JP2008169363A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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雄太 志村
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Abstract

【課題】リン酸エステル系難燃剤の熱、光等による分解で発生する分解物の影響を受けることなく、難燃性、低ソリ性に優れ、かつ機械特性、耐加水分解性、ブリードアウト性および流動性に優れた熱可塑性樹脂からなる難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)リン酸エステル系難燃剤、(D)アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種以上の金属塩、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を構成成分として含有する樹脂組成物から構成される難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンオキサイド樹脂等の熱可塑性樹脂に非ハロゲン系難燃剤を配合してなる高度な難燃性、機械特性、低ソリ性および優れた成形品外観を有し、さらに耐ベース樹脂分解性が大幅に改良された難燃性樹脂組成物に関する。
ポリエステル系樹脂は、優れた機械的特性、電気的特性、耐候性、耐水性、耐薬品性や耐溶剤性を有する。このため、エンジニアリングプラスチックとして電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品など種々の用途に利用されている。一方、ポリエステル系樹脂には、利用分野が拡大するにつれ、機械的特性の向上とともに、安全上、難燃性であることが要求される。一般的には、ポリエステル系樹脂に、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を用いた難燃剤を添加することにより、難燃化する方法が知られている。しかし、ハロゲン系難燃剤においては、燃焼分解時にダイオキシン系化合物を多量に発生する場合があり、環境上好ましくない。そこで、非ハロゲン系の難燃剤として、ポリカーボネート系樹脂とリン系化合物とを使用してポリエステル系樹脂を難燃化する方法が提案されている。
例えば特許文献1に記載されているように芳香族ポリエステル樹脂及びゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂にリン系難燃剤及びフェノール樹脂、難燃助剤、繊維状充填材を配合することにより、非ハロゲン難燃性、剛性、耐衝撃性を付与する提案がされている。
また、特許文献2に記載されているように、ポリカーボネート樹脂及びスチレン系樹脂に特定のリン酸エステル系難燃剤を配合することにより、成形加工時に気化した難燃剤が製品や金型表面に付着し、製品外観不良を発生させることなく、難燃性、耐加水分解性に優れた難燃性熱可塑性樹脂が提案されている。
また、例えば特許文献3に記載されているように、熱可塑性樹脂及び/又はポリカーボネート系樹脂にポリフェニレンオキシド系樹脂、リン酸エステル類及び窒素含有環状化合物の有機リン酸塩からなる難燃剤を配合することにより、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、少量であっても難燃化でき、ブルーミング性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
また、例えば特許文献4に記載されているように、熱可塑性樹脂にホルムアルデヒド重合体と窒素含有化合物などのホルムアルデヒドと反応し、かつ架橋または炭化可能な化合物と組み合わせた難燃剤を配合することにより、ブリードアウト性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
これらの従来技術では、いずれもリン酸エステル系難燃剤の分解物の発生が不可避であり、熱等によるベース樹脂の分解が発生していた。すなわち、特許文献1、2のようにリン酸エステル系難燃剤を使用した場合、コンパウンドや成形の際の高温条件下において、難燃剤が一部分解し、それによりベース樹脂の分解が生じ機械物性が低下するという問題があり、また、特許文献3、4のように無機充填材成分として金属塩等を添加した場合、その添加量は過多となり、ベース樹脂の分解が進行し、機械物性が低下するという問題を有していた。
また、リン酸エステル系難燃剤の分解物をトラップする手段として特許文献5に記載されているように、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリカーボネート樹脂にリン酸エステル及びトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、さらに少量のアルカリ土類金属を添加することにより、難燃性、成形外観、耐加水分解性に優れた難燃性樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩の添加量が多いため、ベース樹脂の分解が進行し、機械物性の低下が生じると共に、ポリカーボネート樹脂の配合量が少ないため、機械物性が低下するという問題を有していた。
特開2001−348473号公報 特開2003−213144号公報 特開2001−342357号公報 特開2002−212432号公報 特開2004−075867号公報
本発明者らは、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を少量添加することでリン酸エステル系難燃剤の分解物を樹脂組成物中でトラップし、ベース樹脂の分解を防止できること、およびポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンオキサイド樹脂等の熱可塑性樹脂の配合量を多くし、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を少量添加することで、ベース樹脂の分解を防止し、耐加水分解性に優れ、かつブリードアウトが生じがたく、低ソリ性、難燃性、機械特性に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂およびメタクリル樹脂から選択される少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂、(C)リン酸エステル系難燃剤、(D)アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種以上の金属塩、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を構成成分として含有する樹脂組成物であって、(A)+(B)の合計を100重量%として、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂を50〜1重量%、(B)前記熱可塑性樹脂を50〜99重量%配合し、かつ(A)+(B)の合計100重量部に対し、(C)リン酸エステル系難燃剤1〜100重量部、(D)前記金属塩0.01〜5.0重量部、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩0〜1.0重量部から構成される難燃性樹脂組成物である。
本発明によれば、リン酸エステル系難燃剤及びトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の分解、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩のアルカリ性による前述の問題を解消し、機械物性を損なうことなく、耐ベース樹脂分解性、難燃性、低ソリ性、成形品外観に優れ、さらにブリードアウト性に優れた性能を有する難燃性樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明の難燃性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明でいう(A)を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体との重縮合反応によって得られる重合体であるが、この他に酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、シュウ酸などを、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを20モル%以下共重合することもできる。これら重合体あるいは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)などが挙げられ、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。なお、ここで「/」は、共重合を意味する。
また、重合体あるいは共重合体は、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.36〜1.60、特に0.42〜1.25の範囲にあるものが得られる組成物の衝撃強度、成形性の点から好適である。また、(A)を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂は固有粘度の異なるポリブチレンテレフタレート樹脂を併用しても良く、固有粘度が0.36〜1.60の範囲にあるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。
さらに、これらポリブチレンテレフタレート樹脂は、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めたCOOH末端基量が1〜50eq/t(ポリマー1トン当りの末端基量)の範囲にあるものが耐久性、異方性抑制効果の点から好ましく使用できる。さらに、特にCOOH末端基の少ないものは、耐加水分解性に優れるため好ましく使用できる。
本発明における(A)を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂と共に配合するポリエチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸を酸成分に、エチレングリコールをグリコール成分に用いて重縮合した、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステル樹脂を指すが、この他に酸成分として、イソフタル酸、アジピン酸、シュウ酸などを、グリコール成分として、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを20モル%以下共重合することもできる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、o−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.36〜1.60、特に0.45〜1.15の範囲にあるものが得られる組成物の衝撃強度、成形性の点から好適である。
また、(A)を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂との混合割合は、難燃性と結晶性の点から、1〜99重量%であることが必要であり、好ましくは5〜90重量%である。
また、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂99〜1重量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜99重量%の混合物100重量部に対し、ポリエステルエラストマー、ポリアリレート樹脂、全芳香族液晶ポリエステル、半芳香族液晶ポリエステルおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂を1種以上配合してもよく、配合量は本発明の効果が大きく低下しない範囲の量である。
次に、本発明における(B)熱可塑性樹脂とは、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、メタクリル樹脂から選択される少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂である。そのうちでも、特に非晶性樹脂が好ましい。本発明の組成物に与える難燃性、耐衝撃性、耐熱変形性、機械的強度、低ソリ性などの特性の観点から、より好ましくはポリカーボネート樹脂である。
前記の(B)成分のポリカーボネート樹脂とは、具体的には2価以上のフェノール系化合物と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートのような炭酸ジエステル化合物とを反応させてえられる熱可塑性樹脂で、本発明の組成物に難燃性、耐衝撃性、耐熱変形性、機械的強度、低ソリ性などの特性を付与するために使用される成分である。
前記2価以上のフェノール系化合物として様々なものが存在するが、とくに2価フェノール化合物である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称 ビスフェノールA)が機械的強度の点から好ましい。ビスフェノールA以外の2価フェノール化合物の例としては、たとえばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などがあげられる。また、2価フェノール化合物以外に、ヒドロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などが2価のフェノール系化合物として使用しうる。
なお、3価以上のフェノール系化合物も、得られるポリカーボネート樹脂が熱可塑性を維持する範囲で使用しうる。前記3価以上のフェノール系化合物の例としては、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,4,4’−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン、2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルメタン、1−[α−メチル−α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル]−3−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[α−メチル−α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン、1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス(2’,4’−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリアジンなどがあげられる。
これらの2価以上のフェノール系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂には、必要に応じて、3価以上のフェノール系化合物以外にも分岐ポリカーボネート系樹脂にするための成分を、耐薬品性、熱安定性、機械的物性を損わない範囲で含有させることができる。前記分岐ポリカーボネート系樹脂を得るために用いられる3価以上のフェノール系化合物以外の成分(分岐剤)としては、たとえばフロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、トリメリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没食子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、レゾルシンアルデヒド、トリメチルクロリド、イサチンビス(o−クレゾール)、トリメチルトリクロリド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などがあげられる。
ポリカーボネート樹脂の共重合成分として、この他に、たとえばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの直鎖状脂肪族2価カルボン酸を用いてもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂の成分として、必要に応じて、重合時の末端停止剤として使用される公知の各種のものを、耐薬品性、熱安定性、機械的物性を損わない範囲で用いてもよい。具体的には、1価フェノール系化合物である、たとえばフェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ノニルフェノールなどがあげられる。
ポリカーボネート樹脂の原料として使用する炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートがあげられる。
本発明において成形性及び機械強度、耐熱性に優れた特性を有するために用いられるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が、10000〜1100000の範囲のものであり、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲であれば、重量平均分子量の異なるポリカーボネート樹脂を併用しても良い。重量平均分子量60000〜1100000の範囲のポリカーボネート樹脂がとくに好ましく用いられる。重量平均分子量とは、溶媒にテトラヒドロフランを用い、ゲル透過クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定して得られるものである。
また、樹脂成分の配合比については、(A)+(B)成分を100重量%として、(B)成分のポリカーボネート樹脂の配合量は50〜99重量%であり、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%である。配合量が50重量%未満であると難燃性、機械特性が十分に発現されず、99重量%を越えると流動性が悪くなり、成形性が不良になる。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂の具体例としては、たとえばビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを反応させてえられるポリカーボネート樹脂、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンとジフェニルカーボネートとを反応させてえられるポリカーボネート樹脂などがあげられる。
また、ポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いてもよい。このポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ましい。さらに、難燃性を高めるために、リン化合物との共重合体、リン系化合物で末端封止したポリマーを用いてもよい。さらに、耐候性を高めるために、ベンゾトリアゾール基を有する2価フェノールとの共重合体を使用してもよい。
このようなポリカーボネート樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いるばあいの組み合わせ方には限定はなく、たとえばモノマー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、分子量が異なるものなどを任意に組み合わせることができる。
前記の(B)成分のポリフェニレンオキサイド樹脂とは、ベンゼン環と酸素が結合した非晶性の樹脂であり、ガラス転移温度が約200℃、分子量が5000〜30000のものが好ましく用いられ、無水マレイン酸で変性されたポリフェニレンオキサイド樹脂、ハイインパクトポリスチレン(HI−PS)で変性されたポリフェニレンオキサイド樹脂、および前記のポリカーボネート樹脂やビニル系樹脂とのポリマーアロイされたポリフェニレンオキサイド樹脂であっても良い。
前記の(B)成分のポリアリレート樹脂とは、芳香族ジカルボン酸残基とビスフェノール残基を繰り返し単位とする樹脂である。
ビスフェノール残基を導入するための原料はビスフェノール類であり、その具体例として、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは、2種類以上を混合して使用してもよい。
一方、ポリアリレート樹脂に、芳香族ジカルボン酸残基を導入するための原料としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4´−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4´−ジカルボキシジフェニルスルホン等が挙げられ、なかでもテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
前記の(B)成分のポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂は、アリーレン単位、エーテル結合およびスルホン結合が必須の構成単位であって、アリーレン単位がエーテル結合およびスルホン結合と共に無秩序に、または秩序正しく位置するポリアリーレン化合物として定義される。代表的な例としては次の一般式(2)、(3)、(4)のような繰り返し単位を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、下記式(3)及び(4)に示す繰り返し単位を有するポリサルホン樹脂やポリエーテルサルホン樹脂はランダム共重合体を含む。
Figure 2008169363
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基またはフェニル基を表し、pは0〜4の整数である。各Rは互いに同一であっても異なっていても良い。各pは互いに同一であっても異なっていても良い。)、
Figure 2008169363
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基またはフェニル基を表し、qは0〜4の整数である。r、sは平均の繰り返し単位数を示し、rとsは0.1〜100の正数である。各Rは互いに同一であっても異なっていても良い。各qは互いに同一であっても異なっていても良い。)、
Figure 2008169363
(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基またはフェニル基を表し、tは0〜4の整数である。u、v、wは平均の繰り返し単位数を示し、uは1〜3の整数、vとwは0.1〜100の正数である。各Rは互いに同一であっても異なっていても良い。各tは互いに同一であっても異なっていても良い。)。
本発明で用いられるポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂としては、上記式(3)または(4)で表される繰り返し単位中の(r/r+s)または(u/u+w)は0.8以上であることが好ましい。また、上記式(4)の構造単位中のvは1であることが好ましい。
前記の(B)成分のポリエーテルイミド樹脂は、例えば米国特許第3847867号明細書、米国特許第3814869号明細書、米国特許第3852242号明細書などに開示されている公知の方法で製造されるものであり、下記式(5)の芳香族ビスエーテル無水物を下記式(6)の有機ジアミンと反応させることで得られる。
Figure 2008169363
(式中、Tは、−O−または−O−Z−O−の基から選ばれる。ここで、Zは、炭素数が6〜20のアルキレン、アリーレンまたは両者が結合してなる基である。)
N−Z−NH (6)
(式中、Zは、炭素数が6〜20のアルキレン、アリーレンまたは両者が結合してなる基である。)。重合反応はo−ジクロロベンゼン、m−クレゾール/トルエン混合溶媒などの公知の溶剤中で上記の両モノマーを加温することで進む。また両モノマーの混合物を溶融攪拌することでポリマーを得ることも可能である。反応に際して、モノマーはいずれも2種以上を混合して重合することも可能である。また生じたポリマーを2種以上混合したポリマーアロイとして本発明に使用しても良い。 ポリエーテルイミド樹脂は、重量平均分子量が1万〜15万の範囲のもの(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定。ポリスチレン換算の値)が好適である。重量平均分子量が1万未満のものでは耐衝撃性などに劣る場合があり、また15万を超えると成形性に劣る場合がある。本発明では、成分(B)として下記式(7)の構造を持つポリエーテルイミド樹脂が特に好適に用いられ、「ウルテム」(ジェネラル・エレクトリックス社。商標)の名で市場より容易に入手可能である。
Figure 2008169363
前記の(B)成分のポリアミドイミドは、通常、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとから製造され、構造的には、イミド基とアミド基を交互に含む形をしたポリマーである。ポリアミドイミドは、一般に、下記式(8)
Figure 2008169363
(式中、Arは、少なくとも一つの炭素6員環を含む3価の芳香族基で、Rは、2価の芳香族基または脂肪族基で、Rは、水素原子、アルキル基またはフェニル基である。)
で表される単位を主要単位構造として有するポリマーである。なお、上記式(8)中のイミド結合の一部(好ましくは50モル%未満、より好ましくは30モル%未満)がアミド結合のままでとどまっていてもよい。本発明に用いられるポリアミドイミドとしては、上記式(8)で表される繰り返し単位を100モル%有するもものが特に好ましいが、その他の繰り返し単位を好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下の割合で含有するコポリマーも用いることができる。その他の繰り返し単位としては、下記式(9)ないし(11)で表される各繰り返し単位を挙げることができる。コポリマーは、これらの繰り返し単位を1種または2種以上を有していてもよい。
Figure 2008169363
(式中、Arは、少なくとも一つの炭素6員環を含む2価の芳香族基または脂肪族基であり、R10は、2価の芳香族基または脂肪族基である。)
Figure 2008169363
(式中、Arは、少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の芳香族基であり、R11は2価の芳香族基または脂肪族基である。)
Figure 2008169363
(式中、Arは、少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の芳香族基であり、R12は、2価の芳香族基または脂肪族基である。)。
前記の(B)成分の塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルの単独重合体または塩化ビニルと共重合し得る他種のモノマーとの共重合により得られる重合体である。他種のモノマーとしては、例えば塩化ビニリデン、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリルならびにアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸およびこれらのエステルなどが挙げられる。これら他種のモノマーの共重合割合は、通常多くとも40重量%であり、30重量%以下が好ましい。塩化ビニル樹脂は一般に懸濁重合、塊状重合または乳化重合により製造され、平均重合度は一般に40〜2000であり、500〜1800が好ましく、特に500〜1600が好適である。
前記の(B)成分のポリエーテルエーテルケトン樹脂としては特に限定されず、例えば、ジハロゲノベンゾフェノンとヒドロキノンとを重縮合して得られるもの等が挙げられる。上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ビクトレックス・エムシー(株)社製の商品名「ビクトレックスPEEK」等が挙げられる。
前記の(B)成分のメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単独、またはメタクリル酸メチルと他の共重合性のビニルまたはビニリデン系単量体の混合物を重合して得られるものであり、好ましくは80重量%以上のメタクリル酸メチルを含有するものである。他の共重合性のビニルまたはビニリデン系単量体としては、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアクリル酸アルキルエステル、スチレン、及びアクリロニトリルが挙げられる。
本発明において、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂、(B)成分の配合比については、(A)+(B)の合計を100重量%として(A)成分の配合量は50〜1重量%であり、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは50〜20重量%である。配合量が1重量%未満であると流動性が悪く、成形性が不良になる。 また、50重量%を越えると難燃性が十分に発現しない。また逆に、(A)+(B)の合計を100重量%として、(B)成分の配合量は50〜99重量%であり、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%である。配合量が50重量%未満であると難燃性、機械特性、が十分に発現されず、99重量%を越えると流動性が悪くなり、成形性が不良になる。
本発明においては、(C)リン酸エステル系難燃剤を用いることで、ハロゲン化合物を用いることなくポリエチレンテレフタレート系樹脂を難燃化することができる。難燃剤として使用される(C)リン酸エステル系難燃剤としては、縮合リン酸エステルを用いることができる。例えば、レゾルシノールホスフェート類(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート))、ハイドロキノンホスフェート類(ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート))、ビフェノールホスフェート類(ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジクレジルホスフェート)、ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート))、ビスフェノールホスフェート類(ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジキシレニルホスフェート))などが挙げられる。好ましくは、ビスフェノールAホスフェート類が含まれる。
本発明の(C)リン酸エステル系難燃剤は、難燃性、ブリードアウト性、耐加水分解性の観点から、好ましくは下記一般式(1)で表わされる化合物である。
Figure 2008169363
(式中、R、R、R、Rは同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Ar、Ar、Ar、Arは同一または相異なるアリール基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表し、また、Xは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、ベンジル基を表す。nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)
ここで、アリール基としては例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、およびナフチル基などを挙げることができる。
これらのうちで、本発明の(C)リン酸エステル系難燃剤は、好ましくは、下記一般式(12)で示される化合物である。
Figure 2008169363
(式中、Meはメチル基を表し、nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)。
かかるビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステルはリン含有量が高いため、それを含む樹脂組成物は難燃性が良好であり、成形時の流動性も良好である。更にかかるリン酸エステルはその構造上耐加水分解性も良好であるため、それを含む樹脂組成物は長期の品質保持性にも優れる。
本発明の(C)リン酸エステル系難燃剤は、好ましくはその100重量部中の縮合度nにおけるそれぞれの割合がn=0の成分0.1〜3重量部、より好ましくは0.5〜2.5重量部、n=1〜3の成分95.5〜98.5重量%、より好ましくは96.5〜98.5重量部、およびn>3の成分1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の割合からなる。なお、上記各n成分とは、所定の二価フェノールおよび一価フェノールから合成される成分をいい、反応副生物などを含まない。例えば一価フェノールとしてフェノールを使用する場合n=0の成分はトリフェニルホスフェートである。
本発明において、(C)リン酸エステル系難燃剤の配合量は、(A)+(B)の合計を100重量部に対し1〜100重量部であり、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜50重量部である。配合量が1重量部未満であると難燃性が発現しない。また、100重量部を越えるとブリードアウトが発生する。
本発明の(D)金属塩はアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩とであり、アルカリ金属に属するリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、アルカリ土類金属に属するマグネシウム、カルシウム、およびバリウムの塩が好ましく、具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ルビジウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸ルビジウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、さらにはオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸などの有機酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびバリウム塩などが挙げられ、水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムが好ましく用いられ、より好ましくは炭酸カルシウムが用いられる。この(D)アルカリ土類金属塩は、(C)リン酸エステル系難燃剤の熱、光等による分解によって生じるリン酸のトラップ剤として作用する、非常に重要な化合物である。また、上記の炭酸カルシウムは製造方法により、コロライド炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、湿式粉砕微粉重質炭酸カルシウム、湿式重質炭酸カルシウム(白亜)などが知られており、いずれも本発明に包含される。また、上記の炭酸カルシウムおよびアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は、シランカップリング剤、有機物および無機物などの一種以上の表面処理剤で処理されていても良く、形状は粉末状、板状あるいは繊維状であっても構わないが、10μm以下の粉末状で用いることが分散性などから好ましい。
(D)アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を添加することにより、加水分解特性および熱分解特性を著しく向上させることができる。非ハロゲン難燃剤として有効な燐酸エステル系化合物は燐酸エステル結合が加水分解され易いため、加水分解性に劣るとともに熱分解性が劣るという欠点を有している。本発明では、本アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩による酸トラップの作用により大きく加水分解性、熱分解性が大きく改良される。
また、(D)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の配合量は、機械特性と加水分解性の点から(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂50〜1重量%、(B)成分50〜99重量%の混合物100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜4.5重量部、更に好ましくは0.1〜4重量部である。配合量が0.01重量部未満であるとアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の効果が十分に得られずベース樹脂の分解による加水分解性、熱分解性の悪化が生じる。配合量が5.0重量部を越えた場合、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のアルカリ性によりベース樹脂の分解による加水分解性、熱分解性の悪化が生じる。
本発明における(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩とは、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン系化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物である。トリアジン系化合物のうち、シアヌール酸またはイソシアヌール酸と塩を形成しないものは除外される。また、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩のうち、とくにメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメチル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミンの塩が好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンの塩が好ましく、公知の方法で製造されるが、例えば、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のトリアジン系化合物ないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良い。また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や耐湿熱特性、滞留安定性、表面性の点から100〜0.01μmが好ましく、更に好ましくは80〜1μmである。また、上記の塩の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や公知の表面処理剤、シリカ、ポリビニルアルコールなどを併用してもかまわない。
また、難燃性と機械特性の点から(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂50〜1重量%、(B)成分50〜99重量%の混合物100重量部に対して、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩の配合量は0〜1.0重量部であることが必要であり、好ましくは0〜0.8重量部、更に好ましくは0〜0.5重量部である。
本発明における(F)フッ素系化合物とは、燃焼時の難燃性樹脂組成物が溶融落下することを抑制し、さらに難燃性を向上させることができる。前記の(F)フッ素系化合物とは、物質分子中にフッ素を含有する樹脂であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。また、(F)フッ素系化合物の配合量は、難燃性と機械特性の点から(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂50〜1重量%、ポリカーボネート樹脂50〜99重量%の混合物100重量部に対して、0.02〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜8重量部、更に好ましくは0.2〜6重量部である。
本発明の樹脂組成物には、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば離型剤、加水分解抑制剤、難燃助剤、充填材、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、衝撃改良剤、滑剤、結晶化促進剤・帯電防止剤等を配合してもよく、それらは公知のものを制限なく使用できる。
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、密ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられる。
加水分解抑制剤としては、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、およびグリシジルエステルエーテル化合物の少なくとも一種以上を用いたエポキシ化合物である。
また、上記のグリシジルエステル化合物としては、限定されるものではないが、具体例として、安息香酸グリシジルエステル、tBu−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ビ安息香酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、前記のグリシジルエ−テル化合物としては、限定されるものではないが、具体例として、フェニルグリシジルエ−テル、o−フェニルフェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
難燃助剤としては、さらにシリコーン化合物、フェノール樹脂、ホスホニトリル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび無機水和物などの難燃性向上や燃焼時の発生ガスを抑制する難燃助剤を配合でき、1種以上で用いることができる。
前記のシリコーン化合物としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルおよびシリコーンパウダーが挙げられる。
上記のシリコーン樹脂としては、飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基とシロキサンが化学的に結合されたポリオルガノシロキサンが挙げられ、室温で約200〜300000000センチポイズの粘度を有するものが好ましいが、上記のシリコーン樹脂である限り、それに限定されるものではなく、製品形状がオイル状、パウダー状およびガム状であっても良く、官能基としてエポキシ基、メタクル基およびアミノ基が導入されていても良く、2種以上のシリコーン樹脂との混合物であっても良い。
また、シリコーンオイルとしては、飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基とシロキサンが化学的に結合されたポリオルガノシロキサンが挙げられ、室温で約0.65〜100000センチストークスの粘度を有するものが好ましいが、上記のシリコーンオイル樹脂である限り、それに限定されるものではなく、製品形状がオイル状、パウダー状およびガム状であっても良く、官能基としてエポキシ基、メタクル基およびアミノ基が導入されていても良く、2種以上のシリコーンオイルあるいはシリコーン樹脂との混合物であっても良い。
また、シリコーンパウダーとは、上記のシリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルに無機充填剤を配合したものであり、無機充填剤としてはシリカなどが好ましく用いられる。
前記のフェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。中でも、硬化剤未添加で、非熱反応性であるノボラック型フェノール樹脂が難燃性、機械特性、経済性の点で好ましい。
また、フェノール樹脂の形状は特に制限されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状などいずれも使用でき、必要に応じ、1種または2種以上使用することができる。また、フェノール系樹脂は特に限定するものではなく市販されているものなどが用いられる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるような比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定の時間還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と未反応のフェノール類を除去する方法により得ることができる。これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いることにより得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以上用いることができる。レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応および処理をして得ることができる。
ここで、フェノール類としてはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は一種または二種以上用いることができる。一方、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
フェノール系樹脂の分子量は、特に限定されないが好ましくは数平均分子量で200〜2,000であり、特に400〜1,500の範囲のものが機械的物性、流動性に優れ好ましい。なおフェノール系樹脂の分子量は、テトラヒドラフラン溶液、ポリスチレン標準サンプルを使用することによりゲルパーミエションクロマトグラフィ法で測定できる。
前記のホスホニトリル化合物としては、ホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーを主成分とするホスホニトリル化合物が挙げられ、直鎖状、環状のいずれかあるいは混合物であってもかまわない。前記ホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーは、著者梶原『ホスファゼン化合物の合成と応用』などに記載されている公知の方法で合成することができ、例えば、りん源として五塩化リンあるいは三塩化リン、窒素源として塩化アンモニウムあるいはアンモニアガスを公知の方法で反応させて(環状物を精製してもよい)、得られた物質をアルコール、フェノールおよびアミン類で置換することで合成することができる。
前記のポリ燐酸アンモニウムとしては、ポリ燐酸アンモニウム、メラミン変性ポリ燐酸アンモニウム、およびカルバミルポリ燐酸アンモニウムなどが挙げられ、熱硬化性を示すフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などによって被覆されていてもいなくても良く、1種で用いても2種以上で用いても良い。
前記の燐酸メラミンとしては、ポリ燐酸メラミンやピロ燐酸メラミンなどの燐酸塩が挙げられ、1種で用いても2種以上で用いても良い。
前記の無機水和物類としては、限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硼酸、硼酸カルシウム、硼酸カルシウム水和物、硼酸亜鉛、硼酸亜鉛水和物、水酸化亜鉛、水酸化亜鉛水和物、亜鉛錫水酸化物、亜鉛錫水酸化物水和物、赤リン、加熱膨張黒鉛およびドーソナイトなどが挙げられ、熱硬化性メラミン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が混合あるいは表面に被覆されていても良い。また、カップリング剤、エポキシ化合物、あるいはステアリン酸などの油脂類などが混合あるいは表面に被覆されていても良い。
本発明においては、さらに加水分解性を改良する目的でフェノキシ樹脂、オキサゾリン化合物、およびカルボジイミド化合物などを配合でき、とくにフェノキシ樹脂が好ましく用いることができる。
また、前記のフェノキシ樹脂とは、芳香族二価フェノール系化合物とエピクロルヒドリンとを各種の配合割合で反応させることにより得られ、フェノキシ樹脂またはフェノキシ共重合体の分子量は特に制限はないが、粘度平均分子量が1000〜100000の範囲のものである。ここで、芳香族二価フェノール系化合物 の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等が使用でき、これら単独あるいは混合物として使用することができる。また、形状は特に制限されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、液状などいずれも使用できる。これらのフェノキシ樹脂は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
充填材としては、各種、各形状のものが用いられ、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、金属繊維、アスベスト、ホイスカー等の繊維状充填材、ガラスビーズ、ガラスフレーク、タルク、雲母、クレー、金属粉等の球状板状又は無定形の粉粒状の天然もしくは合成の充填材が挙げられる。
着色剤としては、例えば、黒色顔料としてカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)、白色顔料として酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛など、黄色染顔料(カドミウムエローなどの無機顔料、ベンジジンイエローなどの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエローなど)、赤色顔料(酸化鉄赤などの赤色顔料などの無機顔料、レーキレッドなどの有機顔料)、青色顔料(コバルトブルーなどの無機顔料、フタロシアニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料(クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシアニングリーンなどの有機顔料)、紫色染顔料などが挙げられる。このような着色剤は、単独で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わせて用いて所望の色調に調整してもよい。例えば、減色混合(複数の染顔料、例えば、黄色染顔料と紫色染顔料との組み合わせ、黄色染顔料と赤色染顔料と青色染顔料との組み合わせなど)を利用して樹脂を無彩色(灰色や黒色)に着色することもできる。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
また、前記のヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビスもしくはトリス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、N,N’−トリメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)などが挙げられる。
また、前記のホスファイト系安定剤の例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、アルキルアリル系ホスファイト、トリアルキルホスファイト、トリアリルホスファイト、ペンタエリスリトール系ホスファイト化合物などが挙げられる。
安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物、モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル等を挙げることができる。
これらの各種添加剤は、2種以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。なお、例えば酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等に代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また、紫外線吸収剤として例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
さらに、紫外線吸収剤として例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
また、光安定剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]〕、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン等に代表されるヒンダードアミン系化合物も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候剤等の点においてより良好な性能を発揮する。
帯電防止剤は、界面活性剤として知られているものとして、ラウリン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、N−ラウリルメチルアミノ酢酸ポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド、アルカンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明においては、さらに滑剤を一種以上添加することにより成形時の流動性、離型性、および摩耗性や摺動特性を改良することが可能である。かかる滑剤としては、ステアリン酸カルウシム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)、エチレンビスステアロアマイドなどの脂肪酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸からなる重縮合物あるいはフェニレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物からなる脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス、酸無水物変性ポリアルキレンワックスおよび上記の滑剤とフッ素系樹脂やフッ素系化合物の混合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明においては、さらに本発明組成物の衝撃強度などの靭性を改良する目的でエチレン(共)重合体やコアシェルゴムを配合することができ、かかるエチレン(共)重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどのエチレン重合体および/またはエチレン共重合体が挙げられ、上記のエチレン共重合体とは、エチレンおよびそれと共重合可能なモノマーを共重合して得られるものであり、共重合可能なモノマーとしてはプロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、イソプレン、ブタジエンあるいはアクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸類あるいはこれらのエステル酸類、マレイン酸、フマル酸あるいはイタコン酸等のジカルボン酸類等が挙げられる。エチレン共重合体は通常公知の方法で製造することが可能である。エチレン共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン1、エチレン/酢酸ビニル、エチレン/エチルアクリレート、エチレン/メチルアクリレートおよびエチレン/メタクリル酸エチルアクリレートなどが挙げられる。また、上記のエチレン(共)重合体に酸無水物あるいはグリシジルメタクリレートをグラフトもしくは共重合された共重合体も好ましく用いられる。これらは一種または二種以上で使用され、上記のエチレン(共)重合体の一種以上と混合して用いても良い。また、エチレン(共)重合体のなかでもポリエチレンに酸無水物あるいはグリシジルメタクリレートがグラフトもしくは重合された共重合体がPBTとの相溶性が良く好ましく用いられる。
また、前記のコアシェルゴムとは、コア層にゴム成分、最外層のシェル層に熱可塑性樹脂成分からなる多層構造重合体である。例えば、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、コア層がブタンジエン/スチレン重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、およびコア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるものなどが挙げられる。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層がメタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物はこれら配合成分が均一に分散されていることが好ましい。その配合方法は特に限定されるものではなく、任意の方法を用いることができる。代表例として、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロール等、公知の溶融混練機を用いて、200〜350℃の温度で、溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。また液体成分はギアポンプ等により単体で溶融混練機に投入しても良い。あるいは(A)〜(F)成分の合計100重量部に対し、例えば1重量部以下であるような少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法等で混練しペレット化した後、成形前に添加することもできる。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、トランスファー成形法、真空成形法、注型法等一般に熱可塑性樹脂の公知の成形法により成形することができるが、所望の形状を精度よく再現でき、加えて生産性の高い射出成形法が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物を成形することにより、各種の成形体を成形することができ、形成された成形品は、難燃性および成形加工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例えば、電気・電子部品、各種照明器具、機械機構部品、自動車部品、包装材料やケースなどに好適に用いることができる。
以上より、本発明では、熱可塑性樹脂とリン酸エステル系難燃剤および炭酸カルシウムを組み合わせることで、機械物性を損なうことなく難燃性に優れ、さらに耐光性及びブリードアウト発生抑制に優れた熱可塑性樹脂を主材料とする難燃性樹脂組成物を得ることができた。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。実施例及び比較例に使用した配合成分および特性の評価方法を示す。
樹脂成分
(A−1) ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度0.75(東レ(株)製″トレコン″1050T)
(A−2) ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度0.85(東レ(株)製″トレコン″1100T)
(A−3) ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度1.29(東レ(株)製″トレコン″1400T)
(A−4) ポリエチレンテレフタレート樹脂:固有粘度0.65(三井ペット樹脂(株)製 三井PET J005)。
(B−1) ポリカーボネート樹脂:(出光興産(株)製″タフロン″A−2500)
(B−2) ポリフェニレンオキサイド樹脂:(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 PX−100F)
(B−3) ポリアリレート樹脂:(ユニチカ(株)製″U−ポリマー″U−100−1)
(B−4) ポリサルホン樹脂:(BASFジャパン(株)製″ウルトラゾーンS″S2010G6)
(B−5) ポリエーテルサルホン樹脂:(三井化学(株)製″三井PES SGN3030)
(B−6) ポリエーテルイミド樹脂:(日本GEプラスチックス(株)″ウルテム″1000)
(B−7) ポリアミドイミド樹脂:(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製″トーロン″5030)
(B−8) 塩化ビニル樹脂:(リケンテクノス(株)製″リケンコンパウンド″PM−0725)
(B−9) ポリエーテルエーテルケトン樹脂:(住友化学(株)製″スミプロイK″CK−4600)
(B−10)メタクリル樹脂:(旭化成ケミカルズ(株)製″デルペット″80N)
(B−11)アクリロニトニル・スチレン共重合樹脂:(東レ(株)製″トヨラック″ASG−30)。
リン酸エステルエステル成分
(C−1) ビスフェノール−Aビス(ジフェニルフォスフェート)(旭電化工業(株)製 FP−600)
(C−2) レゾルシノールビス(ジキシレニルフォスフェート)(大八化学工業(株)製 PX200)。
アルカリ金属塩/アルカリ土類金属塩成分
(D−1) 重質炭酸カルシウム((株)カルファイン製 KSS−1000)
(D−2) 重質炭酸カルシウム((株)カルファイン製 FP−300)
(D−3) 水酸化マグネシウム(共和化学工業(株)製 キスマ6E)
(D−4) モンタン酸ナトリウム(クライアント(株)製 NaV101)
(D−5) ホウ酸亜鉛(ボラックス・ジャパン(株)製)。
トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩成分
(E−1) メラミンシアヌレート(三菱化学(株)製 MCA)。
フッ素系化合物
(F−1) ポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポン フロロケミカル(株)製 P TFE 6−J)。
顔料成分
(G−1) カーボンブラック:平均粒径47nm(三菱化学(株)製 カーボンブラック#25)
(G−2) 酸化チタン(堺化学工業(株)製 R−42)。
<評価方法>
[1]引張強度・伸び
予め作成したASTM D638に従った試験片(長さ217mm、平行部の幅12.7mm、厚み3.2mmのASTM1号の試験片を使用)を用い、成形後、23℃、50%RH環境下で24時間放置後、測定する。試験機は(株)島津製作所製“オートグラフUTM−5T”を用い、引張速度は、50mm/minである。試験を5回実施し、個々の値を平均することにより、引張強さ、引張伸びを求めた。
[2]衝撃強度
予め作成したASTM D256に従った試験片(63.5mm×12.7mm×3.2mm)を用い、10mm残るようにノッチを入れた後、成形後、23℃、50%RH環境下で24時間放置後、測定する。試験機は(株)上島製作所製“U−Fインパクトテスター”を用いた。試験は10回実施し、個々の値を平均することによりノッチ付きアイゾット衝撃強さが求められる。
[3]流動性
棒流動長は、棒状のキャビティ(幅10mm、厚み1mm)の金型で、シリンダ温度260℃、金型温度80℃に設定し、45MPaで成形し、その時の流動長を測定した。試験は10回成形し、個々の値を平均することにより棒流動長とした。
[4]耐加水分解性
予め作成したASTM D638に従った試験片(長さ217mm、平行部の幅12.7mm、厚み3.2mmのASTM1号の試験片を使用)を用い、温度121℃、湿度100%RHの条件下、試験期間50時間湿熱処理実施後、測定する。試験機は(株)島津製作所製“オートグラフUTM−5T”を用い、引張速度は、50mm/minである。試験を5回実施し、個々の値を平均することにより、引張強さを測定し、測定値は未処理品の引張強度で割った値の百分率である引張強度保持率(%)で示した。
[5]ソリ性
図1に示すように、幅30mm、高さ30mm、奥行き30mm、厚み1.5mmの箱型成形品を側面のピンゲートから金型内に射出成形により成形し、23%、50%RH環境下で24時間放置後、成形品のピンゲート部分(1)の側面の反ゲート側の内側への面の倒れ量、すなわち本来の平面からの最大引込み寸法をMITUTOYO製3次元寸法測定機で5回測定し、その平均をソリ量(2)とした。
[6]ブリードアウト性
80×80×2mm厚の角板を用いて、130℃、3時間加熱し、角板表面の難燃剤の染み出し(ブリードアウト)の有無を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○;全く染み出しが見られない
×;染み出しが見られる。
実施例1〜31
(A)成分から(E)成分及び/またはフッ素系化合物、添加剤を表1〜3に示す組み合わせで配合した。各実施例に記載した材料の製造方法は次の通りである。すなわち、シリンダ温度260℃に設定したスクリュー径φ57mmの2軸押出機を用いて製造した。(A)成分(ポリブチレンテレフタレート樹脂および/またはポリエチレンテレフタレート樹脂)、(B)成分(ポリカーボネート樹脂やポリフェニレンオキサイド樹脂等の熱可塑性樹脂)、(C)成分(リン酸エステル系難燃剤)、(D)成分(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩並びにその他の添加剤全てを元込め部から供給して溶融混練を行い、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。
得られた各材料は、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、前記評価方法記載の方法により成形し、それぞれの機械物性、耐加水分解性、流動性、ソリ性、ブリードアウト性を測定し、その結果を表1〜5に併記した。得られた組成物は何れも、機械物性、耐加水分解性、流動性、ソリ性、ブリードアウト性に優れたものであった。
比較例1〜12
比較例の配合処方を表6および表7に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を製造した。それらの評価結果を表6および表7に示す。
比較例1は指定したアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の添加量が多いため、機械強度が低下した。
比較例2は指定したアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を配合していないため、耐加水分解性が満足いくものではなかった。
比較例3は熱可塑性樹脂として加えたポリブチレンテレフタレート樹脂の添加量が多いため、難燃性が十分に得られなかった。
比較例4は熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂を添加せず、ポリカーボネート樹脂のみの配合であるため、機械物性は良好であるものの、流動性が悪く成形性が満足いくものではなかった。
比較例5は熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を添加せず、ポリブチレンテレフタレート樹脂のみの配合であるため、機械物性が低く、十分なソリ性、難燃性が得られなかった。
比較例6はポリカーボネート樹脂を添加せず、ポリエチレンテレフタレート樹脂のみの配合であるため、機械物性が低く、十分なソリ性、難燃性が得られなかった。
比較例7および8は指定したリン酸エステル系難燃剤の添加量が配合されていないため、十分な難燃性が得られなかった。
比較例9は指定したリン酸エステル系難燃剤の添加量が多く、難燃性は良好であるものの、耐加水分解性及びブリードアウト性が満足いくものではなかった。
比較例10は指定したトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩成分の添加量が多く、難燃性は良好であるものの、ベース樹脂の分解が生じ、耐加水分解性及び機械物性が低下した。
比較例11は指定した(B)成分ではなくアクリロニトニル・スチレン共重合樹脂を添加しているため、機械物性が低く、十分な難燃性が得られなかった。
比較例12は指定したアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩ではなく、ホウ酸亜鉛を添加しているため、十分な耐加水分解性が得られなかった。
Figure 2008169363
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Figure 2008169363
Figure 2008169363
Figure 2008169363
反り量測定のための箱形成形品の概略平面図(a)、概略側面図(b)、aの拡大図(c)を示す。1:ゲート2:反り量

Claims (7)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂およびメタクリル樹脂から選択される少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂、(C)リン酸エステル系難燃剤、(D)アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選択される少なくとも1種以上の金属塩、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩を構成成分として含有する樹脂組成物であって、(A)+(B)の合計を100重量%として、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂を50〜1重量%、(B)前記熱可塑性樹脂を50〜99重量%配合し、かつ(A)+(B)の合計100重量部に対し、(C)リン酸エステル系難燃剤1〜100重量部、(D)前記金属塩0.01〜5.0重量部、(E)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩0〜1.0重量部から構成される難燃性樹脂組成物。
  2. (B)前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂の合計に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂99〜1重量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜99重量%である請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. (D)前記金属塩が、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムから選択された一種以上のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. (D)前記金属塩が、水酸化マグネシウムおよび/または炭酸カルシウムである請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  6. (A)+(B)成分の合計100重量部に対し、(F)フッ素系化合物をさらに0.02〜10重量部配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  7. (C)リン酸エステル系難燃剤が下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物
    Figure 2008169363
    (式中、R、R、R、Rは同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Ar、Ar、Ar、Arは同一または相異なるアリール基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表し、また、Xは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、ベンジル基を表す。nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)
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