JP2008183657A - 単結晶ダイヤモンド多刃工具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、硬脆材料であるセラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、切れ刃の両サイドの盛り上がり部分を脆性破壊させ、加工抵抗を小さくし、大きな切り込みを可能にした単結晶ダイヤモンド多刃工具及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、セラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃の主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることを特徴としている。
また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、1つの小切れ刃が、高さ5〜70μm、幅1〜20μmであることを特徴としている。
また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、小切れ刃の間隔が50μm以下であることを特徴としている。
【選択図】 図7
【解決手段】本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、セラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃の主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることを特徴としている。
また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、1つの小切れ刃が、高さ5〜70μm、幅1〜20μmであることを特徴としている。
また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、小切れ刃の間隔が50μm以下であることを特徴としている。
【選択図】 図7
Description
本発明は、硬脆材料であるセラミックスの粗加工から精密仕上げまでを可能とする研削加工と切削加工の長所を併せ持つ単結晶ダイヤモンドの多刃工具、すなわち、フライス状に単結晶ダイヤモンド切れ刃を複数配置して加工する工具に関し、特に、1枚の切れ刃中に櫛歯状に小切れ刃を複数配置した工具である「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」及び「その製造方法」に関するものである。
X線回折ミラーの高能率かつ高精度の加工を目指す研究において、X線ミラーはX線を通過させないためにnm精度の粗さの鏡面加工を要求されている。また、ミラーの枚数を減らすため長方形材料の長手方向にも横方向にも曲率が変化するトロイダル曲面に加工することも要求される。また、表面にはX線を回折する為の高さ5μm程度の鋸歯状波形も必要とされている。必要とされる精度は30cm当たり10nmという高精度も要求されている。この鋸歯状波形は1本事に角度も変わっている。加工母材の材質は熱膨張を抑え変形にも強い炭化ケイ素が使用されている。
現状では炭化ケイ素をダイヤモンド砥石でトロイダル曲面に研削加工した後に無酸素銅を表面にコーティングし、コーティングした無酸素銅を精密バイトで4軸加工機を用いて切削加工して仕上げている。
現状では炭化ケイ素をダイヤモンド砥石でトロイダル曲面に研削加工した後に無酸素銅を表面にコーティングし、コーティングした無酸素銅を精密バイトで4軸加工機を用いて切削加工して仕上げている。
一方、電子写真感光体の基体等の光学機械部品においては、加工面が鏡面状態では無く、均一で微細な条痕があり、所定の表面粗さを有することが要求される場合がある。このような要求に応えるために、多結晶ダイヤモンドから成るダイヤモンドチップにおいて、逃げ面を研磨痕のない研磨面とすることにより切刃稜の微小うねりを小さくし、切刃稜を微小な幅だけ面取りすることにより多結晶ダイヤモンド特有の大きな凹凸を除去して、加工面を鏡面ではなく、0.2〜1μm程度の面粗さに加工することができる多結晶ダイヤモンドチップが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上述の多結晶ダイヤモンドチップは、逃げ面を研磨痕のない研磨面とし、切刃稜を微小な幅だけ面取りすることにより多結晶ダイヤモンド特有の大きな凹凸を除去して、面取り後の切刃稜の凹凸を0.1〜0.6μmの範囲にしているが、係る凹凸は多結晶ダイヤモンドの結晶粒に基づいて形成されるものであり、加工面に所望の均一で微細な条痕を形成することができなかった。また、切削加工中に多結晶ダイヤモンドの結晶粒が脱落し、加工面にバリを発生することがあった。
係る従来の不具合を解消するため、ワーク表面に微細な条痕を均一にバリを発生させることなく効率的に切削加工することができる単結晶ダイヤモンドバイトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
係る従来の不具合を解消するため、ワーク表面に微細な条痕を均一にバリを発生させることなく効率的に切削加工することができる単結晶ダイヤモンドバイトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、上記特許文献1記載のものにおいては、副切刃が直線状に形成されているため、第1切削が行われる主切刃においては、一回転送り量に相当する切込み量で行われ、これにより、切削抵抗が大きく、バイトの損傷が大きくなってバイトの寿命が短くなるとともに、粗さ精度を維持することができなく、しかも、構成刃先が付着しやすくなって、粗さ精度が乱れる問題があるため、表面粗さ加工を施すための切れ刃を有するダイヤモンドチップと、このダイヤモンドチップを保持するためのシャンクとを備えたダイヤモンドバイトにおいて、前記ダイヤモンドチップの切れ刃は、直線状の主切れ刃と、微小切削領域及びバニシング領域を備えた真円もしくは楕円からなる円弧状の副切れ刃にて構成され、当該副切れ刃から前逃げ面に亙って凹凸状の条痕を多数設けたことを特徴とするダイヤモンドバイトが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
また、VTRや磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドなどの高精度部品の表面仕上げ用に使用するセラミックス工具において、多刃加工を実現するとともに、多くの点で加工に関与させるため、セラミックス材に多数の溝を形成し、加工物に対し、工具は線接触させて作用させることにより、工具摩耗を低減させ、形状精度向上をはかったものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
上記特許文献2に記載の単結晶ダイヤモンドバイトは、電子写真感光体の基体等の光学機械部品において、加工面が鏡面状態では無く、均一で微細な条痕を形成するため、チップ上面に形成されたすくい面の前端縁に前記チップ前面に形成された前逃げ面との交線に沿って副切刃を送り方向と平行に形成し、該副切刃に前逃げ面に前記送り方向と略直角な方向に延在する複数の溝を送り方向に同一ピッチで形成することにより鋸状の刃稜を形成したものである。この鋸状の刃稜は、電子写真感光体の基体の表面に0.5〜5μm程度の条痕を形成するためのものであるため、その形状が図2に示されるように鋸状の刃であることが重要であり、刃の高さも0.5〜5μmに過ぎない。
また、上記特許文献3記載のダイヤモンドバイトも、上記特許文献2に記載の単結晶ダイヤモンドバイトと同様の目的、構成を有するものである。
特開平6−190610号公報
特開2002−307210号公報
特開2006−35359号公報
X線ミラーの炭化ケイ素の母材は、精密焼成されても焼結時の収縮率が一定でないために粗加工を必要とする。ここでセラミックスの加工特性が問題になる。アルミナや炭化ケイ素セラミックスは砥粒切り込み深さが臨界切り込み深さ、約0.1μm以下の切り込みでは、鉋屑状の切り屑を出す延性モード加工になり、臨界切り込み深さ以上に成ると陶器が破損したような切り屑を出す脆性モード加工に成ることが知られている。
「砥石の切込み深さ」と「砥粒の切込み深さ」は区別が必要である。砥粒の切込み深さは砥石の外径、送り速度、切り込み深さ、周速、粒度などの条件により変化し、砥石の心振れ、機械の振動などの影響も受ける。他の条件が同じなら、砥石切込み深さが大きくなるほど砥粒切込み深さも大きくなる。
図1及び図2は、砥石切り込みと砥粒切り込みの違いのモデルを示したもので、図1は金属材料加工モデルを、図2はアルミナや炭化ケイ素の脆性材料加工モデルを示している。
図1及び図2は、砥石切り込みと砥粒切り込みの違いのモデルを示したもので、図1は金属材料加工モデルを、図2はアルミナや炭化ケイ素の脆性材料加工モデルを示している。
セラミックスの加工機構は材料の特性に大きく依存している。砥石切り込みも窒化ケイ素やジルコニアは、砥石切り込み10μm程度しか加工できないのに比べアルミナや炭化ケイ素は10mmの切り込みも可能である。両者の違いはダイヤモンド砥粒切り込みに於ける研削条痕の破壊機構の違いによるところが大きい。
砥石切り込みを徐々に増加した場合の研削加工の砥粒切り込みモデルは、両者とも砥粒切り込みの増加に伴い加工条痕の両サイドに盛り上がりを生ずる。盛り上がりを生じた後も切り込みを続けると窒化ケイ素やジルコニアにおいては加工条痕の直下内部に亀裂を生じ、両サイドの盛り上がり部から欠けを生じることがない。このため切り込みの増加に伴い加工抵抗は増加する。炭化ケイ素やアルミナでは両サイドの盛り上がり部内部に亀裂を生じ条痕下部を含めて大きく脱落する。このため加工抵抗は小さくなり、大きな砥石切り込みも可能になる。
図3は、傾斜研削の概念と実験条件を示したもので、鏡面加工したアルミナセラミックスを15mmで10μm切り込みが増える様に傾斜して設置し、#1500のメタルボンドダイヤモンド砥石で研削加工実験を行い、砥石切り込みゼロから5μmへと変化するアルミナの加工面を得ることが出来た。
図4は、図3の条件で得られた傾斜研削試料面の広範囲な電子顕微鏡観察の結果、砥石の個々の砥粒による加工面の加工条痕のSEM写真を示したものである。砥石切り込み(砥粒切り込みではない)1μm以下では脆性破壊が発生せず(図4のA、B)、2μmでは観察面積の約30%(図4のC)、3μmでは約50%(図4のD)、5μmでは約80%(図4のE)の脆性破壊面が観察された。
加工面の観察から、炭化ケイ素やアルミナの脆性破壊機構を推定した。
加工面の観察から、炭化ケイ素やアルミナの脆性破壊機構を推定した。
図5に「単結晶ダイヤモンド多刃工具の小切れ刃1枚による炭化ケイ素やアルミナの加工モデル」を示す。図5の奥から手前方向に向かって順に切り込み量を大きくしている。切れ刃の切り込みが小さい場合は、材料が弾性変形を起こし、切れ刃が去った後に弾性回復する弾性変形領域、少し切り込みが大きくなると、弾性限度を超えて切れ刃の両サイドに盛り上がりを生じ、多少の除去加工が可能な塑性変形領域、それより切り込みが大きくなると、切れ刃の両サイドの盛り上がり部の内部に生じたクラックにより大破壊が発生する脆性破壊領域、の3つに分かれると推定した。
炭化ケイ素やアルミナ等の脆性材料は金属材料に比べ圧縮強度が強い事が知られている。「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」の切れ刃に「単結晶ダイヤモンド多刃工具」が無い場合は、粗加工において切れ刃が数mm切れ目無く接触する状態が出現する。この状態では脆性破壊に寄与している切れ刃の両サイドのクラックの数が少なく脆性材料の逃げ場が無く加工抵抗が大きくなりすぎ加工が困難になる。粗加工で良好な加工を行うためには、加工抵抗の減少に寄与する切れ刃の両サイドの盛り上がり部分の数を増やせば良い。つまり、単結晶ダイヤモンド切れ刃にレーザー等で溝を入れて小切れ刃の数を増やせばよいという知見を得た。
炭化ケイ素やアルミナを単結晶ダイヤモンド多刃工具を用いて精密加工する場合、臨界切り込み深さ以下の、工具切り込み1μm以下の切り込みを与えて生じた切れ刃の両サイドに盛り上がり部分が問題になる。この切れ刃両サイドの盛り上がり部を別の単結晶ダイヤモンドの多刃工具の単結晶ダイヤモンド多刃工具の小切れ刃で除去すれば良好な加工面を得られると期待できる。この場合「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」の個々の切れ刃にレーザー等で溝加工した「単結晶ダイヤモンド多刃」を複数成形し、前の切れ刃により加工された部分の両サイドの盛り上がり部分を後の切れ刃により加工するように設定すれば加工表面を鏡面状態に精密加工できるという知見も得た。
本発明は、硬脆材料であるセラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃の主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることにより、切れ刃の両サイドの盛り上がり部分を脆性破壊させ、加工抵抗を小さくし、大きな切り込みを可能にした単結晶ダイヤモンド多刃工具及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
(1)上記目的を達成するため本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、セラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃の主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることを特徴としている。
(2)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)において、1つの小切れ刃が、高さ5〜70μm、幅1〜20μmであることを特徴としている。
(3)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)において、小切れ刃の間隔が50μm以下であることを特徴としている。
(4)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、単結晶ダイヤモンド工具が切削用バイト、フライス、ドリルまたは雌ねじ切り用バイトであることを特徴としている。
(5)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状の切れ刃を複数配置し、それぞれの切れ刃における小切れ刃の切れ刃方向の位置を相互にずらしてなることを特徴としている。
(2)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)において、1つの小切れ刃が、高さ5〜70μm、幅1〜20μmであることを特徴としている。
(3)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)において、小切れ刃の間隔が50μm以下であることを特徴としている。
(4)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、単結晶ダイヤモンド工具が切削用バイト、フライス、ドリルまたは雌ねじ切り用バイトであることを特徴としている。
(5)また、本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具は、櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状の切れ刃を複数配置し、それぞれの切れ刃における小切れ刃の切れ刃方向の位置を相互にずらしてなることを特徴としている。
上記目的を達成するため本発明の単結晶ダイヤモンド多刃工具の製造方法は、セラミックスを脆性モード加工するための加工抵抗を低減する逃げ面を有する単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃にレーザ加工により溝を形成することにより櫛歯状の小切れ刃を形成することを特徴としている。
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)硬脆材料であるセラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃からなる主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることにより、切れ刃の両サイドの盛り上がり部分を脆性破壊させ、加工抵抗を小さくし、大きな切り込みを可能にすることができる。
(2)「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」に本発明に係る「単結晶ダイヤモンド多刃」を施した工具を用いて炭化ケイ素等の粗加工では、臨界切り込み深さ以上の砥石切り込みを与え、脆性破壊で加工し、粗加工で生じた過大な条痕の除去や形状精度出し等仕上げ加工においては臨界切り込み深さ以下の切り込みを与えて、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
(1)硬脆材料であるセラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃からなる主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることにより、切れ刃の両サイドの盛り上がり部分を脆性破壊させ、加工抵抗を小さくし、大きな切り込みを可能にすることができる。
(2)「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」に本発明に係る「単結晶ダイヤモンド多刃」を施した工具を用いて炭化ケイ素等の粗加工では、臨界切り込み深さ以上の砥石切り込みを与え、脆性破壊で加工し、粗加工で生じた過大な条痕の除去や形状精度出し等仕上げ加工においては臨界切り込み深さ以下の切り込みを与えて、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具及びその製造方法の最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下に説明する。
図6及び図7は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具を切削用バイトに適用した場合を説明するためのものであり、図6(a)は切削用バイトの平面図、図6(b)は同正面図、図6(c)は同側面図、図7は図6(a)のA部詳細である。
切削用バイト1は、シャンク2と該シャンク2に保持された単結晶ダイヤモンドチップ3からなる。単結晶ダイヤモンドチップ3には、主切れ刃4、副切れ刃5、すくい面6等が形成されている。主切れ刃4及び副切れ刃5を形成している面が加工抵抗を低減する逃げ面を形成している。
超精密に加工された主切れ刃4には、図7に示すように、櫛歯状の小切れ刃7が形成されている。櫛歯状の小切れ刃7を複数形成するため、レーザーで小切れ刃7の部分を残して溝8を形成する。小切れ刃7は、幅が1〜20μm、高さが5〜70μmの範囲が望ましい。また、小切れ刃7の間隔は50μm以下が望ましい。このように小切れ刃7を形成するため、溝8は、深さが小切れ刃7の高さと同じく5〜70μm、幅が10〜数十μm程度に形成される。
切削用バイト1は、シャンク2と該シャンク2に保持された単結晶ダイヤモンドチップ3からなる。単結晶ダイヤモンドチップ3には、主切れ刃4、副切れ刃5、すくい面6等が形成されている。主切れ刃4及び副切れ刃5を形成している面が加工抵抗を低減する逃げ面を形成している。
超精密に加工された主切れ刃4には、図7に示すように、櫛歯状の小切れ刃7が形成されている。櫛歯状の小切れ刃7を複数形成するため、レーザーで小切れ刃7の部分を残して溝8を形成する。小切れ刃7は、幅が1〜20μm、高さが5〜70μmの範囲が望ましい。また、小切れ刃7の間隔は50μm以下が望ましい。このように小切れ刃7を形成するため、溝8は、深さが小切れ刃7の高さと同じく5〜70μm、幅が10〜数十μm程度に形成される。
櫛歯状の小切れ刃7は、主切れ刃4のみならず主切れ刃4及び副切れ刃5に、あるいは、副切れ刃5のみに形成してもよい。
溝8を形成するレーザー加工は公知のレーザーアブレーション等の手段を用いて行われる。
溝8を形成するレーザー加工は公知のレーザーアブレーション等の手段を用いて行われる。
切削加工等では単結晶ダイヤモンド多刃工具1を切れ刃方向に揺動させることにより溝幅が大きすぎることによる不具合を防げるので、特に溝幅の制約を設ける必要はない。 脆性破壊をさせるためには前記実験より5μm以上の切り込み深さが望ましいため、櫛歯の溝の深さは5μm以上とする。また、単結晶ダイヤモンド多刃工具の切れ刃は曲線でも良く直線に限定する物でもない。
図8は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具をフライス工具に適用した場合を説明するためのものであり、図8(a)は全体斜視図、図8(b)は単結晶ダイヤモンドチップの斜視図、図8(c)は切れ刃先端の斜視図である。
図8(a)において、フライス装置10は、主軸11に正面フライス12を装着している。このフライス装置10は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具からなる正面フライス12を主軸11に複数配置してなり、いわゆる単結晶ダイヤモンドの多刃工具を構成している。
図8(a)において、フライス装置10は、主軸11に正面フライス12を装着している。このフライス装置10は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具からなる正面フライス12を主軸11に複数配置してなり、いわゆる単結晶ダイヤモンドの多刃工具を構成している。
1つの正面フライス12の単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃13は、図8(b)に示すように、端面14、周面15、すくい面16を有する。端面14および周面15が加工抵抗を低減する逃げ面を形成している。
単結晶ダイヤモンド切れ刃13の切れ刃先端は、図8(c)に示すように、実施例1に示した切削用バイトの場合と同様に、櫛歯状の小切れ刃7が形成されている。櫛歯状の小切れ刃7を複数形成するため、レーザーで小切れ刃7の部分を残して溝8を形成すること、及び、小切れ刃7、溝8の寸法関係等も切削用バイトの場合と同様である。フライス装置の場合は単結晶ダイヤモンド多刃工具を主軸周囲に複数装着することから、それぞれの切れ刃13における小切れ刃7の切れ刃方向の位置を相互にずらした構造とすることにより、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
また、加工位置を相互に補完すればよいので小切れ刃7の間隔を広くすることが可能になる。
単結晶ダイヤモンド切れ刃13の切れ刃先端は、図8(c)に示すように、実施例1に示した切削用バイトの場合と同様に、櫛歯状の小切れ刃7が形成されている。櫛歯状の小切れ刃7を複数形成するため、レーザーで小切れ刃7の部分を残して溝8を形成すること、及び、小切れ刃7、溝8の寸法関係等も切削用バイトの場合と同様である。フライス装置の場合は単結晶ダイヤモンド多刃工具を主軸周囲に複数装着することから、それぞれの切れ刃13における小切れ刃7の切れ刃方向の位置を相互にずらした構造とすることにより、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
また、加工位置を相互に補完すればよいので小切れ刃7の間隔を広くすることが可能になる。
図9は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具をドリル状工具に適用した場合を説明するための要部の斜視図である。
ドリル装置17は、単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃18を有しており、該切れ刃18には4枚の刃19を備えている。切れ刃18には加工抵抗を低減する逃げ面が形成されている。
4枚の刃19のそれぞれには、実施例1及び実施例2に示したと同様の櫛歯状の小切れ刃が形成されている。詳細な説明は省略する。
なお、このドリル装置17は実施例2のフライス装置の場合と同様に単結晶ダイヤモンド多刃工具が複数存在することから、それぞれの切れ刃13における小切れ刃7の切れ刃方向の位置を相互にずらした構造とすることにより、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
また、加工位置を相互に補完すればよいので小切れ刃7の間隔を広くすることが可能になる。
ドリル装置17は、単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃18を有しており、該切れ刃18には4枚の刃19を備えている。切れ刃18には加工抵抗を低減する逃げ面が形成されている。
4枚の刃19のそれぞれには、実施例1及び実施例2に示したと同様の櫛歯状の小切れ刃が形成されている。詳細な説明は省略する。
なお、このドリル装置17は実施例2のフライス装置の場合と同様に単結晶ダイヤモンド多刃工具が複数存在することから、それぞれの切れ刃13における小切れ刃7の切れ刃方向の位置を相互にずらした構造とすることにより、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
また、加工位置を相互に補完すればよいので小切れ刃7の間隔を広くすることが可能になる。
図10は、本発明に係る単結晶ダイヤモンド多刃工具を雌ねじ切りバイト工具に適用した場合を説明するための要部の概略側面図である。
雌ねじ切りバイト20は、単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃21を有しており、切れ刃21には、実施例1乃至実施例3に示したと同様の櫛歯状の小切れ刃が形成されている。詳細な説明は省略する。
雌ねじ切りバイト20は、単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃21を有しており、切れ刃21には、実施例1乃至実施例3に示したと同様の櫛歯状の小切れ刃が形成されている。詳細な説明は省略する。
「単結晶ダイヤモンドの多刃工具」に「単結晶ダイヤモンド多刃」を施した工具を用いて炭化ケイ素等の粗加工では、臨界切り込み深さ以上の砥石切り込みを与え、脆性破壊で加工し、粗加工で生じた過大な条痕の除去や形状精度出し等仕上げ加工においては臨界切り込み深さ以下の切り込みを与えて、塑性変形領域で切れ刃の両サイドの盛り上がりを別の切れ刃で切削加工し、粗加工と鏡面加工の仕上げ加工の両立を図ることができる。
ダイヤモンド工具に櫛歯状の溝がない場合、過大な加工抵抗を受け正常な加工が困難になる。本発明に係る深さ5μm以上の櫛歯状の工具を用いることにより小切れ刃の両サイドに盛り上がりを多く生じさせ、脆性モード加工を実現させることにより過大な加工抵抗の低減を図ることができ、より良好な加工が期待できる。
ダイヤモンド工具に櫛歯状の溝がない場合、過大な加工抵抗を受け正常な加工が困難になる。本発明に係る深さ5μm以上の櫛歯状の工具を用いることにより小切れ刃の両サイドに盛り上がりを多く生じさせ、脆性モード加工を実現させることにより過大な加工抵抗の低減を図ることができ、より良好な加工が期待できる。
1 切削用バイト
2 シャンク
3 単結晶ダイヤモンドチップ
4 主切れ刃
5 副切れ刃
6 すくい面
7 小切れ刃
8 溝
10 フライス装置
11 主軸
12 正面フライス
13 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
14 端面
15 周面
16 すくい面
17 ドリル装置
18 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
19 刃
20 雌ねじ切りバイト
21 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
2 シャンク
3 単結晶ダイヤモンドチップ
4 主切れ刃
5 副切れ刃
6 すくい面
7 小切れ刃
8 溝
10 フライス装置
11 主軸
12 正面フライス
13 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
14 端面
15 周面
16 すくい面
17 ドリル装置
18 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
19 刃
20 雌ねじ切りバイト
21 単結晶ダイヤモンドチップからなる切れ刃
Claims (6)
- セラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃を有する単結晶ダイヤモンド工具において、前記1枚の切れ刃の主切れ刃または副切れ刃を櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状とすることを特徴とする単結晶ダイヤモンド多刃工具。
- 1つの小切れ刃は、高さ5〜70μm、幅1〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の単結晶ダイヤモンド多刃工具。
- 小切れ刃の間隔が50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の単結晶ダイヤモンド多刃工具。
- 単結晶ダイヤモンド工具が切削用バイト、フライス、ドリルまたは雌ねじ切り用バイトであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の単結晶ダイヤモンド多刃工具。
- 櫛歯状の小切れ刃が複数形成された多刃形状の切れ刃を複数配置し、それぞれの切れ刃における小切れ刃の切れ刃方向の位置を相互にずらしてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の単結晶ダイヤモンド多刃工具。
- セラミックスを脆性モード加工するための単結晶ダイヤモンドからなる切れ刃にレーザ加工により溝を形成することにより櫛歯状の小切れ刃を形成することを特徴とする単結晶ダイヤモンド多刃工具の製造方法。
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