JP2008150316A - 水中拡散性の良好な水性懸濁製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】除草活性成分、ショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤および水よりなり、20℃における表面張力が35mN/m以下であることを特徴とする、湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
【選択図】なし
Description
(1)10μm以下の微細粒子状の水難溶性除草活性成分を安定な懸濁状態で含み、粘度(20℃)が180〜500cP、初期水面拡展速度(20℃)が4.0cm/sec以上、及び表面張力(25℃)が25.0〜31.0dyne/cmである水懸濁水田用除草剤が提案されている(特許文献1参照。)。
(2)水を分散媒として除草活性成分と界面活性剤を配合し、表面張力が36〜65dyne/cm(25℃)の物性を有する湛水下水田の田植後処理除草用水性懸濁製剤組成物が提案されている(特許文献2参照。)。
(3)水を分散媒とし、平均粒径が0.5〜5μmである、水に対する溶解度が100ppm以下(25℃)の除草活性化合物と、界面活性剤とを配合してなり、かつ表面張力が36〜65dyne/cm(25℃)の物性を有する湛水下水田の田植後処理除草用水性懸濁製剤組成物が提案されている(特許文献3参照。)。
(4)水に不溶または難溶な除草活性成分と界面活性剤とを含有し、その表面張力が25℃で35dyne/cm未満であることを特徴とする拡散性の優れた水中懸濁型水田用除草剤が提案されている(特許文献4参照。)。
(5)特定の除草剤化合物を含有する組成物であって、該組成物の粘度が500〜150cP(20℃)であり、その表面張力が45dyne/cm以下(20℃)であることを特徴とする水田用懸濁状除草剤組成物が提案されている(特許文献5参照。)。
(6)平均粒径5μm以下の除草活性化合物が水中に懸濁状態で分散されており、粘度(25℃)が100cP以下、かつ表面張力(25℃)が25.0dyne/cm以下の物性を有する水田用懸濁状除草剤組成物が提案されている(特許文献6参照。)。
(7)除草活性成分とHLB10〜15の非イオン界面活性剤、増粘剤および水よりなり、25℃における製剤の比重が0.95〜1.05、粘度が200〜1000cP、20℃における表面張力が35〜65dyne/cmであることを特徴とする水面施用除草製剤が提案されている(特許文献7参照。)。
(8)水を分散媒とし、除草活性成分と界面活性剤とを配合し、初期水面拡展速度が4.0cm/sec(20℃)以上の物性を有することを特徴とする水田用懸濁状除草組成物、また、体積積算50%粒径が5.1〜10.0μm、粘度が200〜600mPa・sec(25℃)、表面張力が21〜35dyne/cm(25℃)の諸物性を有する水田用懸濁状除草組成物、また更に、湿潤剤としての界面活性剤がアルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルから選ばれる化合物の一種または二種以上を含有し、分散剤としての界面活性剤がリグニンスルホン酸塩である水田用懸濁状除草組成物が提案されている(特許文献8参照。)。
よって、上記のいずれの発明においても、水田中への有効成分の拡散性、特に、土壌表面に沈降した場合の薬剤の拡散性については問題があった。
このため、薬剤が土壌表面に沈降した場合でも有効成分が局所的に残らない、沈降物の拡散性の良い水性懸濁製剤の開発が求められている。
すなわち、本発明は、除草活性成分、ショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤および水よりなり、20℃における表面張力が35mN/m以下であることを特徴とする、湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤である。
また、本発明は、陰イオン界面活性剤の含有量が製剤全量に対して0.1重量%から3.0重量%の範囲にあることを特徴とする、湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤である。
また、本発明は、陰イオン界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、およびβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤である。
(1)除草活性成分
本発明で用いる除草活性成分は、一般に農薬の活性成分として使用されるものであればよい。また、除草活性成分を2種以上併用しても何らかまわない。
このような除草活性成分としては、例えば、フェノキシ酸系(MCPAチオエチルなど)、カーバメート系、酸アミド系(ブタクロールなど)、尿素系、スルホニルウレア系、ピリミジルオキシ安息香酸系、トリアジン系(シメトリンなど)、ダイアジン系、ダイアゾール系、ビピリジリウム系、ジニトロアニリン系、芳香族カルボン酸系、脂肪酸系、アミノ酸系、ニトリル系、シクロヘキサンジオン系、フェニルフタルイミド系、有機リン系、シネオール系、インダンジオン系、ベンゾフラン系、トリアゾロピリミジン系、オキサジノン系、アリルトリアゾリノン系、イソウラゾール系、ピリミジニルチオフタリド系、無機除草剤、生物農薬などが挙げられる。
なお、これらに含まれる個々の具体的な除草活性成分は、例えば「農薬ハンドブック2005年版」(社団法人 日本植物防疫協会、平成17年10月11日発行)、「SHIBUYA INDEX 11th Edition」(平成18年5月25日発行)、「The Pesticide Manual Fourteenth Edition」(British Crop Protection Council 発行)などに記載されている。
また、本発明において使用される除草活性成分として、上記以外の公知あるいは今後開発される除草活性成分を適用することもできる。
上記除草活性成分は、水性懸濁製剤中に、通常0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
本発明で使用できるショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖1分子中にある8個の水酸基の一部あるいは全部と、脂肪酸をエステル結合させることにより得られるものであり、脂肪酸1分子を結合させたモノエステル(1置換体)から脂肪酸8分子を結合させたオクタエステル(8置換体)まで、いずれのものも使用できる。
また、脂肪酸部位については、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
なお、土壌表面に沈降した薬剤の拡散性の面からモノエステルあるいはジエステルの使用が好ましい。
本発明で使用するショ糖脂肪酸エステルは、水性懸濁液中に、通常0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。添加量が0.01重量%未満になると、土壌表面に沈降した薬剤の拡散性が悪くなり、また、15重量%を超えると、奏される効果が頭打ち傾向になることに対応してコスト面で不利となる。
本発明で使用できる陰イオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸エステル塩、パラフィン(アルカン)スルホン酸塩、モノまたはジアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル、脂肪酸塩、N−メチル・脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンモノまたはジアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーリン酸エステル塩、ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられるが、除草活性成分の水中への拡散性、特に、土壌表面に沈降した薬剤の拡散性の面から、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩またはβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩が好ましい。
本発明で使用する陰イオン界面活性剤は、水性懸濁液中に、通常0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜3.0重量%である。添加量が0.01重量%未満になると、土壌表面に沈降した薬剤の拡散性が悪くなり、また、3.0重量%を超えると徐々に奏される効果が頭打ち傾向になる。そして、15重量%を超えると、奏される効果が頭打ち傾向になることのほかに、コスト面でも不利となる。
本発明の湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤には、補助剤として、上記の必須成分のほかに、必要に応じて、ショ糖脂肪酸エステル以外の非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、凍結防止剤としてエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど、増粘剤としてキサンタンガム、グアガム、ウエランガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムマグネシウムなど、高沸点溶剤として植物油、鉱物油など、消泡剤としてシリコン系、脂肪酸系物質など、防ばい剤としてソルビタン酸、ソルビン酸カリウム、p−クロロ−メタキシレノール、p−オキシ安息香酸ブチルなど、除草活性成分の安定化剤として酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤などを添加してもよい。
なお、本発明において使用できる補助剤は、上記の例に限定されるものではない。
本発明では、水性懸濁製剤の表面張力を35mN/m以下とする必要がある。水性懸濁製剤の表面張力が35mN/mより大きくなると、除草活性成分の水中への拡散性が悪くなり、生物効果が劣り、また、場合によっては、除草活性成分が局在化することにより、薬害を引き起こす原因となることがあるからである。
水性懸濁製剤の表面張力を35mN/mとするためには、製剤中に含まれるショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤の添加量を調節すればよい。また、場合によって、補助剤として、ショ糖脂肪酸エステル以外の非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤または高沸点溶剤などを添加して、表面張力を35mN/m以下となるようにすればよい。
本発明の水性懸濁製剤の調製方法は特に限定されないが、例えば次の方法によって調製できる。
除草活性成分、ショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤および必要に応じてその他の補助剤を、水に添加し混合する。
なお、除草活性成分を予めJet粉砕機などで微粉砕化して使用してもよく、また、除草活性成分、ショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤および必要に応じてその他の補助剤を水に添加後、ガラスビーズなどを用いて湿式粉砕することによって調製してもよい。
また、除草活性成分を高沸点溶剤に溶解して調製してもよい。
上記により調製した水性懸濁製剤は、例えば、薬剤を水で希釈することなく畦畔から容器を振ることにより湛水下水田に滴下散布する方法、スプレー装置を用いて畦畔から湛水下水田に散布する方法、水口からの流入水の流れにのせて処理する方法、田植え機に装着して湛水下水田に滴下散布する方法、ヘリコプターを用いて空中から湛水下水田に滴下散布する方法などがある。
なお、水性懸濁製剤を、水で1.5から10倍程度に希釈して、上記の方法で散布してもかまわない。
本発明の水性懸濁製剤の湛水下水田への散布量は、10アールあたり通常0.1〜3.0リットル、好ましくは0.2〜2.0リットル、更に好ましくは0.3〜1.0リットルである。
なお、実施例中の「部」とあるのは、すべて重量部を示す。
また、表面張力の測定は、温度20℃においてwilhelmy法で測定した。
比較製剤No.1〜8は、実施例1〜3に準じて調製したものであるが、比較製剤No.1、2、5、7は、ショ糖脂肪酸エステルを配合しない例であり、比較製剤No.3、6、8は陰イオン界面活性剤を配合しない例である。比較製剤4は、ショ糖脂肪酸エステルおよび陰イオン界面活性剤を含むが、表面張力が35mN/mを超える場合の例である。
2m2(1m×2m)のプラスチック製容器に水深3cmとなるように水を入れ、この容器の中央に実施例に準じて調製した水性懸濁製剤を高さ50cmから1ml滴下した。6時間静置後に容器の4隅(A区〜D区)および中央(E区)の除草活性成分濃度を測定した。そして、水中拡散性は、次式により除草活性成分の容器内の水中に、均一に拡散した場合の理論水中濃度に対する割合で示した。
直径12.5cmのシャーレに水深が1cmとなるように水を入れ、1mm単位で目盛りがある方眼紙の上に静置する。イソパラフィン1mlを水面上に添加し油膜を作った後、シャーレの中央に、実施例に準じて調製した水性懸濁製剤を高さ30cmから0.1ml滴下し、方眼紙の目盛りを使用し、沈降物の面積を算出する。30分静置後、再度沈降物の面積を算出し、次式より沈降物の拡散性の度合いを確認した。
<評価基準>
A:4以上 (拡散性良好)
B:3以上4未満(拡散性ほぼ良好)
C:2以上3未満(拡散性やや悪い)
D:2未満(拡散性悪い)
なお、評価AまたはBであれば拡散性は問題ない。
結果は表3〜表4のとおりである。
Claims (3)
- 除草活性成分、ショ糖脂肪酸エステル、陰イオン界面活性剤および水よりなり、20℃における表面張力が35mN/m以下であることを特徴とする、湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
- 陰イオン界面活性剤の含有量が、製剤全量に対して0.1重量%から3.0重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
- 陰イオン界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩およびβ−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の湛水下水田の直接散布用水性懸濁製剤。
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