JP2008173780A - バックプリント用シートおよびバックプリント粘着シート - Google Patents

バックプリント用シートおよびバックプリント粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】焼却処分時の有害ガスの発生がなく、良好なインキ密着性、耐候性および印刷作業性を有するバックプリント用シートおよびバックプリント粘着シートを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるポリオレフィン系樹脂層21の両側に、アイオノマー系樹脂を主成分として構成されるアイオノマー系樹脂層22,23が積層されてなる樹脂フィルム20を備えたバックプリント用シート2であって、アイオノマー系樹脂層22,23の少なくとも一方の層には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されており、JIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であり、JIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であり、ヤング率が120〜1500MPaであるバックプリント用シート2。
【選択図】図1

Description

本発明は、裏印刷による模様、文字等が表面側から見えるバックプリント用シート、およびそのバックプリント用シートを用いたバックプリント粘着シートに関するものである。
従来より、透明樹脂フィルムに裏印刷を施して、その裏印刷による模様、文字等が透明樹脂フィルムの表面側から見えるバックプリント用シートが提案されている(特許文献1参照)。
バックプリント用シートの透明樹脂フィルムとしては、スクリーンインキの密着性、耐候性、柔軟性等を考慮して、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂系のフィルムが使用されてきた。しかし、従来の材質では、焼却処分する際、PVC樹脂が熱分解し、塩化水素などの有害な塩素化物ガスが発生するおそれがあった。
また、印刷時においては、フィルム単体で作業を行ってきたが、PVC樹脂系のフィルムはハンドリング性が悪く、印刷作業性、ひいては歩留まりが低下するという問題があった。さらに、印刷インキによってPVC樹脂系のフィルムが軟化してしまうという欠点もあった。
非PVC樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられるが、これらの樹脂からなるフィルムでは、屋外に長期間さらされた場合に、光沢が低下するという問題が生じる。また、アルミニウム等の金属粉(メタリック粉)を含有したインキで印刷を施した場合には、屋外に長期間さらされた場合に、インキ密着性が低下したり、フィルムクラック等が生じたりすることがある。
特開平4−85383公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、焼却処分時の有害ガスの発生がなく、良好なインキ密着性、耐候性および印刷作業性を有するバックプリント用シートおよびバックプリント粘着シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるポリオレフィン系樹脂層の両側に、アイオノマー系樹脂を主成分として構成されるアイオノマー系樹脂層が積層されてなる樹脂フィルムを備えたバックプリント用シートであって、前記アイオノマー系樹脂層の少なくとも一方の層(好ましくはシート表面側の層)には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されており、JIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であり、JIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であり、ヤング率が120〜1500MPaであることを特徴とするバックプリント用シートを提供する(請求項1)。
なお、本明細書において、「シート」にはフィルムの概念、「フィルム」にはシートの概念が含まれるものとする。
上記発明(請求項1)に係るバックプリント用シートは、良好な印刷作業性を有するとともに、屋外に長期にさらされた場合であっても、インキ密着性が高く、またフィルムクラックや光沢低下等の発生が防止されて、耐候性に優れる。
上記発明(請求項1)においては、前記アイオノマー系樹脂層の両方の層に、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されていることが好ましい(請求項2)。
上記発明(請求項1,2)においては、前記ポリオレフィン系樹脂層に、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されていることが好ましい(請求項3)。
上記発明(請求項1〜3)においては、前記樹脂フィルムの片面に印刷インキ密着用のコート層が設けられていることが好ましい(請求項4)。
上記発明(請求項1〜4)においては、前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であってもよいし(請求項5)、前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であってもよい(請求項6)。
また、上記発明(請求項1〜4)においては、ポリオレフィン系樹脂層が、ポリプロピレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物を主成分とする中心層と、前記中心層の両側に位置する、ポリエチレン系樹脂を主成分とするポリエチレン系樹脂層とからなってもよい(請求項7)。
上記発明(請求項1〜7)においては、前記樹脂フィルムの総厚に占める前記ポリオレフィン系樹脂層の厚さの比率が、50〜90%であることが好ましい(請求項8)。
上記発明(請求項1〜8)において、前記アイオノマー系樹脂層は、亜鉛系のアイオノマー系樹脂を主成分として構成されることが好ましい(請求項9)。
上記発明(請求項1〜9)においては、前記樹脂フィルムの非コート層面(コート層がない面またはコート層が形成されない面)側に、支持層(例えば工程材料)が積層されていることが好ましい(請求項10)。
第2に本発明は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるポリオレフィン系樹脂層の両側に、アイオノマー系樹脂を主成分として構成されるアイオノマー系樹脂層が積層されてなる樹脂フィルムを備えたバックプリント用シートと、前記バックプリント用シートの一方の側に設けられた印刷層と、前記印刷層における前記バックプリント用シートの反対側に設けられた粘着剤層とを備え、前記アイオノマー系樹脂層の少なくとも一方の層には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されており、前記バックプリント用シートのJIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であり、前記バックプリント用シートのJIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であり、前記バックプリント用シートのヤング率が120〜1500MPaであることを特徴とするバックプリント粘着シートを提供する(請求項11)。
上記発明(請求項11)に係るバックプリント粘着シートは、焼却処分時の有害ガスの発生がなく、かつ、屋外に長期にさらされた場合であっても、インキ密着性が高く、またフィルムクラックや光沢低下等の発生が防止されて、耐候性に優れる。
上記発明(請求項11)においては、前記バックプリント用シートにおける前記樹脂フィルムの片面に、印刷インキ密着用のコート層が設けられていることが好ましい(請求項12)。
上記発明(請求項11,12)においては、前記バックプリント用シートの表面に、支持層(例えば工程材料・アプリケーションシート)が設けられていることが好ましい(請求項13)。
本発明のバックプリント用シートは、良好な印刷作業性を有するとともに、屋外に長期にさらされた場合であっても、インキ密着性が高く、またフィルムクラックや光沢低下等の発生が防止されて、耐候性に優れる。また、本発明のバックプリント粘着シートは、焼却処分時の有害ガスの発生がなく、かつ、屋外に長期にさらされた場合であっても、インキ密着性が高く、またフィルムクラックや光沢低下等の発生が防止されて、耐候性に優れる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバックプリント粘着シート1の断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るバックプリント粘着シート1は、バックプリント用シート2と、バックプリント用シート2の裏面(図1中下面)に積層された印刷層3と、印刷層3の裏面(図1中下面)に積層された粘着剤層4と、粘着剤層4の粘着面(図1中下面)に積層された剥離材5と、バックプリント用シート1の表面(図1中上面)に積層された支持層6とを備えて構成される。なお、剥離材5は、バックプリント粘着シート1の貼付前に剥離されるものであり、支持層6は、バックプリント粘着シート1の貼付後に剥離されるものである。
バックプリント用シート2は、ポリオレフィン系樹脂層21の両側にアイオノマー系樹脂層22,23が積層された樹脂フィルム20からなる。
本バックプリント用シート2では、ポリオレフィン系樹脂層21を使用することにより、PVC樹脂のように焼却処分時に有害ガスが発生することを防止することができる。また、ポリオレフィン系樹脂層21は、所望の物性(ヤング率,降伏点強度等)に調整し易いため、バックプリント用シート2のハンドリング性を良好なものとし、印刷作業性、歩留まりを向上させることができる。
一方、本バックプリント用シート2では、アイオノマー系樹脂層22,23を使用することにより、屋外に長期間さらされた場合であっても、光沢の低下を防止することができる。また、印刷層3のインキとして、アルミニウム等の金属粉(メタリック粉)を含有したインキを使用した場合であっても(この場合、特に密着性が低下し易く、フィルムクラック等が生じ易い。)、良好なインキ密着性を示し、またフィルムクラックの発生を防止することができる。
ポリオレフィン系樹脂層21は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される層であり、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等を単独で、またはそれらの混合物を使用することができる。
ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のいずれであってもよい。ポリエチレン系樹脂は、アイオノマー系樹脂層22,23との密着性に優れるという利点がある。
ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体に代表されるランダムポリプロピレンまたはブロックポリプロピレン等のいずれであってもよい。ポリプロピレン系樹脂は、フィルム強度設計が行い易いという利点がある。
ポリオレフィン系樹脂層21が複数層からなる場合には、ポリオレフィン系樹脂層21は、図2に示すように、ポリプロピレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物を主成分とする中心層211と、その中心層の両側に位置する、ポリエチレン系樹脂を主成分とするポリエチレン系樹脂層212,213とからなることが好ましい。
アイオノマー系樹脂層22,23と接触する面にポリエチレン系樹脂層212,213を配置することにより、ポリオレフィン系樹脂層21とアイオノマー系樹脂層22,23との密着性が優れたものとなる。一方、中心層211を、ポリプロピレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物によって構成することにより、目的とするフィルム強度設計を行うことができる。
中心層211がポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物を主成分とする場合、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との比率は、質量比で10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂層21の総厚に占める中心層211の厚さの比率は、50〜90%であることが好ましく、特に55〜85%であることが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂には、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤等を添加することができるが、バックプリント粘着シート1の耐候性をより向上させるためにも、少なくとも紫外線吸収剤および光安定剤を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤を使用することができる。
紫外線吸収剤の添加量は、バックプリント用シート2として紫外線透過率が45%以下となる量であれば特に限定されるものではなく、通常使用される量とすればよい。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系等の光安定剤を使用することができる。光安定剤の添加量は、特に限定されるものではなく、通常使用される量とすればよい。
アイオノマー系樹脂層22,23は、アイオノマー系樹脂を主成分として構成される層である。アイオノマー系樹脂は、オレフィンを主成分とし、分子間にイオン架橋を導入して得られる熱可塑性樹脂である。
アイオノマー系樹脂のイオン架橋の陰イオン部としては、カルボキシル基が用いられ、陽イオン部としては、金属イオンや有機系の陽イオンが用いられる。具体的には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体や不飽和カルボン酸グラフト変性樹脂またはこれらの混合物のカルボキシル基を、金属陽イオンや有機アミンイオンまたはこれらの混合イオンで部分的にまたは完全に中和したものが使用される。なお、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル等を第三成分として共重合させたものであってもよい。
不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸または二塩基性カルボン酸のハーフエステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸グラフト変性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系共重合体をベース樹脂としたものが好ましい。
金属陽イオンとしては、Na、K、Li、Ca、Mg、Zn、Cu、Co、Ni、Mn、Al等の陽イオンが挙げられる。有機アミンイオンとしては、n−ヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−ビス−アミノメチルシクロヘキサン等のモノまたはポリアミン等が挙げられる。上記の混合イオンとしてはZn、Co、Cu等の遷移金属と有機アミンとの錯イオン等が挙げられる。
上記陽イオンの中でも、特にZnのイオンを使用することが好ましい。Znのイオンを使用したZn系のアイオノマー樹脂を用いることにより、耐候性が高いものとなる。
上記陽イオンによるカルボキシル基の中和度は、低過ぎるとポリオレフィン系樹脂との親和性がなくなり、アイオノマー系樹脂層22,23とポリオレフィン系樹脂層21との密着性が低下するおそれがあるため、1〜100モル%が好ましい。
アイオノマー系樹脂層22,23のうち、少なくとも一方の層、好ましくはバックプリント用シート2の表面側(図1中上側)に位置するアイオノマー系樹脂層22には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されている必要がある。アイオノマー系樹脂層に紫外線吸収剤および光安定剤を添加することにより、光沢の低下およびフィルムクラックをより効果的に防止することができる。好ましくは、他方のアイオノマー系樹脂層にも紫外線吸収剤および光安定剤を添加する。
紫外線吸収剤および光安定剤の種類としては、前述したものを例示することができる。紫外線吸収剤の添加量は、バックプリント用シート2の紫外線透過率が45%以下となる量であれば特に限定されるものではなく、通常使用される量とすればよい。
アイオノマー系樹脂層22,23にも、必要に応じて、充填剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤等を添加することができる。
ポリオレフィン系樹脂層21およびアイオノマー系樹脂層22,23の厚み比は、要求に応じて適宜選択されるが、アイオノマー系樹脂層22,23は高価であるため、所望の特性を得ることができる程度の厚みであればよい。具体的には、樹脂フィルム20の総厚に占めるポリオレフィン系樹脂層21の比率が50〜90%(=アイオノマー系樹脂層22,23の比率が10〜50%)であることが好ましく、特に、55〜85%(=アイオノマー系樹脂層22,23の比率が15〜45%)であることが好ましい。適宜選択された安価なポリオレフィン系樹脂層21で中間層を充当することにより、アイオノマー単体よりも幅広い弾性率(ヤング率)、降伏点強度等の物理的な特性の調整が可能となる。
樹脂フィルム20の厚さは、40〜350μmであることが好ましく、特に50〜300μmであることが好ましい。樹脂フィルム20の厚さが40μm以上であることにより、バックプリント粘着シート1の貼付適性が良好なものなり、また、被着体の凹凸を拾い難く、被着体の凹凸によって外観を損ねるおそれがない。一方、樹脂フィルム20の厚さが350μm以下であると、被着体との段差(高低差)が大きくなく、バックプリント粘着シート1の端部に衝撃等が加わった場合であっても、バックプリント粘着シート1が剥がれてしまうことを防止することができる。
コート層24は、印刷インキ密着のために設けられるものである。コート層24の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂等が挙げられ、それらの中でも、アクリル変性ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂等が好ましい。
コート層24は、樹脂フィルム20に対してコロナ処理、プラズマ処理、火炎照射、電子線照射、紫外線照射等のぬれ性を改善する表面処理、好ましくはコロナ処理を施した上で、その面上に形成することが好ましい。これにより、コート層24と樹脂フィルム20との密着性を向上させることができ、したがって、バックプリント用シート2と印刷層3との密着性をより向上させることができる。
コート層24の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、特に0.05〜5μmであることが好ましい。コート層24の厚さが10μmを超えると、クラックが入り易くなるおそれがある。
バックプリント用シート2は、JIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であることが必要であり、好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。バックプリント用シート2の紫外線透過率が上記範囲にあることにより、目的とするインキ密着性および耐候性を得ることができる。
また、バックプリント用シート2は、JIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であることが必要であり、好ましくは80%以上である。バックプリント用シート2の可視光線透過率が上記範囲にあることにより、印刷層3の模様、文字等をバックプリント用シート2の表面側から見ることができる。
バックプリント用シート2のヤング率(JIS K7127に準拠)は、120〜1500MPaであることが必要であり、好ましくは200〜1200MPaである。バックプリント用シート2のヤング率が120MPa未満であると、柔らか過ぎて貼付適性が損なわれ、また貼り直し時にシートの伸びが発生するおそれがある。一方、バックプリント用シート2のヤング率が1500MPaを超えると、バックプリント粘着シート1の被着体への曲面追従性が低くなる。
本バックプリント用シート2は、光沢の低下が抑制されたものであるが、具体的には、促進耐候性試験2,000時間後の光沢保持率が70%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましい。
なお、バックプリント用シート2の表面の形態は特に限定されるものではなく、グロス調であってもよいし、マット調であってもよいし、また各種エンボス柄が付されていてもよい。
印刷層3を構成する印刷インキは、特に限定されるものではなく、所望の印刷で使用されるものを用いることができ、メタリック粉を含有するインキであってもよい。また、印刷層3は、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
印刷層3の厚さは、0.5〜60μmであることが好ましく、特に1〜50μmであることが好ましい。印刷層3の厚さが60μmを超えると、クラックが入り易くなる。
粘着剤層4を構成する粘着剤の種類としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられ、中でも耐候性を有するアクリル系粘着剤が好ましい。また、粘着剤はエマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれであってもよい。
粘着剤層4の厚さは、通常は5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度であるが、バックプリント粘着シート1の用途に応じて適宜変更することができる。
剥離材5の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものが挙げられるが、中でも、両面がポリエチレン樹脂でラミネートされた上質紙に剥離処理を施した剥離紙を使用することが平判適性の観点から好ましい。
剥離材5の厚さは、通常10〜250μm程度であり、好ましくは20〜200μm程度である。
支持層6の材料は、バックプリント用シート2の印刷時のハンドリング適性や、バックプリント粘着シート1の貼付適性を向上させることができるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂フィルム20の製膜時に使用された工程材料であってもよいし、別途貼付した工程材料またはアプリケーションシートであってもよい。
工程材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、上質紙、グラシン紙等の紙、それらの紙にポリエチレン樹脂等をラミネートしたラミネート紙などの各種紙、またはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂フィルムを、必要に応じて、シリコーン系、ポリエステル系、アクリル系、アルキド系、ウレタン系等の剥離剤または合成樹脂で剥離処理したもの、またはさらにアクリル系接着剤もしくはアクリル系粘着剤等からなる擬似接着層や再剥離性粘着剤層を積層したものを使用することができる。工程材料の厚さは、通常20〜300μm程度であり、好ましくは30〜200μm程度である。
バックプリント粘着シート1の製造は、常法によって行えばよい。例えば、最初にバックプリント用シート2としての樹脂フィルム20を製造した後、樹脂フィルム20の一方の面(アイオノマー系樹脂層23側の面)にコート層24を形成する。コート層24の形成には、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機を使用することができる。
次いで、樹脂フィルム20の他方の面(アイオノマー系樹脂層22側の面)に、支持層6としての工程材料を貼付する。なお、コート層24の形成、支持層6の貼付は逆の順でもよい。そして、コート層24に対して印刷加工を施し、印刷層3を形成する。印刷方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
一方、剥離材5の剥離処理面上に、粘着剤の塗布剤を塗工して粘着剤層4を形成する。塗工には、前述した塗工機を使用することができる。このようにして形成した粘着剤層4を、上記印刷層3に貼り合わせて、バックプリント粘着シート1を得る。
得られたバックプリント粘着シート1は、上記工程材料を剥がしてから、所望の形状にハーフカットし、続いて、アプリケーションシートを貼付してから、所望の形状に全抜きする方法で通常は加工される。
以上説明した通り、本実施形態に係るバックプリント粘着シート1は、焼却処分時の有害ガスの発生がなく、良好なインキ密着性、耐候性および印刷作業性を有する。かかるバックプリント粘着シート1は、例えば、自動車、二輪車等の車両など、屋外で使用されるものに貼付されるバックプリント粘着シートとして好ましく用いることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本実施形態に係るバックプリント粘着シート1は、コート層24、剥離材5および支持層6を備えたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、コート層24、剥離材5および支持層6は、それぞれ省略されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
樹脂フィルムとして、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,30μm)と、低密度ポリエチレン(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有,10μm)と、ホモポリプロピレン(ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有,120μm)と、低密度ポリエチレン(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有,10μm)と、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,30μm)とを、その順に積層したもの(総厚200μm,片面ツヤ−片面マット)を作製した。
上記樹脂フィルムのマット面に、ウレタン変性ポリエステル樹脂(リンテック社製,X−2011)を、厚さが0.2μmとなるようにバーコーターによって塗布して印刷インキ密着用のコート層を形成し、バックプリント用シートを得た。
次いで、図3に示すように、バックプリント用シート2のコート層に対して、スクリーン印刷(ミノグループ社製,ミノマット5560を使用)により、ブラック(B)(厚さ:約8μm)およびシルバー(S)(厚さ:約8μm)の2色印刷を施した後、全面にホワイト(W)(厚さ:約5μm)の印刷を施した。各色を印刷した後、それぞれ室温で24時間放置して乾燥させた。
ブラックのインキとしては、セイコーアドバンス社製の「SG700 ブラック710 グロス」(アルミニウム粉末を含有したインキ)を使用し、シルバーのインキとしては、セイコーアドバンス社製の「SG700 シルバー606K 300N」(アルミニウム粉末を含有したインキ)を使用し、ホワイトのインキとしては、セイコーアドバンス社製の「SG700 ホワイト120 グロス」(アルミニウム粉末を含有したインキ)を使用した。
一方、軽剥離タイプの剥離材と粘着剤層(アクリル系粘着剤)と重剥離タイプの剥離材との積層体として、リンテック社製の「ノンキャリア7LKP106910LL」を用意した。この積層体から、軽剥離タイプの剥離材を剥がし、露出した粘着剤層(厚さ:45μm)を上記印刷層に貼り合わせ、バックプリント粘着シートを得た。
〔実施例2〕
樹脂フィルムとして、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,20μm)と、低密度ポリエチレン(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有,160μm)と、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,20μm)とを、その順に積層したもの(総厚200μm,片面ツヤ−片面マット)を作製した。
上記樹脂フィルムを使用する以外、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔実施例3〕
樹脂フィルムとして、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,20μm)と、ランダムポリプロピレン(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有,160μm)と、エチレン・メタクリル酸共重合物のZn系アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製,ハイミラン1554UV,20μm)とを、その順に積層したもの(総厚200μm,片面ツヤ−片面マット)を作製した。
上記樹脂フィルムを使用する以外、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔実施例4〕
低密度ポリエチレンにおける紫外線吸収剤の含有量を低減した以外、実施例2と同様にして樹脂フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムを使用して、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔実施例5〕
上質紙(秤量:110g/m)の両面をそれぞれ低密度ポリエチレンでラミネート(厚さ:30μm)し、その片面に、アクリル系粘着剤(リンテック社製,MX)を厚さ15μmとなるように塗布し、擬似接着層を形成したものを工程材料として用意した。
この工程材料を、実施例2で得られた樹脂フィルムの表面に貼り付けた。得られた積層体を使用して、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔実施例6〕
低密度ポリエチレンに無機充填剤としてシリカを練り込んだ以外、実施例2と同様にして樹脂フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムを使用して、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔比較例1〕
樹脂フィルムに代えて、厚さ200μmのポリ塩化ビニルフィルムを使用する以外、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔比較例2〕
樹脂フィルムに代えて、厚さ200μmのポリプロピレン系フィルム(JSRトレーディング社製,PTS6100−200,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有)を使用する以外、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔比較例3〕
樹脂フィルムに代えて、厚さ200μmのポリプロピレン系フィルム(JSRトレーディング社製,PTS6100−200 5th,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有)を使用する以外、実施例1と同様にしてバックプリント用シート、そしてバックプリント粘着シートを製造した。
〔試験例〕
(1)物性の測定
実施例および比較例で使用した樹脂フィルムについて、以下のようにして、ヤング率、紫外線透過率および可視光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
ヤング率の測定:樹脂フィルムから測定用サンプル(幅=15mm;長さ=150mm)を切り出し、チャック間の距離が100mmになるように上記測定用サンプルを引張試験機(オリエンテック社製,TENSILON RTA−100)に固定し、試験速度20mm/分にてJIS K7127に準拠して測定した。
紫外線透過率の測定:JIS A5759に従って、島津製作所社製の分光光度計UV−3101PCおよびマルチパーパス大型ユニットMPC−3100型を用いて測定した。
可視光線透過率の測定:JIS A5759に従って、島津製作所社製の分光光度計UV−3101PCおよびマルチパーパス大型ユニットMPC−3100型を用いて測定した。
(2)印刷作業性の評価
実施例および比較例において、スクリーン印刷を行うときの印刷作業性を評価した。印刷機としては、ミノグループ社製のミノマット5560(半自動機,煽り方式)を使用した。判定基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
◎:半自動スクリーン印刷後のハンドリング性が良好であった。
○:半自動スクリーン印刷後のハンドリング性は◎より劣るが、印刷後のフィルム軟化はなかった。
×:半自動スクリーン印刷後のハンドリング性が◎より劣っており、印刷後のフィルム軟化も認められた。
ここで、ハンドリング性とは、シートを印刷ステージからラックへ移動させるときの作業性をいう。具体的には、搬送時にシートが折れ曲がったりすることがないことを作業性が良好であるという。
(3)インキ密着性の評価
実施例および比較例においてスクリーン印刷を行った後、得られた印刷層に対して、JIS K5600−5−6に準拠し、セロハンテープ碁盤目剥離試験を行った。具体的には、カッターナイフで縦横1mm角の碁盤目を100マス形成し、ニチバン社製セロハンテープ(24mm幅)により剥離試験を行った。90/100以上(剥がれが生じた部分が10マス以下)に場合に○、90/100未満(剥がれが生じた部分が10マスより多い)に場合に×とした。結果を表1に示す。
(4)耐候性試験
実施例および比較例で得られたバックプリント粘着シートから剥離材を剥がして、白色メラミン塗装板に貼り付けた。この試験片について、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターS80を用い、ブラックパネル温度(BPT)63℃、120分中18分間スプレー(降雨)の条件下で、2,000時間照射した。その後、シルバー印刷部におけるフィルムクラックの有無を目視で確認した。結果を表1に示す。
また、上記2,000時間の照射を行う前後での黒印刷部における光沢度を測定し、光沢保持率を算出した。光沢度については、JIS A5759に従い、日本電色工業社製光沢計VG2000を用いて60度鏡面光沢度Gs(60°)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2008173780
表1から分かるように、実施例で得られたバックプリント粘着シートは、印刷作業性、インキ密着性および耐候性試験のいずれに関しても、良好な結果が得られた。
本発明のバックプリント用シートおよびバックプリント粘着シートは、屋外で使用されるバックプリント粘着シート、特に自動車、二輪車等の車両などに貼付されるバックプリント仕様の装飾用シート等として好適である。
本発明の一実施形態に係るバックプリント粘着シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係るバックプリント用シートの樹脂フィルムの断面図である。 実施例におけるバックプリント用シートに印刷層を形成した積層体の断面図である。
符号の説明
1…バックプリント粘着シート
2…バックプリント用シート
20…樹脂フィルム
21…ポリオレフィン系樹脂層
211…中心層
212,213…ポリエチレン系樹脂層
22,23…アイオノマー系樹脂層
24…コート層
3…印刷層
4…粘着剤層
5…剥離材
6…支持層

Claims (13)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるポリオレフィン系樹脂層の両側に、アイオノマー系樹脂を主成分として構成されるアイオノマー系樹脂層が積層されてなる樹脂フィルムを備えたバックプリント用シートであって、
    前記アイオノマー系樹脂層の少なくとも一方の層には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されており、
    JIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であり、
    JIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であり、
    ヤング率が120〜1500MPaである
    ことを特徴とするバックプリント用シート。
  2. 前記アイオノマー系樹脂層の両方の層に、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のバックプリント用シート。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂層に、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバックプリント用シート。
  4. 前記樹脂フィルムの片面に印刷インキ密着用のコート層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  6. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  7. ポリオレフィン系樹脂層が、ポリプロピレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物を主成分とする中心層と、前記中心層の両側に位置する、ポリエチレン系樹脂を主成分とするポリエチレン系樹脂層とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  8. 前記樹脂フィルムの総厚に占める前記ポリオレフィン系樹脂層の厚さの比率が、50〜90%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  9. 前記アイオノマー系樹脂層は、亜鉛系のアイオノマー系樹脂を主成分として構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  10. 前記樹脂フィルムの非コート層面側に、支持層が積層されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のバックプリント用シート。
  11. ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるポリオレフィン系樹脂層の両側に、アイオノマー系樹脂を主成分として構成されるアイオノマー系樹脂層が積層されてなる樹脂フィルムを備えたバックプリント用シートと、
    前記バックプリント用シートの一方の側に設けられた印刷層と、
    前記印刷層における前記バックプリント用シートの反対側に設けられた粘着剤層とを備え、
    前記アイオノマー系樹脂層の少なくとも一方の層には、紫外線吸収剤および光安定剤が添加されており、
    前記バックプリント用シートのJIS A5759に規定される紫外線透過率が45%以下であり、
    前記バックプリント用シートのJIS A5759に規定される可視光線透過率が50%以上であり、
    前記バックプリント用シートのヤング率が120〜1500MPaである
    ことを特徴とするバックプリント粘着シート。
  12. 前記バックプリント用シートにおける前記樹脂フィルムの片面に、印刷インキ密着用のコート層が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のバックプリント粘着シート。
  13. 前記バックプリント用シートの表面に、支持層が設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載のバックプリント粘着シート。
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