JP5222584B2 - コンクリート構造体 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1に記載のセグメントは、トンネル周方向に沿って湾曲形成された補強用鉄骨材(鋼材)を備え、その補強用鉄骨材の表面に凹部や凸部を設けることでコンクリートとの付着力を向上させるようにしたものである。
また、特許文献2に記載のセグメントは、トンネル周方向に沿って湾曲形成された補強用鉄骨材(鋼材)がトンネル軸方向に所定間隔をもって複数備えられ、それら補強用鉄骨材の間にトンネル周方向にセグメント同士を接合するための継手部が配置された構成となっている。
すなわち、一般にトンネル内に組み立てられたセグメントには、地山から外力(地山の荷重)がかかっている。そのため、トンネルの周方向に接合するためのセグメントの接合面には、曲げ変形が作用することになり、セグメントの内周面側で接合面同士が開くように引張力が作用するとともに、外周面側でトンネル周方向に圧縮力が作用している。
そして、特許文献1及び特許文献2のSRC造のセグメントでは、継手部からコンクリート内に設けられた補強用鉄骨材に、上述したトンネル周方向に作用する圧縮力が伝達される構造になっていないうえ、接合面における継手部を除いた部分がコンクリートとなっているため、とくにセグメントの外周面側における前記圧縮力によってコンクリートに割れや欠けが生じて破壊されるという問題があった。さらに、前記圧縮力に対応させるためにセグメントの厚さ寸法を大きくすると、材料コストが増大するという問題があった。
接合面同士を接合させたときに、前記ボルト継手とは別個に主鋼材の端部同士が接するように構成されていることを特徴としている。
また、本発明に係るコンクリート構造体では、コンクリート内に鋼材が配置され、連結方向に接合面と該接合面同士を連結するボルト継手を有するコンクリート構造体であって、鋼材は、連結方向に沿って延びる主鋼材を有し、主鋼材の長手方向の両端部に伝達部材が固定され、伝達部材が接合面に露出してなり、接合面同士を接合させたときに、前記ボルト継手とは別個に伝達部材同士が接するように構成されていることを特徴としている。
また、コンクリート構造体が床版の場合において、床版の厚さ方向に複数の主鋼材を配置させたときには、床版の接合面全体にわたって連結方向に圧縮力が作用する。このとき、その圧縮力が隣接する床版の全ての主鋼材の長手方向に伝達され、主鋼材が圧縮力に抵抗することになるので、床版のコンクリート部分で負担する圧縮力を低減させることができる。したがって、床版の厚さ寸法を小さくすることができるという効果を奏する。
本発明では、外部からの荷重によってコンクリート構造体の連結方向に作用する圧縮力を、複数の主鋼材のそれぞれにほぼ均等となるように分散させて負担させることができる。
図1は本発明の第1の実施の形態によるセグメントの斜視図、図2は図1に示す鋼材の斜視図、図3は図1に示すセグメントのA−A矢視図、図4は図1に示すセグメントのB−B断面図、図5はセグメントの接合面の状態を示す要部側面図である。
図2に示すように、鋼材2は、セグメント1におけるトンネルの地山側に寄った外周面側に配置される第1主鋼材10A、11A、12Aと、トンネルの内空側に寄った内周面側に第1主鋼材10A、11A、12Aのそれぞれに対向して配置される第2主鋼材10B、11B、12Bとを備えている。ここで、以下の説明では、必要に応じて主構造を単に符号10、11、12で表すものとする。
図5に示すように、セグメント1は、トンネル内に配設された状態で地山から受ける外力P(すなわち、地山の荷重等)によってセグメント1に曲げ変形が生じ、セグメント1の内周面側の位置で矢印F1、F2に示すように接合面4、4同士がトンネル周方向に開く方向への引張力が作用し、セグメント1の外周面側の位置で矢印E1、E2に示すように接合面4、4同士が互いにトンネル周方向へ押圧される方向への圧縮力が作用する。
図6(a)に示すように、第1変形例によるセグメント1Aは、セグメント1の外周面側に位置する第1主鋼材10A、11A、12Aのそれぞれの端部10a、11a、12a同士が接合面4の面方向に沿う第1連結部材14、14によって連結され、セグメント1の内周面側に位置する第2主鋼材10B、11B、12Bのそれぞれの端部10a、11a、12a同士が接合面4の面方向に沿う第2連結部材15、15によって連結された構成となっている。
第1変形例では、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果が得られるとともに、地山の荷重(外力)によってセグメント1Aの外周面側でトンネル周方向に作用する圧縮力を、各主鋼材10、11、12にほぼ均等となるように分散させて負担させることができる。
図7(a)及び(b)に示すように、第2変形例によるセグメント1Bは、第1主鋼材10A、11A、12A及び第2主鋼材10B、11B、12Bの長手方向の両端部10a、11a、12aに伝達部材16が固定され、その伝達部材16が接合面4に露出された構成となっている。つまり、上述した第1変形例と同様に主鋼材10、11、12のそれぞれを接合面4に沿って連結した構成となっている。伝達部材16は、セグメント1Bの短手方向に延びる帯状板をなし、その裏面16aに主鋼材10、11、12の端部10a、11a、12aが固定されている。
図8に示すように、第3変形例では、上述した第2変形例の伝達部材16を長手方向に3分割させた形状となっている。各伝達部材16A、16B、16Cの裏面には、それぞれに対応する主鋼材10、11、12が固定されている。本第3変形例では、各伝達部材16A、16B、16Cを介して隣接するセグメント1C、1Cの主鋼材同士が長手方向に連続し、伝達可能な構造となるので、上述した第2変形例と同様の効果を奏する。
第1の実施の形態、第1乃至第3変形例ではコンクリート構造体としてシールドトンネルに構築されるセグメント1、1A、1B、1C(図1、図6、図7、図8参照)としているが、図9に示す第2の実施の形態では、セグメント1、1A、1B、1Cに代えて橋梁、道路等に採用され、工場などで製造されるプレキャスト床版1Dを用いたものである。
そのため、例えば設置されたプレキャスト床版1Dの上部を車両が走行するなどして荷重Pがかかったときに曲げ応力が作用して、内部の主鋼材21、22、23、24に沿った方向(つまりプレキャスト床版1Dの短手方向)に圧縮力が働いたときに、その圧縮力が主鋼材21、22、23、24の長手方向に伝達され、それら主鋼材21、22、23、24が圧縮力に抵抗することになるので、プレキャスト床版1Dのコンクリート部分で負担をする圧縮力を低減させることができ、コンクリート26の破壊を抑制する高強度な構造を実現できる。したがって、プレキャスト床版1Dの厚さ寸法(桁高寸法)を薄くすることが可能となり、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を奏する。
例えば、コンクリート構造体として、第1の実施の形態、第1乃至第3変形例ではセグメント1、1A、1B、1Cを対象とし、第2の実施の形態ではプレキャスト床版1Dを対象としているが、これらに制限されることはない。要は、コンクリート内に主鋼材が配置されたSRC造の構造体であって、その主鋼材の長手方向の端部がコンクリート構造体の接合面に露出していればよいのである。
すなわち、主鋼材、ラチスや平板部材の接続部材等の配置、形状、箇所数に限定されることはなく、トンネル外径寸法、セグメントやプレキャスト床版の形状、大きさ等の条件に応じて任意に設定することができる。例えば他の主鋼材として、断面形状で十字形、I字形、H字形、L字形、T字形などを採用することができ、さらに断面視で四角形状、円形状などの鋼管が採用できる。また、他の接続部材として、第2の実施の形態では、複数の平板部材25、25、…を主鋼材の長手方向に所定間隔をもって配置させているが、これに代えて一枚の平板部材を一対の主鋼材同士の間を塞ぐようにして、主鋼材の長手方向に沿って配置させるようにしてもよい。
さらにまた、コンクリート構造体の断面形状として、本実施の形態で示したセグメントやプレキャスト床版では略四角形状となっているが、この四角形状に制限されることはなく、この他に、例えば円形、多角形、十字形、I字形、H字形、L字形、T字形などの断面形状であってもかまわない。
また、コンクリート構造体の形態として、主鋼材が断面視で四角形や円形などの鋼管であって、その内部にコンクリートが充填されていない中空状態のコンクリート構造体であってもよい。
1D プレキャスト床版(コンクリート構造体)
2 鋼材
3、26 コンクリート
4 接合面
10、11、12、21、22、23、24 主鋼材
10a、11a、12a、21a、22a、23a、24a 端部
13 ラチス
14 第1連結部材
15 第2連結部材
16 伝達部材
Claims (3)
- コンクリート内に鋼材が配置され、連結方向に接合面と該接合面同士を連結するボルト継手を有するコンクリート構造体であって、
前記鋼材は、連結方向に沿って延びる主鋼材を有し、
前記主鋼材の長手方向の両端部が前記接合面に露出してなり、
前記接合面同士を接合させたときに、前記ボルト継手とは別個に前記主鋼材の前記端部同士が接するように構成されていることを特徴とするコンクリート構造体。 - 前記主鋼材は、その長手方向に略直交する方向に複数設けられ、それらの端部同士が連結部材で連結されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造体。
- コンクリート内に鋼材が配置され、連結方向に接合面と該接合面同士を連結するボルト継手を有するコンクリート構造体であって、
前記鋼材は、前記連結方向に沿って延びる主鋼材を有し、
前記主鋼材の長手方向の両端部に伝達部材が固定され、該伝達部材が前記接合面に露出してなり、
前記接合面同士を接合させたときに、前記ボルト継手とは別個に前記伝達部材同士が接するように構成されていることを特徴とするコンクリート構造体。
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