JP2012129278A - 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池 - Google Patents

有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2012129278A
JP2012129278A JP2010277840A JP2010277840A JP2012129278A JP 2012129278 A JP2012129278 A JP 2012129278A JP 2010277840 A JP2010277840 A JP 2010277840A JP 2010277840 A JP2010277840 A JP 2010277840A JP 2012129278 A JP2012129278 A JP 2012129278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
layer
organic photoelectric
conversion element
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010277840A
Other languages
English (en)
Inventor
Ayako Wachi
晃矢子 和地
Hiroaki Ito
宏明 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2010277840A priority Critical patent/JP2012129278A/ja
Publication of JP2012129278A publication Critical patent/JP2012129278A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

【課題】安価なプラスチック基板上でも高い導電性かつ高い生産性を有する常圧下の塗布プロセスでタンデム型の有機光電変換素子の再結合電極を形成することが可能で、かつ、高い光電変換効率を有するタンデム型の有機光電変換素子、その製造方法及びその有機光電変換素子を用いた太陽電池を提供することにある。
【解決手段】第1の電極と第2の電極の間に、少なくとも1層の再結合電極と少なくとも2層以上の光電変換層を有するタンデム型の有機光電変換素子において、前記再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池に関し、詳しくは、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子、その製造方法及びその有機光電変換素子を用いた太陽電池に関する。
近年の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いた太陽電池、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料)等の化合物系の太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)等が提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池で発電するコストは、未だ化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要であり、これらも発電コストが高くなる一因であった。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低い発電コストを達成しうる太陽電池として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合された光電変換層を挟んだバルクヘテロジャンクション型光電変換素子が提案され、5%を超える効率が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
光電変換素子において、紫外線から、可視光、赤外線まで広く分布する太陽光を有効に活用するために、複数の光電変換層を積層するタンデム素子構成は広く知られており、有機光電変換素子においても、例えば非特許文献2、3、特許文献1に示される方法が提案されている。有機光電変換素子において、タンデム素子を構成する2つ以上の発電層の間に発電層で発生した電子及び正孔を効率よく再結合させ、光電変換効率を向上させるために、再結合層を設けており、再結合層(中間電極)として、非特許文献2、3、特許文献1では、蒸着法で形成した金属の極薄膜からなる層を設けている。一般的にタンデム型の素子は二つの素子を直列に接続した素子が用いられる。この時フロントセルの電子輸送層とバックセルの正孔輸送層が接合することになるが、仕事関数の接続が悪くタンデム素子の開放端電圧は二つのセルの足し合わせにならなかった。この課題を解決するために電子輸送層と正孔輸送層の間に二つの素子の接続をオーミックにする金属層が必要となる。しかし、金属の極薄膜を蒸着で形成する場合、真空プロセスに導入することが必要であり、生産性・コストの観点で課題を有しており、有機光電変換素子の利点が失われていた。
このような課題に対して、金属ナノ粒子層を塗布法により積層する方法が考えられているが(特許文献2参照)、報告されている金属ナノ粒子は表面を酸化物で被覆されており、被覆層も厚いため均一な塗布膜を形成することは難しく、さらに本文中に記載されている効果は金属微粒子のプラズモン効果を期待するもので、タンデム素子の開放端電圧(Voc)を向上させる記載は一切なかった。
米国特許第6657378号明細書 特表2008−510305号公報
A.Heeger et.al.,Nature Mat.vol.6(2007),p497 M.Hiromoto,Chem.Lett.,1990,327 S.T.Forrest,J.Apply.Phys.Lett.,2004,96,7519
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、安価なプラスチック基板上でも高い導電性かつ高い生産性を有する常圧下の塗布プロセスでタンデム型の有機光電変換素子の再結合電極を形成することが可能で、かつ、高い光電変換効率を有するタンデム型の有機光電変換素子、その製造方法及びその有機光電変換素子を用いた太陽電池を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.第1の電極と第2の電極の間に、少なくとも1層の再結合電極と少なくとも2層以上の光電変換層を有するタンデム型の有機光電変換素子において、前記再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
2.前記金属ナノ粒子を被覆する有機物が150℃以下の加熱で、前記金属ナノ粒子から脱離反応が起こることを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子。
3.前記金属ナノ粒子の粒径変動係数が30%以下であることを特徴とする前記1または2に記載の有機光電変換素子。
4.前記金属ナノ粒子の平均粒径が5〜20nmであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
5.前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法であって、前記再結合電極が塗布法により形成されることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
7.前記1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本発明により、安価なプラスチック基板上でも高い導電性かつ高い生産性を有する常圧下の塗布プロセスでタンデム型の有機光電変換素子の再結合電極を形成することが可能で、かつ、高い光電変換効率を有するタンデム型の有機光電変換素子、その製造方法及びその有機光電変換素子を用いた太陽電池を提供することができた。
バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 本発明のタンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、第1の電極と第2の電極の間に、少なくとも1層の再結合電極と少なくとも2層以上の光電変換層を有するタンデム型の有機光電変換素子において、前記再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することにより、安価なプラスチック基板上でも高い導電性かつ高い生産性を有する常圧下の塗布プロセスでタンデム型の有機光電変換素子の再結合電極を形成することが可能で、かつ、高い光電変換効率を有するタンデム型の有機光電変換素子が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る金属ナノ粒子は、タンデム型の有機光電変換素子の再結合電極である金属ナノ粒子層に用いられ、その表面が有機物で被覆され、好ましくは、その有機物が150℃以下の加熱で、前記金属ナノ粒子から脱離反応が起こる有機物を用いることによって、有機物が適度に脱離した金属ナノ粒子を含む再結合電極を形成できると考えられる。また、加熱(焼結処理)が150℃以下という低温であることから、金属ナノ粒子が過度に融着することなく均一な分散性を保ったまま、金属ナノ粒子層内に分布させることが可能となることを見出した。その結果、再結合電極に、金属ナノ粒子を常圧、塗布法でフレキシブル基板上にも製膜することが可能となった。
従来、再結合電極に金属の極薄膜を蒸着形成した有機光電変換素子は、フレキシブル基板に用いた場合、高温高湿下で保存した際に金属ナノ粒子層の剥離が発生し、光電変換効率が大幅に低下することが課題となっていた。これは、金属の極薄膜を蒸着形成して得られた膜は表面粗さが均一ではなく、その結果金属ナノ粒子層の上下の層の密着性不良が起こり、高温高湿で保存した際に密着性が弱い部分からはがれが生じるためと考えられる。本発明の塗布法により製造した有機光電変換素子では、均一な表面粗さで金属ナノ粒子膜(金属ナノ粒子層)を製膜することが可能なため、密着性に優れフレキシブル基板を用いた場合の高温高湿での耐性に優れるものと考えられる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず有機光電変換素子の構成と、それを複数積層したタンデム型の有機光電変換素子の層構成及び効果について説明する。
〔有機光電変換素子及び太陽電池の構成〕
図1は、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなるシングル構成(バルクヘテロジャンクション層が1層の構成)の太陽電池の一例を示す断面図である。図1において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、陽極12、正孔輸送層17、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部14、電子輸送層18及び陰極13が順次積層されている。
基板11は、順次積層された陽極12、光電変換部14及び陰極13を保持する部材である。本実施形態では、基板11側から光電変換される光が入射するので、基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。基板11は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板11は、必須ではなく、例えば、光電変換部14の両面に陽極12及び陰極13を形成することでバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
光電変換部14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図1において、基板11を介して陽極12から入射された光は、光電変換部14のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極12と陰極13の仕事関数が異なる場合では陽極12と陰極13との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は、電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、陽極12の仕事関数が陰極13の仕事関数よりも大きい場合では、電子は陽極12へ、正孔は陰極13へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば、電子と正孔はこれとは逆方向に輸送される。また、陽極12と陰極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
なお、図1には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
しかし、バルクヘテロジャンクション層が1層では、太陽光で利用できるスペクトル範囲も限られ、また有機物のキャリア輸送距離が無機物に比して短いことから、最適な膜厚は100〜300nm程度に限定されるため、入射した光の一部は透過または陰極で反射して行き、光電変換効率の向上は困難であった。
そこで本発明では、さらなる太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成(バルクヘテロジャンクション層を複数有する構成)とした。
図2は、本発明のタンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。タンデム型構成の場合、基板11上に、順次陽極12、第1の光電変換部14′を積層した後、再結合電極15を積層した後、第2の光電変換部16、次いで陰極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第2の光電変換部16は、第1の光電変換部14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、タンデム型の有機光電変換素子では、複数の層の発電する電流量が異なった場合、最も発電電流の小さい素子に全電流量が制限されるため、同等の発電量をそれぞれのバルクヘテロジャンクション層を均一とするためには、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層であることが好ましい。異なるスペクトルの組み合わせの例としては、例えば、第1のバルクヘテロジャンクション層が1.9evまでの太陽光を吸収し、第2のバルクヘテロジャンクション層は1.3eVまでの太陽光を吸収するような組み合わせ、あるいは第1のバルクヘテロジャンクション層が1.6evまでの太陽光を吸収し、第2のバルクヘテロジャンクション層は1.1eVまでの太陽光を吸収するような組み合わせ、等である。
以下、このような設計を可能とする材料について説明する。
〔再結合電極〕
本発明は、第1の電極と第2の電極の間に、少なくとも1層の再結合電極を有し、該再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することが特徴である。
図2のようなタンデム構成の場合に必要となる再結合電極としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、その材料としては、陽極で用いるような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。また、後述する正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで再結合電極として働く組み合わせもあるが、層間の電気的な接続をオーミックにするためには間に金属層を設ける方が好ましく、生産性の観点から金属層は塗布型であることが好ましく、形成される層の平滑性の観点から、金属ナノ粒子を含有する再結合電極が塗布法により形成されることがさらに好ましい。
(金属ナノ粒子)
本発明に係る金属ナノ粒子とは、金属部分の粒径が1〜100nm程度の超微粒子で、さらに金属ナノ粒子が有機物の層で被覆されていることが特徴である。有機物で金属ナノ粒子表面を被覆することから、粒径の制御が容易である、粒子の形の制御が容易である、金属ナノ粒子を被覆する有機層の膜厚を制御するのが容易であるのが特徴である。
金属ナノ粒子は、ACSNano,vol.2,No.9,1760−1769、J.Phys.Chem.C,vol.113,No.13,(5150−5156),2009、Langmuir 2009,25,1692−1698、J.Phys.Chem.B,2003,107,2719−2724等を参考にして得ることができる。
金属ナノ粒子は銀ナノ粒子が好ましい。
金属ナノ粒子の粒径変動係数は30%以下であることが好ましく、平均粒径は5〜20nmであることが好ましい。粒径変動係数が大きいものは膜の密着性不良により、高温高湿保存すると変換効率が大きく低下する。金属ナノ粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて充分な数のナノ粒子について電子顕微鏡写真を撮影し、個々のナノ粒子像の計測値の算術平均から求めることができる。なお、平均粒径は、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いてナノ粒子の投影面積を算出し、その値と透過な面積を有する円の直径として求めるものとする。計測対象の金属ナノ粒子は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上の粒子を計測するのがさらに好ましい。計測したナノ粒子の平均粒径と標準偏差からを粒径の変動係数を求める。
(金属ナノ粒子の有機物被覆)
本発明は、再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することが特徴である。金属ナノ粒子の表面を有機物で被覆することにより、ナノメートルサイズの銀超微粒子がよく分散した粉体や分散液が得られる。
また、本発明の効果をより発現させるためには、金属ナノ粒子を被覆した有機物が150℃以下の加熱で、前記金属ナノ粒子から脱離反応が起こることが好ましい。有機物の脱離温度が高いものは導電性が低くVocが足し合わせにならない。金属ナノ粒子の前駆体は、有機金属錯体がアルキルアミン錯体、シュウ酸架橋アルキルアミン錯体からなることが好ましく、有機金属錯体から生成した金属微粒子は銀微粒子であることが好ましい。
(有機物)
金属ナノ粒子の表面を被覆する有機物としては、銀に対する吸着性基を有する化合物が挙げられる。
銀に対する吸着性基を有する化合物としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類及びその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、o−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
なかでも、不飽和アルキルアミン、炭素数1〜18の1級〜3級飽和アルキルアミンが好ましい。
本発明に係る銀ナノ粒子の製造方法としては、特表2010−500475号公報に記載の銀化合物とアンモニウムカルバメート系/アンモニウムカーボネート系/アンモニウムバイカーボネート系化合物を反応させた銀錯体を形成した後に、還元剤と反応させて銀ナノ粒子を形成する製造方法や、特開2008−214695号公報に記載のシュウ酸銀とオレインアミンを反応させたシュウ酸架橋銀アルキルアミン錯体の加熱分解による銀微粒子の製造方法を用いることができるが、本発明では、シュウ酸銀とオレインアミンを反応させたシュウ酸架橋銀アルキルアミン錯体の加熱分解による銀微粒子を用いることがより好ましい。
金属ナノ粒子の表面からの被覆した有機物が脱離し始める温度は、作製した金属ナノ粒子の粉末をTG−DTA測定を行うことで測定することができる。作製したナノ粒子をTG−DTA測定を行うと、一般的には初めに溶媒の蒸発に起因するTG曲線の減衰がみられ、その後、被覆していた有機物の脱離に伴う減衰が見られる。本発明では、この時のTG曲線の減衰の開始温度を有機物の脱離温度とする。
(再結合電極の形成方法)
有機物被覆金属ナノ粒子を用いて再結合電極を形成方する方法としては、有機物被覆金属ナノ粒子の分散液を塗布することが好ましい。塗布の方法としては、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。また、有機物被覆金属ナノ粒子は任意の有機層内に含有されていてもよく、その場合は含有する有機層層の溶媒に合わせて、有機物被覆金属ナノ粒子の種類を変更することが可能である。
〔光電変換層〕
〈p型半導体材料〉
本発明に係る光電変換層(バルクヘテロジャンクション層)に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また、上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基を持ったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127,No.14,p4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123,p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008),No.9,p2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第08/664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv.Mater.,2007,p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.,vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いてもよい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号明細書、及び特開2008−16834号公報等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料等を挙げることができる。
タンデム素子の場合、第一の光電変換層と第二の光電変換層は吸収する波長領域が異なることは好ましい。第1のバルクヘテロジャンクション層は比較して短波領域を吸収する層であり、好ましくは350〜900nm程度の領域の光を吸収する層であることが好ましい。したがって、第1のバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料の吸収領域としても、350〜900nm程度の領域の光を吸収することが好ましい。また、第2のバルクヘテロジャンクション層は比較して長波領域を吸収する層であり、好ましくは350〜2000nm程度の領域の光を吸収する層であることが好ましい。したがって、第2のバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料の吸収領域としても、350〜2000nm程度の領域の光を吸収することが好ましい。
(n型半導体材料)
本発明に係るバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、本発明のチオフェン含有縮合環を有する材料をp型半導体材料として用いる場合、効率的な電荷分離を行えるフラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、及びこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
〔バルクヘテロジャンクション層の形成方法〕
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また塗布法は、製造速度にも優れている。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、バルクヘテロジャンクション層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、バルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換部(バルクヘテロジャンクション層)14は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。
次に、有機光電変換素子を構成する電極について説明する。
有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層で生成した正電荷と負電荷とが、それぞれp型有機半導体材料、及びn型有機半導体材料を経由して、それぞれ陽極及び陰極から取り出され、電池として機能するものである。それぞれの電極には、電極を通過するキャリアに適した特性が求められる。
〔陰極〕
本発明において陰極とは、電子を取り出す電極のことを意味する。例えば、陰極として用いる場合、導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。
陰極材料としては、十分な導電性を有し、かつ前記n型半導体材料と接合したときにショットキーバリアを形成しない程度に近い仕事関数を有し、かつ劣化しないことが求められる。つまりバルクヘテロジャンクション層に用いるn型半導体材料のLUMOよりも0〜0、3eV深い仕事関数を有する金属であることが好ましく、本発明の第2のバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料の好ましいLUMO準位が、−4.3〜−4.6eVであることから、−4.3〜−4.9eVの仕事関数であることが好ましい。他方で正孔を取り出す陽極(透明電極)より仕事関数が深くなることは好ましくなく、n型半導体材料より浅い仕事関数の金属では層間抵抗が発生することがあるため、実際には−4.4〜−4.8eVの仕事関数を有する金属であることが好ましい。したがって、アルミニウム、金、銀、銅、インジウム、あるいは酸化亜鉛、ITO、酸化チタン等の酸化物系の材料でも好ましい。より好ましくは、アルミニウム、銀、銅であり、さらに好ましくは銀である。
なおこれらの金属の仕事関数は、同様に紫外光電子分光法(UPS)を利用して測定することができる。
なお、必要に応じて合金にしてもよく、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
また、陰極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の陰極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性陰極とすることができる。
〔陽極〕
本発明において陽極とは、正孔を取り出す電極のことを意味する。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて陽極とすることもできる。
〔正孔輸送層・電子ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層17を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層17としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物、等を用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
〔電子輸送層・正孔ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層18を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
また電子輸送層18としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
〔その他の層〕
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層等を挙げることができる。
〔基板〕
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよい。
〔光学機能層〕
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてよい。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度バルクヘテロジャンクション層に入射させることができるような光拡散層等を設けてもよい。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
〔金属ナノ粒子分散液の調製〕
(金属ナノ粒子分散液N−1の調製)
J.Phys.Chem.,B,107,2003,7312−7326を参考にして、粒径10nmのSiOで被覆した平均粒径20nm±3nmのAgナノ粒子を作製し、N,N−dimethylformamide(DMF)とエタノールの1:1の混合溶媒に分散し、金属ナノ粒子分散液N−1を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−2の調製)
特開2008−214695号公報を参考にして、オクチルアミンで被覆した平均粒径10nm±2nmのAgナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−2を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−3の調製)
特開2008−214695号公報を参考にして、オクチルアミンで被覆した平均粒径12nm±8nmのAgナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−3を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−4の調製)
Angewandte Chemie International Edition,2001,40,3001を参考にして、オクチルアミンで被覆した平均粒径12nm±1.6nmのAgナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−4を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−5の調製)
Adv.Mater.,2001,13,No.22,1699を参考にして、ドデカンチオールで被覆した平均粒径10nm±0.5nmの球状の金ナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−5を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−6の調製)
特開2009−144241号公報を参考にして、ドデシルカルボン酸とドデシルアミンで被覆した平均粒径24nm±2nmのAgナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−6を調製した。
(金属ナノ粒子分散液N−7の調製)
特開2005−298921号公報を参考にして、ジ(2−エチルヘキシル)アミンで被覆した平均粒径25nm±2nmのAgナノ粒子を作製し、ヘプタンに分散し、金属ナノ粒子分散液N−7を調製した。
(ナノ粒子の粒径測定)
得られた金属ナノ粒子分散液をカーボングリッドに滴下し乾燥したサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)用(日本電子(株)製TEM)で観察し、約1000個の粒子の粒径を計測し、平均粒径と標準偏差を求め、粒径の変動係数を算出した。
その結果を表1に示す。
Figure 2012129278
〔有機光電変換素子の作製〕
(光電変換層に用いた半導体材料)
第1のバルクヘテロジャンクション層用のp型材料としては、P3HT(Plextronics製Plexcore OS2100)を使用した。またn型材料としては、PC60BM(フロンティアカーボン製nanom spectra E100)を使用した。
第2のバルクヘテロジャンクション層用のp型材料としては、PSBTBTはJ.Am.Chem.Soc.,2008,130,16144−16145に基づいて合成したものを使用した。また、n型材料としては、PC70BMフロンティアカーボン製nanom spectra E110)を使用した。
(有機光電変換素子SC−101の作製)
ポリカーボネート基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したものを、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、陽極を形成した。
パターン形成した陽極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
次に、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を再度140℃で10分間加熱処理した。
p型半導体材料として、前記p型材料Plexcore OS2100を1.0質量%(pn比5:4)、n型半導体材料として前記PCBMを0.8質量%、をクロロベンゼンに溶解した液を調製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
次に、エタノールにTi−イソプロポキシドを0.05mol/lになるように溶解した液を調製し、マスキングした後、膜厚20nmになるように塗布を行い、水蒸気量を約1%に調節した窒素中放置することで、電子輸送層として酸化チタン層を成膜した。
その後、基板を真空蒸着機内に設置し、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、Agを1nm蒸着した。
その後、Baytron P4083を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
再度、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を再度140℃で10分間加熱処理した。
次いで第2のバルクヘテロジャンクション層として、PSBTBT0.7%、PCBM2.5%をクロロベンゼンに溶解した液を調製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら2500rpmで60秒のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、フッ化リチウムを0.6nm、アルミニウムを100nm蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、比較の有機光電変換素子SC−101を得た。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。
得られた有機光電変換素子SC−101は、窒素雰囲気下で2枚の凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d)の間に挟みこみ、UV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
(有機光電変換素子SC−102の作製)
ポリカーボネート基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したものを、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、陽極(陽極)を形成した。
パターン形成した陽極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
次に、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を再度140℃で10分間加熱処理した。
p型半導体材料として、前記p型材料Plexcore OS2100を1.0質量%(pn比5:4)、n型半導体材料として前記PCBMを0.8質量%、をクロロベンゼンに溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
次に、エタノールにTi−イソプロポキシドを0.05mol/lになるように溶解した液を調製し、マスキングした後、膜厚20nmになるように塗布を行い、水蒸気量を約1%に調節した窒素中放置することで、電子輸送層として酸化チタン層を成膜した。
その後、金属ナノ粒子分散液N−1を目付量80mg/mになるように塗布した後、150℃で10分間加熱乾燥した。
その後、Baytron P4083を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
再度、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を再度140℃で10分間加熱処理した。
次いで第2のバルクヘテロジャンクション層として、PSBTBTを0.7%、PCBMを2.5%をクロロベンゼンに溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら2500rpmで60秒のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、フッ化リチウムを0.6nm、アルミニウムを100nm蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、比較の有機光電変換素子SC−102を得た。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。
得られた有機光電変換素子SC−102は、窒素雰囲気下で2枚の凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d)の間に挟みこみ、UV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
(有機光電変換素子SC−103〜108の作製)
有機光電変換素子SC−102の作製において、金属ナノ粒子分散液N−1を金属ナノ粒子分散液N−2〜N−7に変更すること以外は同様にして、本発明の有機光電変換素子SC−103〜108を作製した。
得られた有機光電変換素子SC−103〜108は、それぞれ窒素雰囲気下で2枚の凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d)の間に挟みこみ、UV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
(有機光電変換素子SC−109の作製)
有機光電変換素子SC−109は、通常の有機光電変換素子を逆の順番に積層し、透明電極側から電子を取り出し、仕事関数の深い安定な金属電極側から正孔を取り出す、いわゆる逆層型の有機光電変換素子である。
ポリカーボネート基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したものを、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、陽極を形成した。
パターン形成した陽極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。この透明基板上に正孔阻止層として、イソプロパノールに溶解したポリエチレンイミンと、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテルの混合溶液を塗布し、ホットプレート上で120℃10分間乾燥させ、厚さ5nmの電子輸送層を製膜した。
p型半導体材料として、前記p型材料Plexcore OS2100を1.0質量%(pn比5:4)、n型半導体材料として前記PCBMを0.8質量%、をクロロベンゼンに溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
正孔輸送層としてBaytron P4083を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
再度、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。金属ナノ粒子分散液N−2を目付量80mg/mになるように塗布した後、150℃で10分間加熱乾燥した。
ET−1をブタノールに溶解し再結合層に塗布し、その後、365nmのUV光を3J/cmの照射エネルギーで3分間照射を行い、その後ホットプレート上で80℃10分間加熱し、厚さ5nmの第2電子輸送層を製膜した。
Figure 2012129278
ET−1をブタノールに溶解し再結合層に塗布し、その後、365nmのUV光を3J/cmの照射エネルギーで3分間照射を行い、その後ホットプレート上で80℃10分間加熱し、厚さ5nmの電子輸送層を製膜した。
p型半導体材料として、前記p型材料Plexcore OS2100を1.0質量%(pn比5:4)、n型半導体材料として前記PCBM 0.8質量%をクロロベンゼンに溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過しながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、140℃で10分焼成した。
次に、エタノールにTi−イソプロポキシドを0.05mol/lになるように溶解した液を調製し、マスキングした後、膜厚20nmになるように塗布を行い、水蒸気量を約1%に調節した窒素中放置することで、電子輸送層として酸化チタン層を成膜した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、銀を100nm蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、本発明に関わる有機光電変換素子SC−109を得た。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。
得られた有機光電変換素子SC−109は、窒素雰囲気下で2枚の凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d)の間に挟みこみ、UV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
[有機光電変換素子の評価]
得られた有機光電変換素子について下記方法で、開放電圧、光電変換効率及び高温高湿耐久性の評価を行った。
(開放電圧、光電変換効率)
製造直後の有機光電変換素子に、ソーラシミュレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの強度で照射して、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。またJsc、Voc、FFから下記式1に従って光電変換効率η(%)を求めた。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF
(高温高湿耐久性)
有機光電変換素子を65℃湿度85%のサーモ機内に入れ、100時間後の光電変換効率を測定し、下記式により光電変換効率の保持率を算出した。
保持率(%)=耐久性試験後の光電変換効率(%)/有機光電変換素子作製直後の光電変換効率(%)×100
評価の結果を表2に示す。
Figure 2012129278
表2より、本発明の有機光電変換素子SC−103〜109は比較例の有機光電変換素子SC−102に比べ、開放電圧が高く、光電変換効率が高いことが分かる。本発明の有機光電変換素子SC−103〜109は比較例の有機光電変換素子SC−101、102に比べ、高温高湿耐久性に優れているが分かる。
また、有機物の脱離温度が高いものは再結合電極の導電性が低く、開放電圧が高くなり難く、金属ナノ粒子の変動係数が大きいものは層の密着性不良により、光電変換効率の高温高湿保持率が低下することが分かる。
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 陽極
13 陰極
14 光電変換部(バルクヘテロジャンクション層)
14′ 第1の光電変換部
15 再結合電極
16 第2の光電変換部
17 正孔輸送層
18 電子輸送層

Claims (7)

  1. 第1の電極と第2の電極の間に、少なくとも1層の再結合電極と少なくとも2層以上の光電変換層を有するタンデム型の有機光電変換素子において、前記再結合電極が有機物で被覆された金属ナノ粒子を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記金属ナノ粒子を被覆する有機物が150℃以下の加熱で、前記金属ナノ粒子から脱離反応が起こることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記金属ナノ粒子の粒径変動係数が30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
  4. 前記金属ナノ粒子の平均粒径が5〜20nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  5. 前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子の製造方法であって、前記再結合電極が塗布法により形成されることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
JP2010277840A 2010-12-14 2010-12-14 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池 Pending JP2012129278A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010277840A JP2012129278A (ja) 2010-12-14 2010-12-14 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010277840A JP2012129278A (ja) 2010-12-14 2010-12-14 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012129278A true JP2012129278A (ja) 2012-07-05

Family

ID=46646029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010277840A Pending JP2012129278A (ja) 2010-12-14 2010-12-14 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012129278A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103094480A (zh) * 2013-01-17 2013-05-08 中国科学院半导体研究所 聚合物太阳能电池及其制备方法
KR101470816B1 (ko) * 2013-01-24 2014-12-11 연세대학교 산학협력단 나노입자층을 포함하는 태양전지 및 그 제조방법
KR101639521B1 (ko) * 2015-04-07 2016-07-13 성균관대학교산학협력단 생체 유기 소재 템플레이트를 활용하여 금속 나노 입자 어레이를 전극 상에 형성한 태양전지용 전극 및 이의 제조 방법
JP2017504979A (ja) * 2014-01-31 2017-02-09 チャンプ グレート インターナショナル コーポレーション 金属ナノ構造体再結合層を含むタンデム型有機光起電力装置
CN109950402A (zh) * 2019-03-26 2019-06-28 华南师范大学 叠层有机薄膜太阳能电池及其制备方法

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004523129A (ja) * 2001-06-11 2004-07-29 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ 有機光起電力素子
JP2008510305A (ja) * 2004-08-11 2008-04-03 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ 有機感光装置
JP2008196050A (ja) * 2007-01-19 2008-08-28 Mitsubishi Materials Corp 金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜
JP2008196051A (ja) * 2007-01-19 2008-08-28 Mitsubishi Materials Corp 金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜
JP2009527108A (ja) * 2006-02-13 2009-07-23 ソレクサント・コーポレイション ナノ構造層を備える光起電装置
WO2010024090A1 (ja) * 2008-08-28 2010-03-04 パナソニック電工株式会社 光電気素子
JP2010067642A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Kyoto Univ 光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池
JP2010153184A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Mitsuboshi Belting Ltd 電極形成用組成物、導電性基材の製造方法及び導電性基材
JP2010258205A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Konica Minolta Holdings Inc 有機光電変換素子の製造方法及び該製造方法により製造された有機光電変換素子
JP2010267534A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Toyota Central R&D Labs Inc 色素増感型太陽電池
JP2010272892A (ja) * 2008-04-28 2010-12-02 Dainippon Printing Co Ltd 正孔注入輸送層を有するデバイス、及びその製造方法
JP2010278377A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Konica Minolta Holdings Inc 有機光電変換素子

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004523129A (ja) * 2001-06-11 2004-07-29 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ 有機光起電力素子
JP2008510305A (ja) * 2004-08-11 2008-04-03 ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ 有機感光装置
JP2009527108A (ja) * 2006-02-13 2009-07-23 ソレクサント・コーポレイション ナノ構造層を備える光起電装置
JP2008196050A (ja) * 2007-01-19 2008-08-28 Mitsubishi Materials Corp 金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜
JP2008196051A (ja) * 2007-01-19 2008-08-28 Mitsubishi Materials Corp 金属膜形成方法及び該方法により得られる金属膜
JP2010272892A (ja) * 2008-04-28 2010-12-02 Dainippon Printing Co Ltd 正孔注入輸送層を有するデバイス、及びその製造方法
WO2010024090A1 (ja) * 2008-08-28 2010-03-04 パナソニック電工株式会社 光電気素子
JP2010067642A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Kyoto Univ 光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池
JP2010153184A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Mitsuboshi Belting Ltd 電極形成用組成物、導電性基材の製造方法及び導電性基材
JP2010258205A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Konica Minolta Holdings Inc 有機光電変換素子の製造方法及び該製造方法により製造された有機光電変換素子
JP2010267534A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Toyota Central R&D Labs Inc 色素増感型太陽電池
JP2010278377A (ja) * 2009-06-01 2010-12-09 Konica Minolta Holdings Inc 有機光電変換素子

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103094480A (zh) * 2013-01-17 2013-05-08 中国科学院半导体研究所 聚合物太阳能电池及其制备方法
KR101470816B1 (ko) * 2013-01-24 2014-12-11 연세대학교 산학협력단 나노입자층을 포함하는 태양전지 및 그 제조방법
JP2017504979A (ja) * 2014-01-31 2017-02-09 チャンプ グレート インターナショナル コーポレーション 金属ナノ構造体再結合層を含むタンデム型有機光起電力装置
KR101639521B1 (ko) * 2015-04-07 2016-07-13 성균관대학교산학협력단 생체 유기 소재 템플레이트를 활용하여 금속 나노 입자 어레이를 전극 상에 형성한 태양전지용 전극 및 이의 제조 방법
CN109950402A (zh) * 2019-03-26 2019-06-28 华南师范大学 叠层有机薄膜太阳能电池及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5516153B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP6196171B2 (ja) タンデム型有機光電変換素子、および太陽電池
JP5447521B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池および光センサアレイ
JP5682571B2 (ja) 有機光電変換素子
WO2010041687A1 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5648641B2 (ja) 有機光電変換素子
JP5862189B2 (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP5444743B2 (ja) 有機光電変換素子
JP5476969B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池、及び光センサアレイ
JP2012129278A (ja) 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池
JP5699524B2 (ja) 有機光電変換素子および太陽電池
JP2012099592A (ja) 有機光電変換素子、太陽電池およびその製造方法
WO2010090123A1 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイ
JP5447513B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP5704563B2 (ja) 光電変換素子及び太陽電池
JP5304448B2 (ja) 有機光電変換素子
JP5944120B2 (ja) 有機光電変換素子とその製造方法、およびそれを用いた有機太陽電池
JP5440208B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5413055B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP2013089684A (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP2013089627A (ja) 有機光電変換素子、およびそれを用いた有機太陽電池
JP2011124469A (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP2012134337A (ja) 有機光電変換素子
Anefnaf et al. Study the effect of fullerene derivatives ratio on P3HT-based inverted organic solar cells
JP2010135665A (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20121101

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130415

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130625

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140701

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141104