JP2009249550A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた外観を有し、且つ遮光性、難燃性、耐熱性、流動性、熱安定性、耐熱変色性に優れたポリカーボネート樹脂組成物、および該樹脂組成物からなる成形品を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂 (a)100 重量部に対し、酸化チタン(b)2 〜 15重量部、シリコーン粉末(c)0.1〜10重量部、珪酸塩化合物(d)0.1〜10重量部、有機酸性化合物(e)0.005〜0.5重量部、および、ポリテトラフルオロエチレン(f)0 . 0 1 〜 2 重量部、を含むポリカーボネート樹脂組成物、さらに該樹脂組成物より製造された成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、遮光性、難燃性、耐熱性、流動性、熱安定性、耐熱変色性および外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れ、その優れた特性から、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野等の原材料として、工業的に広く利用されている。
一方、OA機器、家電製品等の用途を中心に、樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ハロゲン系化合物、リン系化合物、シロキサン系化合物、ポリフルオロエチレン等を配合して難燃化する技術が多数提案されている。最近では、環境に対する配慮から、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用しない難燃性を有する樹脂組成物成形体が求められている。
また、最近では高機能化および意匠性への要求から、白色系の外観でありながら高い遮光性、耐熱性、熱や光に対する色調安定性を有し、さらに臭素系難燃剤およびリン系難燃剤を使用しない成形品および材料の要求が高くなっているため、特許文献1〜3に記載の液晶フレームおよび液晶反射板用途で実績のある酸化チタンを高配合した高反射性樹脂組成物が用いられている。
例えば、特許文献1には(A)芳香族ポリカーボネートに(B)酸化チタン、(C)ポリオルガノ水素シロキサン、(D)シリコーン化合物、(E)有機金属塩、(F)繊維形成型のフッ素ポリマーからなる高反射性、難燃性を兼ね備えた樹脂組成物が得られると記載されている。しかしながら、酸化チタンの配合のみで、遮光性を有する成形体を得ようとした場合、酸化チタンの配合量が多くなるため、溶融混練および溶融成形時に、樹脂の劣化によりシルバーストリークス等の外観不良を伴う問題がある。また難燃剤として有機金属塩系の難燃剤が添加されているため、大型成形品および薄肉成形品の高温成形時にはヤケ、シルバー等の外観不良が発生しやすい。さらにUL94の125mm/5VB垂直燃焼試験において2.0mm未満の厚みでは充分な燃焼性が得られず、意匠性・難燃性が要求される大型筐体用途には充分な性能とはいえない。
特許文献2には(A)芳香族ポリカーボネートに、(B)酸化チタン、(C)染顔料、(D)有機酸アルカリ金属塩および有機酸アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸金属塩、(E)フルオロポリマー、(F)珪酸塩化合物からなる遮光性、難燃性を兼ね備えた樹脂組成物が得られると記載されている。しかしながら、特許文献1と同様に、有機金属塩系の難燃剤が添加されているため、大型成形品および薄肉成形品の高温成形時にはヤケ、シルバー等の外観不良が発生しやすい問題がある。
特許文献3には(A)芳香族ポリカーボネートに(B)酸化チタン、(C)シリカにポリオルガノシロキサンを担持したシリコーン粉末、(D)ポリテトラフルオロエチレンからなる高反射性、難燃性を兼ね備えた樹脂組成物が記載されている。しかしながら、酸化チタンの配合のみで、遮光性を有する成形体を得ようとした場合、酸化チタンの配合量が多くなるため、溶融混練および溶融成形時に、樹脂の劣化によりシルバー等の外観不良を伴う問題がある。またUL94の125mm/5VB垂直燃焼試験で2.0mm未満の厚みでは実力がなく、意匠性・難燃性が要求される大型薄肉筐体用途に充分に適した性能とはいえない。
特許3644681号公報 特開2006−176567号公報 特許3871307号公報
本発明の目的は、優れた白色およびライトグレー色の外観を有し、且つ遮光性、難燃性、耐熱性、流動性、熱安定性、耐熱変色性に優れたポリカーボネート樹脂組成物、およびこれを溶融成形してなる成形品を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に、酸化チタン、シリカにポリオルガノシロキサンを担持したシリコーン粉末、ポリフルオロエチレン、珪酸塩化合物、有機酸性化合物を含有させることにより、遮光性、難燃性、耐熱性、流動性、熱安定性、耐熱変色性に優れた樹脂組成物および成形品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、
芳香族ポリカーボネート樹脂 (a)100 重量部に対し、酸化チタン(b)2 〜 15重量部、シリコーン粉末(c)0.1〜10重量部、珪酸塩化合物(d)0.1〜10重量部、有機酸性化合物(e)0.005〜0.5重量部、および、ポリテトラフルオロエチレン(f)0.01〜2重量部、を含むポリカーボネート樹脂組成物、さらに該樹脂組成物より製造された成形品に存する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、熱源部を有するプロジェクター等の投影機、パソコン等の各種の電気・電子機器、OA機器のハウジング部材、とりわけ高度な白色外観と耐変色性が要求される筐体用途に好適な材料である。
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(a)は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(a)としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述した芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(a)の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量として、16,000〜30,000、更には17,000〜28,000が好ましい。粘度平均分子量が30,000を超えると流動性が不十分となる場合があり、一方、16,000未満では衝撃強度が不十分となる場合がある。
本発明における酸化チタン(b)は、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の遮光性、白度、光線反射特性などを向上させる様に機能する。酸化チタン(b)は、製造方法、結晶形態および平均粒子径などは、特に限定されるものではない。製造方法には(1)硫酸法および(2)塩素法があるが、硫酸法で製造された酸化チタンは、これを添加した組成物の白度が劣る傾向があるため、本発明の目的を効果的に達成するには、塩素法で製造されたものが好適である。
酸化チタンの結晶形態には、ルチル型とアナターゼ型があるが、耐光性の観点からルチル型の結晶形態のものが好適である。酸化チタンの平均粒子径は、通常0.1〜0.7μm、好ましくは0.1〜0.4μmである。平均粒子径が0.1μm未満では成形品の光線遮蔽性に劣り、0.7μmを超える場合は、成形品表面に肌荒れを起こしたり、成形品の機械的強度が低下したりする。
なお、酸化チタン(b)は、後記するシロキサン系の表面処理剤(b1)で表面処理する前に、アルミナ水和物および/または珪酸水和物で前処理するのが好ましい。前処理は必須ではなく、かつ、前処理の方法は特に限定されるものではなく、任意の方法によることが出来る。アルミナ水和物および/または珪酸水和物による前処理は、酸化チタン(b)に対して1〜15重量%の範囲で行なうのが好ましい。
アルミナ水和物および/または珪酸水和物で前処理された酸化チタン(b)は、更にその表面をシロキサン系の表面処理剤(b1)で表面処理することによって、熱安定性を大幅に改善することが出来る他、ポリカーボネート樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させ、樹脂組成物の難燃性を向上させ、更に、後記するシリコーン粉末(c)、珪酸塩化合物(d)、有機酸性化合物(e)、ポリテトラフルオロエチレン(f)等との親和性も向上させるため、ポリカーボネート樹脂組成物の製造上好ましい。シロキサン系の表面処理剤(b1)としては、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン化合物が好ましい。
また本発明で酸化チタンは市販の製品を用いることができるが、酸化チタン中の水分が成形品表面への外観不良に影響することがあるため、酸化チタンと共に混入する水分量を低減させたものを使用することができる。水分量低減処理としては、1)無機処理剤の量を低減するか或いは、無機処理剤による処理を行わない、2)無機処理剤による処理を行った後に再度乾燥を行い、無機処理層の吸着水を除去する等の手段が挙げられる。水分量としては300℃および100℃においてカールフィーシャー水分測定法にて測定された酸化チタン中の水分量の差が、3000ppm以下であるものが好ましい。
酸化チタン(b)のシロキサン系の表面処理剤(b1)による表面処理法には(1)湿式法と(2)乾式法とがある。湿式法は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類と溶剤との混合物に、アルミナ水和物および/または珪酸水和物で前処理された酸化チタン(b2)を加え、撹拌した後に脱溶媒を行い、更にその後100〜300℃で熱処理する方法である。乾式法は、上記と同様に前処理された酸化チタンとポリオルガノハイドロジェンシロキサン類とをヘンシェルミキサーなどで混合する方法、前処理された酸化チタンにポリオルガノハイドロジェンシロキサン類の有機溶液を噴霧して付着させ、100〜300℃で熱処理する方法などが挙げられる。シロキサン系の表面処理剤(b1)の量は、特に制限されるものではないが、酸化チタンの反射性、樹脂組成物の成形性などを勘案すると、酸化チタンに対し、通常1〜10重量%の範囲である。
酸化チタン(b)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、2〜15重量部の範囲である。酸化チタン(b)の配合量が2重量部未満の場合は、樹脂組成物から得られる成形品の遮光性が不十分になり、15重量部を超える場合は樹脂組成物の耐衝撃性が不十分となる。酸化チタンの好ましい配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、2.5〜14重量部、更に好ましくは3〜12重量部である。なお、酸化チタン(b)の重量は、アルミナ水和物、珪酸水和物、前述の表面処理剤(b1)によって表面処理されている場合は、これらの処理剤も含めた重量を意味する。
本発明におけるシリコーン粉末(c)は、シリカ(c1)の表面にポリオルガノシロキサン重合体(c2)が担持されているものである。
シリカ(c1)は、後述のポリテトラフルオロエチレン(f)との相乗作用により、ポリカーボネート樹脂組成物に顕著な難燃性を付与する様に機能する。シリカ(c1)としては、フューム、沈殿または採掘形態から得られた微粉砕シリカ(シリカ粉末)が挙げられる。フューム及び沈殿シリカとしては、表面積が50〜400m2/gの範囲のものが好ましい。かかるシリカ(c1)は、後述する本発明の好ましい態様に従って、その表面にポリオルガノシロキサン重合体(c2)を担持(吸収、吸着または保持)させる場合にその担持が容易となる。採掘シリカを使用する場合は、少なくとも等重量のフューム又は沈殿シリカを組み合わせ、混合物の表面積が50〜400m2/gの範囲となる様に調節するのが好ましい。
シリカ(c1)は表面処理剤によって処理することも出来る。表面処理剤としては、後述するポリオルガノシロキサン重合体(c2)以外の低分子量のヒドロキシまたはアルコキシを末端基に有するポリオルガノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン等が挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、平均重合度が2〜100のオリゴマーのヒドロキシル基を末端基とした、常温で液状ないし粘稠な油状を呈するポリジメチルシロキサンである。
シリカ(c1)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.01〜9重量部の範囲である。シリカ(c1)の配合量が0.01重量部未満の場合は、樹脂組成物から得られる成形品の難燃性、機械的強度、耐熱性が不十分となり、9重量部を超える場合は樹脂組成物の耐衝撃性や流動性が不十分となる。シリカ(c1)の好ましい配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.02〜7.2重量部、さらに好ましくは0.03〜4.5重量部、特に好ましくは0.05〜1.8重量部である。なお、シリカ(c1)の重量は、上述の表面処理剤によって表面処理されている場合は、処理剤も含めた重量を意味する。
本発明におけるポリオルガノシロキサン重合体(c2)は、シリカ(c1)との相乗作用により、ポリカーボネート樹脂組成物に顕著な難燃性を付与する様に機能する。ポリオルガノシロキサン重合体(c2)が有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキルおよび置換アルキル基の様な炭化水素またはハロゲン化炭化水素基、ビニル及び5−ヘキセニルの様なアルケニル基、シクロヘキシルの様なシクロアルキル基、フェニル、ベンジル及びトリルの様な芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。好ましくは、炭素原子数が1〜4の低級アルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピルの様なハロゲン置換アルキルである。ポリオルガノシロキサン重合体(c2)は、直鎖であっても分岐基を有してもよいが、分岐基を有しない直鎖のポリジメチルシロキサンがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン重合体(c2)は、分子鎖中に官能基を有しないポリオルガノシロキサン重合体(c21)でも、分子鎖中に官能基を有するポリオルガノシロキサン重合体(c22)であってもよい。官能基を有するポリオルガノシロキサン重合体(c22)の場合は、官能基はメタクリル基またはエポキシ基が好ましい。メタクリル基またはエポキシ基を有すると、燃焼時に芳香族ポリカーボネート樹脂(a)との架橋反応を起させることが出来るので、樹脂組成物の難燃性を一層向上させることが出来る。
官能基を有するポリオルガノシロキサン重合体(c22)の分子鎖中に有する官能基の量は、通常、0.01〜1モル%程度である。好ましいのは、0.03〜0.5モル%であり、中でも好ましいのは、0.05〜0.3モル%である。
ポリオルガノシロキサン重合体(c2)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.01〜9重量部の範囲である。ポリオルガノシロキサン重合体(c2)の配合量が0.01重量部未満の場合は、樹脂組成物から得られる成形品の難燃性、機械的強度、耐熱性が不十分となり、9重量部を超える場合は樹脂組成物の耐衝撃性や流動性が不十分となる。ポリオルガノシロキサン重合体(c2)の好ましい配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.02〜7.2重量部、さらに好ましくは0.03〜4.5重量部、特に好ましくは0.05〜1.8重量部である。
シリコーン粉末(c)における、シリカ(c1)とポリオルガノシロキサン重合体(c2)との配合割合は、シリカ(c1)10〜90重量%、ポリオルガノシロキサン重合体(c2)90〜10重量%の範囲で選ぶのが好ましい。シリコーン粉末(c)を構成するシリカ(c1)の量が10重量%未満であると、ポリオルガノシロキサン重合体(c2)を担持することが困難で、サラサラの粉末になりにくく、90重量%を超えると、ポリオルガノシロキサン重合体(c2)の量が少なくなりすぎて、成形品の外観不良が生じやすい。上記の配合割合でより好ましいのは、シリカ(c1)20〜80重量%、ポリオルガノシロキサン重合体(c2)80〜20重量%である。
シリコーン粉末(c)は、(1):官能基を有しないポリオルガノシロキサン重合体(c21)を担持したシリコーン粉末、(2):シリカ(c1)の表面に、メタクリル基またはエポキシ基の官能基を有するポリオルガノシロキサン(c22)を担持したシリコーン粉末、(3):上記(1)および(2)の混合物、の何れであってもよい。
シリコーン粉末(c)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲である。シリコーン粉末(c)の配合量が0.1重量部未満の場合は、樹脂組成物から得られる成形品の難燃性、機械的強度、耐熱性が不十分となりやすく、10重量部を超える場合は、樹脂組成物の耐衝撃性や流動性が不十分となりやすい。シリコーン粉末(c)のより好ましい配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して0.2〜8重量部であり、さらに好ましくは0.3〜5重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物には、難燃性、剛性を改良するために珪酸塩化合物(d)を配合する。珪酸塩化合物(d)の具体例としては、カオリン、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ワラストナイト、天然シリカ、合成シリカ、各種ガラスフィラー、ゼオライトおよびケイソウ土等、またはこれらの混合物を挙げることができるが、好ましくは難燃性・外観の観点からタルク、マイカ、ワラストナイトである。中でもレーザー回折法で測定した数平均粒子径が9.0μm以下で、且つ、タルク中のFe成分及びAl成分の含有量がそれぞれFe、Alとして0.5重量%以下であるタルクが、さらに好ましく用いられる。
本発明において珪酸塩化合物(d)を使用する場合、その使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して0.1〜10重量部であり、0.5〜10重量部がより好ましく、さらに1〜10重量部が好ましい。珪酸塩化合物(d)の使用量が0.1重量部未満の場合、難燃性が不十分であり、また、10重量部を超える場合は溶融安定性が低下、成形品外観や衝撃性が低下する。
本発明では、珪酸塩化合物の添加によるポリカーボネート成分の溶融安定性の向上を目的に少なくとも1つの有機酸性化合物(e)、および有機酸性化合物誘導体を併用することができる。
本発明で使用することができる有機酸性化合物は、分子構造中に1つ以上のカルボン酸基(−COOH基)、スルホン酸基(−SO3H基)またはリン酸基(−POH基)を有する有機化合物である。また有機酸性化合物誘導体とは前記に記載の酸基から誘導された有機酸エステル、有機酸無水物、有機酸ホスホニウム塩、有機酸金属塩エステルが挙げられる。特にスルホン酸基、リン酸基を有する有機酸性化合物、およびその誘導体が好ましく、より好ましくはリン酸基を有する有機酸性化合物およびその誘導体である。
本発明の有機酸性化合物(e)として、使用することができる有機リン酸化合物(e1)は、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類が好ましく、なかでもリン酸基(−POH基)を有するリン酸エステル類(e11)が珪酸塩化合物によるポリカーボネートの分子量低下を抑制する効果が高く好ましい。
本発明で特に好適に用いられる有機リン酸化合物(e1)は、下記一般式(1)および(2)から選ばれた、少なくとも1つ以上の有機リン酸化合物である。
Figure 2009249550
(式中、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。nは、1または2である。)
Figure 2009249550
(式中、Rは、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。nは、1または2である。)
上記有機リン酸化合物(e1)の具体例としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、n−オクチルアシッドホスフェート、2−エチルへキシルアシッドホスフェート、n−ラウリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルへキシル)ホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、エチレングリコールモノエチルエーテルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアシッドホスフェート、モノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート、モノブトキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、などのリン酸エステル類が挙げられる。
上記有機リン酸化合物(e1)のうち、特に上記一般式でn=1であるモノアルキルホスフェート及びモノアリールホスフェートを好ましく用いることができる。このようなモノアルキルホスフェート類は珪酸塩化合物の活性点との反応性が強く、中でもモノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェートが好ましく、特にモノブトキシエチルアシッドホスフェートは優れた反応性を有し、本発明の組成物に用いられる成分として最も好ましい。
また本発明に用いる有機リン酸化合物(e1)として、有機リン酸エステル金属塩(e12)も用いることができる。有機リン酸エステル金属塩とは、下記一般式(3)で表される有機リン酸エステル金属塩(X1成分)と下記一般式(4)で表される有機リン酸エステル金属塩(X2成分)の混合物であり、X1成分とX2成分の重量比が30/70〜70/30である。
Figure 2009249550
(一般式(3)中、R4〜R7はアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であ
っても異なっていてもよい。Mはアルカリ土類金属および亜鉛より選ばれる金属を表す。)
Figure 2009249550
(一般式(4)中、R8はアルキル基またはアリール基であり、Mはアルカリ土類金属および亜鉛より選ばれる金属を表す。)
有機リン酸エステル金属塩としては、耐熱性、色相、滞留熱安定性、耐薬品性、耐湿熱
性をより向上させる観点からは、前記一般式(3)および前記一般式(4)中のR〜R
が、それぞれ、好ましくは炭素数2〜25のアルキル基であり、特に好ましくは、それ
ぞれ、炭素数6〜23のアルキル基である。また、前記一般式(3)及び前記一般式(4
)中のMが亜鉛であることが好ましい。
本発明の有機酸性化合物(e)として、使用することができる有機スルホン酸化号物(e2)として、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジイソブチルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、等の芳香族スルホン酸、炭素数8〜18の脂肪族スルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル・スルホン化スチレン共重合体等のポリマーまたはオリゴマー状の有機スルホン酸、等を挙げることができる。
また、有機スルホン酸エステル類(e21)として、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ナフタレンスルホン酸メチル、ナフタレンスルホン酸エチル、ナフタレンスルホン酸プロピル、ナフタレンスルホン酸ブチル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、等を挙げることができる。
有機スルホン酸ホスホニウム塩(e22)として、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、等を挙げることができる。
(e1)および(e2)に記載の有機酸性化合物は、本発明の組成物に対しいずれも優れた効果を発揮するが、なかでも(e1)のリン酸基(−POH基)を有するモノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート、モノブトキシエチルアシッドホスフェートが(e2)と比べさらに高温成形での着色性、樹脂組成物の分子量低下抑制に優れる。
本発明において有機酸性化合物(e)を使用する場合、その使用量は、芳香族ポリカ−
ボネート樹脂(a)100重量部に対して0.005〜0.5重量部の範囲が好適であり、より好ましくは0.01〜0.4重量部、さらに好ましくは0.03〜0.3重量部、特に好ましくは0.05〜0.2重量部である。有機酸性化合物(e)が0.005重量部未満の場合、樹脂組成物の分解により強度が低下し、また燃焼性が不十分である。また、0.5重量部を超える場合は、樹脂組成物の耐熱性が低下するため、好ましくない。
本発明においてポリテトラフルオロエチレン(f)としては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンF201L、FA500B、FA500Cが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリテトラフルオロエチレン化合物が挙げられる。いずれのタイプも本発明の樹脂組成物に用いることができる。
上記で挙げたポリテトラフルオロエチレンのなかでもポリテトラフルオロエチレンを含有した難燃性樹脂組成物を射出成形した成形品の外観をより向上させるためには、有機系重合体で被覆された特定の被覆ポリテトラフルオロエチレン(以下、被覆ポリテトラフルオロエチレンと略記することがある)を使用することができる。特定の被覆ポリテトラフルオロエチレンとは、被覆ポリテトラフルオロエチレン中のポリテトラフルオロエチレンの含有比率が40〜95重量%の範囲内となるものであり、中でも、43〜80重量%、更には45〜70重量%、特には47〜60重量%となるものが好ましい。本発明の特定の被覆ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三菱レイヨン(株)製のメタブレンA−3800、A−3700、KA−5503や、PIC社製のPoly TS AD001等が使用できる。
本発明のポリテトラフルオロエチレン(f)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.01〜2重量部であり、更には0.05〜1.5重量部、特には0.1〜1重量部が好ましい。ポリテトラフルオロエチレン(f)の配合量が0.01重量部未満の場合には、難燃性が低下する場合があり、一方2重量部を超えると成形品外観の低下が起こる場合がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記成分以外に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の任意の紫外線吸収剤、抗酸化剤、熱安定剤、着色剤、滑剤、離型剤、蛍光増白剤等の添加剤や、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂、耐衝撃性改良剤等を含有していてもよい。
着色剤(g)については公知の染顔料が挙げられ、なかでも遮光性に効果的な着色剤としてカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの少量の添加により遮光性を高めることができる。本発明の着色剤(g)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対し、0.0001〜0.2重量部であり、更には0.0001〜0.1重量部、特には0.0001〜0.01重量部が好ましい。着色剤配合量が0.0001重量部未満だと充分な遮光性が得られず、また0.2重量部を超えると白色の外観が得られにくい問題がある。
本発明に用いてもよい抗酸化剤(h)としては、好ましくはヒンダードフェノール系抗酸化剤が挙げられる。具体例としては、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3',3",5,5',5"−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a"−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。上記のうちで,特にペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系抗酸化剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社よりイルガノックス1010及びイルガノックス1076の名称で市販されている。
抗酸化剤(h)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して、好ましくは0.01−2重量部である。フェノール系抗酸化剤の配合量は0.01重量部未満であると、抗酸化剤としての効果が不十分であり、2重量部を越えても抗酸化剤として更なる効果は得られない。
本発明に用いてもよい熱安定剤(i)としては、亜リン酸エステル系安定剤が好ましく、具体的には、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト及びトリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。これらの安定剤のうち、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが特に好ましい。
熱安定剤(i)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して0.01〜2重量部である。含有量が0.01重量部より少ないと、安定剤としての効果が不十分であり、一方、2重量部を超えて添加してもそれ以上の安定剤としての効果は得られない。熱安定剤の配合量は,0.02〜1重量部が好ましい。
本発明に用いてもよい離型剤(j)としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種のものが用いられる。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノまたはジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和または不飽和の1価アルコール、飽和または不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコールまたは多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
離型剤(j)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)100重量部に対して2重量部以下であり、好ましくは1重量部以下である。2重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。該離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
本発明の組成物の各成分を混合し溶融混練する方法としては、従来公知の熱可塑性樹脂組成物に適用される方法を適用できる。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、短軸又は二軸スクリュー押出機、コニーダーなどを使用する方法等が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、各種成形品の成形材料として使用できる。
適用できる成形方法は、熱可塑性樹脂の成形に適用できる方法をそのまま適用することが
出来、射出成形法、押出成形法、中空成形法、回転成形法、圧縮成形法、差圧成形法、ト
ランスファー成形法などが挙げられる。
本発明に係る成形品は、難燃性、光線遮蔽性に優れているため、電子電器OA機器筐体
用途に有用である。また光反射性と遮光性のバランスにも優れるため液晶バックライト用
光線反射板および反射枠部品への応用も可能である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において部及び%は、特に断りがない限り、重量部及び重量%を意味する。
[原材料]
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂:
ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製「ユーピロン(登録商標)H−2000」、粘度平均分子量20,000(以下、PCと略す))
(2)酸化チタン:
メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理された酸化チタン(石原産業(株)社製、「タイペークPC−3」)
(3)シリコーン粉末:
粘度が60,000センチストークスの直鎖のポリジメチルシロキサン60重量%を、シリカ40重量%に担持させて粉末化したもの(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製、「トレフィルF202」)
(4)シリコーンオイル:
粘度が60,000センチストークスの直鎖のポリジメチルシロキサンからなるシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製、「SH−200」
(5)有機金属塩化合物:
パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学工業(株)社製「メガファックF114」)
(6)珪酸塩化合物:
タルク(林化成(株)社製 「ミクロンホワイト5000S」)
(7)有機酸性化合物−1:
ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業(株)社製、「JP−506H」)
(8)有機酸性化合物−2:
ステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩(城北化学工業(株)社製、「JP−518Zn」)
(9)有機酸性化合物−3:
モノおよびジ−ステアリルアシッドホスフェート(ADEKA(株)社製、「AX−71」)
(10)有機酸性化合物−4:
パラトルエンスルホン酸(和光純薬(株)社製)
(11)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):
ダイキン工業社製「ポリフロンF−201L」
(12)離型剤
ペンタエリスリト−ルテトラステアレート(コグニス社製「VPG861」)
(13)着色剤
カーボンブラック(三菱化学(株)製、「三菱カーボンブラック#1000」)
[実施例1〜13及び比較例1〜9]
表1〜表3に示した割合(重量比)で組成物原料を秤量し、タンブラーにて混合した後、2軸押出機(12ブロック、TEX30HSST)によって、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数200rpm、押出速度15kg/時間の条件下で溶融混練し、表1〜表3に記載の樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物は、以下の方法により各種評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
成形品の物性評価方法は以下に記載の方法で行った。
(1)燃焼性
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用いシリンダー設定温度280℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚2.0mm、1.5mmおよび1.2mmの成形品を試験片として得た。得られた試験片について、UL94に準拠した垂直燃焼試験および水平燃焼試験を行い、燃焼性結果を「5VB」、「V−0」、「V−1」、「V−2」、「HB」に分類した。燃焼性試験結果が不合格のものは「NG」と記載した。
(2)遮光性
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用いシリンダー設定温度280℃、金型温度80℃で厚みが2mmのプレートを成形した。遮光性は、GENTOS社のLEDライトSuperfireSF−301を用い、裏から光を当てたとき光漏れしないものを「合格」、光漏れしたものを「不合格」とした。
(3)外観
(2)の遮光性評価用に成形したプレートについて、目視観察して成形品外観を評価した。シルバー、樹脂焼けなどが認められず外観の良好なものを「○」とし、外観不良が大きく発生したものを「×」、小さな外観不良の場合を「△」と判定した。
(4)強度試験
シャルピー衝撃強度:ISO179−1に準拠し、ノッチなし試験片を用いた。試験片が破壊したものを「×」、試験片が割れなかったものについては「○」とした。
Figure 2009249550
Figure 2009249550
Figure 2009249550
表1および表2の結果より、次のことがわかる。請求項に記載の実施例1〜10の樹脂組成物は酸化チタン、珪酸塩化合物の幅広い範囲の組合せが可能で良好な燃焼性、外観、強度を有する。実施例11から13は実施例1〜10に使用の有機酸性化合物を変更したものであり、実施例1〜10の組成物と同等の効果を発揮する。
一方、表3の結果より、比較例1および2は珪酸塩化合物が未添加のため充分な燃焼性が得られず、比較例3は有機酸性化合物の添加がないため、樹脂組成物の分解により強度が低下、充分な燃焼性が得られない。比較例4は珪酸塩化合物および有機酸性化合物の添加がないため、充分な燃焼性が得られない。比較例5では燃焼性は得られるが、珪酸塩化合物の配合量が多いため外観および遮光性に劣る。比較例6はシリコーン粉末を用いてないため難燃性に劣る。比較例7はシリコーンオイルを添加しているが、シリカにポリオルガノシロキサンを担持したシリコーン粉末でないため、衝撃性および燃焼性が劣る。比較例8は有機金属塩化合物を使用しているため、樹脂組成物の分解が促進され、成形品外観の悪化および強度が低下する。比較例9はポリテトラフルオロエチレンの添加がないため、燃焼性が不充分となる。
以上のように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、従来のポリカーボネート樹脂組成物と比べて、外観、遮光性、熱安定性および難燃性に優れているため、OA機器、家電製品等の筐体および内部機構部品用途に好適な材料といえる。よって本発明の工業的価値は顕著である。

Claims (6)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂 (a)100 重量部に対し、酸化チタン(b)2〜15重量部、シリコーン粉末(c)0.1〜10重量部、珪酸塩化合物(d)0.1〜10重量部、有機酸性化合物(e)0.005〜0.5重量部、および、ポリテトラフルオロエチレン(f)0.01〜2重量部、を含むポリカーボネート樹脂組成物。
  2. シリコーン粉末(c)が、シリカ(c1)の表面にポリオルガノシロキサン重合体(c2)が担持されており、シリカ(c1)10〜90重量%、ポリオルガノシロキサン重合体(c2)90〜10重量%の割合としたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物
  3. ポリオルガノシロキサン重合体(c2)が、官能基を有しないポリオルガノシロキサン重合体(c21)、および/ または官能基を有するポリオルガノシロキサン重合体(c22)であることを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 有機酸性化合物(e)が下記一般式(1)および(2)から選ばれた、少なくとも1つの有機リン酸化合物(e1)からなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2009249550
    (式中、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。nは、1または2である。)
    Figure 2009249550
    (式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。nは、1または2である。)
  5. 酸化チタン(b)が、シロキサン系表面処理剤(b1)によって表面処理されている、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物より製造されたものであることを特徴とする成形品。
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