JP2008156321A - ビスフェノール類の製造方法 - Google Patents

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【課題】主工程における晶析および固液分離の操作を1回にすることにより、高品質のビスフェノール類を効率的に低コストで製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明のビスフェノール類の製造方法は、(1)フェノールとケトン類又はアルデヒド類とを強酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に反応させる工程、(2)反応液から第一濃縮液を得る工程、(3)第一濃縮液を冷却してアダクト結晶を含む第一晶析液を得る工程、(4)第一晶析液をアダクト結晶と母液に分離する工程及び(5)アダクト結晶からビスフェノール類を得る工程からなる主工程と、(6)前記母液から第二濃縮液を得る工程、(7)第二濃縮液を冷却してアダクト結晶を含む第二晶析液を得る工程、(8)第二晶析液をアダクト結晶と母液に分離する工程及び(9)工程(8)で得られたアダクト結晶を工程(2)又は(3)に供給する工程からなる副工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明はビスフェノール類の製造方法に関する。
ビスフェノール類、特にビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は、ポリカーボネート樹脂およびエポキシ樹脂の原料として有用であり、近年、その需要は大きく伸びている。
ビスフェノール類の製造プロセスは、従来は触媒として塩化水素等の均一酸を用いた方法(以下「塩酸法」という。)で行われていたが、近年、プラントの大型化に伴い、設備費の安い強酸性イオン交換樹脂を触媒とし、チオール化合物を助触媒とする方法(以下「IER触媒法」ともいう。)が主流となっている(たとえば、特許文献1、2参照)。
IER触媒法によるビスフェノールAの製造プロセスは、フェノールとアセトンとをIER触媒の存在下で縮合反応させる工程、得られた反応混合物を、必要に応じて該反応混合物から未反応物や生成水などを除去し、濃縮し、冷却してフェノール−ビスフェノールAアダクト結晶を含むスラリーを生成する晶析工程、該アダクト結晶をスラリーから分離する固液分離工程、フェノール等で洗浄する洗浄工程、蒸留等によりフェノールを除去する工程、固液分離された母液の一部を強酸性イオン交換樹脂等で処理した後、晶析工程に循環させる工程などから構成される。
しかしながら、このIER触媒法では、従来技術である塩酸法と比べて副生成物の生成量が多いため、晶析および固液分離の操作を2回以上行って製品を得ていた(たとえば、特許文献3参照)。そのため、さらなる効率的な製造プロセスを確立することが求められている。
特開2004−10566号公報 特開平10−218814号公報 特開2003−286214号公報
本発明の課題は、晶析および固液分離の操作を1回にすることにより、高品質のビスフェノール類を効率的に低コストで製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、主工程において固液分離後の母液をリサイクルせず、副工程で処理することにより、上記課題を解決できることを見出した。また、特定の触媒を使用することにより、より顕著な効果が得られることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るビスフェノール類の製造方法は、
(1)フェノールとケトン類またはアルデヒド類とを、強酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に反応させる工程、(2)反応液から、水と未反応ケトン類または未反応アルデヒド類と少なくとも一部のフェノールとを除去して第一濃縮液を得る工程、(3)第一濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第一晶析液を得る工程、(4)第一晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する工程、および(5)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノール類を得る工程で構成される主工程と、
(6)第一晶析液から分離された母液から、少なくとも一部のフェノールを除去して第二濃縮液を得る工程、(7)第二濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第二晶析液を得る工程、(8)第二晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する工程、および(9)前記工程(8)で得られたアダクト結晶を、前記工程(2)または前記工程(3)に供給する工程で構成される副工程と
を含むことを特徴とする。
本発明のビスフェノール類の製造方法は、前記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を、強酸性イオン交換樹脂により処理した後、前記工程(6)または前記工程(7)に供給する工程(10)をさらに含むことが好ましい。
本発明のビスフェノール類の製造方法は、前記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を濃縮してフェノールを除去する工程(11)をさらに含むことが好ましい。
本発明のビスフェノール類の製造方法は、前記工程(11)で得られたフェノール除去後の濃縮液をアルカリ性触媒の存在下に加熱処理して濃縮液中のビスフェノール類および副生物を分解し、生成したフェノールおよび4−イソプロペニルフェノールを蒸留により回収する工程(12)をさらに含むことが好ましい。
本発明のビスフェノール類の製造方法は、フェノールをイオン交換樹脂と接触させた後蒸留処理を行い、留出液を前記工程(1)のフェノールの一部、前記工程(4)の結晶洗浄液の一部または前記工程(8)の結晶洗浄液の一部として用い、缶出液を前記工程(11)に送液する工程(13)をさらに含むことが好ましい。
前記工程(1)で使用される強酸性イオン交換樹脂触媒は、窒素原子もしくはリン原子を含む硫黄化合物で部分的に中和されていることが好ましい。また、前記硫黄化合物は、下記式(a)、(b)および(c)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 2008156321
式(a)中、R1〜R3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。
Figure 2008156321
式(b)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。
Figure 2008156321
式(c)中、mは1〜20の整数を示す。
本発明のビスフェノール類の製造方法では、前記工程(1)において、少なくとも2つの反応器を直列に接続し、該反応器間に除熱機構を設けて各反応器の最高温度を75℃以下に抑えるとともに、総触媒重量に対する反応液の流量を1.2h-1以上にすることにより、望ましくない不純物の生成を抑制することが好ましい。
本発明のビスフェノール類の製造方法では、前記工程(2)で得られた第一濃縮液の一部を、前記工程(6)または(7)に供給してもよい。
本発明によれば、IER触媒法によりビスフェノール類を製造する際に、従来2回以上行われていた晶析および固液分離の操作を1回に低減することができ、しかも高品質のビスフェノール類を効率的に低コストで製造することができる。
以下、本発明に係るビスフェノール類の製造方法について詳細に説明する。
本発明のビスフェノール類の製造方法は、図1に示すように、主工程と副工程とを含み、主工程において、フェノールとケトン類またはアルデヒド類とを反応させ、反応生成物からビスフェノール類を分離精製し、副工程において、主工程で分離した母液を処理する。以下、主工程および副工程を構成する各工程について説明する。
〔主工程〕
<工程(1)>
本発明のビスフェノール類の製造方法における主工程を構成する工程(1)では、フェノールとケトン類またはアルデヒド類とを、強酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に反応させる。
上記強酸性イオン交換樹脂触媒としては、特に限定されず、たとえば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン基を導入したタイプのものや、ナフィオンなどのパーフルオロアルキルスルホン酸系などの公知の強酸性イオン交換樹脂を用いることができる。強酸性イオン交換樹脂は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記強酸性イオン交換樹脂は、窒素原子もしくはリン原子を含む硫黄化合物で部分的に中和されていることが好ましい。このような硫黄化合物としては、下記式(a)、(b)および(c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008156321
式(a)中、R1〜R3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。
Figure 2008156321
式(b)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。
Figure 2008156321
式(c)中、mは1〜20の整数を示す。
上記硫黄化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の中では、式(a)で表される硫黄化合物が好ましい。上記特定の硫黄化合物で部分的に中和された強酸性イオン交換樹脂は、高選択性であることから、不純物の生成量を低減することができる。そのため、主工程における晶析および固液分離の精製プロセスを1回にすることができる。
上記硫黄化合物により強酸性イオン交換樹脂を部分的に中和する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。たとえば、適当な溶媒中で強酸性イオン交換樹脂と硫黄化合物とを、所定の中和量(変性率)になるように反応させることによって、部分的に中和された強酸性イオン交換樹脂を得ることができる。
上記硫黄化合物による中和量としては、特に限定されないが、たとえば、スルホン酸型イオン交換樹脂の場合、全スルホン酸基の0.1〜50%、好ましくは3〜40%、より好ましくは5〜30%である。
工程(1)の反応におけるフェノールとケトン類またはアルデヒド類との使用割合は、特に限定されないが、たとえば、「フェノール」/「ケトン類またはアルデヒド類」(モル比)で0.1〜100、好ましくは0.5〜50、より好ましくは3〜30の範囲である。
上記反応に用いられる強酸性イオン交換樹脂触媒の量は、特に限定されないが、たとえば、反応をバッチ方式で実施する場合には、原料となるフェノール100重量部に対して、好ましくは0.001〜200重量部、より好ましくは0.1〜50重量部の範囲である。
反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜200℃、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜90℃の範囲である。反応温度が低過ぎると反応速度が低下し、反
応温度が高過ぎると好ましくない副反応等が進行し、副生成物の増大や反応選択率の低下をもたらすことがある。
上記反応は、バッチ式、セミバッチ式または連続流通式のいずれの方法においても実施することができる。液相、気相、気−液混合相のいずれの形態においても実施することができるが、反応効率の観点から液相反応で行うことが好ましい。触媒の充填方式としては、固定床、流動床、懸濁床、棚段固定床など、種々の方式を採用することができるが、反応効率の点から考えると、固定床型の反応器を使用することが望ましい。
工程(1)の好ましい態様としては、図2に示すように、少なくとも2つの反応器1を直列に接続し、該反応器間に除熱機構2を設けて各反応器1の最高温度を75℃以下に抑えるとともに、総触媒重量に対する反応液の流量(LHSV)を1.2h-1以上にすることにより、望ましくない不純物の生成を抑制する方法が挙げられる。これにより不純物生成量が低減され、触媒単位重量あたりの処理量を高くすることができる。工程(1)により得られた反応液を、後述する工程(2)に供給する。
<工程(2)>
上記主工程を構成する工程(2)では、上記工程(1)で得られた反応液から、水と未反応ケトン類または未反応アルデヒド類と少なくとも一部のフェノールとを除去して第一濃縮液を得る。
反応液中に含まれる生成水や未反応物は、蒸留によって除去することができ、除去された未反応物は、回収して再び反応系へリサイクルすることができる。蒸留の条件としては、通常、温度は100〜200℃、圧力は5〜80kPaである。
上記のようにして生成水や未反応物が除去された残りの濃縮留分(第一濃縮液)を、後述する工程(3)の晶析原料として用いる。なお、工程(2)で得られた第一濃縮液の一部を、後述する工程(6)または工程(7)に供給してもよい。
<工程(3)>
上記主工程を構成する工程(3)では、上記工程(2)で得られた第一濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第一晶析液を得る。
上記アダクト結晶の晶析は、水を添加し、その水を蒸発させることによって潜熱で冷却する方法で行ってもよく、あるいは冷却水との熱交換を行って冷却する方法で行ってもよい。水を添加する場合、通常、温度30〜80℃、圧力3〜13kPa、好ましくは温度40〜70℃、圧力4〜10kPaの条件で行われる。水の添加量は、通常、3〜20重量%程度である。必要以上に多量の水を添加すると、ビスフェノール類の溶解度が上昇し、工程(4)で得られる結晶の量が減少するため好ましくない。得られたアダクト結晶を含む第一晶析液を、後述する工程(4)でアダクト結晶と母液とに固液分離する。
冷却は、1段階で最終の温度まで冷却してもよく、あるいは、2段階以上の多段階で冷却を行ってもよい。通常、多段階で冷却する方が不純物の少ないきれいな結晶が得られることが多いので、結晶純度を向上させたい場合は多段階で冷却することが好ましい。
<工程(4)>
上記主工程を構成する工程(4)では、上記工程(3)で得られた第一晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する。
固液分離の方法としては、特に限定されず、公知の方法、たとえば濾過によって行われ
る。回収されたアダクト結晶は、フェノールで洗浄処理され、後述する工程(5)で脱フェノール処理される。また、分離された母液は後述する工程(6)に供給される。
なお、本発明では、主工程において分離した母液は主工程にリサイクルせず、後述する副工程で処理する。これにより、本発明では、従来2回以上行われていた主工程における晶析および固液分離の精製プロセスを1回に低減することができ、より低コストでビスフェノール類を製造することができる。
<工程(5)>
上記主工程を構成する工程(5)では、上記工程(4)で回収されたアダクト結晶からフェノールを除去して目的のビスフェノール類を得る。
上記アダクト結晶からフェノールの除去は、通常、上記洗浄処理されたアダクト結晶を減圧蒸留等によってビスフェノール類とフェノールとに分離する方法によって行われる。前記減圧蒸留の条件としては、通常、温度が130〜200℃の範囲であり、圧力は3〜20kPaの範囲である。
上記分離処理により得られたビスフェノール類中に含まれる残留フェノールを、スチームストリッピングなどの方法により実質上完全に除去することによって、高品質のビスフェノール類が得られる。なお、除去されたフェノールは、回収してリサイクルすることができる。
〔副工程〕
<工程(6)>
本発明のビスフェノール類の製造方法における副工程を構成する工程(6)では、上記工程(4)において第一晶析液から分離された母液から、少なくとも一部のフェノールを除去して第二濃縮液を得る。
フェノールを除去する方法は特に限定されないが、通常、蒸留によって行われる。蒸留の条件としては特に限定されず、たとえば、上記工程(2)と同程度の条件を採用することができる。蒸留により少なくとも一部のフェノールが除去された残りの濃縮留分(第二濃縮液)を、後述する工程(7)の晶析原料として用いる。なお、除去されたフェノールは、回収して再利用することができる。
<工程(7)>
上記副工程を構成する工程(7)では、上記工程(6)で得られた第二濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第二晶析液を得る。
晶析方法および条件としては、上記工程(3)と同様である。得られたアダクト結晶を含む第二晶析液を、後述する工程(8)でアダクト結晶と母液とに固液分離する。
<工程(8)>
上記副工程を構成する工程(8)では、上記工程(7)で得られた第二晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する。固液分離は、上記工程(4)と同様の方法で行うことができる。分離されたアダクト結晶はフェノールで洗浄処理される。
<工程(9)>
上記副工程を構成する工程(9)では、上記工程(8)で得られたアダクト結晶を、上記工程(2)または工程(3)に供給する。
<工程(10)>
上記副工程を構成する工程(10)では、必要に応じて、上記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を強酸性イオン交換樹脂により処理した後、上記工程(6)または工程(7)に供給する。
このように、上記母液を、強酸性イオン交換樹脂と接触させることにより、ビスフェノール類の異性体を目的のビスフェノール類に異性化処理した後、主工程に循環させず、副工程に循環させて処理することが好ましい。これにより、主工程における晶析および固液分離の精製プロセスを1回にすることができる。なお、強酸性イオン交換樹脂は上述したものを用いることができる。また、異性化処理は公知の方法(たとえば、特開平4−283531号公報、特開平6−321834号公報参照)で行うことができる。
<工程(11)>
上記副工程を構成する工程(11)では、必要に応じて、前記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を濃縮してフェノールを除去する。
フェノールの除去は、特に限定されないが、上記工程(1)や(6)と同様に蒸留により行うことができる。除去されたフェノールは、回収してリサイクルすることができる。フェノール除去後の濃縮液は、後述する工程(12)に供給される。
<工程(12)>
上記副工程を構成する工程(12)では、前記工程(11)で得られたフェノール除去後の濃縮液をアルカリ性触媒の存在下に加熱処理して濃縮液中のビスフェノール類および副生物を分解し、生成したフェノールおよび4−イソプロペニルフェノールを蒸留により回収する。
上記アルカリ性触媒としては、たとえば、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩、およびカルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、各種フェノール塩などが挙げられる。
上記アルカリ性触媒の存在下でビスフェノール類および副生成物を分解する方法としては、特に限定されず、公知の方法および条件を採用することができる(たとえば、特開平10−218814号公報参照)。
蒸留により回収した4−イソプロペニルフェノールは、イオン交換樹脂等の酸触媒の存在下でフェノールと縮合させることにより、ビスフェノールとして回収することができる。この回収反応は、独立した反応器を設けて行ってもよく、あるいは回収した4−イソプロペニルフェノールを含む液を工程10に供給して行ってもよい。
〔前処理工程〕
<工程(13)>
本発明のビスフェノール類の製造方法は、必要に応じて前処理工程として、フェノールをイオン交換樹脂と接触させた後蒸留処理を行い、留出液を上記工程(1)のフェノールの一部、上記工程(4)の結晶洗浄液の一部または上記工程(8)の結晶洗浄液の一部として用い、缶出液を上記工程(11)に送液する工程(13)をさらに含んでもよい。
上記フェノールとイオン交換樹脂との接触処理は、処理温度50〜120℃、接触時間5分〜10時間の条件で行うことができる。なお、イオン交換樹脂としては、上述した強酸性イオン交換樹脂を用いることができる。
上記接触処理後の蒸留は、常圧〜10mmHgの減圧下、温度70〜200℃の条件で
行うことができる。これにより、不純物の生成量を低減させることができるとともに、より高品位のビスフェノール類を得ることができる。
なお、接触処理させるフェノールとしては、特に限定されず、市販のフェノールや、上記工程において除去・回収されたフェノールを用いることができる。
本発明の製造方法の一態様を示すフロー図である。 本発明の製造方法における工程(1)の一態様を示す模式図である。
符号の説明
1・・・反応器
2・・・除熱機構

Claims (9)

  1. (1)フェノールとケトン類またはアルデヒド類とを、強酸性イオン交換樹脂触媒の存在下に反応させる工程、
    (2)反応液から、水と未反応ケトン類または未反応アルデヒド類と少なくとも一部のフェノールとを除去して第一濃縮液を得る工程、
    (3)第一濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第一晶析液を得る工程、
    (4)第一晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する工程、および
    (5)アダクト結晶からフェノールを除去してビスフェノール類を得る工程
    で構成される主工程と、
    (6)第一晶析液から分離された母液から、少なくとも一部のフェノールを除去して第二濃縮液を得る工程、
    (7)第二濃縮液を冷却してビスフェノール類とフェノールとのアダクト結晶を含む第二晶析液を得る工程、
    (8)第二晶析液をアダクト結晶と母液とに分離する工程、および
    (9)前記工程(8)で得られたアダクト結晶を、前記工程(2)または前記工程(3)に供給する工程
    で構成される副工程と
    を含むことを特徴とするビスフェノール類の製造方法。
  2. 前記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を、強酸性イオン交換樹脂により処理した後、前記工程(6)または前記工程(7)に供給する工程(10)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のビスフェノール類の製造方法。
  3. 前記工程(8)で得られた母液の少なくとも一部を濃縮してフェノールを除去する工程(11)をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のビスフェノール類の製造方法。
  4. 前記工程(11)で得られたフェノール除去後の濃縮液をアルカリ性触媒の存在下に加熱処理して濃縮液中のビスフェノール類および副生物を分解し、生成したフェノールおよび4−イソプロペニルフェノールを蒸留により回収する工程(12)をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のビスフェノール類の製造方法。
  5. フェノールをイオン交換樹脂と接触させた後蒸留処理を行い、留出液を前記工程(1)のフェノールの一部、前記工程(4)の結晶洗浄液の一部または前記工程(8)の結晶洗浄液の一部として用い、缶出液を前記工程(11)に送液する工程(13)をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のビスフェノール類の製造方法。
  6. 前記工程(1)で使用される強酸性イオン交換樹脂触媒が、窒素原子もしくはリン原子を含む硫黄化合物で部分的に中和されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のビスフェノール類の製造方法。
  7. 前記硫黄化合物が、下記式(a)、(b)および(c)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項6に記載のビスフェノール類の製造方法。
    Figure 2008156321
    [式(a)中、R1〜R3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。]
    Figure 2008156321
    [式(b)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、nは1〜10の整数を示し、Aは窒素またはリン原子を示す。]
    Figure 2008156321
    [式(c)中、mは1〜20の整数を示す。]
  8. 前記工程(1)において、少なくとも2つの反応器を直列に接続し、該反応器間に除熱機構を設けて各反応器の最高温度を75℃以下に抑えるとともに、総触媒重量に対する反応液の重量流量を1.2h-1以上にすることにより、望ましくない不純物の生成を抑制することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビスフェノール類の製造方法。
  9. 前記工程(2)で得られた第一濃縮液の一部を、前記工程(6)または(7)に供給することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のビスフェノール類の製造方法。
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