JP2008184365A - シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒のルツボ本体2と蓋部3とにより構成された反応容器1に原料用のシリコンAを投入し、次いで、シリコンAを1000℃以上かつシリコンの融点以下の温度に加熱し、この加熱されたシリコンに、蓋部3に設けられた原料ガス導入管4によりシラン系ガス、シラン系ガス及び水素ガス、のいずれかの反応ガスGを通流させてシラン系ガスの分解または還元により生じたシリコンを原料用のシリコンAの表面に成長させ、次いで、反応容器1から蓋部3を取り外し、反応容器1内のシリコンをその融点以上の温度にまで加熱することにより溶融、落下させて回収する。
【選択図】図2
Description
これらの開発の流れとしては、大別して、トリクロルシラン、モノクロルシラン等のシラン系ガスを出発原料として製造する方法、メタルグレードの安価なシリコン(MG−Si)を直接出発原料として製造する方法、の2つの方法がある。
この方法では、多結晶シリコンの連続生産が可能であり、さらに、反応温度をシリコンの融点(1414℃)以上に加熱することにより、反応速度の大幅な向上が可能で、電力原単位の低減も可能とされている。
この方法では、反応基材とシリコン融液との接触時間を減らすことにより、反応基材からの汚染を最小限に減らせるとしている。
(1)シリコン粒体の製造方法では、電力原単位が低く、反応表面積を増加させることが可能であるものの、シリコンの反応温度が高々700℃であるために、反応ガスの分解速度が遅く、生産性をこれ以上高めることは難しい。
(2)析出シリコンを一旦溶融させ、この溶融したシリコンを回収する方法では、反応温度を高めることにより単位表面積当りの分解反応速度は速くなるものの、反応面積を増やすのが難しく、量産プロセスとして確立させるにはさらに工夫が必要とされている。
この他、反応時にシリコンが汚染されたり等の問題点が生じる場合もある。
前記反応容器を石英製の反応容器とし、この反応容器を囲むようにグラファイトを配置し、このグラファイトを高周波誘導加熱により加熱する高周波誘導加熱コイルを配置し、前記グラファイトが発する放射熱により前記反応容器内のシリコンを加熱することが好ましい。
前記グラファイトには、前記高周波誘導加熱コイルと略直交する方向にスリットが形成されていることが好ましい。
また、前記反応容器をグラファイト製の反応容器とし、このグラファイト製の反応容器に高周波誘導加熱により加熱する高周波誘導加熱コイルを配置し、前記グラファイト製の反応容器が発する放射熱により該反応容器内のシリコンを加熱することとしてもよい。
さらに、前記反応容器をグラファイト製の反応容器とし、この反応容器を囲むようにグラファイトヒータを配置し、このグラファイトヒータにより前記反応容器内のシリコンを加熱することとしてもよい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
ルツボ本体2としては、シリコンに対して汚染の影響が少ない円筒状の断熱部材であれば良く、例えば、石英管、グラファイト等が好適に用いられる。
蓋部3としては、開口端2aと同等またはより大径の円板状の断熱部材であればよく、例えば、石英板、グラファイト板等が好適に用いられる。
このグラファイト管5は、単に円筒状のグラファイト管であってもよく、図1に示すように、縦長のスリット5aが軸線に沿って複数個形成されたものであってもよい。スリット5aが形成されている場合、このスリット5aの延在方向は高周波誘導加熱コイル7の巻回方向と略直交している。
上記のモノシラン、ジシラン、トリシランは、単独でも使用可能であるが、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランは、塩素を含んでいるために水素ガスと混合して使用することが好ましい。
まず、ルツボ本体2の開口端2bに蓋部3を装着した反応容器1に、粉末状、塊状あるいはフレーク状のシリコンAを投入する。次いで、高周波電源(図示略)により高周波誘導加熱コイル7に所定の高周波電圧を印加してグラファイト管5を高周波誘導加熱により加熱し、この加熱されたグラファイト5が発する放射熱によりシリコンAを1000℃以上かつシリコンの融点以下の温度に加熱する。
このシリコンAに反応ガスGを通流させると、反応ガスGに含まれるモノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のシラン系ガスが分解または還元され、この過程で生じたシリコンはシリコンAの表面に成長する。このように、シリコンAの表面には、CVD法によりシリコンが成長することとなる。
シリコンの所定量がシリコンAの表面に成長すると、原料ガス導入管4の内部における反応ガスGの圧力損失が大きくなり始める。
また、反応容器から蓋部を取り外した後、反応容器内のシリコンをその融点以上の温度にまで加熱することにより溶融、落下させて回収するので、溶融シリコンを効率よく、しかも短時間で回収することができ、したがって、シリコンの生産効率を高めることができる。
また、反応容器1をグラファイト製とし、このグラファイト製の反応容器に高周波誘導加熱により加熱する高周波誘導加熱コイル7を配置し、この高周波誘導加熱によりグラファイト製の反応容器が発する放射熱により反応容器1内のシリコンAを加熱することとしてもよい。
さらに、反応容器1をグラファイト製とし、この反応容器の外周面を囲むようにグラファイトヒータを配置し、このグラファイトヒータにより反応容器1内のシリコンAを加熱することとしてもよい。
これらのような構成のシリコンの製造装置を用いても、上述したシリコンの製造方法と同様の効果を奏することができる。
反応容器1として、内径300mmの透明石英管からなるルツボ本体2の開口端2bにグラファイト製の蓋部3を装着した石英ルツボを用い、この石英ルツボの蓋部3に原料ガス導入管4を取り付け、この石英ルツボの外周を取り巻くように、スリット5aが形成されていない単なる円筒状のグラファイト管5を配置し、その周りにさらに、高周波誘導加熱コイル7が外周面に巻回された断熱用のアルミナ管6を配置した。
次いで、石英ルツボに、原料用シリコンとして析出核となる外形が概略10mm以下1mm以上となるように破砕した太陽電池用のシリコンウエハ屑を30kg投入し、原料ガス導入管4からアルゴンガスを流してシリコンウエハ屑間の残留空気を追い出した後、アルミナ管6の外側から高周波誘導加熱コイル7によりグラファイト管5を高周波誘導加熱により加熱し、このグラファイト管5の放射熱により石英ルツボ内のシリコンウエハ屑を加熱した。
温度制御開始後、3時間経過後、圧力損失が大きくなり始めたのを確認して、モノシランの通流を停止して蓋3を取り外し、石英ルツボ内の未反応のシリコンを落下させて取り除いた後、高周波誘導加熱の電力負荷を増して石英ルツボ内のシリコンをシリコンの融点以上の温度にまで加熱して溶融させ、この溶融したシリコンを下方へ落下させて回収した。
また、消費電力量は重量増加分のシリコン1kg当り7.6kWhであり、半導体グレードのポリシリコンの代表的な製造法であるシーメンス法の電力原単位100〜200kWh/kgと比べて著しく低く、電力原単位の点でも優れていることが確認された。
実施例2のシリコンの製造方法が、実施例1のシリコンの製造方法と異なる点は、反応容器1に、高周波誘導加熱コイル7で加熱する内径300mmの円筒状のグラファイト管5に、縦長のスリット5aを円周方向に等間隔に24個形成したものを用いた点であり、その他、シリコンの種類、形状、数量等は実施例1と全く同一とした。
ここでは、実施例1と同様に最初アルゴンガスを流し、加熱を開始した。実施例1よりも加熱開始初期は電力負荷がかかりにくく、昇温に時間を要した。
温度制御開始後、2時間経過後、圧力損失が大きくなり始めたため、モノシランの通流を停止して蓋3を取り外し、石英ルツボ内の未反応のシリコンを落下させて取り除いた後、高周波誘導加熱の電力負荷を増して石英ルツボ内のシリコンをシリコンの融点以上の温度にまで加熱して溶融させ、この溶融したシリコンを下方へ落下させて回収した。
また、消費電力量は重量増加分のシリコン1kg当り6.8kWhであり、実施例1よりさらに電力原単位が改善された。
実施例3のシリコンの製造方法が、実施例1のシリコンの製造方法と異なる点は、反応容器1として、ハロゲンガスで純化処理を施した内径300mmのグラファイト管にグラファイト製の蓋部を装着したものを用い、このグラファイト管の外周に高周波誘導加熱コイルを配置して、この高周波誘導加熱コイルにより直接グラファイト管を加熱する構成とし、原料用のシリコンとして、太陽電池用のシリコンウエハ屑とポリシリコン破砕品の混合物を用い、反応ガスGとして、トリクロロシランを用いた点である。
次いで、実施例1と同様にして、アルゴンガスを流し、加熱を開始した。
このグラファイト管の表面温度が600℃以上に上昇し始めたのを確認した後、原料ガス導入管4からトリクロロシランを900g/分、及び水素ガスを450NL/分通流した。これらのガスの通流開始後、グラファイト管の内部の温度を実施例1と同じ条件で制御した。
また、消費電力量は重量増加分のシリコン1kg当り13.4kWhであり、シーメンス法との比較において、電力原単位が極めて低いことが確認された。
実施例4のシリコンの製造方法が、実施例3のシリコンの製造方法と異なる点は、グラファイト管の外周にグラファイトヒータを配置して、このグラファイトヒータにより直接グラファイト管を加熱する構成とし、反応ガスGとして、テトラクロロシランを用いた点である。
このグラファイト管の表面温度が600℃以上に上昇し始めたのを確認した後、原料ガス導入管4からテトラクロロシランを900g/分、及び水素ガスを500NL/分通流した。これらのガスの通流開始後、グラファイト管の内部の温度を実施例1と同じ条件で制御した。
また、消費電力量は重量増加分のシリコン1kg当り16kWhであり、シーメンス法との比較において、電力原単位が極めて低いことが確認された。
2 ルツボ本体
2a 開口端
3 蓋部
4 原料ガス導入管
5 グラファイト管
5a スリット
6 アルミナ管
7 高周波誘導加熱コイル
A 原料用シリコン
G 反応ガス
Claims (7)
- 筒状体の底部の開口端に蓋部が装着された反応容器に粉末状、塊状あるいはフレーク状のシリコンを投入し、
次いで、このシリコンを1000℃以上かつシリコンの融点以下の温度に加熱し、この加熱されたシリコンに、前記蓋部に設けられた原料ガス導入管によりシラン系ガス、シラン系ガス及び水素ガス、のいずれかの反応ガスを通流させて前記シラン系ガスの分解または還元により生じたシリコンを前記粉末状、塊状あるいはフレーク状のシリコンの表面に成長させ、
次いで、前記反応容器から前記蓋部を取り外し、前記反応容器内のシリコンをその融点以上の温度にまで加熱することにより溶融、落下させて回収することを特徴とするシリコンの製造方法。 - 前記シラン系ガスは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランの群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載のシリコンの製造方法。
- 前記反応容器を石英製の反応容器とし、
この反応容器を囲むようにグラファイトを配置し、このグラファイトを高周波誘導加熱により加熱する高周波誘導加熱コイルを配置し、前記グラファイトが発する放射熱により前記反応容器内のシリコンを加熱することを特徴とする請求項1または2記載のシリコンの製造方法。 - 前記グラファイトには、前記高周波誘導加熱コイルと略直交する方向にスリットが形成されていることを特徴とする請求項3記載のシリコンの製造方法。
- 前記反応容器を石英製の反応容器とし、
この反応容器を囲むようにグラファイトヒータを配置し、このグラファイトヒータにより前記反応容器内のシリコンを加熱することを特徴とする請求項1または2記載のシリコンの製造方法。 - 前記反応容器をグラファイト製の反応容器とし、
このグラファイト製の反応容器に高周波誘導加熱により加熱する高周波誘導加熱コイルを配置し、前記グラファイト製の反応容器が発する放射熱により該反応容器内のシリコンを加熱することを特徴とする請求項1または2記載のシリコンの製造方法。 - 前記反応容器をグラファイト製の反応容器とし、
この反応容器を囲むようにグラファイトヒータを配置し、このグラファイトヒータにより前記反応容器内のシリコンを加熱することを特徴とする請求項1または2記載のシリコンの製造方法。
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