JP2010128033A - 画像形成方法及びトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】離型層を持つ定着部材を用いた場合においても、低温定着性、耐低温オフセット性や光沢性に優れた画像形成方法を提供する。
【解決手段】トナー像を担持する記録材を加圧部材と像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより定着する定着工程を有する画像形成方法において、該像加熱部材は、離型層、蓄熱層33、更にその下層に弾性層32を有するローラであり、該像加熱部材は、熱伝導フィラーとしてAl及び/又はZn化合物を含有し、該トナーは、トナー粒子と無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が60乃至110℃にピーク(P2)を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等を利用したプリンタや複写機、ファクシミリ等に用いられるトナー及び画像形成方法に関するものである。
従来、画像形成装置において、記録材上に形成させた未定着トナー画像を永久固着画像として加熱定着する装置としては接触加熱型の装置が汎用されている。この接触加熱型の定着装置は、記録材に接触する表面の温度を所定の定着温度に加熱した回転部材(以下、定着ローラと記す)を記録材に対してニップ部にて接触させて、記録材上の未定着トナー画像を永久固着画像として加熱定着するものである。
定着ローラの加熱方式としては、従来から内部加熱方式がある。これは、定着ローラの内部に加熱手段(加熱源:ヒータ等)を配設し、定着ローラを内側から加熱して定着ローラの表面を所定の定着温度に加熱するものである。しかし、内部加熱方式ではローラ全体を加熱する必要があるために時間が掛かり、オンデマンド性には劣る。
オンデマンド性に対応するために、種々の検討がなされており、中でもフィルムを用いた加熱方式であるサーフ定着方式は有用な定着方式である。これは、フィルムを介してヒータが直接加熱する方式であるため、ヒータの熱を効率良く記録材に付与することが出来る。しかし、サーフ定着は長期使用の際にフィルムが破れる、という不具合が生じることがある。
こうした懸念点を払拭する新たな定着方法として、外部加熱方式(表面加熱方式)が検討されている。
外部加熱方式の装置は、セラミックヒータやハロゲンヒータなどにより定着ローラを外側から直接的に加熱するため、定着ローラの表面を急激に昇温させることが可能である。そのため、内部加熱方式の装置に比べてウォームアップ時間や、プリント信号を受信してから未定着トナー画像が形成された記録材を加熱定着するまでの時間(以後、ファーストプリントアウトタイムと記す)を短縮できる。それらに伴ってオンデマンド性も高まるため、好ましい。また、フィルムを用いないことから前述の不具合は生じないため、好ましい。
このような外部加熱方式に関する技術として例えば、定着ローラの内部を断熱化し、且つ最表層は熱伝導フィラーを入れることで高熱伝導化するものがある(特許文献1、2参照)。しかし、この技術によってウォームアップタイムの短縮がなされオンデマンド性は高まるものの、こうした熱伝導フィラーはトナーとの親和性が非常に高いため、巻きつきには不利になり、低温オフセットが生じやすい等、改善の余地を残している。
巻きつきや低温オフセットを改善するために、特許文献3では、表層に離型性の高いPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)を配置し、用紙への粘着性を低下させる技術が開示されている。しかし、表層部分がPFAに覆われてしまうと熱量の伝達効率が下がり、定着温度が高くなると共にオンデマンド性に劣ってしまうため、更なる改善の余地がある。
また、耐巻きつき性を改善するには、像加熱部材表面に、記録材との離型性に優れる離型層を設けることが非常に有効であり、種々の検討がなされている(特許文献4,5,6)。しかし、表層の熱容量が小さくなることで像加熱部材から記録材への熱の伝達効率は低下する。そのため、加熱装置は像加熱部材に高いエネルギーを付与する必要が生じてしまう。また、耐低温オフセット性も十分とは言えず、改善の余地を残している。
したがって、更に低い温度での定着を可能にし、耐低温オフセット性を改善できる画像形成方法が求められている。
一方、トナーにおいては、定着性と帯電安定性を両立することを目的として熱刺激電流測定装置で測定される電流が特定の値を有するトナーが開示されている(特許文献7乃至10参照)。しかしながら、上記特許文献に記載されたトナーよりも更なる低温定着性及び光沢性を改良したトナーが要望されている。
これらのことから、外部加熱方式の加熱定着装置を有する画像形成方法において、更なる高速化、及び高精細フルカラー画像が要求されている現状において、良好な低温定着性、画像の高光沢性を維持した上で、耐久性を十分に満足するトナー及び画像形成方法が待望されている。
特開2004−317788号公報 特開2007−121441号公報 特開2004−86202号公報 特開2003−173096号公報 特開2002−278338号公報 特開2003−186327号公報 特開平8−62885号公報 特開2004−279434号公報 特開2004−301990号公報 特開2005−43851号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものである。つまり、離型層を持つ定着部材を用いた場合においても、低温定着性、耐低温オフセット性や光沢性に優れ、多数枚のプリントを行う場合でも、耐ストレス性が良好である画像形成方法及びトナーを提供することにある。
上記目的は以下の画像形成方法及びトナーにより達成できる。
静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、該像加熱部材は、最表層として厚さ5乃至200μmの離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/(m・K)以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10乃至3.00質量%であり、該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100乃至600J/(m2・K)であり、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
−15≦T2−T1≦15
であることを特徴とする画像形成方法。
静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有しており、該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、該像加熱部材は、最表層として厚さ5乃至200μmの離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/(m・K)以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10乃至3.00質量%であり、該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100乃至600J/(m2・K)である画像形成方法に適用されるトナーであって、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
−15≦T2−T1≦15
であることを特徴とするトナー。
本発明によれば、離型層を持つ定着部材を用いた場合においても、低温定着性、耐低温オフセット性や光沢性に優れ、多数枚のプリントを行う場合でも、耐ストレス性に優れる画像を得ることができる。
以下、本発明のトナー及び画像形成方法の実施形態について説明する。
本発明者らは、最表層に離型層を有し、その下層に蓄熱層を有し、さらに下層に弾性層を有する像加熱部材を用いて定着する定着工程を含む画像形成方法について鋭意検討を行い、さらにこの画像形成方法に用いるべく最適なトナーについて、熱刺激電流測定装置で測定される電流値について着目し、鋭意検討を重ねた結果、前述の課題を解決するトナー及び画像形成方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、該像加熱部材は、最表層として厚さ5乃至200μmの離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/(m・K)以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10乃至3.00質量%であり、該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100乃至600J/(m2・K)であり、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
−15≦T2−T1≦15
であることを特徴とする画像形成方法である。
まず、本発明の像加熱部材について説明する。
本発明の像加熱部材は、像加熱部材の表面から順に離型層、蓄熱層、弾性層の3層構成であり、離型層は5μm以上200μm以下としたものである。この離型層は、像加熱部材とトナーとの離型効果を著しく高めるため、様々なメディアとトナーを組み合わせて使用する上で重要な構成である。しかし、離型層の熱伝導率は低いため、ヒータにより熱量を付与される際にロスを生じることで定着に必要な熱量は増大してしまう。本発明者らの検討によると、高い離型性を付与しつつ、熱量のロスを抑えられる離型層厚の範囲は5μm以上200μm以下であった。離型層の厚みが5μm未満であると、像加熱部材とトナーの離型性が低くなり、低温オフセットの如き定着時の不具合が生じる。200μmを超えると低温オフセットは良化するものの、表面の熱容量が低くなる為、ヒータの温度を高くしなければならない。このため、離型層の厚みは5μm以上200μm以下であることが重要であり、5μm以上100μm以下であると、より好ましい。
こうした像加熱部材構成において、更に定着温度を下げる検討を重ねた結果、熱伝導フィラーの物性と存在状態、及び蓄熱層の物性をそれぞれ制御することが重要であった。なお、本発明の熱伝導フィラーは、Al及び/又はZnを含有するものである。これは、Al及び/又はZnを含有させるとフィラーは高い熱伝導性を得やすく、しかも本件の像加熱部材に対して非常に適用しやすかったためである。
すなわち、本発明において、(A)像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、(B)熱伝導フィラーの熱伝導率は5.0W/(m・K)以上であり、(C)蓄熱層の熱容量を100J/(m2・K)以上600J/(m2・K)以下に制御することが重要であった。
まず、(A)について説明する。本発明の像加熱部材は離型層、蓄熱層、弾性層の3層構成である。しかし、前述のように、熱伝導率の低い離型層があることによって表面の熱伝導率は下がるため、定着温度は上がってしまう。そこで、離型層の熱伝導性を高める検討を行ったところ、離型層表面に少量の熱伝導フィラーを存在させることで、定着温度を大幅に下げられることを見出した。本発明において、離型層表面の熱伝導フィラーの検出方法としては、EPMAを用いた。EPMAは表面から数μmの深さまでに存在する元素を測定するものであり、検出されるAlやZn元素は表面から数μmまでの深さに存在する熱伝導フィラー量と対応する。本発明者らの検討によると、EPMA測定で検出されるAl及び/又はZnの存在割合が、検出される全元素量に対して0.10質量%以上であると上記効果が得られた。この理由として、本発明者らは以下のように考えている。離型層がヒータから熱量を受け取ると、熱量は離型層を通って蓄熱層まで到達し、蓄熱される。この時、離型層は熱伝導性が低いため熱量のロスが発生してしまう。ここで、離型層表面にAl及び/又はZnの存在割合が0.10質量%以上となる量の熱伝導フィラーがあると、熱は熱伝導性の高いフィラーを介して蓄熱層に効率良く伝達される。こうして熱量ロスは生じ難くなり、必要最小限のヒータ温度で像加熱部材を所望の温度まで加熱することが出来ると考えている。
このため、離型性表面の熱伝導フィラー量は多い方が熱伝導率が高まり、定着温度を下げる効果が大きくなる。しかし、一般的にAl及び/又はZnを含有する熱伝導フィラーはローラを形成するゴムよりもトナーとの親和性が高い。そのため、離型層に多く含有させると離型効果が失われ、低温オフセットが発生してしまう。本発明者らの検討によると、EPMA測定で検出されるAl及び/又はZnの存在割合が3.00質量%以下であれば定着温度を下げつつ、耐低温オフセット性も満足させることが出来る。
したがって、像加熱部材表面には像加熱部材の表面をEPMAにより測定した際のAl及び/又はZn元素の存在割合が検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下となる量の熱伝導フィラーが必要である。0.10質量%未満であると、表面と蓄熱層を仲介するフィラーが足りず、ヒータから受け取った熱量は蓄熱層に伝達される前に大きくロスしてしまい、定着温度は上昇してしまう。一方3.00質量%を超えると、熱伝導フィラー量が多いために離型層とトナーの付着力が高まり、耐低温オフセット性が著しく悪化してしまう。
次に、(B)の熱伝導フィラーの熱伝導率について説明する。本発明の像加熱部材構成における熱伝導フィラーは、離型層表面から蓄熱層に熱を効率的に伝える必要がある。このため、高い熱伝導率を有する必要があり、具体的には5.0W/(m・K)以上であると、表面の僅かなフィラー存在量でも蓄熱層に熱を効率的に伝えることが出来る。5.0W/(m・K)未満であると熱伝達効率の低下に伴って熱量ロスが増大し、定着温度は高まってしまうため好ましくない。
(A)により像加熱部材表面に僅かに熱伝導フィラーを存在させた上で、(B)により熱伝導フィラーの熱伝導率を高く調整すると、(A)で述べたような熱伝導フィラーの表面と蓄熱層を熱的に仲介する効果が大幅に高まる。こうした(A)(B)の相乗効果によって、像加熱部材は高い離型性及び表面・蓄熱層間の高い熱伝達効率を両立することが出来るため、耐低温オフセット性を向上させ、定着温度を下げることが出来る。
次に、(C)の蓄熱層の熱容量について説明する。本発明における像加熱部材は外側から加熱する手段を具備するものである。ここで、熱の移動を追って考えてみると、ヒータが発した熱は像加熱部材が受け取り、更に記録材上のトナーに付与されて定着する。ただし、ヒータと記録材定着部分とは離れているため、ヒータで加熱された部分が定着部分に到達するまでの間、蓄熱層で熱を保持しなければならない。そのため、蓄熱層の熱容量を高める必要がある。具体的には100J/m2K以上が必要であった。一方、熱容量が大きすぎると、像加熱部材表面の温度の上がり方が遅くなる。そのため、オンデマンド性に劣ると共に、定着に必要な熱量は増大してしまう。こうした弊害を無くすためには、蓄熱層の熱容量は600J/(m2・K)以下とする必要があった。したがって、蓄熱層の熱量は100J/(m2・K)以上600J/(m2・K)以下とすることが重要である。熱容量が100J/(m2・K)未満になると、放熱量が多くなると共に記録材に熱を奪われ易くなる。そのため、定着時に像加熱部材が必要とする熱エネルギーは増大してしまう。600J/(m2・K)を超えると像加熱部材の温度上昇速度が低下し、ウォームアップタイムが延びるなどしてオンデマンド性に劣るため好ましく無い。
以上述べてきたように、本発明の像加熱部材では、像加熱部材を3層構成とした上で(A)表面の熱伝導フィラー量調整、(B)熱伝導フィラーの熱伝導率調整、(C)蓄熱層の熱容量制御が重要であった。(A)(B)(C)を満たす像加熱部材と以下に述べるトナーとの組み合わせによって、本発明の目的は達成し得る。
次に、本発明の画像形成方法に用いられるトナーについて説明する。
本発明の像加熱部材構成において、更に耐低温オフセット性の向上及び定着温度を下げる検討を行ったところ、上述の像加熱部材の他にトナー表面組成及び内部のワックス存在状態を制御することが重要であった。
具体的には、トナーが少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
−15≦T2−T1≦15
であることを特徴とするトナー構成である。
本発明者らの検討によれば、P1はトナー粒子表面近傍に存在するワックス成分の溶融に伴う帯電緩和現象によるものであり、P1を示す電流の絶対値はトナー粒子表面近傍に存在するワックス量に比例するものと推定される。P1を示す電流の絶対値は、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aとなる場合が好ましく、より好ましくは3.0×10-14乃至90.0×10-14A、さらに好ましくは4.0×10-14乃至60.0×10-14Aである。もし、0.1×10-14A未満となる場合には、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの存在量が過少であるため、像加熱部材の離型層との離型性が低下し、耐低温オフセット性が悪化する。1000.0×10-14A超となる場合には、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの存在量が過剰であり、帯電安定性が悪化する場合がある。また、P1を示す温度T1(℃)が60℃より低いと耐高温オフセット性が低下する場合があり、100℃より高いと耐低温オフセット性が悪化する場合があり好ましくない。
P2は100℃に加熱されることによってトナー粒子中から溶け出したワックス成分の溶融に伴う帯電緩和現象によるものであり、P2を示す電流の絶対値はトナーに含有されるワックス量に比例するものと推定される。P2を示す電流の絶対値は、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aとなる場合がより好ましい。もし、1.0×10-14A未満となる場合にはトナー粒子中に存在するワックスの存在量が過少であり、低温定着性が低下する場合がある。50.0×10-14A超となる場合には、トナー粒子中に存在するワックスの存在量が過剰であり、現像スジや帯電安定性が低下する。
そして、P1を示す温度T1(℃)と、P2を示す温度T2(℃)との関係が、−15≦T2−T1≦15である場合に、本発明に用いられる像加熱装置に対して、優れた定着性をトナーは発現する。T1がT2より大きくなる場合は、トナー粒子表面近傍に存在するワックスに熱が伝わり難い状態にあると考えられ、トナー粒子に外添する無機微粉体の量を増やすと、この差は顕著になる。逆にT1がT2より小さくなる場合には、トナー粒子表面近傍に存在するワックスが溶け出しやすい状態にあると考えられ、コア・シェル構造を有するトナー粒子のシェル部を多くすると、この差は顕著になる。もし、T2−T1<−15となる場合には、トナー粒子表面の外添剤が多すぎる状態であり、現像スジや耐低温オフセット性が低下する。T2−T1>15となる場合には、シェル層が厚くなりすぎ、帯電安定性や低温定着性が低下する。
本発明のトナーは、高画質化のため、より光沢性に優れた画像を実現するめには、熱刺激電流測定において、2回目昇温時に測定されるP2よりも高温側のピーク(P3)を制御する必要がある。
P3は100℃に加熱されることによってトナー粒子中から溶け出した低分子量樹脂成分の軟化に伴う帯電緩和現象によるものであり、P3を示す電流の絶対値はトナー粒子に含有される低分子量成分の樹脂量に比例するものと推定される。P3を示す電流の絶対値は、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aとなる場合が好ましい。もし、1.0×10-14A未満となる場合にはトナー粒子中に存在する低分子量成分の樹脂存在量が過少であり、光沢性が低下する。50.0×10-14A超となる場合には、トナー粒子中に存在する低分子量成分の樹脂存在量が過剰であり、現像スジや帯電安定性が低下する。また、P3を示す温度T3(℃)は85℃以上が好ましい。85℃より低いと耐高温オフセット性が低下する場合があり、110℃より高いと光沢性が低下する場合があり、好ましくない。
本発明のトナー(実施例のトナー1)の熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される電流を示すグラフを図1に、2回目昇温時に測定される電流を示すグラフを図2に示す。
本発明のトナーは、高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均粒径(D4)は3.0乃至9.0μmであることが好ましく、4.0乃至7.8μmであることがより好ましく、5.0乃至6.5μmであることがさらに好ましい。
本発明の像加熱部材(以下、定着ローラ、とも記載する)について、更に具体的に説明する。
図3に示すように、本発明の像加熱部材30は、芯金31の外周に、熱伝導率が低く、弾性を持つ弾性層(以下、断熱弾性層とも記載する)32を形成する。断熱弾性層32の外側には蓄熱層33が形成され、更に外側に離型層(不図示)を形成したものである。
本発明の像加熱部材の芯金31は、例えば、アルミや鉄、SUM材等の金属材料、セラミック等の他の剛体材料により形成される。芯金31は、断熱弾性層32によって定着ローラ表面から断熱される為、低熱伝導性、低熱容量であっても良い。また、その形態は中空の筒状であっても良い。
芯金31の外周に形成する断熱弾性層32は低熱伝導化したゴム層であり、熱伝導率は蓄熱層33より小さくなるよう配合調整される。本発明において、弾性層は熱伝導率が0.15W/(m・K)以下であると、蓄熱層の熱量は芯金に逃げにくく、熱量のロスがなくなるため好ましい。
断熱弾性層32の厚さは特に制限されないが、有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径の定着ローラ30を構成するためには、1.0mm以上5.0mm以下、好ましくは2.0mm以上4.0mm以下とするのが良い。
断熱弾性層は、耐久性や断熱性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物に中空フィラーを配合した配合物、あるいは、オルガノポリシロキサン組成物に吸水性ポリマーおよび水を配合した配合物を形成後に焼成および硬化して形成されたものが好ましい。
断熱弾性層32の形成方法を以下に例示する。
例えば、シリコーンゴム組成物であり、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100質量部に平均粒子径が500μm以下の中空フィラーを0.1質量%以上200.0質量%以下配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成されるバルーンゴム層とする。
ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、マイクロバルーン材等がある。マイクロバルーン材としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーン等が挙げられる。
上記の中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100質量部に対し0.1質量部以上200.0質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上150.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上100.0質量部以下である。この場合、中空フィラーの定着ローラ用シリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10%以上80%以下、特に15%以上75%以下となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると熱伝導率の低下が不十分となりやすく、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまう恐れがある。
また、例えば、吸水性ポリマー及び水を添加する方法で、シリコーンゴム断熱層32を形成したものでも良い。かかるシリコーンゴム組成物としては、オルガノポリシロキサン組成物100質量部に吸水性ポリマーを0.1質量部以上50.0質量部以下、水を10質量部以上200質量部以下、その他、白金化合物触媒のような硬化触媒、SiHポリマーのような架橋剤を添加した組成物を形成する。その後、これを加熱成形して断熱弾性層32としても良い。
また、この場合には、以下の3段階あるいは2段階に分けて加熱する。即ち、第一段階では、シリコーンベースポリマーの実質的な硬化が起こらず、しかも水分が蒸発しない100℃以下、好ましくは50℃以上80℃以下のもとで10時間以上30時間以下加熱して型成形する。次いで、第二段階では、該型成形物を120℃以上250℃以下、好ましくは120℃以上180℃以下で1時間から5時間加熱して、含まれている水及び水を含んだ不純物中の水分を蒸発させる。そして、最後の第三段階では、得られた気泡体を180℃以上300℃以下、好ましくは200℃以上250℃以下で2時間から8時間加熱して、硬化を進めることにより、所望の多孔質ゴム状弾性体のシリコーンゴム層を完成させる。
よって、断熱弾性層32は、マイクロバルーン等のバルーンや吸水性ポリマーが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物より形成されたものが望ましい。このようにして得られた断熱弾性層は、スポンジシリコーンゴム断熱層や、ソリッドゴム断熱層に比べ、断熱性と耐久性に優れ、また、熱膨張も少ない。
次に、断熱弾性層32の外周に形成する蓄熱層33について説明する。蓄熱層33は、例えばシリコーンゴム、あるいはフッ素ゴムなどに、粉末状の熱伝導フィラー(以下、単に「フィラー」とも呼ぶ)を混入させた層を断熱弾性層32の上に形成したソリッドゴム層が好適な形態として挙げられる。蓄熱層が上記のような形態であると、離型層を介して蓄熱層に付与された熱量が素早く蓄熱層全体に拡散するため、好ましい。
該蓄熱層の熱伝導率は、断熱弾性層32よりも高いことが重要である。好ましくは、一般的なソリッドゴムよりも熱伝導率を高め、0.30W/(m・K)以上とするのが望ましい。
内部の断熱層の熱伝導率を、蓄熱層の熱伝導率よりも低くすることで、定着ローラ表面から伝達された熱を、表面近傍の蓄熱層に偏在させ、保ちやすくする。また、蓄熱層の熱伝導率を高くすることで、蓄熱層での熱の吸収と放出を迅速に行うことができる。
蓄熱層33の厚みは20μm以上500μm以下で形成されていることが望ましい。
フィラーを分散し、高熱容量化された蓄熱層33は、弾性は持つものの硬度が高くなる。そのため、蓄熱層が厚すぎると定着ローラ表面も硬くなり、記録材への密着性が悪くなる。そのため均一なトナー画像定着を行うことが難しくなる。このため、蓄熱層33は500μm以下が望ましい。
一方、蓄熱層が薄すぎると、フィラーを均一に分散し、均一な熱容量とすることが難しくなり、定着ムラなどの原因となる。よって、蓄熱層33は20μm以上が好ましい。
本発明で用いる熱伝導フィラーは、熱伝導率が5.0W/(m・K)以上のものである。また、フィラーの形状はどのような形状のものであっても良い。本発明においては、熱伝導フィラーはAl及び/又はZnを含有するものである。これらは熱伝導率が高く、定着温度を下げられる傾向があるため必須である。本発明で用いることの出来る熱伝導フィラーとしては、アルミナ、酸化亜鉛、チッ化アルミ、チッ化亜鉛、金属アルミ、金属亜鉛、アルミ含有合金、亜鉛含有合金等の粉末状の熱伝導フィラーが挙げられる。
熱伝導フィラーの混入量は10乃至50質量%であるとオンデマンド性が高まると共に、熱を保持しやすくなる為に好ましい。熱伝導フィラーの混入量が10質量%以上であると蓄熱層の熱容量が十分に高まるため、像加熱部材の定着温度を低く出来る傾向がある。一方、50質量%以下であると、蓄熱層の熱容量が適正になることで昇温速度が高まり、ウォームアップタイムが短縮される傾向が見られる。
本発明の蓄熱層の製造方法としては、任意の手法を用いることが出来る。例えば、ディッピング塗工、スプレー塗工、および円柱状の芯金周囲に円筒形状の塗工ヘッドを用いて液状樹脂を被覆形成するリング塗工などの方法が挙げられる。特に、リング塗工は蓄熱層を均一に形成できるため、好ましく用いることができる。
図4にリング塗工装置の例を示す。架台71の上に垂直にコラム72が取り付けられ、さらに架台71とコラム72の上部に精密ボールネジ73が垂直に取り付けられている。また、精密ボールネジ73と平行に2本のリニアガイド84がコラム72に取り付けている。LMガイド74はリニアガイド84及び精密ボールネジ73と連結し、サーボモータ75よりプーリ76を介して回転運動が伝達され昇降できるようになっている。コラム72には、円筒状の芯体85の外周面に塗布液を吐出するリング形状の塗工ヘッド78が取り付けられている。さらにLMガイド74上にブラケット77が取り付けられ、このブラケット77には芯体85を保持し固定するワーク下保持具79が垂直に取り付けられ、また逆側の芯体85を保持するワーク上保持具80の中心軸がブラケット77の上部に取り付けられ、ワーク上保持具はワーク下保持具79に対向して同芯になるように配置して芯体85を保持している。
リング形状の塗工ヘッド78の中心軸は、ワーク下保持具79とワーク上保持具80の移動方向と平行となるように支持されている。また、ワーク下保持具79及びワーク上保持具80が昇降移動時において、塗工ヘッド78の内側に開口した環状スリットになっている吐出口の中心軸と、ワーク下保持具79及びワーク上保持具80の中心軸が同芯になるように調節してある。このような構成により塗工ヘッド78の環状スリットになっている吐出口の中心軸を芯体85の中心軸に同芯に合わせることができ、リング形状の塗工ヘッドの内周面と芯体85の外周面との間に均一な隙間が形成される。
また、塗布液の供給口81は、塗布液搬送用の配管82を介して材料供給弁83に接続されている。材料供給弁83は、その手前に混合ミキサー、材料供給ポンプ、材料定量吐出装置、材料タンク等を備え、定量(単位時間当たりの量が一定)の塗布液を吐出可能なものとしている。
芯体の外周上に形成された未加硫の液状ゴムを半硬化する工程と、半硬化した液状ゴム及び塗布積層後の樹脂液の硬化接着工程では、周方向の温度を一定に保つためにゴムローラを回転させながら加熱する方法を用いることが好ましい。熱源としては、ゴムローラに非接触で加熱できる遠赤外セラミックヒータ、近赤外線ヒータ、ランプ加熱ヒータ、UVヒータ、マイクロヒータ等が望ましい。
これらの熱源は、ゴムローラの両端部から中央部に向かって連続的に加熱温度を変化させるために、ゴムローラの長手方向に一定間隔で複数配置される。熱源の数はゴムローラの長手方向における加熱温度の変化パターンに合わせて適宜に決定されることになるが、その数が多いほど、ゴムローラの長手方向における温度変化を微妙にかつ正確に制御することが可能となる。
本発明の像加熱部材は、蓄熱層33(図3)の更に外周に離型層(不図示)を形成するものである。離型層は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等で形成されることが多い。本発明においては、フッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であると、トナーとの離型性が高く、且つ離型層表面の硬さが安定するため、好ましい。なお、ここで言う「主成分」は離型層全成分に対して70質量%以上占める成分を指す。
離型層の形成方法としては蓄熱層同様、ディスパージョンによるディッピング塗工、スプレー塗工、リング塗工等、任意の方法が用いられる。中でもリング塗工は、離型層形成時において蓄熱層の表面近傍にフィラーを偏在させることができるので、好ましく用いることが出来る。
また、本発明の像加熱部材では、像加熱部材表面の粗さを制御することも重要である。具体的には、像加熱部材の表面のRzが1.0乃至10.0μmであることが好ましい。Rzが1.0乃至10.0μmであると像加熱部材の表面の比表面積が大きくなり、外側からの加熱の際に効率的に像加熱部材に蓄熱することができる。また、適度に凹凸が存在しているため、トナーとの離型性を向上することができる。
像加熱部材の表面のRzが1.0μm以上になると、トナーと像加熱部材との接触面積が適正化されるため、低温オフセットが向上する傾向がある。また、像加熱部材の表面のRzが10.0μm以下であれば、像加熱部材の表面の凹凸が適正になることでトナーに対する均一且つ効率的な熱付与が出来るため、定着温度を低く抑えられる傾向が見られる。
表面粗さRzの制御の方法として、表面を機械的に研磨する方法を挙げることができる。粗面化方法としては、研磨粒子や、研磨粒子をテープ及び紙等に接着させ、それを押し当てることで研磨する等の公知の研磨方法を使用することができる。また、研磨粒子を表面にぶつけるサンドブラスト法なども用いることができる。中でも、研磨ペーパーを用いて研磨するとRzの制御が容易であり、好ましく用いることが出来る。
また、本発明の像加熱部材は、適度な硬さを持つことが好ましい。像加熱部材が適度な硬さを持つと、トナーとの離型性が高まる。具体的には、加熱部材のマイクロ硬度が30乃至68°であると好ましい。30°以上であると、定着ニップ部の圧力を所望の値にした際にもニップ面積を適正領域に維持出来るため、低温オフセットが良化する傾向がある。68°以下になると、像加熱部材の硬さが適正化されることで定着ニップ面積も適正化され、定着温度が低くなる傾向が見られる。
本発明の像加熱部材は、ヒータから熱量を受け取った後速やかに記録材へ熱付与できる構成であると良い。したがって、定着ローラ30は小径であることが望ましく、外径5mm以上20mm以下の範囲が望ましい。
本発明のトナーについて、更に具体的に説明する。
本発明によって得られるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むトナー粒子と、無機微粉体とを有する。
トナー粒子は、粉砕法によって製造することでも本発明の効果を得られるが、乳化重合、分散重合、懸濁重合、シード重合の如き重合法により製造されることが、本発明の効果をより発揮するには好ましい。中でも、懸濁重合法によりトナー粒子を製造することがさらに好ましい。
結着樹脂としては、トナーに使用される公知の結着樹脂を用いることができる。結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、スチレン系単量体、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類が挙げられる。これらの重合性単量体は単独、または併用できる。上述の重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの重合性単量体と併用して結着樹脂を生成することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
熱刺激電流測定装置で測定される電流値が、本発明の温度範囲にピークを示すようにするためには、トナー中に低分子量成分の樹脂が存在することが好ましい。その手段としては、重合法によりトナー粒子を製造する場合には、連鎖移動剤や架橋剤を添加して結着樹脂の分子量をコントロールすることで達成できる。また、あらかじめ低分子量樹脂を製造し、この低分子量樹脂を重合性単量体組成物に添加し、トナー粒子を形成することでも達成できる。低分子量樹脂を添加する場合には、低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)が2000以上7000以下であることが好ましく、例としては、低分子量ポリスチレン、低分子量スチレン−アクリル酸エステル共重合体、低分子量スチレン・アクリル共重合体が挙げられる。添加量は重合性単量体または結着樹脂100質量部に対して1乃至50質量部が好ましく、5乃至35質量部がより好ましい。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤/マゼンタ系着色剤/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
本発明のトナーに使用可能なワックス成分としては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体(誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物)、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ンワックス。これらワックス成分は単独で又は2種以上を併せて用いられる。
上記ワックスの中でも、本発明に用いられるワックス成分としては、炭化水素系ワックスを含むことがより好ましい。その中でも、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックス、またはパラフィンワックスを使用した場合、特に接触現像における現像性を長期にわたり良好に維持した上で、定着ローラへの耐オフセット性を良好に保ち得る。なお、ワックスの添加量は、重合性単量体または結着樹脂100質量部に対して5乃至25質量部が好ましい。
材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的とする樹脂を重合性単量体組成物中に含有させても良い。用いられる樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂が挙げられる。特に、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の如きカルボキシル基を有する極性樹脂極性樹脂を添加することで、トナーのコア・シェル構造のシェル部を強化することができる。これらは、単独或いは混合して使用できる。中でも、重合性単量体組成物に添加して用いる樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂の添加量は、重合性単量体または結着樹脂100質量部に対して1乃至25質量部が好ましく、2乃至15質量部がより好ましい。
本発明においては、トナーの帯電性を制御する目的で、トナー粒子中に荷電制御剤を添加しても良い。重合法によりトナー粒子を製造する場合、荷電制御剤としては、重合阻害性、水相移行性のほとんどないものが好ましい。正荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩、グアニジン誘導体、イミダゾール誘導体、アミン系化合物、ニグロシン系染料等が挙げられる。負荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。含金属サリチル酸共重合体、含金属モノアゾ系染料化合物、尿素誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これらの荷電制御剤の添加量としては、重合性単量体または結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部が好ましい。
トナー粒子を重合法で製造する際に用いる重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明において、重合法トナーを製造する際には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機あるいは無機分散剤が使用できる。無機分散剤は一般的にサイズが大きいため、立体障害性により分散安定性が得られるので、反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、更に洗浄も容易である。そのため、無機分散剤がより好ましく使用できる。こうした無機分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムの如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナの如き無機酸化物等が挙げられる。
これらの無機分散剤は、単独で使用しても良く、粒度分布を調整する目的で界面活性剤を併用しても良い。界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
また、乳化重合法を用いる場合には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が使用される。
本発明に用いられるトナーには、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の目的で、無機微粉体を外添剤としてトナー粒子に外添する。該無機微粉体である外添剤の具体的な例としては、シリカ微粉末、疎水化シリカ微粉末、金属酸化物、複合金属酸化物などが挙げられる。また、無機微粉体以外の外添剤として、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらを単独で、あるいは複数を併用して用いることが好ましい。
外添剤の微粉末は、必要に応じ、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理剤の具体例としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で、あるいは混合して使用しても良い。
本発明に好適に用いられる外添剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2/g以上(特に好ましくは30乃至400m2/g)の範囲内のものである。使用量としては、トナー粒子100質量部に対して外添剤が0.01乃至10質量部であり、好ましくは0.1乃至5質量部であることがより好ましい。
本発明のトナーを用いる画像形成方法は、電子写真方式の画像形成装置であれば限定されるものではない。より好ましくは、静電潜像担持体を一次帯電し、露光により潜像形成し、形成した潜像を現像部で現像化し、得られたトナー像を転写材上に転写し、熱及び圧力により定着画像を形成する電子写真方式のトナーとして使用するものである。
また、本発明のトナーは、一成分系現像剤、及び、二成分系現像剤のいずれでの使用も可能である。
次に、本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置について説明する。
(1)画像形成装置例
図5は、本実施形態の画像形成装置を好適に示す一例たるレーザビームプリンタ(以下、プリンタと略称する)1の概略構成を示す模式的断面図である。
このプリンタ1には、プリンタ本体の外部に設けられたホストコンピュータ等の画像情報提供装置(図示せず)から画像情報が入力する。そして、プリンタ1は、入力した画像情報に応じた画像をシート状の記録材(記録媒体)Pに形成して記録するという一連の画像形成プロセスを公知の電子写真方式に則り行う。
プリンタ1は、潜像担持体としてのドラム状の回転自在な電子写真感光体(以下、感光体と略記する)2と、一次帯電機構8と、現像装置3と、を保持するプロセスカートリッジ4を備えている。また、画像情報提供装置から入力した画像情報に応じた露光処理工程により感光体2の外周面に前記画像情報に応じた静電潜像を形成するレーザスキャナユニット(以下、スキャナと略記する)5を備えている。また、記録材Pに画像を転写する処理を施すロール状の回転自在な転写体6と、画像転写処理済みの記録材Pに加熱及び加圧により定着処理を施す像加熱装置としての定着装置7を備えている。
プロセスカートリッジ4はプリンタ本体に対して着脱自在に支持されている。感光体2の修理及び現像装置3への現像剤補給等のメンテナンスが必要であるときには、前記本体にて開閉自在に支持されているカバー9を開いたのち、プロセスカートリッジ4ごと交換することによりメンテナンスの迅速化及び簡易化等が図られている。
一次帯電機構8は、スキャナ5による露光処理工程前において規定のバイアスを印加されることにより、回転している感光体2の外周面を規定電位分布に帯電せしめるようになっている。
スキャナ5は、画像情報提供装置からの画像情報に応じたレーザLaを出力する。そして、そのレーザLaにより、プロセスカートリッジ本体に設けられた窓4aを通して、感光体2の帯電処理済みの外周面が走査及び露光される。これにより、前記画像情報に応じた静電潜像が感光体2の外周面に形成されようになっている。
次に、プリンタ1における一連の画像形成プロセスに関して説明する。プリンタ本体に設けられたスタートボタン等(図示せず)が押されるなどにより、感光体2の回転駆動が開始される。感光体2は矢印K1の時計方向に規定の周速度にて回転駆動される。これと共に、規定のバイアスが印加されている一次帯電機構8により感光体2の外周面が規定の電位分布に帯電せしめられる。
次に、画像情報提供装置からの画像情報に応じて感光体2の外周面の帯電処理済みの部位がスキャナ5により走査及び露光される。これにより、前記画像情報に応じた静電潜像が感光体2の前記部位に形成される。その静電潜像が現像装置3の現像剤により現像されてトナー画像として可視像化される。
一方、所定のタイミングにて駆動された給紙ローラ12により給紙カセット11から記録材Pが給送される。給紙カセット11から給送された記録材Pはレジストローラ対12aにより所定の制御タイミングにて感光体2と転写体6との間に形成された転写ニップ部へと給送され、転写ニップ部を挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において感光体2側の前記トナー画像が転写体6により記録材P側に順次に転写される。
そして、転写処理済みの記録材Pは、定着装置7によりトナー画像の加熱定着処理が施されたのち、プリンタ本体にて回転自在に支持された定着排紙部10を経由してプリンタ排紙部13により機外へと排紙される。排紙された記録材Pは、プリンタ本体の上面に取り付けられたトレイ14上に積載される。以上により、一連の画像形成プロセスが終了することとなる。
(2)定着装置例
図6は本実施形態を好適に示す一例たる外部加熱方式の像加熱装置である定着装置7の模式的断面図である。
30は記録材上の画像をニップ部にて加熱する回転可能な加熱部材としての定着ローラ(定着用回転体)である。63は加圧部材としての回転可能な加圧ローラである。なお、加圧部材63は固定されたパッドであっても良い。
定着ローラ30と加圧ローラ63は、上下にほぼ並行に配列され、且つ端部の加圧バネ(図示せず)により圧接されている。これにより、両者間に記録材搬送方向において所定幅の定着ニップ部(圧接ニップ部)Ntを形成させている。
定着ローラ30は駆動手段(図示せず)によって矢印の時計方向に規定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ63は定着ローラ30の回転に従動して回転する。なお、定着ローラ30と、加圧ローラ63を別途、回転駆動しても良い。
21は定着ローラ30をその外側から加熱する加熱手段(加熱源)である。本実施例において、この加熱手段21は板状ヒータ(以下、ヒータと略記する)である。このヒータ21は、ヒータホルダ24に固定して保持させて、定着ローラ30上側に並行に配列してある。そして、ホルダ24を加圧機構(図示せず)により一定圧力で加圧し、ヒータ21が定着ローラ30の上面に所定の圧力で圧接するように調整している。ヒータ21は定着ローラ30に対して常に同じ部位で接触して、定着ローラ30との間に定着ローラ30の回転方向において所定幅の加熱ニップ部Nhを形成している。
回転する定着ローラ30は、加熱ニップ部Nhにおいてヒータ21により外側から加熱されて、定着ニップ部Ntにて記録材P上の未定着トナー画像Tを定着するのに必要・十分な熱量が与えられる。
記録材Pは前述したように画像形成部にてトナー画像Tが形成されたあと、定着装置7へ送られ、定着ローラ30と加圧ローラ63とで形成される定着ニップ部Ntへ導入されて挟持搬送される。記録材Pはこの定着ニップ部Ntを挟持搬送されていく過程において、定着ローラ30で加熱され、またニップ部圧を受けて、未定着トナー画像Tが記録材P面に永久固着画像として熱圧定着される。
以下に、本発明に関わる測定方法について説明する。
<電子線マイクロアナライザー(EPMA)測定>
本発明では、定着ローラの表面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)により測定した際の検出される全元素量に対するAl及び/又はZn元素の存在割合を規定している。この時、Al元素やZn元素は熱伝導フィラーに由来するものである。EPMAは表面から数μmの深さまでに存在する元素を測定するものであり、全元素量に対するAlやZnの存在割合は表面から数μmまでの深さに存在する熱伝導フィラー量と対応する。したがって、AlやZnの存在割合が高い場合、表面部分により多く熱伝導フィラーが存在することを示す。測定条件を以下に示す。
装置:電子線マイクロアナライザー EPMA−1610(島津製作所製)
加速電圧:15kV
照射電流:20nA
計測時間:500msec
ビーム径:10μm
<蓄熱層の単位面積あたりの熱容量測定>
本発明では、蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を規定している。ここで、蓄熱層の表面積とは、離型層を全て剥離した際に現れる蓄熱層表面の面積を指す。したがって、「試験片の表面積」も上述のように剥離した際に現れる面の面積のみを表している。蓄熱層の単位面積あたりの熱容量は、以下の式で求められる。
定着ローラの単位面積あたりの熱容量
=試験片の体積×体積熱容量÷試験片の表面積
=体積熱容量×比熱容量×蓄熱層33厚み 式(A)
したがって、蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を算出するには、まず比熱容量及び体積熱容量を測定する必要がある。比熱容量及び体積熱容量は以下のように求めた。
まず、定着ローラ30の蓄熱層33より、縦5mm、横5mmの試験片を切り出し、上記試験片を、乾式自動密度計(型番AccuPyc1330 株式会社 島津製作所)にて測定し、質量密度を求める。
次に、上記試験片を、示差走査熱量計(型番DSC8240、株式会社リガク製)にて測定し、比熱容量を求める。体積熱容量は、下式から求められるため、上記により得られた値から計算される。
体積熱容量=質量密度×比熱容量
こうして得られた比熱容量と体積熱容量を式(A)に代入することで蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を算出した。
<熱伝導フィラー/蓄熱層/断熱弾性層の熱伝導率の測定>
フーリエ変換型温度熱拡散率測定装置(型番FTC−1、アルバック理工株式会社製)にて熱拡散率を測定する。蓄熱層や断熱弾性層を測定する場合、厚み方向の測定を行う。そして、下記の式から、熱伝導フィラーの熱伝導率、及び蓄熱層又は断熱弾性層の厚み方向の熱伝導率を求める。
熱伝導率=熱拡散率×質量密度×比熱容量
<像加熱部材表面のRz測定方法>
サーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)にて、測定距離4mmで測定した。測定箇所は、像加熱部材のゴム端部から30mm以上40mm以下の位置の両端部及び、ゴム端部から110mm以上120mm以下の位置の中央部とした。それぞれの箇所で軸方向と周方向について測定し、6点の測定値の平均値をRzとした。
<像加熱部材のマイクロ硬度の測定>
像加熱部材のマイクロ硬度は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%RH環境においてピークホールドモードで測定した値とすることができる。具体的には、像加熱部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて像加熱部材が転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から像加熱部材の中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを像加熱部材のゴム端部から30mm以上40mm以下の位置の両端部及び中央部について合計3点測定し、反転させた後同様に3点測定する。得られた合計6点の測定値の平均値をマイクロ硬度とした。
<トナーの熱刺激電流測定>
本発明における熱刺激電流(TSC)は、試料に電界を加えることにより試料内部に分極や電荷トラップを発生させ、主に昇温過程での脱分極減少で生じる電流を検出する測定手法により測定される。このような装置として、エレクトロントラップ測定システム(TS−FETT:株式会社リガク製)を用いることができる。
(1)1回目の熱刺激電流測定
熱刺激電流は、TS−FETTを用いて、非接触法(2mm)で測定する。
熱刺激電流を測定するトナー試料は、トナー1gを常温常湿環境(温度23℃、湿度60%)に48時間放置して調湿したものを使用し、トナー試料約6mgを秤量してアルミ製試料パン(直径6mm、深さ0.5mm)に入れ、サンプル表面は平滑になるようにガラスプレートでならし、サンプルホルダーに収めて測定用試料にする。
図7に示す荷電装置を用いて測定試料にグリッド電圧1KV、コロナ電圧20KVを30秒間帯電させるが、負帯電性トナーは負帯電させ、正帯電性トナーでは正帯電させる。
TSC測定装置は図8に示す構成であり、サンプルホルダーをTS−FETTにセットして、25℃から1.5℃/minの昇温速度で100℃まで加熱して昇温時の電流を測定する。
(2)2回目の熱刺激電流測定
1回目の熱刺激電流測定に用いたトナー試料を冷却速度:2℃/minで25℃まで冷却する。
図7に示す荷電装置を用いて測定試料にグリッド電圧1KV、コロナ電圧20KVを30秒間帯電させるが、負帯電性トナーは負帯電させ、正帯電性トナーでは正帯電させる。サンプルホルダーをTS−FETTにセットして、25℃から1.5℃/minの昇温速度で120℃まで加熱して電流を測定する。
<トナーの重量平均粒径(D4)測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<分子量分布測定>
分子量分布及び分子量は、GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の測定条件で測定した。
[測定条件]
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801,Shodex GPC KF−802,Shodex GPC KF−803,Shodex GPC KF−804,Shodex GPC KF−805,Shodex GPC KF−806,Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1質量%の試料を10μl
サンプル調製は、測定対象の試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、6時間放置した後、充分に振とうし(試料の合一体がなくなるまで)、更に1日以上静置して行った。そして、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)を通過させたものをGPC測定用試料とした。検量線は、単分散ポリスチレン標準試料、例えば東ソー社製の分子量が102乃至107程度のものを、少なくとも10点程度用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
<最大吸熱ピーク温度測定>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、サンプル約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30乃至200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、DSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
◎定着ローラの製造例
(蓄熱層用塗工液1乃至4の製造)
シリコーンゴム原料組成物として、付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:DY35−561A/B)70質量部に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工社製、商品名:アルナビーズCB−A50S)を30質量部配合した。これを固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、混練して蓄熱層用塗工液1を得た。液粘度は3.0×10-2Pa・sであった。また、表1のようにフィラー種の選択及び配合比調整を行い、蓄熱層用塗工液2乃至4を得た。なお、表中の「アルミナ」は昭和電工社製(商品名:アルナビーズCB−A50S)、「酸化亜鉛」は堺化学工業社製(商品名:LPZINC−11)、「ジルコニア」はアスザック社製(商品名:AZI)を示す。
Figure 2010128033
(離型層用分散液の製造)
・離型層用分散液1、3、4の製造
PFA分散液(ダイキン工業社、商品名:ネオフロンAD−2CR)に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工社製、商品名:アルナビーズCB−A50S)をPFAの固形分に対する含有率が1.00質量%となるよう配合し、離型層用分散液1を得た。含有率を0.05質量%、3.00質量%として同様に操作し、離型層用分散液3及び4を作成した。主成分、フィラー含有率を表2に示す。
・離型層用分散液2の製造
付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:DY35−561A/B)99質量部に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工社製、商品名:アルナビーズCB−A50S)を1質量部配合した。これを固形分濃度10%となるようにメチルエチルケトンで希釈し、離型層用分散液2を得た。主成分、フィラー含有率を表2に示す。
Figure 2010128033
(定着ローラ1の製造方法)
[1]弾性層の製造
信越化学工業社製の付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50質量部に、中空フィラーとして松本油脂製薬製のマイクロバルーンF80S(材質:アクリロニトリル、軟化温度:160℃以上170℃以下)を3質量部、ポリエチレングリコール1質量部を添加し、15分撹拌を続け、シリコーンゴムを得た。
外径8mmのSUM芯金上に、上記で得たシリコーンゴムを注型し、150℃で1時間、一次加硫を行った後、型から脱型して取り出した。次に、200℃で4時間、2次加硫を行った後、更に、230℃で4時間の加熱処理を施すことで、厚み2mmの弾性層を有する定着ローラ前駆耐1−1を作製した。
[2]蓄熱層の製造
リング塗工装置を用いて蓄熱層用塗工液1を定着ローラ前駆体1−1に塗布した。この時、リング塗工装置の条件は移動速度15mm/sec、材料吐出量2100mm3/secとした。その後300℃の温風循環加熱炉で60分加熱し、ソリッドゴム層及びフィラーから構成される、厚み150μmの蓄熱層を有する定着ローラ前駆体1−2を得た。
[3]離型層の製造
リング塗工装置を用いてPFA分散液(ダイキン工業社製、商品名:ネオフロンAD−2CR、)を定着ローラ前駆体1−2に塗布した。なお、リング塗工装置の条件は移動速度15mm/sec、材料吐出量2100mm3/secとした。乾燥後300℃で30分焼成を行うことでソリッドゴム層及びフィラーから構成される、厚み50μmの離型層を形成した。その後、表面を研磨ペーパーで研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3Mインペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)し、定着ローラ1を得た。
作製したローラの概要は表3の通りである。なお、表中の「Al・Zn存在割合」とは、定着ローラをEPMAで測定した際に検出される全元素量に対するAl及び/又はZnの存在割合を示す。ここでAl、Zn元素は熱伝導フィラーに由来するものである。
(定着ローラ2の製造方法)
弾性層に用いるシリコーンゴムを付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:DY35−561A/B)に変え、離型層形成後の研磨を調整することでRzを11.0μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ2を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ3の製造方法)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み60μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを110μmとし、離型層形成後に研磨を行わなかったこと以外は定着ローラ2と同様に製造し、定着ローラ3を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ4の製造方法)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み140μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを190μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ4を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ5の製造方法)
リング塗工装置を用いて離型層の厚みを5μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ5を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ6の製造方法)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液2に変えたこと以外は定着ローラ5と同様に製造し、定着ローラ6を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ7の製造方法)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液2に変え、蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み200μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを250μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ7を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ8の製造方法)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液3に変え、蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み50μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを100μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ8を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ1の製造方法)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液4に変えたこと以外は定着ローラ8と同様に製造し、比較用定着ローラ1を得た。作成したローラの概要は表3の通りである。なお、比較用定着ローラ1に関してのみ、表中の「Al・Zn存在割合」はEPMA測定で検出された全元素量に対するジルコニウムの存在割合を示している。ジルコニウムは、比較用定着ローラ1で熱伝導フィラーの代わりに用いたジルコニアに由来するものである。
(比較定着ローラ2の製造方法)
蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み220μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを270μmとしたこと以外は定着ローラ7と同様に製造し、比較用定着ローラ2を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ3の製造方法)
蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み30μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを80μmとしたこと以外は定着ローラ8と同様に製造し、比較用定着ローラ3を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ4の製造方法)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み170μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを220μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ4を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ5の製造方法)
離型層を形成する際に、リング塗工装置を用いて3μmの層を形成したこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ5を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ6の製造方法)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液3に変えたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ6を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較定着ローラ7の製造方法)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液4に変えたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ7を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
Figure 2010128033
◎トナーの製造例
次に、本発明の実施例で用いるトナーの製造方法について説明する。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
(トナー1の製造方法)
スチレン100部に対して、C.I.Pigment Blue15:3を17部、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を3部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140部)を用いて200rpmにて25℃で3時間撹拌を行い、マスターバッチ分散液を調製した。
一方、イオン交換水890部に0.1M−Na3PO4水溶液560部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液85部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
・マスターバッチ分散液 50部
・スチレン 38部
・n−ブチルアクリレート 20部
・低分子量ポリスチレン1(Mw=3,000、Mn=1,050) 25部
・炭化水素系ワックス 10部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク=78℃、Mw=750)
・ポリエステル樹脂 5部
[テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10の重縮合物、酸価11、Tg=74℃、Mw=11,000、Mn=4,000]
上記材料を55℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、4,000rpmにて均一に溶解し分散した。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液9部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて8,000rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度65℃に昇温し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。更に昇温速度40℃/hで80℃に昇温し、5時間反応させた。重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えpHを1.4にし、3時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、シアン色のトナー粒子1を得た。
このトナー粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体2.5部(数平均一次粒子径:7nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明のトナー1を得た。トナー1の各種物性を表4に示した。
(トナー2の製造方法)
低分子量ポリスチレン1の添加量を10部に、ワックスの添加量を5部に、材料溶解時のホモミキサーの回転数を5,000rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー2を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー3の製造方法)
ワックスの添加量を17部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー3を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー4の製造方法)
疎水性シリカ微粉体の添加量を3.0部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー4を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー5の製造方法)
低分子量ポリスチレン1の添加量を40部に、ワックスの添加量を17部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー5を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー6の製造方法)
添加するワックスをベヘン酸ベヘニル(最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)に、低分子量ポリスチレン1を低分子量ポリスチレン2(Mw=2,000、Mn=800)に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー6を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー7の製造方法)
添加するワックスをベヘン酸ベヘニル(最大吸熱ピーク=72℃、Mw=700)に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー7を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー8の製造方法)
低分子量ポリスチレン1の添加量を35部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー8を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー9の製造方法)
ポリエステル樹脂の添加量を10部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を1.0部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー9を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー10の製造方法)
疎水性シリカ微粉体の添加量を4.0部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー10を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー11の製造方法)
ポリエステル樹脂の添加量を15部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を1.0部に、材料溶解時のホモミキサーの回転数を5,000rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー11を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー12の製造方法)
疎水性シリカ微粉体の添加量を5.0部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー12を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー13の製造方法)
ポリエステル樹脂の添加量を20部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を1.0部に、材料溶解時の温度を60℃に、且つホモミキサーの回転数を5,500rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー13を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー14の製造方法)
ワックスの添加量を8部に、ポリエステル樹脂の添加量を8部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー14を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー15の製造方法)
ワックスの添加量を15部に、材料溶解時の温度を50℃に、且つホモミキサーの回転数を3,500rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー15を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー16の製造方法)
低分子量ポリスチレン1を添加しないこと以外は、トナー1と同様にしてトナー16を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー17の製造方法)
添加するワックスをHNP−3(パラフィンワックス、日本精鑞製、最大吸熱ピーク=66℃)8部に、低分子量ポリスチレン1を低分子量ポリスチレン3(Mw=2,500、Mn=900)15部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を2.0部に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー17を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー18の製造方法)
低分子量ポリスチレン1の添加量を35部に、ワックスの添加量を25部に、ポリエステル樹脂の添加量を3部に、材料溶解時の温度を45℃に、且つホモミキサーの回転数を3,000rpmに、造粒時のホモミキサーの回転数を7,500rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー18を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー19の製造方法)
添加する低分子量ポリスチレン1を低分子量ポリスチレン4(Mw=5,000、Mn=1,700)に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー19を製造した。トナー物性を表4に示す。
(トナー20の製造方法)
下記材料を予め混合物し、二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた微粉砕物を分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に、トナー1と同様にして無機微粉体を外添し、トナー20を得た。トナー物性を表4に示した。
・結着樹脂 100部
[スチレン−n−ブチルアクリレート共重合樹脂(Mw=30,000、Tg=62℃)]
・C.I.Pigment Blue15:3 7部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 1.5部
(オリエント化学工業社製:ボントロンE88)
・低分子量ポリスチレン1(Mw=3,000、Mn=1,050) 25部
・炭化水素系ワックス 10部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク=78℃、Mw=750)
・ポリエステル樹脂 5部
[テレフタル酸:イソフタル酸:プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物):エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=30:30:30:10の重縮合物、酸価11、Tg=74℃、Mw=11,000、Mn=4,000]
(比較トナー1の製造方法)
低分子量ポリスチレン1を添加せず、添加するワックスをSP−1035(パラフィンワックス、日本精鑞製、最大吸熱ピーク=59℃)1部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を1.0部に、材料溶解時の温度を65℃に、且つホモミキサーの回転数を6,000rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にして比較用トナー1を製造した。トナー物性を表4に示す。
(比較トナー2の製造方法)
低分子量ポリスチレン1の添加量を35部に、ワックスの添加量を30部に、ポリエステル樹脂の添加量を1.5部に、材料溶解時の温度を45℃に、且つホモミキサーの回転数を3,000rpmに、造粒時のホモミキサーの回転数を7,500rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にして比較用トナー2を製造した。トナー物性を表4に示す。
(比較トナー3の製造方法)
添加するワックスをHNP−3(パラフィンワックス、日本精鑞製、最大吸熱ピーク=66℃)に、疎水性シリカ微粉体の添加量を6.5部に変更すること以外は、トナー1と同様にして比較用トナー3を製造した。トナー物性を表4に示す。
(比較トナー4の製造方法)
ポリエステル樹脂の添加量を30部に、疎水性シリカ微粉体の添加量を1.0部に、材料溶解時の温度を60℃に、且つホモミキサーの回転数を5,500rpmに変更すること以外は、トナー1と同様にして比較用トナー4を製造した。トナー物性を表4に示す。
Figure 2010128033
<実施例1乃至27、及び比較例1乃至11>
上記定着ローラ及びトナーについて、後述する(1)乃至(7)の各評価を実施した。以下に、具体的な評価方法を示す。
評価機としてLBP−5500(キヤノン社製)の改造機を使用し、図6に示す定着装置に、表5に記載の各定着ローラを具備させた。低温低湿環境下(15℃,10%RH)にて面積比率5%の印字比率の画像を連続モードで8,000枚まで耐久試験を行った。記録材にはA4サイズのCLCカラーコピー用紙(キヤノン社製、秤量80g/m2)を用いた。
評価は、カートリッジに表5に記載の各トナーを充填してシアンステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、(1)乃至(5)の項目について評価を行い、耐久試験後、(6)及び(7)の項目について評価を行った。評価結果については表5に示す。
(1)ウォームアップタイム測定
評価機を低温低湿環境(15℃,10%RH)に6時間放置し、電源を入れてから定着ローラ表面が200℃に達するまでの時間を測定した。
A:25秒未満。(良好)
B:25秒以上35秒未満。(実用上問題なし)
C:35秒以上45秒未満。(実用限度)
D:45秒以上。(実用上問題あり)
(2)耐低温オフセット性
記録材前半部がトナーの載り量を0.60mg/cm2としたベタ画像を、後半部が白地の画像を作像し、定着スピードを360mm/secとし、定着温度を170乃至200℃まで変調した。定着器通過時の記録材の後半部に、オフセット現象(定着画像の一部が定着器の部材表面に付着し、更に、次周回で記録材上に定着する現象)が生じた時点の定着加熱部表面の温度を測定し、低温オフセット現象発生温度とし、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:180℃未満。(良好)
B:180℃以上190℃未満。(実用上問題なし)
C:190℃以上195℃未満。(実用限度)
D:195℃以上。(実用上問題あり)
(3)耐高温オフセット性
記録材先端中央部にトナーを載り量0.25mg/cm2で、5cm×5cm面積のハーフトーン画像を作像し、定着スピードを120mm/secとし、定着温度を200乃至230℃まで変調した。定着器通過時の記録材の通紙方向後端部に、オフセット現象(定着画像の一部が定着器の部材表面に付着し、更に、次周回で記録材上に定着する現象)が生じた時点の定着加熱部表面の温度を測定し、高温オフセット現象発生温度とし、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:220℃以上(良好)
B:210℃以上220℃未満(実用上問題なし)
C:205℃以上210℃未満(実用限度)
D:205℃未満(実用上問題あり)
(4)低温定着性
記録材としてプローバーボンド紙(フォックスリバー社、秤量105g/m2)を用い、トナーの載り量を0.25mg/cm2としたハーフトーン画像を作像し、定着スピードを360mm/secとし、定着温度を変調して定着を行い、得られた定着画像をシンボル紙で、5往復、約100g荷重で察し、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で相加平均して10%以下となった温度を定着開始温度とした。
A:180℃未満。(良好)
B:180℃以上190℃未満。(実用上問題なし)
C:190℃以上200℃未満。(実用限度)
D:200℃以上。(実用上問題あり)
(5)画像光沢性
トナー載り量が0.5mg/cm2であるベタ画像を作成し、定着スピードを360mm/secとし、定着温度を200℃で定着を行い、「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。
A:25以上(良好)
B:20以上25未満(実用上問題なし)
C:15以上20未満(実用限度)
D:15未満(光沢画像としては不足)
(6)現像スジ
トナーの載り量を0.30mg/cm2としたハーフトーン画像を出力し、画像上及び現像ローラを目視で観察し、評価した。
A:現像ローラ上にも、ハーフトーン画像上にも、現像スジと見られる縦スジは見られない。実用上全く問題ないレベル。
B:現像ローラに周方向の細かいスジが1〜3本あるものの、ハーフトーン画像上には、縦スジは見られない。実用上問題ないレベル。
C:現像ローラに周方向の細かいスジが数本あり、ハーフトーン画像上にも細かいスジが数本見られる。しかし、画像処理で消せるレベルで、実用上ほぼ問題ないレベル。
D:現像ローラ上及びハーフトーン画像上に多数本のスジが見られ、画像処理でも消せない。実用上問題のあるレベル。
(7)カブリ
「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターはアンバーライトフィルターを用いた。
A:1.0%未満(良好)
B:1.0%以上2.0%未満(実用上問題なし)
C:2.0%以上3.0%未満(実用限度)
D:3.0%以上(実用上問題あり)
Figure 2010128033
本発明のトナー1の熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される電流を示す図面である。 本発明のトナー1の熱刺激電流測定装置で2回目昇温時に測定される電流を示す図面である。 本発明における像加熱部材の構成図である。 本発明で好ましく用いられるリング塗工装置の構成図である。 本発明に用いることのできる画像形成装置の構成図である。 本発明における定着装置の構成図である。 本発明で使用した荷電装置の概略図である。 本発明で使用した熱刺激電流(TSC)測定装置の概略図である。

Claims (28)

  1. 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
    該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
    該像加熱部材は、最表層として厚さ5乃至200μmの離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
    該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/(m・K)以上の熱伝導フィラーを含有し、
    該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
    該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10乃至3.00質量%であり、
    該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100乃至600J/(m2・K)であり、
    該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
    −15≦T2−T1≦15
    であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 該像加熱部材の表面粗さRzが1.0乃至10.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 該像加熱部材の離型層がフッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 該像加熱部材の蓄熱層の中に熱伝導フィラーが10乃至50質量%で含有されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 該像加熱部材のマイクロ硬度が30乃至68°であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 該弾性層は熱伝導率が0.15W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 該P1を示す電流の絶対値が、4.0×10-14乃至60.0×10-14Aであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 該T1と該T2との関係が、
    −10≦T2−T1≦10
    であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 該T1と該T2との関係が、
    −7≦T2−T1≦5
    であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 該トナー粒子は、水系媒体中で製造することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 該ワックスが、少なくとも炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 該熱刺激電流測定において、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃の範囲に、2つのピーク(P2、P3)を有し、高温側のピーク(P3)が85℃以上に存在することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 該P3を示す電流の絶対値が、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 該P2を示す電流の絶対値が、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有しており、
    該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
    該像加熱部材は、最表層として厚さ5乃至200μmの離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
    該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/(m・K)以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
    該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10乃至3.00質量%であり、
    該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100乃至600J/(m2・K)である画像形成方法に適用されるトナーであって、
    該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有し、該トナーの熱刺激電流測定装置で1回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至100℃にメインピーク(P1)を有し、該P1を示す電流の絶対値が、0.1×10-14乃至1000.0×10-14Aであり、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃にピーク(P2)を有し、該P1を示す温度T1(℃)と該P2を示す温度T2(℃)の関係が、
    −15≦T2−T1≦15
    であることを特徴とするトナー。
  16. 該像加熱部材の表面粗さRzが1.0乃至10.0μmであることを特徴とする請求項15に記載のトナー。
  17. 該像加熱部材の離型層がフッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であることを特徴とする請求項15又は16に記載のトナー。
  18. 該像加熱部材の蓄熱層の中に熱伝導フィラーが10乃至50質量%で含有されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のトナー。
  19. 該像加熱部材のマイクロ硬度が30乃至68°であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のトナー。
  20. 該弾性層は熱伝導率が0.15W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のトナー。
  21. 該P1を示す電流の絶対値が、4.0×10-14乃至60.0×10-14Aであることを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載のトナー。
  22. 該T1と該T2との関係が、
    −10≦T2−T1≦10
    であることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のトナー。
  23. 該T1と該T2との関係が、
    −7≦T2−T1≦5
    であることを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに記載のトナー。
  24. 該トナー粒子は、水系媒体中で製造することを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のトナー。
  25. 該ワックスが、少なくとも炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする請求項15乃至24のいずれかに記載のトナー。
  26. 該熱刺激電流測定において、2回目昇温時に測定される熱刺激電流の電流値が、少なくとも60乃至110℃の範囲に、2つのピーク(P2、P3)を有し、高温側のピーク(P3)が85℃以上に存在することを特徴とする請求項15乃至25のいずれかに記載のトナー。
  27. 該P3を示す電流の絶対値が、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aであることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載のトナー。
  28. 該P2を示す電流の絶対値が、1.0×10-14乃至50.0×10-14Aであることを特徴とする請求項15乃至27のいずれかに記載のトナー。
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