JP2008062369A - 穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法、並びに穴あけ工具の製造方法および穴あけ工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
切れ刃部15がダイヤモンド焼結体、立方晶窒化ホウ素焼結体等の超高圧焼結体から形成された、穴あけ工具200に取り付けられるチップ100の製造方法において、この穴あけ工具200に取り付ける前におけるチップ100の切れ刃部15の一部を、ワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工により、切れ刃部15からすくい面11方向に向かって切り欠いて、チップ100の厚さD方向に貫通しつつすくい面11方向にこの厚さDよりも長く伸びるスリット10を形成する工程を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
一方、アルミニウム合金、鋳鉄等を材料とする自動車のオートマティックトランスミッション部品であるコントロールバルブボディのスプール穴やエンジンなどの製造工程においては、異物の混入を回避する必要性および切りくず処理向上の観点から、穴あけ加工の際に生じる切りくずの細分化が強く要求されている。
この点、従来より、切りくずを分断するための手段としてドリル先端部の切れ刃の一部を切り欠いてニックを設けたニック付ドリルが知られている。このニック付ドリルは、通常、ニックが切れ刃から逃げ面に沿って設けられているため(図7参照)、ドリル先端部の切れ刃を再研磨する場合には再度ニックを研削加工しなければならず作業が煩雑であった。そこで、この問題を解決するために、ニックが切れ刃から溝面に沿って連続的に設けられているニック付ドリルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記特許文献1の発明では、刃部を含むボデーからシャンクまでの工具全体が同一材料からなるソリッドドリルであることから、ダイヤモンド焼結体や立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体により切れ刃を形成すると、材料費が非常に高いことから製造コストが高くなってしまうという問題があった。また、ニック溝が、切れ刃から切屑排出溝の溝面に沿って、切屑排出溝と平行に連続して延びるように設けられることから、ニック溝を加工するのに長時間を要し製造効率が極めて悪いという問題があった。
請求項1に記載の発明は、略平板状をなし、この上面に設けられたすくい面と、このすくい面と交差する側面に設けられた逃げ面と、これらすくい面と逃げ面との交差稜線部に設けられた切れ刃部とを有し、この切れ刃部がダイヤモンド焼結体、立方晶窒化ホウ素焼結体等の超高圧焼結体から形成された、穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法であって、この穴あけ工具に取り付ける前におけるチップの切れ刃部の一部を、ワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工により、切れ刃部からすくい面方向に向かって切り欠いて、チップの厚さ方向に貫通しつつすくい面方向に伸びるスリットを形成する工程を備えることを特徴とする。
図1は、本発明の穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法により製造されたチップの一実施例に係るチップを示す斜視図である。そして、図2は、本発明の穴あけ工具の製造方法により製造された穴あけ工具の一実施例に係る図1のチップが接合されたドリルを示す正面図であり、図3はその左側面図、図5はその刃先部分の拡大図である。また、図4(a)は、図2に示すドリルのチップ取付前におけるチップ取付座の斜視図であり、図4(b)はそのチップ取付後におけるチップ取付座の斜視図である。さらに、図6は、本実施例に係るドリルの切りくず分断機構を説明する模式図である。
そして、この円盤状のブランクスからワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工により、略平板状に切り出し、その上面に設けられたすくい面11と、そのすくい面11と交差する側面に設けられた逃げ面12との交差稜線部に、切れ刃部15を有するチップを得る。
こうして得られたチップの切れ刃部15の一部を、ワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工により、その切れ刃部15からすくい面11を構成する上面方向に切り欠いて、チップの厚さD方向に貫通しつつすくい面11方向に伸びる、クシ歯のような切りくず分断のためのスリット10を1または2以上形成することにより(図1参照)、ドリルに取り付けられるチップ100を製造する。
そして、この接合されたチップ100,100の各切れ刃部15,15を研磨して一対の切れ刃15,15を形成することによりドリル200を製造する(図2参照)。
本実施例に係るドリル200は、図2および図3に示されるように、略棒状をなし、先端部に一対のチップ取付座20,20を有し、外周面に先端から後端側に向けて伸びる切屑排出溝21を有するボデー22と、このボデー22の後端に一体的に形成されるシャンク23とから構成されている。
そして、ドリル本体200の先端部における側部においてドリル回転軸に対して対称になるように互いに配置された一対のチップ取付座20,20に、切れ刃15,15として2枚のチップ100,100を一体的に接合した上で、ドリル本体200を回転させつつ軸方向に前進させて使用される。
そして、2枚のチップ100,100がドリル本体200のチップ取付座20,20に接合され(図4参照)、切れ刃部15,15がドリル回転軸の対称位置となるように設置されて使用される。
つまり、このドリル200は2枚の切れ刃15,15により穴あけを行うことになる。
したがって、切れ刃15の耐摩耗性が高く、極めて優れた工具寿命を得ることができる。これら超高圧焼結体のうち、特に、ダイヤモンド焼結体は、アルミニウム合金や銅合金と溶着しにくいため、アルミニウム合金や銅合金の加工において仕上げ面粗さ等の加工穴の加工精度に優れる点で有用であり、立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体は、鉄と反応しにくいため焼入鋼や鋳鉄等の仕上げ加工において高精度の仕上げ面が得られる点で有用である。また、チップ100を切れ刃としてドリル本体の先端部に接合した付刃ドリル200であることから、工具全体を超高圧焼結体から形成する必要がないので、ソリッドドリルに比べ製造コストを低く押さえることができる。
例えば、切れ刃部15に1つのスリット10が形成されたチップを2つ装着した2枚刃ドリル200を用いて穴あけを行うと、2枚の切れ刃15,15の各々のスリット箇所10,10において切りくずが縦に2分割されることとなるが(図6(a)参照)、2つのスリットが形成されたチップを装着した場合には切りくずが3分割されることになるため、2分割の場合よりも幅の狭い切りくずを得ることができる。つまり、スリット数を増加することにより切りくずの微細化を図ることが可能となる。
この場合において、スリット数を増加することによる切りくずの微細化の点を考慮すると、スリット幅Wは小さくすることが好ましい。チップ幅Wが一定のときは、スリットの幅Wが狭ければ狭いほどスリット数を増加することができるからである。
この点、本実施例に係るドリル200においては、チップ取付座20に接合する前のチップ100の切れ刃部15に、あらかじめワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工によりスリット10を形成することになるので、このようなスリット幅Wが0.2mm以上0.8mm以下の狭いスリットであっても、容易に能率よく加工形成することができる。
このように切りくず分断のためのスリット10が、所定の長さLで切れ刃15からすくい面11に沿って伸びるように構成されることから、ドリル200の切れ刃15を再研磨した場合に、スリット10を再成形しなくても新品時と同様の性能を得ることができる。つまり、切れ刃15を再研磨する度にスリット10を再加工する必要がないため、研磨の前後においてスリット10の位置、形状等がずれることがなく、再研磨前と同様の加工穴の表面粗さ、真円度等を得ることができる。よって、再研磨毎にニックを加工する必要がある、図7に示されるような、切りくず分断のためのニック30が切れ刃から逃げ面32に沿って設けられている従来のニック付ドリル300に比べ、作業効率に優れる。
11 すくい面
12 逃げ面
15 切れ刃(切れ刃部)
20 チップ取付座
100 チップ
200 ドリル
A チップ幅
D スリットの深さ(チップの厚さ)
L スリットの長さ
W スリット幅
Claims (3)
- 略平板状をなし、この上面に設けられたすくい面と、このすくい面と交差する側面に設けられた逃げ面と、これらすくい面と逃げ面との交差稜線部に設けられた切れ刃部とを有し、この切れ刃部がダイヤモンド焼結体、立方晶窒化ホウ素焼結体等の超高圧焼結体から形成された、穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法であって、
この穴あけ工具に取り付ける前におけるチップの切れ刃部の一部を、ワイヤカット、レーザー加工、電子ビーム加工等の放電加工により、前記切れ刃部から前記すくい面方向に向かって切り欠いて、前記チップの厚さ方向に貫通しつつ前記すくい面方向に伸びるスリットを形成する工程を備える
ことを特徴とする穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法。 - 請求項1に記載の穴あけ工具に取り付けられるチップの製造方法により製造された穴あけ工具に取り付けられるチップを、穴あけ工具本体の先端部に形成されたチップ取付座に載置し、前記スリットが工具先端側から後端側に向かって伸びるように配置する工程と、
前記チップ取付座に前記穴あけ工具に取り付けられるチップを接合する工程と、
この接合された穴あけ工具に取り付けられるチップの前記切れ刃部を研磨して切れ刃を形成する工程を備える
ことを特徴とする穴あけ工具の製造方法。 - 請求項2に記載の穴あけ工具の製造方法により製造された
ことを特徴とする穴あけ工具。
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