JP2008163379A - 表面処理アルミニウム材料の製造方法 - Google Patents

表面処理アルミニウム材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂塗膜や樹脂フィルムとの高い密着性が得られる陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ性溶液によりアルミニウム材料をエッチング処理することにより前記アルミニウム材料の表面にスマットを付着させるエッチング工程と、前記スマットを除去する中和工程を行なわずに前記アルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを備える表面処理アルミニウム材料の製造方法とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂塗膜や樹脂フィルムとの高い密着性が得られる陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料の製造方法に関する。
アルミニウム材料は、軽量で成形性、熱伝導性に優れることから、容器、電気部品の筐体、エアコンフィン材、自動車構造部材、建材パネル等に多く使用されている。一般に、これらのアルミニウム材料には表面処理が施されており、表面処理されたアルミニウム材料上には耐食性や意匠性を付与するための樹脂塗膜や樹脂フィルムが形成されている。
アルミニウム材料の代表的な表面処理として、アルミニウム材料を電解液中で電解処理する陽極酸化処理が挙げられる。アルミニウム材料の陽極酸化処理を行なう前には、アルミニウム材料に付着した油分や表面の不均質な自然酸化皮膜を除去するための前処理を行なうことが望ましい(例えば、特許文献1参照)。このような前処理としては、アルカリ性溶液によるエッチング処理を行なった後、エッチング処理によって表面に付着したMg、Fe、Si、Cu、またはこれらの水酸化物からなるスマットと呼ばれる不溶成分を、酸性の水溶液により除去(デスマット処理)する方法がある。
特開2006−22362号公報
しかしながら、従来の技術を用いてアルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成した場合、アルミニウム材料と樹脂塗膜や樹脂フィルムとの接着性が不十分である場合があった。特に、近年、アルミニウム材料の用途が多様化しており、厳しい成形加工や、食品容器に用いる場合におけるレトルト処理、高温保管、腐食性の高い内容物の収容などに対応するため、より一層密着性を向上させることが要求されている。
また、従来からデスマット処理には、アルミニウムを腐食し難い硝酸水溶液が広く用いられている。しかし、硝酸は、製造設備を腐食させる場合があることや、環境への負荷が大きいため排水規制の対象となっていることなどから、使用量を低減することが望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂塗膜や樹脂フィルムとの高い密着性が得られる陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料の製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明者は、アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する前にエッチング処理を行なった場合に、アルミニウム材料の表面に付着するスマットに着目し、陽極酸化皮膜の形成されるアルミニウム材料の表面に残存しているスマットの量と、陽極酸化皮膜を形成した後のアルミニウム材料の密着性との関係について、鋭意検討を行ない、本発明を想到した。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、アルカリ性溶液によりアルミニウム材料をエッチング処理することにより前記アルミニウム材料の表面にスマットを付着させるエッチング工程と、前記スマットを除去する中和工程を行なわずに前記アルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを備えることを特徴とする。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、アルカリ性溶液によりアルミニウム材料をエッチング処理することにより前記アルミニウム材料の表面にスマットを付着させるエッチング工程と、前記スマットが前記表面に0.01g/m以上付着している前記アルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、前記アルミニウム材料が、Mgを1.0質量%以上含むものである方法とすることができる。
また、本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、前記陽極酸化皮膜の有孔率が5%以下である方法とすることができる。
また、本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、前記陽極酸化皮膜上にシラン系カップリング剤を塗布する工程を備える方法とすることができる。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法によれば、エッチング処理したアルミニウム材料を、デスマット処理を行なわず、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面にスマットが残存した状態で陽極酸化皮膜を形成するので、樹脂塗膜や樹脂フィルムとの高い密着性が得られる陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料を提供できる。
また、デスマット処理を省略できるので、製造設備の簡素化を図ることができるとともに、工程数を削減できるので、コストダウンが可能となる。また、デスマット処理には、硝酸水溶液が広く用いられているが、デスマット処理の省略によりデスマット処理に使用される硝酸水溶液が不要となるため、環境への負荷が軽減でき、安全衛生の向上にも貢献できる。
以下、本発明に係る表面処理アルミニウム材料の製造方法の第1実施形態について詳細に説明する。
本発明において用いられるアルミニウム材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができ、特に限定されない。具体的には、例えば、純アルミ系の1000系合金、Al−Cu系、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mn系の3000系合金、Al−Si系の4000系合金、Al−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg−Cu系、Al−Zn−Mg系の7000系合金、Al−Fe−Mn系の8000系合金などが用いられ、成形用合金、構造用合金、電気用合金、AC1A,AC2A,AC3A,AC4Bなどの鋳造用合金などが用いられる。
上記のアルミニウム材料の中でも特に、Mgを1.0質量%以上含むアルミニウム材料を用いることが望ましい。Mgはアルミニウム材料の表層に濃縮しやすく、アルカリ性水溶液には溶解しない。このため、エッチング処理後にスマットが残存する。Mgを主体としたスマットは活性であり、密着性の向上に大きく寄与する。したがって、アルミニウム材料としてMgを1.0質量%以上含むものを用いることで、より高い密着性が得られる。
また、アルミニウム材料としては、例えば、アルミニウム合金の鋳塊を作製し、この鋳塊に熱間圧延加工と冷間圧延加工を複数回施し、冷間圧延加工の途中に必要に応じて焼鈍処理を行うことによって得られたアルミニウム合金板を用いることができる。また、アルミニウム材料は、予めプレス成形加工などの施された加工材であってもよく、押出材、鋳造品であってもよい。また、上記の合金に溶体化処理、時効処理などの種々の調質処理を施したアルミニウム材料も用いることができる。さらに、これらのアルミニウム合金を表面にクラディングしたクラッド材も使用できる。
(エッチング工程)
本実施形態においては、このようなアルミニウム材料をアルカリ性溶液によりエッチング処理する。エッチング工程を行なうことにより、アルミニウム材料に付着した油分が除去(脱脂)されるとともに、アルミニウム材料の表面に形成されている不均質な自然酸化皮膜が除去される。また、エッチング工程を行なうことにより、Mg、Fe、Si、Cu、またはこれらの水酸化物からなるアルカリ性溶液に不溶な成分であるスマットが、アルミニウム材料の表面に付着される。
エッチング工程において用いるアルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の水溶液、またはこれらの混合水溶液などが挙げられる。また、脱脂性向上のために、これらのアルカリ性溶液に界面活性剤を添加しても良い。
エッチング工程におけるアルミニウム材料のエッチング量は0.05g/m〜2.0g/mであることが好ましく、アルカリ性溶液の濃度や温度、エッチング処理時間などにより制御することができる。
アルミニウム材料のエッチング量が0.05g/m未満であると、スマットの量が0.01g/m以上とならず、十分に密着性を向上させる効果が発揮されない恐れがある。また、アルミニウム材料のエッチング量が2.0g/mを超えると、エッチング処理時間を長くしたり、アルカリ性溶液の温度や濃度を増加したりすることによる生産性の低下及びコストの増加の問題が生じるため、好ましくない。また、アルミニウム材料のエッチング量が2.0g/mを超えると、表面が粗面化されて金属光沢が低下するとともに、後述する陽極酸化工程で形成する陽極酸化皮膜の皮膜均一性が低下するため好ましくない。
(陽極酸化工程)
次いで、エッチング工程により付着したスマットが表面に0.01g/m以上付着しているエッチング工程後のアルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する。
なお、本発明において「無孔質陽極酸化皮膜」とは、陽極酸化皮膜の表面積に対する10〜50nmの細孔の有孔率が5%以下であるもののことを言う。
弱酸性からアルカリ性の電解液としては、特に限定されないが、アルカリ金属の塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、酒石酸塩、リン酸塩などを用い、pHを4〜12の弱酸性からアルカリ性の水溶液とすることが望ましい。
なお、電解液は、無孔質陽極酸化皮膜を得るために弱酸性から弱アルカリ性であることが望ましいが、pH12を超える強アルカリ性のものを用いてもよい。強アルカリ性の電解液としては、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液などを挙げることができる。電解液として強アルカリ性のものを用いた場合、得られた陽極酸化皮膜が無孔質陽極酸化皮膜とならず、多孔質となる場合がある。この場合、陽極酸化工程において形成された多孔質陽極酸化皮膜の孔を、高温水や加圧蒸気などの封孔処理によって塞ぐことで、無孔質陽極酸化皮膜を形成することができる。
(デスマット処理)
本発明においては、陽極酸化工程において、デスマット処理を省略できる。デスマット処理を省略することで、製造設備の簡素化を図ることができるとともに、工程数を削減できるのでコストダウンが可能となる。
また、従来からデスマット処理には、アルミニウムを腐食しがたい硝酸水溶液が用いられている。しかし、硝酸は、製造設備を腐食させる場合があることや、環境への負荷が大きいため排水規制の対象となっていることなどから、使用量を低減することが望まれている。デスマット処理の省略により、デスマット処理において使用する酸性溶液が不要となるので、環境への負荷が低減でき、安全衛生の向上にも貢献できる。
なお、スマットの量が多すぎると、陽極酸化工程において、スマットが絶縁層となり電解を阻害する場合がある。本発明においては、スマットの量が多すぎる場合には、エッチング工程と陽極酸化工程との間に、酸性溶液によるデスマット処理を行なうことができるが、エッチング工程でコントロールすれば不要である。スマットの量の適切な範囲は、0.01g/m〜2.0g/mである。
(シラン系カップリング剤の塗布)
本実施形態において陽極酸化工程によって得られた陽極酸化皮膜上には、シラン系カップリング剤を塗布することが望ましい。
シラン系カップリング剤としては、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基である有機官能基を有するものを用いることが好ましい。シラン系カップリング剤は、水またはアルコール等の揮発性溶媒で希釈して塗布することが望ましい。塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法が挙げられるが、これに限られるものではない。シラン系カップリング剤の塗布量は、特に限定されないが、シラン系カップリング剤の架橋効果を効果的に得るために、乾燥後の固形分重量が0.1〜100mg/mとなるようにされることが好ましい。
本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、エッチング工程により付着したスマットが表面に残存しているアルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成するので、陽極酸化皮膜の形成時にアルミニウム材料の表面に存在するスマットも同時に陽極酸化されることで、水酸基が増加して塗膜やフィルムとの結合がより強固になる。また、表面積が増加することで接着面積が増加し、密着性が向上するものと考えられる。
また、本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、アルミニウム材料を弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解しているが、例えば、電解液を硫酸に代表される強酸性にした場合、スマットが溶解・除去されてしまう。本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法において、アルミニウム材料を弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解する場合、陽極酸化皮膜の形成時にスマットが溶解・除去されないので、樹脂塗膜や樹脂フィルムとの高い密着性が得られる陽極酸化皮膜を有するものとなる。
また、アルミニウム材料を弱酸性から強酸性または強アルカリ性の電解液中で電解した場合、酸化皮膜の形成と同時に酸化皮膜の溶解が生じるため、得られる酸化皮膜が細孔を有する多孔質皮膜となる場合がある。多孔質皮膜の細孔の径は10〜50nmである。多孔質皮膜上に塗膜を施した場合、細孔に塗料が流動するためアンカー効果が得られ、密着性が向上する。しかし、多孔質皮膜上に樹脂フィルムをラミネートする場合には、細孔に樹脂フィルムが流動せず、接着面積が低下して、密着性が十分に得られないことがある。また、多孔質皮膜上に樹脂フィルムをラミネートする場合、多孔質皮膜の形成時に細孔内に入り込んだ電解液が、ラミネート時の加熱により放出されて、多孔質皮膜と樹脂フィルムとの密着性を低下させてしまうことがある。
本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法において、アルミニウム材料を弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解した場合、無孔質陽極酸化皮膜が形成される。また、本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法において、電解液として強アルカリ性のものを用いて陽極酸化皮膜を形成し、得られた陽極酸化皮膜の孔を封孔処理によって塞いだ場合にも無孔質陽極酸化皮膜が形成される。このようにして得られた無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料は、樹脂塗膜とも樹脂フィルムともより一層高い密着性が得られる優れたものとなる。
また、本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、エッチング工程におけるアルミニウム材料のエッチング量が0.05g/m〜2.0g/mであるのが好ましいので、エッチング工程において、効率よく、十分な量のスマットをアルミニウム材料の表面に付着させることができる。
また、本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法において、アルミニウム材料として、Mgを1.0質量%以上含むものを用いることで、より一層高い密着性が得られる。
また、本実施形態の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、陽極酸化皮膜上にシラン系カップリング剤を塗布する工程を備えているので、シラン系カップリング剤の架橋効果によって無機質である陽極酸化皮膜と有機質である樹脂塗膜や樹脂フィルムとの結合を高めることができ、さらに高い密着性が得られる。
「実施例1〜実施例7、実施例9〜実施例10、比較例2〜比較例4」
アルミニウム材料として、JIS1050アルミニウム合金、JI5052アルミニウム合金、Mgを1.0重量%添加したアルミニウム合金のいずれかである表1に示す合金を圧延して厚さ0.2mmとしたアルミニウム合金板を用い、1%水酸化ナトリウム水溶液、日本ペイント(株)社製のアルカリ脱脂剤(商品名:サーフクリーナーEC370(中エッチングタイプ、界面活性剤添加))の2%水溶液のいずれかである表1に示すアルカリ性溶液を用い、浴温50℃でスプレー法により表1に示す時間エッチング処理(エッチング工程)した。このときのアルミニウム材料のエッチング量をエッチング処理前後の重量差から求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2008163379
エッチング工程の後、エッチング工程により付着したスマットの量を測定した。スマット量の測定は、エッチング処理後の重量と、測定用に10%硝酸溶液で別途完全にデスマットした後の重量との重量差から求めた。その結果を表1に示す。
その後、アルミニウム材料を陽極とし、カーボン板を陰極とし、表1に示す電解質を含む表1に示すpHの50℃の電解液中で、陽極酸化皮膜の厚さが0.15μmとなるように電解することにより、アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成した(陽極酸化工程)。なお、陽極酸化工程において、電解液がホウ酸塩またはケイ酸塩を含む場合には107Vの定電圧で電解し、電解液が水酸化ナトリウムを含む場合または硫酸である場合には1A/dmの定電流で電解した。
「実施例11、比較例1、比較例5」
実施例1と同様にしてエッチング工程を行なった後、酸性溶液として10%硝酸水溶液を用い、25℃でスプレー法により表1に示す時間デスマット処理を行った。その後、エッチング工程により付着してデスマット処理後に残存するスマットの量を測定した。スマット量の測定は、デスマット処理後の重量と、測定用に10%硝酸溶液で別途完全にデスマットした後の重量との重量差から求めた。その結果を表1に示す。
その後、実施例1と同様にして陽極酸化工程を行なうことにより、アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成した。
「実施例8」
実施例1と同様にして陽極酸化工程までの工程を行なった後、陽極酸化皮膜上にシラン系カップリング剤を塗布した。シラン系カップリング剤としては、有機官能基がアミノ系のものを用い、乾燥後の固形分重量が10mg/mとなるようロールコートにより塗布した。
このようにして得られた実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例5の陽極酸化皮膜を有するアルミニウム材料の有孔率を以下に示すようにして調べた。すなわち、陽極酸化皮膜の表面を、走査電子顕微鏡で倍率5万倍(最低2.0μmの視野面積)以上で任意の10箇所を観察し、径が10〜50nmの孔の面積率の平均値を求め、有孔率とした。その結果を表1に示す。
次いで、実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例5の陽極酸化皮膜上に、ポリエステル系塗膜(塗膜)またはPETフィルム層(フィルム)からなる表1に示す樹脂層を形成した。
ポリエステル系塗膜は、乾燥後の厚さが2μmとなるようロールコート法により塗布し、200℃で10分間焼き付け乾燥することにより形成した。
また、PETフィルム層は、エチレンテレフタレートとイソフタレートを共重合した二軸延伸フィルムであって、融点260℃、厚さ14μmの配向層と融点230℃、厚さ1μmの接着層の二層からなるPETフィルムを、ヒートロールによって170℃に加熱されたアルミニウム材料上に加圧ロールにより線圧18kg/cm2で圧着することにより形成した。
このようにして得られた陽極酸化皮膜上に樹脂層の形成された実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例5のアルミニウム材料の密着性を評価するために、85℃の熱水に浸漬する負荷(85℃)を与えた後、または125℃の加圧蒸気に曝露する負荷(レトルト)を与えた後、以下に示す碁盤目試験およびエリクセン試験を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2008163379
「碁盤目試験」
JIS5600−5−6に従い、lmm間隔25マスの碁盤目を形成し、セロテープ(登録商標)剥離を行った。そして、樹脂層の剥離したマスの数により、以下に示すように評価した。
○:剥離なし
△:剥離マス数1〜5マス
×:剥離マス数6以上
「エリクセン試験(張出し加工テープ剥離試験)」
エリクセン試験機により、直径20mmの鋼球ポンチを用いて高さ5mmに張出し加工し、加工部のセロテープ(登録商標)剥離を行った。そして、樹脂層の剥離した部分の面積率により、以下に示すように評価した。
○:剥離なし
△:剥離面積率20%未満
×:剥離面積率20%以上
表2に示すように、実施例1〜実施例11では、碁盤目試験およびエリクセン試験の評価が全て○または△となった。
これに対し、比較例1〜比較例5では、表1に示すように、全てスマット量が0.01g/m未満であり、表2に示すように、碁盤目試験およびエリクセン試験の評価に×が含まれていた。
このことより、本発明によれば、樹脂塗膜や樹脂フィルムとの密着性を向上させることができることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. アルカリ性溶液によりアルミニウム材料をエッチング処理することにより前記アルミニウム材料の表面にスマットを付着させるエッチング工程と、
    前記スマットを除去する中和工程を行なわずに前記アルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを備えることを特徴とする表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  2. アルカリ性溶液によりアルミニウム材料をエッチング処理することにより前記アルミニウム材料の表面にスマットを付着させるエッチング工程と、
    前記スマットが前記表面に0.01g/m以上付着している前記アルミニウム材料を、弱酸性からアルカリ性の電解液中で電解することにより、前記アルミニウム材料の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを備えることを特徴とする表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  3. 前記アルミニウム材料が、Mgを1.0質量%以上含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  4. 前記陽極酸化皮膜の有孔率が5%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  5. 前記陽極酸化皮膜上にシラン系カップリング剤を塗布する工程を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
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