JP2008202347A - 合成セグメント - Google Patents
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【解決手段】外周面2とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在する2つの断面L形状の構造部材4と、内周面3とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在する2つの断面L形状の構造部材4と、コンクリートに内包されると共に、トンネル周方向に延在し且つトンネル軸方向に並べて配置される2つ以上の主桁7と、前記主桁のうち軸方向外側に配置される2つの主桁7それぞれと、更にその外側に位置する前記断面L形状の構造部材4との間に渡って配置され、当該主桁7と当該構造部材4とに固着される応力伝達構造材6と、前記4つの断面略L形状の構造部材4により囲まれる部分に充填されたコンクリートとを有する合成セグメント。
【選択図】図6
Description
トンネル構造は通常、地下水面よりも深度の深い地中に構築されることから、セグメント同士の連結部には止水性能が要求され、そのためにセグメントの端面は高い寸法精度が要求される。
一般的に覆工材にはコンクリート製、鉄製あるいはそれらを組み合わせた合成構造製のものが知られており、鉄製セグメントには、鋼板を所定の寸法形状に切断した後、溶接等により組み立てられる鋼製セグメント、鋳型で成型する鋳鉄製セグメントがある。
コンクリート製のセグメントではコンクリート打設用の外型枠の寸法精度でセグメント端面の精度を確保し、鉄製セグメントでは主桁等で構成される鋼殻構造の製造寸法で精度を確保する。
近年、トンネル径の大口径化、トンネル覆工厚さの縮小化などのニーズから、高耐力なセグメントが求められ、鋼とコンクリートを組み合わせた合成セグメントが採用されるようになった。特許文献1に記載のものは、その一例である。
この特許文献1に記載されている合成セグメントは、外周面の角部を覆う断面略L形状の構造部材を備え、構造材に囲まれた内部にコンクリートを打設して形成されるセグメントであり、角部の割れや欠けに対して高い強度を発揮することを特徴としている。
また特許文献2に記載されている合成セグメントは、外周面の角部を覆う断面略L形状の構造部材と断面I型のラチス材とを備え、コンクリートの面する内面にジベルを非加熱連結し構造材に囲まれた内部にコンクリートを打設して形成されるセグメントであり、溶接ひずみを生じないでコンクリートとの付着を高めることを特徴としている。
特許文献1に記載されているセグメントでは、外周面の角部を覆う断面略L形状の構造部材の内部にコンクリートを打設することで、合成セグメントを構成することを特徴としているが、主桁のトンネル軸方向に向かって外側の端部コンクリートは、主桁に挟まれる内部コンクリートに比べて拘束度が低く、鋼材とコンクリートとの力伝達が不十分となって構造性能が低下する欠点がある。
そのため、鋼材とコンクリートとの力伝達を確保するために構造材を追加して補強する必要があるが、その場合の大きな課題として補強構造の増設からセグメント製造時にセグメントの形状変形が大きく発生し、セグメント端面の寸法精度を確保することが困難となるため形状矯正が必要となり、これがセグメントの製造コストを大きくする欠点となっていた。
さらに特許文献2に記載されているセグメントでは、外周面の角部を覆う断面略L形状の構造部材とラチス構造を呈するフランジ材が連結され、ラチスの内面側に非加熱手段にてジベルを有する構造材を形成し、その内部にコンクリートを打設することで、合成セグメントを構成することを特徴としている。しかしながら、本発明には下記の欠点がある。セグメントに発生する軸力・曲げ力・せん断力に対して主に抵抗するラチス構造の構造性能を高めることを目的に断面略L形状の構造部材と一体断面化を図るためには、双方の部材を部材長手方向に連続して溶接して固着する方法や、一体断面を単一材で製造する方法が考えられるが、熱ひずみの影響や寸法の大きな断面を一体製造することでいずれの場合にも製造時の変形が大きく発生するため、形状矯正が不可欠となり、製造コストが高くなる課題がある。
そこで本発明では、鋼材とコンクリートの力伝達をなし得る補強構造としながら、セグメント端面における寸法精度を形状矯正をせずに確保することができる合成セグメントを提供することを目的とする。
トンネル周方向および軸方向に複数連結されることで地中に壁状構造の閉空間を構成し、外周面、内周面、2つの軸方向端面、及び2つの周方向端面の6面を有する円弧版状または平版状のコンクリートと鋼材からなる合成セグメントであって、
前記外周面とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在し、外周面側の第一構造部材と軸方向端面側の第二構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記内周面とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在し、内周面側の第四構造部材と軸方向端面側の第三構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記コンクリートに内包されると共に、トンネル周方向に延在し且つトンネル軸方向に並べて配置される2つ以上の主桁と、
前記主桁のうち軸方向外側に配置される2つの主桁それぞれと、更にその外側に位置する前記断面L形状の構造部材との間に渡って配置され、当該主桁と当該構造部材とに固着される応力伝達構造材と、
前記4つの断面略L形状の構造部材により形成される内面に充填されたコンクリートとを有することを特徴とする。
(2)さらに本発明による合成セグメントは、
前記外周面とそれぞれの周方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル軸方向に延在し、外周面側の第五構造部材と周方向端面側の第六構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記内周面とそれぞれの周方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル軸方向に延在し、内周面側の第八構造部材と軸方向端面側の第七構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材とを、
更に有することを特徴とする。
(3)さらに本発明による合成セグメントは、
前記2つ以上の主桁のトンネル軸方向における配置位置は、主桁の数をn、セグメントの幅をBとした場合、軸方向外側に配置される2つの主桁はセグメントの軸方向両端部位置から略0.5×B/nの位置に、それらよりも内側に配置される主桁は主桁間の間隔を略B/nの位置に配置されることを特徴とする。
(4)さらに本発明による合成セグメントは、
前記コンクリート中に、更に、鉄筋または表面にずれ止め機能を有する鋼延材を備えることを特徴とする。
(5)さらに本発明による合成セグメントは、
前記主桁の表面にずれ止め構造を有することを特徴とする。
(6)さらに本発明による合成セグメントは、
前記断面L形状の構造部材のコンクリートに面する側にずれ止め構造を有することを特徴とする。
(7)さらに本発明による合成セグメントは、
前記第一構造部材と前記主桁上部間、前記第四構造部材と前記主桁下部間、前記2つ以上の主桁における各主桁の上部間、又は、前記2つ以上の主桁における各主桁の下部間の少なくともいずれかに渡って橋渡し材が配置され、双方の当接部が、弾性体座金を介してボルトまたはドリルネジで連結されていることを特徴とする。
(8)さらに本発明による合成セグメントは、
前記第一構造部材と前記主桁上部間、及び、前記2つ以上の主桁における各主桁の上部間に渡って外周面側の橋渡し材が配置され、前記第四構造部材と前記主桁下部間、及び、前記2つ以上の主桁における各主桁の下部間に渡って内周面側の橋渡し材が配置されて、前記外周面側の橋渡し材と前記内周面側の橋渡し材とがせん断補強材で連結されていることを特徴とする。
(9)さらに本発明による合成セグメントは、
前記橋渡し材が、矩形断面形状、L型断面形状、またはT型断面形状であることを特徴とする。
(10)さらに本発明による合成セグメントは、
前記合成セグメントの外周面に更にスキンプレートを備え、前記スキンプレートと前記第一構造部材および前記第五構造部材とが、ボルトまたはドリルネジにより接続され、前記第二構造部材および第六構造部材の長手方向に渡って連続してシール溝が形成されていることを特徴とする。
(11)さらに本発明による合成セグメントは、
前記スキンプレートと当接する前記第一構造材及び前記第五構造部材の長手方向に渡って連続してシール溝が形成され、当該シール溝にシール材が設けられていることを特徴とする。
(12)さらに本発明による合成セグメントは、
トンネル周方向に隣接して構築されるセグメント同士を接続するセグメント継手、およびトンネル軸方向に隣接して構築されるセグメント同士を接続するリング継手が、前記主桁、前記断面L形状の構造部材、前記応力伝達構造材のいずれか1つに固着されていることを特徴とする。
また、前記トンネル周方向の内周面とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在し、内周面側の第四構造部材4dと軸方向端面側の第三構造部材4cからなる2つの断面L形状の構造部材4を備えている。
また、前記の合成セグメント1は、前記コンクリート8に内包されると共に、トンネル周方向に延在し且つトンネル軸方向に並べて配置される2つ以上の主桁7(図示の形態では、2つの主桁7とされている)を備えている。
また、前記合成セグメント1は、前記主桁7のうちトンネル軸方向外側に配置される2つの主桁7それぞれと、更にその外側に位置する前記断面L形状の構造部材4との間に渡って配置され、当該主桁7と当該構造部材4とに固着される応力伝達構造材6を備えている。
各主桁7は、コンクリート8に埋め込むように内包されるため、外周面側の第一構造部材4aの外周面よりもトンネル半径方向で内空側に位置し、内周面側の第四構造部材4dのトンネル内腔面側よりもトンネル半径方向で外側に位置するように配置されて、各構造部材4間で囲まれる部分(空間)内に配置されている。
そのため、4つの断面略L形状の構造部材4により囲まれた部分に充填されたコンクリート8に各主桁7が埋め込まれるように内包された合成セグメント1とされている。
そのため、合成セグメント1の全幅が有効に合成構造として機能し、合成セグメント1の構造性能を高められることから、合成セグメント1の桁高さの縮小化や合成セグメント1の幅の幅広化の効果を発揮する。
前記断面L形状の構造部材4と主桁7の間の応力伝達構造材6を固着するにあたり、通常、溶接による連結が考えられる。その際には、鋼殻構造の熱ひずみによる形状変形が発生し、その形状を矯正するために製造コストを要する。
そこで、主桁7の寸法を小さく構成させて主桁7の断面をコンクリート8の断面内に内包させることで鋼材の形状変形を主桁7を小さくすることで吸収させ、セグメント端部の前記断面L形状の構造部材4は寸法精度内に収めることができる。その結果、これまでセグメント製造時におけるセグメント形状矯正が必要であったが、この矯正工程が省かれて製造コスト削減の効果が発揮される。
合成セグメント1の高さは一般的な下水道用トンネルなどでは100mm〜200mm程度、大断面の道路用トンネルなどでは300mm〜1000mm程度となり用途に応じて設定すればよい。
セグメントの幅は500mm〜2500mm程度とセグメントの桁高さやトンネル外径、土水圧荷重の大きさに応じて設定すればよい。
鋼殻構造には、鋼板を切断・溶接により組み立てられる鋼製のもの、鋳型を用いて成型する鋳鉄製のものがあり、鋼材の形状や板厚によって決定すればよい。
主桁7の断面形状は一般的なセグメントと同様にウェブ7bのみの板状のもののほか、断面性能を高めるために、I型断面形状、C型断面形状、T型断面形状でも良く、本発明の効果は主桁7の断面形状に依存するものではない。主桁7の設置枚数はトンネルに作用する土水圧荷重とセグメントの幅あるいは桁高さに応じて設定すればよい。通常、2〜4枚程度とすることが多い。
主桁7の板厚さはトンネルに作用する土水圧荷重や主桁7の設置数に応じて10mm〜100mm程度に設定すればよい。
コンクリート8の流動性(充填性)を高めることを目的に、主桁7のウェブ7bには開口孔を設けてもよい。その場合、円形や矩形、三角形形状の孔をトンネル周方向に対して所定の間隔で設けることで流動性を確保できる。通常、開口孔の寸法は桁高さの30〜50%程度、トンネル周方向の配置間隔は桁高さと同等程度にすればよい。また、同様の効果を得るために、トンネル内外周面2,3に配置されるフランジ7aをタイバーで接続するトラス形式のラチス構造材を構成しても良い。
断面L形状の構造部材を構成するプレートの幅および高さ寸法は30mm〜70mm程度、厚みは5mm程度とすれば、コンクリート8の割れや欠けに対しては十分な防護性能を発揮する。断面L形状の構造部材4、5をセグメント断面の部材性能に加える場合は、作用する土水圧荷重と主桁仕様を考慮して寸法を設定すればよい。
断面L形状の構造部材4を配置することで、コンクリート角部の割れや欠けに対する抵抗が強くなる。また、コンクリート8の拘束度を高める効果が高まり、鋼材とコンクリート8との力伝達が増加する効果が発揮される。さらに断面L形状の構造部材5を配置することでコンクリート角部の割れや欠けに対する抵抗性能やコンクリート8の拘束効果が高められる。
応力伝達構造材6とセグメント角部に配置される断面L形状の構造部材4および主桁7とは溶接により固着する構造とする。溶接長はトンネルに作用する土水圧荷重による発生応力度により決定するが、溶接線が連続すると溶接熱ひずみの影響が大きくなるため、溶接線長を短くしたり、板の裏表を千鳥状に溶接するなどすると形状変形が少なくてすむ。
応力伝達構造材6としての縦リブの断面形状は、板状の直リブ、L型断面形状リブ(断面L字状リブ)、T型断面形状リブ(断面T字状リブ)、I型断面形状リブ(断面I字状リブ)など断面形状に依存するものではない。
応力伝達構造材6としての縦リブのセグメント高さ方向の配置位置は、トンネル外周面側2に偏芯して配置してもよいし、高さ方向中央部に配置してもよい。
応力伝達構造材6としての縦リブの桁高さは、セグメント高さ、主桁7の桁高さに応じて設定する。一般的には主桁7の桁高さの90%〜60%の範囲で設定すればよく、縦リブの板厚さは6mm〜30mm程度で設定すればよい。
応力伝達構造材6は、断面L形状の構造部材4と主桁7に固着されることで主桁7外側のコンクリート8に作用する土水圧による荷重を主桁7あるいは断面L形状の構造部材4に伝達する機能を発揮し、セグメント1の部材断面の一体化を図ることができる。
嵌合される双方の継手は相互に伝達力を伝達し合う必要があるため合成セグメント1の本体に十分に定着されなければならない。通常のRCセグメントでは継手の伝達力をコンクリート8中に鉄筋などの定着材12を配置して定着する構造とするが、コンクリート8の割裂破壊やせん断破壊の可能性があるため、大きな伝達力を伝達することができない。さらに本セグメントの応力負担を行う主要構造は主桁7等の鋼殻構造となるため、継手の伝達力は鋼殻に伝えなければならず、コンクリート8を介して伝達する構造では主桁7側にも力伝達用のずれ止め23が必要になるなど構造の複雑化も懸念される。そこでセグメント継手9、リング継手10の伝達力を直接鋼殻構造へと伝達する構造形式とすることで上記の課題を解決することができる。
ボルト接続式の場合はボルト11、14を内包するボルトボックス9a、10aあるいは定着材12を鋼殻構造に固着し、機械接続式の場合にはカプラー等の継手材あるいは定着材12を鋼殻構造に固着する。固着方法としては一般的には溶接13でもよく、溶接長さの比較的短い溶接であるため、セグメント1全体の形状変形に及ぼす影響は少ない。
本実施形態によると、セグメント間、リング間の力伝達が良好になるとともに、コンクリート8への負担が軽減するため、セグメントの構造性能および耐久性の向上が発揮される。
本実施形態によると、第一構造部材4aと第二構造部材4bあるいは第三構造部材4cと第四構造部材4dを固着しないため製造コストが低減される。断面L形状の構造部材4、5は一体構造とせずとも、割れや欠けに対する保護効果は十分発揮される。断面L形状の構造部材4と主桁7の間に固着される応力伝達材6は、第一構造部材4a、第二構造部材4b、第三構造部材4c、第四構造部材4dのいずれかに固着されることで主桁7外側のコンクリート8の拘束効果が発揮される。
弾性体座金16の厚みを5〜10mm程度としておき、やや断面を潰し気味に架設すると効果的である。さらに橋渡し材15を矩形断面形状(すなわち断面矩形状)、L型断面形状(断面L字状)あるいはT型断面形状(断面T字状)とすることで接合面が広く確保でき、ボルトまたはドリルネジ17による接続が確実に実施でき、合成セグメント1の品質が安定する効果が発揮される。
双方の連結部には弾性体座金16を用いることで前記断面L形状の構造部材4と前記主桁7の板厚の違いやセグメント断面内における配置高さが異なることによる形状の不陸を調整することができるとともに、力伝達はボルトあるいはドリルネジ17のせん断強度あるいは軸強度を用いて伝達することができるため高い伝達性能を発揮する。
さらにスキンプレート20の周囲は溶接延長が長く止水性を確保するために通常、連続溶接による止水溶接が採用されるため、溶接13による熱ひずみの影響が大きく発生し、溶接後に鋼殻の形状矯正が多く必要となる。そのため、ボルトやドリルネジ17によりスキンプレート20を連結することで鋼殻の形状矯正が不要となる効果が発揮される。
また、スキンプレート20と当接する前記第一構造材4a、前記第五構造部材5aの周囲に連続してシール溝18を形成し、該シール溝18にシール材19を設けることでスキンプレート20と第一構造部材4a、第五構造部材5aとの連結部の止水性能がさらに向上する効果が発揮される。トンネル外周面2に面する第一構造部材4a、第五構造部材5aとセグメント高さ方向に配置する第二構造部材4b,第六構造部材5bとは一体成型するか双方を止水溶接等により漏水しない構造とする。同時にセグメント高さ方向に配置する第二構造部材4b,5bにシール溝18およびシール材19を配置することでセグメント周囲の現場接続面の止水効果が発揮される。
スキンプレート20は通常、2mm〜10mm程度に設定すればよく、トンネルの形状に合わせて円弧版状や平板状に成型する。
また、セグメント断面の経済設計を行うために主桁7の板厚をトンネル部位の発生断面力に応じて設定すると、主桁7を構成する鋼板の種類が多く必要となる場合では、鋼板の製造コストの増加を招く。セグメント断面の必要性能に合わせてトンネル周方向の鉄筋21の量を調整することで製造コストの低減を図ることができる。また、鉄筋21をセグメント桁高さ方向にフープ形状に形成して配置することで、中詰めコンクリート8のせん断耐力を向上させることができる。コンクリート8のひび割れ抑制面からは少なくとも鉄筋21の径は10mm程度、鉄筋21の配置間隔は200〜300mm程度とすればよく、応力負担をさせる場合は鉄筋21の径を41mm程度まで太径化することで対処できる。鋼(延)材は、板厚10~30mm程度、幅20~50mm程度の平鋼や、板厚は5~20mm程度であって辺長が20~50mm程度の山形鋼が適する。
さらに鉄筋21を略トンネル軸方向に向かって配置することでコンクリート8の拘束効果が高まりせん断耐力がさらに向上する。
主桁7に設けるずれ止め23はフランジ7a表面、ウェブ7b表面、その双方に設けてもよいが、フランジ7aに設けるほうが伝達効果は大きく発揮される。
ずれ止め23は頭付きスタッドや平鋼、山形鋼を溶接して固着してもよく、ずれ止めの種類や設置方法に依存するものではない。
主桁7の配置間隔はトンネルに作用する土水圧荷重が合成セグメント1に対して均等に作用することを考慮して配置することが望ましい。その場合、合成セグメント1はトンネル軸方向に連続して連結されることから、セグメント幅方向両端部の中詰めコンクリート8の幅が、主桁7間に挟まれる中詰めコンクリート8の幅の1/2程度とする位置に、主桁7を配置すれば合理的でよい。但し、主桁7に溝形鋼を用いる場合などにおける主桁断面が非対称なときや、リング間の接続剛度が低い場合などで主桁7の両側コンクリート8と主桁7に挟まれる内側コンクリート8の剛性が異なる場合では、それに合わせて主桁7の配置間隔を調整すると良い。
2 外周面
3 内周面
4 (セグメント幅端部)断面L形状の構造部材
4a 第一構造部材
4b 第二構造部材
4c 第三構造部材
4d 第四構造部材
5 (セグメント軸端部)断面L形状の構造部材
5a 第五構造部材
5b 第六構造部材
5c 第七構造部材
5d 第八構造部材
6 応力伝達構造材
7 主桁
7a フランジ
7b ウェブ
8 コンクリート
9 セグメント継手
9a ボルトボックス
9b ボルト孔
10 リング継手
10a ボルトボックス
10b ボルト孔
11 リングボルト
12 定着材
13 溶接
14 ピースボルト
15 橋渡し材
16 弾性体座金
17 ドリルネジ
18 シール溝
19 シール材
20 スキンプレート
21 鉄筋
22 せん断補強材
23 ずれ止め
Claims (12)
- トンネル周方向および軸方向に複数連結されることで地中に壁状構造の閉空間を構成し、外周面、内周面、2つの軸方向端面、及び2つの周方向端面の6面を有する円弧版状または平版状のコンクリートと鋼材からなる合成セグメントであって、
前記外周面とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在し、外周面側の第一構造部材と軸方向端面側の第二構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記内周面とそれぞれの軸方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル周方向に延在し、内周面側の第四構造部材と軸方向端面側の第三構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記コンクリートに内包されると共に、トンネル周方向に延在し且つトンネル軸方向に並べて配置される2つ以上の主桁と、
前記主桁のうち軸方向外側に配置される2つの主桁それぞれと、更にその外側に位置する前記断面L形状の構造部材との間に渡って配置され、当該主桁と当該構造部材とに固着される応力伝達構造材と、
前記4つの断面略L形状の構造部材により囲まれた部分に充填されたコンクリートとを有することを特徴とする合成セグメント。 - 前記外周面とそれぞれの周方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル軸方向に延在し、外周面側の第五構造部材と周方向端面側の第六構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材と、
前記内周面とそれぞれの周方向端面とがなす角部を覆うと共にトンネル軸方向に延在し、内周面側の第八構造部材と軸方向端面側の第七構造部材からなる2つの断面L形状の構造部材とを、
更に有することを特徴とする請求項1に記載の合成セグメント。 - 前記2つ以上の主桁のトンネル軸方向における配置位置は、主桁の数をn、セグメントの幅をBとした場合、軸方向外側に配置される2つの主桁はセグメントの軸方向両端部位置から略0.5×B/nの位置に、それらよりも内側に配置される主桁は主桁間の間隔を略B/nの位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成セグメント。
- 前記コンクリート中に、更に、鉄筋または表面にずれ止め機能を有する鋼延材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記主桁の表面にずれ止め構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記断面L形状の構造部材のコンクリートに面する側にずれ止め構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記第一構造部材と前記主桁上部間、前記第四構造部材と前記主桁下部間、前記2つ以上の主桁における各主桁の上部間、又は、前記2つ以上の主桁における各主桁の下部間の少なくともいずれかに渡って橋渡し材が配置され、双方の当接部が、弾性体座金を介してボルトまたはドリルネジで連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記第一構造部材と前記主桁上部間、及び、前記2つ以上の主桁における各主桁の上部間に渡って外周面側の橋渡し材が配置され、前記第四構造部材と前記主桁下部間、及び、前記2つ以上の主桁における各主桁の下部間に渡って内周面側の橋渡し材が配置されて、前記外周面側の橋渡し材と前記内周面側の橋渡し材とがせん断補強材で連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記橋渡し材が、矩形断面形状、L型断面形状、またはT型断面形状であることを特徴とする請求項7又は8に記載の合成セグメント。
- 前記合成セグメントの外周面に更にスキンプレートを備え、前記スキンプレートと前記第一構造部材および前記第五構造部材とが、ボルトまたはドリルネジにより接続され、前記第二構造部材および第六構造部材の長手方向に渡って連続してシール溝が形成されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の合成セグメント。
- 前記スキンプレートと当接する前記第一構造材及び前記第五構造部材の長手方向に渡って連続してシール溝が形成され、当該シール溝にシール材が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の合成セグメント。
- トンネル周方向に隣接して構築されるセグメント同士を接続するセグメント継手、およびトンネル軸方向に隣接して構築されるセグメント同士を接続するリング継手が、前記主桁、前記断面L形状の構造部材、前記応力伝達構造材のいずれか1つに固着されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の合成セグメント。
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