JP2005248204A - 金属コロイド溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水中で、金属のイオンを還元して析出させた、一次粒径が200nm以下の金属微粒子を、分子量が200〜30000の分散剤の存在下、分散媒としての、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中に分散させた。
【選択図】 なし
Description
・ 有機溶媒に、金属のイオンのもとになる金属化合物を溶解し、分散剤を加えたのち、還元して金属微粒子を析出させることで、分散媒が有機溶媒である金属コロイド溶液を製造する方法、
・ 水に、金属のイオンのもとになる金属化合物を溶解し、水溶性有機溶媒と分散剤とを加えたのち、還元して金属微粒子を析出させることで、分散媒が、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒である金属コロイド溶液を製造する方法、
が記載されている。
また、水と、水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる方法では、汎用されている水溶性の金属化合物や還元剤を使用することができるものの、これらの多くは、水溶性有機溶媒に対する溶解性が低いために、水溶性有機溶媒を加えた時点で、その一部が析出する等して、反応系の濃度にむらを生じやすい。
また、特許文献2に記載の方法は、安全面、環境面で、取り扱いに注意を要する高沸点の有機溶媒にしか適用できず、応用範囲が狭いという問題がある。
請求項2記載の発明は、水中で、金属のイオンを還元して金属微粒子を析出させて得た、水系の金属コロイド溶液を出発原料として用いて、金属微粒子を水から完全に分離する工程を経ることなしに製造された請求項1記載の金属コロイド溶液である。
請求項4記載の発明は、金属微粒子を、0.1〜90重量%の割合で含有する請求項1記載の金属コロイド溶液である。
請求項5記載の発明は、分散剤が、S、P、B、およびハロゲン原子を含有しない有機化合物である請求項1記載の金属コロイド溶液である。
請求項7記載の発明は、水溶性有機溶媒が、アルコール、ケトン、グリコールエーテル、および水溶性の含窒素有機化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の金属コロイド溶液である。
請求項4記載の発明によれば、金属微粒子を、0.1〜90重量%の範囲内の、任意の割合で含有させることによって、金属コロイド溶液の物性を、各種の印刷方法、塗布方法に適した範囲に、簡単に調整することができる。
請求項6記載の発明によれば、分散剤を、金属微粒子100重量部あたり2〜30重量部の割合で含有させることによって、金属微粒子の、金属コロイド溶液中での凝集等の発生を防止しつつ、導電性にすぐれた導体配線や導電膜を形成することができる。
本発明の金属コロイド溶液は、水中で、金属のイオンを還元して析出させた、一次粒径が200nm以下の金属微粒子と、分子量が200〜30000の分散剤と、分散媒としての、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒とを含んでいる。
このうち、金属微粒子の一次粒径が、200nm以下に限定されるのは、次の理由による。すなわち、一次粒径が200nmを超える大きな金属微粒子は、金属コロイド溶液中での分散性が低く、凝集して二次粒子を生じやすい。また、凝集しないまでも、金属コロイド溶液の流動性を低下させる。このため、かかる大きな金属微粒子を含む、金属コロイド溶液は、各種の印刷方法、塗布方法に用いるインクとしての物性を満足することができない。また、この金属コロイド溶液を用いて形成される導体配線や導電膜は、二次粒子の発生等によって、その構造や導電性が不均一になってしまう。
金属微粒子の配合割合は、金属コロイド溶液の総量中の、0.1〜90重量%であるのが好ましい。配合割合が0.1重量%未満では、金属コロイド溶液が薄すぎて、いずれの印刷方法、塗布方法によっても、十分な厚みと導電性とを有する導体配線や導電膜を形成できないおそれがある。逆に、90重量%を超える場合は、流動性が低下して、各種の印刷方法や塗布方法用として適した金属コロイド溶液が得られないおそれがある。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル、
2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等の水溶性の含窒素有機化合物、および
酢酸エチル等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、それぞれ1種単独で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
たとえば、スピンコート塗布法による導電膜の形成においては、金属コロイド溶液が、低粘度であることが求められ、逆に、スクリーン印刷法やディスペンサー塗布法による導体配線の製造では、金属コロイド溶液が、高粘度であることが求められる。また、スクリーン印刷法では、簡単に乾燥しないように、金属コロイド溶液の蒸気圧が高いことが求められる。
本発明の金属コロイド溶液は、水中で、金属のイオンを還元して金属微粒子を析出させて得た、水系の金属コロイド溶液を出発原料として用いて、金属微粒子を水から完全に分離する工程を経ることなしに、製造するのが好ましい。より具体的には、水系の金属コロイド溶液を、たとえば、ロータリーエバポレータを用いたり、加熱したり、あるいは、遠心分離して上澄み液を除去したりすることで、所定の濃度に濃縮した後、所定量の水溶性有機溶媒を加えることによって、本発明の金属コロイド溶液が製造される。
金属のイオンのもとになる、水溶性の金属化合物としては、これに限定されないが、たとえば、銀の場合は、硝酸銀(I)(AgNO3)やメタンスルホン酸銀(CH3SO3Ag)等が挙げられ、とくに、硝酸銀(I)が好ましい。また、金の場合は、テトラクロロ金(III)酸四水和物(HAuCl4・4H2O)等が挙げられる。さらに、白金の場合は、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO2)2(NH3)2)や、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H2[PtCl6]・6H2O)等が挙げられる。また、上記の水溶性金属化合物を、必要に応じて、アンモニア、クエン酸等により錯体化して用いてもよい。
かかる還元剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールや、アスコルビン酸等が挙げられる他、エチレングリコール、グルタチオン、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等)、還元性糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオース等)、および糖アルコール類(ソルビトール等)等が挙げられる。
本発明の金属コロイド溶液は、その物性を適宜、調整することによって、先に述べたように、スピンコート塗布法による導電膜の形成や、スクリーン印刷法、ディスペンサー塗布法による、導体配線の形成など、種々の印刷方法、塗布方法用のインクとして、好適に使用することができる。
(銀コロイド溶液)
実施例1:
硝酸銀24gを純水150gに溶解した後、アンモニア水を加えて、液のpHを11.0に調整して、硝酸銀アンモニア溶液を調製した。つぎに、この硝酸銀アンモニア溶液に、分散剤としての、ポリビニルピロリドン(分子量30000)12gを加えて、溶解させた後、還元剤としての、エチレングリコール100gを添加して、かく拌速度1000rpmでかく拌しながら、40℃で180分間、反応させて、黄色のプラズモン吸収を有する、水系の銀コロイド溶液を得た。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と水(W)とアセトン(Ac)の配合割合は、重量比で、Ag:W:Ac=80:20:100であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は32mN/m(25℃)、粘度は14mPa・s(25℃)、沸点は62℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、5nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、アセトンを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
実施例2:
分散剤として、分子量25000のポリビニルピロリドン12gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
つぎに、この銀コロイド溶液を、ロータリーエバポレータを用いて濃縮して、含水分量を20重量%まで減らした後、水溶性有機溶媒としてのグリセリンを加えて、分散媒が水とグリセリンとの混合溶媒である銀コロイド溶液を製造した。
硝酸銀の量を48g、分散剤としての、ポリビニルピロリドン(分子量30000)の量を24gとし、なおかつ、還元剤として、クエン酸50gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
得られた銀コロイド溶液から、20000G×20分間の条件で、遠心分離により、銀微粒子よりも軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、ついで、純水によって洗浄した後、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、22nmの位置に鋭いピークが見られた。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と水(W)とエタノール(Et)の配合割合は、重量比で、Ag:W:Et=99:1:200であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は24mN/m(25℃)、粘度は5mPa・s(25℃)、沸点は82℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、22nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、エタノールを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
硝酸銀の量を48g、分散剤としての、ポリビニルピロリドン(分子量30000)の量を30gとし、なおかつ、還元剤としての、エチレングリコールの量を250gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
つぎに、得られた銀コロイド溶液を、限外ろ過膜を用いた電気透析をして、不純物を除去し、ついで、純水によって洗浄した後、銀微粒子の粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、5nmの位置に鋭いピークが見られた。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と水(W)とエチレングリコールモノブチルエーテル(EG)とグリセリン(Gl)の配合割合は、重量比で、Ag:W:EG:Gl=95:5:400:10であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は33mN/m(25℃)、粘度は18mPa・s(25℃)、沸点は250℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、5nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、エチレングリコールモノブチルエーテルとグリセリンを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
硝酸銀の量を3gとし、なおかつ、分散剤として、分子量5000のポリアクリル酸2gを用いるとともに、還元剤として、クエン酸8gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
得られた銀コロイド溶液から、20000G×20分間の条件で、遠心分離により、銀微粒子よりも軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、ついで、純水によって洗浄した後、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、31nmの位置に鋭いピークが見られた。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と水(W)と2−プロパノール(Pr)との配合割合は、重量比で、Ag:W:Pr=88:12:100であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は35mN/m(25℃)、粘度は10mPa・s(25℃)、沸点は95℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、31nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、2−プロパノールを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
硝酸銀の量を12gとし、分散剤として、分子量2000のポバール30gを用い、なおかつ、還元剤として、グルコース26gを用いるとともに、反応温度を60℃、反応時間を60分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
つぎに、得られた銀コロイド溶液を、限外ろ過膜を用いた電気透析をして、不純物を除去し、ついで、純水によって洗浄した後、銀微粒子の粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、10nmの位置に鋭いピークが見られた。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と水(W)と2−エトキシエタノール(EE)と2−ピロリドン(Py)の配合割合は、重量比で、Ag:W:EE:Py=92:8:150:40であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は30mN/m(25℃)、粘度は19mPa・s(25℃)、沸点は190℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、10nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、2−エトキシエタノールと2−ピロリドンを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
実施例1で得た、5nmの位置に鋭いピークを有する水系の銀コロイド溶液を、60℃に加熱して水を全て乾燥、除去することによって、銀微粒子を水から完全に分離したのち、アセトンを加えて、分散媒がアセトンである銀コロイド溶液を製造した。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)とアセトン(Ac)の配合割合は、重量比で、Ag:Ac=15:85であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は25mN/m(25℃)、粘度は1mPa・s(25℃)、沸点は58℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、1日静置することで銀微粒子が沈殿してしまい、分散性は不良であった。また、銀微粒子の粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、250nmの位置にピークが見られたことから、銀微粒子を水から完全に分離後、アセトンを加えたことによって凝集が発生して、粒度分布が大きく変動したことが確認された。
反応終了後、遠心分離し、洗浄して、粒度分布を測定した水系の銀コロイド溶液を、10000rpmの条件で遠心分離したのち、上澄みを取り除くことによって濃縮して、含水分量を10重量%まで減らした後、非水溶性の有機溶媒であるトルエンを加えたこと以外は、実施例1と同様にして、分散媒が水とトルエンである銀コロイド溶液を製造したところ、2液に分離してしまって、均一な銀コロイド溶液を得ることはできなかった。沸点は120℃であった。
還元剤として、クエン酸25gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水系の銀コロイド溶液を得た。
得られた銀コロイド溶液から、20000G×20分間の条件で、遠心分離により、銀微粒子よりも軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、ついで、純水によって洗浄した後、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、22nmの位置に鋭いピークが見られた。
銀コロイド溶液における、銀微粒子(Ag)と2−プロパノール(Pr)の配合割合は、重量比で、Ag:Pr=100:100であった。また、銀コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は28mN/m(25℃)、粘度は5mPa・s(25℃)、沸点は88℃であった。また、銀コロイド溶液における、銀微粒子の分散性を観察したところ、1日静置することで銀微粒子が沈殿してしまい、分散性は不良であった。また、銀微粒子の粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、1500nmの位置にピークが見られたことから、銀微粒子を水から完全に分離後、アセトンを加えたことによって凝集が発生して、粒度分布が大きく変動したことが確認された。
(金コロイド溶液)
実施例7:
テトラクロロ金(III)酸四水和物40gを純水200gに溶解後、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量25000)12gを加えて完全に溶解させた。つぎに、この塩化金溶液に、還元剤としての、リンゴ酸10gを加えた後、かく拌速度1000rpmでかく拌しながら、25℃で60分間、反応させて、赤紫色のプラズモン吸収を有する、水系の金コロイド溶液を得た。
つぎに、この金コロイド溶液を、10000rpmの条件で遠心分離したのち、上澄みを取り除くことによって濃縮して、含水分量を15重量%まで減らした後、水溶性有機溶媒としてのジプロピレングリコールを加えて、分散媒が水とジプロピレングリコールとの混合溶媒である銀コロイド溶液を製造した。
実施例7で得た、20nmの位置に鋭いピークを有する水系の金コロイド溶液を、ロータリーエバポレータを用いて濃縮して、含水分量を25重量%まで減らした後、水溶性有機溶媒としての酢酸エチルを加えて、分散媒が水と酢酸エチルとの混合溶媒である金コロイド溶液を製造した。
実施例7で得た、20nmの位置に鋭いピークを有する水系の金コロイド溶液を、60℃に加熱して水を全て乾燥、除去することによって、金微粒子を水から完全に分離したのち、エタノールを加えて、分散媒がエタノールである金コロイド溶液を製造した。
金コロイド溶液における、金微粒子(Au)とエタノール(Et)の配合割合は、重量比で、Au:Et=100:200であった。また、金コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は23mN/m(25℃)、粘度は3mPa・s(25℃)、沸点は85℃であった。また、金コロイド溶液における、金微粒子の分散性を観察したところ、1日静置することで金微粒子が沈殿してしまい、分散性は不良であった。また、金微粒子の粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、350nmの位置にピークが見られたことから、金微粒子を水から完全に分離後、エタノールを加えたことによって凝集が発生して、粒度分布が大きく変動したことが確認された。
(白金コロイド溶液)
実施例9:
ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物45gを純水200gに溶解後、分散剤としてのポリアクリル酸(分子量5000)8gを加えて完全に溶解させた。次にこの塩化白金溶液に、還元剤としての、エタノール80gを加えた後、かく拌速度1000rpmでかく拌しながら、50℃で360分間、反応させて、黒色の、水系の白金コロイド溶液を得た。
つぎに、この白金コロイド溶液を、60℃に加熱することで濃縮して、含水分量を5重量%まで減らした後、水溶性有機溶媒としてのアセトン、および、グリセリンを加えて、分散媒が水とアセトンとグリセリンの混合溶媒である白金コロイド溶液を製造した。
分散剤として、分子量2000のポバール35gを用い、なおかつ、還元剤として、エチレングリコール100gを用いるとともに、反応温度を80℃、反応時間を180分間としたこと以外は、実施例9と同様にして、水系の白金コロイド溶液を得た。
つぎに、得られた白金コロイド溶液を、20000G×20分間の条件で、遠心分離により、白金微粒子よりも軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、ついで、純水によって洗浄した後、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、10nmの位置に鋭いピークが見られた。
白金コロイド溶液における、白金微粒子(Pt)と水(W)とトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPG)の配合割合は、重量比で、Pt:W:TPG=85:15:400であった。また、白金コロイド溶液の物性を測定したところ、表面張力は35mN/m(25℃)、粘度は10mPa・s(25℃)、沸点は220℃であった。また、白金コロイド溶液における、金微粒子の分散性を観察したところ、2ヶ月間、静置しても沈殿を生じず、非常に良好であった。その粒度分布を、前記粒度分布測定装置を用いて測定したところ、10nmの位置に鋭いピークが見られたことから、濃縮後、酢酸エチルを加えたことによって、粒度分布が変動していないことが確認された。
実施例10で得た、10nmの位置に鋭いピークを有する水系の白金コロイド溶液を、ロータリーエバポレータを用いて処理して、水を全て乾燥、除去することによって、白金微粒子を水から完全に分離したのち、非水溶性の有機溶媒であるテトラデカンを加えて白金コロイド溶液を製造したところ、2液に分離してしまって、均一な白金コロイド溶液を得ることはできなかった。沸点は240℃であった。
Claims (7)
- 水中で、金属のイオンを還元して析出させた、一次粒径が200nm以下の金属微粒子と、分子量が200〜30000の分散剤と、分散媒としての、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒とを含むことを特徴とする金属コロイド溶液。
- 水中で、金属のイオンを還元して金属微粒子を析出させて得た、水系の金属コロイド溶液を出発原料として用いて、金属微粒子を水から完全に分離する工程を経ることなしに製造された請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 金属微粒子が、ニッケル、銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これらの合金からなる微粒子である請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 金属微粒子を、0.1〜90重量%の割合で含有する請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 分散剤が、S、P、B、およびハロゲン原子を含有しない有機化合物である請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 分散剤を、金属微粒子100重量部あたり2〜30重量部の割合で含有する請求項1記載の金属コロイド溶液。
- 水溶性有機溶媒が、アルコール、ケトン、グリコールエーテル、および水溶性の含窒素有機化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の金属コロイド溶液。
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