JP2008162359A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、自動車等の車両において車輪を車体に対して回転自在に支持するための車輪用軸受装置に関する。
車輪用軸受装置には、第1世代と称される複列の転がり軸受を単独に使用する構造から、外方部材に車体取付フランジを一体に有する第2世代に進化し、さらに、車輪取付フランジを一体に有するハブ輪の外周に複列の転がり軸受の一方に内側転走面が一体に形成された第3世代、さらには、ハブ輪に等速自在継手が一体化され、この等速自在継手を構成する外側継手部材の外周に複列の転がり軸受の他方の内側転走面が一体に形成された第4世代のものまで開発されている。
例えば、特許文献1には、第3世代と呼ばれるものが記載されている。第3世代と呼ばれる車輪用軸受装置は、図11に示すように、外径方向に延びるフランジ101を有するハブ輪102と、このハブ輪102に外側継手部材103が固定される等速自在継手104と、ハブ輪102の外周側に配設される外方部材105とを備える。
等速自在継手104は、前記外側継手部材103と、この外側継手部材103の椀形部107内に配設される内側継手部材108と、この内側継手部材108と外側継手部材103との間に配設されるボール109と、このボール109を保持する保持器110とを備える。また、内側継手部材108の中心孔の内周面にはスプライン部111が形成され、この中心孔に図示省略のシャフトの端部スプライン部が挿入されて、内側継手部材108側のスプライン部111とシャフト側のスプライン部とが係合される。
また、ハブ輪102は、筒部113と前記フランジ101とを有し、フランジ101の外端面114(反継手側の端面)には、図示省略のホイールおよびブレーキロータが装着される短筒状のパイロット部115が突設されている。なお、パイロット部115は、大径の第1部115aと小径の第2部115bとからなり、第1部115aにホイールが外嵌され、第2部115bにブレーキロータが外嵌される。
そして、筒部113の椀形部107側端部の外周面に切欠部116が設けられ、この切欠部116に内輪117が嵌合されている。ハブ輪102の筒部113の外周面のフランジ近傍には第1内側軌道面118が設けられ、内輪117の外周面に第2内側軌道面119が設けられている。また、ハブ輪102のフランジ101にはボルト装着孔112が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ101に固定するためのハブボルトがこのボルト装着孔112に装着される。
外方部材105は、その内周に2列の外側軌道面120、121が設けられると共に、その外周にフランジ(車体取付フランジ)132が設けられている。そして、外方部材105の第1外側軌道面120とハブ輪102の第1内側軌道面118とが対向し、外方部材105の第2外側軌道面121と、内輪117の軌道面119とが対向し、これらの間に転動体122が介装される。
ハブ輪102の筒部113に外側継手部材103の軸部123が挿入される。軸部123は、その反椀形部の端部にねじ部124が形成され、このねじ部124と椀形部107との間にスプライン部125が形成されている。また、ハブ輪102の筒部113の内周面(内径面)にスプライン部126が形成され、この軸部123がハブ輪102の筒部1
13に挿入された際には、軸部123側のスプライン部125とハブ輪102側のスプライン部126とが係合する。
13に挿入された際には、軸部123側のスプライン部125とハブ輪102側のスプライン部126とが係合する。
そして、筒部113から突出した軸部123のねじ部124にナット部材127が螺着され、ハブ輪102と外側継手部材103とが連結される。この際、ナット部材127の内端面(裏面)128と筒部113の外端面129とが当接するとともに、椀形部107の軸部側の端面130と内輪117の外端面131とが当接する。すなわち、ナット部材127を締付けることによって、ハブ輪102が内輪117を介してナット部材127と椀形部107とで挟持される。
特開2004−340311号公報
従来では、前記したように、軸部123側のスプライン部125とハブ輪102側のスプライン部126とが係合するものである。このため、軸部123側及びハブ輪102側の両者にスプライン加工を施す必要があって、コスト高となるとともに、圧入時には、軸部123側のスプライン部125とハブ輪102側のスプライン部126との凹凸を合わせる必要があり、この際、歯面を合わせることによって、圧入すれば、この凹凸歯が損傷(むしれる)おそれがある。また、歯面を合わせることなく、凹凸歯の大径合わせにて圧入すれば、円周方向のガタが生じやすい。このように、円周方向のガタがあると、回転トルクの伝達性に劣るとともに、異音が発生するおそれもあった。このため、従来のように、スプライン嵌合による場合、凹凸歯の損傷及び円周方向のガタの両者を成立させることは困難であった。
また、筒部113から突出した軸部123のねじ部124にナット部材127を螺着する必要がある。このため、組み立て時にはねじ締結作業を有し、作業性に劣るとともに、部品点数も多く、部品管理性も劣ることになっていた。
本発明は、上記課題に鑑みて、円周方向のガタの抑制を図ることができ、しかも、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材との連結作業性に優れた車輪用軸受装置を提供する。
本発明の車輪用軸受装置は、内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、車輪に取り付けられるハブ輪を含み、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、外側継手部材を有する等速自在継手とを備え、ハブ輪の孔部に嵌挿される外側継手部材の軸部とハブ輪とが連結される車輪用軸受装置であって、前記外側継手部材の軸部の外径面と前記ハブ輪の孔部の内径面とのどちらか一方に設けられて軸方向に延びる凸部を、軸方向に沿って他方に圧入することにより、この他方に凸部にて凹部を形成して、凹部と凸部が両者の嵌合部の全域で密着する凹凸嵌合構造を構成し、前記凹部が凸部で削り取られた部分を有することを特徴とする。
周方向に隣り合う凸部間の歯底部と、前記他方に形成された、前記歯底部と半径方向で対向する突出部分との間には、隙間を形成するのが望ましい。
周方向に隣り合う凸部間の歯底部と、前記他方に形成された、前記歯底部と半径方向で対向する突出部分との間には、隙間を形成するのが望ましい。
本発明の車輪用軸受装置によれば、凹凸嵌合構造では、凸部と凹部が両者の嵌合部の全体で密着しているので、この嵌合構造において、径方向及び円周方向においてガタが生じる隙間が形成されない。
外側継手部材の軸部の外径面とハブ輪の孔部の内径面とのうち、一方に形成した凸部を、軸方向に沿って他方に圧入すると、相手側の凹部形成面に凸部の形状が転写される。この際、凸部が相手側の凹部形成面に食い込んでいくことによって、軸孔が僅かに拡径した状態となって、凸部の軸方向の移動を許容し、軸方向の移動が停止すれば、軸孔が元の径に戻ろうとして縮径することになる。これによって、凸部と凹部が嵌合部の全体で密着する。
等速自在継手の外側継手部材の軸部に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けた場合、この凸部の少なくとも軸方向端部の硬度をハブ輪の孔部内径部よりも高くする。
この場合、前記圧入による凹部形成によって生じるはみ出し部を収納するポケット部を、外側継手部材の軸部に設けるのが好ましい。ここで、はみ出し部は、凸部の凹部嵌合部位が嵌入(嵌合)する凹部の容量の材料分であって、形成される凹部から押し出されたもの、凹部を形成するために切削されたもの、又は押し出されたものと切削されたものの両者等から構成される。ポケット部よりも軸端側の軸部に、軸部とハブ輪との間で調芯を行う鍔部を設けてもよい。ハブ輪の軸部嵌合孔の内径寸法は、外側継手部材の軸部に設けた複数の凸部の最大径部を結ぶ円の直径寸法よりも小さく、前記凸部間の最小径部を結ぶ円の直径寸法よりも大きくする。
ハブ輪の孔部の内径面に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けた場合、この凸部の少なくとも軸方向端部の硬度を等速自在継手の外側継手部材の軸部の外径部よりも高くする。
この場合、前記圧入によって生じるはみ出し部を収納するポケット部を、ハブ輪の孔部の内径面に設けるのが好ましい。外側継手部材の軸部の外径寸法は、ハブ輪の孔部に設けた複数の凸部の最小径部を結ぶ円の直径寸法よりも大きく、凸部間の最大径部を結ぶ円の直径寸法よりも小さくする。
前記凸部の突出方向中間部位において、前記凸部の周方向寸法を、周方向に隣り合う凸部間の溝幅よりも小さくするのが望ましい。また、前記凸部の突出方向中間部位において、前記凸部の周方向寸法の総和を、周方向に隣り合う凸部間の溝幅の総和よりも小さくするのが望ましい。
前記凸部に鋸歯部を設けてもよい。
前記内方部材は、一方の内側軌道面を有する前記ハブ輪と、ハブ輪に外嵌され、他方の内側軌道面を有する内輪とで構成することができる。ハブ輪の端部を加締めることで軸受に予圧を付与することが可能である。前記等速自在継手の外側継手部材は、内側継手部材が内装されるマウス部と、このマウス部の底部から突設される前記軸部とを備えるものとする。この場合、前記マウス部をハブ輪の加締め部と非接触状態にすることができる。
本発明の車輪用軸受装置では、嵌合構造において、径方向及び円周方向においてガタが生じる隙間が形成されないので、嵌合部位の全てが回転トルク伝達に寄与し、安定したトルク伝達が可能であり、しかも、異音の発生も生じさせない。さらには、隙間無く密着しているので、トルク伝達部位の強度が向上する。このため、駆動車輪用軸受ユニットを軽量、コンパクトにすることができる。
外側継手部材の軸部の外径面とハブ輪の孔部の内径面とのどちらか一方に設けられる凸部を、軸方向に沿って他方に圧入することによって、この凸部に密着嵌合する凹部を形成することができる。このため、凹凸嵌合構造を確実に形成することができる。しかも、凹部が形成される部材には、スプライン部等を形成しておく必要がなく、生産性に優れ、かつスプライン同士の位相合わせを必要とせず、組立性の向上を図るとともに、圧入時の歯面の損傷を回避することができて、安定した嵌合状態を維持できる。
また、等速自在継手の外側継手部材の軸部に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けるとともに、この凸部の軸方向端部の硬度をハブ輪の孔部内径部よりも高くすれば、軸部側の硬度を高くでき、軸部の剛性を向上させることができる。また、ハブ輪の孔部の内径面に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けるとともに、この凸部の軸方向端部の硬度を等速自在継手の外側継手部材の軸部の外径部よりも高くすれば、軸部側の硬度処理(熱処理)を行う必要がないので、等速自在継手の外側継手部材の生産性に優れる。
前記圧入による凹部形成によって生じるはみ出し部を収納するポケット部を設けることによって、はみ出し部をこのポケット内に保持(維持)することができ、はみ出し部が装置外の車両内等へ入り込んだりすることがない。すなわち、はみ出し部をポケット部に収納したままにしておくことができ、はみ出し部の除去処理を行う必要がなく、組み立て作業工数の減少を図ることができて、組み立て作業性の向上及びコスト低減を図ることができる。
また、ポケット部よりも軸端側の軸部に、軸部とハブ輪との間で調芯を行う鍔部を設けることによって、ポケット部内のはみ出し部の鍔部側への飛び出しがなくなって、はみ出し部の収納がより安定したものとなる。しかも、鍔部は調芯用であるので、芯ずれを防止しつつ軸部をハブ輪に圧入することができる。このため、外側継手部材とハブ輪とを高精度に連結でき、安定したトルク伝達が可能となる。
また、凸部の突出方向中間部位が、凹部形成前の凹部形成面上に配置されるようにすることによって、凸部が圧入時に凹部形成面に食い込んでいき、凹部を確実に形成することができる。
凸部の突出方向中間部位において、凸部の周方向寸法を、周方向に隣り合う凸部間の溝幅よりも小さくすることによって、凹部が形成される側の突出部分(凹部が形成される側で、凹部間に生じる突出部分)の突出方向中間部位の周方向寸法を大きくすることができる。このため、前記突出部分のせん断面積を大きくすることができ、ねじり強度を確保することができる。しかも、硬度が高い側の凸部の歯厚が小であるので、圧入荷重を小さくでき、圧入性の向上を図ることができる。
凸部に鋸歯部を設けたことによって、圧入した際に、硬度が小である側(凹部が形成される側)に鋸歯部が軸方向に沿って食い込むことになる。この食い込みによって、ハブ輪に対する等速自在継手の外側継手部材の軸方向の抜け止めを構成することができる。このため、安定した連結状態を維持でき、車輪用軸受装置の高品質化を図ることができる。しかも、鋸歯部にて抜け止めを構成することができるので、従来のようなねじ締結を省略できる。このため、軸部にハブ輪の孔部から突出するねじ部を形成する必要がなくなって、軽量化を図ることができるとともに、ねじ締結作業を省略でき、組み立て作業性の向上を図ることができる。
内方部材を、一方の内側軌道面を有する前記ハブ輪と、ハブ輪に外嵌され、他方の内側軌道面を有する内輪とで構成し、ハブ輪の端部を加締めることで軸受に予圧を付与することにより、外側継手部材のマウス部によって軸受に予圧を付与する必要がなくなる。このため、軸受への予圧を考慮することなく、外側継手部材の軸部を圧入することができ、ハブ輪と外側継手部材との連結性(組み付け性)の向上を図ることができる。
以下本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1に第1実施形態の車輪用軸受装置を示し、この車輪用軸受装置は、ハブ輪1と、複列の転がり軸受2と、等速自在継手3とが一体化されてなる。
等速自在継手3は、外側継手部材としての外輪5と、外輪5の内側に配された内側継手部材としての内輪6と、外輪5と内輪6との間に介在してトルクを伝達する複数のボール7と、外輪5と内輪6との間に介在してボール7を保持するケージ8とを主要な部材として構成される。内輪6はその軸孔内径6aにシャフト10の端部10aを圧入することによりスプライン嵌合してシャフト10とトルク伝達可能に結合されている。なお、シャフト10の端部10aには、シャフト抜け止め用の止め輪9が嵌合されている。
外輪5はマウス部11とステム部(軸部)12とからなり、マウス部11は一端にて開口した椀状で、その内球面13に、軸方向に延びた複数のトラック溝14が円周方向等間隔に形成されている。そのトラック溝14はマウス部11の開口端まで延びている。内輪6は、その外球面15に、軸方向に延びた複数のトラック溝16が円周方向等間隔に形成されている。
外輪5のトラック溝14と内輪6のトラック溝16とは対をなし、各対のトラック溝14,16で構成されるボールトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール7が転動可能に組み込んである。ボール7は外輪5のトラック溝14と内輪6のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する。ケージ8は外輪5と内輪6との間に摺動可能に介在し、外球面8aにて外輪5の内球面13と接し、内球面8bにて内輪6の外球面15と接する。なお、この場合の等速自在継手は、各トラック溝14、16の溝底に直線状のストレート部を有するアンダーカットフリー型を示しているが、ツェパー型等の他の等速自在継手であってもよい。
ハブ輪1は、筒部20と、筒部20の反継手側の端部に設けられるフランジ21とを有する。筒部20の孔部22は、軸方向中間部の軸部嵌合孔22aと、反継手側のテーパ孔22bと、継手側の大径孔22cとを備える。すなわち、軸部嵌合孔22aにおいて、後述する凹凸嵌合構造Mを介して等速自在継手3の外輪5の軸部12とハブ輪1とが結合される。
転がり軸受2は、ハブ輪1、およびハブ輪1の軸部12の継手側に設けられた段差部23に嵌合する内輪24からなる内方部材と、ハブ輪1の軸部12に外嵌される外方部材25とを備える。外方部材25は、その内周に2列の外側軌道面(アウターレース)26、27が設けられ、第1外側軌道面26とハブ輪1の軸部外周に設けられる第1内側軌道面(インナーレース)28とが対向し、第2外側軌道面27と、内輪24の外周面に設けられる第2内側軌道面(インナーレース)29とが対向し、これらの間に転動体30としてのボールが介装される。なお、外方部材25の両開口部にはシール部材Sが装着されている。
この場合、ハブ輪1の継手側の端部を加締めて、その加締部31にて転がり軸受2に予圧を付与するものである。これによって、内輪24をハブ輪1に締結することができる。またハブ輪1のフランジ21にはボルト装着孔32が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ21に固定するためのハブボルト33がこのボルト装着孔32に装着される。
凹凸嵌合構造Mは、図2に示すように、例えば、軸部12の端部に設けられて軸方向に延びる凸部35と、ハブ輪1の孔部22の内径面(この場合、軸部嵌合孔22aの内径面37)に形成される凹部36とからなり、凸部35の凹部嵌合部位38の全体がその対応する凹部36に対して密着している。すなわち、軸部12の反マウス部側の外周面に、複数の凸部35が周方向に沿って所定ピッチで配設され、ハブ輪1の孔部22の軸部嵌合孔22aの内径面37に凸部35が嵌合する複数の凹部36が周方向に沿って形成されている。つまり、周方向全周にわたって、凸部35とこれに嵌合する凹部36とがタイトフィットしている。
この場合、各凸部35は、その断面が凸アール状の頂点を有する三角形状(山形状)であり、各凸部35の凹部嵌合部位38とは、図2(b)に示す範囲Aであり、断面における山形の中腹部から山頂にいたる範囲である。また、周方向の隣合う凸部35間において、ハブ輪1の内径面37よりも内径側に隙間40が形成されている。すなわち、この隙間40は、凸部35間の歯底部と、ハブ輪1の孔部22に設けられた、前記歯底部と半径方向に対向する突出部分との間に設けられる。
このように、ハブ輪1と等速自在継手3の外輪5の軸部12とを凹凸嵌合構造Mを介して連結できる。この際、ハブ輪1の継手側の端部を加締めて、その加締部31にて軸受2に予圧を付与するものであるので、外輪5のマウス部11にて軸受2に予圧を付与する必要がなく、ハブ輪1の端部(この場合、加締部31)に対してマウス部11を接触させない非接触状態としている。
本発明では、凹凸嵌合構造Mは、凸部35の凹部嵌合部位38の全体がその対応する凹部36に対して密着しているので、この嵌合構造Mにおいて、径方向及び円周方向においてガタが生じる隙間が形成されない。このため、嵌合部位の全てが回転トルク伝達に寄与し、安定したトルク伝達が可能であり、しかも、異音の発生も生じさせない。
マウス部11がハブ輪1と非接触状であるので、マウス部11とハブ輪1との接触による異音の発生を防止できる。また、ハブ輪1の端部が加締られて転がり軸受2の内輪24に対して予圧が付与されるので、外側継手部材のマウス部11によって軸受2に予圧を付与する必要がなくなる。このため、軸受2への予圧を考慮することなく、外側継手部材の軸部12を圧入することができ、ハブ輪1と外側継手部材との連結性(組み付け性)の向上を図ることができる。
次に、凹凸嵌合構造Mの嵌合方法を説明する。この場合、図3に示すように、軸部12の外径部には、熱硬化処理を施し、この硬化層Hにスプライン41を形成する。このため、スプライン41の山部が硬化処理されて、この山部が凹凸嵌合構造Mの凸部35となる。ハブ輪1の孔部22の内径面37においては熱硬化処理を行わない未硬化部とする。なお、図3において、クロスハッチング部が硬化層Hを示している。硬化層Hとハブ輪1の孔部22の内径面37の未硬化部との硬度差は、HRCで30ポイント以上とする。軸部12のスプライン41のモジュールを0.5以下の小さい歯とする。ここで、モジュールとは、ピッチ円直径を歯数で割ったものである。
この際、凸部35の突出方向中間部位を、凹部形成前の凹部形成面(この場合、ハブ輪1の軸部嵌合孔22aの内径面37)の位置に対応させる。軸部嵌合孔22aの内径面37の内径寸法Dは、凸部55の最大径部を結ぶ円の直径寸法(外接円直径)D1よりも小さく、凸部間の最小径部を結ぶ円の直径寸法D2よりも大きく設定される。すなわち、D2<D<D1とされる。
スプライン41は、従来からの公知公用の手段である転造加工、切削加工、プレス加工、引き抜き加工等の種々の加工方法によって、形成することがきる。また、熱硬化処理としては、高周波焼入れ、浸炭焼入れ等の種々の熱処理を採用することができる。
そして、図3に示すように、ハブ輪1の軸心と等速自在継手3の外輪5の軸心とを合わせた状態で、ハブ輪1に対して、外輪5の軸部12を挿入(圧入)していく。この際、孔部22の内径面37の径寸法Dと、凸部35の最大外径寸法D1と、スプライン41の凹部の最小外径寸法D2とが前記のような関係であり、しかも、凸部35の硬度が孔部22の内径面37の硬度よりも30ポイント以上大きいので、軸部12をハブ輪1の孔部22に圧入していけば、この凸部35が内径面37に食い込んでいき、凸部35が、この凸部35が嵌合する凹部36を、軸方向に沿って形成していくことになる。
これによって、図2に示すように、軸部12の端部の凸部35と凹部36の嵌合部位38の全体が密着している嵌合状態を構成することができる。すなわち、相手側の凹部形成面(この場合、孔部22に内径面37)に凸部35の形状の転写を行うことになる。この際、凸部35が孔部22の内径面37に食い込んでいくことによって、孔部22が僅かに拡径した状態となって、凸部35の軸方向の移動を許容し、軸方向の移動が停止すれば、孔部22が元の径に戻ろうとして縮径することになる。言い換えれば、凸部35の圧入時にハブ輪1が径方向に弾性変形し、この弾性変形分の予圧が凸部35の歯面(凹部嵌合部位38の表面)に付与される。このため、凸部35の凹部嵌合部位38の全体がその対応する凹部36に対して密着する凹凸嵌合構造Mを確実に形成することができる。しかも、凹部36が形成される部材(この場合、ハブ輪1)には、スプライン部等を形成しておく必要がなく、生産性に優れ、かつスプライン同士の位相合わせを必要とせず、組立性の向上を図るとともに、圧入時の歯面の損傷を回避することができ、安定した嵌合状態を維持できる。
前記実施形態のように、軸部12に形成するスプライン41は、モジュールが0.5以下の小さい歯を用いたので、このスプライン41の成形性の向上を図ることができるとともに、圧入荷重の低減を図ることができる。なお、凸部35を、この種のシャフトに通常形成されるスプラインをもって構成することができるので、低コストにて簡単にこの凸部35を形成することができる。
また、軸部12をハブ輪1に圧入していくとによって、凹部36を形成していくと、この凹部36側に加工硬化が生じる。ここで、加工硬化とは、物体に塑性変形(塑性加工)を与えると,変形の度合が増すにつれて変形に対する抵抗が増大し,変形を受けていない材料よりも硬くなることをいう。このため、圧入時に塑性変形することによって、凹部36側のハブ輪1の内径面37が硬化して、回転トルク伝達性の向上を図ることができる。
ところで、前記図3に示すスプライン41では、軸部12の凸部35のピッチとハブ輪1の凹部36のピッチとが同一設定される。このため、前記実施形態では、図2に示すように、凸部35の突出方向中間部位において、凸部35の周方向寸法Lと、周方向に隣り合う凸部35間の溝幅L0とがほぼ同一となっている。
これに対して、図4に示すように、凸部35の突出方向中間部位において、凸部35の周方向寸法L2は、周方向に隣り合う凸部35間の溝幅L1よりも小さいものであってもよい。すなわち、軸部12に形成されるスプライン41において、凸部35の突出方向中間部位の周方向寸法(歯厚)L2を、凸部35間に嵌合するハブ輪1側の突出部分43の突出方向中間部位の周方向寸法(歯厚)L1よりも小さくしている。
また、凸部35の突出方向中間部位において、軸部12側の全周における凸部35の歯厚の総和Σ(B1+B2+B3+・・・)を、ハブ輪1側の突出部分43(凸歯)の歯厚の総和Σ(A1+A2+A3+・・・)よりも小さく設定するのが望ましい。これによって、ハブ輪1側の突出部分43のせん断面積を大きくすることができ、ねじり強度を確保することができる。しかも、凸部35の歯厚が小であるので、圧入荷重を小さくでき、圧入性の向上を図ることができる。凸部35の周方向寸法の総和を、相手側の突出部分43における周方向寸法の総和よりも小さくする場合、全ての凸部35の周方向寸法L2を、周方向に隣り合う凸部35間の溝幅L1よりも小さくする必要がない。すなわち、複数の凸部35のうち、任意の凸部35の周方向寸法L2が周方向に隣り合う凸部間の溝幅L1と同一であっても、この溝幅L1よりも大きくても、総和で小さければよい。なお、図4における凸部35は、断面台形(富士山形状)としている。
ところで、ハブ輪1に対して外輪5の軸部12を圧入していけば、凸部35にて形成される凹部36から材料がはみ出して第2実施形態の図5に示すようなはみ出し部45が形成される。はみ出し部45は、凸部35の凹部嵌合部位38が嵌入(嵌合)する凹部36の容量の材料分であって、形成される凹部36から押し出されたもの、凹部36を形成するために切削されたもの、又は押し出されたものと切削されたものの両者等から構成される。
このため、前記図1に示す車輪用軸受装置では、ハブ輪1に等速自在継手を組み付けた後、このはみ出し部45の除去作業を必要としていた。そこで、図5に示す他の実施形態では、はみ出し部45を収納するポケット部50を軸部12に設けている。
すなわち、軸部12のスプライン41の軸端縁に周方向溝51を設けることによって、ポケット部50を形成している。図6に示すように、周方向溝51は、そのスプライン41側の側壁51aは、軸方向に対して直交する平面であり、反スプライン側の側面51bは、溝底51cから反スプライン側に向かって拡径するテーパ面である。
また、この側面51bよりも反スプライン側(軸端側)には、調芯用の円盤状の鍔部52が設けられている。鍔部52の外径寸法が孔部22の嵌合孔22aの孔径と同一乃至嵌合孔22aの孔径よりも僅かに小さく設定される。この場合、鍔部52の外径面52aと孔部22の嵌合孔22aの内径面との間に微小隙間tが設けられている。
この図6に示す外輪5であっても、軸部12をハブ輪1の孔部22に圧入していけば、軸部12側の凸部35によって、ハブ輪1側に凹部36を形成することができる。この際、形成されるはみ出し部45は、図6に示すように、カールしつつポケット部50内に収納されて行く。すなわち、孔部22の内径面から削り取られたり、押し出されたりした材料の一部がポケット部50内に入り込んでいく。
このように、前記圧入による凹部形成によって生じるはみ出し部45を収納するポケット部50を設けることによって、はみ出し部45をこのポケット部50内に保持(維持)することができ、はみ出し部45が装置外の車両内等へ入り込んだりすることがない。すなわち、はみ出し部45をポケット部50に収納したままにしておくことができ、はみ出し部45の除去処理を行う必要がなく、組み立て作業工数の減少を図ることができて、組み立て作業性の向上及びコスト低減を図ることができる。
また、ポケット部50の軸方向反スプライン側(軸端側)にハブ輪1の孔部22との調芯用の鍔部52を設けることによって、ポケット部50内のはみ出し部45の鍔部52側への飛び出しがなくなって、はみ出し部45の収納がより安定したものとなる。しかも、鍔部52は調芯用であるので、芯ずれを防止しつつ軸部12をハブ輪1に圧入することができる。このため、外側継手部材5とハブ輪1とを高精度に連結でき、安定したトルク伝達が可能となる。
鍔部52は圧入時の調芯用であるので、その外径寸法は、ハブ輪1の孔部22の嵌合孔22aの孔径よりも僅かに小さい程度に設定するが好ましい。すなわち、鍔部52の外径寸法が嵌合孔22aの孔径よりも大きければ、鍔部52自体を嵌合孔22aを圧入することになる。この際、芯ずれしていれば、このまま凹凸嵌合構造Mの凸部35が圧入され、軸部12の軸心とハブ輪1の軸心とが合っていない状態で軸部1とハブ輪1とが連結されることになる。また、鍔部52の外径寸法が嵌合孔22aの孔径よりも小さすぎると、調芯用として機能しない。このため、鍔部52の外径面52aと孔部22の嵌合孔22aの内径面との間の微小隙間tとしては、0.01mm〜0.2mm程度に設定するのが好ましい。
図5に示す車輪用軸受装置の他の構成は図1に示す車輪用軸受装置と同様であるので、同一部材については図1の符号と同一の符号を付してそれらの説明を省略する。このため、図5に示す車輪用軸受装置は、図1に示す車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
次に、図7は第3実施形態を示し、この凹凸嵌合構造Mは、軸部12の凸部35、つまりスプライン41の凸部35に鋸歯部55が形成される。鋸歯部55とは、凸部41aの頂部の長手方向に沿って形成される小凹凸部である。この場合、凸部(凸歯)55aはその断面がポケット側を傾斜面とした直角三角形状とされるものである。この図例の鋸歯部55はポケット部50側に設けている。
図7に示すように鋸歯部55を備えた軸部12をハブ輪1の孔部22に圧入すれば、鍔部52にて調芯しつつ、図8に示すように、軸部12側の凸部35によってハブ輪1側に凹部36を形成してはみ出し部45が形成されていく。そして、このはみ出し部45がカールしつつポケット部50内に収納されて行く。
また、この圧入の際に、鋸歯部55がハブ輪1側に形成される凹部36の底部に食い込む。すなわち、圧入の際に拡径していたハブ輪1の孔部22が拡径しているが、圧入完了時には元の状態に戻るように縮径する。このため、ハブ輪1の孔部22の内径面側から図9の矢印のように鋸歯部55に対して押圧力(縮径力)が作用して、ハブ輪1の孔部22の内径面に鋸歯部55の凸部55aが食い込む。
このように、凸部35側に鋸歯部55を設けたことによって、圧入した際に、鋸歯部55(つまり複数の凸部55a)が軸方向に沿って食い込むことになる。この食い込みによって、ハブ輪1に対する等速自在継手の外側継手部材5の軸方向の抜け止めを構成することができる。これにより、安定した連結状態を維持でき、車輪用軸受装置の高品質化を図ることができる。しかも、鋸歯部55にて抜け止めを構成することができるので、従来のようなねじ締結を省略できる。このため、軸部12にハブ輪1の孔部22から突出するねじ部を形成する必要がなくなって、軽量化を図ることができるとともに、ねじ締結作業を省略でき、組み立て作業性の向上を図ることができる。
ところで、前記各実施形態では、軸部12側に凸部35を構成するスプライン41を形成するとともに、この軸部12のスプライン41に対して硬化処理を施し、ハブ輪1の内径面を未硬化(生材)としている。これに対して、第4実施形態の図10に示すように、ハブ輪1の孔部22の内径面に硬化処理を施されたスプライン61(凸条61a及び凹条61bとからなる)を形成するとともに、軸部12には硬化処理を施さないものであってもよい。なお、このスプライン61も公知公用の手段であるブローチ加工、切削加工、プレス加工、引き抜き加工等の種々の加工方法によって、形成することがきる。また、熱硬化処理としても、高周波焼入れ、浸炭焼入れ等の種々の熱処理を採用することができる。
この場合、凸部35の突出方向中間部位を、凹部形成前の凹部形成面(軸部12の外径面)の位置に対応させる。すなわち、スプライン61の凸部35の最小径部を結ぶ円の径寸法(凸部35の最小径寸法)D4を、軸部12の外径寸法D3よりも小さく、スプライン61の最大径部を結ぶ円の径寸法(凸部間の嵌合用孔内径面の内径寸法)D5を軸部12の外径寸法D3よりも大きく設定する。すなわち、D4<D3<D5とされる。
軸部12をハブ輪1の孔部22に圧入すれば、ハブ輪1側の凸部35によって、軸部12の外周面にこの凸部35が嵌合する凹部36を形成することができる。これによって、ハブ輪1側の凸部35と軸部12側の凹部36とを、その嵌合部位38の全体で密着させることができる。
ここで、凸部35の凹部嵌合部位38とは、図10(b)に示す範囲Bであり、断面における山形の中腹部から山頂にいたる範囲である。また、周方向の隣合う凸部35間において、軸部12の外周面よりも外径側に隙間62が形成される。すなわち、この隙間62は、凸部35間の歯底部と、軸部12に設けられた、前記歯底部と半径方向に対向する突出部分との間に設けられる。
この場合であっても、圧入によってはみ出し部45が形成されるので、このはみ出し部45を収納するポケット部45を設けるのが好ましい。はみ出し部45は、図5に示すものと相違して、軸部12のマウス側に形成されることになるので、ポケット部をハブ輪1側に設けることになる。
なお、このようにハブ輪1側に凹凸嵌合構造Mの凸部35を形成したものであっても、軸部12の反マウス側の端部に、その外径寸法がハブ輪1に圧入する際の調芯となる鍔部を設けてもよい。これによって、高精度の圧入が可能となる。また、ハブ輪側に抜け止め機能を発揮する鋸歯部を設けてもよい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、凹凸嵌合構造Mの凸部35の形状として、前記図2に示す実施形態では断面三角形状であり、図4に示す実施形態では断面台形(富士山形状)であるが、これら以外の半円形状、半楕円形状、矩形形状等の種々の形状のものを採用でき、凸部35の面積、数、周方向配設ピッチ等も任意に変更できる。すなわち、スプライン41、61を形成し、このスプライン41、61の山部をもって凹凸嵌合構造Mの凸部35とする必要はなく、キーのようなものであってもよく、曲線状の波型の合わせ面を形成するものであってもよい。要は、軸方向に沿って配設される凸部35を相手側に圧入し、この凸部35にて凸部35に密着嵌合する凹部36を相手側に形成することができて、凸部35の凹部嵌合部位38の全体がその対応する凹部36に対して密着し、しかも、ハブ輪1と等速自在継手3との間で回転トルクの伝達ができればよい。
また、ハブ輪1の軸孔22としては円孔以外の多角形孔等の異形孔であってよく、この軸孔22に嵌挿する軸部12の端部の断面形状も円形断面以外の多角形等の異形断面であってもよい。このため、例えば、ハブ輪1の軸孔22を円孔として、シャフト5の端部5aの断面形状を円形以外の多角形として、このエッジ部を前記凸部35とすることができる。
前記実施形態では、凸部35に対して熱硬化処理を行い、凸部対応側を未硬化部位として、凸部35の硬度を凹部36が形成される部位よりも高くしたが、硬度差をつけることができれば、両者を熱処理しても、両者を熱処理しなくてもよい。さらに、圧入する際に凸部35の圧入始端部のみが、凹部36が形成される部位より硬度が高ければよいので、凸部35の全体の硬度を高くする必要がない。図2等では隙間40が形成されるが、凸部35間の凹部まで、ハブ輪1の内径面37に食い込むようなものであってもよい。また、なお、凸部35側と、凸部35にて形成される凹部形成面側との硬度差としては、前記したようにHRCで30ポイント以上とするのが好ましいが、凸部35が圧入可能であれば30ポイント未満であってもよい。
凸部35の端面(圧入始端)は前記実施形態では軸方向に対して直交する面であったが、軸方向に対して、所定角度で傾斜するものであってもよい。この場合、内径側から外径側に向かって反凸部側に傾斜しても凸部側に傾斜してもよい。
また、ポケット部50の形状としては、前記実施形態では、その周方向溝51は反スプライン側の側面51bを、溝底51cから反スプライン側に向かって拡径するテーパ面としたが、このようなテーパ面としないものであってもよく、要は、生じるはみ出し部45を収納(収容)できるものであればよく、そのため、ポケット部50の容量として、生じるはみ出し部45に対応できるものであればよい。
鋸歯部55を設ける場合、図7では、スプライン41の軸方向端部(ポケット部側)に設けたが、反対側のマウス部11側に設けても、スプライン41の軸方向中間部に設けても、さらには、スプライン41の軸方向全長に設けてもよい。また、各鋸歯部55の凸部(凸歯)55aの数及び形状等も任意に変更でき、鋸歯部55としては、周方向全周の凸部35に設けたものであっても、周方向全周の凸部35のうち任意の凸部35に設けるようにしてもよい。なお、実施形態では、凸部35を構成するスプライン41の凸部41aに鋸歯部55を設けていたが、スプライン41の凹部41bに鋸歯部55を設けてもよい。
さらに、ハブ輪1の孔部22の内径面37に、周方向に沿って所定ピッチで配設される小凹部を設けてもよい。小凹部としては、凹部36の容積よりも小さくする必要がある。このように小凹部を設けることによって、凸部35の圧入性の向上を図ることができる。すなわち、小凹部を設けることによって、凸部35の圧入時に形成されるはみ出し部45の容量を減少させることができて、圧入抵抗の低減を図ることができる。また、はみ出し部45を少なくできるので、ポケット部50の容積を小さくでき、ポケット部50の加工性及び軸部12の強度の向上を図ることができる。なお、小凹部の形状は、半楕円状、矩形等の種々のものを採用でき、数も任意に設定できる。
図1等の実施形態では、ハブ輪1の端部を加締ることによって、内輪24に予圧を付与するようにしていたが、ハブ輪1のインボード側の小径段部先端に雄ねじを設けナットで締付けることにより予圧を付与しても良い。さらに、軸受2の転動体30として、ローラを使用したものであってもよい。また、前記実施形態では、第3世代の車輪用軸受装置を示したが、第1世代や第2世代さらには第4世代であってもよい。なお、凸部35を圧入する場合、凹部36が形成される側を固定して、凸部35を形成している側を移動させても、逆に、凸部35を形成している側を固定して、凹部36が形成される側を移動させても、両者を移動させてもよい。なお、等速自在継手3において、内輪6とシャフト10とを前記各実施形態に記載した凹凸嵌合構造Mを介して一体化してもよい。
1 ハブ輪
2 軸受
3 等速自在継手
11 マウス部
12 軸部(ステム部)
22 孔部
24 内輪
35 凸部
36 凹部
38 凹部嵌合部位
50 ポケット部
52 鍔部
55 鋸歯部
M 凹凸嵌合構造
2 軸受
3 等速自在継手
11 マウス部
12 軸部(ステム部)
22 孔部
24 内輪
35 凸部
36 凹部
38 凹部嵌合部位
50 ポケット部
52 鍔部
55 鋸歯部
M 凹凸嵌合構造
Claims (14)
- 内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、車輪に取り付けられるハブ輪を含み、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、外側継手部材を有する等速自在継手とを備え、ハブ輪の孔部に嵌挿される外側継手部材の軸部とハブ輪とが連結される車輪用軸受装置であって、
前記外側継手部材の軸部の外径面と前記ハブ輪の孔部の内径面とのどちらか一方に設けられて軸方向に延びる凸部を、軸方向に沿って他方に圧入することにより、この他方に凸部にて凹部を形成して、凹部と凸部が両者の嵌合部の全域で密着する凹凸嵌合構造を構成し、前記凹部が凸部で削り取られた部分を有することを特徴とする車輪用軸受装置。 - 周方向に隣り合う前記凸部間の歯底部と、前記他方に形成された、前記歯底部と半径方向で対向する突出部分との間に隙間を形成したことを特徴とする請求項1の車輪用軸受装置。
- 等速自在継手の外側継手部材の軸部に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けるとともに、この凸部の少なくとも軸方向端部の硬度をハブ輪の孔部内径部よりも高くしたことを特徴とする請求項1の車輪用軸受装置。
- 前記圧入による凹部形成によって生じるはみ出し部を収納するポケット部を、外側継手部材の軸部に設けたことを特徴とする請求項3の車輪用軸受装置。
- 前記ポケット部よりも軸端側の軸部に、軸部とハブ輪との間で調芯を行う鍔部を設けたことを特徴とする請求項4の車輪用軸受装置。
- ハブ輪の軸部嵌合孔の内径寸法を、外側継手部材の軸部に設けた複数の凸部の最大径部を結ぶ円の直径寸法よりも小さく、前記凸部間の最小径部を結ぶ円の直径寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの車輪用軸受装置。
- ハブ輪の孔部の内径面に前記凹凸嵌合構造の凸部を設けるとともに、この凸部の少なくとも軸方向端部の硬度を等速自在継手の外側継手部材の軸部の外径部よりも高くしたことを特徴とする請求項1の車輪用軸受装置。
- 前記圧入による凹部形成によって生じるはみ出し部を収納するポケット部を、ハブ輪の孔部の内径面に設けたことを特徴とする請求項7の車輪用軸受装置。
- 外側継手部材の軸部の外径寸法を、ハブ輪の孔部に設けた複数の凸部の最小径部を結ぶ円の直径寸法よりも大きく、凸部間の最大径部を結ぶ円の直径寸法よりも小さくしたことを特徴とする請求項7または8の車輪用軸受装置。
- 前記凸部の突出方向中間部位において、前記凸部の周方向寸法を、周方向に隣り合う前記凸部間の溝幅よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかの車輪用軸受装置。
- 前記凸部の突出方向中間部位において、前記凸部の周方向寸法の総和を、周方向に隣り合う凸部間の溝幅の総和よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかの車輪用軸受装置。
- 前記凸部に鋸歯部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかの車輪用軸受装置。
- 前記内方部材が、一方の内側軌道面を有する前記ハブ輪と、ハブ輪に外嵌され、他方の内側軌道面を有する内輪とからなり、ハブ輪の端部を加締めることで軸受に予圧を付与した請求項1〜12のいずれかに記載の車輪用軸受装置。
- 前記等速自在継手の外側継手部材が、内側継手部材が内装されるマウス部と、このマウス部の底部から突設される前記軸部とを備え、前記マウス部をハブ輪の加締め部と非接触状態としたことを特徴とする請求項13に記載の車輪用軸受装置。
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