JP2008165024A - 加熱回転体、その加熱回転体の製造方法、及びその加熱回転体を有する像加熱装置 - Google Patents

加熱回転体、その加熱回転体の製造方法、及びその加熱回転体を有する像加熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】立ち上がり時の昇温時間の短縮、加熱性能の向上を可能とする加熱回転体の提供。
【解決手段】断熱層32と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層33と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層34と、を有する。前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、A2/A1≧0.6×B2/B1の関係となることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ、電子写真ファクシミリ等の画像形成装置に搭載する加熱定着装置として用いれば好適な像加熱装置に関する。特に、加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置に関する。またその像加熱装置に用いられる加熱回転体に関する。またその加熱回転体の製造方法に関する。
電子写真式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)として、定着ローラと、定着ローラと接触してニップ部を形成する加圧ローラと、定着ローラを外側から加熱する加熱手段と、を有するものがある(特許文献1)。この定着装置は、ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上に未定着トナー画像を加熱定着する。加熱手段は、ハロゲンヒータを内蔵した小径の加熱ローラである。小径の加熱ローラは内蔵したハロゲンヒータにより短い時間で昇温され、定着ローラの外周面(表面)を直接加熱ローラで加熱するために定着ローラ表面の昇温スピードを速くするものであった。
定着ローラを外側から加熱する外部加熱方式の定着装置に用いられる定着ローラは、芯金の上に設けられる弾性層を熱伝導率の低いシリコーンゴムや発泡シリコーンゴムを断熱層とし、その上に表面層としてフッ素樹脂離型性層を被覆して形成している。
特許文献2では、ゴム被覆ローラに関し、蓄熱層として断熱層と離型性層の間に高熱伝導のシリコーンゴム層を介在させる構成を提案している。このゴム被覆ローラを定着ローラとして用いた場合、その定着ローラ表面を外側から加熱するため、急速に定着ローラ表面を加熱することが可能となり、立ち上がり時の昇温時間(ウォームアップタイム)が短縮される。また、定着ローラが弾性層を有しているため、定着ローラ表面がニップ部において均一に記録材上の未定着トナー画像に接することで画像光沢ムラの発生を防止することが可能となっている。
特開2004−317788号公報 特開2000−230541号公報
しかしながら、上記従来の定着ローラよりも、立ち上がり時の昇温時間を短縮でき、加熱性能を向上できる定着ローラが望まれている。
本発明の目的は、立ち上がり時の昇温時間の短縮、加熱性能の向上を可能とする加熱回転体、その加熱回転体の製造方法、及びその加熱回転体を有する像加熱装置を提供することにある。
本発明に係る構成は、加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置に用いられる加熱回転体であり、前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
A2/A1≧0.6×B2/B1
の関係となることを特徴とする。
また、本発明に係る構成は、加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置に用いられる加熱回転体であり、前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
A2/A1≧0.6×B2/B1
の関係となる加熱回転体の製造方法であって、
前記高熱伝導フィラーが混入された液状フッ素樹脂塗料を中空円筒状金型の内面に塗布、乾燥、焼成して前記離型性層を形成する工程と、前記離型性層の内面に前記高熱伝導弾性層を形成する工程と、前記高熱伝導弾性層の内面に前記断熱層を形成する工程と、を有し、前記離型性層を形成する工程において前記液状フッ素樹脂塗料の乾燥は少なくとも前記中空円筒状金型を回転数180rpm以下の回転状態で行うことを特徴とする。
また、本発明に係る構成は、加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
A2/A1≧0.6×B2/B1
の関係となることを特徴とする。
本発明によれば、立ち上がり時の昇温時間の短縮、加熱性能の向上を可能とする加熱回転体、その加熱回転体の製造方法、及びその加熱回転体を有する像加熱装置を提供できる。
本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
(1)画像形成装置
図9は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置として搭載できる画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真プロセスを用いたレーザープリンタであり、ホストコンピュータ等の不図示の外部機器より入力する画像情報に応じた画像を記録材上に形成して出力する。
本実施例に示すプリンタは、外部機器から出力されるプリントスタート信号に基づいて像担持体であるドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1が矢印方向に所定の速度で回転駆動される。回転する感光ドラム1はその外周面(表面)が帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電される。その一様帯電面に対して、多面体ミラー3a、多面体ミラー回転用モータ(不図示)、レーザーユニット(不図示)等がユニット化されて構成されているレーザースキャナユニット3により画像情報の書き込みがなされる。レーザースキャナユニット3は、外部機器からプリンタに入力した画像情報の時系列電気デジタル画素信号に応じて変調されたレーザー光Lを出力して、該レーザー光Lにより感光ドラム1の帯電処理面を走査露光する。これにより、感光ドラム表面に画像情報の静電潜像が形成される。その静電潜像は現像器4により現像剤(トナー)を用いてトナー画像として現像される。そして、そのトナー画像が感光ドラム1表面と転写ローラ5の外周面(表面)との圧接部である転写ニップ部において記録材(転写用紙、OHPシートなど)Pの面上に順次に転写されていく。記録材分離後の感光ドラム表面はクリーナー6により転写残留トナー等の残存付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。以上が画像形成部の構成である。本実施例のプリンタは、感光ドラム1と、帯電器2と、現像器4と、クリーナー6と、を一体化してプロセスカートリッジ7としている。そしてそのカートリッジ7はプリンタの筐体を構成するプリンタ本体100に対して着脱可能である。
記録材Pは給送トレイ8のシート積載台8a上に積載して載置されている。その記録材Pは、所定の制御タイミングで駆動される給送ローラ9により最上位の記録材Pから一枚ずつピックアップされ、搬送ローラ10と搬送コロ10aによってレジスト部へと送られる。レジスト部は、レジストローラ11と、レジストコロ11aと、を有し、記録材Pの先端をレジストローラ11とレジストコロ11a間のニップ部で一旦受け止めて記録材Pの斜行矯正を行い、所定の制御タイミングでその記録材Pを転写ニップ部へ給送する。
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた記録材Pは感光ドラム1表面から分離されて、定着装置12へ搬送される。記録材分離後の感光ドラム表面はクリーナー6により転写残留トナー等の残存付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
定着装置12は記録材P上の未定着トナー画像を永久固着画像として加熱定着する。定着装置12を出た記録材Pは、中間排出ローラ13、排出ローラ14などを有する排出ユニットにより排出トレイ15上に排出される。
また、プリンタ本体100には冷却ファン16が設けられている。このファン16は、適宜回転され、外気をプリンタ本体100内に取り込んで画像形成部、電装基板等の昇温箇所を冷却する。冷却ファン16の近傍には、サーミスタ等の温度検知手段17が設けられ、ファン16によって機外の空気を取り込んだ際に、プリンタが設置されている環境の温度を検知する。そして、その検知結果を定着装置12の温度制御シーケンスにフィードバックしている。
(2)定着装置12
図1は定着装置の一例の横断側面模型図である。図2は図1の定着装置の縦断側面模型図である。図3は図1の定着装置を記録材の導入側から見た正面図である。
定着装置12において、30は記録材上の未定着トナー画像をニップ部Nにて加熱する回転可能な加熱回転体としての定着ローラ(定着部材、定着用回転体)である。40は定着ローラ30と接触してニップ部Nを形成するバックアップ部材としての回転可能な加圧ローラ(加圧部材)である。20は定着ローラ30の外周面(表面)を外側から加熱する加熱手段としての加熱ユニットである。
定着ローラ30は、芯金31と、その外周にローラ状に形成した断熱層としての断熱弾性層32と、蓄熱層としての高熱伝導弾性層33と、更にその外側に形成した最表層(離型性層)としての高熱伝導フッ素樹脂層34と、を有する弾性ローラである。この定着ローラ30は芯金31の両端部をそれぞれ軸受35を介して不図示の一対の装置側板(以下、装置側板対と記す)に回転可能に支持させて配設してある。
加圧ローラ40は、芯金41と、その外周にローラ状に形成した弾性層42と、更にその外側に最表層として形成した離型性層43と、を有する弾性ローラである。加圧ローラ40は、定着ローラ30の下側に定着ローラ30と略並行に配列され、芯金41の両端部をそれぞれ軸受44を介して装置側板対に回転可能に支持させ、且つ不図示の加圧機構により定着ローラ30の下面に対して所定の加圧力で接触させてある。これにより、定着ローラ30表面と加圧ローラ40の外周面(表面)間に記録材搬送方向において所定幅のニップ部(定着ニップ部、圧接ニップ部)Ntを形成させている。
加熱ユニット20は、加熱源としての板状のヒータ21と、このヒータ21を保持する断熱性のステイホルダー24と、を有する。このヒータ21にはサーミスタ等の温度検知手段22が設けられている。また、ヒータ21を保持するホルダー24にルーズに外嵌させた可撓性部材(フィルム状部材)としての円筒状の加熱フィルム23を有する。この加熱ユニット20は、ヒータ21側を下向きにして定着ローラ30の上側に定着ローラ30と略並行に配列され、ホルダー24の両端部に配設されたフィルム移動規制用の端部フランジ25をそれぞれ加圧ばね26により所定の力で加圧している。これにより、ヒータ21がフィルム23を介して定着ローラ30表面に加圧され、フィルム23の外周面(表面)と定着ローラ30表面間に定着ローラ30の回転方向において所定幅の加熱ニップ部Nhが形成される。
定着ローラ30と加圧ローラ40のローラ部の長さ寸法(記録材Pの面において記録材搬送方向と直交する方向)と、加熱ユニット20の有効発熱部の長さ寸法(同)は、それぞれ、定着ニップ部Ntの記録材最大搬送領域幅W(図1)よりも大きい。
定着ローラ30は、芯金31の一端部側に設けられた駆動ギア36に駆動モータMから回転力が伝達されることにより矢印方向に所定の速度で回転駆動される。この定着ローラ30から定着ニップ部Ntを通じて受ける回転力によって加圧ローラ40が矢印方向に従動回転する。また、この定着ローラ30から加熱ニップ部Nhを通じて受ける回転力によってフィルム23がヒータ21の面に密着しながらホルダー24の外回りを矢印方向に従動回転する。ホルダー24はフィルム23の回転ガイド部材としても機能している。また、回転するフィルム23のスラスト方向の移動は端部フランジ25により規制される。
なお、加圧ローラ40も加熱フィルム23も駆動モータMとは別の駆動手段により駆動する装置構成にすることもできる。
回転する定着ローラ30表面は、加熱ニップ部Nhにおいてヒータ21によりフィルム23を介して定着ローラ30表面の外側から加熱され、定着ニップ部Ntにて記録材P上の未定着トナー画像Tを加熱定着するのに必要・十分な熱量が与えられる。
記録材Pは前述したように画像形成部にてトナー画像が転写形成されたあと、定着装置12へ送られる。その記録材Pは、その先端が耐熱性グレードのPET・PBT・PPS等から成る定着入口ガイド51により定着ニップ部Ntへと導かれ、この定着ニップ部Ntで挟持されて搬送される。この記録材Pの搬送過程において、記録材Pは定着ローラ30で加熱され、また加圧ローラ40の加圧力に応じたニップ圧を受けて、未定着トナー画像Tが記録材Pの面に永久固着画像として熱圧定着される。そして、定着ニップ部Ntを出た記録材Pは定着ローラ30表面から分離して、耐熱性グレードのPET・PBT・PPS等から形成された定着排出ガイド52に導かれて前述の排出ユニットへと搬送される。
すなわち、定着ローラ30と加圧ローラ40とフィルム23がそれぞれ回転した状態において、ヒータ21の後述する通電発熱抵抗層21b(図7(b))へ通電を開始する。そして、温度検知手段22から出力されるヒータ21の検知温度情報に基づいて定着ローラ30の表面温度を所定の定着温度(目標温度)に保つ。この状態で、定着ニップ部Ntに未定着トナー画像Tが形成された記録材Pを導入することにより記録材P上の未定着トナー画像Tを加熱定着して固着画像とする。
このときの定着ニップ部Nt内での未定着トナー画像Tと定着ローラ30の様子について図4を用いて説明する。
未定着トナー画像Tが形成された記録材Pが定着ニップ部Ntに導入されると、トナー画像Tは定着ローラ30表面によって加圧され、潰された状態となる。このとき、定着ローラ30は弾性を有するため、トナー画像Tの凹凸に対応して微少に変形する。この結果、トナー画像Tを包み込むように定着ローラ30の最表層である高熱伝導フッ素樹脂層34、その内側の高熱伝導弾性層33が順次凹む。この結果、トナー画像Tに対して、定着ローラ30の接触面積が増え、効率的に定着ローラ30から記録材P上のトナー画像Tへ熱が伝えられる。これにより、記録材上Pのトナー画像Tは永久画像として記録材P上に固着状態となる。特に定着ローラ30が弾性を有する部材であるため、表面粗さの大きな記録材P上のトナー画像であっても、記録材Pの凹凸に対する定着ローラ30表面の追随性にも優れ、記録材P上の定着均一性を得ることができる。また、主にトナー画像Tへの熱の供給は、定着ローラ30の最表層の高熱伝導フッ素樹脂層34に対して内側の層である高熱伝導弾性層33に蓄熱された熱を利用する。そのため、高熱伝導弾性層33に必要な熱量を即座に蓄熱し、それを効率良くトナー画像Tへ伝えることが可能である。
加熱ニップ部Nhと定着ニップ部Ntは、定着ローラ30の周上の異なる位置に形成される。加熱ニップ部Nhと定着ニップ部Ntの、定着ローラ30周上の距離は短い方が、空気中への放熱、定着ローラ30内部への熱の逃げが少なく、加熱ニップ部Nhから定着ニップ部Ntへより効率的に熱を運搬する事ができる。
一方、定着ニップ部Ntと加熱ニップ部Nhの位置を、図1のように、定着ローラ30半周分180°ずらして対向させると、ヒータ21の定着ローラ30への加圧力と、加圧ローラ40の定着ローラ30への加圧力は、互いに相殺し合う。そのため、定着ローラ30の撓みを低く抑える事ができ、芯金31に必要な強度が小さくなる為、小径化、低熱容量化がしやすくなるというメリットがある。
定着ローラ30を小径化すると、結果的に、加熱ニップ部Nhと定着ニップ部Ntの距離も短くする事ができる。そのため、ヒータ21と加圧ローラ40の定着ローラ30への加圧力に大きな差が必要でない場合は、図1のように、定着ニップ部Ntと加熱ニップ部Nhは対向して配置した方が良い。
(3)定着ローラ30
本実施例では、加熱回転体として定着ローラ30を例に説明するが、加熱回転体が可撓性を有するベルト状に構成されていても構わない。本実施例の以下の説明において、ベルト特有の場合には一部追記する。
また、以下に説明する定着ローラ30の断熱弾性層32や高熱伝導弾性層33、高熱伝導フッ素樹脂層34、あるいは各種材料の熱伝導率は下記の要領で測定したものである。
すなわち、各層あるいはベルト状部材あるいは各種材料から試験片を切り出す。その試験片について、フーリエ変換型温度熱拡散率測定装置(型番FTC−1、アルバック理工株式会社製)にて、厚み方向の熱拡散率を測定する。そして、下記の式から、各層あるいはフィルム状部材あるいは各種材料の厚み方向の熱伝導率を求める。
熱伝導率=熱拡散率×比重×比熱
比重は、上記試験片を、電子比重計(型番SD−200L、アルファーミラージュ株式会社製)にて測定して求める。
また、比熱は、上記試験片を、示差走査熱量計(型番DSC8240、株式会社リガク製)にて測定して求める。
また、本実施例にかかわる高熱伝導フィラーのアスペクト比(代表長さ/厚さもしくは径)の大きさに関しては、次の通りである。走査型電子顕微鏡(日立製作所製FE−SEM S4500)等を用いて任意の視野角内に含まれる無作為に選んだ1000個以上の高熱伝導フィラーについて代表長さ、および厚さもしくは径を測定する。そしてそれらの平均値を代表値として比を取ることで確認可能である。ここで、代表長さ(フィラーがフレーク状の場合には代表径ともいう)とは、フィラーの最長部分の長さをいうものであり、フレーク状フィラーの場合には偏平面での最長部分の長さ、繊維状フィラーの場合には繊維長が相当する。また、フレーク状フィラーの場合には厚みを繊維状フィラーの場合には径を測定してアスペクト比を得る。
また、フッ素樹脂中に含まれるフィラーのアスペクト比を確認するためには、フィラーが含有するフッ素樹脂試験片を酸素中において600〜800℃程度のマッフル炉に入れて、1〜2時間ほど加熱してフッ素樹脂を除去した後の残渣を取り出す。そしてその残渣を洗浄した後に同様に走査型電子顕微鏡で計測することで確認可能である。なお、本実施例では撮影画像からの計測作業をMedia Cybernetics社製の画像解析ソフトImage-Pro Plus(商品名)を用いた。
また、フッ素樹脂中の任意の断面におけるフィラー混入状態は走査型電子顕微鏡に併設の微小領域EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)分析を行い、観察領域に対してどの程度フィラーが混入されているかを観察する方法を利用した。具体的には、観察領域の面積をS1、EDX分析でフィラーと同定した部分をマッピングした面積をS2としたときにS2/S1をその面のフィラー含有面積として求めることとした。
(3−1)芯金31
芯金31は、アルミや鉄、SUM材等より形成される。その形態は中実であっても、中空の筒状であっても良く、その形態は問わない。
(3−2)断熱弾性層32
芯金31の外周には、以下の方法により形成された断熱弾性層32が形成されている。加熱回転体が定着ベルトの場合には、ポリイミド等の耐熱性樹脂やSUS・Ni等の金属を基層として以下の断熱弾性層32を形成する。
断熱弾性層32は、例えば、シリコーンゴム組成物であり、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に、平均粒子径が500μm以下の中空フィラーを0.1〜200重量部配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成される。
ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、マイクロバルーン材等がある。このような材料としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものでもかまわない。
無機系マイクロバルーンの具体例を以下に挙げるが、無機系マイクロバルーンはこれらに限定されない。シラスバルーンとしては、イヂチ化成(株)製のウインライト、三機工業(株)製のサンキライトが挙げられる。ガラスバルーンとしては、日本板硝子(株)製のカルーン、旭ガラス(株)製のセルスター、3M(株)製のグラスバブルズフィラーが挙げられる。シリカバルーンとしては、旭硝子(株)製のQ−CELが挙げられる。フライアッシュバルーンとしては、PFAMARKETING(株)製のCEROSPHERESが挙げられる。アルミナバルーンとしては、昭和電工(株)製のBWが挙げられる。ジルコニアバルーンとしては、ZIRCOA(株)製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEESが挙げられる。カーボンバルーンとしては、呉羽化学(株)製クレカスフェアなどが挙げられる。
中空フィラー自体が弾性を有するものが好適である。例えば、熱可塑性樹脂製中空バルーン、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合物或いはこれらのうち2種以上の共重合物などからなるものが好適である。
さらには、熱膨張マイクロバルーン材として、松本油脂製薬株式会社の松本マイクロスフェア−Fシリーズ、エクスパンセル社のエクスパンセルシリーズ等などを挙げることができる。熱膨張マイクロバルーンの場合には、未膨張の樹脂マイクロカプセルは通常その直径が約1〜50μmであり、これを適切な加熱温度で膨張させて、直径が約10〜500μm程度のほぼ真球に近い球体とすることができる。
また、中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で、表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。この場合、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。
但し、熱膨張マイクロバルーンを用いる場合には、未膨張時のマイクロバルーンの真比重は0.5〜1.4程度が好ましい。真比重が小さすぎると配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化、熱伝導率の低下ができなくなってしまう。また、比重が大きすぎると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、熱伝導性の低下が十分とはならない場合が生じる。
また、中空フィラーの平均粒子径は、500μm以下、好ましくは300μm以下がよい。平均粒子径が大きすぎると、成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい、熱伝導率が高くなってしまったり、ロール成形後の硬度ムラが大きくなってしまうなどの問題が生じる。中空フィラーの平均粒子径の下限は特に制限されないが、通常、10μm、特に20μmである。
中空フィラーの平均粒子径は、通常、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
上記中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対し0.1〜200重量部であり、好ましくは0.2〜150重量部、より好ましくは0.5〜100重量部である。
この場合、中空フィラーのシリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10〜80%、特に15〜75%となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると、熱伝導率の低下が不十分で、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまうおそれがある。
また、熱膨張マイクロバルーンを未膨張でオルガノポリシロキサン組成物に混入させる場合には、マイクロバルーンが熱膨張することを考慮する。例えば、オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して、未膨張のマイクロバルーンを0.1〜10重量部程度混入、加熱硬化させることで、断熱性の良好な断熱弾性層を形成できる。
一方、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては、シリコーンゴム層を形成する公知の組成の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を使用することができ、有機過酸化物硬化型のものでも付加反応硬化型のものでもよい。
また、このオルガノポリシロキサン組成物の構造は基本的には直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状構造、環状構造などであってもよい。
分子量については、特に限定なく、粘度の低い液状のものから、粘度の高いものまで使用できる。しかし、硬化してゴム状弾性体になるためには、25℃での粘度が、100センチポイズ以上であり、通常100〜1,000,000、特に500〜100,000であることが好ましい。
上記熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、その他の成分として、必要に応じて、充填剤、補強剤、導電剤、ヒドロシリル化反応制御剤、耐熱剤、内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤、連泡化剤等を配合することは任意とされる。充填剤は、例えば、シリカ微粒子、炭酸カルシウムなどである。補強剤は、例えば、シリコーン系のレジンなどである。導電剤は、例えば、カーボンブラック、導電性亜鉛、金属粉等である。ヒドロシリル化反応制御剤は、例えば、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等である。耐熱剤は、例えば、酸化鉄、酸化セリウムなどである。内部離型剤は、例えば、ジメチルシリコーンオイル等である。連泡化剤は、例えば、トリエチレングリコール等である。
ここで、シリコーンゴム組成物は、その硬化物(シリコーンゴム)の熱伝導度が0.15W/m・K以下、好ましくは0.13W/m・K以下であることが望ましく、かかる熱伝導度を達成するように配合組成を調整することが好ましい。熱伝導度が0.15W/m・Kより高いと、本発明の目的を達成し得ない。
なお、上記断熱シリコーンゴム層の厚さは特に制限されないが、有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径の定着ローラ30を構成するためには、2.0〜5.0mm、好ましくは2.5〜4.0mmとすることが好ましい。
また、定着ローラ30の外径としては、φ22mm以下の低熱容量とすることが望ましい。
一方、加熱回転体として定着ベルトを使用する際には、上記断熱シリコーンゴム層の厚さは0.5〜2.0mm程度に設定することが好ましい。
(3−3)高熱伝導弾性層33
定着ローラ30の高熱伝導フッ素樹脂層34の内側には少なくとも1層の高熱伝導弾性層33が形成されており、該高熱伝導弾性層33の熱伝導率は0.35W/m・K以上、好ましくは0.38W/m・K以上で、厚みは20〜200μmで形成されていることが望ましい。なお、複数層によって高熱伝導弾性層33を形成する場合には、それぞれの層の厚みおよび熱伝導率から複数層全体の熱伝導率として0.35W/m・K以上、好ましくは0.38W/m・K以上の層とすることができる。この場合にも複数層の熱拡散率、比熱、比重を上記各測定装置で測定して所望の熱伝導率を得るように形成することが望ましい。
高熱伝導弾性層33としては、ソリッド状のフッ素ゴム、シリコーンゴムに高熱伝導フィラーが混入されて形成されていることが望ましい。
例えば一つの方法として、シリコーンゴム中に熱伝導率が少なくとも10.0W/m・K以上の材料から成る粉末状の高熱伝導フィラーを10vol%〜50vol%混入させた層を前記断熱弾性層32の上に20〜200μm程度の厚みで形成する。
(3−4)高熱伝導フッ素樹脂層34
定着ローラ30の最外層にはトナー離型性の良好なフッ素樹脂より形成される高熱伝導フッ素樹脂層34を被覆する。但し、該フッ素樹脂層は離型性と同時に少なくとも0.30W/m・K以上、好ましくは0.35W/m・K以上高熱伝導を達成する必要がある。よって双方を兼ね備えた高熱伝導フッ素樹脂層34として定着ローラ30表面に形成される。この高熱伝導フッ素樹脂層34は、加熱ニップ部Nhにおいて加熱ユニット20より加熱され、上記の高熱伝導弾性層33へ熱の流れを良好とし、その結果上記高熱伝導弾性層33に容易に蓄熱されやすくする。また定着ニップ部Ntにおいて、記録材P上の未定着トナー画像Tと接触し、上記高熱伝導弾性層33に蓄熱された熱を高熱伝導フッ素樹脂層34を介して記録材P上の未定着トナー画像Tに伝える。
以上を兼ね備えた高熱伝導フッ素樹脂層34の素材としてのフッ素樹脂は、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)等を挙げることができる。また、フッ化エチレンポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)等を挙げることができる。
しかしながら、上記に挙げた材料自体は熱伝導性が低く、そのまま使用した場合には本発明の目的が達成されない。よって上記材料に高熱伝導性を有する部材を添加して、高熱伝導フッ素樹脂層34を形成することが好ましい。
例えば一つの方法として、PFA中に熱伝導率が少なくとも10.0W/m・K以上の材料から成る繊維状あるいはフレーク状の高熱伝導フィラーを10vol%〜50vol%混入させた層を厚み5〜30μmで形成する。
上記の繊維状あるいはフレーク状の高熱伝導フィラーは、例えば、AlN、グラファイト、アルミナ等の金属酸化物、カーボンナノチューブ、ダイアモンド、アルミ、チタン合金、銅合金等の金属、チッ化ホウ素、チッ化珪素、炭化珪素、結晶性シリカ等である。
なお、定着ローラ30表面に形成する高熱伝導フッ素樹脂層34として、フッ素樹脂中に混入する高熱伝導フィラーの代表長さは最表層の表面性を低下させないように高熱伝導フッ素樹脂層34の厚みに対してあまり長くならないように配慮する。すなわち、平均代表長さを8.0μm以下、好ましくは6.0μm以下とすることが好ましい。
また、高熱伝導性を達成する手段であれば、フィラーの材料の種類は問わない。また、フィラーの形状はアスペクト比が3以上の繊維状あるいはフレーク状の高アスペクト比のフィラーを使用することが望ましく、高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向へできるだけ配向していることが望ましい。すなわち、高熱伝導フィラーが高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向に配向することで、フィラー間の高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向における平均距離が小さくなって、フィラーによる熱伝導が効率的に行われる。
このことから、本発明者の研究によれば、図5に示すように、高熱伝導フッ素樹脂層34のそれぞれの断面(A−A’断面、B−B’断面)におけるフィラー含有面積の関係が以下の関係になるように製造することが望ましい。ここで、式中の0.6に相当する定数をそれぞれの断面におけるフィラー含有面積比として定義する。以下、フィラー含有面積比とは、高熱伝導フッ素樹脂層34表面に平行な面で切断して観察されたフィラー含有面積に対する高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向に切断して観察されたフィラー含有面積の比率Xとする。
A2/A1 ≧ 0.6×B2/B1 (X=0.6)
ここで、A1は高熱伝導フッ素樹脂層34を該高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向(A−A’)に切断して観察した断面の観察領域の面積である。B1は高熱伝導フッ素樹脂層34を該高熱伝導フッ素樹脂層34の表面と平行(B−B’)な方向に切断して観察した断面の観察領域の面積である。A2は面積A1において、走査型電子顕微鏡に併設の微小領域EDX分析にて混入された高熱伝導フィラー37と同定した部分をマッピングした面積である。B2は面積B1において、走査型電子顕微鏡に併設の微小領域EDX分析にて混入された高熱伝導フィラー37と同定した部分をマッピングした面積である。切断面はサンプルを液体窒素で冷却後にダイアモンドカッターにて切断した面であり、それぞれの方向に対して無作為に5個の断面を観察し、それぞれのフィラー含有面積を平均した値を用いている。
(3−5)定着ローラ30の製造方法
定着ローラ30の製造方法を図6A及び図6Bを用いて説明する。以下に説明する製造方法は定着ローラ30に限られるものではなく、可撓性を有する定着ベルトの製造方法としてもよい。この場合には、下記の芯金31に置き換わってポリイミド等の耐熱性樹脂ベルトの内部に金属製の芯型を挿入してあたかも下記製造方法の芯金31と同様の扱いにして製造しても良い。
(3−5−1)高熱伝導フッ素樹脂層34の形成工程
先ず、図6A(a)に示すようにステンレス、SUM材、アルミ材より形成される中空筒状金型61の両端部に、中央部に開口部を有する円筒状端部キャップ64を嵌める。中空筒状金型61の内面は、完成後の定着ローラ30の表面性を左右する重要な面であり、最終的にフッ素樹脂との離型が必要な為、平滑化処理をすることが望ましく、クロムメッキ、ニッケルメッキ等の表面処理が施され、鏡面に近い状態で形成されている。中空筒状金型61の両端部に円筒状端部キャップ64を嵌めた状態において、中空筒状金型61及び円筒状端部キャップ64は回転状態に維持される。次に、高熱伝導フィラーが混入され、十分に攪拌された状態の液状フッ素樹脂塗料が供給ポンプ73より供給パイプ74を介してスプレーノズル71へ適宜供給される。スプレーノズル71は一方の円筒状端部キャップ64の開口部より中空筒状金型61の内部に挿入される。この状態でスプレーノズル71が中空筒状金型61の一端から他端へ移動する間に、スプレーノズル71の射出孔72からは高熱伝導フィラーが混入された液状フッ素樹脂塗料34aが射出される(塗付工程)。以上により中空筒状金型61の内面には薄く液状フッ素樹脂塗料が塗布された状態となる。上記の塗付工程ではスプレーコートにより液状フッ素樹脂塗料を中空筒状金型61内面に塗布する方法を説明したが、中空筒状金型61内面に5〜30μm程度の薄い膜として液状フッ素樹脂塗料を塗布する方法であれば、浸漬法等による方法であっても構わない。
液状フッ素樹脂塗料が塗布された状態のまま、中空筒状金型61は乾燥炉により外部から100℃前後の温度で加熱される(乾燥工程)。この際、中空筒状金型61の内面に塗布された液状フッ素樹脂塗料の膜厚が均一になり、混入した高熱伝導フィラーの配向が厚み方向から中空筒状金型61内面に平行な方向に移動しないように制御する必要がある。このため、少なくとも乾燥時の中空筒状金型61の回転速度は30rpm以上180rpm以下の速度で調整することが望ましい。
以上の乾燥後にフッ素樹脂の融点以上の温度、例えばPFAの場合には380℃〜400℃程度の温度で15〜30分程度の焼成を行い(焼成工程)、フッ素樹脂塗料を塗膜化させる。
本実施例では、乾燥工程と焼成工程を分けて説明したが、炉の温度を徐々に上げていき、焼成する方法であっても良い。但しこの場合も炉の温度が上昇して中空筒状金型61の内面に塗布されたフッ素樹脂塗料が乾燥工程にある50℃〜100℃程度の温度領域の状態時には、少なくとも中空筒状金型61の回転を所定の回転数に維持する。焼成が終了した後は室温近くまで中空筒状金型61を冷却し、次の高熱伝導弾性層33の形成工程へ進む。
(3−5−2)高熱伝導弾性層33の形成工程
高熱伝導フッ素樹脂層34は低表面エネルギーであるため、他の部材との接着が困難である。このため、高熱伝導弾性層33の内周面(内面)の活性化処理法として、物理的処理により内面に凹凸を形成する方法の工程を経て、下記に示す高熱伝導弾性層33との接着性を向上させる。物理的処理の場合、高熱伝導弾性層33の内面に、UVランプ、エキシマランプなどによる紫外線照射、コロナ放電、プラズマ処理、電子線処理、イオン照射、レーザー照射などの照射を行う。或いは、トリウム−ナフタレン錯体のテトラヒドロフラン溶液等による化学的処理により内面に浸水基を導入する方法の工程を経て、高熱伝導弾性層33との接着性を向上させてもよい。或いは、テトラエッチA(潤工社製、商品名)等の表面処理剤による湿式エッチング処理方法などの工程を経て、高熱伝導弾性層33との接着性を向上させてもよい。
以上によって中空筒状金型61の内面に高熱伝導フィラーが混入された高熱伝導フッ素樹脂層34が形成された状態で、両端部の円筒状端部キャップ64を外す。そして、図6(b)に示すように、中空筒状金型61を立てた状態に維持し、その中空筒状金型61の底部に、封し部材67を有する第二の円筒状金型66を嵌める。以上の状態で中空筒状金型61上部の開口部より矢印の方向から高熱伝導フィラーが混入された液状シリコーンゴム33aを中空筒状金型61内面に形成されたフッ素樹脂塗膜の上端付近まで注入する(図6(c))。
次に、図6(d)に示すように、底部の封し部材67を抜き、その封し部材67を抜くことで円筒状金型66に形成される排出口68より液状シリコーンゴム33aを排出する。以上により厚み20〜200μmで熱伝導率0.35W/m・K以上の高熱伝導弾性層33を高熱伝導フッ素樹脂層34内面に形成する。その後、恒温炉に中空筒状金型61を投入し、100℃〜150℃程度の温度で10分〜2時間程度予備加硫を行う。
(3−5−3)断熱弾性層32の形成工程
以上の工程後に、図6Bに示すように、定着ローラ30の芯金31を中空筒状金型61の中心部に挿入し、端部キャップ金型64、及び注型孔63を有する端部キャップ金型62を中空筒状金型61の両端部にそれぞれ嵌める。また、端部芯金チャック部材65を端部キャップ金型64,62にそれぞれ装着することで、芯金31を中空筒状金型61内部に固定状態とする。以上の状態において、断熱弾性層32として、マイクロバルーン等のバルーンが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物を端部キャップ金型62の注型孔63より注入する。上記により形成したシリコーンゴム組成物を硬化する必要があるが、その硬化条件は特に制限はされない。一般的には、100〜150℃で10分〜2時間加熱硬化(プレキュア)させ、さらに、中空筒状金型61から脱型した状態で180〜200℃の温度下で2〜4時間ポストキュアーすることが好ましい。
上記製造方法では、中空筒状金型61内面に形成した高熱伝導フッ素樹脂層34の内部に順次高熱伝導弾性層33、断熱弾性層32を形成する方法を説明したが、製造方法はこれに限られない。例えば、高熱伝導弾性層33、断熱弾性層32を同時に注型する方法や、若干の時間差を設けて塗布、或いは注型する方法等、高熱伝導フッ素樹脂層34と芯金31の間に設ける弾性層33,32の形成方法はどのような方法であって良い。
また、断熱弾性層32を形成するシリコーンゴム組成物としては、上記の中空フィラーを添加する他に吸水性ポリマーおよび水を添加する方法がある。
かかるシリコーンゴム組成物としては、オルガノポリシロキサン組成物100重量部に、吸水性ポリマーを0.1〜50重量部、水を10〜200重量部、その他、白金化合物触媒のような硬化触媒、SiHポリマーのような架橋剤を添加して調製する。これを加熱成形して、断熱弾性層32としても良い。
またこの場合には、以下の3段階あるいは2段階に分けて加熱する。すなわち、第一段階では、シリコーンベースポリマーの実質的な硬化が起こらず、しかも水分が蒸発しない100℃以下、好ましくは50〜80℃のもとで10〜30時間加熱して型成型する。
次いで、第二段階では、該型成形物を120〜250℃、好ましくは120〜180℃で1〜5時間加熱して、含まれている水及び水を含んだ不純物中の水分を蒸発させる。この水分が蒸発する際の加熱条件により独立した各気泡が連続気泡構造に転化する条件としても転化しない条件としても構わない。硬化速度が速ければ転化せずに独立した気泡が多くなり、架橋による実質的硬化が生じないようにコントロールすれば、連続気泡構造に転化する。
そして、最後の第三段階では、得られた気泡体を180〜300℃、好ましくは200℃〜250℃で2〜8時間加熱して、硬化を進めることにより、所望の多孔質ゴム状弾性体のシリコーンゴム層を完成させる。
二段階の加熱とする場合には、上記加熱段階の後の二段階を同じ加熱温度で続けて実施する方法がある。なおこの場合には、高い温度での硬化となるため、独立した気泡で硬化されやすい傾向がある。
また、断熱弾性層32を形成するシリコーンゴム組成物として、従来より広く使用されているスポンジ状シリコーンゴム層を挙げることができる。これはシリコーンゴムを発泡処理した弾性層であり、本実施例でも使用することは可能である。該発泡シリコーンゴムは、熱分解型発泡剤を添加する方法や硬化時に副生する水素ガスを発泡剤として発泡体を成形する方法などがある。ところが、熱分解型発泡剤を添加する方法は、その分解ガスの毒性や臭いが問題とされており、また硬化触媒に白金触媒を使用するものでは発泡剤による硬化阻害が問題とされていた。さらに、硬化時に副生する水素ガスを利用する方法においては、水素ガスの爆発性、未硬化物の保存時の取り扱いに注意を要するなどの問題があった。しかも、射出成形のような金型内で発泡させる成形においては、微小かつ均一なセルを有する発泡シリコーンゴムを得ることが難しいという問題があった。微小かつ均一なセルの形成が困難なため、発泡シリコーンゴム中のセル径は不均一に成形されやすく、セルの壁厚も不均一で強度のバラツキが大きかった。このことから、小径の定着ローラや定着ベルトとして形成した場合に、小さな曲率半径で定着部材にテンションをかけ続けると強度の弱いセル壁が破れ、破泡に至ることが確認されている。また、発泡シリコーンゴムでは、耐久性と断熱性を両立することが困難になっていた。すなわち不均一な発泡径の発泡シリコーンゴムの場合には、断熱性を増すために発泡倍率を上げると弾性層を構成するセル壁がさらに薄くなり、耐久によって破泡がさらに起こりやすくなるという不具合が生じやすくなってしまう。
よって、本実施例において発泡シリコーンゴムを定着ローラ30或いは定着ベルトの断熱弾性層32として使用する場合には、画像形成装置の速度や定着装置12の寿命がある程度の範囲でのみ使用可能となる。
以上のことから、断熱弾性層32は、画像形成装置の高速化、定着装置12の長寿命化という観点から、マイクロバルーン等のバルーンや吸水性ポリマーが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物より形成した方が適している。
次に、上記製造工程により形成した定着ローラ30を用いて構成される定着装置12の加熱ユニット20、加圧ローラ40及び定着装置12の加熱定着動作について説明する。
(4)加熱ユニット20
(4−1)ヒータ21
図7はヒータ21の構成を表わす図であり、(a)はヒータ基板21aの裏面側の説明図、(b)はヒータ基板21aの表面側の説明図、(c)は(b)のc−c´線の拡大断面図である。
加熱源としての平板状のヒータ21は、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性のセラミックスやポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂製の基板21aを有する。この基板21aは、記録材Pの面において記録材搬送方向と直交する方向を長手とする細長薄板部材であり、長さ寸法は定着ニップ部Ntの記録材最大搬送領域幅W(図1)よりも大きい。
基板21aの表面(定着ローラ30側の面)には、長手方向に沿って、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaN等の通電発熱抵抗層21bをスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成してある。この抵抗層21bは、基板21a表面の一方の端部に設けられた導電層21dにより接続されるとともに、基板21a表面の他方の端部に設けられた電極部21eに導電層21dを介して接続されている。また、ヒータ21表面には、熱効率を損なわない範囲で抵抗層21bを保護する保護摺動層21cを設けてあっても良い。この保護摺動層21cは、抵抗層21b及び導電層21dを覆うように設けてある。保護摺動層21cの厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が好ましい。その材料例としては、ポリイミド(PI)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)が挙げられる。さらには、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(CTEF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられる。
上記のような樹脂材料を単独ないしは混合して被覆して保護摺動層21cとする。或いはグラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等からなる乾性被膜潤滑剤、ガラスコート等を単独ないしは、上記樹脂層との混合で被覆した保護摺動層21cが考えられる。
また、基板21aとして熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、抵抗層21bは基板21aに対して定着ローラ30側とは反対側の面(基板21a裏面)に形成してあっても良い。
(4−2)ステイホルダー24
ヒータ21を固定して保持する断熱性のホルダー24は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成され、熱伝導率が低いほどフィルム23の加熱に際する熱効率が高くなる。よって、樹脂層の中に、中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等を内包してあっても良い。
(4−3)温度検知手段22
基板21a裏面の長手中央には、抵抗層21bの発熱に応じて昇温した基板21aの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知手段22が設けられている。この温度検知手段22はヒータ21を温度制御する目的で設けられている。
温度制御方式としては、温度検知手段22の出力信号(検知温度情報)に応じて、ヒータ21の長手方向端部にある電極部21eから抵抗層21bに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御する。これにより、ヒータ21を発熱させて、フィルム23の内面を加熱・温調する。ヒータ21の長手方向における有効発熱領域幅は、定着ニップ部Ntの記録材最大搬送領域幅W(図1)よりも大きい。
温度検知手段22からの出力信号S1は温度制御部80を介し、通電ドライバとしてのトライアック素子81に送られる。トライアック素子81は温度制御部80の通電信号に基づいて、AC電源82への通電のON/OFFを行う。
ヒータ21の他の温度制御方法として、定着ローラ30表面に当接又は近接させた温度検知手段により定着ローラ30表面の温度を検知し、その検知温度情報に基づき定着ローラ30表面の温度を所定の定着温度とするようにヒータ21への電力制御を行ってもよい。
(4−4)加熱フィルム23
フィルム23は、加熱ニップ部Nhにおいて、ヒータ21で発した熱を定着ローラ30の高熱伝導弾性層33へ表面の高熱伝導フッ素樹脂層34を介して伝える機能を有している。ヒータ21を保持するホルダー24にルーズに外嵌されているフィルム23は、ヒータ21と定着ローラ30の間に介在しながら加熱ニップ部Nhを形成し、定着ローラ30の回転に従動して回転する。
図8を用いて加熱ニップ部Nhにおける熱の流れを説明する。
加熱ニップ部Nhにおいて、定着ローラ30の高熱伝導弾性層33への熱の拡散を十分に実施することは、高い熱効率の達成およびヒータ21の温調温度を低く設定するために重要となる。
すなわち、図8において、ヒータ21の抵抗層21bへの通電により発生した熱量は温度の低い部分へ伝熱される。よって、矢印Aや矢印Dの熱の流れが発生する。このとき本実施例における本来の目的である定着ローラ30の高熱伝導弾性層33に十分に熱量を供給するためには、矢印Cの熱の流れを多くし、高熱伝導弾性層33に十分拡散しなくてはならない。従って矢印Aの熱の流れを多くし、矢印B(定着ローラ30の表面の昇温に寄与せず、フィルム23内に伝わる熱の流れ)や矢印Dといった定着ローラ30方向以外に流れる熱量を少なくすることが効果的である。
特に、画像形成装置が設置されている環境が低温環境の場合、記録材P自体も給送トレイ8内で冷えた状態になっていることが想定される。さらに記録材Pの表面性が良好で粗さの小さな記録材Pを定着ニップ部Ntに搬送した場合には、定着ローラ30表面から記録材Pへ流れる熱量が大きくなる。
定着ニップ部Ntで温度降下した定着ローラ30の表面が再度加熱ニップ部Nhに到達した時点で、再び定着ローラの高熱伝導弾性層33にヒータ21からの熱を十分に蓄熱させる必要がある。そのためには、矢印Aおよび矢印Cの熱の流れが多いことが要求される。
本発明者の研究によれば、以上を満たす条件として、フィルム23に要求される熱伝導率は1.0W/m・K以上、より好ましくは2.0W/m・K以上である。よってフィルム23としては熱伝導率の高いステンレス(SUS)やニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銅(Cu)等で厚みが20μm〜40μmが強度、熱効率の面で適している。
本実施例では、加熱ユニット20において、加熱源としてフィルム23に接触摺動する板状ヒータ21を用いて説明したが、加熱源はフィルム23に内包する非接触の加熱源であっても良い。また、定着装置12が搭載される画像形成装置の製品寿命が短い場合には、板状ヒータ21がじかに定着ローラ30表面に摺擦する構成や、板状ヒータ21と定着ローラ30表面の間に固定状態の薄いシート材を導入する加熱方法であっても良い。
(5)加圧ローラ40
加圧ローラ40は、アルミや鉄製、SUM材等よりなる芯金41の外側に弾性層42を有し、その弾性層42の外側に離型性層43を有する。
加圧ローラ40としては、定着ローラ30との接触加圧により定着ニップ部Ntを形成するが、定着ローラ30表面からの熱の流れを極力抑えた方が定着ローラ30表面の昇温スピードが速くなる。
よって、弾性層42は、定着ローラ30の断熱弾性層32と同様に、マイクロバルーン等のバルーンや吸水性ポリマーが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物より形成するのがよい。
シリコーンゴム組成物は、その硬化物(シリコーンゴム)の熱伝導度が0.15W/m・K以下、好ましくは0.13W/m・K以下であることが望ましく、かかる熱伝導度を達成するように配合組成を調整することが好ましい。
また、離型性層43としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)を挙げることができる。さらには、フッ化エチレンポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)等を挙げることができる。
コーティングとしては、ラテックスやダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)、ディスパージョンによるディッピング塗工、スプレー塗工等により形成することができる。これらは前述した定着ローラ30の最表層と異なり、熱伝導性が低い方が好ましく、高熱伝導のフィラー等を混入しない方が適している。
(6)検証実験
以上、本実施例における定着装置12のファーストプリントアウトタイム、定着可能なヒータ設定温度および定着ローラ表面の設定温度、定着一様性を確認した。
画像形成装置は、プロセススピードが260mm/secであり、1分間に45枚のプリントを実施するレーザービームプリンタを用いた。
実験に用いた定着装置の基本構成部分について説明する。
(6−1)定着ローラ30
芯金31は、外径12mmのSUM芯金である。断熱弾性層32は、厚み3.5mmの中空フィラー含有のシリコーンゴム層である。高熱伝導弾性層33は、100μm厚で高熱伝導フィラーを混入したシリコーンソリッドゴム層と、このゴム層を様々な高熱伝導フィラーを混入したPFAコートを最表層として厚み15μmで被覆した定着ローラを用意した。
シリコーンゴムの断熱弾性層32に含有させた中空フィラーは粒径80μmのアクリロニトリルバルーンである。これをオルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して30重量部、気泡が連結するようにトリエチレングリコールを微少量配合し、加熱硬化して断熱弾性層32とした。この断熱弾性層部の熱伝導率を0.12W/m・Kとした。
また、外部に設けた高熱伝導シリコーンソリッドゴム層は、平均粒径5μmのチッ化アルミ粉によるフィラーをシリコーンソリッドゴム材に対して30vol%混入し、熱伝導率1.2W/m・Kとした。
(6−2)加熱ユニット20
ヒータ21は、厚み0.6mm、幅8mmのAlN基板21a上に、Ag/Pdペーストから形成される抵抗層21bをスクリーン印刷してなるものを用いた。
フィルム23は、外径24mm、厚み40μmの熱伝導率15W/m・KのSUS304のシームレス金属フィルムを基層として、その表層に厚み4μmのプライマ層、厚み10μmのPFAコート層を順次被覆させて形成されたものを使用した。PFAコートが施された加熱フィルム23の熱伝導率は13.6W/m・Kである。
(6−3)加圧ローラ40
12mmのSUM芯金41に、厚み3.5mmの中空フィラー含有シリコーンゴム層42、さらに離型性層43にはPFAチューブを厚み30μmで被覆した加圧ローラ40を使用した。
以上の構成で、加熱ユニット20と定着ローラ30の間に98N(10kgf)の加圧力を負荷して、加熱ニップ部Nhを幅5mmで形成した。また、定着ローラ30と加圧ローラ40の間には196N(20kgf)の加圧力を負荷して定着ニップ部Ntを幅7mmで形成した。
実験に用いた定着ローラ30の表層に形成したPFAコート層に混入したフィラー、およびフィラーが混入されたPFAコート層の物性を表1にまとめる。なお、繊維状の高熱伝導フィラーとしては、チッ化珪素粉末を、フラックス中で、窒素およびアルゴン雰囲気下において、1800℃で熱処理した。そしてその後、アルカリ溶液処理と酸溶液処理を繰り返し行うことによりフラックス成分を溶解し、繊維状のチッ化珪素フィラー(材料熱伝導率は35W/m・K)を単離する製法によって得た。また、フラックス成分中のMg/Ca比を調整することで、様々なアスペクト比(表中のDの値)のチッ化珪素フィラーを形成し、本実験に用いた。
また、比較として結晶性シリカ(材料熱伝導率は10W/m・K)及びアルミナ粉(材料熱伝導率は40W/m・K)は球状の形状のもの(D=1.0)を用意してそれぞれを液状フッ素樹脂中に混入して定着ローラ30を製造して確認を行った。
また、定着ローラ30の製造に関しては、本実施例にて示した製法を活用し、液状フッ素樹脂塗布後の乾燥時における中空筒状金型の回転数は100rpmと一定にして確認した。
また、作成した定着ローラ30サンプルにおいて、高熱伝導フッ素樹脂層34中の高熱伝導フィラーの分散状態を、図5を用いて前述したように高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向及び表面と平行な方向で切断した面を観察することで確認した。そしてフィラー含有面積比Xを計算した。
実験に用いたそれぞれの高熱伝導フィラーの特性およびフッ素樹脂中のフィラー含有面積比Xを表1に示す。
表中のLの値はチッ化珪素フィラーの場合には、代表長さとしての繊維長さを、結晶性シリカの場合には粒径を示す。単位はμmである。λはフィラーが混入されたフッ素樹脂層の厚み方向の熱伝導率で、単位はW/m・Kである。
また、フィラーの混入量はvol%を示す。
Figure 2008165024
以上のフィラーをそれぞれ高熱伝導フッ素樹脂層34に混入して熱伝導率の異なるPFAコート層を被覆した定着ローラ30を製造し、実験を行った。
実験方法はレーザービームプリンタによりプリント動作を開始し、それぞれの定着ローラ30を組み込んだ定着装置12で未定着トナー画像Tを形成した記録材Pを加熱定着した。プリント動作開始時は定着ローラ30表面温度が室温の25℃の状態からスタートした。
そのときのそれぞれの構成での定着性能が十分になるときの定着ローラ30表面温度及びヒータ21温度、ファーストプリントアウトタイム(FPOT)を比較評価した。
定着性能の確認は、坪量90g/mのFox River Bond紙(Fox River Paper社製)を使用した。ヒータ21の抵抗層21bへの立上げ時の電力は1000Wとし、それぞれの構成においてヒータ21を所定温度に温度制御し、この温調制御温度を振って定着可能な条件およびファーストプリントアウトタイムを確認した。
記録材P上の未定着トナー画像Tの定着性能評価方法としては、加熱定着後の記録材トナー画像上にセロハンテープを貼り付け、50g/cmの面圧で1分間押し付けた後にセロハンテープを剥がす。そのときのトナー画像における画像欠陥(テープにより剥ぎ取られた欠陥)の程度によって評価を行った。画像欠陥が元のトナー画像の5%を超える場合をNG(不良)とした。
ファーストプリントアウトタイムは、レーザープリンタがプリント信号を受信して動作開始した時点から、記録材上の未定着トナー画像を加熱定着後に排出トレイ上に排出され終わるまでの時間を計測した。
以上の評価方法により各定着ローラを使用した場合の評価結果を表2に示す。
Figure 2008165024
以上の結果より、高熱伝導フィラーをフッ素樹脂層中に分散して定着ローラ30表面の熱伝導率を高めることで定着可能温度を下げることが可能になり、立上げ時間短縮が達成されることがわかる。
また、フッ素樹脂中に混入するフィラーのアスペクト比は3以上で、かつフィラー含有面積比が0.6以上の場合に特に効果が大きいことがわかる。
また、これらの実験において、通紙耐久を実施したところ、ヒータ温度が250℃以上で定着可能な定着ローラ30では、ヒータ保持部材(ホルダー)の熱劣化が激しくなり、10万枚の通紙耐久に耐えうるものがなかった。
また、実験5では、比較的熱伝導性の高いフィラーを混入しているにもかかわらず、フィラー形状が球状のため高熱伝導フッ素樹脂層34の熱伝導率が向上せず、定着ローラ30表面性も悪化してしまい、オフセットが発生しやすくなってしまっていた。これはフィラーの混入量が50vol%を超えて大量にフィラーを混入した為に、高熱伝導フッ素樹脂層34表面の離型性が低下したことによる。
よってフッ素樹脂中に混入する高熱伝導フィラーの量はできる限り少量として、定着ローラ30の最表層に形成した高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率を高める方法が定着ローラ30表面温度、ヒータ21温度を下げる意味で重要であることがわかる。
次に、上記実験12の定着ローラ30を基準として、同一フィラーを同一量でフッ素樹脂中に混入する場合に、定着ローラ製造工程において、中空筒状金型61内面に液状フッ素樹脂34aの塗布を行った後の乾燥時の回転数を振って定着ローラ30を製造した。この場合のそれぞれの定着ローラ30に関して同様の実験を行った。それぞれの定着ローラ30製造時の上記回転数をN(rpm)として、そのときのフィラー含有面積比Xおよびフッ素樹脂塗膜の熱伝導率λ、定着可能時の定着ローラ30表面温度およびヒータ21温度、ファーストプリントアウトタイムの結果を下表3にまとめる。
Figure 2008165024
以上の実験結果より、同一種類、同量の高熱伝導フィラーを用いた場合でも、定着ローラ製造時の条件によって加熱定着時の状態が大きく異なることがわかる。実験20ではフッ素樹脂乾燥時の回転数が少なく、遠心力が働き難いために断面のフィラー含有面積比は0.8と高い値に維持できているが、フッ素樹脂層の熱伝導率は0.28〜0.42と幅を持っている。これはフッ素樹脂乾燥時の回転数が低いためにフッ素樹脂被膜の膜厚にムラが生じてしまっていることに起因している。すなわちフッ素樹脂乾燥時の回転数が低い為、遠心力が弱く、中空筒状金型内面に液状フッ素樹脂が密着する力が弱いために重力等の影響を受けて、ムラが出来やすくなることによる。
よって記録材P上の未定着トナー画像Tを加熱定着する際に、熱伝導率が高い部分では低い定着ローラ30表面温度でも定着可能であるものの、熱伝導率が低い部分では定着不良が発生してしまっていた。このため熱伝導率が低い部分に合わせて定着可能な条件にするためには、定着ローラ30表面温度、ヒータ21温度ともに高い温度に維持する必要が生じてしまっていた。
一方、フッ素樹脂乾燥時の中空筒状金型61の回転数が速くなるに従い、フィラー含有面積比Xの値が小さくなる傾向がある。これは、乾燥時の液状フッ素樹脂にかかる遠心力が高くなることによって、フッ素樹脂中に混入した高熱伝導フィラーが定着ローラ30表面と平行な方向へ向こうとすることによる。特に180rpmを超える実験24では、フィラー含有面積比Xが0.6を下回り、フッ素樹脂層の熱伝導率も0.32W/m・Kと低くなってしまい、結果として定着可能な定着ローラ30表面温度、およびヒータ21温度は高くなってしまっていた。さらにファーストプリントアウトタイムも長くなる傾向にあった。
その他、本発明者はフッ素樹脂中に混入する高熱伝導フィラーの種類、形状、量、及び本実施例で示した高熱伝導フッ素樹脂層34の製造工程において、液状フッ素樹脂乾燥時の中空筒状金型61の回転数を様々に振って確認した。その結果、回転数としては、30rpm〜180rpmが最適な回転条件であることがわかった。
以上、本実施例によると、定着ローラ30は、最表層に形成した高熱伝導フッ素樹脂層34においてフッ素樹脂中に混入する高熱伝導フィラーのアスペクト比が3以上で、かつフィラー含有面積比が0.6以上である。そしてその高熱伝導フッ素樹脂層34の内側に高熱伝導弾性層33と断熱弾性層32がその順に形成されている。この定着ローラ30表面を外側から加熱ユニット20により加熱することによって、以下の効果が達成される。
一つには定着ローラ30が弾性を有するため、記録材P上の未定着トナー画像Tや、既に記録材P上に固着された画像を包み込む効果が高く、均一な像加熱を実施することが可能になり、均一な加熱定着、光沢度向上が図れる。
また、内面が鏡面に近い表面性の良好な中空筒状金型61内面に液状フッ素樹脂を塗布、乾燥、焼成して高熱伝導フッ素樹脂層34を形成することから、完成した定着ローラ30表面は中空筒状金型61内面に倣い、表面性が良好な定着ローラ30が製造可能となる。よって、ムラのない、均一な加熱定着、光沢度向上にも寄与し、さらに離型性を損ねることなくオフセット等の不具合の発生を防止することが可能になる。
また、定着ローラ30の高熱伝導フッ素樹脂層34を通じて高熱伝導弾性層33を効率良く加熱するため、立ち上がり時の昇温時間の短縮、消費電力の低減、さらには高速化が図れる。そのため、画像形成動作を実施していない状態でヒータ21に電力を供給していなくても画像形成動作開始と同時に急速に定着ニップ部Ntを加熱することができる。これにより、スタンバイ加熱を実施する必要がなく、省エネルギーでかつウォームアップタイムやファーストプリントアウトタイムが極端に少ない定着装置12を構成することが可能になる。
定着ローラの他の例を説明する。
本実施例では、実施例1の定着ローラ30と共通する部分には同じ符号を付してその説明を援用する。
本実施例に示す定着ローラ30は、繊維状、あるいはフレーク状の高熱伝導フィラーを混入する液状フッ素樹脂塗料に同時に該高熱伝導フィラーの配向を阻害する成分(以下、配向阻害因子と記す)を導入することを特徴とする。
実施例1にて示したように中空筒状金型61内面にアスペクト比の高い液状フッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥時に中空筒状金型61を回転する場合、アスペクト比の高い高熱伝導フィラーは回転する中空筒状金型61内面に平行な方向へ配向しやすくなる傾向がある。この配向は液状フッ素樹脂塗量中でアスペクト比が高い高熱伝導フィラーが自由に移動可能なことによる。よって、本実施例では、このアスペクト比が高い高熱伝導フィラーの中空筒状金型内面と平行な方向への配向を阻害する配向阻害因子を導入することで、より少ない高熱伝導フィラーの混入量でフッ素樹脂塗膜の厚み方向への熱伝導率を向上させることを目的とする。
一つの方法としては、図10に示すようにアスペクト比の高い高熱伝導フィラー37と一緒に液状フッ素樹脂中に配合する球状フィラー38を導入することである。アスペクト比の高い高熱伝導フィラー37と一緒に液状フッ素樹脂中に配合する球状フィラーとしては、酸化アルミニウム、チッ化ホウ素、チッ化アルミニウム、酸化亜鉛、炭化珪素、石英、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物で、球状に近いフィラーを用いることが適している。また、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物で、球状に近いフィラーを用いることが適している。
また、フッ素樹脂中のアスペクト比が高い高熱伝導フィラー37の配向阻害を効果的に行うためには、酸化アルミニウム粒子等の配向阻害因子の平均粒径と繊維状高熱伝導フィラーの直径に次のような関係があることが好ましい。すなわち、酸化アルミニウム粒子等の配向阻害因子の平均粒径をRとしたとき、繊維状高熱伝導フィラーの直径D(フレーク状フィラーの場合には厚み)とすると、0.5≦R/D≦10の関係にあることが好ましい。ここで粒径Rは例えば、レーザー光回折式粒度分布測定装置(商品名:SALD−7000、(株)島津製作所製)を用いて測定したときの重量平均値(又はメジアン径)を意味する。粒径Rを上記の範囲内とすることにより、繊維状高熱伝導フィラーの配向を阻害するために阻害粒子を多量に充填する必要がなく、また繊維状高熱伝導フィラーによる伝熱路を確保することができる。すなわち、繊維状高熱伝導フィラーの繊維直径Dと配向阻害因子の平均粒径Rを上述の関係とすることで、フッ素樹脂成型時における繊維状高熱伝導フィラーの配向をより緩和し、効果的に高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向への熱伝導性を向上させることができる。
また、繊維状高熱伝導フィラーと配向阻害因子との配合量については、その合計の体積充填率が液状フッ素樹脂の体積に対して20〜50vol%であることが好ましい。これにより、高熱伝導フッ素樹脂層34の厚さ方向に十分な熱伝導性を付与することができる。また、フッ素樹脂中に含まれている繊維状高熱伝導フィラーの配向の様子を確認する方法としては、実施例1と同様に各断面のフィラー含有面積比を確認することで可能である。
以上、配向阻害因子の効果を確認するために、次のようなことを行った。すなわち、実施例1で示した実験12のチッ化珪素からなる繊維状高熱伝導フィラー(配合量:30vol%、繊維長:4μm、繊維径:1μm、アスペクト比:4)を配合した液状フッ素樹脂塗料中に様々な粒径の酸化アルミニウム粒子の量を振って配合した。なお、酸化アルミニウムの粒径は昭和タイタニウム(株)製の以下の粒子を分級し、粒径0.4〜12μmのものを使用した。
商品名:高純度真球状アルミナ・アルミナビーズ CB−A30S
商品名:高純度真球状アルミナ・アルミナビーズ CB−A10S
これらの液状フッ素樹脂塗料を前記実施例1で示した方法と同様の製造方法で定着ローラを作成し、完成したフッ素樹脂層中のフィラー含有面積比、厚み方向の熱伝導率を測定した。詳細結果を表4に示す。ここで、液状フッ素樹脂塗料の乾燥時の中空筒状金型の回転数は100rpmと一定とした。
また、配向阻害因子の粒径が大きい場合や、量が多くなった場合に、フッ素樹脂表面性の悪化および離型性の悪化が考えられるため、オフセット画像の評価を行った。表中の○は問題ないレベル、△は許容レベル、×は劣悪レベルを示す。なお、比較のため、実施例1の実験12も表中に記載する。
Figure 2008165024
以上の結果より、配合阻害因子である球状フィラー38の粒径が大きいと繊維状高熱伝導フィラー37の配向を緩やかにする効果が高くなり、高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率は高くなるが、同時に表面性が悪化してしまう。
また、R/Dをできるだけ高くした方が配向を阻害する効果は高くなるが、配向阻害因子の球状フィラー38の粒径をあまり大きくできないことから、繊維状高熱伝導フィラー37の繊維直径Dを小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合、同時に伝熱パスとなる繊維状高熱伝導フィラー37の断面積が小さくなるため、効果的ではないことが別途確認された。
また、上記の結果より、配向阻害用の球状フィラー38の配合量を増やした方が繊維状高熱伝導フィラー37の配向阻害効果は高くなることがわかるが、量を増やしすぎた場合には、やはりフッ素樹脂表面が荒れてしまい、オフセット性が悪化することがわかる。
また、粒径の小さい配向阻害フィラーでは、効果が小さくなってしまい、全く配合しない場合と差が無くなってしまう結果となった。
以上のことから、繊維状高熱伝導フィラー37の繊維直径Dと配向阻害用の球状フィラー粒径Rの比は0.5≦R/D≦10の範囲で選択することが望ましい。
また、その他の配向阻害因子について図11を用いて説明する。
その他の配向阻害因子として、繊維状あるいはフレーク状の高熱伝導フィラー37が混入された液状フッ素樹脂塗料を中空円筒状金型61の内面に塗布し乾燥する際に該液状フッ素樹脂塗料に対し電界を付与している。勿論、電界は中空円筒状金型61の回転状態で液状フッ素樹脂塗料に付与される。
図11は中空円筒状金型61の内面に塗布した液状フッ素樹脂塗料を乾燥する際に該液状フッ素樹脂塗料に対し電界を付与する一例の構成模型図である。
図11に示すように、中空筒状金型61と、その中空筒状金型61内部に挿入した電極90との間で電界付与手段91により電界を発生させている。これにより、液状フッ素樹脂塗料中の高熱伝導フィラー37は電界の作用によりフッ素樹脂の厚み方向へ繊維の長手方向が向く方向に回転する。これにより乾燥時における中空筒状金型61の回転による遠心力で高熱伝導フィラー37が中空筒状金型61内面と平行な方向へ配向することを阻害する効果が発生する。特に高熱伝導フィラー37として導電性を有するアルミニウムフィラーや鉄粉等に対して有効な手段である。
そこで、この効果を確認するため、繊維状のアルミフィラーをフッ素樹脂中に配合して、形成した定着ローラ30において、フッ素樹脂中のフィラー含有面積比X、及び高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率を確認した。使用したアルミフィラーは繊維長4μm、アスペクト比4のフィラーで、液状フッ素樹脂塗料中に30vol%混入して中空筒状金型61内面に塗布後、100rpmの回転数で回転している状態で乾燥後、焼成して形成した。その後の定着ローラ30の製造方法は実施例1と同じである。
電極90と中空筒状金型61の間には電界付与手段91により3000Vの高圧を印加した。その結果、電界付与手段91によって電界を発生させなかった場合には、フッ素樹脂中のフィラー含有面積比Xは0.68、高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率は0.41W/m・Kであった。
このときの実施例1に示した定着装置12にて記録材P上の未定着トナー画像Tを定着可能になる定着ローラ30温度を確認したところ、154℃であった。
これに対して、電界を発生させた状態で高熱伝導フッ素樹脂層34の乾燥工程を経た場合の定着ローラ30では、フッ素樹脂中のフィラー含有面積比Xは1.26、高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率は0.68W/m・Kであった。この結果、定着可能な定着ローラ30表面温度は128℃であった。
以上のことから、繊維状あるいはフレーク状の高熱伝導フィラー37を配合した高熱伝導フッ素樹脂層34を形成する際に配向阻害因子として電界を用いることにより、飛躍的に高熱伝導フッ素樹脂34の厚み方向への熱伝導率を向上させることができる。
本実施例では電界の作用を利用したが、例えば高熱伝導フィラー37として磁性の高いフェライトフィラー等を用いる場合には、電界付与手段91に代えて磁界発生手段を用いて同様の作用効果を得られることは言うまでもない。
以上、本実施例では、定着ローラ30の最表層に形成される高熱伝導フッ素樹脂層34の形成時、特に中空筒状金型61内面に塗布した液状フッ素樹脂塗料を乾燥する際に、配向阻害因子を導入した。これにより、焼成後の高熱伝導フッ素樹脂層34の厚み方向の熱伝導率を高く保つことが可能になる。
[その他]
本発明に係る像加熱装置は、未定着トナー画像Tを記録材P上に加熱定着する定着装置12として使用できるだけでなく、記録材上に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢増大装置としても使用できる。、
定着装置の一例の横断側面模型図 図1の定着装置の縦断側面模型図 図1の定着装置を記録材の導入側から見た正面図 定着ニップ部内での未定着トナー画像と定着ローラの様子を表わす説明図 実施例1に係る定着ローラの高熱伝導フッ素樹脂層中の高熱伝導フィラー配向概略図 実施例1に係る定着ローラの製造方法を表わす説明図 実施例1に係る定着ローラの製造工程を表わす説明図 ヒータの構成を表わす図 定着ニップ部付近の熱の流れを説明する模式図 画像形成装置の一例の構成模型図 実施例2に係る定着ローラの高熱伝導フッ素樹脂中の高熱伝導フィラー配向概略図 実施例2に係る定着ローラの製造工程を説明する図であって、中空円筒状金型の内面に塗布した液状フッ素樹脂塗料を乾燥する際に該液状フッ素樹脂塗料に対し電界を付与する一例の構成模型図
符号の説明
20:加熱手段(加熱ユニット)、21:ヒータ(加熱源)、22:温度検知手段、23:加熱フィルム(可撓性部材)、24:断熱ステイホルダー、30:加熱回転体(定着部材)、32:断熱弾性層、33:高熱伝導弾性層、34:高熱伝導フッ素樹脂層、40:加圧部材(加圧ローラ)、T:トナー、P:記録材

Claims (8)

  1. 加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置に用いられる加熱回転体であり、前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
    A2/A1≧0.6×B2/B1
    の関係となることを特徴とする加熱回転体。
  2. 前記離型性層は、厚み方向の熱伝導率が少なくとも0.35W/mK以上であることを特徴とする請求項1に記載の加熱回転体。
  3. 加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置に用いられる加熱回転体であり、前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
    A2/A1≧0.6×B2/B1
    の関係となる加熱回転体の製造方法であって、
    前記高熱伝導フィラーが混入された液状フッ素樹脂塗料を中空円筒状金型の内面に塗布、乾燥、焼成して前記離型性層を形成する工程と、前記離型性層の内面に前記高熱伝導弾性層を形成する工程と、前記高熱伝導弾性層の内面に前記断熱層を形成する工程と、を有し、前記離型性層を形成する工程において前記液状フッ素樹脂塗料の乾燥は少なくとも前記中空円筒状金型を回転数180rpm以下の回転状態で行うことを特徴とする加熱回転体の製造方法。
  4. 前記中空円筒状金型の回転に伴い前記高熱伝導フィラーの長手方向が前記中空円筒状金型の内面と平行方向へ配向することを阻害する配向阻害フィラーを予め前記液状フッ素樹脂塗料に配合させてあることを特徴とする請求項3に記載の加熱回転体の製造方法。
  5. 前記中空円筒状金型の回転に伴い前記高熱伝導フィラーの長手方向が前記中空円筒状金型の内面と平行方向へ配向することを阻害するため、前記高熱伝導フィラーが混入された液状フッ素樹脂塗料を中空円筒状金型の内面に塗布し乾燥する際に前記液状フッ素樹脂塗料に対し電界を付与することを特徴とする請求項3に記載の加熱回転体の製造方法。
  6. 前記配向阻害フィラーは粒子形状であり、その平均粒径をR(単位:μm)とするとき、前記高熱伝導フィラーの繊維直径D(単位:μm)との関係が、0.5≦R/D≦10を満足することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の加熱回転体の製造方法。
  7. 加熱回転体と、前記加熱回転体と接触してニップ部を形成するバックアップ部材と、前記加熱回転体を外側から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    前記加熱回転体は、断熱層と、前記断熱層の外側に設けられた高熱伝導弾性層であって、高熱伝導フィラーが混入されて前記断熱層よりも高熱伝導率である高熱伝導弾性層と、前記高熱伝導弾性層の外側に設けられた離型性層であって、フッ素樹脂に該フッ素樹脂よりも高熱伝導率の材料より成るアスペクト比が3以上の高熱伝導フィラーが混入された離型性層と、を有し、前記離型性層を前記離型性層の厚み方向に切断したときの面積をA1、前記面積A1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をA2、前記離型性層を前記離型性層の表面と平行な方向に切断したときの面積をB1、前記面積B1に含まれる高熱伝導フィラーの占める面積をB2としたとき、前記面積A2/A1と前記面積B2/B1の関係が、
    A2/A1≧0.6×B2/B1
    の関係となることを特徴とする像加熱装置。
  8. 前記離型性層は、厚み方向の熱伝導率が少なくとも0.35W/mK以上であることを特徴とする請求項7に記載の像加熱装置。
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