JP5256644B2 - 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
一方、OA機器、家電製品等の用途を中心に、樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ハロゲン系化合物、リン系化合物、シロキサン系化合物、ポリフルオロエチレン等を配合して難燃化する技術が多数提案されている。また、最近では、携帯電話の電池パックや記憶媒体カバー等に用いられる樹脂容器は、小型化、軽量化、高機能化等を目的として年々薄肉化されている。この結果、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いた薄肉成形品は、高温成形に耐えうる熱安定性と同時に、優れた難燃性、耐衝撃性、流動性および外観が求められている。
また、特許文献2には、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を配合することにより、耐衝撃性と難燃性に優れた樹脂組成物が得られ、さらに高分子加工助剤を配合することができると記載されている。
さらに、特許文献3には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、リン系難燃剤、ポリフルオロエチレン樹脂および特定の多層構造重合体を配合してなる樹脂組成物は、難燃性や熱安定性、耐衝撃性に優れ、外観改善効果があるため、大型成形品や肉薄成形品として有用であることが記載されている。
特許文献4には、薄肉での難燃性、剛性、および熱安定性に優れた樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂、タルク等の無機充填材、含ケイ素化合物、含フッ素ポリマーを含んでなる難燃性熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献6には、薄肉流動性、耐熱性、低そり性に優れた樹脂組成物として、ポリカーボネート系樹脂に液晶性樹脂とリン酸エステルを配合してなる、その最大投影面の厚さが0.6mm以下である部分が100mm2以上の携帯機器の電池パック筐体部材用樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献8においては、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定量の弗化物イオンを含有する含フッ素有機金属塩化合物からなる樹脂組成物は、優れたドリップ効果を有することが記載されている。
しかしながら、技術の進歩とともに、難燃性、流動性、耐衝撃性および外観について、より高いレベルのものが要求されるようになってきている。
ここで、特許文献1〜3では、それらの実施例における難燃性評価用試験片の肉厚は1/16インチ(1.6mm)、特許文献4の実施例では1.2mmまたは1.6mm、特許文献5および8の実施例では0.8mmのものが採用されているが、近年、より薄い成形品、具体的には厚み0.5mm以下の薄肉成形品が求められている。
従って、全体または部分的に0.5mm以下の平板部を有するような薄肉容器に成形した場合でも、良好な成形品外観と難燃性を両立させることができ、さらに耐衝撃性や流動性に優れ、高温成形にも耐えうる熱安定性を有し、総合的に良好な性能を兼ね備えた樹脂組成物の開発が望まれている。
また、特許文献5に記載の樹脂組成物で薄肉成形品を成形した場合、難燃性、耐衝撃性が不足するばかりか、成形品表面に白点異物が多数生じ、外観の劣る成形品しか得られないことがわかった。
さらに、特許文献6〜8に記載の樹脂組成物を用いた場合でも、厚み0.5mmにおける難燃性が不十分であり、本発明の目的である耐衝撃性、熱安定性、成形品外観の全てをバランスよく満足することができないことがわかった。
すなわち、本発明により、携帯電話、携帯ステレオ、モバイルパソコン等の電池パックや、メモリーカード、SDカード等の小型補助記憶装置の外郭部を構成する容器として好適な薄肉成形品を提供することが可能となった。
本発明に使用される(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性重合体である。該(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐していてもよいし、共重合体であってもよい。該(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造できる。また、溶融法によって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂を用いる場合、末端基のOH基量を調整して用いてもよい。
本発明においては、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂に(B)リン系難燃剤を配合する。本発明で用いる(B)リン系難燃剤は、分子中にリンを含む化合物であればよく、具体的には、環状フェノキシホスファゼン化合物、鎖状フェノキシホスファゼン化合物および架橋フェノキシホスファゼン化合物のようなホスファゼン化合物、下記の一般式(1)で表される化合物、および下記一般式(2)で表される化合物から選択されるものが好ましい。
R1、R2およびR3は、好ましくは、各々独立に、アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基である。
Xは、好ましくはレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される2価の基である。
また、R4、R5、R6およびR7は、好ましくは、各々独立に、フェノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるものである。
本発明で用いる(C)ポリフルオロエチレンは、例えば、フィブリル形成能を有するもので、重合体中に容易に分散し、且つ重合体同士を結合して繊維状材料を形成するのに役立つ。ポリフルオロエチレンを含有した樹脂組成物を溶融成形した薄肉成形品の外観を向上させるためには、有機系重合体で被覆された特定の被覆ポリフルオロエチレン(以下、「被覆ポリフルオロエチレン」と略記することがある)を含有させることが好ましい。本発明で好ましく採用される被覆ポリフルオロエチレンは、被覆ポリフルオロエチレン中のポリフルオロエチレンの含有比率が40〜95重量%の範囲内となるものであり、中でも43〜80重量%、さらには45〜70重量%、特には47〜60重量%となるものが好ましい。被覆ポリフルオロエチレン中のポリフルオロエチレンの含有比率を40重量%以上とすることにより、難燃性が向上する傾向にあり、95重量%以下とすることにより、白点異物をより抑止できる傾向にあり、好ましい。
本発明で用いる(D)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、例えば、特開2003−238639号公報に開示された製造方法によって製造可能である。
即ち、(D)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、(X)ポリオルガノシロキサン粒子40〜90重量部の存在下で、(Y)第1のビニル系単量体0.5〜10重量部を重合し、さらに、(Z)第2のビニル系単量体5〜50重量部を重合して得られるものである。
(X)ポリオルガノシロキサン粒子の具体例としては、ポリジメチルシロキサン粒子、ポリメチルフェニルシロキサン粒子、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体粒子などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(Y)第1のビニル系単量体は、(y−1)多官能性単量体を、好ましくは100〜80重量%、さらに好ましくは100〜90重量%含み、(y−2)その他の共重合可能な単量体を、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%含む。(y−1)多官能性単量体を50重量%以上の割合で含めることにより、また、(y−2)その他の共重合可能な単量体を50重量%以下の割合で含めることにより、最終的に得られる(D)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体の耐衝撃性改良効果がより向上する傾向にあり好ましい。
(Z)第2のビニル系単量体は、該ビニル系単量体の重合体の溶解度パラメーターが9.15〜10.15[(cal/cm3)1/2]であることが好ましく、9.17〜10.10[(cal/cm3)1/2]であることがより好ましく、9.20〜10.05[(cal/cm3)1/2]であることがさらに好ましい。溶解度パラメーターを上記範囲とすることにより、難燃性がより向上する傾向にあり好ましい。
(X)ポリオルガノシロキサン粒子の割合が少なすぎる場合および多すぎる場合は、いずれも難燃化効果が低くなる。
また、(Y)第1のビニル系単量体が少なすぎる場合、難燃化効果および耐衝撃性改良効果が低くなり、多すぎる場合、耐衝撃性改良効果が低くなる。
さらに、(Z)第2のビニル系単量体が少なすぎる場合および多すぎる場合は、いずれも難燃化効果が低くなる。
本発明においては、難燃性、機械的強度をより向上させることを主目的に(E)タルクを配合する。該タルクは、燃焼時の溶融樹脂ドリップ防止効果が大きく、タルクを配合することにより、難燃性をより向上させることができる。
タルクは、特に限定されないが、光透過式粒度分布測定器を用いる沈降法(浅田法)で測定した数平均粒子径で好ましくは1.0〜9.0μm、より好ましくは1.5〜8.0μm、さらに好ましくは2.0〜7.0μmのタルクである。数平均粒子径が1.0μm未満では難燃性が不足する場合があり、9.0μmを超えると成形品の外観が低下する場合がある。
(E)タルク中のFe成分およびAl成分の含有量は、それぞれFe2O3、Al2O3として0.001〜0.4重量%であることが好ましく、0.001〜0.2重量%でがより好ましい。また、耐衝撃性の観点から、表面処理されていないタルクが、さらに好ましく用いられる。
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料、ジフェニルメタン染料、アクリジン染料、シアニン染料、ニトロ染料、ニグロシン等が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン、べんがら、コバルトブルー等の酸化物顔料、アルミナホワイト等の水酸化物顔料、硫化亜鉛、カドミウムイエロー等の硫化物顔料、ホワイトカーボン、タルク等の珪酸塩顔料、カーボンブラック等が挙げられる。有機顔料としては、ニトロ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が挙げられる。これらの中でも、無機顔料は樹脂組成物の難燃性を向上させる場合があり、特に、カーボンブラックが、他の着色剤に比べ難燃性向上効果が高い。また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
(a)ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製「ユーピロン(登録商標)H−2000」、粘度平均分子量20,000(以下、PCと略す)
(b−1)縮合リン酸エステル:旭電化工業社製「アデカスタブ FP700」
(c−1)被覆ポリテトラフルオロエチレン:三菱レイヨン社製「メタブレンA−3800」(被覆ポリテトラフルオロエチレン中のポリテトラフルオロエチレンの含有比率は、50重量%である。)
(c−2)ポリテトラフルオロエチレン:ダイキン工業社製「ポリフロンF−201L」
(d−1)(株)カネカ製「カネエースMR−01」
(d−2)ポリオルガノシロキサン粒子が40重量部未満のグラフト共重合体:三菱レイヨン(株)製「メタブレンS−2001」
(d−3)ポリブタジエンコア/ポリメチルメタクリレートシェル系共重合体(多層構造重合体):ローム・アンド・ハース社製「パラロイドEXL−2603」
(e−1)タルク:林化成社製「ミクロンホワイト5000S」、数平均粒子径2.8μm、表面処理なし
(e−2)マイカ:コープケミカル社製「ミクロマイカMK−100」、平均粒径(D50)3〜5μm
(e−3)ミルドファイバー:日本電気硝子(株)製「ガラスパウダーEPG70M−99S」、平均繊維長70μm、繊維径9μm
(e−4)炭素繊維:三菱化学産資(株)製「ダイアリードK223GM」、繊維長6mm、繊維径11μm
(f)ペンタエリスリト−ルテトラステアレート:コグニス社製「VPG861」
(G)熱安定剤
(g)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト:旭電化工業社製「アデカスタブ2112」
(H)着色剤
(h)カーボンブラック:三菱化学(株)製「三菱カーボンブラック#1000」
表1〜3に示した割合(重量比)となるよう原料を配合し、タンブラーにて20分間混合した後、2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST、バレル12ブロック構成)のホッパーに投入した。バレル温度280℃、スクリュー回転数200rpm、押出速度15kg/時間の条件下で表1〜3に記載の各樹脂組成物を溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作製した。なお、(B)難燃剤として液状の(b−1)FP700を使用した場合には、(b−1)FP700を予め80℃に加温し、2軸押出機のホッパー側から数えて3番目のブロックからギアポンプにて添加した。得られた樹脂組成物を80℃で5時間乾燥した後、以下の方法により射出成形を行い、得られた試験片を用いて各種評価を行った。結果を表1〜3に示した。
(1)難燃性
上記記載の方法で得られた各樹脂組成物のペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製、J50EP)にてシリンダー温度310℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚0.5mmおよび0.8mmの試験片をそれぞれ得た。得られた試験片について、UL94規格に準拠して燃焼試験を行った。V−0が最も好ましく、V−1、V−2と順に劣り、NGはUL94規格の基準にあてはまらないものである。
上記記載の方法で得られた各樹脂組成物のペレットを、射出成形機(ソディックプラステック社製、TR100EH)にて、シリンダー温度330℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、図1に示す電池パックの蓋および箱を成形した。図1中、四角で囲んだ数字は、それぞれの部位の厚さを示している。また、四角で囲んだ以外の数字は、成形品各部分の長さを示している。なお、単位は「mm」である。得られた箱に、素電池を組み込み超音波溶着し、蓋をして電池パックとした。得られた電池パックを、1.65mの高さからコンクリート面に落下を各6面について実施した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返して試験を行い、割れが生じない場合を○、割れが生じた場合を×とした。なお、流動性が悪く、金型内に完全に樹脂を充填できなかった場合は「充填不可」と記した。
上記記載の方法で得られた各樹脂組成物ペレットを、射出成形機(ソディックプラステック社製、TR100EH)にて、シリンダー温度330℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、図1に示す電池パックの蓋を成形した。得られた1000個の蓋について、白点および蓋表面への無機充填材の浮きの有無について、目視観察した。白点に関しては、確認された個数の数平均値(/蓋1個)を表1〜3に記載した。白点が20個以下であれば、実成形品として問題ないレベルと判断できる。また、無機充填材の浮きに関しては、蓋表面への無機充填材の浮きが認められず、表面外観に優れている場合は「○」、無機充填材の浮きが認められ表面外観が悪い場合は「×」と記載した。無機充填材の浮きがある場合、実成形品として使用できない。
上記記載の方法で得られた各樹脂組成物ペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、ミニマット7)にて、シリンダー温度300℃、金型温度70℃の条件下で、図2に示すような雫型の金型を用い成形片を連続1000ショット射出成形し、発生ガスによる1000ショット成形後の金型表面の汚れを観察した。付着物がないものを◎、付着物が若干認められるが通常の連続成形に問題ないと判断されるものを○、付着物が多く連続成形は困難と判断されるものを×と表記した。なお、図2の雫型金型とは、反ゲート側の尖点部分に発生ガスを溜まり易く設計した金型である。成形片の厚みは3mm、ゲート部は幅が1mm、厚みが1mmである。図2中、単位は「mm」である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、330℃というポリカーボネート樹脂の成形温度としては比較的高い温度で成形しても、得られる薄肉成形品が難燃性、耐衝撃性、熱安定性、成形品外観の全てをバランス良く満足した(実施例1〜6)。特に、高い温度で成形を行った場合、樹脂の劣化による成形品強度の低下や、シルバー、ポリフルオロエチレンの凝集による白点等の外観不良が発生する傾向にあるが、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いることにより、このような問題が生じなかった。
一方、本発明で規定するグラフト共重合体以外のグラフト共重合体を配合した場合は、実施例2と、比較例2〜5との比較から明らかなとおり、0.5mm厚の難燃性が本願の目的を達成できなかった。
また、比較例7は、実施例2におけるリン系難燃剤とグラフト共重合体の合計配合量と同量のグラフト共重合体を配合した例であるが、合計難燃剤量が同じであっても、本発明のリン系難燃剤を配合しない場合は、難燃性が大きく劣る。
本発明で用いるリン系難燃剤以外の難燃剤を配合した場合は、実施例2、3と比較例12との比較から明らかなとおり、0.5mm厚の難燃性が本発明の目的を達成できなかった。また、流動性が低下し金型内に樹脂を完全に充填することができず、さらに、発生ガスが多く電池パックの連続成形が困難であった。
また、タルクにかえて、タルク以外の無機充填材を配合した場合は、実施例2と比較例9〜11の比較から明らかな通り、難燃性および電池パックの耐衝撃性が低下し、成形品表面には無機充填材の浮きが確認され外観の劣るものであった。
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、上記のような性能を有するため、携帯電話、携帯ステレオ、モバイルパソコン等の電池パックや、メモリーカード、SDカード等のカード型情報記録媒体等の小型補助記憶装置の外郭部を構成する容器として好適である。
Claims (14)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(B)リン系難燃剤を3〜20重量部、(C)ポリフルオロエチレンを0.01〜1.5重量部、(D)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を1〜20重量部、(E)タルク0.1〜12重量部配合してなる難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、
前記(C)ポリフルオロエチレンが、有機系重合体で被覆されたポリフルオロエチレンであり、
前記(D)前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、(X)ポリオルガノシロキサン粒子40〜90重量部の存在下で、(Y)第1のビニル系単量体0.5〜10重量部を重合し、さらに、(Z)第2のビニル系単量体5〜50重量部を重合して得られるものであり、
前記(Y)第1のビニル系単量体は、(y−1)多官能性単量体100〜50重量%および(y−2)その他の共重合可能な単量体0〜50重量%からなるビニル系単量体であり、
かつ、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形された0.5mm厚試験片のUL94規格における難燃性がV−0又はV−1である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、310〜360℃で射出成形して得られる成形品であって、
前記成形品は、該成形品全体の面積の25%以上が肉厚0.5mm以下の平板部であることを特徴とする成形品。 - 前記有機系重合体で被覆されたポリフルオロエチレン中の、ポリフルオロエチレンの含有比率が40〜95重量%である、請求項1に記載の成形品。
- 前記(B)リン系難燃剤が、ホスファゼン化合物、下記一般式(1)で表される化合物、および、下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載の成形品。
一般式(1)
一般式(2)
- 前記成形品が1cm 2 以上の肉厚0.5mm以下の平板部を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
- 電池パックまたは小型補助記憶装置の外郭部を構成する容器である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品。
- 前記成形品が、箱体とこれを封止する蓋体とからなる樹脂容器であり、前記箱体は、
周囲の立上り片によって凹没した平均肉厚が0.5mm以下の平板部を有する樹脂容器で
あり、前記平板部の面積は、1〜100cm 2 であり、立上り片の高さは0.5〜10m
mであり、立上り片の肉厚は0.3〜1.2mmである樹脂容器である、請求項1〜6の
いずれか1項に記載の成形品。 - (A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(B)リン系難燃剤を3〜20重量部、(C)ポリフルオロエチレンを0.01〜1.5重量部、(D)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を1〜20重量部、(E)タルク0.1〜12重量部配合してなる難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、
前記(C)ポリフルオロエチレンが、有機系重合体で被覆されたポリフルオロエチレンであり、
前記(D)前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、(X)ポリオルガノシロキサン粒子40〜90重量部の存在下で、(Y)第1のビニル系単量体0.5〜10重量部を重合し、さらに、(Z)第2のビニル系単量体5〜50重量部を重合して得られるものであり、
前記(Y)第1のビニル系単量体は、(y−1)多官能性単量体100〜50重量%および(y−2)その他の共重合可能な単量体0〜50重量%からなるビニル系単量体であり、
かつ、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形された0.5mm厚試験片のUL94規格における難燃性がV−0又はV−1である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、2軸スクリュー押出機を混練機として使用する溶融混練法で、バレル温度240〜320℃に設定して混練する工程、および、前記樹脂組成物を、温度310〜360℃に設定して射出成形する工程を含む、成形品の製造方法であって、前記成形品は、該成形品全体の面積の25%以上が肉厚0.5mm以下の平板部であることを特徴とする成形品の製造方法。 - 前記有機系重合体で被覆されたポリフルオロエチレン中の、ポリフルオロエチレンの含有比率が40〜95重量%である、請求項8に記載の成形品の製造方法。
- 前記(B)リン系難燃剤が、ホスファゼン化合物、下記一般式(1)で表される化合物、および、下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項8または9に記載の成形品の製造方法。
一般式(1)
一般式(2)
- 前記成形品が1cm 2 以上の肉厚0.5mm以下の平板部を有する請求項8〜11のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
- 前記成形品が電池パックまたは小型補助記憶装置の外郭部を構成する容器である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
- 前記成形品が、箱体とこれを封止する蓋体とからなる樹脂容器であり、前記箱体は、
周囲の立上り片によって凹没した平均肉厚が0.5mm以下の平板部を有する樹脂容器で
あり、前記平板部の面積は、1〜100cm 2 であり、立上り片の高さは0.5〜10m
mであり、立上り片の肉厚は0.3〜1.2mmである樹脂容器である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
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