JP2008195818A - ポリカーボネート樹脂組成物及び光反射部材 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び光反射部材 Download PDF

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Abstract

【課題】
ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、高い光線反射率と遮光性、優れた耐光性、色相、熱安定性及び外観を有する樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形してなる光反射部品の提供。
【解決手段】
ポリカーボネート樹脂(A)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)、及び酸化チタン(C)からなるポリカーボネート樹脂組成物において、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)を1〜1000ppm含有し、酸化チタン(C)をポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部含有するポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを成形してなる光反射部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる樹脂成形体、具体的には光反射部材に関する。詳しくは、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた光線反射率、遮光性、耐光性、色相等の光学特性、そして熱安定性を有する、ポリカーボネート樹脂組成物、及び樹脂成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、機械的強度、電気的性質、耐熱性、寸法安定性などに優れているので、電気・電子機器部品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの幅広い分野で使用されている。
これらの使用分野の中で、TFTを初めとする、コンピュータやテレビ等の情報表示装置では、液晶表示装置のバックライト、そして照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板などの様に、高度の光線反射率が要求される表示装置が一般的になりつつある。
高度の光線反射率が要求される光反射部材は、酸化チタン等の微粒子含有量の高いポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体等が使用されている。
一般的にポリカーボネート樹脂は、無機フィラー等を配合すると耐衝撃性、全光線透過率、そして耐光性等が低下する。そして有機高分子系微粒子を配合した場合には耐光性や熱安定性が低下する。この様な諸物性の低下により、光反射部材としてのポリカーボネート樹脂成形体は、着色の発生や機械強度の低下が生じ、実用に支障が発生するという問題があった
また光反射性部材光反射部品は、常に光線に曝されているので黄変し易く、光線反射率が低下するという問題があった。この様な課題に対して、ポリカーボネート樹脂に、酸化チタン、そしてスチルベンビスベンゾオキサゾール誘導体を含有するポリカーボネート樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
これら特許文献には、スチルベンビスベンゾオキサゾール誘導体として、4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンや、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンが例示されている。しかしこれらを含有するポリカーボネート樹脂組成物は、未だ耐光性や光線反射率の改良が不十分であった。
更には、スチルベンベンゾオキサゾール誘導体として特定構造の4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン類を用いることで、樹脂成分への練り込みを改善する方法が提案されている(例えば特許文献5参照)。そしてこの4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン類として、両方のスチルベン骨格に置換基を有するものは、この様な改善効果がないとされていた。
更に特許文献5に記載の樹脂成形体は、完全な不透明系であり、その白度にのみ注目したものである上に、樹脂成分としてはポリオレフィン樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられているのみであり、ポリカーボネート樹脂等の、エンジニアリングプラスチックス類での挙動は全く不明であった。そしてまた、光反射部材における課題などは、示唆すらされていなかった。
特開平10−36656号公報 特開平11−181267号公報 特開2002−156511号公報 特開2002−201349号公報 特開2001−348502号公報
本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持し、光線反射率、遮光性、耐光性、色相、そして熱安定性を同時に優れたものとし、そして良好な外観を有する、ポリカーボネート樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形体、具体的には光反射部材を提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決するため、ポリカーボネート樹脂組成物について鋭意検討した。そして蛍光増白剤としてスチルベンベンゾオキサゾール誘導体に着目した。その結果、二つのベンゾオキサゾール環双方のフェニル縮合環部分に、炭素数の少ない炭化水素置換基を有する化合物、具体的には4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンは、意外にも、ポリカーボネート樹脂への練り込みが良好であることを見出した。
そして得られるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持し、且つ光線反射率、遮光性、耐光性、色相、そして熱安定性の全てに於いて優れたものとなり、更にはこれを成形してなる樹脂成形体の外観が良好なものとなり、優れた光反射部材が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、 ポリカーボネート樹脂(A)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)、及び酸化チタン(C)からなるポリカーボネート樹脂組成物において、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)を1〜1000ppm含有し、酸化チタン(C)をポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部含有するポリカーボネート樹脂組成物に関する。また本発明の今ひとつの要旨は、このポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光反射部材に関する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐光性、遮光性、光線反射性、そして色相を有する、優れた光学特性を有するだけでなく、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、熱安定性、良好外観等をも同時に維持している。よってこれらの特長を生かして、液晶表示装置のバックライト用光線反射板、光反射枠または光反射シート、電気・電子機器、広告灯などの照明用装置、自動車用メーターパネルなどの自動車用機器などの、光反射部材として幅広く使用できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。尚、各種化合物が有する「基」は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよいことを意味する。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、具体的には例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、又はこれらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖または分岐の熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体、又は共重合体である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、従来公知の任意のものを使用できる。またその製造方法も任意であり、従来公知の任意の方法を採用できる。具体的には例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法等を挙げることができる。
これらポリカーボネート樹脂の製造方法において原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノ−ル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等のジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメ−ト等が使用される。具体的には例えば、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリ−ルカーボネート類;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノ−ルのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体もまた、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
次に、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法のうち、まず界面重合法について説明する。この製造方法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒、及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンとの反応後、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネートを得る。
分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば、0〜40℃で、反応時間は、例えば、数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
反応に不活性な有機溶媒としては、具体的には例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等;が挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては例えば、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられ、具体的にはm−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ル、及びp−長鎖アルキル置換フェノ−ル等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して50〜0.5モル、中でも30〜1モルであることが好ましい。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;が挙げられる。
次に溶融エステル交換法について説明する。この製造方法における重合反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネートおよびジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が挙げられる。炭酸ジエステルは、中でもジフェニルカーボネートまたは置換ジフェニルカーボネートであることが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
また本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼすので、従来公知の任意の方法によって適宜調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを等モル量以上、中でも1.01〜1.30モル用いることが好ましい。より積極的な調整方法として、反応時に別途、末端停止剤を添加してもよい。末端停止剤としては一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は従来公知の任意のものを使用でき、具体的には例えば、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物またはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。
上記原料を用いたエステル交換反応は、通常、100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。中でも本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂や、本発明の樹脂組成物の安定性等を考慮すると、連続式で行うことが好ましい。溶融エステル交換法に用いる触媒失活剤としては、該エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが好ましい。
この様な、触媒を中和する化合物の添加量は、該触媒が含有するアルカリ金属に対して0.5〜10当量、中でも1〜5当量であることが好ましく、更にはポリカーボネートに対して、1〜100ppm、中でも1〜20ppmであることが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]で、10000〜40000、更には10000〜30000のものが好ましい。この様に、粘度平均分子量を10000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、40000以下とすることで流動性低下を、より抑制し改善する傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は中でも、10000〜22000、更には12000〜22000、特に14000〜20000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この際には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2008195818
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂として、分岐ポリカーボネートを用いる際、その製造方法は特に制限はなく、従来公知の任意の製造方法を用いることが出来る。具体的には例えば、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報等に記載の様に、溶融法(エステル交換法)により芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を添加することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また他に、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体の他に、三官能以上の多官能性芳香族化合物を用い、ホスゲン法又はエステル交換法にてこれらを共重合する方法が挙げられる。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、具体的には例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類;
3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ−ル)オキシインド−ル(=イサチンビスフェノ−ル)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%、中でも0.1〜3モル%であることが好ましい。
溶融法(エステル交換法)によって得られた芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる分岐構造は、具体的には例えば、以下の一般式(1)〜(4)の構造が挙げられる。
Figure 2008195818
Figure 2008195818
Figure 2008195818
Figure 2008195818
(上述の一般式(1)〜(4)中、Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−からなる群より選ばれる二価の基を示す。)
本発明に用いる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常、構造粘性指数Nが1.2以上である。この様な分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を用いると、滴下防止効果、とりわけ火のついた溶融樹脂の滴下防止効果が向上するので好ましい。ここで構造粘性指数Nとは、例えば公知文献(小野木重治著「化学者のためのレオロジー」;15〜16頁)等に記載の値である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常、1000ppm以下であり、中でも800ppm以下、特に600ppm以下であることが好ましい。またその下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では10ppm以上、中でも30ppm以上、特に40ppm以上であることが好ましい。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることで、分子量低下を抑制し、樹脂組成物の機械的特性が、より向上する傾向にあるので好ましい。また末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることで、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にあるので好ましい。
尚、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂をも含む。)や、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂(以下、単に「他の樹脂」ということがある。)とのアロイ(混合物)の他、例えば、本発明の目的である難燃性を更に高める目的で、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体をも含むものである。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500〜9500、中でも1500〜8000、特に2000〜7000であることが好ましい。芳香族ポリカーボネートリゴマーは、芳香族ポリカーボネート樹脂の30重量%以下とすることが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の、アロイや共重合体においては、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対する他の熱可塑性樹脂(共重合体の場合にはそのブロック部分)の含有量が、100重量部以下、中でも70重量部以下、更には60重量部以下、特に50重両部以下であることが好ましい。
更に本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた再生芳香族ポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。
また規格不適合品やスプルー、ランナー等から得られた粉砕品や、それらを溶融して得られるペレット等も用いることが出来る。この様な再生芳香族ポリカーボネート樹脂は、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂中、80重量%以下、中でも50重量%以下であることが好ましい。
スチルベンベンゾオキサゾール誘導体(B)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンを1〜1000ppm含有することを特徴とする。4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)(以下、成分(B)と略記することがある。)は従来公知の任意の方法、例えば特公昭41−20225号公報や、特表2002−535393号公報等に記載の方法により、得ることが出来る。
本発明における、成分(B)の含有量は、1〜1000ppmである。この含有量が1ppm未満では、光反射性、耐光性、色相、そして熱安定性の改良効果が不十分であり、逆に1000ppmを越えても、含有量の増加に見合う効果の向上が期待できないばかりか、滞留熱安定性や外観が低下する場合がある。
本発明においては、本発明の効果を損ねない範囲で、成分(B)以外の、従来公知の任意の蛍光増白剤を用いてもよく、具体的には例えば、クマリン系、ナフトトリアゾリルスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、ベンズイミダゾール系、およびジアミノスチルベン−ジスルホネート系蛍光増白剤等が挙げられる。
本発明において、成分(B)と、成分(B)以外の蛍光増白剤を併用する場合には、蛍光増白剤全体に占める成分(B)の含有率は20重量%以上であることが好ましい。中でも30重量%以上、更には40重量%以上、特に50重量%以上であることが好ましい。成分(B)の含有量が低すぎると、得られるポリカーボネート樹脂組成物や樹脂成形体における光反射性、耐光性、色相等の改良が不十分となる場合がある。
酸化チタン(C)
本発明に用いる酸化チタン(C)は、従来公知の任意のものを使用でき、その表面を、有機、又は無機の処理剤で処理されたものであってもよい。通常、市販されている酸化チタンは、耐候性や分散性、ハンドリング性向上の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の含水酸化物により、表面処理が施されている場合が多い。しかしシリカは吸水性が高く、水分の影響を受けやすいので、無機表面処理剤としては中でも、アルミナやジルコニアが好ましい。
これら酸化チタンの無機表面処理剤の量は、適宜選択して決定すればよいが、表面処理剤の含有量が酸化チタンに対して多すぎると、例えば酸化チタン表面に無機処理層が形成されると、その吸着水により、これを含むポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体において、外観不良や、燃焼時のドリッピングが増加する場合がある。逆に少なすぎても分散性が不十分となるなど、改良効果が不十分となる。よって通常、この表面処理剤の量は、酸化チタン粒子に対して2〜5重量%である。
また、上述した吸着水による問題を回避するためには、酸化チタンの表面処理剤として有機表面処理剤を用いることが好ましい。この様な表面処理剤としては、アルコキシ基、エポキシ基、アミノ基、又はSi−H結合を有する、有機シラン化合物や有機シリコン化合物等が挙げられる。中でもハイドロジェンポリシロキサン(Si−H結合を有するシリコン化合物)が好ましく、有機表面処理剤による処理量は、酸化チタンに対して、0.5〜5重量%、中でも1〜3重量%であることが好ましい。
本発明に用いる酸化チタン(C)の平均粒子径は任意であり、これを含有するポリカーボネート樹脂組成物の用途等に応じて、適宜選択して決定すればよい。この平均粒子径が小さすぎると、本発明のポリカーボネート樹脂組成物における遮光性及び光反射性が不十分となる場合がある。
逆に平均粒子径が大きすぎても遮光性及び光反射性が劣ると共に、樹脂成形体表面に肌荒れが生じたり、衝撃強度が低下する場合がある。よって酸化チタンの平均粒子径は、0.05μm以上、0.5μm以下であることが好ましく、中でも0.1μm以上、0.5μm以下、特に0.15μm以上、0.35μm以下であることが好ましい。
本発明に用いる酸化チタン(C)の製造方法は塩酸法、硫酸法等の従来公知の任意の製造方法により得られたものを用いることができ、特に制限はない。中でも塩素法で製造された酸化チタンは、硫酸法で製造された酸化チタンに比べて白度が優れており、好ましい。また酸化チタンの結晶形態も特に制限はないが、ルチル型の酸化チタンは、アナターゼ型のそれに比べて白度、光線反射性、及び耐光性の点で優れているので好ましい。
本発明における酸化チタン(C)(表面処理剤の量を含む。)の含有量は通常、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部である。この酸化チタンの量が3重量部未満であると、光線反射性や遮光性が不十分となり、逆に30重量部を越えると耐衝撃性の低下や外観が不良となる。よって本発明における酸化チタン(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して5〜28重量部、中でも8〜25重量部であることが好ましい。
紫外線吸収剤(D)
本発明においては、更に耐光性を向上させる目的で、紫外線吸収剤(D)を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としてはフェニルサルチレート、2−4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が、またヒンダードアミン系紫外線吸収剤としてはビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
本発明に用いる紫外線吸収剤(D)としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。
本発明における紫外線吸収剤(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、通常0.03〜3重量部である。紫外線吸収剤(D)の含有量が少なすぎると、耐光性改善効果が不十分となり逆に多すぎてもとポリカーボネート樹脂組成物の黄味が強くなり、またブリードアウトが発生する場合もある。よって本発明における紫外線吸収剤(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、中でも0.1〜1重量部であることが好ましい。
熱安定剤(E)、酸化防止剤(F)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更に、溶融加工時や、高温下での長期間使用時等に生ずる黄変抑制、更に機械的強度低下抑制等の目的で、熱安定剤(E)や酸化防止剤(F)を含有することが好ましい。
熱安定剤(E)や酸化防止剤(F)は、従来公知の任意のものを使用でき、熱安定剤(E)としては中でもリン系化合物が、そして酸化防止剤(F)としてはフェノール化合物が好ましく、これらは併用してもよい。リン系化合物は一般的に、ポリカーボネート樹脂を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形体使用時の耐熱安定性向上に有効であり、フェノール化合物は一般的に、耐熱老化性等の、ポリカーボネート樹脂成形体使用時の耐熱安定性に効果が高い。またリン系化合物とフェノール化合物を併用することによって、着色性の改良効果が一段と向上する。
本発明に用いるリン系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、具体的には例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、耐熱性が良好であることと加水分解しにくいという点で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
酸化防止剤(F)としては特定構造を分子内に有するフェノール化合物が好ましく、具体的には例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂と混練される際に耐熱性が必要となる点で、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましく、特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
本発明に用いる熱安定剤(E)、および酸化防止剤(F)の含有量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して1〜5000ppm、中でも3〜3000ppm、特に10〜1000ppmであることが好ましい。熱安定剤(E)や酸化防止剤(F)の含有量が少なすぎると効果が不十分であり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂の分子量低下や、色相低下が生ずる場合がある。
難燃剤(G)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更に、難燃剤(G)を含有することが好ましい。難燃剤(G)の種類は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に限定されず、ポリカーボネート樹脂を含む組成物への難燃剤として従来公知の任意のものを使用できる。
中でも、特開2005−320457号公報等に記載の有機酸のアルカリ(土類)金属塩(G−1)や、シリコーン系難燃剤(G−2)が好ましい。有機酸のアルカリ(土類)金属塩(G−1)やシリコーン系難燃剤(G−2)は、安全性、廃棄・焼却時の環境への影響や成型時の金型腐食、省資源化におけるリサイクル適性などにも優れているためである。なお、本明細書において「アルカリ(土類)金属塩」とは、「アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩」を意味する。
難燃剤(G)の配合量は、難燃剤の種類によって適宜選択して決定すればよい。有機酸のアルカリ(土類)金属塩(G−1)の場合には、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、通常0.01〜3重量部である。少なすぎると難燃性改良効果が不十分であり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性が低下する場合がある。よって中でも、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.03〜2重量部、特に0.05〜1重量部用いることが好ましい。
シリコーン系難燃剤(G−2)の場合には、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部である。少なすぎると難燃性改良効果が不十分であり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性や機械強度が低下する場合がある。よって中でも、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.3〜7重量部、特に0.5〜5重量部用いることが好ましい。
本発明に用いる有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(G−1)としては、ポリカーボネートに添加し、難燃性を改良することが出来る金属塩である。中でも有機スルホン酸金属塩が好ましく、具体的には例えば、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩、パーフルオロアルキレンジスルホン酸金属塩、芳香族スルホンスルホン酸金属塩等が挙げられ、中でもパーフルオロアルカンスルホン酸金属塩や、パーフルオロアルキレンジスルホン酸金属塩等が好ましい。
有機スルホン酸金属塩の金属としては、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属が好ましい。アルカリ金属、およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウム等が挙げられる。中でもアルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが、またアルカリ土類金属塩としてはマグネシウム、カルシウムが、ポリカーボネート樹脂との相溶性及び難燃性付与の点から好ましく、有機スルホン酸金属塩は、2種以上の混合物であってもよい。
パーフルオロアルカンスルホン酸としては、具体的には例えば、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等が挙げられる。そしてこのパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩としては、具体的には例えば、アルカリ(土類)金属塩が挙げられ、中でも炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸アルカリ(土類)金属塩が好ましい。
パーフルオロアルキレンジスルホン酸金属塩としては、具体的には例えば、パーフルオロメタンジスルホン酸、パーフルオロエタンジスルホン酸、パーフルオロプロパンジスルホン酸、パーフルオロイソプロパンジスルホン酸、パーフルオロブタンジスルホン酸、パーフルオロペンタンジスルホン酸、パーフルオロヘキサンジスルホン酸、パーフルオロヘプタンジスルホン酸、パーフルオロオクタンジスルホン酸、パーフルオロエタンジスルホン酸イミド、パーフルオロプロパンジスルホン酸イミド、パーフルオロブタンジスルホン酸イミド、パーフルオロペンタンジスルホン酸イミド、パーフルオロヘキサンジスルホン酸イミド等の金属塩が挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロプロパンジスルホン酸、またはパーフルオロブタンジスルホン酸の金属塩や、パーフルオロプロパンジスルホン酸イミドまたはパーフルオロブタンジスルホン酸イミドの金属塩が、ポリカーボネート樹脂との相溶性及び難燃性付与の点から好ましい。
芳香族スルホンスルホン酸金属塩としては、具体的には例えば、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム塩、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンナトリウム塩、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3ースルホン酸カルシウム塩、ジフェニルスルホン−3・3’−ジスルホン酸ジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3・3’−ジスルホン酸ジカリウム塩等が挙げられる。
本発明に用いるシリコーン系難燃剤(G−2)としては、ポリカーボネート樹脂(A)に添加し、その難燃性を改良することができる種々のシリコーン、又はシリコーン含有化合物を示す。具体的には例えば、シリカ粉末の表面にポリオルガノシロキサンを担持させた粉末状シリコーン(G−2−1)、主鎖が分岐構造を有し、かつ珪素に結合する芳香族基を有する分岐シリコーン化合物(G−2−2)、芳香族基含有環状ポリオルガノシロキサン及び直鎖状ポリオルガノシロキサンを含有するシリコーン化合物等(G−2−3)が挙げられる。
シリカ粉末の表面にポリオルガノシロキサンを担持させた粉末状シリコーン(G−2−1) に用いられるシリカ粉末としては、ヒュームドシリカ、沈殿法または採掘形態から得られた微粉砕シリカ等が挙げられる。ヒュームドシリカ及び沈殿法により得られたシリカはの表面積は50〜400m/gであることが好ましい。表面積がこの範囲にあると、その表面にポリオルガノシロキサンを担持(吸収、吸着又は保持)させ易くなる。
尚、シリカ粉末はポリオルガノシロキサン以外の表面処理剤によって表面を前処理されていてもよい。前処理剤としては、ヒドロキシ基またはアルコキシ基を末端基に有する低分子量のポリオルガノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、及びヘキサオルガノジシラザン等が挙げられる。中でもヒドロキシル基を末端基とする平均重合度が2〜100のオリゴマーであって、常温で、液状ないし粘稠な油状を呈するポリジメチルシロキサンが好ましい。
シリカ粉末或いは表面処理されたシリカ粉末は、更に、その表面をポリオルガノシロキサン(尚、前処理剤との相違を明確にするため、以下、「ポリオルガノシロキサン重合体」と称することがある。)で処理される。ポリオルガノシロキサン重合体は、通常、重合度100〜10000、好ましくは100〜5000であり、直鎖であっても分岐鎖を有してもよいが、直鎖のポリジオルガノシロキサン重合体がより好ましい。
ポリオルガノシロキサン重合体が有する有機基としては、具体的には例えば、炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲン化炭化水素基の様な置換アルキル基、ビニル及び5−ヘキセニル等のアルケニル基、シクロヘキシル等シクロアルキル基、並びにフェニル、トリル、及びベンジル基等のアリール基、アラルキル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4の低級アルキル基、フェニル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン置換アルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
ポリオルガノシロキサン重合体は、分子鎖中に官能基を有していてもよい。官能基としてはメタクリル基、又はエポキシ基等が好ましい。メタクリル基又はエポキシ基を有することによって、燃焼時にポリカーボネート樹脂(A)との架橋反応を生じさせ、樹脂組成物の難燃性を、一層、向上させることができるので好ましい。ポリオルガノシロキサン重合体分子鎖中の官能基の量は、通常、0.01〜1モル%程度であり、中でも0.03〜0.5モル%、特に0.05〜0.3モル%であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン重合体をシリカ粉末に担持させる際には、更に、接着促進剤を用いてシリカ粉末とポリオルガノシロキサン重合体とを強固に接着させてもよい。接着促進剤としては具体的には例えば、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルペンジルアミノ)エチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・モノハイドロジェンヒドロ・クロリド、フェニルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン系化合物等が挙げられる。
接着促進剤は、前記シリカ粉末100重量部に対し、好ましくは、0.5〜15重量部の範囲で添加される。これを添加する時期は、シリカ粉末とポリオルガノシロキサン重合体を混合する際と同時であるのが望ましい。この様な粉末状シリコーンとしては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製シリコーン粉末等が挙げられる。
本発明に用いる、主鎖が分岐構造を有し、かつ珪素原子に結合する芳香族基を有する分岐シリコーン化合物(G−2−2)は、構成単位として、RSiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)、RSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)、および/又はSiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含むシリコーン化合物である。(これらの式中、R、RおよびRは各々独立に、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基を示し、少なくともその1部が芳香族基である。)。
これらシロキサン単位の組み合わせとして、好ましくはT単位/D単位系、T単位/D単位/Q単位系、D単位/Q単位系等が挙げられる。これらの組合せは、D単位を含有し、T単位及びQ単位の少なくとも一方を含有し、更に末端基としてRSiO1/2(Rは同じ又は異なる一価の基を示し、好ましくは炭化水素基、アルコキシ基、水酸基である。)を含有する重合体である。D単位を含有することで可撓性、難燃性が改善される。又、T単位及びQ単位の少なくとも一方を含有することで、主鎖が分岐構造を有す。
分岐シリコーン化合物中の各単位の割合は、D、TおよびQの各単位合計に対して、モル比でD単位が20〜50%、好ましくは20〜40%であり、T単位が0〜90モル%、好ましくは60〜80%であり、Q単位が0〜50%、好ましくは0.01〜50%である。R〜Rで示される1価の炭化水素基は、脂肪族基としては低級アルキル基、特にメチル基が好ましく、芳香族基としてはフェニル基が好ましい。尚、R〜Rで示される1価の炭化水素基のうち、フェニル基量は40モル%以上であることが好ましい。
分岐シリコーン化合物(G−2−2)は、重量平均分子量が、2000〜50000であることが好ましい。分岐シリコーン化合物(G−2−2)は、具体的には例えば、特開平11−140294号公報、特開平10−139964号公報、及び特開平11−217494号公報等に記載の方法で製造される。又、一部は市販されており、容易に入手することができる。
本発明に用いる、芳香族基含有環状ポリオルガノシロキサン、及び直鎖状ポリオルガノシロキサンを含有するシリコーン化合物(G−2−3)は、特開2002−53746号公報等に記載の様に、公知の方法で製造することができる。具体的には例えば、芳香族含有ジクロロシランRSiClや、芳香族含有ジアルコキシシランRSi(OR’)を、加水分解重合することにより、通常末端がシラノール基である直鎖状ポリオルガノシロキサン(2)と環状ポリオルガノシロキサン(1)の混合物が得られる。尚、RおよびRは、同じ又は異なる一価の基であり、好ましくは炭化水素基、アルコキシ基、水酸基であり、R’はアルキル基を示す。
本発明に用いるシリコーン系難燃剤(G−2)としては、ハンドリング性に優れ、且つ樹脂への分散性、混合性がの観点から、シリカ粉末の表面にポリオルガノシロキサンを担持させた粉末状シリコーン(G−2−1)、または、主鎖が分岐構造を有し、かつ珪素に結合する芳香族基を有する分岐シリコーン化合物(G−2−2)が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に難燃剤(G)を配合する場合、溶融樹脂の滴下を抑制し、難燃性を向上させるために、更に、ポリフルオロエチレンを併用することが好ましい。ポリフルオロエチレンとしては、例えば、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、ポリテトラフルオロエチレンは樹脂組成物に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状構造を作る傾向を示すものである。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは通常、ASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、種々市販されており、容易に入手することができる。具体的には例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製テフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業社製ポリフロン(登録商標)が挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液の市販品としては、三井デュポンフロロケミカル製製テフロン(登録商標)30J、ダイキン化学工業社製フルオンD−1等が挙げられる。さらに、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリテトラフルオロエチレン重合体も挙げられ、具体的には例えば、三菱レイヨン社製メタブレン(登録商標)A−3800」が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物中のポリテトラフルオロエチレンの含有量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの量が少なすぎると難燃改善効果が不十分となる場合があり、逆に多すぎても樹脂成形品外観が低下する場合があるので、中でもポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.02〜0.8重量部であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分に加えて、更に他の樹脂、耐衝撃性改良剤および各種の樹脂添加剤などを用いてもよい。他の樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂などが挙げられる。
また樹脂添加剤としては、離型剤、染顔料、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト等の無機フィラーが挙げられる。これらは、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、従来公知の任意の、樹脂組成物の製造方法を用いて、製造することが出来る。具体的には例えば、ポリカーボネート樹脂(A)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)、及び酸化チタン(C)、さらに必要に応じて用いる、紫外線吸収剤(D)、熱安定剤(E)および/または酸化防止剤(F)、難燃剤(G)、その他の添加剤等を一括溶融混練する方法や、ポリカーボネート樹脂(A)と酸化チタン(C)をあらかじめ混練後、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)及び必要に応じて、紫外線吸収剤(D)、熱安定剤(E)および/または酸化防止剤(F)、難燃剤(G)、その他の添加剤等を配合し、溶融混練する方法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種樹脂成形体の成形樹脂材料として用いることが出来る。中でも、光反射部材として用いることで、本発明の効果が顕著となる。樹脂成形体の製造方法は任意であり、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、フィルム成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等挙げられる。
本発明の光反射部材の製造方法は、上述した様な従来公知の任意の樹脂成形体の製造方法を用いて、所望の形状に成形すればよい。中でも生産性の観点から、射出成形法により製造することが好ましい。
発明のポリカーボネート樹脂組成物、およびこれを成形してなる光反射部材は、優れた耐光性と色相及び高い遮光性と光線反射率を有するだけでなく、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、熱安定性、外観等をも同時に維持されているので、液晶表示装置のバックライト用光線反射板、光反射枠または光反射シート、ならびに、電気・電子機器、広告灯などの照明用装置、自動車用メーターパネルなどの自動車用機器などの光線反射部品または光反射シートとして有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
ポリカーボネート
芳香族ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロンS−3000FN、Mv;21000
蛍光増白剤
4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン。以下の製造方法により製造した。23.7重量部の2−(p−フォミル−フェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール、22.3重量部の2−(p−トリル)−5−メチルベンゾオキサゾール、及び塩化亜鉛10重量部をよく混合し、200〜250℃にて5時間反応を行わせた。放冷後、生成物を微粉砕し、2%塩酸水200重量部と共に60℃に加温し、ろ過後、水洗した。更に200重量部のメタノールと加温し、ろ過し、残さをジクロロベンゼンにより精製し、黄色結晶性固体の4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンを得た。このもののジメチルフォルムアミド溶液の紫外部吸収最大波長は378mμを示す。
酸化チタン
PC−5(レジノカラー工業社製)
紫外線吸収剤
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シーソーブ709(シプロ化成社製)
安定剤
リン酸エステル、アデカスタブPEP−36(旭電化工業社製)
難燃剤
分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(竹本油脂社製)
試験方法
(1)反射率:
50×50×2[mm]の測定試験片を用い、島津製作所社製UV−3100PC、及びMPC−3100にて波長400nmでの光線反射率を測定した。
(2)光線透過率:
50×50×1[mm]の測定試験片を用い、濁度計(日本電色工業社製「NDH−2000型」)を使用し、光源にD65を用いて全光線透過率を測定した。
(3)初期色相(YI):
50×50×2[mm]の測定試験片を用い、分光式色彩計(日本電色工業社製「SE−2000型」)により初期色相(YI)を測定した。
(4)耐光性(ΔYI):
スガ試験機社製Super Xenon Weather Meterを用い、50×50×2[mm]の測定試験片に、照射強度156W/mで紫外線を600時間照射後、(2)と同様に色相(YI)を測定し、初期色相(YI)との差を求めた。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
表1に示す比率(重量部)で各原料を配合し、タンブラーにて15分ブレンドを行い、その後二軸押し出し機にて300℃のシリンダー温度にて押し出し、ペレット化した。そのペレットを射出成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃)にて各種試験片を成形した。尚、各成分の混練は良好に行うことが出来、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンも、良好に混練できた。得られた試験片を評価し、結果を表1に示す。
Figure 2008195818
表1から明らかな通り、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光反射部材は、ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、高い光線反射率と遮光性、優れた耐光性、色相を同時に奏するので、該樹脂組成物からなる成形品は、各種光反射部品として好適であることが判る。一方、蛍光増白剤を含まない比較例1、2では、初期色相および耐光性が不十分であった。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)、及び酸化チタン(C)からなるポリカーボネート樹脂組成物において、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(B)を1〜1000ppm含有し、酸化チタン(C)をポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部含有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 更に、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、紫外線吸収剤(D)を0.03〜3重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 更に、熱安定剤(E)および/または酸化防止剤(F)を1〜5000ppm含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 更に、難燃剤(G)を0.01〜10重量部含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 難燃剤(G)が有機酸のアルカリ(土類)金属塩および/またはシリコーン系難燃剤であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光反射部材。
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