JP2019059813A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性及び耐衝撃性に優れ、さらには成形時の滞留等による熱変色の少ないポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)50〜95質量部と、ゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)5〜50質量部からなる(A)及び(B)の合計100質量部に対して、リン系難燃剤(C)3〜30質量部、ヒンダートアミン化合物(D)0.05〜0.5質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関し、詳しくは難燃性及び耐衝撃性に優れ、さらには成形時の滞留等による熱変色の少ないポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂アロイ組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気・電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート/スチレン系樹脂のアロイ組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、各種携帯端末、プリンター、複写機等の電気・電子機器やOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
中でもリン系難燃剤によって難燃化されたポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイは、リン系難燃剤の可塑化効果により成形性に非常に優れるため、薄肉、大型成形品を得るためには最も一般的な組成物である(例えば特許文献1〜3参照)。
このように難燃化されたポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイは、その優れた特性から、特に筐体等の外装部品に好適に使用することができる。その一方で、外装部品として使用する場合には、成形時の熱履歴等による僅かな変色によって、部品ごとに色の違いが生じて、製品を組み上げた時に僅かな色の違いでも目立ってしまい、製品としての意匠性を著しく損なってしまう問題が発生している。
特許第3638806号公報 特許第4080851号公報 特許第4157271号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて創案されたもので、従来の難燃化されたポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂アロイ組成物の難燃性、耐衝撃性等の優れた特性はそのままに、成形時の熱履歴による変色を大幅に小さくしたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂、リン系難燃剤からなる樹脂組成物に、特定のヒンダートアミン型光安定剤を添加することにより、滞留時の熱履歴による変色を著しく低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)50〜95質量部と、ゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)5〜50質量部からなる(A)及び(B)の合計100質量部に対して、リン系難燃剤(C)3〜30質量部、ヒンダートアミン化合物(D)0.05〜0.5質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]グラフト共重合体(B)が、ポリブタジエンゴムに芳香族ビニル及びシアン化ビニルを共重合させたグラフト共重合体である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]グラフト共重合体(B)が、ポリブタジエンゴムに芳香族ビニル及びシアン化ビニルを共重合させたグラフト共重合体、及び/又は、ゴム質重合体に芳香族ビニル及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物を共重合させたコアシェル型グラフト共重合体である上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]ヒンダートアミン化合物(D)がN−アルキル型ヒンダードアミン化合物である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]さらに、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.001〜0.5質量部含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]さらに酸化チタン(F)を、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.5質量部以上含む上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]リン系難燃剤(C)が、リン酸エステル化合物である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]溶融状態で280℃10分保持した時の色の変化ΔEが1.0未満である上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性及び耐衝撃性に優れ、さらには成形時の滞留等による熱変色が少ない。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、「部」とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく質量部を表す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)50〜95質量部と、ゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)5〜50質量部からなる(A)及び(B)の合計100質量部に対して、リン系難燃剤(C)3〜30質量部、ヒンダートアミン化合物(D)0.05〜0.5質量部を含有することを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)の種類に制限はない。また、ポリカーボネート樹脂(A)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中ではビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは14000以上、より好ましくは15000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは33000以下、より好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマー又はポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマー又はポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマー又はポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量部以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂(A)は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
[グラフト共重合体(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有するグラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物成分及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させてなるグラフト共重合体である。グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体をコアと、これに芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物成分及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれる成分からなるシェルとからなるコアシェル型のグラフト共重合体であってもよい。
グラフト共重合体(B)の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム質重合体は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、更には−30℃以下が好ましい。
ゴム質重合体の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなる複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−α−オレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなる複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましく、特にブタジエンゴムが好ましい。
ゴム質重合体とグラフト共重合可能な単量体成分としての芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ゴム質重合体とグラフト共重合可能な単量体成分としてのシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
ゴム質重合体とグラフト共重合可能な単量体成分としての(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸のアリールエステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸のアルキルエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルである。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、上記した以外の共重合可能なその他の単量体を共重合したものでも良く、この場合、共重合可能な他のビニルモノマーとしては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸等が挙げられる。
グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体10〜80質量%、芳香族ビニル化合物10〜80質量%、シアン化ビニル化合物5〜30質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物0〜40質量%、その他の単量体0〜30質量%からなることが好ましく、ゴム質重合体10〜50質量%、芳香族ビニル化合物20〜70質量%、シアン化ビニル化合物10〜30質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物0〜20質量%、その他の単量体0〜20質量%からなることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)の好ましいものとしては、ポリブタジエンゴムに芳香族ビニル及びシアン化ビニルを共重合させたグラフト共重合体、あるいは、ゴム質重合体に芳香族ビニル及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物を共重合させたコアシェルタイプのグラフト共重合体が好ましい。
グラフト共重合体(B)の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体等が挙げられる。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でもグラフト共重合体(B)としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、または、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)が好ましく、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)が特に好ましい。
グラフト共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の100質量部に対し、5〜50質量部であり、好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。グラフト共重合体(B)の配合量が5質量部を下回る場合は、流動性、耐衝撃性が不十分であり、50質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、難燃性の低下を引き起こしやすい。
[リン系難燃剤(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系難燃剤(C)を含有する。リン系難燃剤としては、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、熱安定性の面から、例えば下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物や、下記一般式(2)および(3)で表されるホスファゼン化合物が好ましい。
<リン酸エステル化合物>
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、kが異なる数を有する化合物の混合物であってもよく、かかるkが異なる縮合リン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。kは、通常0〜5の整数であり、異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.6〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.95〜1.15の範囲である。
また、Xは、二価のアリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。これらのうち、特に、レゾルシノール、ビスフェノールA、3,3’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される二価の基が好ましい。
また、一般式(1)におけるp、q、rおよびsは、それぞれ0または1を表し、なかでも1であることが好ましい。
また、R、R、RおよびRは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。このようなアリール基としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジ−tert−ブチルフェニル基、p−クミルフェニル基等が挙げられるが、フェニル基、クレジル基、キシリル基がより好ましい。
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の具体例としては、
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、tert−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(tert−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(tert−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート、ビフェニルビス−ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の酸価は、0.2mgKOH/gが好ましく、より好ましくは0.15mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.1mgKOH以下であり、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。かかる酸価の下限は実質的に0とすることも可能である。一方、ハーフエステルの含有量は1.1質量部以下がより好ましく、0.9質量部以下がさらに好ましい。酸価が0.2mgKOH/gを超える場合やハーフエステル含有量が1.5mgを超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性や耐加水分解性の低下を招きやすい傾向がある。
本発明に用いるリン酸エステル化合物としては、上述のものの他に、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、リン酸エステル部位を含有するポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはエポキシ樹脂も当然含まれる。
<ホスファゼン化合物>
上記一般式(2)及び(3)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン、o,m−トリルオキシホスファゼン、o,p−トリルオキシホスファゼン、m,p−トリルオキシホスファゼン、o,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C1−6アルキルC6−20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C6−20アリールC1−10アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン等が例示できる。
これらのうち、好ましくは、環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状C1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン、C6−20アリールオキシC1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状及び/又は鎖状トリルオキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等)である。
一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物としては、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられるが、なかでもR及びRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。
また、一般式(2)中、tは3〜25の整数を表すが、なかでもtが3〜8の整数である化合物が好ましく、tの異なる化合物の混合物であってもよい。なかでも、t=3のものが50質量%以上、t=4のものが10〜40質量%、t=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
一般式(3)中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられるが、R及びRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。
また、Rは、−N=P(OR基、−N=P(OR基、−N=P(O)OR基、−N=P(O)OR基から選ばれる少なくとも1種を示し、R10は、−P(OR基、−P(OR基、−P(O)(OR基、−P(O)(OR基から選ばれる少なくとも1種を示す。
また、一般式(3)中、uは3〜10,000の整数を示し、好ましくは3〜1,000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
また、本発明に用いるホスファゼン化合物は、その一部が架橋された架橋ホスファゼン化合物であってもよい。このような架橋構造を有することで耐熱性が向上する傾向にある。
このような架橋ホスファゼン化合物としては、下記一般式(4)に示す架橋構造、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4’−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
[式(4)中、Xは−C(CH−、−SO−、−S−、又は−O−であり、vは0又は1である。]
また、架橋ホスファゼン化合物としては、一般式(2)においてR及びRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が下記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物、又は、前記一般式(3)においてR及びRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が下記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が下記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
本発明においては、ホスファゼン化合物は、前記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物、及び、上記一般式(3)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物よる成る群から選択される少なくとも1種であることが、難燃性及び機械的特性の点から好ましい。
リン系難燃剤(C)としては、上記の中でも、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物、特に縮合リン酸エステルが、成形時の滞留等による熱変色がより少なく、湿熱処理後の耐衝撃性の低下率が少ない樹脂組成物とすることができるので好ましい。
リン系難燃剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、3〜50質量部であり、好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、好ましくは40量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特には20質量部以下である。リン系難燃剤(C)の配合量が3質量部を下回る場合は、難燃性が不十分であり、50質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こす。
[ヒンダートアミン化合物(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ヒンダートアミン化合物(D)を含有することを特徴とする。ヒンダートアミン化合物は、一般に高分子化合物の光安定剤(耐光剤)として使用されるものであるが、ポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂アロイに適用すると、成形機における滞留時の熱変色を効果的に抑制すること、そしてその量は光安定剤として他の高分子化合物に適用される量よりも、より少ない量で効果があることが見いだされた。
ヒンダートアミン化合物(D)としては、ピぺリジル環あるいはピぺリジン誘導体からなる環構造(以下、併せてピペリジル環構造ということもある。)を有する化合物、特に好ましくは2,2,6,6−テトラアルキルピペリジル環構造を有する化合物である。
ヒンダートアミン化合物(D)としては、
(D1)ピぺリジル環構造における窒素原子(N)に、置換されていてもよいアルキル基で置換されているN−アルキル型ヒンダードアミン化合物、
(D2)ピぺリジル環構造における窒素原子(N)に水素原子(H)が結合したN−H型ヒンダードアミン化合物、
(D3)ピぺリジル環構造における窒素原子(N)に、酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているN−OR構造を有しているN−OR型ヒンダードアミン化合物、のいずれであってもよい。
N−アルキル型ヒンダードアミン化合物(D1)としては、置換されていてもよいアルキル基が、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4、さらには炭素数1〜2のアルキル基であるものが好ましく、メチル基、エチル基等が特に好ましく、メチル基であるものが最も好ましい。
N−アルキル型ヒンダードアミン化合物(D1)の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等が好ましく挙げられる。
また、ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]等の高分子型のものも好ましく挙げられる。
N−H型ヒンダードアミン化合物(D2)の具体例としては、テトラキス(1,2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合物等を例示することができる。
N−OR型ヒンダードアミン化合物(D3)としては、アルキル基(R)の炭素数が、1〜20が好ましく、1〜18がより好ましく、さらに好ましくは4〜16、特に8〜16が好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。また、アルキル基を構成している水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
N−OR型ヒンダードアミン化合物(D3)の具体例としては、ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)カーボネート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)アジペート、ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)アジペート、ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)セバケート、1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオクタデカノエート等が好ましく挙げられる。
また、高分子タイプのN−OR型ヒンダードアミンとして、BASF社製「Tinuvin NOR371」が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン化合物(D)としては、上記した中でもN−アルキル型ヒンダードアミン化合物(D1)が、成形時の滞留等による熱変色がより少ないことから好ましい。
ヒンダードアミン化合物(D)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.05〜0.5質量部であり、含有量が0.05質量部を下回ると滞留熱変色性が悪くなり、0.5質量部を上回ると耐湿熱性ないし金型汚染性が悪くなる。ヒンダードアミン化合物(D)の含有量は、0.08質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは0.4質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、特には0.2質量部以下、0.15質量部以下が最も好ましい。
[ヒンダードフェノール(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記ヒンダードアミン化合物(D)に加えてヒンダードフェノール(E)をさらに含有することが好ましい。ヒンダードアミン化合物(D)とヒンダードフェノール(E)を併用することで、滞留熱安定性をより向上させることができる。
ヒンダードフェノールとは、下記一般式(5)で示されるフェノール性水酸基に対するオルト位に置換基を有する一価の基を分子内に少なくとも一個有する化合物をいう。
一般式(5)において、R11及びR12は、各々独立して、水素原子又はアルキル基を表し、R11及びR12のうちの少なくとも1つは炭素数が1〜6のアルキル基である。
11及びR12で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等炭素数1〜6のものが挙げられる。なかでも、R11及びR12がいずれも、t−ブチル基のような嵩高い分岐アルキル基であることが好ましい。
上記ヒンダードフェノール系化合物(E)の具体例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、4,4’,4’’−(1−メチルプロパノールー3−イリデン)トリス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ブチリデン−ジ−m−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン等が好ましく挙げられる。
ヒンダードフェノール(E)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.001〜0.5質量部の量で含有することが好ましく、より好ましくは0.01〜0.4質量部、さらに好ましくは0.03〜0.3質量部、特に好ましくは0.05〜0.2質量部である。
また、ヒンダードアミン化合物(D)とヒンダードフェノール(E)の合計の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.05〜1質量部の量で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8質量部、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部、特に好ましくは0.1〜0.3質量部である。
[その他安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外の他の安定剤を含有することもできる。他の安定剤としてはリン系安定剤が挙げられる。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族又は第2B族金属のリン酸塩;ホスフェート化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物などが挙げられるが、ホスファイト化合物が特に好ましい。
ホスファイト化合物としては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトのようなペンタエリスリトールジホスファイト構造を有するものが特に好ましい。
リン系安定剤を含有する場合の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは0.01〜0.5質量部であり、より好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、また、より好ましくは0.4質量以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、特に好ましくは0.2質量部以下である。
[酸化チタン(F)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、酸化チタン(F)を含むことも好ましい。
酸化チタン(F)としては、一般に市販されているものの中で白色度の点で、酸化チタンを80質量%以上含有するものを用いるのが好ましい。酸化チタンとしては、例えば、一酸化チタン(TiO)、三酸化ニチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO)などが挙げられ、これらのいずれを使用してもよいが、二酸化チタンが好ましい。また、酸化チタンとしては、ルチル型の結晶構造を有するものが好ましく使用される。
酸化チタン(F)の平均一次粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.001〜0.5μmの範囲内であることがより好ましく、0.002〜0.1μmの範囲内であることがさらに好ましい。
酸化チタン(F)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.01〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
[フルオロポリマー]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はフルオロポリマーを含有することが好ましい。
フルオロポリマーとしては、例えば、フルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体である。具体例としてはジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルアルキルビニルエーテル共重合樹脂等が挙げられる。中でも好ましくはテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、「テフロン(登録商標)640J」、ダイキン工業社製「ポリフロンF201L」、「ポリフロンF103」、「ポリフロンFA500B」、「ポリフロンFA500H」などが挙げられる。さらに、フルオロエチレン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)31−JR」、ダイキン工業社製「フルオンD−210C」等が挙げられる。さらに、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するフルオロエチレン重合体も使用することができ、このようなフルオロエチレン重合体としては、ポリスチレン−フルオロエチレン複合体、ポリスチレン−アクリロニトリル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸メチル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸ブチル−フルオロエチレン複合体等が挙げられ、具体例としては三菱ケミカル社製「メタブレンA−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス449」等が挙げられる。なお、滴下防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明におけるフルオロポリマーは、標準比重の値が、2.15〜2.22のものを使用することが好ましい。標準比重が、2.15を下回る場合は、成形品外観が低下する傾向にあるため好ましくない。また標準比重が2.22を超える場合は、耐ドリップ性が低下する傾向にあるため好ましくない。標準比重の値は、2.155〜2.215であることが好ましく、2.16〜2.1であることがさらに好ましく、2.16〜2.20であることが特に好ましく、2.165〜2.19であることが最も好ましい。なお、標準比重(SSGともいう。)は、ASTM D4895に準拠して成形されたサンプルを用い、水置換法により測定する値である。
また、フルオロポリマーの平均粒径は、特に制限はないが、300〜1,000μmであることが好ましい。平均粒径が300μmを下回る場合は、ポリカーボネート樹脂組成物の耐ドリップ性が低下する可能性があり、また1,000μmを超える場合は、フルオロポリマーが凝集しやすくなり、成形体とした場合に白点異物等の外観不良を引き起こす可能性があるため好ましくない。このような観点より、フルオロポリマーの平均粒径は、350〜800μmであることがより好ましく、380〜750μmであることがさらに好ましく、400〜700μmであることが特に好ましい。
フルオロポリマーの含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、0.01〜1質量部が好ましく、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.7質量部以下である。フルオロポリマーの含有量が0.01質量部未満の場合は、滴下防止剤による難燃性の効果が不十分となり、含有量が1質量部を超える場合は、ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じやすい。
[無機充填材]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は無機充填材を含有することが好ましい。
無機充填材としては、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;タルク、ワラストナイト、マイカ、カオリン、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられ、好ましくは、タルク、ワラストナイト、マイカ、カオリン、窒化ホウ素等であり、この中でもタルク、ワラストナイト、マイカ、カオリンが好ましく、さらに好ましくはタルクである。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
無機充填材の形状としては、繊維状、針状、板状、球状が好ましく、成形収縮率や線膨張の低減を考慮した場合、繊維状、針状、板状の無機充填材がより好ましい。
無機充填材の平均粒子径としては、好ましくは0.1〜50μmであり、より好ましくは0.3〜40μm、さらに好ましくは0.5〜20μmである。平均粒子径が0.1μm未満では補強効果が不充分となり易く、50μmを超えると製品外観に悪影響を与えやすいのでいずれも好ましくない。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50の値などで表される。
無機充填材の好ましい含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.3〜10質量部であり、好ましくは0.5〜7質量部、より好ましくは0.7〜5質量部である。
無機充填材の含有割合が上記下限未満では、剛性や、耐熱性、寸法安定性(低収縮・低線膨張化)の改善効果が不十分であり、上記上限を超えると成形性の悪化、脆化などの問題が生じる。
[離型剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが好ましく挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族一価、二価又は三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価又は二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和又は不飽和の一価又は多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコール又は脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の樹脂や添加剤等を含有してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
ただし、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)以外のその他の樹脂を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下がより好ましく、特には5質量部以下とすることが好ましい。
樹脂添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、リン系難燃剤(C)及びヒンダートアミン化合物(D)、並びに必要に応じて用いられるその他の成分を用いて、従来公知の任意の方法を適宜選択して製造することができる。
具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物を製造することができる。また、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみ予め混合してフィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形時の滞留等による熱変色が少なく、溶融状態で280℃10分保持した時の色の変化ΔEが、好ましくは1.0未満であり、より好ましくは0.80未満、さらに好ましくは0.70未満である。なお、色差ΔEの具体的な測定方法は、実施例に記載する通りである。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐湿熱性に優れており、湿熱処理後においても高いシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を示す。具体的には、温度65℃、湿度85%にて500時間保持後のノッチ付きシャルピー衝撃強度が、好ましくは6kJ/mであり、より好ましくは7kJ/m、さらに好ましくは8kJ/m、特に好ましくは9kJ/mである。なお、湿熱処理後のシャルピー衝撃強度の具体的な測定方法は、実施例に詳記する通りである。
[成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気・電子機器やOA機器の筐体に用いて好適であり、プリンター、複写機、プロジェクター、モデム及びルーター等の筐体(ハウジング)に特に好適である。
成形体の製造方法は、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
上記の中でも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂温度が高温の条件下で滞留しても、滞留熱変色が少ないので、樹脂温度を265℃以上、さらには270℃以上、特には275℃以上で射出成形し、その際滞留時間が長くなっても熱変色が起きることが少ない。樹脂温度の上限は好ましくは290℃程度である。
以下、実施例を示して本発明について、更に具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
以下の実施例及び比較例に使用した各成分は以下の表1の通りである。
(実施例1〜21、比較例1〜5)
[樹脂ペレット製造]
表1に記した各成分のうち(C)成分以外を、後記表3〜5に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に上流のフィーダーより供給し、さらに(C)成分をバレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量45kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
[難燃性評価]
上述の製造方法で得られたペレットを、80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE50DUZ型射出成形機を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ2.0mmのUL試験用試験片を成形した。
上記で得られたUL試験用試験片(2.0mm厚)を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)の94−5V規格に準拠して行った。
94−5V試験は、2.0mm厚のUL試験用試験片(棒状と板状の2種)を用いて、5秒間×5回接炎した後の棒状試験片の残炎時間、ドリップ性、板状試験片の貫通孔の有無から難燃性を評価する方法で、判定基準は以下の表2に従う。5VA、5VBのいずれの判定基準も満たさないものはNRと表記した。
[耐衝撃性(シャルピー衝撃値)]
同様に上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所社製の射出成型機J85AD(型締め力85T)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
得られたISO多目的試験片(3mm)を用い、ISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。その値を湿熱前のシャルピー衝撃値として表中に記した。
また同様の試験片を温度65℃・湿度85%の恒温恒湿槽にて500時間調湿後に、同様にノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。その結果を湿熱後として表中に記した。
[滞留変色(色差ΔE)]
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE50DUZ型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度40℃、成形サイクル30秒の条件で、長さ110mm、幅36mm、厚さ3mmの平板状の試験片を成形して通常条件での成形品を作成した。通常条件にて5〜10ショット成形して、成形条件が安定した後に、シリンダー内に溶融樹脂を計量した状態のまま成形を中断して10分間保持し、その後に、成形を再開して成形品を3ショット作成した。
この3ショットの成形品と通常成形品のとの色差ΔEの平均値を、280℃10分保持後の色調の変化ΔEとして表中に記した。また色差ΔEについては、コニカミノルタ社製分光測色系CM−3600dを用いて、ISO7724/1に準拠したD65光源・視野角10°・SCI方式にて測定した測色値による色差値ΔEを使用した。
以上の評価結果を以下の表3〜5に示す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性及に優れ、さらには成形時の滞留等による熱変色の少ないので、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器等の部品等に好適に使用できる。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)50〜95質量部と、ゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)5〜50質量部からなる(A)及び(B)の合計100質量部に対して、リン系難燃剤(C)3〜30質量部、ヒンダートアミン化合物(D)0.05〜0.5質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(B)が、ポリブタジエンゴムに芳香族ビニル及びシアン化ビニルを共重合させたグラフト共重合体である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物
  3. グラフト共重合体(B)が、ポリブタジエンゴムに芳香族ビニル及びシアン化ビニルを共重合させたグラフト共重合体、及び/又は、ゴム質重合体に芳香族ビニル及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物を共重合させたコアシェル型グラフト共重合体である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. ヒンダートアミン化合物(D)がN−アルキル型ヒンダードアミン化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. さらに、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.001〜0.5質量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. さらに酸化チタン(F)を、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.5質量部以上含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. リン系難燃剤(C)が、リン酸エステル化合物である請求項1〜6のいずれかにに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 溶融状態で280℃10分保持した時の色の変化ΔEが1.0未満である請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品。
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