JP2010229191A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観、難燃性、光反射性に優れた芳香族ポリカーボネート組成物およびその樹脂成形体を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アルミナ系および珪素系化合物を含む酸化チタン系添加剤(B)11〜23質量部、ポリフルオロエチレン(C)0.01〜1.5質量部を含有して成り、酸化チタン系添加剤(B)のAl2O3含有量a(質量%)、酸化チタン系添加剤中のSiO2量s(質量%)、および酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした場合、
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アルミナ系および珪素系化合物を含む酸化チタン系添加剤(B)11〜23質量部、ポリフルオロエチレン(C)0.01〜1.5質量部を含有して成り、酸化チタン系添加剤(B)のAl2O3含有量a(質量%)、酸化チタン系添加剤中のSiO2量s(質量%)、および酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした場合、
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、特定の組成を有する酸化チタンとポリテトラフルオロエチレンとの配合からなり、ポリテトラフルオロエチレン以外の難燃剤を使用しないことを特徴とした難燃性および表面外観に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびこれを成形してなる樹脂成形体の提供に関する。詳しくは、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた光線反射率、遮光性、耐光性、色相等の光学特性、そして熱安定性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、機械的強度、電気的性質、耐熱性、寸法安定性などに優れているので、電気・電子機器部品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの幅広い分野で使用されている。
これらの使用分野の中で、薄膜トランジスタ(TFT)を初めとする、コンピュータやテレビ等の情報表示装置では、液晶表示装置のバックライト用反射板、そして照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板など、高度の光線反射率が要求される反射板を組み込んだ表示装置が一般的になりつつある。
これらの高度の光線反射率が要求される光反射部材は、光反射性、成形性、衝撃強度の点から酸化チタン等の微粒子含有量の高いポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体等が使用されている。最近では高輝度光源を有し遮光性が必要な電気・電子・OA機器用の筐体にも酸化チタン等の微粒子含有量の高いポリカーボネート樹脂組成物が使用され、その場合は良好な表面外観が強く要求される。
ポリカーボネート樹脂組成物からなる光反射部材は、樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ハロゲン系化合物、リン系化合物、シロキサン系化合物、ポリフルオロエチレン等を配合して難燃化する技術が多数提案されている。最近では、環境に対する配慮から、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用せず、他の難燃剤を用いた難燃性樹脂組成物が望まれている。
これまで非リン系難燃剤および酸化チタンを併用した難燃性ポリカーボネートの例として特許文献1および2が挙げられるが、いずれも燃焼性を高めるために難燃剤を配合しなければならず、その組合せがシルバーストリークスによる外観不良の原因となっていた。
例えば、特許文献1にはポリカーボネート樹脂に、シリカにポリオルガノシロキサン重合体を担持したシリコーン系難燃剤、ポリテトラフルオロエチレンからなるUL難燃性が1.5mmV−0からなる樹脂組成物について記載されている。しかしながら難燃剤中の無機シリカによる成形時のフローマーク、および低粘度のポリジメチルシロキサンの脱離によるシルバーストリークス等の外観不良を生じるため、特に意匠性が要求される部材としては充分な性能とはいえない。
特許文献2にはポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレン、有機金属塩、シリコーン化合物に酸化チタンを加えた難燃性樹脂組成物について記載されている。しかしながらこれらの組成物は高温および滞留安定性に乏しく、衝撃性および外観が著しく劣る。
本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持し、さらに光線反射率、難燃性に優れ、良好な外観を有する製品が得られるポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形体、具体的には光反射部材を提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決するため、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物について鋭意検討した。そして特定の酸化チタンの使用、ポリフルオロエチレン以外の難燃剤を使用しないことにより光線反射率、難燃性そして良好な外観を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および光反射部材が得られることを見出し、本発明を完成させた。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アルミナ系および珪素系化合物を含む酸化チタン系添加剤(B)11〜23質量部、ポリフルオロエチレン(C)0.01〜1.5質量部を含有して成り、酸化チタン系添加剤(B)のAl2O3含有量a(質量%)、酸化チタン系添加剤中のSiO2量s(質量%)、および酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした場合、
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその樹脂成形体からなる光反射部材にある。
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその樹脂成形体からなる光反射部材にある。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、耐光性、遮光性、光線反射性、色相、難燃性成形安定性を有するだけでなく、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、外観特性等をも同時に維持している。よってこれらの特長を生かして、液晶表示装置のバックライト用光線反射板、光反射枠または光反射シート、電気・電子機器、広告灯などの照明用装置、自動車用メーターパネルなどの自動車用機器などの、光反射部材として幅広く使用できる。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明に使用される(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
本発明に使用される(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述した芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、成形性、強度等の点から(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量[Mv]で、10000〜40000、更には10000〜30000のものが好ましい。この様に、粘度平均分子量を10000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、40000以下とすることで流動性低下を、より抑制し改善する傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は中でも、10000〜22000、更には12000〜22000、特に14000〜20000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この際には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の粘度平均分子量は上記範囲となるのが望ましい。
(B)酸化チタン系添加剤
本発明における酸化チタン系添加剤(B)は、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の遮光性、白度、光線反射特性などを向上させる様に機能する。酸化チタン系添加剤(B)に用いられる酸化チタンは、製造方法、結晶形態および平均粒子径などは、特に限定されるものではない。酸化チタンの製造方法には(1)硫酸法および(2)塩素法があるが、硫酸法で製造された酸化チタンは、これを添加した組成物の白度が劣る傾向があるため、本発明の目的を効果的に達成するには、塩素法で製造されたものが好適である。
本発明における酸化チタン系添加剤(B)は、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の遮光性、白度、光線反射特性などを向上させる様に機能する。酸化チタン系添加剤(B)に用いられる酸化チタンは、製造方法、結晶形態および平均粒子径などは、特に限定されるものではない。酸化チタンの製造方法には(1)硫酸法および(2)塩素法があるが、硫酸法で製造された酸化チタンは、これを添加した組成物の白度が劣る傾向があるため、本発明の目的を効果的に達成するには、塩素法で製造されたものが好適である。
酸化チタンの結晶形態には、ルチル型とアナターゼ型があるが、耐光性の観点からルチル型の結晶形態のものが好適である。酸化チタン系添加剤の平均粒子径は、通常0.1〜0.7μm、好ましくは0.1〜0.4μmである。平均粒子径が0.1μm未満では成形品の光線遮蔽性に劣り、0.7μmを超える場合は、成形品表面に肌荒れを起こしたり、成形品の機械的強度が低下したりする。なお本発明においては平均粒径の異なる酸化チタンを2種類以上混合して使用してもよい。
なお、酸化チタン系添加剤(B)は、アルミナ系および珪素系化合物を含んでおり、それらの化合物は主に表面処理剤として処理されたものである。酸化チタン系添加剤はアルミナ系化合物で表面処理した後に、珪素系化合物で表面処理される。アルミナ系化合物としてはアルミナ水和物が好適に用いられる。珪素系化合物としては、珪酸水和物およびオルガノシロキサン系化合物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。アルミナ系化合物で表面処理後、必要に応じて珪酸水和物で表面処理し、その後オルガノシロキサン系化合物で表面処理するのが好ましい処理方法である。アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物による前処理の方法は特に限定されるものではなく、任意の方法によることが出来る。アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物による前処理は、酸化チタンに対して1〜15重量%の範囲で行なうのが好ましい。
アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物で前処理された酸化チタンは、更にその表面をオルガノシロキサン系化合物で表面処理することによって、熱安定性を大幅に改善することが出来る他、ポリカーボネート樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させる。オルガノシロキサン系化合物としては、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン化合物が好ましい。
酸化チタンのオルガノシロキサン系化合物による表面処理法には(1)湿式法と(2)乾式法とがある。湿式法は、オルガノシロキサン系化合物と溶剤との混合物に、アルミナ水和物、さらに必要に応じて珪酸水和物で前処理された酸化チタンを加え、撹拌した後に脱溶媒を行い、更にその後100〜300℃で熱処理する方法である。乾式法は、上記と同様に前処理された酸化チタンとオルガノシロキサン系化合物とをヘンシェルミキサーなどで混合する方法、前処理された酸化チタンにオルガノシロキサン系化合物の有機溶液を噴霧して付着させ、100〜300℃で熱処理する方法などが挙げられる。オルガノシロキサン系化合物の量は、特に制限されるものではないが、酸化チタンの反射性、樹脂組成物の成形性などを勘案すると、酸化チタンに対し、通常1〜5重量%の範囲である。
また、本発明に使用される酸化チタン系添加剤(B)は、以下の式を満たすことを特徴とする。
酸化チタン系添加剤(B)中のAl2O3含有量a(質量%)、酸化チタン系添加剤中のSiO2量s(質量%)、および酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした場合、
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足する場合、熱安定性、難燃性、光反射性、表面外観に優れた効果を発揮する。なおSiO2量は、無機表面処理由来の珪酸水和物量および有機表面処理由来の有機ポリオルガノシロキサン量を含む。
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足する場合、熱安定性、難燃性、光反射性、表面外観に優れた効果を発揮する。なおSiO2量は、無機表面処理由来の珪酸水和物量および有機表面処理由来の有機ポリオルガノシロキサン量を含む。
なお、酸化チタン系添加剤に含まれるAl2O3、SiO2量については、リガク社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSXminiIIを用い、X線管にパラジウム管、電圧40kV/管電流1.2mA、測定面積径30mm、真空雰囲気条件でTi、Al、Siのスペクトルの強度比を用いて、それぞれTiO2、Al2O3、SiO2量に換算したものである。
式1は酸化チタンの単位体積に対するアルミナ系化合物および珪酸系化合物の添加量に関する式であり、塩基度を付与するアルミナ系化合物(具体的にはアルミナ水和物)に対して、酸性度を付与する珪酸水和物および表面を低極性化するためのオルガノシロキサン系化合物処理とのバランスを示している。式1を満たす場合に、はじめてポリフルオロエチレン以外の難燃剤を使用しなくても良好な燃焼性、光線反射率のバランスがとれた樹脂組成物を得ることができる。
つまり(s/d2)の値が(a/d2)以下だと、酸化チタン表面の塩基性の抑制が不充分となり、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の光線反射率の低下、燃焼性の低下が起こる。また、125を超えると酸化チタンと化学結合していないオルガノシロキサン系化合物が成形時に揮発しやすくなるため金型汚染の原因となり、例えばハイドロジェンメチルシロキサン等の水素基を有するオルガノシロキサン系化合物においては、未反応の水素基が燃焼時に水素となり燃焼性が悪化する。上限値は100以下が好ましく、80以下がさらに好ましい。
酸化チタン系添加剤(B)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、11〜23質量部の範囲である。酸化チタン系添加剤(B)の配合量が11質量部未満の場合は難燃性および樹脂組成物から得られる成形品の遮光性および反射特性が不十分となり、23質量部を超える場合は樹脂組成物の耐衝撃性および難燃性が不十分となる。酸化チタン系添加剤(B)の好ましい含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、11〜23質量部、更に好ましくは12〜20質量部である。なお、酸化チタン系添加剤(B)の質量は、アルミナ水和物、珪酸水和物、オルガノシロキサン系のいずれかの添加剤によって表面処理されている場合は、これらの添加剤も含めた質量を意味する。
(C)ポリフルオロエチレン
本発明において(C)ポリフルオロエチレンとしては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレ はASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンF201L、FA500B、FA500Cが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリフルオロエチレン化合物が挙げられる。いずれのタイプも本発明の樹脂組成物に用いることができる。
本発明において(C)ポリフルオロエチレンとしては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレ はASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンF201L、FA500B、FA500Cが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリフルオロエチレン化合物が挙げられる。いずれのタイプも本発明の樹脂組成物に用いることができる。
ポリフルオロエチレンを含有した難燃性樹脂組成物を射出成形した成形品の外観をより向上させるためには、有機系重合体で被覆された特定の被覆ポリフルオロエチレン(以下、被覆ポリフルオロエチレンと略記することがある)を使用することができる。特定の被覆ポリフルオロエチレンとは、被覆ポリフルオロエチレン中のポリフルオロエチレンの含有比率が40〜95質量%の範囲内となるものであり、中でも、43〜80質量%、更には45〜70質量%、特には47〜60質量%となるものが好ましい。本発明の特定の被覆ポリフルオロエチレンとしては、例えば三菱レイヨン(株)製のメタブレンA−3800、A−3700、KA−5503や、PIC社製のPoly TS AD001等が使用できる。
本発明のポリフルオロエチレン(D)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1.5質量部であり、0.05〜0.9質量部が好ましく、0.1〜0.7質量部が特に好ましい。なお、被覆ポリフルオロエチレンの場合、請求項に記載の含有量はポリフルオロエチレン純分の量に相当する。(C)ポリフルオロエチレンの含有量が0.01質量部未満の場合には、難燃性が低下する場合があり、一方1.5質量部を超えると成形品外観の低下が起こる場合がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分に加えて、更に他の樹脂、各種の樹脂添加剤などを用いてもよい。他の樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合樹脂(ABS)などが挙げられる。
また樹脂添加剤としては、耐衝撃性改良剤、離型剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤が挙げられ、無機系樹脂添加剤としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト等の無機フィラーが挙げられる。これらは、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
また樹脂添加剤として、ポリフルオロエチレン以外の難燃剤を添加しても良い。ただし、本発明ではポリフルオロエチレン以外の難燃剤が含まれている場合、成形品外観に影響を及ぼすことがある。
熱安定剤および酸化防止剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更に、溶融加工時や、高温下での長期間使用時等に生ずる黄変抑制、更に機械的強度低下抑制等の目的で、熱安定剤や酸化防止剤を含有することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更に、溶融加工時や、高温下での長期間使用時等に生ずる黄変抑制、更に機械的強度低下抑制等の目的で、熱安定剤や酸化防止剤を含有することが好ましい。
熱安定剤や酸化防止剤は、従来公知の任意のものを使用でき、熱安定剤としては中でもリン系化合物が、そして酸化防止剤としてはフェノール化合物が好ましく、これらは併用してもよい。リン系化合物は一般的に、ポリカーボネート樹脂を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形体使用時の耐熱安定性向上に有効であり、フェノール化合物は一般的に、耐熱老化性等の、ポリカーボネート樹脂成形体使用時の耐熱安定性に効果が高い。またリン系化合物とフェノール化合物を併用することによって、着色性の改良効果が一段と向上する。
本発明に用いるリン系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、具体的には例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)テトラ(トリデシル)4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好であることと加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
酸化防止剤としては特定構造を分子内に有するフェノール化合物が好ましく、具体的には例えば2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂と混練される際に黄変の抑制が必要となる点で、4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましく、特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
本発明に用いる熱安定剤、および酸化防止剤の含有量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.0001〜0.5質量部であり、0.0003〜0.3質量部が好ましく、0.001〜0.1質量部が特に好ましい。熱安定剤や酸化防止剤の含有量が少なすぎると効果が不十分であり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂の分子量低下や、色相低下が生ずる場合がある。
本発明に用いてもよい離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種のものが用いられる。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノまたはジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和または不飽和の1価アルコール、飽和または不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコールまたは多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して2質量部以下であり、好ましくは1質量部以下である。2質量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。該離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
光線反射率と同時にさらなる遮光性が必要とする目的の場合は、本発明の請求項に記載の組成に加え、発明の効果を損なわない範囲で着色剤を使用することができる。着色剤については公知の染顔料が挙げられ、なかでも最も遮光性に効果的な着色剤としてカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの少量の添加により遮光性を高めることができる。本発明の着色剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.0001〜0.2質量部であり、更には0.0001〜0.1質量部、特には0.0001〜0.01質量部が好ましい。着色剤配合量が0.0001質量部より少ないと充分な遮光性が得られず、また0.2質量部を超えると反射率が低下する。
本発明の組成物の各成分を混合し溶融混練する方法としては、従来公知の熱可塑性樹脂組成物に適用される方法を適用できる。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸又は二軸スクリュー押出機、コニーダーなどを使用する方法等が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、各種成形品の成形材料として使用できる。
適用できる成形方法は、熱可塑性樹脂の成形に適用できる方法をそのまま適用することが出来、射出成形法、押出成形法、中空成形法、回転成形法、圧縮成形法、差圧成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。
適用できる成形方法は、熱可塑性樹脂の成形に適用できる方法をそのまま適用することが出来、射出成形法、押出成形法、中空成形法、回転成形法、圧縮成形法、差圧成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。
本発明に係る成形品は、難燃性、光反射性、衝撃性に優れるため液晶バックライト用光
線反射板および反射枠部品用途に有用である。
線反射板および反射枠部品用途に有用である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において部及び%は、特に断りがない限り、質量部及び質量%を意味する。
[原材料]
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)H−3000」、粘度平均分子量18,000(流れ値Q値:17)
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)H−3000」、粘度平均分子量18,000(流れ値Q値:17)
(B)酸化チタン系添加剤
(B−1)石原産業社製、「タイペーク(商品名)PC−3」
(B−2)Du Pont社製、「Tipure(商品名)PCX−01」
(B−3)レジノカラー社製、「PC−5」
(B−4)Huntsman社製、「Tioxide(商品名)R−FC5」
(B−5)Du Pont社製、「Tipure(商品名)R−104」
(B−6)Kronos社製、「Kronos(商品名)2233」
(B−7)Kronos社製、「Kronos(商品名)2230」
(B−8)Du Pont社製、「Tipure(商品名)R−105」
(B−9)Huntsman社製、「Tioxide(商品名)R−TC30」
実施例および比較例に使用した酸化チタンの成分分析結果を表1に示す。
(B−1)石原産業社製、「タイペーク(商品名)PC−3」
(B−2)Du Pont社製、「Tipure(商品名)PCX−01」
(B−3)レジノカラー社製、「PC−5」
(B−4)Huntsman社製、「Tioxide(商品名)R−FC5」
(B−5)Du Pont社製、「Tipure(商品名)R−104」
(B−6)Kronos社製、「Kronos(商品名)2233」
(B−7)Kronos社製、「Kronos(商品名)2230」
(B−8)Du Pont社製、「Tipure(商品名)R−105」
(B−9)Huntsman社製、「Tioxide(商品名)R−TC30」
実施例および比較例に使用した酸化チタンの成分分析結果を表1に示す。
(C)ポリフルオロエチレン(PTFE)
(C−1)ダイキン工業社製「ポリフロン(商品名)F−201L」
(C−2)ダイキン工業社製「ポリフロン(商品名)FA500B」
(C−3)アクリル樹脂で被覆されたPTFE:三菱レイヨン社製「メタブレン(商品名)A−3800」、PTFE含有比率50%
(C−1)ダイキン工業社製「ポリフロン(商品名)F−201L」
(C−2)ダイキン工業社製「ポリフロン(商品名)FA500B」
(C−3)アクリル樹脂で被覆されたPTFE:三菱レイヨン社製「メタブレン(商品名)A−3800」、PTFE含有比率50%
(D)熱安定剤
(D−1)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、アデカ社製「PEP36」
(D−1)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、アデカ社製「PEP36」
(E)離型剤
ペンタエリスリト−ルジステアレート、日油社製「ユニスター(商品名)H476D」
ペンタエリスリト−ルジステアレート、日油社製「ユニスター(商品名)H476D」
[実施例1〜6、比較例1〜8]
表2〜表4に示した割合(質量比)となるよう、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)酸化チタン系添加剤、(C)ポリフルオロエチレン、(D)熱安定剤、(E)離型剤を配合し、タンブラーにて混合した後、2軸押出機(12ブロック、TEX30XCT)のホッパーに投入した。各樹脂成分を、シリンダー温度270℃、200rpm、押出速度25kg/時間の条件下で溶融混練し、表2〜表4に記載の樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物は、以下の方法により各種評価を行った。結果を表2〜表4に示す。
表2〜表4に示した割合(質量比)となるよう、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)酸化チタン系添加剤、(C)ポリフルオロエチレン、(D)熱安定剤、(E)離型剤を配合し、タンブラーにて混合した後、2軸押出機(12ブロック、TEX30XCT)のホッパーに投入した。各樹脂成分を、シリンダー温度270℃、200rpm、押出速度25kg/時間の条件下で溶融混練し、表2〜表4に記載の樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物は、以下の方法により各種評価を行った。結果を表2〜表4に示す。
[酸化チタンの表面処理成分の測定]
酸化チタン系添加剤に含まれるAl2O3、SiO2量については、リガク社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSXminiIIを用い、X線管にパラジウム管、電圧40kV/管電流1.2mA、測定面積径30mm、真空雰囲気条件でTi、Al、Siのスペクトルの強度比を用いて、それぞれTiO2、Al2O3、SiO2量に換算した値を用いた。結果を表1に示す。
酸化チタン系添加剤に含まれるAl2O3、SiO2量については、リガク社製波長分散型蛍光X線分析装置ZSXminiIIを用い、X線管にパラジウム管、電圧40kV/管電流1.2mA、測定面積径30mm、真空雰囲気条件でTi、Al、Siのスペクトルの強度比を用いて、それぞれTiO2、Al2O3、SiO2量に換算した値を用いた。結果を表1に示す。
[酸化チタンの平均粒径測定方法]
実施例および比較例に使用した酸化チタン系添加剤の1次粒子径の測定は、以下の方法にて試料を調製し、測定を行った。
実施例および比較例に使用した酸化チタン系添加剤の1次粒子径の測定は、以下の方法にて試料を調製し、測定を行った。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂中に、実施例および比較例に使用した(B)酸化チタン系添加剤5質量部を添加し、実施例比較例と同様の混練方法にてペレットを製造した。このペレットからSTEM観察用の約200nmの厚さの超薄肉切片をウルトラミクロトームで切り出し、日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡S−4800を用い、STEM観察(倍率:50,000倍)で酸化チタンの1次粒子像を得た。1次粒子の長径と短径の平均値を1次粒径とし、1次粒径の測定は1次粒子30個の平均値(0.05μm刻みの値)を用いた。結果を表1に示す。
[成形品の物性評価方法]
(1)燃焼性
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用い設定温度280℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚1.5mmおよび3.0mmの成形品を試験片として得た。得られた試験片について、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行い、燃焼性結果は良好な順からV−0、V−1、V−2とし、規格外のものをNGと分類した。
(1)燃焼性
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用い設定温度280℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚1.5mmおよび3.0mmの成形品を試験片として得た。得られた試験片について、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行い、燃焼性結果は良好な順からV−0、V−1、V−2とし、規格外のものをNGと分類した。
(2)流れ値
樹脂組成物の流動性および熱安定性の評価として、JIS K7210 付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製フローテスターCFD500Dを用い、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度280℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(×0.01cc/sec)を測定した。
樹脂組成物の流動性および熱安定性の評価として、JIS K7210 付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製フローテスターCFD500Dを用い、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度280℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(×0.01cc/sec)を測定した。
(3)外観
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用いシリンダー温度300℃、金型温度80℃で厚み1mmおよび3mm部分をもつ2段プレートを成形し、目視観察して成形品外観を評価した。シルバーストリークス、樹脂焼けなどが認められず外観の良好なものを「○」とし、外観不良が大きく発生したものを「×」と判定した。「○」「×」の中間の外観性を「△」とした。
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用いシリンダー温度300℃、金型温度80℃で厚み1mmおよび3mm部分をもつ2段プレートを成形し、目視観察して成形品外観を評価した。シルバーストリークス、樹脂焼けなどが認められず外観の良好なものを「○」とし、外観不良が大きく発生したものを「×」と判定した。「○」「×」の中間の外観性を「△」とした。
(4)反射率
外観評価で使用したプレート3mm厚部分の反射率を測定した。測定はコニカミノルタ社製分光測色計CM3600dを用い、D65/10度視野、SCI通常測定モードにて行い、波長440nmでの反射率の値を用いた。
外観評価で使用したプレート3mm厚部分の反射率を測定した。測定はコニカミノルタ社製分光測色計CM3600dを用い、D65/10度視野、SCI通常測定モードにて行い、波長440nmでの反射率の値を用いた。
表2の結果より、次のことがわかる。請求項に記載の実施例1〜6の樹脂組成物は、優れた熱安定性、燃焼性、外観、反射特性を有する。
一方、表3および表4を見ると、比較例1は酸化チタン系添加剤の量が不足しており、また比較例2は酸化チタン系添加剤の量が多すぎるため充分な燃焼性が得られない。
比較例3〜8は酸化チタン系の種類を変更したものであるが、いずれも珪酸水和物処理および有機シロキサン化合物処理が不足しているため、良好な外観、反射率、燃焼性のすべてを満たすものが得られない。
比較例3〜8は酸化チタン系の種類を変更したものであるが、いずれも珪酸水和物処理および有機シロキサン化合物処理が不足しているため、良好な外観、反射率、燃焼性のすべてを満たすものが得られない。
また、実施例4の組成に、さらに難燃剤を入れた樹脂組成物の評価を行ったところ、UL−94難燃性は1.5mm厚みでV−0であったが、難燃剤無添加系に比べ外観が多少劣る結果となった。
以上のように、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、従来の難燃性ポリカーボネート組成物と比べて、難燃性、外観、光線反射率に優れているため、液晶表示部材等の反射部材に好適な材料といえる。よって本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (5)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アルミナ系および珪素系化合物を含む酸化チタン系添加剤(B)11〜23質量部、ポリフルオロエチレン(C)0.01〜1.5質量部を含有して成り、酸化チタン系添加剤(B)のAl2O3含有量をa(質量%)、酸化チタン系添加剤中のSiO2量をs(質量%)、および酸化チタンの平均粒径(μm)をdとした場合、
(式1) 125≧(s/d2)>(a/d2)
を満足することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 - 珪素系化合物が、珪酸水和物およびオルガノシロキサン系化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形体。
- 成形体が光反射部材であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
- 成形体が、コピー機、プリンター、FAX、液晶プロジェクター等のOA機器の外装部品であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
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JP2009075340A JP2010229191A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011032447A (ja) * | 2009-08-06 | 2011-02-17 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 |
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2009
- 2009-03-26 JP JP2009075340A patent/JP2010229191A/ja active Pending
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