JP2024096890A - 金属基材の電解加工 - Google Patents

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プルグルタ,マルコンデヤラジ
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Abstract

【課題】アルミニウム合金などの金属基材の電解加工のための方法及びシステムを提供する。【解決手段】リン酸を含む電解質溶液中で金属基材を陽極酸化することによって陽極酸化基材を作製する方法を提供する。特に、本開示は、温度、酸濃度、及び電圧を含めた、金属基材を陽極酸化するための様々な条件について記載する。本開示はまた、記載の方法を実施するためのシステムを提供する。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月12日に出願された米国仮出願第62/988,857号(その全体を参照により本明細書に援用する)の優先権及び出願利益を主張するものである。
本開示は一般に、アルミニウム合金などの金属基材の電解加工、及びそのような加工を実施するためのシステムに関する。より具体的には、本開示は、金属基材の陽極酸化に関する。
アルミニウム合金などの特定の金属製品は、表面を陽極酸化することで恩恵を受けることができる。これらの利点には、耐久性、色の安定性、メンテナンスの容易さ、美観、健康及び安全性、ならびに低コストが含まれる。しかしながら、アルミニウム合金生産品の接合を含めた下流での加工のための可撓性、耐久性、及び/または表面特性要件を満たす陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金コイルを陽極酸化することは困難である。さらにまた、従来の陽極酸化方法は時間がかかり、かつ高い費用を必要とするために、製造プロセスの全体的な効率が低減する。加えて、従来の陽極酸化方法は、典型的には高濃度の酸の複数の浴を必要とし、それは非効率性の一因になると同時に、操作者を危険な状態に曝露することになる。よって、従来の陽極酸化方法は非効率である。
包含される本発明の実施形態は、本概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の様々な態様の高次の概要であり、以下の発明を実施するための形態のセクションでさらに説明されるいくつかの概念を紹介している。この発明の概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、図面の一部またはすべて、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
一態様では、本開示は、陽極酸化基材を作製する方法であって、金属基材を用意すること;任意選択により、該金属基材の表面を洗浄すること;60℃~100℃の温度の電解質溶液中で該金属基材の表面を陽極酸化して陽極酸化皮膜層を形成することであって、該電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、陽極酸化すること;及び任意選択により、該金属基材の該表面を乾燥させることを含む方法を記載する。場合によっては、電解質は、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である。場合によっては、電解質溶液は0.05M~0.5Mの電解質を含み、任意選択により電解質はリン酸である。場合によっては、陽極酸化することは、電解質溶液に少なくとも5秒間、±15VDC~±25VDCの電圧を有する直流(DC)を印加すること及び/または±15VAC~25VACの電圧を有する交流(AC)を印加することを含む。場合によっては、陽極酸化することは、DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後にACを少なくとも5秒間印加することを含む。場合によっては、金属基材の表面を洗浄することは、金属基材の表面を溶媒で濯ぐことを含む。場合によっては、陽極酸化する前に金属基材はエッチングされない。場合によっては、金属基材はアルミニウム合金を含む。
別の態様では、本開示は、陽極酸化基材を作製する方法であって、金属基材を用意すること;任意選択により、該金属基材の表面を洗浄すること;±15VDC~±25VDCの電圧を有する直流(DC)及び/または±15VAC~25VACの電圧を有する交流(AC)を電解質溶液に少なくとも5秒間印加することによって金属基材の表面を電解質溶液中で陽極酸化することであって、該電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、陽極酸化すること;ならびに任意選択により、該金属基材の表面を乾燥させることを含む方法を説明する。場合によっては、電解質は、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である。場合によっては、電解質溶液は0.05M~0.5Mの電解質を含み、任意選択により電解質はリン酸である。場合によっては、陽極酸化することは、DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後にACを少なくとも5秒間印加することを含む。場合によっては、電解質溶液は、60℃~100℃の温度に加熱される。場合によっては、金属基材の表面を洗浄することは、金属基材の表面を溶媒で濯ぐことを含む。場合によっては、陽極酸化する前に金属基材はエッチングされない。場合によっては、金属基材はアルミニウム合金を含む。
別の態様では、本開示は、金属基材を陽極酸化するためのシステムであって、金属陰極を有する電解槽;0.01M~1Mの電解質を含む電解質溶液を提供するための電解質溶液源;浴中に金属基材を吊り下げるための支持体;ならびに電力供給装置であって、そこから直流(DC)及び/または交流(AC)を電解槽に提供して該電解質溶液に通す、電力供給装置を含むシステムを説明する。場合によっては、電解質溶液は0.05M~0.5Mの電解質を含み、任意選択により電解質はリン酸である。場合によっては、電解質溶液源は、攪拌機を有するタンクを含む。場合によっては、電解槽は、1つ以上の複合電極をさらに含む。
本明細書に記載するのは、アルミニウム合金基材などの金属基材から陽極酸化基材を作製するための方法及びシステムである。得られた陽極酸化基材は、例えば、本明細書に記載の陽極酸化皮膜層を有さない金属基材から調製された製品と比較したときに優れた表面品質及び最小限に抑えられた表面欠陥を有する陽極酸化基材(例えば、陽極酸化アルミニウム合金)製品を製造するために使用することができる。
本明細書に記載の方法は、金属基材の1つ以上の表面上に薄い陽極酸化皮膜層を形成する、より効率的な手段を提供する。特に、本明細書に記載の方法は、金属基材をエッチングする別個のステップ(例えば、酸エッチング及び/または電解エッチング)を必要とせずに、金属基材を成功裏に陽極酸化する。さらに、本明細書に記載の方法は、複数の薬浴の必要性を排除して、1つの薬浴を使用して金属基材を成功裏に陽極酸化する。これらの新しい陽極酸化方法により、操作時間の短縮、環境衛生及び安全性の向上、ならびにコストの削減が可能になる。さらに、本明細書に記載の方法によって製造された陽極酸化基材は、接着耐久性などの優れた物理的特性を呈し、コイル・ツー・コイルライン及びバッチ加工に適している。
定義及び説明
本明細書で使用される場合、「発明(invention)」、「発明(the invention)」、「本発明(this invention)」及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願のすべての主題及び以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含有する記述は、本明細書に記載の主題または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を限定しないことが理解されるべきである。
この説明では、「シリーズ」または「7xxx」などのアルミニウム業界の名称で識別される合金について言及がなされている。アルミニウム及びその合金の命名及び特定において最も一般的に使用されている番号指定システムの理解のため、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」(いずれもアルミニウム協会によって発行されている)を参照されたい。
アルミニウム合金は、合金の総重量に基づいた重量パーセント(重量%)での元素組成の観点から本明細書に記載されている。各合金の特定の例では、残部はアルミニウムであり、不純物の合計の最大重量%は0.15%である。
本明細書で使用される場合、「接着耐久性」は、2つの製品を互いに接着する接着剤が、接着剤の破損を引き起こす環境条件に曝露された後で周期的な機械的応力に耐える能力を指す。接着耐久性は、接着された製品が環境条件に曝露されている間に、接着が機能しなくなるまで接着された製品に加えられる機械的応力のサイクルの数によって特徴付けられる。
本明細書で使用される場合、「鋳造金属製品」、「鋳造製品」、「鋳造アルミニウム合金製品」などの用語は互換性があり、直接チル鋳造(直接チル共鋳造が含まれる)もしくは半連続鋳造、連続鋳造(例えば、ツインベルト鋳造機、ツインロール鋳造機、ツインブロック鋳造機、またはその他の連続鋳造機の使用によるものが含まれる)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、またはその他の鋳造方法によって製造された製品を指す。
本明細書で使用される場合、「連続コイル」または「アルミニウム合金連続コイル」は、時間または順序が途切れることなく連続ライン上で連続加工方法に供される(すなわち、アルミニウム合金はバッチ加工に供されない)アルミニウム合金を指す。
本明細書で使用される場合、「コイル・ツー・コイル」ラインまたは「コイル・ツー・コイル加工」は、連続ライン上での連続加工方法を指し、これによって、該方法で加工される合金、例えば、アルミニウム合金は、コイルから加工に送り込まれ、加工中にコイルが解かれ、加工の完了後に再びコイルに戻される。
本出願では、合金の調質または質別に言及する。最も一般的に使用される合金調質の説明の理解については、「American National Standards (ANSI) H35 on Alloy and Temper Designation Systems」を参照されたい。F調質または質別は、製作されたままのアルミニウム合金を指す。O調質または質別は、焼なまし後のアルミニウム合金を指す。T1調質または質別は、熱間加工から冷却され、(例えば、室温で)自然時効されたアルミニウム合金を指す。T2調質または質別は、熱間加工から冷却され、冷間加工され、自然時効されたアルミニウム合金を指す。T3調質または質別は、溶体化熱処理して冷間加工され、自然時効されたアルミニウム合金を指す。T4調質または質別は、溶体化熱処理され、自然時効されたアルミニウム合金を指す。T5調質または質別は、熱間加工から冷却され、(高温で)人工時効されたアルミニウム合金を指す。T6調質または質別は、溶体化熱処理され、人工時効されたアルミニウム合金を指す。T7調質または質別は、溶体化熱処理され、人工過剰時効されたアルミニウム合金を指す。T8x調質または質別は、溶体化熱処理され、冷間加工され、人工時効されたアルミニウム合金を指す。T9調質または質別は、溶体化熱処理され、人工時効され、冷間加工されたアルミニウム合金を指す。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」の意味は、文脈が明確に別途指示しない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
本明細書で使用される場合、「室温」の意味は、約15℃~約30℃の温度、例えば、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃を含み得る。
本明細書に開示されるすべての範囲は、それらに包摂される任意のあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、記述された範囲「1~10」は、1の最小値~10の最大値の間の(且つ包含的な)ありとあらゆる部分範囲を含むと考えられるべきであり、すなわち、すべての部分範囲は、1以上の最小値、例えば、1~6.1から始まり、10以下の最大値、例えば、5.5~10で終わる。
金属基材
前述のように、本開示は、陽極酸化基材を作製するための方法及びシステムを提供する。より詳細には、本明細書に記載の方法は、金属基材の表面上に薄い陽極酸化皮膜層を生成する。陽極酸化皮膜層が形成される金属基材の組成は特に限定されない。本明細書に記載の方法は、アルミニウム合金の陽極酸化に特に良く適しているが、これに限定されない。陽極酸化皮膜層は、例えば、アルミニウム合金の連続コイルなどの任意の好適なアルミニウム合金に適用することができる。好適なアルミニウム合金として、例えば、1xxxシリーズのアルミニウム合金、2xxxシリーズのアルミニウム合金、3xxxシリーズのアルミニウム合金、4xxxシリーズのアルミニウム合金、5xxxシリーズのアルミニウム合金、6xxxシリーズのアルミニウム合金、7xxxシリーズのアルミニウム合金、及び8xxxシリーズのアルミニウム合金が挙げられる。
非限定的な例として、金属基材として使用するための例示的な1xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA1100、AA1100A、AA1200、AA1200A、AA1300、AA1110、AA1120、AA1230、AA1230A、AA1235、AA1435、AA1145、AA1345、AA1445、AA1150、AA1350、AA1350A、AA1450、AA1370、AA1275、AA1185、AA1285、AA1385、AA1188、AA1190、AA1290、AA1193、AA1198、またはAA1199を挙げることができる。場合によっては、アルミニウム合金は、少なくとも99.9%の純アルミニウム(例えば、少なくとも99.91%、少なくとも99.92%、少なくとも99.93%、少なくとも99.94%、少なくとも99.95%、少なくとも99.96%、少なくとも99.97%、少なくとも99.98%、または少なくとも99.99%の純アルミニウム)である。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な2xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA2001、AA2002、AA2004、AA2005、AA2006、AA2007、AA2007A、AA2007B、AA2008、AA2009、AA2010、AA2011、AA2011A、AA2111、AA2111A、AA2111B、AA2012、AA2013、AA2014、AA2014A、AA2214、AA2015、AA2016、AA2017、AA2017A、AA2117、AA2018、AA2218、AA2618、AA2618A、AA2219、AA2319、AA2419、AA2519、AA2021、AA2022、AA2023、AA2024、AA2024A、AA2124、AA2224、AA2224A、AA2324、AA2424、AA2524、AA2624、AA2724、AA2824、AA2025、AA2026、AA2027、AA2028、AA2028A、AA2028B、AA2028C、AA2029、AA2030、AA2031、AA2032、AA2034、AA2036、AA2037、AA2038、AA2039、AA2139、AA2040、AA2041、AA2044、AA2045、AA2050、AA2055、AA2056、AA2060、AA2065、AA2070、AA2076、AA2090、AA2091、AA2094、AA2095、AA2195、AA2295、AA2196、AA2296、AA2097、AA2197、AA2297、AA2397、AA2098、AA2198、AA2099、及びAA2199を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な3xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA3002、AA3102、AA3003、AA3103、AA3103A、AA3103B、AA3203、AA3403、AA3004、AA3004A、AA3104、AA3204、AA3304、AA3005、AA3005A、AA3105、AA3105A、AA3105B、AA3007、AA3107、AA3207、AA3207A、AA3307、AA3009、AA3010、AA3110、AA3011、AA3012、AA3012A、AA3013、AA3014、AA3015、AA3016、AA3017、AA3019、AA3020、AA3021、AA3025、AA3026、AA3030、AA3130、またはAA3065を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な4xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA4004、AA4104、AA4006、AA4007、AA4008、AA4009、AA4010、AA4013、AA4014、AA4015、AA4015A、AA4115、AA4016、AA4017、AA4018、AA4019、AA4020、AA4021、AA4026、AA4032、AA4043、AA4043A、AA4143、AA4343、AA4643、AA4943、AA4044、AA4045、AA4145、AA4145A、AA4046、AA4047、AA4047A、及びAA4147を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な5xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA5182、AA5183、AA5005、AA5005A、AA5205、AA5305、AA5505、AA5605、AA5006、AA5106、AA5010、AA5110、AA5110A、AA5210、AA5310、AA5016、AA5017、AA5018、AA5018A、AA5019、AA5019A、AA5119、AA5119A、AA5021、AA5022、AA5023、AA5024、AA5026、AA5027、AA5028、AA5040、AA5140、AA5041、AA5042、AA5043、AA5049、AA5149、AA5249、AA5349、AA5449、AA5449A、AA5050、AA5050A、AA5050C、AA5150、AA5051、AA5051A、AA5151、AA5251、AA5251A、AA5351、AA5451、AA5052、AA5252、AA5352、AA5154、AA5154A、AA5154B、AA5154C、AA5254、AA5354、AA5454、AA5554、AA5654、AA5654A、AA5754、AA5854、AA5954、AA5056、AA5356、AA5356A、AA5456、AA5456A、AA5456B、AA5556、AA5556A、AA5556B、AA5556C、AA5257、AA5457、AA5557、AA5657、AA5058、AA5059、AA5070、AA5180、AA5180A、AA5082、AA5182、AA5083、AA5183、AA5183A、AA5283、AA5283A、AA5283B、AA5383、AA5483、AA5086、AA5186、AA5087、AA5187、またはAA5088を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な6xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA6101、AA6101A、AA6101B、AA6201、AA6201A、AA6401、AA6501、AA6002、AA6003、AA6103、AA6005、AA6005A、AA6005B、AA6005C、AA6105、AA6205、AA6305、AA6006、AA6106、AA6206、AA6306、AA6008、AA6009、AA6010、AA6110、AA6110A、AA6011、AA6111、AA6012、AA6012A、AA6013、AA6113、AA6014、AA6015、AA6016、AA6016A、AA6116、AA6018、AA6019、AA6020、AA6021、AA6022、AA6023、AA6024、AA6025、AA6026、AA6027、AA6028、AA6031、AA6032、AA6033、AA6040、AA6041、AA6042、AA6043、AA6151、AA6351、AA6351A、AA6451、AA6951、AA6053、AA6055、AA6056、AA6156、AA6060、AA6160、AA6260、AA6360、AA6460、AA6460B、AA6560、AA6660、AA6061、AA6061A、AA6261、AA6361、AA6162、AA6262、AA6262A、AA6063、AA6063A、AA6463、AA6463A、AA6763、A6963、AA6064、AA6064A、AA6065、AA6066、AA6068、AA6069、AA6070、AA6081、AA6181、AA6181A、AA6082、AA6082A、AA6182、AA6091、またはAA6092を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な7xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA7011、AA7019、AA7020、AA7021、AA7039、AA7072、AA7075、AA7085、AA7108、AA7108A、AA7015、AA7017、AA7018、AA7019A、AA7024、AA7025、AA7028、AA7030、AA7031、AA7033、AA7035、AA7035A、AA7046、AA7046A、AA7003、AA7004、AA7005、AA7009、AA7010、AA7011、AA7012、AA7014、AA7016、AA7116、AA7122、AA7023、AA7026、AA7029、AA7129、AA7229、AA7032、A7033、AA7034、AA7036、AA7136、AA7037、AA7040、AA7140、AA7041、AA7049、AA7049A、AA7149、AA7204、AA7249、AA7349、AA7449、AA7050、AA7050A、AA7150、AA7250、AA7055、AA7155、AA7255、AA7056、AA7060、AA7064、AA7065、AA7068、AA7168、AA7175、AA7475、AA7076、AA7178、AA7278、AA7278A、AA7081、AA7181、AA7185、AA7090、AA7093、AA7095、またはAA7099を挙げることができる。
金属基材として使用するための非限定的な例示的な8xxxシリーズのアルミニウム合金として、AA8005、AA8006、AA8007、AA8008、AA8010、AA8011、AA8011A、AA8111、AA8211、AA8112、AA8014、AA8015、AA8016、AA8017、AA8018、AA8019、AA8021、AA8021A、AA8021B、AA8022、AA8023、AA8024、AA8025、AA8026、AA8030、AA8130、AA8040、AA8050、AA8150、AA8076、AA8076A、AA8176、AA8077、AA8177、AA8079、AA8090、AA8091、及びAA8093を挙げることができる。
本開示を通してアルミニウム合金製品について記載しているが、本方法及び製品は任意の金属基材に適用される。いくつかの実施形態では、金属基材は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム系材料、チタン、チタン系材料、銅、銅系材料、鋼鉄、鋼鉄系材料、青銅、青銅系材料、真鍮、真鍮系材料、複合材料、複合材料で使用されるシート、または任意の他の好適な金属もしくは金属の組み合わせである。製品は、モノリシック材料、ならびにロールボンド材料、クラッド材料、複合材料などの非モノリシック材料、または他の様々な材料を含んでもよい。いくつかの例では、金属物品は、金属コイル、金属ストリップ、金属プレート、金属シート、金属ビレット、金属インゴットなどである。
金属基材は任意の好適な質別の合金から調製することができる。特定の例では、合金はF、O、T3、T4、T6、またはT8xの質別で使用することができる。合金は、直接チル鋳造(直接チル共鋳造を含む)もしくは半連続鋳造、連続鋳造(例えば、ツインベルト鋳造機、ツインロール鋳造機、ブロック鋳造機、またはその他任意の連続鋳造機の利用を含む)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、またはその他の鋳造方法により製造することができる。
陽極酸化皮膜層
上記のように、陽極酸化皮膜層は、本明細書に記載の方法によって金属基材の表面上に形成される。陽極酸化皮膜層はバリア層を含み、それは酸化アルミニウム(例えば、無孔質酸化アルミニウム)で構成される。バリア層は、最大約25nmの厚さであり得る。場合によっては、バリア層は、約1nm~約25nm、約5nm~約25nm、約10nm~約20nm、または約12nm~約17nmの厚さであり得る。例として、バリア層は、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約21nm、約22nm、約23nm、約24nm、もしくは約25nmの厚さ、またはそれらの間のいずれかであり得る。
場合によっては、陽極酸化皮膜層はフィラメント層を含んでもよい。フィラメント層は、酸化アルミニウム(例えば、多孔質酸化アルミニウム)から構成され、一連の柱状の多孔質構造を含み得る。フィラメント層の特性(例えば、柱状の多孔質構造の特性)は、陽極酸化パラメータ及び条件(例えば、電解質溶液の組成)によって制御することができる。フィラメント層は、最大約75nmの厚さであり得る。場合によっては、フィラメント層は、約5nm~約800nm、約10nm~約750nm、約25nm~約700nm、または約45nm~約650nmの厚さであり得る。例として、フィラメント層は、約5nm、約25nm、約50nm、約75nm、約150nm、約200nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、もしくは約800nmの厚さ、またはそれらの間のいずれかであり得る。
場合によっては、陽極酸化皮膜層は、上記の任意の厚さのバリア層と上記の任意の厚さのフィラメント層とを含んでもよい。場合によっては、陽極酸化皮膜層は、約10nm、約15nm、約20nm、または約25nmのバリア層と、約650nm、約700nm、約750nm、または約800nmのフィラメント層とを含む。例として、陽極酸化皮膜層は、約10nmのバリア層及び約650nmのフィラメント層、約15nmのバリア層及び約700nmのフィラメント層、約20nmのバリア層及び約750nmのフィラメント層、または約25nmのバリア層及び約800nmのフィラメント層を含んでもよい。
バリア層、またはバリア層とフィラメント層とを含む陽極酸化皮膜層の厚さは、約1nm~約1000nmの範囲であり得る。場合によっては、陽極酸化皮膜層は、約1000nm未満の厚さ、例えば、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満、または約100nm未満である。例えば、陽極酸化皮膜層は、約5nm~約1000nm、約10nm~約900nm、約20nm~約800nm、または約30nm~約700nmの厚さであり得る。いくつかの例では、陽極酸化皮膜層は、約1nm、5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約150nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約750nm、約800nm、約825nm、約850nm、約900nm、約950nm、もしくは約1000nmの厚さ、またはそれらの間のいずれかであり得る。
陽極酸化基材を作製する方法
本開示は、陽極酸化基材を作製する方法を提供する。金属基材を陽極酸化する方法は、本明細書に記載するように、任意選択による準備ステップ、陽極酸化ステップ、及び任意選択による乾燥ステップを含む。前述のように、本明細書に記載の方法は、金属基材をエッチングする別個のステップ(例えば、酸エッチング及び/または電解エッチング)を含まない。さらに、該方法は、従来の陽極酸化方法で必要とされる複数の薬浴の必要性を排除して、1つの薬浴を使用して実施することができる。結果として、これらの新しい陽極酸化方法により、操作時間の短縮、環境衛生及び安全性の向上、ならびにコストの削減が可能になる。
本明細書に記載するような金属基材は、陽極酸化の前に加工技術に供して、陽極酸化に適した形態の金属基材をもたらすことができる。場合によっては、例えば、連続コイルの形態の金属基材をもたらすための加工技術を採用してもよく、それらとして、例えば、鋳造、均質化、熱間圧延、温間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、焼なまし、時効(自然時効及び/または人工時効を含む)、任意の好適な加工技術、及び/または任意のそれらの組み合わせが挙げられる。したがって、陽極酸化は、連続コイルまたは他の金属基材をもたらすための上記の加工技術に後続するステップとして実行されてもよい。例えば、陽極酸化は、冷間圧延機、焼なまし炉、連続焼なまし及び溶体化熱処理(CASH)ライン、または任意の好適な最終加工装置における金属基材の加工後に実施することができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載の陽極酸化は、最後から2番目の金属加工ステップと金属基材のコイリングとの間で行ってもよい。このように、金属基材は、金属製品に加工することができ、(例えば、連続コイルをもたらすために)金属製品をコイリングせずに、加工直後に陽極酸化することができる。場合によっては、本明細書に記載の金属基材は、コイリング後に陽極酸化することができる。陽極酸化する前に、金属基材は、保管することもできるし(例えば、金属基材を自然時効するために)、または人工時効することもできる。そのような場合、金属基材(例えば、保管された金属基材または人工時効された金属基材)は、コイルを解いて、本明細書に記載のシステムに送り込んで陽極酸化することができる。
該方法は、例えば、金属基材が、一緒に継ぎ合わせたまたは合わせた1つ以上の連続コイルから構成される、連続コイルプロセスで採用されてもよい。連続コイルプロセスのライン速度は可変であり、毎分約1メートル(mpm)から約350mpmの範囲内であり得る。例えば、ライン速度は、約1mpm、約2mpm、約3mpm、約4mpm、約5mpm、約6mpm、約7mpm、約8mpm、約9mpm、約10mpm、約15mpm、約20mpm、約25mpm、約30mpm、約35mpm、約40mpm、約45mpm、約50mpm、約55mpm、約60mpm、約65mpm、約70mpm、約75mpm、約80mpm、約85mpm、約90mpm、約95mpm、約100mpm、約105mpm、約110mpm、約115mpm、約120mpm、約125mpm、約130mpm、約135mpm、約140mpm、約145mpm、約150mpm、約155mpm、約160mpm、約165mpm、約170mpm、約175mpm、約180mpm、約185mpm、約190mpm、約195mpm、約200mpm、約205mpm、約210mpm、約215mpm、約220mpm、約225mpm、約230mpm、約235mpm、約240mpm、約245mpm、約250mpm、約255mpm、約260mpm、約265mpm、約270mpm、約275mpm、約280mpm、約285mpm、約290mpm、約295mpm、約300mpm、約305mpm、約310mpm、約315mpm、約320mpm、約325mpm、約330mpm、約335mpm、約340mpm、約345mpm、もしくは約350mpm、またはそれらの間のいずれかであり得る。
準備
陽極酸化する前に、金属基材を準備ステップに付してもよい。準備ステップは、陽極酸化のために金属基材を準備することができる。例えば、任意選択による準備ステップは、金属基材の1つ以上の表面を洗浄することを含んでもよい。任意選択による洗浄ステップは、金属基材の表面から残留オイルまたは緩く付着した酸化物を除去する。
任意選択により、洗浄は、溶媒(例えば、水性溶媒または有機溶媒)を使用して実行することができる。好適な洗浄剤として、例えば、水(例えば、蒸留水、脱塩水、または脱イオン水)、酸(例えば、硫酸、フッ化水素酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、またはクエン酸)、苛性アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム)、ヘキサン、エタノール、アセトン、または任意のそれらの組み合わせを挙げることができる。洗浄剤は、溶媒に添加された1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。いくつかの非限定的な例では、洗浄剤は、連続コイルの1つ以上の表面上に噴霧することができる。いくつかの態様では、洗浄ステップは、約2バール~約4バールの圧力などの好適な圧力で金属基材の1つ以上の表面上に水及び/または洗浄液を噴霧することによって実行することができる。例えば、金属基材の表面は、約2バール、2.1バール、2.2バール、2.3バール、2.4バール、2.5バール、2.6バール、2.7バール、2.8バール、2.9バール、3バール、3.1バール、3.2バール、3.3バール、3.4バール、3.5バール、3.6バール、3.7バール、3.8バール、3.9バール、4バールの圧力、またはそれらの間のいずれかの圧力で噴霧され得る。加えて、洗浄剤は、金属基材の1つ以上の表面に適用する前に加熱することができる。いくつかの非限定的な例では、洗浄剤は、約85℃~約100℃の温度に加熱することができる。例えば、洗浄剤は、約85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、またはそれらの間のいずれかの温度に加熱することができる。
前述のように、洗浄ステップは任意選択によるものである。場合によっては、金属基材は陽極酸化の前に洗浄ステップに供されない。場合によっては、金属基材の1つまたは複数の表面上に残留オイルが見える場合にのみ、金属基材は洗浄ステップに供される。
任意選択による準備ステップは、好ましくは予備エッチングステップを含まない。金属基材を陽極酸化する従来の方法では、金属基材は、表面をさらに洗浄するため、及び/または陽極酸化するための金属基材の1つ以上の表面を準備するために、陽極酸化する前に、例えば、アルカリ溶液及び/または電解質溶液によってエッチングされる。本明細書に記載の方法は、予備エッチングステップを必要とせずに、金属基材の表面上に陽極酸化皮膜層を効果的に形成する。本明細書に記載の方法は予備エッチングステップを必要としないので、本明細書に記載の方法は、従来の陽極酸化方法よりも少ない薬浴を必要とする。ほとんどの場合、単一の薬浴が陽極酸化方法に必要とされる。これによって、該方法を実施する時間と費用の両方が削減されることにより、加工の全体的な効率が増大する。さらに、過酷なアルカリ性及び/または酸性浴の必要性を減らすことによって、本明細書に記載の方法は、環境衛生及び安全性の向上をもたらす。
陽極酸化
本明細書に記載の方法では、金属基材は陽極酸化ステップに供され、それによって、陽極酸化皮膜層が、例えば、金属基材の1つ以上の表面上に形成されて、1つ以上の薄い陽極酸化皮膜面を形成する。場合によっては、薄い陽極酸化皮膜面は最終製品である。特定の例では、薄い陽極酸化皮膜面は、後続のコーティング用(例えば、付着促進剤、腐食防止剤、カップリング剤、任意の好適な前処理溶液、またはそれらの任意の組み合わせを含めた1つ以上の前処理剤)の基材である。陽極酸化は、金属基材の表面を電解質溶液と接触させること、1つ以上の電解槽の活性化ゾーンに金属基材を通過させること、及び電解質溶液に電流を流し、それによって電気回路を作り出すことによって達成される。
電解質溶液は、電解質の水溶液、例えば、水に溶解及び/または希釈された電解質から構成される。好適な電解質として、例えば、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせなどの無機酸が挙げられる。他の例示的な電解質として、なかでも、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、硫酸銅、塩化カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸アンモニウム、硝酸銀、塩化第二鉄、五ホウ酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、アジピン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム一塩基性、またはそれらの任意の組み合わせの水溶液が挙げられる。
電解質溶液は、0.01M~1Mの量で電解質を含む。いくつかの非限定的な例では、電解質溶液は、約0.01M~約1M、例えば、0.01M~0.8M、0.01M~0.6M、0.01M~0.5M、0.01M~0.4M、0.01M~0.2M、0.02M~1M、0.02M~0.8M、0.02M~0.5M、0.02M~0.6M、0.02M~0.4M、0.02M~0.2M、0.4M~1M、0.4M~0.8M、0.04M~0.6M、0.04M~0.5M、0.04M~0.4M、0.04M~0.2M、0.05M~1M、0.05M~0.8M、0.05M~0.5M、0.05M~0.6M、0.05M~0.4M、0.05M~0.2M、0.06M~1M、0.06M~0.8M、0.06M~0.6M、0.06M~0.5M、0.06M~0.4M、0.06M~0.2M、0.08M~1M、0.08M~0.8M、0.08M~0.6M、0.08M~0.5M、0.08M~0.4M、または0.08M~0.2Mの量で電解質を含む。下限に関しては、電解質溶液は、0.01M超、例えば、0.02M超、0.04M超、0.05M超、0.06M超、または0.08M超の量で電解質を含んでもよい。上限に関しては、電解質溶液は、1M未満、例えば、0.8M未満、0.6M未満、0.5M未満、0.4M未満、または0.2M未満の量で電解質を含んでもよい。例えば、電解質溶液は、約0.08Mの電解質、約0.09Mの電解質、約0.1Mの電解質、約0.12Mの電解質、約0.15Mの電解質、または約0.18Mの電解質を含んでもよい。
電解質溶液中の電解質の上記の濃度範囲のそれぞれは、上記の好適な電解質のいずれにも適用可能である。例えば、電解質溶液は、電解質溶液中の電解質について上に開示された濃度のいずれかで、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせなどの無機酸を含んでもよい。
本明細書に記載の方法の電解質溶液は、従来の陽極酸化方法の電解質溶液より低い濃度の電解質を含む。従来の陽極酸化方法では、通常、電解質濃度が少なくとも約2Mの電解質溶液が使用される。本明細書に記載の方法は、高濃度の電解質溶液を必要とせずに、金属基材の表面上に陽極酸化皮膜層を効果的に形成する。これによって、該方法を実施する費用が削減されることにより、加工の全体的な効率がさらに増大する。さらにまた、従来の陽極酸化方法は通常、高濃度の酸性溶液を利用するため、本明細書に記載の方法は、環境衛生及び安全性の向上をもたらす。
1つ以上の電解槽の活性化ゾーンに金属基材を通過させ、電解質溶液に電流を流す手段は、特に限定されない。場合によっては、例えばステンレス鋼から構成される金属陰極を使用して、金属基材と電気回路を形成してもよい。場合によっては、金属陰極は、接触ロール(例えば、接触ロール電極)であってもよい。1つ以上の電解槽は、1つ以上の対電極も含んでもよい。例えば、電解槽は、金属基材の第1の表面に平行に配置された第1の対電極と、金属基材の第2の表面に平行に配置された第2の対電極とを含んでもよい。
電力は、金属陰極及び/または1つ以上の対電極に印加することができ、これによって交流(AC)回路または直流(DC)回路が形成される。電解質溶液に流れる電流により酸素イオンが放出され、それは金属基材の表面に移動し、表面上に金属酸化物を形成することができる。例えば、金属基材はアルミニウム合金で構成されてもよく、ACまたはDCが流れることによって放出された酸素イオンは金属基材の表面上のアルミニウムと結合して、アルミナ(Al)を形成し得る。対電極(複数可)に電力を印加することにより、電解質と金属基材の表面との間の界面で陽極酸化が確実に行われるようにすることができる。
場合によっては、AC回路を形成するために電力が印加される。金属陰極及び/または1つ以上の対電極に印加されるAC電力は、約±10交流電圧(VAC)~約±35VAC、例えば、約±15交流電圧(VAC)~約±35VAC、約±18VAC~約±34VAC、約±20VAC~約±32VAC、または約±22VAC~約±30VACの範囲であり得る。下限に関しては、印加されるAC電力は、±15VAC超、例えば、±18VAC超、±20VAC超、または±22VAC超であってもよい。上限に関しては、印加されるAC電力は、±35VAC未満、例えば、±34VAC未満、±32VAC未満、または±30VAC未満であってもよい。例えば、印加されるAC電力は、約±22VAC、約±24VAC、約±26VAC、または約±28VACであってもよい。
金属基材は、ACをある設定時間印加することによって、例えば、金属基材をACにある設定時間曝露することによって、陽極酸化することができる。場合によっては、ACは少なくとも5秒間、例えば、少なくとも6秒間、少なくとも7秒間、少なくとも8秒間、または少なくとも9秒間印加される。上限に関しては、ACは、5分間未満、例えば、2分間未満、1分間未満、30秒間未満、または20秒間未満印加されてもよい。範囲に関しては、ACは、5秒間~5分間、例えば、6秒間~2分間、7秒間~1分間、8秒間~30秒間、または9秒間~20秒間、印加されてもよい。例えば、金属基材は、約7秒間、約8秒間、約9秒間、約10秒間、約11秒間、約12秒間、約13秒間、約14秒間、約15秒間、約16秒間、または約17秒間、通電された電解質溶液に曝露されてもよい。
形成されたAC回路は、任意の波形であってもよく、例えば、正弦波形、矩形波形、鋸歯波形、三角波形、または方形波形であってもよい。
場合によっては、DC回路を形成するために電力が印加される。金属陰極及び/または1つ以上の対電極に印加されるDC電力は、約±10直流電圧(VDC)~約±35VDC、例えば、約±15直流電圧(VDC)~約±35VDC、約±18VDC~約±34VDC、約±20VDC~約±32VDC、または約±22VDC~約±30VDCの範囲であり得る。下限に関しては、印加されるDC電力は、±15VDC超、例えば、±18VDC超、±20VDC超、または±22VDC超であってもよい。上限に関しては、印加されるDC電力は、±35VDC未満、例えば、±34VDC未満、±32VDC未満、または±30VDC未満であってもよい。例えば、印加されるDC電力は、約±22VDC、約±24VDC、約±26VDC、または約±28VDCであってもよい。
金属基材は、DCをある設定時間印加することによって、例えば、金属基材をDCにある設定時間曝露することによって、陽極酸化することができる。場合によっては、DCは少なくとも5秒間、例えば、少なくとも7秒間、少なくとも10秒間、少なくとも12秒間、または少なくとも15秒間印加される。上限に関しては、DCは、10分間未満、例えば、5分間未満、2分間未満、1分間未満、または30秒間未満印加されてもよい。範囲に関しては、DCは、5秒間~10分間、例えば、7秒間~5分間、10秒間~2分間、12秒間~1分間、または15秒間~30秒間、印加されてもよい。例えば、金属基材は、約10秒間、約12秒間、約14秒間、約16秒間、約18秒間、約20秒間、約22秒間、約24秒間、約26秒間、約28秒間、または約30秒間、通電された電解質溶液に曝露されてもよい。
場合によっては、金属基材の表面は、ACを単独で印加するか、またはDCを単独で印加することによって陽極酸化される。場合によっては、金属基材の表面は、例えば順番に、AC電力とDC電力の両方を印加することによって陽極酸化される。別の言い方をすれば、金属基材の表面を陽極酸化することは、ACを印加し、続いてDCを印加すること、及び/またはDCを印加し、続いてACを印加することを含んでもよい。例えば、陽極酸化することは、DCを少なくとも5秒間印加する前及び/または後にACを少なくとも5秒間印加すること、例えば、DCを約5秒間印加する前及び/または後にACを約5秒間印加すること、DCを約10秒間印加する前及び/または後にACを約5秒間印加すること、DCを約15秒間印加する前及び/または後にACを約5秒間印加すること、DCを約20秒間印加する前及び/または後にACを約5秒間印加すること、DCを約5秒間印加する前及び/または後にACを約8秒間印加すること、DCを約10秒間印加する前及び/または後にACを約8秒間印加すること、DCを約15秒間印加する前及び/または後にACを約8秒間印加すること、DCを約20秒間印加する前及び/または後にACを約8秒間印加すること、DCを約5秒間印加する前及び/または後にACを約10秒間印加すること、DCを約10秒間印加する前及び/または後にACを約10秒間印加すること、DCを約15秒間印加する前及び/または後にACを約10秒間印加すること、DCを約20秒間印加する前及び/または後にACを約10秒間印加すること、DCを約5秒間印加する前及び/または後にACを約12秒間印加すること、DCを約10秒間印加する前及び/または後にACを約12秒間印加すること、DCを約15秒間印加する前及び/または後にACを約12秒間印加すること、またはDCを約20秒間印加する前及び/または後にACを約12秒間印加することを含んでもよい。
場合によっては、陽極酸化ステップ中に、金属基材、例えば、連続コイルまたは金属基材の一部(金属基材の表面など)は、電解質溶液浴に浸漬されてもよい。任意選択により、新たな溶液がアルミニウム合金連続コイルの表面に連続的に曝露されることが確実になるように、電解質溶液を循環させることができる。
電解質溶液浴の温度は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約98℃、約70℃~約95℃、約75℃~約92℃、約70℃~約90℃、または約75℃~約90℃であり得る。下限に関しては、電解質溶液浴の温度は、60℃超、例えば、65℃超、70℃超、または75℃超であってもよい。上限に関しては、電解質溶液浴の温度は、100℃未満、例えば、98℃未満、95℃未満、92℃未満、または90℃未満であってもよい。例えば、電解質溶液浴の温度は、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、または約100℃であり得る。
電解質溶液中の成分の濃度は、遊離酸及び全酸の滴定法または誘導結合プラズマ(ICP)などの当業者に公知の技術に従って測定することができる。例えば、アルミニウム含有量はICPによって測定し、特定の範囲内になるように制御することができる。いくつかの例では、アルミニウム含有量は、約10.0g/L未満になるように制御される。例えば、アルミニウム含有量は、約9.5g/L未満、約9.0g/L未満、約8.5g/L未満、約8.0g/L未満、約7.5g/L未満、約7.0g/L未満、約6.5g/L未満、約6.0g/L未満、約5.5g/L未満、約5.0g/L未満、約4.5g/L未満、約4.0g/L未満、約3.5g/L未満、約3.0g/L未満、約2.5g/L未満、約2.0g/L未満、約1.5g/L未満、約1.0g/L未満、約0.5g/L未満、約0.4g/L未満、約0.3g/L未満、約0.2g/L未満、または約0.1g/L未満であり得る。
場合によっては、陽極酸化ステップ中に、電解質溶液は金属基材の表面上に噴霧されてもよい。いくつかの態様では、電解質溶液は、約2バール~約4バールの圧力で金属基材の表面上に噴霧されてもよい。例えば、電解質溶液は、2バール、2.1バール、2.2バール、2.3バール、2.4バール、2.5バール、2.6バール、2.7バール、2.8バール、2.9バール、3バール、3.1バール、3.2バール、3.3バール、3.4バール、3.5バール、3.6バール、3.7バール、3.8バール、3.9バール、4バール、またはそれらの間のいずれかの圧力で金属基材の表面上に噴霧することができる。加えて、電解質溶液は、金属基材の表面上への塗布前に加熱することができる。いくつかの非限定的な例では、電解質溶液は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約98℃、約70℃~約95℃、約75℃~約92℃、約70℃~約90℃、または約75℃~約90℃の温度に加熱することができる。下限に関しては、電解質溶液は、60℃超、例えば、65℃超、70℃超、または75℃超の温度に加熱されてもよい。上限に関しては、電解質溶液は、約100℃未満、例えば、約98℃未満、約95℃未満、約92℃未満、または約90℃未満の温度に加熱されてもよい。例えば、電解質溶液は、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、または100℃の温度に加熱されてもよい。
本明細書に記載の方法の電解質溶液は、電解質溶液浴であれ噴霧であれ、従来の陽極酸化方法の電解質溶液よりも高い温度に加熱される。従来の陽極酸化法では、電解質溶液は通常、60℃未満、例えば約55℃に加熱される。本明細書に記載の方法は、金属基材の表面上に陽極酸化皮膜層をより効率的に形成するように、より高温の電解質を含む。これによって、該方法を実施する費用が削減されることにより、加工の全体的な効率がさらに増大する。
後処理
陽極酸化した後に、金属基材を1つ以上の後処理ステップに付してもよい。後処理ステップは、さらなる加工のために陽極酸化基材を準備することができる。
任意選択により、陽極酸化ステップ後に、金属基材の表面を溶媒で濯いでもよい。濯ぎステップは、陽極酸化ステップの後に残る残留電解質をいずれも除去することができる。好適な溶媒として、例えば、水性溶媒(例えば、脱イオン水)、有機溶媒、無機溶媒、pH値特定溶媒(例えば、電解質と反応しない溶媒)、任意の好適な溶媒、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。この濯ぎは、噴霧を使用して、または浸漬によって実行することができる。アルミニウム合金連続コイルの表面から残留電解質を除去し、表面上への再沈降を防ぐために、溶媒は循環させることができる。濯ぎ溶媒の温度は、任意の好適な温度であり得る。
任意選択により、陽極酸化ステップ及び/または濯ぎステップ後に、金属表面の表面を乾燥させてもよい。乾燥ステップは、コイルの表面から電解質溶液及び/または濯ぎ溶媒(例えば、脱イオン水)をいずれも除去する。加えて、乾燥ステップは、薄い陽極酸化皮膜の耐食性及び/または付着性能を増大させることができる。
乾燥ステップは、例えば、圧縮空気、エアドライヤー、赤外線ドライヤー、または任意の他の好適なドライヤーを使用して実行することができる。金属基材の表面を、例えば圧縮空気で空気乾燥させるために、空気は、450℃~550℃、例えば460℃~530℃、465℃~515℃、470℃~500℃、または475℃~495℃の温度に加熱されてもよい。下限に関しては、空気、例えば圧縮空気は、450℃超、例えば、460℃超、465℃超、470℃超、または475℃超の温度に加熱されてもよい。上限に関しては、空気、例えば圧縮空気は、550℃未満、例えば、530℃未満、515℃未満、500℃未満、または495℃未満の温度に加熱されてもよい。例えば、金属基材の表面は、約470℃、約471℃、約472℃、約473℃、約474℃、約475℃、約475℃、約476℃、約477℃、約478℃、約479℃、約480℃、約481℃、約482℃、約483℃、約484℃、約485℃、約486℃、約487℃、約488℃、約489℃、約490℃、約491℃、約492℃、約493℃、約494℃、または約495℃の温度に加熱された空気で乾燥されてもよい。
乾燥ステップは、最大5分間の期間にわたり実行することができる。例えば、乾燥ステップは、5秒間以上、10秒間以上、15秒間以上、20秒間以上、25秒間以上、30秒間以上、35秒間以上、40秒間以上、45秒間以上、50秒間以上、55秒間以上、60秒間以上、65秒間以上、90秒間以上、2分間以上、3分間以上、4分間以上、または5分間にわたり実行することができる。
陽極酸化後に、陽極酸化基材は、熱処理され、所望の調質または質別に加工されてもよい。例えば、陽極酸化された基材は、T1の質別、T2の質別、T3の質別、T4の質別、T5の質別、T6の質別、T7の質別、T8xの質別、またはT9の質別を達成するように加工されてもよい。
システム
本開示はまた、陽極酸化基材を作製するシステムを提供する。いくつかの非限定的な例では、本システムは、金属基材の少なくとも1つの表面、例えば、金属基材の第1の表面上に陽極酸化皮膜層を形成するように構成される。第1の表面は、水平加工ラインで調製された金属基材、例えば、連続コイルの、上面、下面、または側面であってもよい。場合によっては、第1の表面は、垂直加工ラインで調製された金属基材の前面、後面、または側面であってもよい。いくつかの態様では、本明細書に記載のシステムは、金属基材の第1の側及び該基材の第2の側の上に陽極酸化皮膜層を形成するように構成される。例えば、陽極酸化皮膜層は、(例えば、水平加工ラインにおいて)金属基材の上面及び下面に、及び/または(例えば、垂直加工ラインにおいて)金属基材の前面及び後面に形成することができる。さらなる例では、陽極酸化皮膜層は、金属基材全体(例えば、連続コイルのあらゆる露出面)の上に形成することができる。
本明細書に記載するような陽極酸化基材を作製するシステムは、より大きな加工システムの構成要素であってもよい。例えば、該システムは、冷間圧延機、焼なまし炉、連続焼なまし及び溶体化熱処理(CASH)ライン、または任意の好適な最終加工装置の下流に配置することができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載の金属基材を陽極酸化するためのシステムは、最後から2番目の金属加工装置と金属コイラーとの間に配置されてもよい。このように、金属基材は、金属製品に加工することができ、(例えば、連続コイルをもたらすために)金属製品をコイリングせずに、加工直後に陽極酸化することができる。したがって、上記のシステムが金属加工ラインで使用されるとき、システムのパラメータは、金属加工ラインのライン速度、例えば、均質化、溶体化熱処理、及び/または焼なまし(すなわち、時間依存する熱加工)を含むプロセスによって選択及び/または要求されるライン速度に依存し得る。このため、なかでも印加電力、電解質濃度、電解質温度、及び/または滞留時間を含めたシステムパラメータは、金属加工ラインの所定の/選択されたライン速度に従って調整され得る。
電解槽
本明細書に記載のシステムは、電解槽(例えば、バイポーラ槽)を含む。場合によっては、単一の電解槽が加工ラインで利用されて、陽極酸化皮膜層がその場で形成される。場合によっては、複数の電解槽を加工ラインで採用することができる。複数の電解槽を加工ライン(例えば、連続コイル加工ライン)で採用することによって、カスタマイズ可能な陽極酸化システムがもたらされる。場合によっては、電解槽を使用して、金属基材を電解で洗浄することができる。場合によっては、複数の電解槽を使用して、連続コイルを洗浄し、連続コイル上に薄い陽極酸化皮膜を形成することができる。
電解槽は、金属陰極を含む。金属陰極は、金属基材を陽極酸化するために採用される電流がそこから流れる電極である。金属陰極の組成は特に限定されず、従来の陰極材料が使用されてもよい。例示的な陰極材料として、鋼、ステンレス鋼、グラファイト、チタン、鉛、及びアルミニウム合金が挙げられる。場合によっては、金属陰極は、接触ロール電極であってもよい。
電解槽は、対電極も含んでもよい。対電極(補助電極とも呼ばれる)は、例えば陽極酸化の速度を上げるために、金属陰極の機能を支援する電極である。システムが通電されたときに、1つ以上の対電極は、金属陰極と回路を形成し得る。1つ以上の対電極は、所望の陽極酸化に応じて、金属基材の表面の上、金属基材の表面の下、または金属基材の表面の上及び下に取り付けてもよい。対電極の組成は特に限定されず、従来の補助電極材料が使用されてもよい。例示的な対電極として、鋼、ステンレス鋼、グラファイト、チタン、銀、及び白金が挙げられる。
電解質溶液源
本明細書に記載のシステムは、電解質溶液源も含む。電解質溶液源は、陽極酸化中に形成された電流が流れる電解溶液を提供する。前述のように、電解質溶液は、電解質の水溶液、例えば、水に溶解及び/または希釈された電解質から構成される。好適な電解質として、例えば、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせなどの無機酸が挙げられる。他の例示的な電解質として、なかでも、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、硫酸銅、塩化カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸アンモニウム、硝酸銀、塩化第二鉄、五ホウ酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、アジピン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム一塩基性、またはそれらの任意の組み合わせの水溶液が挙げられる。電解質溶液源は、好ましくは、悪影響を受けない材料、例えば例示的な電解質溶液によって腐食されない材料から構成される。
場合によっては、電解質溶液源は、例えば、電解質溶液浴を形成するためのタンクを含む。陽極酸化中、金属基材は、該電解質溶液浴に浸漬されてもよい。タンクはまた、電解質溶液浴内で動きを作り出し、陽極酸化中に生成された熱を放散するための攪拌機を含んでもよい。攪拌機は、当業者に公知の従来の攪拌機であってもよい。例えば、攪拌機は、凝縮空気のための入口(例えば、PVCパイプ)であってもよい。場合によっては、電解質溶液源は、例えば電解質溶液を金属基材の表面上に噴霧するための、1つ以上のノズルを含む。
支持体
本明細書に記載のシステムは、1つ以上の支持体も含む。支持体は、電解槽内に金属基材を送り込む及び/または吊り下げる。場合によっては、支持体は、金属基材を電解質溶液浴に浸漬させる。支持体の組成は特に限定されず、従来の陰極材料が使用されてもよい。例示的な陰極材料として、鋼、ステンレス鋼、グラファイト、チタン、及びアルミニウム合金が挙げられる。
場合によっては、支持体は、電解槽を通して金属基材を運搬するための1つ以上のローラーを含む。例えば、支持体は、スキージ及び/または接触ローラーのシステムを含んでもよい。場合によっては、支持体は、電解質溶液浴中に金属基材を吊り下げるラックである。
電源
本明細書に記載のシステムは、電源をも含む。電源は、電解槽にAC及び/またはDCを提供することができる。電源がACを提供する場合、電源は、任意の波形、例えば、正弦波形、矩形波形、鋸歯波形、三角波形、または方形波形のAC回路を形成することができる。
例示的な構成
システムの非限定的な一例では、金属基材は、電解槽の入口に配置されたスキージローラーによって電解槽に送り込まれる。スキージローラーは、予備洗浄ステップから残る残留溶液を除去することができる。陽極酸化プロセス用の電解質は、金属基材の第1の側の上及び金属基材の第2の側の下に配置されたノズルによって金属基材の表面に供給される。電解槽の中間点(または他の好適な位置)に配置されたコーティングされたステンレス鋼ローラーは、金属基材を安定化し、電解槽を通して金属基材を送り込み続けることができる。交流(AC)源によって電力供給される第1のグラファイト対電極及び第2のグラファイト対電極を含む電解槽は、電解質を通過する電流を供給し、金属基材の表面を陽極酸化する。電解槽の出口に配置されたスキージローラーは、残留電解液を除去し、電解槽から金属基材を送り出し続けることができる。
別の非限定的な例では、接触ロールが、金属基材を陽極酸化する回路を形成するための電極として使用される。金属基材は、接触ロール電極に送り込まれる。陽極酸化用の電解質は、金属基材の第1の側の上及び金属基材の第2の側の下に配置されたノズルによって金属基材の表面に供給される。第1の構成では、接触ロール電極及び第1の対電極は、回路を形成するように構成され、電解質を通過して金属基材の表面を陽極酸化するACを供給するように構成された電流源によって電力が供給される。第2の構成では、接触ロール電極は陽極であり、電流源は電解質を通過して金属基材の表面を陽極酸化するDCを供給するように構成される。スキージローラーは、予備洗浄ステップからの残留洗浄剤をいずれも除去し、金属基材を電解槽に送り込み続けるように接触ロール電極の下流に配置され、またスキージローラーは、残留電解質を除去し、任意のさらなる下流での加工へ金属基材を送り出し続けるために第1の対電極の下流に配置される。
別の非限定的な例では、金属基材は、チタン製のラック内に置かれ、アルミニウムの棒に固定される。ラックは、タンク内の電解質溶液浴に金属基材を浸漬させる。ステンレス鋼の陰極を使用して、電解質溶液浴を通してパルスリバース電力供給装置から受け取ったAC電流とDC電流の両方を供給して金属基材の1つ以上の表面を陽極酸化する。圧縮空気を電解質溶液浴の下部に供給して、電解質溶液を攪拌し、陽極酸化中に生成された局所的な熱を除去する。
陽極酸化基材の使用
本明細書に記載の方法に従って作製される陽極酸化基材は、なかでも、自動車、電子機器、及び、例えば、商用車、航空機、または鉄道用途のような輸送用途で使用するための製品を含めた製品の製造に使用することができる。本明細書に記載の連続コイル及び方法は、様々な用途で望まれる表面特性を備えた製品を提供する。本明細書に記載の製品は、高強度、高変形能(伸長、スタンピング、シェーピング、成形性、曲げ性、または熱間成形性)、及び/または高い耐食性を有することができる。連続コイルの表面前処理として薄い陽極酸化皮膜を採用することで、この前処理を損傷することなく変形可能な製品を提供する。例えば、特定のポリマーベースの前処理皮膜は、アルミニウム合金製品を形成するために使用される曲げ操作の間に破断することがある。
特定の態様では、陽極酸化基材はコーティングすることができ、例えば、Znリン酸化及びエレクトロコーティング(Eコーティング)することができる。陽極酸化基材は、陽極酸化皮膜層を含有しない連続コイルと比較して、コーティングの付着性の向上を示す。
いくつかのさらなる態様では、陽極酸化基材は、連続コイルの表面上へのラミネートまたはラッカー皮膜の高レベルの付着性を示す。加えて、ラミネート及びラッカーは、塗布後に最大約230℃の温度で硬化されることがある。陽極酸化基材は、アルミニウム合金製品の特定の下流加工に使用される高温によって損傷を受けず、アルミニウム合金製品の耐熱性前処理となる。
いくつかのさらなる態様では、陽極酸化基材は、優れた接着耐久性を示す。
いくつかの例では、陽極酸化基材は、高強度鋼の完全なまたは部分的な代用としての役割を果たす強度を得るために、シャーシ、クロスメンバー、及びシャーシ内コンポーネント(商用車のシャーシの2つのCチャンネル間のすべてのコンポーネントを包含するが、これらに限定されない)に使用することができる。特定の例では、陽極酸化基材は、O、F、T4、T6、またはT8xの質別で使用することができる。特定の態様では、陽極酸化基材は、動力車の車体部品製品、例えば、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、及びCピラー)、インナーパネル、サイドパネル、フロアパネル、トンネル、構造パネル、補強パネル、インナーフード、またはトランクリッドパネルなどの自動車の車体部品を調製するために使用することができる。開示される陽極酸化基材は、例えば、航空機または鉄道車両用途で使用して、外部及び内部パネルを調製することもできる。
いくつかの例では、陽極酸化基材は、携帯電話及びタブレットコンピュータを含めた電子デバイスの筐体を調製するために使用することもできる。例えば、陽極酸化基材は、携帯電話(例えばスマートフォン)の外部ケーシング用の筐体及びタブレットのボトムシャーシ用の筐体を調製するために使用することができる。例示的な家庭用電化製品として、携帯電話、オーディオデバイス、ビデオデバイス、カメラ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、家電機器、ビデオ再生及び記録デバイスなどが挙げられる。例示的な家庭用電化製品部品として、家庭用電化製品の外側の筐体(例えば、ファサード)及び内側の部品が挙げられる。
特定の態様では、陽極酸化基材は、電子デバイス用基材を調製するためにさらに使用することができる。例えば、電子デバイス用基材は、積層電子デバイス(例えば、サンドイッチスタイル)を調製するために、導電層(例えば、連続コイルなどのアルミニウム合金基材)及び誘電体層(例えば、陽極酸化皮膜層)を含むことができる。いくつかの例では、陽極酸化皮膜層は、アルミニウム合金基材に半導体性をもたらすように構成される。半導体性には、材料の調節可能及び/または調整可能な導電性が含まれる。場合によっては、金属基材、例えばアルミニウム合金から構成される金属基材の導電性は、その上に陽極酸化皮膜層を形成することによって減少させることができる。いくつかの例では、陽極酸化皮膜層は、金属基材を非導電性(例えば、絶縁体)にすることができる。例えば、アルミニウム合金は本質的に導電性であるが、Alを含めたアルミニウム合金基材上に堆積された陽極酸化皮膜は、非導電性及び/または高誘電性(すなわち、high-k)皮膜である。陽極酸化皮膜層は、アルミニウム合金基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に堆積させることができる。場合によっては、金属基材の表面全体が陽極酸化皮膜層を含むことができる。例えば、陽極酸化皮膜は、電子デバイス用領域を画定するために、アルミニウム合金基材の表面上に合理的にパターン化することができる。いくつかの例では、陽極酸化皮膜層は、電子デバイス用基材を提供するのに適した任意の形状を有することができ、または金属基材を任意の好適な形状に切断して、電子デバイス用基材を提供することができる。
特定の態様では、陽極酸化皮膜層は、金属基材の表面全体にわたって均一な厚さを有する。薄膜(例えば、陽極酸化皮膜層)の誘電特性は、薄膜のパラメータに依存し得る。例えば、誘電特性は、デバイス及び/またはデバイス用基材の表面積に比例し、薄膜の厚さに反比例し得る。このため、安定した均一な電子デバイス用基材を提供するには、均一な陽極酸化皮膜層を提供することが必要となる。加えて、陽極酸化皮膜層は、表面モフォロジー(例えば、表面粗さ)に適合し、電子デバイス及び/または電子デバイス用基材の領域全体にわたり均一な厚さをさらに提供する。陽極酸化皮膜層の誘電特性は、厚さに反比例している。このため、薄い陽極酸化皮膜のより薄い部分は、電界及び/または電流が印加されると、絶縁破壊及び/または皮膜損傷を被ることがある。
いくつかの例では、陽極酸化皮膜層は、アルミニウム合金の領域全体にわたって均一な比誘電率(k)を有する。特定の態様では、陽極酸化皮膜層は、少なくとも約±10ボルト(V)(例えば、少なくとも約±11V、少なくとも約±12V、少なくとも約±13V、少なくとも約±14V、少なくとも約±15V、少なくとも約±16V、または少なくとも約±17V)の破壊電圧を有する。破壊電圧は、本明細書に記載の薄い陽極酸化皮膜を有する電子デバイスに印加されたときに、陽極酸化皮膜層の誘電特性が印加電圧によって克服され、電流が誘電体層(例えば、陽極酸化皮膜層)全体にわたって流れ得る電圧である。例えば、コンデンサは電極間に配置された誘電体層を有する2つの導電性電極を含む。コンデンサに電圧が印加されると、電界が誘電体層全体にわたって電子を駆動するのに十分な強さになるまで、電子が1つの電極に蓄積され、コンデンサが放電される。このため、コンデンサが放電すると、誘電体層で絶縁破壊が発生する。
さらなる例では、陽極酸化皮膜層は、電子デバイスのリーク電流を最小限に抑えるように構成される。例えば、陽極酸化皮膜層は、最大約±100ナノアンペア(nA)(例えば、最大90nA、最大80nA、最大70nA、最大60nA、最大50nA、最大40nA、最大30nA、最大20nA、最大10nA、最大1nA、最大90ピコアンペア(pA)、最大50pA、または最大1pA)のリーク電流を有し得る。リーク電流は、絶縁破壊電圧よりも低い印加電圧で誘電体層(例えば、薄い陽極酸化皮膜)全体にわたって伝播することができる電流の量である。場合によっては、デバイスの欠陥及び/または他のデバイスの不規則性によって電流が誘電体層を通して漏れ、リーク電流として示されることがある。本明細書に記載の陽極酸化皮膜層によって、無視できる量の電流が誘電体層を通して漏れるようにすることができる。
場合によっては、陽極酸化皮膜層は、最大100メガヘルツ(MHz)(例えば、最大90MHz、最大80MHz、最大70MHz、または最大60MHz)印加周波数下で安定である。このため、薄い陽極酸化皮膜に印加される高周波電気は、本明細書に記載の電子デバイス用基材を使用するデバイスが使用されるとき(例えば、回路内のコンデンサとして使用されるとき)、陽極酸化皮膜層を損傷しない。
いくつかの非限定的な例では、電子デバイス用基材は、エネルギー貯蔵デバイス用基材、エネルギーハーベスティングデバイス用基材、エネルギー消費デバイス用基材、または回路コンポーネント用基材を含む。例えば、エネルギー貯蔵デバイスは、コンデンサ、超コンデンサ、バッテリー、及び/または充電式バッテリーであり得る。場合によっては、エネルギーハーベスティングデバイスは光起電デバイスであり得る。さらに、エネルギー消費デバイスは、発光ダイオード、有機発光ダイオード、メモリモジュール、エレクトロ音声デバイス、及び/またはエレクトロクロミックデバイスであり得る。さらなる例では、回路コンポーネントは、ダイオード、整流ダイオード、抵抗器、トランジスタ、メモリスタ、任意の好適な回路コンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
実例
実例1は、陽極酸化基材を作製する方法であって、金属基材を用意すること;及び60℃~100℃の温度の電解質溶液中で前記金属基材の表面を陽極酸化して陽極酸化皮膜層を形成することであって、前記電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、前記陽極酸化することを含む、前記方法である。
実例2は、前記電解質が、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例3は、前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例4は、前記陽極酸化が、前記電解質溶液に少なくとも5秒間、±10VDC~±35VDCの電圧を有する直流(DC)を印加すること及び/または±10VAC~±35VACの電圧を有する交流(AC)を印加することを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例5は、前記陽極酸化することが、DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後にACを少なくとも5秒間印加することを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例6は、前記金属基材の前記表面を洗浄すること、及び/または前記金属基材の前記表面を乾燥させることをさらに含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例7は、前記金属基材の前記表面を洗浄することが、前記金属基材の前記表面を溶媒で濯ぐことを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例8は、陽極酸化する前に金属基材がエッチングされない、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例9は、前記金属基材がアルミニウム合金を含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例10は、陽極酸化基材を作製する方法であって、金属基材を用意すること;電解質溶液に少なくとも5秒間、±10VDC~±35VDCの電圧を有する直流(DC)を印加すること及び±10VAC~35VACの電圧を有する交流(AC)を印加することによって前記金属基材の表面を前記電解質溶液中で陽極酸化することであって、前記電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、前記陽極酸化すること;ならびに任意選択により、前記金属基材の前記表面を乾燥させることを含む、前記方法である。
実例11は、前記電解質が、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例12は、前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例13は、前記陽極酸化することが、DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後にACを少なくとも5秒間印加することを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例14は、前記電解質溶液が少なくとも約60℃~約100℃の温度に加熱される、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例15は、前記金属基材の前記表面を洗浄すること、及び/または前記金属基材の前記表面を乾燥させることをさらに含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例16は、前記金属基材の前記表面を洗浄することが、前記金属基材の前記表面を溶媒で濯ぐことを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例17は、陽極酸化する前に金属基材がエッチングされない、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例18は、前記金属基材がアルミニウム合金を含む、先行するまたは後続する実例のいずれかの方法である。
実例19は、金属基材を陽極酸化するためのシステムであって、金属陰極を有する電解槽;0.01M~1Mの電解質を含む電解質溶液を提供するための電解質溶液源;前記電解質溶液中に前記金属基材を吊り下げるための支持体;ならびに電力供給装置であって、そこから直流(DC)及び交流(AC)を前記電解槽に提供して前記電解質溶液に通す、前記電力供給装置を含む、前記システムである。
実例20は、前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、先行するまたは後続する実例のいずれかのシステムである。
実例21は、前記電解質溶液源が攪拌機を有するタンクを含む、先行するまたは後続する実例のいずれかのシステムである。
実例22は、前記電解槽が1つ以上の複合電極をさらに含む、先行するまたは後続する実例のいずれかのシステムである。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、しかしながら、それを何ら限定するものではない。逆に、本明細書の説明を読んだ後に本明細書が当業者に示唆し得る様々な実施形態、変更形態及びそれと同等なものも、本発明の趣旨から逸脱することなく利用できることを明確に理解されたい。
実施例1:接着耐久性試験
前述のように、本明細書に記載の金属基材を陽極酸化する方法は、優れた接着耐久性を実証する陽極酸化基材を生成する。本実施例は、従来の方法に従って陽極酸化された金属基材と比較して向上した、本明細書に記載の方法に従って陽極酸化された金属基材の接着耐久性を説明するためのものである。
陽極酸化金属基材の特性を試験するために、いくつかの陽極酸化された7xxxシリーズのアルミニウム合金の試料を本明細書に記載の方法に従って調製した。試験した試料のそれぞれを表1に示す。いくつかの試料では、Fの質別の7xxxシリーズアルミニウム合金を陽極酸化し、続いてT6の質別に熱処理した(485°Cで5分間、次いで125°Cで24時間)。他の試料では、T6の質別の7xxxシリーズのアルミニウム合金を、後続する熱処理を行わずに陽極酸化した。他の試料では、T6の質別の7xxxシリーズのアルミニウム合金を陽極酸化し、続いてT6の質別と同等の熱処理を行った(485°Cで5分間、次いで125°Cで24時間)。
表1に示すように、2つの比較試料も従来の陽極酸化方法に従って調製した。具体的には、第1の比較試料は、従来の2段階リン酸陽極酸化方法によって調製し、第2の比較試料は、従来の硫酸陽極酸化方法によって調製した。
Figure 2024096890000001
Figure 2024096890000002
例示的な陽極酸化基材の3つの試料を接着耐久性試験に供した。この試験では、各試料の6組の重ね継手/接着をボルトで順番に接続し、相対湿度(RH)90%の湿度キャビネットに垂直に配置した。温度は50℃に維持した。2.4kNの力荷重を一連の接着(bond sequence)に加えた。この接着耐久性試験は、最大60サイクルの繰り返し曝露試験である。各サイクルは24時間続く。各サイクルで、接着を湿度キャビネットに22時間曝露し、次いで5%NaClに15分間浸漬し、最後に105分間空気乾燥させた。3つの継手が破断したときに、その特定の組の継手の試験を中止し、最初の故障として示した。本開示では、最初の故障なしに45サイクルが完了すれば、その継手の組が接着耐久性試験に合格したことを示している。
接着耐久性試験の結果を以下の表2に示す。表2では、継手のそれぞれに1から6の番号が付けられており、ここでは、垂直に配向したときに、継手1は上部の継手であり、継手6は下部の継手である。「45」及び「60」を除くセル内の数字は、破断前の成功したサイクルの数を示す。セル内の数字「45」は、継手が45サイクルの間損なわれないままであったことを示す。セル内の数字「60」は、継手が60サイクルの間損なわれないままであったことを示す。その結果を以下の表2に要約する。
Figure 2024096890000003
本開示に従って陽極酸化された例示的な陽極酸化基材は、優れた接着耐久性を実証し、故障することなく60回の試験サイクルに耐えた。比較用の陽極酸化基材は、比較的劣った接着耐久性を実証した。

Claims (22)

  1. 陽極酸化基材を作製する方法であって、
    金属基材を用意すること;及び
    60℃~100℃の温度の電解質溶液中で前記金属基材の表面を陽極酸化して陽極酸化皮膜層を形成することであって、前記電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、前記陽極酸化すること
    を含む、前記方法。
  2. 前記電解質が、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記陽極酸化することが、前記電解質溶液に少なくとも5秒間、±10VDC~±35VDCの電圧を有する直流(DC)を印加すること及び/または±10VAC~±35VACの電圧を有する交流(AC)を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記陽極酸化することが、前記DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後に前記ACを少なくとも5秒間印加することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記金属基材の前記表面を洗浄すること、及び/または
    前記金属基材の前記表面を乾燥させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記金属基材の前記表面を洗浄することが、前記金属基材の前記表面を溶媒で濯ぐことを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 陽極酸化する前に前記金属基材がエッチングされない、請求項1に記載の方法。
  9. 前記金属基材がアルミニウム合金を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 陽極酸化基材を作製する方法であって、
    金属基材を用意すること;
    電解質溶液に少なくとも5秒間、±10VDC~±35VDCの電圧を有する直流(DC)を印加すること及び±10VAC~35VACの電圧を有する交流(AC)を印加することによって前記金属基材の表面を前記電解質溶液中で陽極酸化することであって、前記電解質溶液が0.01M~1Mの電解質を含む、前記陽極酸化すること;ならびに
    任意選択により、前記金属基材の前記表面を乾燥させること
    を含む、前記方法。
  11. 前記電解質が、リン酸、硝酸、硫酸、ホスホン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記陽極酸化することが、前記DCを少なくとも15秒間印加する前及び/または後に前記ACを少なくとも5秒間印加することを含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記電解質溶液が60℃~100℃の温度に加熱される、請求項10に記載の方法。
  15. 前記金属基材の前記表面を洗浄すること、及び/または
    前記金属基材の前記表面を乾燥させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  16. 前記金属基材の前記表面を洗浄することが、前記金属基材の前記表面を溶媒で濯ぐことを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 陽極酸化する前に前記金属基材がエッチングされない、請求項10に記載の方法。
  18. 前記金属基材がアルミニウム合金を含む、請求項10に記載の方法。
  19. 金属基材を陽極酸化するためのシステムであって、
    金属陰極を有する電解槽;
    0.01M~1Mの電解質を含む電解質溶液を提供するための電解質溶液源;
    前記電解質溶液中に前記金属基材を吊り下げるための支持体;ならびに
    電力供給装置であって、そこから直流(DC)及び交流(AC)を前記電解槽に提供して前記電解質溶液に通す、前記電力供給装置
    を含む、前記システム。
  20. 前記電解質溶液が0.05M~0.5Mの電解質を含み、前記電解質がリン酸である、請求項19に記載のシステム。
  21. 前記電解質溶液源が、攪拌機を有するタンクを含む、請求項19に記載のシステム。
  22. 前記電解槽が、1つ以上の複合電極をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
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