JP2008163085A - 近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物および射出成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、難燃性、耐衝撃性、成形加工性に優れた近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】ゴム状重合体の存在下に(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)0.005〜0.25重量部および重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤(C)3〜20重量部を配合してなる近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ゴム状重合体の存在下に(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)0.005〜0.25重量部および重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤(C)3〜20重量部を配合してなる近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難燃性を有し、透明性、耐衝撃性、成形加工性に優れた近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物に関する。
HIPS、ABSなどの名称にて製造・販売されているゴム強化スチレン系樹脂は、外観、機械的特性ならびに成形加工性に優れ、車両部品、電気製品など種々の分野にて利用されている。
しかしながら、このようなゴム強化スチレン系樹脂は、可燃性材料であるため、難燃性、例えば米国アンダーライターズ ラボラトリーズ(UL)規格94に基づく自己消火性(V−O、V−1、V−2クラス)を必要とする電気・電子機器への使用にあたっては制約を受けている。
難燃性付与のために使用される、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロムジフェニルエーテル(DBDE)などの有機ハロゲン化合物は、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生するため金型を腐食させたり、樹脂自身を劣化させて着色の原因となる、さらには燃焼時に有害なガスを発生し、人体に悪影響を及ぼすなどの問題がある。
このため、ハロゲンを含まない難燃剤として、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)等のリン酸エステル系難燃剤を使用することが知られている(特許文献1)。しかし、難燃剤としてこれらリン酸エステル系難燃剤を配合した樹脂組成物は、押出機や成形機中における滞留時の熱安定性に劣るため、滞留後の成形品の変色が著しく、このため得られた製品の商品価値を著しく低下させてしまうという問題が発生する。更には、燐酸エステルを添加することでベース樹脂本来の耐熱性を大幅に低下させることも知られている。
またこのようなゴム強化スチレン系樹脂は一般的に不透明であるが、製品によってはPMMAやポリカーボネート樹脂のような透明性が要求される場合がある。このような要求に対しては、例えば特許文献2に記載されているように、樹脂を構成する各構成成分の組成割合を調整することによりゴム強化スチレン系樹脂においても透明性を得ることが知られている。
さらに用途によっては、透明性のみならず難燃性が必要とされる場合があり、透明難燃樹脂組成物も提案されている。
近年、例えば家電・OA機器あるいはゲーム機等の分野においては、これらゴム強化スチレン系樹脂を用いて、難燃性と透明性を保持したままで近赤外線吸収性を求められることがある。従来の手法としては特許文献3に記載の方法などが知られているが、近赤外領域である1000nmでの吸収性能が十分でなく、また難燃性においても不十分であり、材料設計が困難であった。
特開平10−279775号公報
特開平4−180907号公報
特開平6−73197号公報
しかしながら、このようなゴム強化スチレン系樹脂は、可燃性材料であるため、難燃性、例えば米国アンダーライターズ ラボラトリーズ(UL)規格94に基づく自己消火性(V−O、V−1、V−2クラス)を必要とする電気・電子機器への使用にあたっては制約を受けている。
難燃性付与のために使用される、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロムジフェニルエーテル(DBDE)などの有機ハロゲン化合物は、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生するため金型を腐食させたり、樹脂自身を劣化させて着色の原因となる、さらには燃焼時に有害なガスを発生し、人体に悪影響を及ぼすなどの問題がある。
このため、ハロゲンを含まない難燃剤として、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)等のリン酸エステル系難燃剤を使用することが知られている(特許文献1)。しかし、難燃剤としてこれらリン酸エステル系難燃剤を配合した樹脂組成物は、押出機や成形機中における滞留時の熱安定性に劣るため、滞留後の成形品の変色が著しく、このため得られた製品の商品価値を著しく低下させてしまうという問題が発生する。更には、燐酸エステルを添加することでベース樹脂本来の耐熱性を大幅に低下させることも知られている。
またこのようなゴム強化スチレン系樹脂は一般的に不透明であるが、製品によってはPMMAやポリカーボネート樹脂のような透明性が要求される場合がある。このような要求に対しては、例えば特許文献2に記載されているように、樹脂を構成する各構成成分の組成割合を調整することによりゴム強化スチレン系樹脂においても透明性を得ることが知られている。
さらに用途によっては、透明性のみならず難燃性が必要とされる場合があり、透明難燃樹脂組成物も提案されている。
近年、例えば家電・OA機器あるいはゲーム機等の分野においては、これらゴム強化スチレン系樹脂を用いて、難燃性と透明性を保持したままで近赤外線吸収性を求められることがある。従来の手法としては特許文献3に記載の方法などが知られているが、近赤外領域である1000nmでの吸収性能が十分でなく、また難燃性においても不十分であり、材料設計が困難であった。
本発明は、該課題を解決すべくなされたもので、難燃性を有し、透明性、耐衝撃性、成形加工性に優れた近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定のゴム強化スチレン系樹脂と、特定の吸収剤(700〜2000nmの領域に吸収を持つ化合物)および特定の燐酸エステル系難燃剤を混ぜ合わせることにより、難燃性を保持し、透明性、耐衝撃性、成形加工性に優れた近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に達したものである。
すなわち、本発明は、
ゴム状重合体の存在下に(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)0.005〜0.25重量部および重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤(C)3〜20重量部を配合してなる近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
すなわち、本発明は、
ゴム状重合体の存在下に(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)0.005〜0.25重量部および重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤(C)3〜20重量部を配合してなる近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、成形加工性に優れ、かつ難燃性に優れるものであり、透明性、難燃性が要求され、かつ耐衝撃性を必要とされる家電・OA機器、ゲーム機等の分野にて好適に使用することができる。
以下に、本発明の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
本発明において使用されるゴム強化スチレン系樹脂(A)とは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂である。
本発明において使用されるゴム強化スチレン系樹脂(A)とは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂である。
ゴム強化スチレン系樹脂(A)におけるグラフト重合体(a−1)を構成するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等)共重合体などのエチレン−プロピレン系ゴム、ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム、さらにはこれらの2種以上のゴムからなる複合ゴム等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。これらのうち、特にジエン系ゴムが好ましい。
グラフト重合体(a−1)または共重合体(a−2)を構成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。また、本発明においては、上記の単量体と共に必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等を使用することも可能である。
上記のゴム強化スチレン系樹脂(A)の各成分の構成割合については特に制限はないが、透明性の面より、特にゴム強化スチレン系樹脂(A)中に占める(メタ)アクリル酸エステル系単量体は30重量%以上であることが好ましい。また、耐衝撃性と成形加工性のバランス面から、ゴム強化スチレン系樹脂(A)中に占めるゴム状重合体の含有量については5〜40重量%であることが好ましい。
本発明で用いるゴム強化スチレン系樹脂(A)中のグラフト重合体(a−1)を構成するゴム状重合体の重量平均粒子径については0.05〜2.0μ、またゴム強化スチレン系樹脂(A)のアセトン可溶分の固有粘度(30℃、ジメチルホルムアミド溶媒)は0.2〜0.8dl/gの範囲にあることが好ましい。ここで、グラフト重合体(a−1)を構成するゴム状重合体の重量平均粒子径が0.05μ未満では耐衝撃性に劣り、また2.0μを超えると透明性が低下する傾向にある。また、ゴム強化スチレン系樹脂(A)のアセトン可溶分の固有粘度が0.2dl/g未満では耐衝撃性に劣り、また0.8dl/gを超えると成形加工性が低下する傾向にある。
本発明における700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)としては、700nm〜2000nmの領域に吸収を有することが必要であり、更には光安定性に優れていることが必要である。この条件を満たす化合物としては、主に無機系が好ましく、六ホウ化物(XB6)などが挙げられる。ここでXB6におけるXは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、SrおよびCaから選ばれる少なくとも一種である。更に詳しくはLaB6とZrO2からなる混合物であることが好ましい。これらのうち、特にランタンおよび/またはジルコニウムからなる化合物が好ましく、具体的には、LaB6、ZrO2および分散性を高めるために有機系分散剤を組み合わせた混合物(住友金属鉱山株式会社製商品名 KHDS−06)等が挙げられる。上記赤外線吸収剤(B)が0.005重量部未満では近赤外線吸収性能が十分でなく、0.25重量部を超えると透明性が低下するため好ましくない。また、その性能を損わない範囲で、カーボンブラックなどと組み合わせることも可能である。
本発明で用いられる燐酸エステル系難燃剤(C)とは、下記一般式化1にて例示される化合物を1種または2種以上混合して用いることができる。
(R1、R2、R3及びR4は、それぞれ互いに独立して、水素原子または1価の有機基を表わすが、R1、R2、R3及びR4の中の少なくとも1つは1価の有機基である。Xは2価の有機基であり、k、l、m及びnはそれぞれ互いに独立して0又は1であり、Nは0〜10の整数である)。
上記一般式化1において一価の有機基とは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、シクロアルキル基が挙げられ、置換されている場合の置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等が挙げられ、またこれら置換基を組み合わせた基(アリールアルコキシアルキル基等)、またはこれらの置換基を酸素、硫黄、窒素原子等により結合して組み合わせた基(アリールスルホニルアリール基等)が置換基であってもよい。また2価の有機基とは、例えばアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、多価フェノール類、多核フェノール類(ビスフェノール類等)から誘導される基が挙げられる。特に2価の有機基として好ましいものはヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらはぞれぞれ1種または2種以上使用することができる。但し、重量平均分子量が327以上の燐酸エステルに限る。重量平均分子量が327未満では耐熱性が低下するため好ましくない。
上記一般式化1において一価の有機基とは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、シクロアルキル基が挙げられ、置換されている場合の置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等が挙げられ、またこれら置換基を組み合わせた基(アリールアルコキシアルキル基等)、またはこれらの置換基を酸素、硫黄、窒素原子等により結合して組み合わせた基(アリールスルホニルアリール基等)が置換基であってもよい。また2価の有機基とは、例えばアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、多価フェノール類、多核フェノール類(ビスフェノール類等)から誘導される基が挙げられる。特に2価の有機基として好ましいものはヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらはぞれぞれ1種または2種以上使用することができる。但し、重量平均分子量が327以上の燐酸エステルに限る。重量平均分子量が327未満では耐熱性が低下するため好ましくない。
これら燐酸エステル系難燃剤(C)の具体例としては、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、さらには、各種の縮合リン酸エステルが挙げられる。
燐酸エステル系難燃剤(C)は、上記のゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して3〜20重量部使用される。燐酸エステル系難燃剤(C)が3重量部未満では十分な難燃性が得られず、また20重量部を超えると耐熱性および耐衝撃性が劣るため好ましくない。
本発明の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A)、赤外線吸収剤(B)および燐酸エステル系難燃剤(C)からなるものであり、該樹脂組成物からなる成形品(3mm厚み)の全光線透過率は10〜85%であることが好ましい。
該樹脂成形品の全光線透過率を10〜80%とするには、ゴム強化スチレン系樹脂(A)におけるゴム状重合体と単量体の種類およびその使用割合、グラフト重合体(a−1)の重量平均粒子径、グラフト率、(A)のアセトン可溶分の固有粘度、さらにこれら特定のゴム強化スチレン系樹脂(A)と赤外線吸収剤(B)の種類、燐酸エステル系難燃剤(C)の種類および使用割合によって設定することができる。
本発明における各成分の混合方法には特に制限はなく、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混合することができる。
また、本発明の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば酸化防止剤〔2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2、2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト等が例示される。〕、紫外線吸収剤〔p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。〕、滑剤〔パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等が例示される。〕、着色剤〔例えば酸化チタン、硫酸バリウム〕等を必要に応じて添加することができる。
さらに、本発明においてはポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の他の熱可塑性樹脂を必要に応じて透明性を保持する範囲内にて混合することができる。
さらに、本発明においてはポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の他の熱可塑性樹脂を必要に応じて透明性を保持する範囲内にて混合することができる。
本発明をさらに具体的に説明するために以下に実施例及び比較例を挙げて説明する。しかし、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
〔実施例〕
−ゴム強化スチレン系樹脂(A)−
グラフト重合体(a−1−1):窒素置換した反応器にポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.30μ、ゲル含有量85%)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第2鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、アクリロニトリル3部、スチレン12部、メタクリル酸メチル35部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(a−1−1)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度はそれぞれ52%および0.50dl/gであった。
−ゴム強化スチレン系樹脂(A)−
グラフト重合体(a−1−1):窒素置換した反応器にポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.30μ、ゲル含有量85%)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第2鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、アクリロニトリル3部、スチレン12部、メタクリル酸メチル35部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(a−1−1)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度はそれぞれ52%および0.50dl/gであった。
グラフト重合体(a−1−2):ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.50μ、ゲル含有量90%)20部、アクリロニトリル5部、スチレン19部、メタクリル酸メチル56部、およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、キュメンハイドロパーオキサイド0.3部に変更した以外は(a−1−1)と同様にして、グラフト共重合体(a−1−2)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度は、それぞれ60%および0.45dl/gであった。
共重合体(a−2):容積が20リットルの完全混合型反応槽1基からなる連続的重合装置を用い、スチレン24重量部、メタクリル酸メチル66重量部、エチルベンゼン10重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)0.015重量部からなる重合原料をプランジャーポンプを用いて13kg/hで連続的に該反応槽に供給して重合を行い、重合温度を調節して反応槽出口における重合転化率を50.5重量%にした。このときの重合温度は150℃であり、また反応槽の攪拌数は150rpmに調整した。重合に続いて、反応槽から連続的に抜き出された重合液を脱揮発分装置に供給した後、押出機を経て固有粘度0.48の共重合体(a−2)を得た。
−赤外線吸収剤(B)−
B−1:LaB6、ZrOおよび有機系分散剤からなる赤外線吸収剤 KHDS−06(住友金属鉱山株式会社製)
B−i:三菱カーボンブラック MA600(三菱化学株式会社製)
B−1:LaB6、ZrOおよび有機系分散剤からなる赤外線吸収剤 KHDS−06(住友金属鉱山株式会社製)
B−i:三菱カーボンブラック MA600(三菱化学株式会社製)
−燐酸エステル系難燃剤(C)−
C−1:縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製 PX−200 重量平均分子量:686)
C−i:トリフェニルホスフェート(大八化学工業株式会社製 TPP 重量平均分子量:326)
C−1:縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製 PX−200 重量平均分子量:686)
C−i:トリフェニルホスフェート(大八化学工業株式会社製 TPP 重量平均分子量:326)
〔実施例1〜4、比較例1〜5〕
上記各成分につき、表1に示された配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて200℃で溶融混練し、ペレットを得た。
また、得られたペレットにつき東芝機械製IS−90B射出成形機を用い、シリンダー設定温度200℃にて各試験片を作成し、次の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
上記各成分につき、表1に示された配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて200℃で溶融混練し、ペレットを得た。
また、得られたペレットにつき東芝機械製IS−90B射出成形機を用い、シリンダー設定温度200℃にて各試験片を作成し、次の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
全光線透過率:厚さ3mmの試験片を用いて、(株)村上色彩技術研究所製 反射・透過率計HR−150で測定した。
耐衝撃性:ISO 179に準じてノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。単位:kJ/m2。
成形加工性:ISO 1133に準じてメルトボリュームレイトを測定した。
220℃×10kg、単位:cm3/10min。
220℃×10kg、単位:cm3/10min。
耐熱性:ISO 75(1.8MPa)に準じて荷重たわみ温度を測定した。単位:℃
特定波長吸収性:厚さ3mmの試験片を用いて、日本分光株式会社製UVスペクトルメーターV−570により1000nmの透過率を測定した。評価判定は、透過率が10%未満であれば十分吸収していると判断できるため○、透過率10%以上であれば×とした。
難燃性:UL94規格に準じて、1.6mm試験を用い評価した。全てのV試験規格に適合しない場合は、不合格とした。
上記のとおり、本発明の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、成形加工性に優れ、かつ難燃性に優れるものであり、透明性、難燃性が要求され、かつ耐衝撃性を必要とされる家電・OA機器、ゲーム機等の分野にて好適に使用することができる。
Claims (5)
- ゴム状重合体の存在下に(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなるグラフト重合体(a−1)または該グラフト重合体(a−1)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体および/またはシアン化ビニル系単量体を重合してなる共重合体(a−2)からなるゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対し、700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)0.005〜0.25重量部および重量平均分子量が327以上である燐酸エステル系難燃剤(C)3〜20重量部を配合してなる近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
- ゴム強化スチレン系樹脂(A)中に占める(メタ)アクリル酸エステル系単量体が30重量%以上である請求項1記載の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
- 700nm〜2000nmに吸収領域を有する赤外線吸収剤(B)が、ランタンおよび/またはジルコニウムからなる化合物である請求項1〜2何れかに記載の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3何れかに記載の樹脂組成物からなる成形品(3mm厚み)の全光線透過率が10〜85%である近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4何れかに記載の近赤外線吸収透明難燃熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形品。
Priority Applications (1)
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