JP6455041B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
近年、電子写真プロセスは、情報化社会における機器の発達や通信網の充実により、複写機のみならず、オフィスのネットワークプリンター、パソコンのプリンター、オンデマンド印刷のプリンター等にも広く利用され、白黒、カラーを問わず、高画質、高速化、高信頼性、小型化、軽量化、省エネルギー性能がますます強く要求されてきている。
電子写真プロセスは、通常、光導電性物質を利用した感光体(像保持体)上に種々の手段により電気的に静電荷像を形成し、この静電荷像をトナーを用いて現像し、感光体上のトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに紙等の記録媒体に転写した後、この転写画像を記録媒体に定着する、という複数の工程を経て、定着画像を形成している。
ここで、耐ブロッキング性を損なうことなく、耐オフセット性に優れたカプセルトナーを提供するため、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子と、離型剤微粒子および樹脂微粒子で構成され、前記トナー母粒子の表面を被覆する樹脂被覆層とを有するカプセルトナーであって、前記離型剤微粒子が、樹脂被覆層中に分散されていることを特徴とするカプセルトナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、保存性、低温定着性、ホットオフセット性に優れ、離型剤によるしみ、スジや、トナー凝集体等による画像欠陥のない高品質な画像を形成できるトナーを提供するため、少なくとも、結着樹脂、顔料、ワックスを含有するトナーであって、前記ワックスは、炭化水素系ワックスであり、トナー粒子中の前記ワックスドメインの短径と長径の比が2以上であり、トナー粒子の長径をD1、トナー粒子中のワックスドメイン粒子の長径をD2とするとき、0.5<D2/D1であるトナー粒子の含有率が5%以上、かつ、0.8<D2/D1であるトナー粒子の含有率が20%以下であることを特徴とするトナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−081344号公報 特開2013−003196号公報
本発明は、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
即ち、請求項1に係る発明は、
離型剤を含み下記条件(1)から下記条件(4)までを満たす離型剤ドメインを少なくとも一つ有するトナー粒子を含有し、
前記トナー粒子の全トナー粒子に占める割合が、30個数%以上である静電荷像現像用トナー。
条件(1): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さが300nm以上1500nm以下。
条件(2): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、3.0以上15.0以下。
条件(3): 前記離型剤ドメインの重心を中心とし前記トナー粒子の外縁と内接する円の円周と前記外縁との接点を通る接線と、前記離型剤ドメインの重心を通り前記離型剤ドメインの長軸方向に延伸させた線とのなす角度が、0°以上45°以下。
条件(4): 前記トナー粒子の円相当径と、前記離型剤ドメインの重心と前記接点との距離Aとの比(距離A/円相当径)が、0.03以上0.25以下。
請求項に係る発明は、
前記トナー粒子が、コア粒子と前記コア粒子を被覆する第一のシェル層と前記第一のシェル層を被覆する第二のシェル層とを有する請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
請求項に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項に係る発明は、
請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
請求項1に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される
請求項に係る発明によれば、少なくとも2つのシェル層を有することで、定着画像荒れの発生がより抑制される。
請求項に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像剤が提供される。
請求項に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジが提供される。
請求項に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジが提供される。
請求項に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像剤を用いる画像形成装置が提供される。
請求項に係る発明によれば、特定の離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有することで、定着画像荒れの発生が抑制される静電荷像現像剤を用いる画像形成方法が提供される。
本実施形態に係るトナー粒子の断面を表す図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 トナー粒子(1)の断面についての走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の実施形態について詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、トナーと称することがある)は、離型剤を含み下記条件(1)から下記条件(4)までを満たす離型剤ドメインを有するトナー粒子を含有するトナーである。
条件(1): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さが300nm以上1500nm以下。
条件(2): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ、以下、アスペクト比と称することがある)が、3.0以上15.0以下。
条件(3): 前記離型剤ドメインの重心を中心とし前記トナー粒子の外縁と内接する円の円周と前記外縁との接点を通る接線と、前記離型剤ドメインの重心を通り前記離型剤ドメインの長軸方向に延伸させた線とのなす角度(以下、離型剤ドメインの角度と称することがある)が、0°以上45°以下。
条件(4): 前記トナー粒子の円相当径と、前記離型剤ドメインの重心と前記接点との距離Aとの比(距離A/円相当径)が、0.03以上0.25以下。
本実施形態において、離型剤を含み上記条件(1)から上記条件(4)までを満たす離型剤ドメインを、特定離型剤ドメインと称することがある。
本実施形態に係るトナー粒子と離型剤ドメインとの関係について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るトナー粒子の断面を表す図である。図1において、トナー粒子100は、離型剤ドメイン102を複数有する。離型剤ドメイン102の重心Bを中心としトナー粒子100の外縁と内接する円は、図1中、円Cで表される。円Cの半径、つまり、トナー粒子100の外縁と円Cとが内接する接点と重心Bとの距離は、距離Aとされる。離型剤ドメイン102の重心Bを通り離型剤ドメイン102の長軸方向に延伸させた線は、線Dとされる。円Cの円周とトナー粒子100の外縁との接点を通る接線は、線Eとされる。線Dと線Eとのなす角度は、θとされる。
本実施形態に係るトナーを用いることで、定着画像荒れの発生が抑制される。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
離型剤ドメインが条件(1)を満たすことで、トナー定着の際の加熱により離型剤ドメインから染み出して離型性を発現するのに必要な離型剤の量が確保されると推察される。離型剤ドメインが条件(2)を満たすことで、長軸方向の長い離型剤ドメインは、定着時において用紙への接触面積が増え、有効な離型剤量が増えるためと推察される。離型剤ドメインが条件(3)を満たすことで、さらに定着時における用紙との接触面積が増えるため、定着時に効果的に離型剤が滲み出しやすくなると推察される。離型剤ドメインが条件(4)を満たすことで、離型剤ドメインがトナー粒子の表面付近に配置されるため、離型剤ドメインから染み出した離型剤がトナー粒子の外に滲み出しやすくなると推察される。そのため、特に低圧及び低温の条件下での定着の際において離型剤がトナー粒子の表面全体により均一に滲み出すと推察される。よって、本実施形態に係るトナーを用いることで、定着画像荒れの発生が抑制されるようになると推察される。
なお、特許文献1では、トナー粒子外延部に離型剤が存在することで、離型剤がトナー粒子内部にある場合と比較して離型剤がトナー粒子の外に滲み出しやすくなる。しかし、離型剤ドメイン形が球状であるため、定着時に用紙との接触面積が少なくなり離型剤ドメインからの離型剤の染み出し量が少なくなる。さらに離型剤ドメインからの染み出し方向も様々であるため、定着画像に均一に染み出すことは困難である。そのため、低圧定着時など、離型剤の染み出しが弱い条件下では、剥離性が低下し、定着画像荒れが起きやすい。
また、特許文献2では、コア中に離型剤が含有するため、ワックスの滲み出しが不足し、定着画像荒れが起きることがある。
本実施形態において、条件(1)で規定される離型剤ドメインの長軸方向の長さが300nm以上であれば、トナー定着の際の加熱により離型剤ドメインから染み出して離型性を発現するのに必要な離型剤の量が確保される。一方、離型剤ドメインの長軸方向の長さが1500nm以下であれば、トナー表面の離型剤量が増えすぎず、離型剤が露出しにくい。そのため、帯電特性の低下、トナー間凝集が起きにくい。
特定離型剤ドメインの長軸方向の長さは、400nm以上1200nm以下が好ましく、500nm以上1200nm以下がより好ましい。
本実施形態において、条件(2)で規定される離型剤ドメインのアスペクト比が3.0以上であれば、定着時に用紙と離型剤ドメインとの接触面積が多くなり、離型剤が染み出しやすい。一方、離型剤ドメインのアスペクト比が15.0以下であれば、トナー中の離型剤分布が偏在しにくく、剥離性が低下しにくい。離型剤ドメインのアスペクト比は、3.0以上12.0以下が好ましく、4.0以上12.0以下がより好ましい。
本実施形態において、条件(3)で規定される離型剤ドメインの角度が45°以下であれば、離型剤ドメインから染み出した離型剤がトナー粒子の外に向けて滲み出しやすい。離型剤ドメインの角度は、0°以上30°以下が好ましく、0°以上25°以下がより好ましい。
本実施形態において、条件(4)で規定される比(A/円相当径)が0.03以上であれば、離型剤がトナー粒子の表面に露出しにくい。一方、比(A/円相当径)が0.25以下であれば、離型剤ドメインから染み出した離型剤がトナー粒子の外に向けて滲み出しやすい。比(A/円相当径)は、0.03以上0.20以下が好ましく、0.03以上0.15以下がより好ましい。
本実施形態において、トナー粒子中に含まれる離型剤ドメインが、条件(1)から条件(4)までを満たすか否かは、トナー粒子の断面を観察し、得られた観察画像から算出される。
トナー粒子の断面観察は、例えば、トナー(トナー粒子)の断面を透過型電子顕微鏡により観察する方法、トナー粒子の断面に四酸化ルテニウムによる染色を行い、走査型電子顕微鏡により観察する方法によって確認する。トナーの断面における離型剤ドメインがより鮮明に観察できる点で、走査型電子顕微鏡により観察する方法が好ましい。走査型電子顕微鏡としては、当業者の間でよく知られた機種であればよく、例えば、日立ハイテク社製SU8020、日本電子社製JSM−7500F等が挙げられる。
具体的な、観察方法は、次の通りである。まず、測定対象となるトナー(トナー粒子)をエポキシ樹脂に包埋した後、エポキシ樹脂を硬化する。ダイヤモンド刃を備えたミクロトームによって、この硬化物を薄片化し、トナーの断面が露出した観察試料を得る。薄片の観察試料に対し、四酸化ルテニウムにより染色を施し、走査型電子顕微鏡によりトナーの断面を観察する。この観察方法によって、トナーの断面には、染色度の違いにより、結着樹脂の連続相中に対し、輝度差(コントラスト)がある離型剤が観察される。
次に、離型剤ドメインの重心を中心としトナー粒子の外縁と内接する円の円周と前記外縁との接点を通る接線と、前記離型剤ドメインの重心を通り前記離型剤ドメインの長軸方
向に延伸させた線とのなす角度を求める方法について説明する。
まずトナー粒子1個の断面が視野に入る倍率で画像を記録する。記録された画像について、画像解析ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて、0.010000μm/pixel条件で画像解析を行う。この画像解析により、包埋に用いたエポキシ樹脂とトナーの結着樹脂との輝度差(コントラスト)により、トナーの断面の画像を観察することができる。観察された画像をもとに、トナー中の離型剤ドメインの長軸長、及びアスペクト比を求めることができる。
続けて結着樹脂と離型剤の輝度差(コントラスト)により、抽出された離型剤ドメインの重心位置は、抽出されたトナーもしくは、離型剤ドメインの領域に対し、領域内の画素数をn、各画素のxy座標をxi、yi(i=1、2、・・・、n)とし、重心のx座標は各xi座標値の合計をnで割った値、重心のy座標は各yi座標値の合計をnで割った値として求めることができる。
求められた重心と観察された画像から、離型剤ドメインの重心を中心としトナー粒子の外縁と内接する円の円周と前記外縁との接点を通る接線と、前記離型剤ドメインの重心を通り前記離型剤ドメインの長軸方向に延伸させた線とのなす角度を求めることができる。
本実施形態において、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は、30個数%以上であることが好ましく、40個数%以上であることがより好ましく、50個数%以上であることが更に好ましい。特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合が30個数%以上であることで、定着画像荒れの発生がより抑制される。
本実施形態においては、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合を算出する際に評価すべきトナー粒子の数は、100以上である。
この特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合の調整方法は、トナー粒子の形成過程における離型剤の位置を調整することと離型剤ドメインを加熱により成長させることで調整が可能である。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
(トナー粒子)
本実施形態に係るトナー粒子は、特定離型剤ドメインを有するものであり、例えば、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じて着色剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
これらの中でも、離型剤ドメインの形状が条件(1)から条件(4)までを満たしやすい炭化水素系ワックスが離型剤として好ましい。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K−7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
本実施形態においては、トナー粒子が、コア粒子と前記コア粒子を被覆する第一のシェル層と前記第一のシェル層を被覆する第二のシェル層とを有することが望ましい。この場合、第一のシェル層に離型剤を含有させることが望ましい。第一のシェル層に離型剤を含有させることで、離型剤がトナー粒子の表面付近に存在しやすくなり、トナー定着の際に離型剤がよりトナー粒子表面に滲み出やすくなる。また、第一のシェル層を被覆する第二のシェル層が存在するため、離型剤がトナー粒子表面に露出するのが防止される。さらに、離型剤がよりトナー粒子表面に滲み出やすくなるため、トナー粒子に対する離型剤の含有量を低減してもトナー粒子の離型性の低下が抑制される。そのため、相対的にトナー粒子中に含まれる着色剤の分散性が向上し、2次色の色域が広がる。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
また、コア粒子と前記コア粒子を被覆する第一のシェル層と前記第一のシェル層を被覆する第二のシェル層とを有するトナー粒子を製造するため、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子と離型剤粒子とを付着するように凝集して、第3凝集粒子を形成する工程と、第3凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、第3凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第4凝集粒子を形成する工程と、第4凝集粒子が分散された第4凝集粒子分散液に対して加熱をし、第4凝集粒子を融合・合一して、コア/第一のシェル/第二のシェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。この場合、凝集粒子を製造する際に離型剤粒子分散液を用いて凝集粒子中に離型剤を含有させてもよいし、離型剤粒子分散液を用いることなく凝集粒子中に離型剤を含有させなくてもよい。
離型剤ドメインの配置制御は、コア/第一のシェル/第二のシェル構造のトナー粒子を形成後にいったん冷却し、その後離型剤の溶融温度まで昇温させる方法が挙げられる。第一のシェル内に含まれる離型剤粒子をコア中に含まれる結着樹脂粒子と第二のシェル内に含まれる結着樹脂粒子とで挟み込んだ状態で冷却及び離型剤の溶融温度までの昇温を実施することで、離型剤ドメインを徐々に第一のシェル内で成長させることで、ドメインの成長方向をシェル層方向としやすくなる。その結果、離型剤ドメインの成長方向を制御でき、離型剤ドメインが条件(3)を満たしやすくなる。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図3に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図3中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
[実施例1]
−ポリエステル樹脂(1)の調製−
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:114部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:84部
・テレフタル酸ジメチルエステル:75部
・ドデセニルコハク酸:19.5部
・トリメリット酸:7.5部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及び精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに上記成分を入れ、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反応系内を撹拌した後、ジブチル錫オキサイド3.0部を投入した。さらに、生成する水を留去しながら6時間を要して190℃から240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を継続し、ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られたポリエステル樹脂(1)のガラス転移温度は54℃、酸価は15.3mgKOH/g、重量平均分子量は58,000、数平均分子量は5,600であった。
−ポリエステル樹脂分散液(1)の調製−
・ポリエステル樹脂(1)(Mw:58,000):144部
・イソプロピルアクリルアミド(興人社製):16部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することによりポリエステル樹脂分散液(1)(固形分濃度:30%)を得た。分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。
<離型剤分散液(1)の調製>
パラフィンワックスHNP0190(融解温度85℃、日本精蝋(株)製)を用いて離型剤粒子分散液1を調製した。
・パラフィンワックスHNP0190(融解温度85℃、日本精蝋(株)製):180部
・アニオン界面活性剤(ネオゲンR、第一工業製薬(株)製):4.5部
・イオン交換水:410部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が0.24μmの離型剤粒子を分散させ、イオン交換水で濃度を調整し、離型剤粒子の固形分濃度が30.0%の離型剤分散液(1)を調製した。
<離型剤分散液(2)の調製>
離型剤分散液(1)の調製に使用したパラフィンワックスHNP0190に変わり、マイクロクリスタリンワックスHiMic1090(融解温度82℃ 日本精蝋(株)製)を用いた以外は離型剤分散液(1)の調製と同様に行い、離型剤粒子の固形分濃度が30.0%の離型剤分散液(2)を調製した。
<離型剤分散液(3)の調製>
離型剤分散液(1)の調製に使用したパラフィンワックスHNP0190に変わり、フィッシャートロプシュワックスFNP0090(融解温度90℃ 日本精蝋(株)製)を用いた以外は離型剤分散液(1)の調製と同様に行い、離型剤粒子の固形分濃度が30.0%の離型剤分散液(3)を調製した。
<離型剤分散液(4)の調製>
離型剤分散液(1)の調製に使用したパラフィンワックスHNP0190に変わり、ポリエチレンワックスPOLYWAX725(融解温度104℃ Baker petrolite社製)を用いた以外は離型剤分散液(1)の調製と同様に行い、離型剤粒子の固形分濃度が30.0%の離型剤分散液(4)を調製した。
<着色剤分散液の調製>
・PR238(富士色素製、FujiFastCarmine580):250部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC):33部(有効成分60%、着色剤に対して8%)
・イオン交換水:750部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280部とアニオン界面活性剤33部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記顔料すべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌するとともに、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を20%に調製した。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50は135nmであった。
(実施例1)
<トナー(1)の作製>
・イオン交換水:215部
・ポリエステル樹脂分散液(1):228部
・着色剤分散液:20部(固形分20%)
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後0.3N硝酸水溶液を添加し、凝集工程でのpHを3.0に調整した。
ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、撹拌しながら、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後ポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加した。30分後さらにポリエステル樹脂分散液(1)47部を追添加し、凝集粒子の表面に離型剤分散液と樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト株式会社製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した。その後、昇温速度0.05℃/分で離型剤の溶融温度以上の温度である87℃まで加熱し、30分間保持した後、2℃/分で30℃まで徐冷を行った後、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子(1)を得た。
得られたトナー粒子(1)に含まれる離型剤ドメインについて、上述の方法により評価した。その結果、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は55個数%であった。
図4に、得られたトナー粒子(1)の断面についての走査型電子顕微鏡写真を示す。図4において、黒部分が離型剤ドメインである。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(1)を調製した。得られたトナー(1)の体積平均粒径は6.1μmであった。
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力:24dyn/cm):1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
まず、パーフルオロアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成用溶液を調合した。次いでこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
<現像剤の作製>
前記トナー(1):36部と前記キャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤(1)を作製した。
<評価>
〔剥離性、光沢ムラの評価〕
以下の作業、および画像形成は、温度25℃/湿度60%の環境下で行った。
評価用画像を形成する画像形成装置として、富士ゼロックス社製DocuCentre−IV C4700Pを用紙の端部まで未定着画像を出力できるように改造した装置を用意し、現像剤(1)を現像器に入れ、トナー(1)をトナーカートリッジに入れた。続けて、SP紙(富士ゼロックス社製紙厚81μm、坪量60g/m)に対して、トナー載り量が0.8mg/cmの全面ベタ画像を形成し、定着温度を180℃に、プロセススピードを220mm/秒に設定し、100枚連続出力した。得られた100枚目の画像に対し、以下の評価を行った。
−剥離性の評価−
得られた100枚目の画像に対して、用紙先端の状態を観察して、下記基準で評価した。
A:剥離不良は未発生、用紙先端の状態も良好。
B:剥離不良は未発生、用紙先端がわずかにカールしている。
C:剥離不良が僅かに発生、画像先端部の荒れも僅かに発生。
D:剥離不良が明らかに発生。
得られた結果を表1に示す。
−光沢ムラの評価−
得られた100枚目の画像に対し、ベタ部分の画像を目視で評価した。
A:光沢ムラが確認できない。
B:光沢ムラは確認できるが、軽微である。
C:先端部分に光沢ムラが発生しているが、許容できる。
D:明らかな光沢ムラの発生が見られる。
なお、剥離不良が観測され剥離性の評価がDとなったものについては、あえて光沢ムラの評価は行わなかった。結果を表1に示す。
−色域−
〔色域の評価〕
以下の作業、画像形成、及び測定は、温度25℃/湿度60%の環境下で行った。
評価用画像を形成する画像形成装置として、富士ゼロックス社製DocuCentre−IV C4700Pを用意し、現像剤(1)を現像器に入れ、トナー(1)をトナーカートリッジに入れた。
そして、SP紙(富士ゼロックス社製紙厚81μm、坪量60g/m)に、ベタ画像(大きさ5cm×5cm)がL=45となるように、トナー載り量を調整し画像形成した。
形成した画像についてa値及びb値を、エックスライト社製X−Rite939(アパーチャー径4mm)を用いて、任意に10か所測定し、a値、b値の平均値を算出し、C値を下記式から導き、色域の評価を行った。その結果を表1に示す。
色域の評価
A:C値70以上。
B:C値68以上70未満。
C:C値66以上68未満。ただし、目視判断で使用可能レベル。
D:C値66未満 改善効果なし。
得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
<トナー(2)の作製>
トナー(1)と同様に凝集工程をした後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーIIにて粒径を測定し、体積平均粒径を5.0μmとした。その後トナー(1)の調製においてポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加したところを、ポリエステル樹脂分散液(1)33.3部および離型剤分散液(1)11.7部の配合液に変更した。さらにトナー(1)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.05℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.1℃/分で87℃まで加熱に変更した以外は、トナー(1)と同様に調製し、トナー(2)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
<トナー(3)の作製>
トナー(1)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.05℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.1℃/分で87℃まで加熱に変更した以外は、トナー(1)と同様に調製し、トナー(3)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
<トナー(4)の作製>
トナー(2)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.1℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.5℃/分で87℃まで加熱に変更した以外は、トナー(2)と同様に調製し、トナー(4)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
<トナー(5)の作製>
トナー(1)と同様に凝集工程をした後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーIIにて粒径を測定し、体積平均粒径を5.0μmとした。その後トナー(1)の調製においてポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加したところを、ポリエステル樹脂分散液(1)35部および離型剤分散液(1)10部の配合液に変更した。さらにトナー(1)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.05℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.5℃/分で87℃まで加熱に変更した以外は、トナー(1)と同様に調製し、トナー(5)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(5)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
<トナー(6)の作製>
トナー(5)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.5℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.1℃/分で87℃まで加熱に変更した以外は、トナー(5)と同様に調製し、トナー(6)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(6)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
<トナー(7)の作製>
トナー(6)と同様に凝集工程をした後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーIIにて粒径を測定し、体積平均粒径を5.0μmとした。その後トナー(6)の調製においてポリエステル樹脂分散液(1)35部および離型剤分散液(1)10部の配合液を追添加したところを、ポリエステル樹脂分散液(1)35部および離型剤分散液(2)10部の配合液に変更した。さらにトナー(6)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.1℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.1℃/分で84℃まで加熱に変更した以外は、トナー(6)と同様に調製し、トナー(7)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(7)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例8)
<トナー(8)の作製>
トナー(7)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.1℃/分で84℃まで加熱したところを、昇温速度0.5℃/分で84℃まで加熱に変更した以外は、トナー(7)と同様に調製し、トナー(8)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(8)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例9)
<トナー(9)の作製>
トナー(5)と同様に凝集工程をした後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーIIにて粒径を測定し、体積平均粒径を5.0μmとした。その後トナー(5)の調製においてポリエステル樹脂分散液(1)35部および離型剤分散液(1)10部の配合液を追添加したところを、ポリエステル樹脂分散液(1)35部および離型剤分散液(3)10部の配合液に変更した。さらにトナー(1)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.05℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.05℃/分で92℃まで加熱に変更した以外は、トナー(5)と同様に調製し、トナー(9)を作製した。
トナー(1)に替えてトナー(9)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
<トナー(10)の作製>
・イオン交換水:215部
・ポリエステル樹脂分散液(1):193部
・着色剤分散液:20部
・離型剤分散液(1):33部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後0.3N硝酸水溶液を添加し、凝集工程でのpHを3.0に調整した。
ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、撹拌しながら、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後ポリエステル樹脂分散液(1)93部を追添加し、凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト株式会社製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、冷却し、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子に含まれる離型剤ドメインについて、上述の方法により評価した。その結果、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は7個数%であった。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー(10)を調製した。得られたトナー(10)の体積平均粒径は6.1μmであった。
トナー(1)に替えてトナー(10)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
<トナー(11)の作製>
トナー(1)と同様に凝集工程をした後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーIIにて粒径を測定し、体積平均粒径を5.0μmとした。その後トナー(1)の調製においてポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加したところを、ポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(4)15部の配合液に変更した。さらにトナー(1)の作製において、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した後、昇温速度0.05℃/分で87℃まで加熱したところを、昇温速度0.05℃/分で96℃まで加熱に変更した以外は、トナー(1)と同様に調製し、トナー(11)を作製した。
トナー(11)のトナー粒子に含まれる離型剤ドメインについて、上述の方法により評価した。その結果、トナー中ドメインは球形となっており、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は17個数%であった。
トナー(1)に替えてトナー(11)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
<トナー(12)の作製>
・イオン交換水:215部
・ポリエステル樹脂分散液(1):228部
・着色剤分散液:20部(固形分20%)
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後0.3N硝酸水溶液を添加し、凝集工程でのpHを3.0に調製した。
ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、撹拌しながら、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後ポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加した。30分後さらにポリエステル樹脂分散液(1)47部を追添加し、凝集粒子の表面に離型剤分散液と樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト株式会社製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した。その後、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子(12)を得た。
得られたトナー粒子(12)に含まれる離型剤ドメインについて、上述の方法により評価した。その結果、トナー中の離型剤ドメインの方向が様々な方向に向いていたため、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は12個数%であった。
トナー(1)に替えてトナー(12)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
<トナー(13)の作製>
・イオン交換水:215部
・ポリエステル樹脂分散液(1):178部
・着色剤分散液:20部(固形分20%)
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後0.3N硝酸水溶液を添加し、凝集工程でのpHを3.0に調製した。
ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、撹拌しながら、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後ポリエステル樹脂分散液(1)30部および離型剤分散液(1)15部の配合液を追添加した。30分後さらにポリエステル樹脂分散液(1)97部を追添加し、凝集粒子の表面に離型剤分散液と樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト株式会社製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、30℃まで冷却した。その後、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子(13)を得た。
得られたトナー粒子(13)に含まれる離型剤ドメインについて、上述の方法により評価した。その結果、トナー中の離型剤ドメインは、トナーの中心付近に存在しており、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合は21個数%であった。
トナー(1)に替えてトナー(13)を用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤の調製及び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
表1において、「割合(個数%)」は、特定離型剤ドメインを有するトナー粒子の全トナー粒子に占める割合を意味する。
表1において、「離型剤量」は、離型剤分散液の使用量を意味する。
1Y、1M、1C、1K、感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K、帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (7)

  1. 離型剤を含み下記条件(1)から下記条件(4)までを満たす離型剤ドメインを少なくとも一つ有するトナー粒子を含有し、
    前記トナー粒子の全トナー粒子に占める割合が、30個数%以上である静電荷像現像用トナー。
    条件(1): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さが300nm以上1500nm以下。
    条件(2): 前記離型剤ドメインの長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比(長軸方向の長さ/短軸方向の長さ)が、3.0以上15.0以下。
    条件(3): 前記離型剤ドメインの重心を中心とし前記トナー粒子の外縁と内接する円の円周と前記外縁との接点を通る接線と、前記離型剤ドメインの重心を通り前記離型剤ドメインの長軸方向に延伸させた線とのなす角度が、0°以上45°以下。
    条件(4): 前記トナー粒子の円相当径と、前記離型剤ドメインの重心と前記接点との距離Aとの比(距離A/円相当径)が、0.03以上0.25以下。
  2. 前記トナー粒子が、コア粒子と前記コア粒子を被覆する第一のシェル層と前記第一のシェル層を被覆する第二のシェル層とを有する請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  5. 請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  6. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  7. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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