸に配置された円筒状の左側ボス部43bと、中間ボス部43aの右側に同軸に配置された円筒状の右側ボス部43cとを有する。
中間ボス部43aは、図10に示すように、アーム上側リンク部45の上板45cの下側でかつ中間ボス部42aの後側に台座部25eを介して取り付けられており、左右の側板45a,45bから離間して配置されている。左側ボス部43bは、アーム下側リンク部46の左側板46aに取り付けられており、右側ボス部43cは、アーム上側リンク部45の右側板45bに取り付けられている。ここで、中間ボス部41aは、溶接により上板45cに接合しても良く、鋳造手段で上板45cと一体に形成しても良い。また、左右のボス部41b,41cは、溶接により左右の側板46a,46bに接合しても良く、鋳造手段により左右の側板46a,46bと一体に形成しても良い。
アーム中間ボス43を左右方向に貫通するピン孔には、バケットリンク支持ピン55を摺動可能に支持する左右一対の円筒状のブッシュ54a,54bが嵌合して設けられている。ここで、左側ブッシュ54aは、左側ボス部43bの内周面と中間ボス部43aの内周面とに跨って配置され、右側のブッシュ54bは、右側ボス部43cの内周面と中間ボス部43aの内周面とに跨って配置されている。バケットリンク支持ピン55の中間部は、左右のブッシュ54a,54bの各内周面に摺接し、バケットリンク支持ピン55の両端部は、バケットリンク18に固定される。これにより、アーム14の中間部に対してバケットリンク18が上下、前後方向に回動可能に支持される。また、アーム上側リンク部45の中間部とアーム下側リンク部46の中間部は、アーム下側リンク部46の左右のボス部43b,43cとアーム上側リンク部45の中間ボス部43aとで形成された左右方向に貫通するピン孔にバケットリンク支持ピン55(連結ピン)を挿嵌することで互いに固定されている。
本実施形態に係る油圧ショベル1は上述の如き構成を有するものであり、この油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業等を行うときには、運転席9に着席したオペレータが、レバースタンド11の走行レバー11aを操作することにより、下部走行体2を自走させて油圧ショベル1を作業現場まで移動させる。そして、油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業レバー11bを操作し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰の動作をさせることにより、バケット15によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
以上のように構成した本実施形態に係る油圧ショベル1によれば、軽量な材料(例えばアルミ合金、炭素樹脂等)で形成されたブーム上側リンク部25(第1リンク部)と強靭な材料(例えば鋼材等)で形成されたブーム下側リンク部26(第2リンク部)とを、中間ボス部27a,28a,22a(複数の第1ボス部)と左右のボス部27b,27c,28b,28c,22b,22c(複数の第2ボス部)とに複数の連結ピン32,33,31を挿嵌して互いに固定することにより、ブーム本体20を形成することができる。また、軽量な材料(例えばアルミ合金、炭素樹脂等)で形成されたアーム上側リンク部45(第1リンク部)と強靭な材料(例えば鋼材等)で形成されたアーム下側リンク部46(第2リンク部)とを、中間ボス部42a,43a,41a(複数の第1ボス部)と左右のボス部42b,42c,43b,43c,44b,44c(複数の第2ボス部)とに複数の連結ピン53,55,51を挿嵌して互いに固定することにより、アーム本体40を形成することができる。このように異種材を組み合わせてブーム本体20又はアーム本体40を形成することにより、必要な強度を確保しつつ作業装置4を軽量化することができる。そして、作業装置4を軽量化することにより、機体の重心が後方に移動することで機体の安定性が向上し、掘削操作時の作業装置4の振れが軽減しかつ動作が機敏になることで操作性が向上し、さらには作業装置4の操作時にエンジンや油圧ポンプに求められる動力が低減することで省エネルギー化を実現することができる。
また、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26とを溶接で接合する必要がないため、ブーム上側リンク部25もしくはブーム下側リンク部26を非金属材料(例えば炭素樹脂等)で形成することが可能となる。同様に、アーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とを溶接で接合する必要がないため、アーム上側リンク部45もしくはアーム下側リンク部46を非金属材料(例えば炭素樹脂等)で形成することが可能となる。
また、既存のブーム基端ボス22を利用してブーム上側リンク25の後端部とブーム下側リンク部26の後端部と互いに固定する構成としたことにより、ブーム13を分割構造とすることに伴う製造コストの上昇を抑えることができる。同様に、既存のアーム先端ボス42、アーム中間ボス43及びアーム基端ボス41を利用してブーム上側リンク25の後端部とブーム下側リンク部26の後端部と互いに固定する構成としたことにより、アーム14を分割構造とすることに伴う製造コストの上昇を抑えることができる。
また、地面や解体物に接触し易いブーム下側リンク部26及びアーム下側リンク部46を強靭な材料(例えば鋼材等)で形成することにより、ブーム本体20及びアーム本体40の耐久性を維持することができる。さらに、ブーム13の外側に露出する左右のボス部22b,22c,27a,27b,28a,28bを強靭な材料(例えば鋼材等)で形成することにより、ブーム基端ボス22、ブーム先端ボス27及びブーム中間ボス28の破損や摩耗を防ぐことができる。同様に、アーム本体40の外側に露出する左右のボス部41b,41c,42a,42b,43a,43bを強靭な材料(例えば鋼材等)で形成することにより、アーム基端ボス41、アーム先端ボス42及びアーム中間ボス43の破損や摩耗を防ぐことができる。
また、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26とを分離できるため、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26の一方が破損し又は摩耗した場合に、この破損し又は摩耗したブーム上側リンク部25もしくはブーム下側リンク部26のみを交換し、破損や摩耗が生じていないブーム上側リンク部25もしくはブーム下側リンク部26を継続して使用することができる。同様に、アーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とが分離可能であるため、アーム上側リンク部45もしくはアーム下側リンク部46が破損し又は摩耗した場合に、この破損し又は摩耗したアーム上側リンク部45もしくはアーム下側リンク部46のみを交換し、破損や摩耗が生じていないアーム上側リンク部45もしくはアーム下側リンク部46を継続して使用することができる。これにより、油圧ショベル1の維持コストを低減することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図16Aは、本実施形態の変形例に係るブーム13Aを単体で示す斜視図であり、図16Bは、図16Aに示すブーム13Aの正面図であり、図16Cは、図16Aに示すブーム13Aの縦断面図である。
図16A〜図16Cに示すように、ブーム本体20の後端部上面(上板25cの後端部)にはホース導入孔60が設けられている。また、ブーム本体20の前端部上面(上板25cの前端部)にはホース導出孔61が設けられている。そして、ブーム本体20の内部には、ホース導入孔60とホース導出孔61を通して、バケットシリンダ19に圧油を給排する一対の油圧ホース62a,62bが配設されている。
図17Aは、本実施形態の変形例に係るアーム14Aを単体で示す斜視図であり、図17Bは、図17Aに示すアーム14Aの正面図であり、図17Cは、図17Aに示すアーム14Aの縦断面図である。
図17A〜図17Cに示すように、アーム本体40の後端部上面(上板45cの後端部)にはホース導入孔63が形成されている。また、アーム本体40の中間部側面(左右の側板45a,45b,46a,45bの中間部)には、左右一対のホース導出孔64a,64bが形成されている。そして、アーム本体40の内部には、ホース導入孔70と左右のホース導出孔71a,71bを通して、予備アクチュエータ(図示せず)に作動油を給排する一対の予備油圧ホース72a,72bが配設されている。左右のホース導出孔71a,71bから引き出された一対の予備油圧ホース72a,72bの各端部72a1,72b1は、アーム本体40の左右の側面に設けられた左右一対のホース固定具73a,73bに連結されている。
以上のように構成した本実施形態の変形例によれば、ブーム上側リンク部25とブーム下側リンク部26を分離してブーム本体20の内部を開放することにより、ホース導入孔60とホース導出孔61を通して一対の油圧ホース62a,62bをブーム本体20の内部に容易に配設することできる。同様に、アーム上側リンク部45とアーム下側リンク部46とを分離してアーム本体40の内部を開放することにより、ホース導入孔70とホース導出孔71a,71bを通して一対の予備油圧ホース72a,72bをアーム本体40の内部に容易に配設することができる。このように一対の油圧ホース62a,62b及び一対の予備油圧ホース72a,72bを内装化することにより、一対の油圧ホース62a,62b及び一対の予備油圧ホース72a,72bが外部の障害物と接触することによる損傷することを防ぐことができると共に、作業中のオペレータの視野を広く確保することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上述した実施形態は、本発明を油圧ショベル1に適用したものであるが、本発明の適用対象はこれに限定されず、作業装置を備えたクレーン等の建設機械にも適用可能である。