JP2008196051A - 金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属コロイド粒子が金属粒子と保護剤で構成され、保護剤が分子中に窒素又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ窒素、酸素、窒素を含む原子団及び酸素を含む原子団からなる群より選ばれた1種又は2種以上をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がハイドロキシアルキル基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布する工程と、基材を自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去する工程と、基材を室温〜200℃の温度に保持しながら、出力が50〜600Wかつ1cm2当りの照射時間が0.5〜60sの条件でプラズマを照射することにより、基材表面に金属膜を形成する工程とを含む。
【選択図】図2
Description
本発明の別の目的は、低温での膜形成にも関わらず、金属コロイド中に含まれる、金属コロイド粒子を構成する金属そのものが有する電気抵抗に近い電気抵抗を有する金属膜を形成できる、金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜を提供することにある。
請求項1に係る発明では、上記構造を有する金属コロイドを基材表面に塗布し、塗布した金属コロイド中の分散媒を自然乾燥により除去した後、基材を室温〜200℃の温度に保持しながら、出力が、50〜600Wかつ1cm2当りの照射時間が、0.5〜60s(秒)である条件でプラズマを照射することにより、従来技術のような加熱のみにより形成される金属膜に比べて、電気抵抗値を大幅に低減した金属膜を形成できる。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、保護剤に含まれる酸素が、カルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基及びアミド基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする金属膜形成方法である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子が、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh、In及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上である金属膜形成方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子が、Auである金属膜形成方法である。
請求項6に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、金属コロイド粒子の平均粒子径が、1〜60nmの範囲にある金属膜形成方法である。
請求項7に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、金属コロイド粒子の形状が、球形、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である金属膜形成方法である。
請求項8に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金属コロイドの基材への塗布方法が、塗布、吹付け、印刷、吐出及び転写のいずれか1種又は2種以上の方法である金属膜形成方法である。
請求項9に係る発明は、請求項1に係る発明であって、金属コロイドの基材への塗布方法が、インクジェット方式、ディスペンサ方式、スクリーン印刷方式、反転印刷方式、スリットコート方式及びスプレー方式からなる群より選ばれた1種又は2種以上の方法である金属膜形成方法である。
請求項10に係る発明は、請求項1に係る発明であって、基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である金属膜形成方法である。
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10いずれか1項に記載の金属膜形成方法により得られた金属膜である。
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の金属膜を含む太陽電池である。
本発明の方法において使用する金属コロイドは、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させることにより形成される。金属コロイドを構成する金属コロイド粒子は、金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成される。また金属粒子表面に配位修飾した保護剤は、分子中に窒素又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ窒素、酸素、窒素を含む原子団及び酸素を含む原子団からなる群より選ばれた1種又は2種以上をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有する。更に保護剤はハイドロキシアルキル基を分子構造に含む。
<合成1>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体として2−アミノエタノールを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、2−アミノエタノール5.00gにジメチルアミンボランを適量添加した。また、金属濃度が4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒とした金属コロイドを得た。この金属コロイドに水に適宜添加して濃度を調製し、金属コロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%金属コロイドを得た。
得られた金属コロイドをTOF−SIMS分析したところ、AuとCNからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)により分析した結果を併せることにより、金属コロイド中の金属コロイド粒子を構成する保護剤分子は、窒素にてAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表1及び表2に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成1と同様の方法により各種金属コロイドを得た。なお、表1及び表2中の保護剤前駆体の種類欄において、記号(A)〜(J)で示される化合物を表3に示す。
また,合成2〜23でそれぞれ得られた金属コロイド粒子の保護分子構造についてもN
MR、TOF−SIMS、FT−IR、SAXS、可視紫外分光、SERS、XAFS等
の各種分析手法を組み合わせて解析することにより確認した。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、実施例1では、温度を室温に保持し、プラズマ照射装置(松下電工株式会社製)を用いて、プラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。実施例2〜4では、表4に示すそれぞれの温度に保持し、実施例1と同じ装置を用いてプラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。実施例1〜4では、プラズマの出力及び1cm2当りの照射時間については同じ条件とした。実施例5では、1cm2当りの照射時間を実施例1〜4とは別の条件とし、他の条件については実施例2と同じ条件とした。また、実施例6では、プラズマの出力を実施例1〜4とは別の条件とし、他の条件は実施例2と同じ条件とした。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、比較例1ではプラズマの照射を行わず、ガラス基板を室温に放置して金属膜を形成した。比較例2〜4では比較例1と同様、プラズマの照射を行わず、ガラス基板をホットプレートの上に載せて、ガラス基板上に金属膜を形成した。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、実施例と同じ装置を用いてプラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。比較例5,6では、プラズマの1cm2当りの照射時間を0.5s未満とし、温度とプラズマの出力については、ともに実施例2と同じ条件とした。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、比較例7ではプラズマの照射を行わず、比較例8では実施例と同じ装置を用いてプラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。このときの比較例8におけるプラズマの出力及び1cm2当りの照射時間については、実施例1〜4と同じ条件とし、温度については比較例7,8ともに200℃を越える温度とした。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、実施例と同じ装置を用いて,プラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。このとき、1cm2当り照射時間は60sより長く、温度及びプラズマの出力については実施例2と同じ条件とした。
先ず、基材として、20mm×20mm×1mm厚のガラス基板を用意し、このガラス基板表面に、合成9で得られた50重量%濃度の金属コロイドをスピンコート法により塗膜した。スピンコートは、ガラス基板を1000rpmの回転速度で回転させ、金属コロイドを基板に滴下しながら1分間回転し続けることにより行った。次いで、金属コロイドを塗布したガラス基板を室温に保持することにより自然乾燥して金属コロイド中の分散媒を除去した。次に、以下の表4に示す条件において、実施例と同じ装置を用いて,プラズマを照射することによりガラス基板上に金属膜を形成した。比較例10ではプラズマの出力を50W未満、比較例11では600Wを越える出力とし、プラズマの1cm2当りの照射時間及び温度については実施例2と同じ条件とした。
実施例1〜6、及び比較例1〜11で得られた金属膜について電気抵抗値を測定した。その結果を表4に示す。また、この電気抵抗値と温度との関係を図2に示す。
Claims (12)
- 金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素又は酸素のいずれか一方又はその双方を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素、酸素、窒素を含む原子団及び酸素を含む原子団からなる群より選ばれた1種又は2種以上をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がハイドロキシアルキル基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布する工程と、
前記金属コロイドを塗布した基材を室温に保持することにより前記塗布した金属コロイド中の分散媒を自然乾燥により除去する工程と、
前記塗布した金属コロイド中の分散媒を除去した基材を室温〜200℃の温度に保持しながら、出力が、50〜600Wかつ1cm2当りの照射時間が、0.5〜60sである条件でプラズマを照射することにより前記基材表面に金属膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする金属膜形成方法。 - 保護剤に含まれる窒素が、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする請求項1記載の金属膜形成方法。
- 保護剤に含まれる酸素が、カルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基及びアミド基からなる群より選ばれた少なくとも1種を由来とする請求項1記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイド粒子を構成する金属粒子が、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh、In及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイド粒子を構成する金属粒子が、Auである請求項1又は4記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイド粒子の平均粒子径が、1〜60nmの範囲にある請求項1又は4記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイド粒子の形状が、球形、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である請求項1又は4記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイドの基材への塗布方法が、塗布、吹付け、印刷、吐出及び転写からなる群より選ばれた1又は2以上の方法である請求項1記載の金属膜形成方法。
- 金属コロイドの基材への塗布方法が、インクジェット方式、ディスペンサ方式、スクリーン印刷方式、反転印刷方式、スリットコート方式及びスプレー方式からなる群より選ばれた1又は2以上の方法である請求項1記載の金属膜形成方法。
- 基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である請求項1記載の金属膜形成方法。
- 請求項1ないし10いずれか1項に記載の金属膜形成方法により得られた金属膜。
- 請求項11記載の金属膜を含む太陽電池。
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