JP6736151B2 - カッターホイール並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、前記最上段の左右の斜面が交わる角度が100〜150°となるように形成するのがよい。
また、三次加工工程では、円板状ボディの厚みの半分以下となった三段目の斜面のみを希望する表面粗さに仕上げ加工するものであるから、従来のような刃先斜面の全幅を加工するのに比べて、加工領域が大幅に少なくなって無駄なく迅速に仕上げ加工することができる。この利点は、硬く、異なる結晶方位の影響を受けやすい単結晶ダイヤモンドのみからなるカッターホイールの加工において特に顕著に現れる。これにより、全周において凹凸のない滑らかな刃先斜面を備え、刃こぼれが少なく使用寿命の長い単結晶ダイヤモンド製のカッターホイールを効率的に製造することができる。
カッターホイールの素材が多結晶ダイヤモンド焼結体である場合にはあまり問題にならなかったが、近年、単結晶ダイヤモンドからなるカッターホイールでは、表面の微細なキズ(亀裂)が起点となって割れが進行しやすい性質を有していることがわかってきた。特に、単結晶ダイヤモンドを円板状に加工し、さらにその外周に刃先を形成する場合、円周上では周期的に異なる結晶方位の影響を受けるため、特定の箇所で微細なキズ(亀裂)が現れやすい。そのため、算術平均粗さ(Ra)だけでなく、稜線の最大高さ粗さ(Rz)の値についても、異なる結晶方位の影響を受ける複数の箇所で同程度に小さくなるようにされていることが割れの防止に有効であることが判明した。すなわち、稜線の山高さの最大値と谷深さの最大値との和である稜線の最大高さ粗さ(Rz)が、外周上で上述の値より大きくなる箇所がないように加工して、カッターホイール表面の算術平均粗さ(Ra)の値に現れにくい局所的な凹凸をも減らすことによって、スクライブ時にカッターホイールが局所的かつ集中的な荷重を受けて割れが生じるというトラブルを低減することができるようになる。
図1(a)は本発明に係るカッターホイールAを示す正面図であり、図1(b)は側面図であり、図1(c)は刃先部分の拡大図である。このカッターホイールAは、単結晶ダイヤモンドのみで作製され、中心に軸受孔3を備えた円板状ボディ1の外周面に刃先部2が設けられている。本実施例ではカッターホイールAの直径Dが2mm、厚みtが650μm、三段目(最上段)の斜面の交わる角度が120°となるように形成した。
この実質的な刃先となる三段目の斜面2c、2cの稜線からの斜面に沿った幅L1は、直径2mmで厚み650μmのカッターホイールAでは片側10〜50μmとなるように形成するのが好ましい。三段目(最上段)の斜面の交わる角度が120°で、斜面に沿った幅L1が片側50μmのとき、三段目の左右の斜面部を合わせた厚さ方向の幅は約80μmとなる。
図2(a)は刃先加工前の円板状ボディ101を示す。この円板状ボディ101は、側面視すると円形で外周面が平らであり、中心には貫通した軸受孔3が設けられている。円板状ボディ101の厚みtは、完成したカッターホイールAの厚みと同じ650μmである。
一次加工工程では、除去される領域S1が大きい、すなわち、加工領域が大きいので、研磨によって加工する場合には粒度の粗い研磨砥石、例えば粒度400〜1000番、好ましくは600〜900番の粗研磨砥石を用いて研磨する。
この二次加工工程では、加工によって除去される領域S2、すなわち、加工領域が一次加工工程の加工領域S1に比べて格段に少ないので、研磨によって加工する場合には一次加工工程で用いた研磨砥石よりも粒度の細かい研磨砥石、例えば粒度2000〜8000番、好ましくは3000〜5000番の研磨砥石を用いて研磨することができる。これにより、二段目の斜面2bは一段目の斜面2aよりも小さな凹凸面できれいに加工される。
三次加工工程では、加工によって除去される領域S3が二次加工工程の加工領域S2に比べてさらに少なくなり、しかも削られる二段目の斜面2bの表面の凹凸が先の二次加工工程によって小さくなっている。このため、研磨によって加工を行う場合には二次加工工程で用いた研磨砥石よりもさらに粒度の細かい仕上げ用の研磨砥石、例えば粒度10000〜30000番の研磨砥石を用いることができる。これにより、希望する表面粗さまで、すなわち、JIS0601:2013で規定する算術平均粗さ(Ra)で0.03μm以下、好ましくは0.01μmまで容易に研磨することができる。
また、本実施例では一次加工工程、二次加工工程、三次加工工程において研磨により加工領域を形成したが、その他の加工方法によって加工領域を形成してもよい。例えば、レーザー加工や、ホウ素やリン等の不純物をドープして導電性を持たせた単結晶ダイヤモンドの場合は放電加工を利用することができる。加工領域領域の大きな一次加工工程においてはレーザー加工や放電加工を用いることで加工時間を短くすることができる。一方、加工後の表面粗さを小さくするためには、三次加工は研磨加工を行うことが好ましい。
その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
L1 三段目(最上段)の斜面の幅
α3 三段目の斜面の交点角度
1 円板状ボディ
2 刃先部
2a 一段目(最下段)の斜面
2b 二段目の斜面
2c 三段目の斜面
2d 稜線
3 軸受孔
Claims (8)
- 外周面に刃先部を備えた単結晶ダイヤモンドからなるカッターホイールであって、
前記刃先部が、左右対称的な三段の斜面と、最上段の左右の斜面の交点に形成された稜線とからなり、
前記三段の各斜面の傾斜角は、上段の斜面が下段の斜面より緩やかになるように形成され、
前記最上段の斜面と前記稜線とがスクライブ対象となる脆性材料基板に食い込む実質的な刃先を形成するように構成され、
前記最上段の斜面部の厚さ方向の幅が円板状ボディの厚みの半分以下であり、前記最上段の斜面の表面粗さが、算術平均粗さで0.03μm以下であり、前記稜線の最大高さ粗さが0.3μm以下となるように形成されているカッターホイール。 - 前記最上段の左右の斜面が交わる角度が100〜150°である請求項1に記載のカッターホイール。
- 前記稜線の最大高さ粗さが0.1μm以下である請求項1又は請求項2に記載のカッターホイール。
- 前記稜線の最大高さ粗さが0.05μm以下である請求項3に記載のカッターホイール。
- 左右対称的な三段の斜面と、最上段の斜面の交点に形成された稜線とからなる刃先部を外周面に備え、前記三段の各斜面は、上段の斜面が下段の斜面より緩やかな傾斜角となるように形成された単結晶ダイヤモンド製のカッターホイールの製造方法であって、
円形状ボディの円周面の両側縁を除去して最下段の斜面を形成する一次加工工程と、
前記一次加工工程によって形成された最下段の斜面の一部を加工して二段目の斜面を形成する二次加工工程と、
前記二次加工工程によって形成された二段目の斜面の一部を加工して最上段の斜面を形成する三次加工工程とからなり、
前記三次加工工程では前記最上段の斜面の表面粗さが算術平均粗さで0.03μm以下であり、前記稜線の最大高さ粗さが0.3μm以下となるように加工し、
前記三次加工工程で加工される最上段の斜面部の厚さ方向の幅が円板状ボディの厚みの半分以下となるように加工するようにしたカッターホイールの製造方法。 - 前記三次加工工程において、前記最上段の左右の斜面が交わる角度が100〜150°となるように加工するようにした請求項5に記載のカッターホイールの製造方法。
- 前記稜線の最大高さ粗さが0.1μm以下である請求項5又は請求項6に記載のカッターホイールの製造方法。
- 前記稜線の最大高さ粗さが0.05μm以下である請求項7に記載のカッターホイールの製造方法。
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