JP2016057397A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】ポリエステル樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を含む結着樹脂と、炭化水素系ワックスと、スチレン骨格を有する単量体のオリゴマーであって、トナー粒子に対する含有量が1質量%以上6質量%以下であるオリゴマーと、を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
例えば、特許文献1には、「ポリエステル樹脂の合成により生成する分子量1000以下のオリゴマーの含有比率が1000質量ppm以下である静電荷像現像用トナー」が開示されている。
また、特許文献2には、「結着樹脂および離型剤を含有するトナーであって、前記結着樹脂が、第一の樹脂として芳香環を含有するジオールとヒドロキシカルボン酸とから得られるポリヒドロキシカルボン酸骨格を有するオリゴマーを伸張させた直鎖状ポリエステル樹脂を含有する電子写真用トナー」が開示されている。
また、特許文献3には、「結着樹脂と、表面にシランオリゴマーの縮合物を含有する被覆層を有するカーボンブラックと、を含み、湿式製法で製造された静電荷像現像用トナー」が開示されている。
また、特許文献4には、「実質的に末端基を有しない環状オリゴマー及び環状ポリマーから選択される少なくとも1種の環状化合物を含有することを特徴とする電子写真用トナー」が開示されている。
また、特許文献5には、「ポリエステル樹脂が50〜80%、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂が20〜50重量%からなり、ビスフェノールA−PO付加体とビスフェノールA−EO付加体の合計の含有量が2.0重量%以下であり、かつ、スチレンオリゴマーを100ppm以下含有する結着樹脂と、着色剤とを含むトナー」が開示されている。
また、特許文献6には、「スチレン系樹脂、及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記スチレン系樹脂が、ゲルろ過クロマトグラムにおける分子量ピークを3,000〜80,000に1つ以上有する低分子量体であるスチレンホモポリマー、及び80,000〜1,500,000に1つ以上有する高分子量体より成り、且つ、低分子量体と高分子量体の重量比率が80〜40:20〜60である静電荷像現像用トナー」が開示されている。
また、特許文献7には、「低分子量樹脂、高分子量樹脂、ワックス類を含む原材料を共存させて混合する工程を有する静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法において、低分子量樹脂がスチレン系重合体であり、低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)が2,000〜50,000の範囲であり、低分子量樹脂のGPC分子量ピーク値(Mp)が1,500〜30,000の範囲にあり、且つ低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4未満である静電荷像現像用トナー用結着樹脂の製造方法」が開示されている。
特開2014−029473号公報 特開2012−118494号公報 特開2011−069895号公報 特開2003−186236号公報 特開2000−347450号公報 特開2004−177983号公報 特開2005−165124号公報
本発明の課題は、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
ポリエステル樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を含む結着樹脂と、
炭化水素系離型剤を含む離型剤と、
スチレン骨格を有し、トナー粒子に対する含有量が1質量%以上6質量%以下であるオリゴマーと、
を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナー。
請求項2に係る発明は、
前記スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の含有量が、全結着樹脂に対して5質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項3に係る発明は、
前記オリゴマーが、ゲル濾過クロマトグラムによる分子量分布の最大ピークを分子量200以上8000以下の範囲内に有する請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項4に係る発明は、
前記炭化水素系離型剤が、1回目の昇温および降温と2回目の昇温とを経る示差走査熱量測定による吸熱ピークを有し、2回目の昇温で測定される最大吸熱ピークを80℃以上120℃以下の範囲内に有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項5に係る発明は、
前記オリゴマーが、炭素及び水素を全構成元素に対して95原子%以上含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項8に係る発明は、
請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項9に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着部材、及び、前記トナー画像が定着された記録媒体を定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材を有する定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項10に係る発明は、
前記記録媒体が前記定着部材から前記案内部材に至るまでの距離が、1m以内である請求項9に記載の画像形成装置。
請求項11に係る発明は、
前記案内部材が、ロール部材である請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置。
請求項12に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項6に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着部材により定着する定着工程であって、前記トナー画像が定着された記録媒体を、定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材により案内する定着工程と、
を有する画像形成方法。
請求項13に係る発明は、
前記記録媒体が前記定着部材から前記案内部材に至るまでの距離が、1m以内である請求項12に記載の画像形成方法。
請求項14に係る発明は、
前記案内部材が、ロール部材である請求項12又は請求項13に記載の画像形成方法。
請求項1に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項2に係る発明によれば、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の含有量が5質量%未満の場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項3に係る発明によれば、オリゴマーの分子量分布の最大ピークを分子量200以上8000以下の範囲内に有さない場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項4に係る発明によれば、炭化水素系離型剤における2回目に昇温したときの最大吸熱ピークを80℃以上120℃以下の範囲内に有さない場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項5に係る発明によれば、オリゴマーが炭素及び水素を全構成元素に対して95原子%未満で含む場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項6、7、又は8に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含むトナーを適用した場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、又はプロセスカートリッジが提供される。
請求項9に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項10に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、記録媒体が定着部材から案内部材に至るまでの距離が1m以内と短いときでも、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項11に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、案内部材としてロール部材を備えるときでも、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成装置が提供される。
請求項12に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成方法が提供される。
請求項13に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、記録媒体が定着部材から案内部材に至るまでの距離が1m以内と短いときでも、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成方法が提供される。
請求項14に係る発明によれば、ポリエステル樹脂、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂、および炭化水素系離型剤を含むトナー粒子に、更に、スチレン骨格を有するオリゴマーを1質量%未満又は6質量%を超えて含む静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べ、案内部材としてロール部材に使用したときでも、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生を抑制する画像形成方法が提供される。
は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 は、本実施形態に係る画像形成装置の定着装置周囲を拡大した部分概略断面図である。 は、本実施形態に係る画像形成装置の定着装置を示す概略斜視図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する)は、トナー粒子を有している。
そして、トナー粒子は、ポリエステル樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を含む結着樹脂と、炭化水素系離型剤と、スチレン骨格を有するオリゴマー(以下「スチレン系オリゴマー」と称する)と、を含有する。スチレン系オリゴマーの含有量は、トナー粒子に対して1質量%以上6質量%以下である。
ここで、離型剤を用いたトナーにより画像を形成すると、定着時に離型剤が画像の表面に染み出すことで、定着部材に対する画像の剥離性が高まり、画像の光沢が得られる。一方、画像が定着された記録媒体は、定着部材を通過後、案内部材(例えば、図2〜図3に示す定着装置200における、剥離ガイド220の各リブ、搬送路部材206の各リブ、及びピンチローラ214等)により案内され、装置外へと排出される。この案内部材は、冷却しきらないうちに、画像の一部に接触することで、記録媒体を案内している。
しかし、冷却しきらないうちに、画像の一部に案内部材が接触すると、接触した部分の方が接触しない部分よりも速く冷却され、接触した部分と接触しない部分とで、離型剤の再結晶化速度の差が生じる。具体的には、接触した部分は離型剤の再結晶化速度が遅くなり、接触しない部分は離型剤の再結晶化速度が速くなる。部分的に離型剤の再結晶化速度の差が生じると、画像の光沢ムラが生じることがある。
更に、ポリエステル樹脂とスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂とは相溶性が低く、かつ離型剤はこれらの樹脂のいずれとも相溶性が低い。このため、結着樹脂としてポリエステル樹脂とスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を用いた場合、定着時に染み出した離型剤は、ポリエステル樹脂に比べ疎水性の低いスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂に近いところに偏在し易くなる。
そして、離型剤が偏在化した上で、部分的な離型剤の再結晶化速度の差が生じると、画像の光沢ムラはより生じやすくなる。
これに対して、本実施形態に係るトナーでは、上記構成により、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラ(以下、単に「画像の光沢ムラ」とも称する)の発生を抑制する。この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推察される。
まず、スチレン系オリゴマーは、スチレン骨格を有するため、炭化水素構造を持つ炭化水素系離型剤との相溶性が高い。炭化水素系離型剤と共に、上記範囲の量でスチレン系オリゴマーを含むトナー粒子が定着時に溶融したときに、スチレン系オリゴマーと炭化水素系離型剤が相溶し易くなる。特に、スチレン系オリゴマーは低分子量体であるため、スチレン系オリゴマーと炭化水素系離型剤との相溶が迅速に実現する。そして、炭化水素系離型剤にスチレン系オリゴマーが相溶すると、離型剤の再結晶化が阻害され易くなる。これは、スチレン系オリゴマーは炭化水素系離型剤と比較し結晶化速度が遅いため、炭化水素系離型剤にスチレン系オリゴマーが相溶することで、画像の一部に案内部材が接触した時に瞬時に冷却され再結晶化速度が遅くなることを抑制すると考えられるためである。
そして、炭化水素系離型剤の再結晶化が阻害され易くなると、部分的な離型剤の再結晶化速度の差自体が抑えられる。
更に、結着樹脂としてポリエステル樹脂及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を含むトナー粒子に、スチレン系オリゴマーを含めると、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂が分散剤として機能し、スチレン系オリゴマーの分散性が高まる。このため、炭化水素系離型剤の再結晶化を阻害する機能が発揮さ易くなる。
以上から、本実施形態に係るトナーでは、定着後の案内部材との接触による画像の光沢ムラの発生が抑制される。
なお、この画像の光沢ムラは、低温低湿環境下(例えば10℃、15%RHの環境下)で、記録媒体としてコート紙(紙面に塗料又は合成樹脂等を塗布した紙)に、画像面積率が100%のベタ画像(記録媒体の生地が目視されない画像)を形成したときに生じ易い。しかし、本実施形態に係るトナーでは、コート紙にベタ画像を形成しても、画像の光沢ムラの発生が抑制される。
また、この画像の光沢ムラの抑制には、案内部材を使用しない、又は画像全体に接触する案内部材を使用する態様も有効あるが、装置の重量の増大化、装置の大型化を招きやすい。しかし、本実施形態に係るトナーでは、これら態様を採用しなくても、画像の光沢ムラの発生が抑制される。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂、離型剤、およびスチレン系オリゴマーを含む。トナー粒子には、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んでもよい。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂とが適用される。
ポリエステル樹脂について説明する。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂について説明する。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂は、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、を少なくとも共重合した共重合体が挙げられる。なお、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、その他のモノマーを共重合した共重合体であってもよい。
ここで、「(メタ)アクリル」等の記述は、「アクリル」及び「メタクリル」等のいずれをも含む表現である。
スチレン系単量体は、スチレン骨格を有する単量体である。スチレン系単量体としては、具体的には、スチレン;ビニルナフタレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のアルキル置換スチレン;p−フェニルスチレン等のアリール置換スチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシ置換スチレン;p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン;m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のニトロ置換スチレン;などが挙げられる。これらの中でも、スチレン系単量体としては、スチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン等がよい。
これらのスチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリロイル基を有し、アルキル基が(メタ)アクリル酸にエステル結合した単量体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、具体的には、(メタ)アクリル酸n−メチル、(メタ)アクリル酸n−エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ノナンジオールジ(メタ)アクリラート、デカンジオールジ(メタ)アクリラート等のジ(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル等の(メタ)アクリル酸カルボキシ置換アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシ置換アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル;
等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、定着性の点から、炭素数2以上14以下(好ましくは炭素数2以上10以下、より好ましくは3以上8以下)のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルがよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記した(メタ)アクリル酸エステルの他、(メタ)アクリル酸も挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和ニトリル類(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、ジビニル類(アジピン酸ジビニル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、ブタジエン等)、等が挙げられる。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂において、スチレン系単量体の全重合成分に対する割合(即ち、スチレン系単量体に由来する繰り返し単位の樹脂全体の質量に対する割合)は、画像保存性の点から、60質量%以上がよく、好ましくは65質量%以上90質量%以下、より好ましくは70質量%以上85質量%以下である。
一方、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの全重合成分に対する割合(即ち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位の樹脂全体の質量に対する割合)は、定着性の点から、10質量%以上40質量%以下がよく、より好ましくは10質量%以上35質量%以下である。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、トナーの粉体特性に優れる点から、40℃以上70℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度と同様に測定される。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)は、トナーの粉体特性に優れる点から、20,000以上200,000以下が好ましく、40,000以上100,000以下がより好ましい。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000以上30,000以下が好ましい。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1以上10以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ポリエステル樹脂の分子量と同様にして測定される。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の合成には、周知の重合法(乳化重合法、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合等のラジカル重合法)が適用される。
なお、重合の際、架橋剤(例えば、デカンジオールジアクリラート)の量を調整することで、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の架橋密度を制御してもよい。
他の結着樹脂について説明する。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂およびスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂以外の他の樹脂も含んでもよい。但し、全結着樹脂に占めるポリエステル樹脂およびスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の割合は、55質量%以上(好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とすることがよい。
他の結着樹脂としては、例えば、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂以外のビニル樹脂(例えばスチレン樹脂、アクリル酸アルキル樹脂等)、非ビニル樹脂(例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等)等等が挙げられる。
結着樹脂の含有量について説明する。
結着樹脂の含有量は、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂の含有量は、定着性の点から、結着樹脂全体に対し50質量%以上95質量%以下(好ましくは60質量%以上80質量%以下)である。
スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の含有量は、定着性と帯電性との両立の点から、結着樹脂全体に対し5質量%以上50質量%以下(好ましくは5質量%以上30質量%以下)がよい。特に、スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の含有量を5質量%以上30質量%以下(好ましくは10質量%以上30質量%以下)とすると、スチレン系オリゴマーの分散性が高まり、画像の光沢ムラの発生が抑制され易くなる。また、トナーの帯電性も高まる。
−離型剤−
離型剤としては、炭化水素系離型剤が適用される。
炭化水素系離型剤は、炭化水素を骨格として有するワックスである。炭化水素系離型剤としては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレン系ワックス(ポリエチレン骨格を有するワックス)、ポリプロピレン系ワックス(ポリプロピレン骨格を有するワックス)、パラフィン系ワックス(パラフィン骨格を有するワックス)、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
炭化水素系離型剤は、画像の光沢ムラ抑制の点から、1回目の昇温および降温と2回目の昇温とを経る示差走査熱量測定による吸熱ピークを有し、2回目の昇温で測定される最大吸熱ピーク(以下、「最大第2吸熱ピーク」とも称する)を80℃以上120℃以下(好ましくは90℃以上110℃以下)の範囲内に有することがよい。なお、最大吸熱ピークを有するとは、ベースラインとなる温度が70℃以上130℃以下を基準とし、この基準から高さ0.2mW以上のピークを有することである。
炭化水素系離型剤の最大第2ピークが上記範囲内に有すると、スチレン系オリゴマーとの相溶性がより高まり、画像の光沢ムラが抑制され易くなる。
なお、炭化水素系離型剤の最大第2ピークは、具体的には、示差走査熱量計((株)島津製作所製「DSC−60型」)を用いて、1)1回目の昇温として、10℃/分の昇温速度で室温(25℃)から150℃まで加熱し、2)150℃で5分間保持した後、3)1回目の降温として150℃から10℃/分の降温速度で0℃まで冷却し、3)0℃で5分間保持した後、4)10℃/分の昇温速度で0℃から150℃まで加熱したときに測定される最大吸熱ピークである。
離型剤は、炭化水素系離型剤以外にも他の離型剤を含んでもよい。但し、全離型剤に対する炭化水素系離型剤の割合は、85質量%以上(好ましくは95質量%以上)とすることがよい。
他の離型剤としては、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;等が挙げられる。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−スチレン系オリゴマー
スチレン系オリゴマーは、スチレン骨格を有するオリゴマーである。スチレン系オリゴマーは、例えば、単量体を重合度2以上100以下で重合したオリゴマーである。スチレン系オリゴマーとして、スチレン骨格を有する単量体が単独で重合したオリゴマー、スチレン骨格を有する単量体と他の単量体とが共重合したオリゴマーが挙げられる。
スチレン系オリゴマーは、炭化水素系離型剤との相溶性を高め、画像の光沢ムラを抑制する点から、スチレン骨格を有する単量体が単独で重合したオリゴマーがよい。
なお、スチレン骨格を有する単量体と他の単量体とが共重合したオリゴマーの場合、このオリゴマーは、スチレン骨格を有する単量体に由来する成分を全成分に対して50質量%以上(好ましくは70質量%、より好ましくは90質量%以上)で含むことがよい。
スチレン骨格を有する単量体としては、例えば、下記一般式(St)で示される化合物が挙げられる。
一般式(St)中、Rst1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基を表す。
st2は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基を表す。
st3は、水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基を表す。
st1、Rst2、およびRst3が表すアルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐状、又は環状(好ましくは直鎖状、又は分岐状)で、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上10以下)のアルキル基が挙げられる。アルキル基は、フェニル基等のアリール基で置換された置換アルキル基も含む。
st1、Rst2、およびRst3が表すアリール基は、フェニル基、ベンジル基、トリル基が挙げられる。アリール基は、アルキル基等で置換された置換アリール基も含む。
特に、一般式(St)で示される化合物は、Rst1が、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、Rst2が、水素原子、又はメチル基、エチル基を表し、Rst3が、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す化合物が好ましい。
スチレン骨格を有する単量体の例示としては、2,4−ジフェニル−1−ブテン、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセン等が挙げられる。
スチレン骨格を有する単量体に共重合してもよい他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等が挙げられる。
スチレン系オリゴマーは、ゲル濾過クロマトグラムによる分子量分布の最大ピークを分子量200以上8000以下(好ましくは200以上2000以下)の範囲内に有することがよい。なお、最大ピークを有するとは、ピーク収集時間0分以上15分以内を基準とし、この基準から高さ5mV以下のピークを有することである。
スチレン系オリゴマーの分子量分布のピークが、上記範囲内に有すると、炭化水素系離型剤との相溶性がより高まり、画像の光沢ムラが抑制され易くなる。
スチレン系オリゴマーは、ゲル濾過クロマトグラムによる重量平均分子量Mwは、200以上5000以下であることが好ましく、200以上1500以下がより好ましい。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、炭化水素系離型剤との相溶性がより高まり、画像の光沢ムラが抑制され易くなる。
なお、ゲル濾過クロマトグラムによる分子量分布のピーク、および重量平均分子量は、次に示す方法により測定される。
ゲル濾過クロマトグラム装置:東ソー(株)製;HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製;TSK gel Super HZM−H (6.0mm x 150mm) 2連、測定温度:40℃(カラム、検出器)、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流速:0.6ml/min、検出器:RI(示差屈折計)、試料濃度:0.2%(可溶分としての濃度)、試料注入量:10μl、試料前処理:試料をTHFに溶解し、0.45μmの耐溶剤性シリンジフィルタでろ過して測定試料とした。検量線:標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した。
スチレン系オリゴマーは、炭素及び水素を全構成元素に対して95原子%以上(好ましくは98原子%以上100原子%以下)含むことがよい。
スチレン系オリゴマーにおける炭素及び水素の含有率(C及びHの含有率)が、上記範囲であると、炭化水素系離型剤との相溶性がより高まり、画像の光沢ムラが抑制され易くなる。
なお、スチレン系オリゴマーにおける炭素及び水素の含有率は、次のようにして測定される。
トナー粒子をメタノール等の溶剤に溶かし、その溶液に超音波を付与して、スチレン系オリゴマー含有液を抽出する。抽出したスチレン系オリゴマー含有液を液体クロマトグラフにかけ、スチレン系オリゴマーを分離及び分取する。そして、分取したスチレン系オリゴマーのサンプルから、TCD検出器を用いたクロマト分析にて特定する。反応炉で焼かれた試料から発生する水素、炭素、窒素ガスをカラムで分離し、そのピーク面積から定量を行う。標準物質はアセトアニリドを用いる。このようにして、炭素及び水素の含有率を求める。
スチレン系オリゴマーの含有量は、トナー粒子に対する含有量が1質量%以上6質量%以下であり、画像の光沢ムラ抑制の点から、2質量%以上5質量%以下が好ましく、3質量%以上4質量%以下がより好ましい。
スチレン系オリゴマーの含有量は、次に示す方法により測定される。
トナー粒子をメタノール等の溶剤に溶かし、その溶液に超音波を付与して、スチレン系オリゴマー含有液を抽出する。抽出したスチレン系オリゴマー含有液を液体クロマトグラフにかけ、スチレン系オリゴマーを分離及び分取する。そして、スチレン系オリゴマーの含有量が既知のトナー粒子を用い、この操作を行って検量線を作成する。この検量線を元に、同操作を行い、トナー粒子中のスチレン系オリゴマーの含有量を求める。
なお、炭素及び水素の含有率、及びスチレン系オリゴマーの含有量を測定するときの液体クロマトグラフの条件(使用装置、使用条件等)は、以下の通りである。
分析装置はHPLC ELITE LaChrom L−2000シリーズ(日立ハイテクノロジーズ)である。カラムはInertsil ODS3(5μm)φ4.6×250mm(ジーエルサイエンス)、溶離液は0.1vol%リン酸/アセトニトリル=20/80を用いた。分析時間は90min(主なピークが検出される0min以上35min以下の領域を解析し、高分子成分を完全に追い出すため、35−90minカラムを洗浄した)、サンプル注入量は10μl、測定波長は210nmとした。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂、及び離型剤と必要に応じて着色剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、芯部、及び被覆部の少なくとも一方に含まれる。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上9μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
ここで、凝集合一法において、スチレン系オリゴマーは、上記工程のうち、少なくとも一つの工程において、分散液に添加する。また、後述するコア/シェル構造のトナー粒子を製造する場合、スチレン系オリゴマーは、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後に、各分散液に添加してもよい。
その他、結着樹脂としてのスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の合成条件を変更し、スチレン系オリゴマーを生成し、スチレン系オリゴマーを含むスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を使用してもよい。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着部材、及びトナー画像が定着された記録媒体を定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材を有する案内手段を有する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像定着部材によりを定着する定着工程であって、トナー画像が定着された記録媒体を、定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材により案内する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
ここで、記録媒体が定着部材から案内部材に至るまでの距離が、1m以内(好ましくは0.02m以上で、0.3m以内)であることがよい。この距離は、記録媒体が定着部材との接触が終了した地点から、案内部材との接触が開示した地点までの記録媒体の搬送路にそった距離である。この距離が1m以内と短いと、定着後の画像が冷却しきれておらず、画像の光沢ムラが発生し易い。特に、案内部材がロール部材であると、画像と接触する面積がリブ部材に比べ大きいことから、画像の光沢ムラが顕著に表れる。これに対して、本実施形態では、画像の光沢ムラが発生し易い状況でも、当該画像の光沢ムラの発生が抑制される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る画像形成装置の定着装置周囲を拡大した部分概略断面図である。図3は、本実施形態に係る画像形成装置の定着装置を示す概略斜視図である。
図1に示す画像形成装置10は、下部に用紙P(記録媒体の一例)が束状に積層されて収納される給紙容器14、15と、上部に排紙口40から外部へ排出された画像形成済みの用紙Pを配置する排紙部20と、を備えている。また、画像形成装置10は、給紙容器14、15および排紙部20の間に用紙Pに画像を形成する画像形成部11と、画像形成動作を制御する制御部12と、電源ユニット13と、を備えている。また、画像形成装置10は、装置の各画像形成工程に用紙Pを案内するための用紙搬送路、及び用紙搬送路に設けられて用紙Pを搬送するための搬送ローラを複数備えている。なお、図中の矢印Uは画像形成装置10の上方向を示し、矢印Fは前方向を示し、矢印Hは左右方向を示している。
画像形成装置10には、給紙容器14の先端側(装置前方側)から装置前斜め上方に向かって湾曲する第1給紙搬送路80、及び、給紙容器15の先端側(図1では装置前方の先端側)から装置前斜め上方に向かって湾曲する第2給紙搬送路82が設けられている。これらの給紙搬送路は、給紙容器14よりも上方に設けられた一対の位置合せローラ24の手前(下方)で合流している。
また、画像形成装置10の装置前面側には、装置下部側に設けられたヒンジ10Bを回転軸にしてカバー10Aが開閉可能に取付けられている。このカバー10Aの前面には、前述のヒンジ10Bと回転軸を同じにした手差し容器10Cが設けられており、この手差し容器10Cを開くと、カバー10Aに設けられた用紙Pの投入口21が現れるようになっている。この投入口21は、画像形成装置10に設けられた第3給紙搬送路84の入口となっており、この第3給紙搬送路84は、投入口21から装置後斜め上方に向かって湾曲している。
給紙容器14の先端側の直上には用紙Pの上面の先端側を押付けるように給紙ローラ16が設けられ、この給紙ローラ16よりも装置前方側には給紙ローラ16に押付けられる分離ローラ18が設けられている。給紙ローラ16は給紙容器14の最上位にある用紙Pをピックアップし、用紙Pを分離ローラ18との間を通して、第1給紙搬送路80へと送り出すようになっている。また、分離ローラ18は、給紙ローラ16によって取り出された用紙Pを捌く(複数枚取り出された場合に捌く(分離する))ようになっている。
同様に、給紙容器15の先端側の直上には用紙Pの上面の先端側を押付けるように給紙ローラ17が設けられ、この給紙ローラ17よりも装置前方側には給紙ローラ17に押付けられる分離ローラ19が設けられている。給紙ローラ17は給紙容器15の最上位にある用紙Pをピックアップし、用紙Pを分離ローラ19との間を通して、第2給紙搬送路82へと送り出すようになっている。また、分離ローラ19は、給紙ローラ17によってピックアップされた用紙Pを捌く(複数枚ピックアップした場合に捌く(分離する))ようになっている。
なお、第2給紙搬送路82上には、一対の位置合せローラ25が設けられており、位置合せローラ25は、第2給紙搬送路82に送られた用紙Pを搬送して位置合せローラ24側へ送り出すようになっている。
また、画像形成装置10には、位置合せローラ24から送り出された用紙Pを画像形成部11の定着装置200に向かって案内するための画像形成搬送路86が設けられており、この画像形成搬送路86は位置合せローラ24から上方の定着装置200へ延びている。
画像形成搬送路86には、用紙Pを静電吸着して定着装置200へ搬送する無端状の搬送ベルト26が設けられている。搬送ベルト26は、上方に配置された回転ローラ27と、下方に配置された回転ローラ29に張力を付与されつつ支持されている。回転ローラ27及び回転ローラ29の何れかが、一方の方向(図1において、反時計回り方向)へ回転駆動することにより、搬送ベルト26が一方の方向(図1において、反時計回り方向)へ回転(循環駆動)するようになっている。
搬送ベルト26の画像形成搬送路86の上流側(単に「上流側」という場合もある)には、搬送ベルト26の表面上を帯電させると共に、搬送ベルト26へ静電吸着される用紙Pを搬送ベルト26へ押し当てる帯電ローラ32が搬送ベルト26に隣接して設けられている。
また、画像形成搬送路86を間に挟んで、搬送ベルト26に対向する位置には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数のプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが、画像形成搬送路86に沿って、略垂直方向へ縦列配置されている。なお、画像形成部11は、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28K、転写装置39及び定着装置200を含んで構成されている。
各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kには、それぞれ、一方の方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体ドラム(像保持体の一例)30が設けられている。この感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、それぞれ、感光体ドラム30上を帯電する帯電ローラ(帯電手段の地位例)32と、帯電した感光体ドラム30を露光して感光体ドラム30上に静電荷像を形成する静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)34と、感光体ドラム30上に形成された静電荷像へ各色のトナーを付着させて現像する現像ローラ(現像手段の一例)36と、転写後の感光体ドラム30を除電する除電ブラシ37(除電手段の一例)と、除電された感光体ドラム30の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレード38(クリーニング手段の一例)と、が設けられている。なお、クリーニングブレード38で感光体ドラム30の表面から除去されたトナーは、トナー搬送部材(オーガ)35により一方に搬送され、図示しないトナー回収容器に排出されるようになっている。
また、帯電ローラ32及び現像ローラ36は、各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kに、それぞれ設けられている。各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kは、図示しないが、左方向(装置前方)へ着脱可能となっている。
露光装置34は、具体的には、筐体内に半導体レーザ、ポリゴンミラー、結像レンズ、及びミラーが配設されており、半導体レーザからの光は、ポリゴンミラーで偏向走査され、結像レンズとミラーを介して感光体ドラム30に照射されるようになっている。これにより、感光体ドラム30に、画像情報に応じた静電荷像が形成される。
感光体ドラム30の前方向の搬送ベルト26の内周側には、それぞれ感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を用紙Pへ転写する転写装置39が設けられている。
画像形成搬送路86の下流側(単に「下流側」という場合もある)には、転写されたトナー画像を用紙Pへ定着させる定着装置(定着手段の一例)200が設けられている。この定着装置200は、加熱ローラ62と、この加熱ローラ62に押付けられる加圧ローラ64とのロール対(定着部材の一例)を備えている。加熱ローラ62と加圧ローラ64との間に形成されるニップ部66に用紙Pを通すことで、用紙P上のトナーが溶融して、転写されたトナー画像(未定着のトナー画像)が定着される。
画像形成装置10には、定着装置200で定着処理された用紙Pを排紙口40へ案内するための第1用紙搬送路88が設けられている。排紙口40には、正転又は逆転可能な駆動モータ(不図示)を駆動源にして回転する排出ローラ210と、排出ローラ210の下面側に押付けられるピンチローラ214(案内部材の一例)が設けられている。このピンチローラ214は、ピンチローラ214よりも下方に設けられたねじりコイルばね240(図2参照)によって排出ローラ210に押付けられており、排出ローラ210と連れ回りするようになっている。これにより、画像形成終了時、用紙Pは第1用紙搬送路88を通り、排出ローラ210とピンチローラ214とで搬送されて排紙口40から排紙部20へと案内される。
また、排紙口40の手前には、図示しない用紙センサーが設けられており、排紙口40における用紙Pの有無を検知するようになっている。
両面に画像を形成する場合、片面に画像が形成された用紙Pを排出ローラ210とピンチローラ214とで搬送し、用紙Pの後端部が排出ローラ210とピンチローラ214のニップ部に近づいた辺りで、排出ローラ210を逆転させ(具体的には駆動モータを逆転させる)、用紙Pを後端部から第2用紙搬送路90へ送り戻すようになっている。排出ローラ210は、用紙センサーによる用紙Pの検知が有から無になるのを逆転のタイミングとしている。なお、排出ローラ210の逆転のタイミングは、この構成に限定されず、搬送中の用紙Pのサイズと搬送速度に基づいて決定してもよいものとする。
第2用紙搬送路90は、画像形成装置10に設けられ、第1用紙搬送路88よりも上方を通って装置前方に延び、そして画像形成搬送路86よりも装置前方側を通って下方に延び、第3給紙搬送路84に途中で合流している。
第2用紙搬送路90には、用紙Pを下方へ搬送する複数(例えば、2つ)の一対の搬送ローラ48が配置されており、両面に画像を形成する場合、片面に画像が形成された用紙Pは、第2用紙搬送路90に導かれ、複数の搬送ローラ48によって下方へ搬送され、位置合せローラ24へ送り戻される。
次に、定着装置200について具体的に説明する。図2及び図3に示されるように、定着装置200は、ハウジング202を有している。このハウジング202は、画像形成装置10の左右方向の一方の内側壁面(図示省略)に取付けられる側壁部202Aと、他方の内側壁面(図示省略)に取付けられる側壁部202Bと、側壁部202Aと側壁部202Bとの下部側を連結する連結部202Cとで構成されている。この連結部202Cの上面202Dは、加熱ローラ62の上方に位置しており、上面202Dの装置後方側には、装置左右方向に渡って搬送路部材206が取付けられている。また、この搬送路部材206の装置前方側の立壁206Aと、連結部202Cの上面202Dと、側壁部202A及び側壁部202Bの夫々の内壁面と、で剥離ガイド220を取付けるガイド取付部(不図示)が形成(構成)されている。また、側壁部202Aと側壁部202Bとに、前述した加熱ローラ62、加圧ローラ64、排出ローラ210が回転可能に支持されている。
剥離ガイド220は、側面視(装置左右方向から見て)で略三角形であり、ハウジング202のガイド取付部(不図示)に取付けられている。また、剥離ガイド220の先端220Aは、加熱ローラ62に近接しており、加熱定着した後の用紙Pを加熱ローラ62から剥離するようになっている。さらに、剥離ガイド220の表面(装置前方側の面)には、第1用紙搬送路88に沿って延びるリブ222が加熱ローラ62の軸方向(即ち、装置左右方向)に並列して複数設けられ、リブ222の表面が第1用紙搬送路88の搬送路面220Bをなしている。このリブ222により、第1用紙搬送路88を通過する用紙Pと、剥離ガイド220の搬送路面220Bとの接触面積が小さくなるため、摩擦抵抗が減少し、用紙Pが第1用紙搬送路88を流れるようになる。
剥離ガイド220には、ストッパー224が設けられている。このストッパー224は板材であり、剥離ガイド220の後壁面の上端部から排出ローラ210側に張出している。また、ストッパー224の表面には前述のリブ222が延長され、リブ222Aが形成されている。
搬送路部材206の上面には排出ローラ210側に向かって延びるリブ208が設けられている。また、リブ208は、装置左右方向に並列して複数配置されている。また、リブ208は、正面視(装置前方から見て)にて剥離ガイド220のリブ222の間に入り込んでおり、側面視にてリブ222の表面とリブ208の表面とが作る面が面一となっている。
第1用紙搬送路88と第2用紙搬送路90とを構成する搬送路部材260(以下「ペーパーシュート260」と称する)が、剥離ガイド220と対向する位置に配置されている。このペーパーシュート260は、湾曲した芯材262を備え、この芯材262の装置左右方向の両端部には側壁264が設けられている。この側壁264の装置前方側には、側壁264をハウジング202に回動可能に支持する軸部265が設けられている。また、芯材262には、側面視にて略三角形状のリブ266が装置左右方向に並列して複数設けられ、加熱ローラ62及び加圧ローラ64を覆っている。なお、この芯材262の上面に位置するリブ266の表面は第2用紙搬送路90の搬送路面267とされている。
ペーパーシュート260は、第1用紙搬送路88上に用紙Pがない場合は、自重でリブ266の先端部が剥離ガイド220のリブ222の間に入り込んでいる。また、加熱ローラ62と加圧ローラ64とのニップ部66から用紙Pが送り出されると、送り出された用紙Pによって、ペーパーシュート260のリブ266の先端部が押し上げられ、用紙Pは第1用紙搬送路88を通り、排紙口40へ送られる。なお、用紙Pを反転するときは、排出ローラ210を逆転させ、ペーパーシュート260の搬送路面267上へ用紙Pを送り戻す。
ペーパーシュート260の上方には、ペーパーシュート260に対向してデュプレックスユニット269が配置されている。このデュプレックスユニット269は、カバー10Aに取付けられており、ペーパーシュート260との間に第2用紙搬送路90を形成している。
ハウジング202の側壁部202A及び側壁部202Bに夫々設けられた図示しない孔に軸部210Aを通して、排出ローラ210をハウジング202に回転可能に取付けられている。このとき、ねじりコイルばね240でピンチローラ214が排出ローラ210に押付けられようにしている。
以上説明した定着装置200では、加熱ローラ62と加圧ローラ64とのロール対により、用紙P上に転写されたトナー画像(未定着のトナー画像)を定着した後、剥離ガイド220により用紙Pを加熱ローラ62から剥離する。その後、用紙Pは、排出ローラ210とピンチローラ214とのローラ対により排紙口40へ送られる。このとき、用紙Pは、剥離ガイド220の各リブ、搬送路部材206の各リブ、及びピンチローラ214に、の画像(定着画像)の一部が接触しつつ搬送される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<ポリエステル樹脂分散液の調製>
(ポリエステル樹脂分散液(PE1))
・エチレングリコール〔和光純薬工業(株)製〕: 37質量部
・ネオペンチルグリコール〔和光純薬工業(株)製〕: 65質量部
・1,9 ノナンジオール〔和光純薬工業(株)製〕: 32質量部
・テレフタル酸〔和光純薬工業(株)製〕: 96質量部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度200℃まで上げ、反応系内が攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.4mgKOH/g、重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃であるポリエステル樹脂(PE1)を得た。
次いで、ポリエステル樹脂(PE1)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、
体積平均粒径D50v=160nm、固形分30%のポリエステル樹脂分散液(PE1)を得た。
<スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液の調製>
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1))
・スチレン :320質量部
・n−ブチルアクリレート :80質量部
・アクリル酸 :12質量部
・10−ドデカンチオール :2質量部
以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解したものにフラスコ中で乳化分散させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径D50v=150nm、ガラス転移温度Tg=50℃、重量平均分子量Mw=38000、固形分30%のスチレンアクリル樹脂酸アルキル共重合体粒子分散液(SA1)を得た。また、分散液中には、樹脂に対して15%のスチレンのオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA2))
内容物が60℃になるまでオイルバスで加熱し、乳化重合時間を1時間30分とした以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA2)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=160nm、ガラス転移温度Tg=55℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して30%のスチレンのオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA3))
内容物が80℃になるまでオイルバスで加熱し、3時間乳化重合した時点で重合開始剤過硫酸アンモニウム4質量部を追加で添加し、さらに2時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA3)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=100nm、ガラス転移温度Tg=40℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して5%のスチレンのオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA4))
内容物が80℃になるまでオイルバスで加熱した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA4)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=100nm、ガラス転移温度Tg=40℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して10%のスチレンのオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA5))
内容物が55℃になるまでオイルバスで加熱し、1時間乳化重合した時点でスチレンを100質量部追加で添加し、さらに1時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA5)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=200nm、ガラス転移温度Tg=60℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して60%のスチレンのオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA6))
内容物が60℃になるまでオイルバスで加熱し、1時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA6)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=160nm、ガラス転移温度Tg=55℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して35質量%のスチレンオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA7))
内容物が85℃になるまでオイルバスで加熱し、3時間乳化重合した時点で重合開始剤過硫酸アンモニウム4質量部を追加で添加し、さらに2時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA7)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=100nm、ガラス転移温度Tg=40℃であった。また、分散液中には、樹脂に対して2.5質量%のスチレンオリゴマーが生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA8))
内容物が85℃になるまでオイルバスで加熱し、3時間乳化重合した時点で重合開始剤過硫酸アンモニウム5質量部を追加で添加し、さらに3時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA8)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=100nm、ガラス転移温度Tg=40℃であった。また、分散液中には、スチレンのオリゴマーが樹脂に対して1質量%以下で生成され、ポリマー化したポリスチレンが樹脂に対して99%以上生成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA9))
n−ブチルアクリレートの代わりにジメチルアミノエチルメタクリレートを80質量部添加した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA9)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=150nm、ガラス転移温度Tg=50℃であった。また、分散液中には、炭素及び水素を全構成元素に対して80原子%含むスチレンのオリゴマーが形成されていた。
(スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA10))
内容物が85℃になるまでオイルバスで加熱し、3時間乳化重合した以外は、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1)と同様にして、固形分30%スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA10)を得た。分散液中のスチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子は、体積平均粒径D50v=200nm、ガラス転移温度Tg=50℃であった。また、分散液中には、分子量分布の最大ピークが10000を示すスチレンオリゴマーが生成されていた。
なお、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液の調製において、生成したスチレン系オリゴマーおよびポリスチレンの特性は、表1に示す。なお、表1において、ポリスチレンの特性は、スチレン系オリゴマーの欄に示す。
<着色剤粒子分散液の調製>
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・シアン顔料: 10質量部
〔PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製〕
・アニオン性界面活性剤: 2質量部
〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕
・イオン交換水: 80質量部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー〔HJP30006、(株)スギノマシン製〕により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20質量%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
<離型剤粒子分散液の調製>
(離型剤粒子分散液(1))
・ポリエチレンワックス: 50質量部
〔商品名 ポリワックス725、東洋アドレ(株)製、第2吸熱ピーク温度=105℃〕
・アニオン性界面活性剤: 2質量部
〔ネオゲンSC、第一工業製薬製〕
・イオン交換水: 200質量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製、ウルトラタラックスT50で混合・分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が200nm、固形分20質量%の離型剤粒子分散液(1)を得た。
(離型剤粒子分散液(2))
離型剤として、ポリエチレンワックス〔商品名 800PF、三井化学(株)製、最大第2吸熱ピーク温度=140℃〕を使用した以外は、離型剤粒子分散液(1)と同様にして、離型剤粒子分散液(2)を得た。
(離型剤粒子分散液(3))
離型剤として、パラフィンワックス〔商品名 HNP9、日本精蝋(株)製、最大第2吸熱ピーク温度=90℃〕を使用した以外は、離型剤粒子分散液(1)と同様にして、離型剤粒子分散液(3)を得た。
(離型剤粒子分散液(4))
離型剤として、エステルワックス〔商品名 WEP-5F、日本油脂(株)製、最大第2吸熱ピーク温度=90℃〕を使用した以外は、離型剤粒子分散液(1)と同様にして、離型剤粒子分散液(4)を得た。
<実施例1>
(トナー(1)の作製)
・ポリエステル樹脂粒子分散液(PE1) : 150質量部
・スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(SA1): 78質量部
・着色剤粒子分散液(1): 42質量部
・離型剤粒子分散液(1): 20質量部
・イオン交換水: 400質量部
上記の成分を、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で各成分が十分に混合するように分散した。その後、分散液に10%硫酸アルミニウム水溶液7質量部を加え、ウォーターバスを用いてフラスコ内の内容物を攪拌した。分散されたことを確認し、スリーワンモーター(新東科学株式会社製BLh300)を用いて、攪拌回転数150rpmで攪拌した後、0.5℃/分の昇温速度で45℃まで加熱攪拌し、45℃で60分間保持した。その後、追加のポリエステル樹脂粒子分散液(PE1)100質量部を添加し、60分間攪拌した。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が4.0μmの凝集粒子が生成していることが確認された。30%EDTA水溶液を7質量部添加したのちに、0.8M水酸化ナトリウム水溶液で、pHを7.5に調整した。その後、温度を上げて95℃において5時間放置し、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥して、体積平均粒径が5.1μmのトナー粒子(1)を得た。
その後、トナー粒子(1) 100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製、RY50)3.3質量部を添加した。次いで、ヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を得た。
<実施例2〜8>
表1に従って、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(表1中「StAc分散液」と表記)の種類及び量、並びに、離型剤粒子分散液(表1中「WAX分散液」と表記)の種類および量を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー(2)〜(8)を得た。
<比較例1>
スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液を使用せず、当該分散液に代えて、表1に示すスチレン系オリゴマーの欄に示す特性を持つスチレンオリゴマー12質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナー(C1)を得た。
<比較例2〜4>
表1に従って、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(表中「StAc分散液」と表記)の種類及び量、並びに、離型剤粒子分散液(表中「WAX分散液」と表記)の種類および量を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー(C2)〜(C4)を得た。
<比較例5>
スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液を使用せず、当該分散液に代えて、表1に示すスチレン系オリゴマーの欄に示す特性を持つスチレンモノマー2質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナー(C5)を得た。
<実施例9>
表1に従って、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(表中「StAc分散液」と表記)の種類及び量、並びに、離型剤粒子分散液(表中「WAX分散液」と表記)の種類および量を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー(9)を得た。
<比較例6>
スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液を使用せず、当該分散液に代えて、表1に示すスチレン系オリゴマーの欄に示すエステルオリゴマー(エポキシエステル70PA、共栄化学工業(株)製)2質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナー(C6)を得た。
<実施例10〜12>
表1に従って、スチレンアクリル酸アルキル共重合体樹脂粒子分散液(表1中「StAc分散液」と表記)の種類及び量、並びに、離型剤粒子分散液(表1中「WAX分散液」と表記)の種類および量を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー(9)〜(11)を得た。
<評価>
(現像剤の作製)
上記で作製したトナー 8質量部と下記キャリア(A)92質量部をVブレンダーにいれ20分間撹拌した後、105μmメッシュで篩分し、現像剤(1)を作製した。
−キャリア(A)の製造−
・フェライト粒子(体積平均粒径50μm) :100質量部
・トルエン :100質量部15質量部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分モル比:90/10) :2質量部
・カーボンブラック(R330、キャボット社製) :0.25質量部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラで撹拌させ、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダに入れ、60℃で25分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアAを作製した。このキャリア(A)は、形状係数=120、真比重=4.4、飽和磁化=63emu/g、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1000Ω・cmであった。
(光沢ムラの評価)
得られた現像剤を、富士ゼロックス(株)製「Docu Print P450 ps」の現像器に充填した。この装置は、図2〜図3に示す構造と同様の定着装置を備えている。そして、定着装置において、定着ロールとピンチローラとの距離が0.06mとなっている。
この装置により、A4サイズのコート紙(富士ゼロックスオフィシャルサプライ(株)製のJ COAT紙)に、用紙搬送方向と交差する幅方向全域にわたり、画像密度100%のべた画像を形成した。そして、べた画像を観察し、光沢ムラを以下の基準により評価した。
−評価基準−
2cm×2cmの範囲内でランダムに5点Glossを測定し、5点それぞれのGloss値の差を評価した。なお、Gloss測定条件は以下のとおりである。
Gloss測定装置:株式会社村上色彩技術研究所製 Gloss METER Model GM−26D For75、Angle:75°、校正板:Value 98.6
A(◎): Gloss値の差分がそれぞれ0以上1以内。
B(○): Gloss値の差分がそれぞれ1超え2以内。
C(△): Gloss値の差分がそれぞれ2超え3以内。
D(×): Gloss値の差分がそれぞれ4以上。
(帯電性の評価)
上記で作製したトナーの帯電性について、低温低室環境内(室温10度湿度20%)で外添トナーの帯電量を評価した。評価基準は、以下の通りである。
−評価基準−
A(◎): 40μC/g以上50μC/g以下。
B(○): 下限が35μC/g以上40μC/g以下、上限が50μC/g以上55μC/g以下。
C(△): 下限が30μC/g以上35μC/g以下、上限が55μC/g超え60μC/gμC/g未満。
D(×): 下限が30μC/g以下、上限が60μC/g超え。
以下、各例の詳細、および評価結果を一覧にして表1に示す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、光沢ムラが抑制される傾向があることがわかる。
なお、表1の略称の詳細は、以下の通りである。
・St Oligomer: スチレンオリゴマー
・St Monomer: スチレンモノマー
・Es Oligomer: エステルオリゴマー
・poly St: ポリスチレン
・PEW: ポリエステルワックス
・PAW: パラフィンワックス
・PEsW: エステルワックス
10 画像形成装置
12 制御部
13 電源ユニット
14、15 給紙容器
16、17 給紙ローラ
18、19 分離ローラ
20 排紙部
21 投入口
24、25 位置合せローラ
26 搬送ベルト
27、29 回転ローラ
28Y、28M、28C、28K プロセスカートリッジ
30 感光体ドラム(像保持体の一例)
32 帯電ローラ(帯電手段の一例)
34 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
36 現像ローラ(現像手段の一例)
37 除電ブラシ(除電手段の一例)
38 クリーニングブレード(クリーニング手段の一例)
39 転写装置(転写手段の一例)
40 排紙口
48 搬送ローラ
62 加熱ローラ(定着部材の一例)
64 加圧ローラ(定着部材の一例)
200 定着装置(定着装置の一例)
206 搬送路部材(案内部材の一例)
210 排出ローラ
214 ピンチローラ(案内部材の一例)
220 剥離ガイド(案内部材の一例)

Claims (14)

  1. ポリエステル樹脂、及びスチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂を含む結着樹脂と、
    炭化水素系離型剤を含む離型剤と、
    スチレン骨格を有し、トナー粒子に対する含有量が1質量%以上6質量%以下であるオリゴマーと、
    を含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナー。
  2. 前記スチレン(メタ)アクリル酸アルキル共重合体樹脂の含有量が、全結着樹脂に対して5質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記オリゴマーが、ゲル濾過クロマトグラムによる分子量分布の最大ピークを分子量200以上8000以下の範囲内に有する請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記炭化水素系離型剤が、1回目の昇温および降温と2回目の昇温とを経る示差走査熱量測定による吸熱ピークを有し、2回目の昇温で測定される最大吸熱ピークを80℃以上120℃以下の範囲内に有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記オリゴマーが、炭素及び水素を全構成元素に対して95原子%以上含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  8. 請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  9. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着部材、及び、前記トナー画像が定着された記録媒体を定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材を有する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  10. 前記記録媒体が前記定着部材から前記案内部材に至るまでの距離が、1m以内である請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記案内部材が、ロール部材である請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項6に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着部材により定着する定着工程であって、前記トナー画像が定着された記録媒体を、定着後のトナー画像の一部と接触して案内する案内部材により案内する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
  13. 前記記録媒体が前記定着部材から前記案内部材に至るまでの距離が、1m以内である請求項12に記載の画像形成方法。
  14. 前記案内部材が、ロール部材である請求項12又は請求項13に記載の画像形成方法。
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