JP2008133476A - 高耐熱老化性熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

高耐熱老化性熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱老化性に優れた成形体を与えることができる熱可塑性エラストマー組成物、及びブリードアウト現象が抑制された熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン(A)10〜60重量部、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋されたゴム(B)30〜87重量部及び軟化剤(C)3〜50重量部[但し(A)、(B)及び(C)の合計量は100重量部]並びにフェノール系耐熱安定剤(D)0.02〜0.3重量部を含んでなり、130℃のエアーオーブン中で500時間エイジングした後のJIS K6301に準拠し引張速度200mm/分で測定した破断時伸びがエイジング前の値の80%以上を保持している熱可塑性エラストマー組成物であって、軟化剤(C)が、JIS K2256に規定される試験管法で測定したアニリン点140℃以下、JIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定したイオウ含量20ppm以上である熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、更に詳しくは、耐熱老化性に優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物に関する。
自動車のインストゥルメンタルパネル、ドアトリム等の内装表皮材は、従来は軟質塩化ビニル樹脂が主流であったが、近年材料の軽量化が求められる観点等からオレフィン系熱可塑性エラストマーが使われ始めている。
乗用車の場合、特に夏の炎天下では閉めきった車内の温度がかなり高温になるが、最近は乗用車のデザインにおいてフロントガラス等が大型化する傾向にあり、それに伴って、インストゥルメンタルパネルの表皮の温度が上がるため、より高い耐熱老化性が求められるようになってきている。
耐熱老化性を向上させるために、通常、耐熱安定剤(酸化防止剤)が配合されるが、配合量によっては、内部から耐熱安定剤が表面に出てきて、外観を損なう、いわゆる「ブリードアウト」と呼ばれる現象が問題となっている。
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題点を解決するものであって、本発明の第1の目的は、耐熱老化性に優れた成形体を与えることができる熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、ブリードアウト現象が抑制された熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ポリオレフィン(A)10〜60重量部、架橋されたゴム(B)30〜87重量部及び軟化剤(C)3〜50重量部[但し(A)、(B)及び(C)の合計量は100重量部]並びにフェノール系耐熱安定剤(D)0.02〜0.3重量部を含んでなり、130℃のエアーオーブン中で500時間エイジングした後の破断時伸びがエイジング前の値の80%以上を保持している熱可塑性エラストマー組成物。
(2)軟化剤(C)がパラフィン系鉱物油である前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(3)軟化剤(C)が、アニリン点140℃以下、イオウ含量20ppm以上である前記(1)又は(2)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(4)軟化剤(C)の40℃における動粘度が150〜1000センチストークスである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(5)更に、フェノール系以外の耐熱安定剤0.02〜0.3重量部を含んでなる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(6)フェノール系以外の耐熱安定剤が硫黄系耐熱安定剤である前記(5)に記載の記載熱可塑性エラストマー組成物。
(7)少なくとも、架橋されたゴム(B)の全部とポリオレフィン(A)の一部又は全部とを架橋剤の存在下で動的に熱処理することによって製造される前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(8)架橋されたゴム(B)が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、イソプレンゴム又はその水添品、ブタジエンゴム又はその水添品、スチレン・ブタジエンゴム又はその水添品、スチレン・イソプレンゴム又はその水添品、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム及びウレタンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(9)ポリオレフィン(A)がプロピレン系重合体樹脂であり、かつ架橋されたゴム(B)がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムである前記(1)〜(8)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(10)ゴムが有機過酸化物で架橋されている前記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(11)2軸押出機を用いて製造される前記(1)〜(10)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
(12)ポリオレフィン(A)10〜60重量部、ゴム(B’)30〜87重量部及び軟化剤(C)3〜50重量部[但し(A)、(B’)及び(C)の合計量は100重量部]並びにフェノール系耐熱安定剤(D)0.02〜0.3重量部を架橋剤の存在下で動的に熱処理することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いることにより、耐熱老化性に優れた成形体を提供することができる。
以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成物について具体的に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン(オレフィン系樹脂)(A)、架橋されたゴム(B)、軟化剤(C)及びフェノール系耐熱安定剤(D)、並びに必要に応じてフェノール系以外の耐熱安定剤(E)、例えば硫黄系耐熱安定剤を含んでなる組成物である。
ポリオレフィン(オレフィン系樹脂)(A)
本発明で用いられるポリオレフィン(オレフィン系樹脂)(A)は、通常、1種又は2種以上のモノオレフィンを高圧法又は低圧法により重合して得られる高分子量固体生成物からなる。このような樹脂としては、例えばアイソタクチック及びシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂が挙げられる。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
前記ポリオレフィン(A)の適当な原料オレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
重合様式は、樹脂状物が得られれば、ランダム型でもブロック型でもよい。
これらのポリオレフィンは、単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのポリオレフィンの中でも、プロピレン系重合体、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンブロックコポリマー、プロピレン・エチレンランダムコポリマー又はプロピレン・エチレン・ブテンランダムコポリマー等が特に好ましい。
本発明で用いられるポリオレフィン(A)は、MFR(ASTM D1238−65T、230℃、2.16kg)が通常0.01〜100g/10分、特に0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
前記ポリオレフィン(A)は、組成物の流動性及び耐熱性を向上させる役割を持っている。
本発明においては、ポリオレフィン(A)は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、10〜60重量部、好ましくは15〜50重量部の割合で用いられる。前記のような割合でポリオレフィン(A)を用いると、柔軟性、ゴム弾性に優れるとともに、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
架橋されたゴム(B)
本発明で用いられる架橋されたゴム(B)としては、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、イソプレンゴム又はその水添品、ブタジエンゴム又はその水添品、スチレン・ブタジエンゴム又はその水添品、スチレン・イソプレンゴム又はその水添品、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム及びウレタンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴムが用いられる。ここで、「水添品」とは、水素添加処理をして、二重結合の全部又は一部を飽和させたものをいう。
これらの中でも、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましく、以下のような物性を有するエチレン・プロピレン・非共役ジエンゴムが特に好ましい。
エチレン/プロピレン比:50/50〜90/10(モル比)
ヨウ素価:3〜30(g/100g)
ムーニー粘度ML1+4(100℃):15〜250
前記エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴムに用いられる非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン)、エチリデンノルボルネン(例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン)、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状ジエンが挙げられる。
本発明においては、架橋されたゴム(B)は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、30〜87重量部、好ましくは35〜70重量部の割合で用いられる。
軟化剤(C)
本発明に用いられる軟化剤(C)としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又はその金属塩;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール等が挙げられる。
これらの軟化剤のうち、炭化水素系軟化剤が好ましく、鉱物油、例えばパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油が更に好ましく、パラフィン系鉱物油が最も好ましい。
パラフィン系鉱物油は、一般にゴムの軟化剤に用いられるパラフィン系のプロセス油で、鉱物油を精製したパラフィン系の潤滑留分である。
本発明に好ましく用いられるパラフィン系鉱物油は、環分析における%CPが50以上、更に好ましくは60〜80、全酸価が0.05(mgKOH/g)以下、更に好ましくは0.01以下、アニリン点が100〜160℃、更に好ましくは120〜150℃、40℃における動粘度が150〜1000センチストークス、更に好ましくは200〜500センチストークスのものが好適である。
また、軟化剤(C)として、アニリン点140℃以下、イオウ含量20ppm以上であるパラフィン系鉱物油を用いると、ブリードアウト現象の発生が特に抑制される。ブリードアウト現象の抑制の点から、アニリン点は、好ましくは100〜140℃、更に好ましくは120〜140℃であり、イオウ含量は、好ましくは20〜10,000ppm、更に好ましくは100〜5,000ppmである。このようなブリードアウト現象の抑制が認められるのは、前記のパラメータを満たす軟化剤は、フェノール系耐熱安定剤(D)として用いる極性物質であるフェノール系化合物との親和性が高く、当該フェノール系耐熱安定剤が強くエラストマー組成物中に固定されることによるものと考えられる。
また、フェノール系以外の耐熱安定剤が極性物質である場合には、同様のメカニズムによって、これらフェノール系以外の耐熱安定剤のブリードアウト現象も抑制されるであろう。
ナフテン系鉱物油とは、環分析における%CPが50以下で、%CNが35程度以上のものをいい、芳香族系鉱物油とは、%CPが50以下で、%CAが35程度以上のものをいう。
本発明においては、軟化剤(C)は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、3〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の割合で用いられる。
本発明において軟化剤(C)は、熱可塑性エラストマー製造時に添加してもよいし、予め原料ゴムに油展しておいてもよい。
なお、本明細書における軟化剤(C)のアニリン点の値はJIS K2256に規定される試験管法で測定した値を示し、イオウ含量の値はJIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定した値を示す。
フェノール系耐熱安定剤(D)
本発明で用いられるフェノール系耐熱安定剤(D)は、分子中にフェノール構造を有する有機化合物で、ラジカル捕捉機能を有するものである。本発明で用いられるフェノール系耐熱安定剤(D)としては、具体的には、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメトキシフェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ビス(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、d,l−α−トコフェロール(ビタミンE)、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオン酸n−オクタデシル、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2’−オキシアミド−ビス−エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(3−メチルー6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチルー6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−ブチリデン−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−ラウリルチオエーテル、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−6−(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましく用いられる。
本発明においては、フェノール系耐熱安定剤(D)は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、0.02〜0.3重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部の割合で用いられる。
フェノール系以外の耐熱安定剤(E)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、フェノール系耐熱安定剤(D)とフェノール系以外の耐熱安定剤を併用することで耐熱老化性を更に向上させることができる。フェノール系以外の耐熱安定剤としては、硫黄系、リン系、アミン系等の公知の耐熱安定剤を使用することができるが、その中でも硫黄系耐熱安定剤が最も好ましい。
本発明で用いられる硫黄系耐熱安定剤は、分子中に硫黄原子を含有し、過酸化物分解機能を有する有機化合物である。本発明で用いられる硫黄系耐熱安定剤としては、具体的には、2−メルカプトベンズイミダゾール、N,N’−ジフェニルチオウレア、テトラメチルチウラムジスルフィド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジラウリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジ−1,1’−メチルブチレート、ジミリスチルー3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート、ジオクタデシルジスルフィド等が挙げられる。これらの中でも特にジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート、ジオクタデシルジスルフィドが好適に用いられる。
本発明においては、フェノール系以外の耐熱安定剤(E)、好ましくは硫黄系耐熱安定剤は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、通常0.02〜0.3重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部の割合で用いられる。
その他の成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)、軟化剤(C)、フェノール系耐熱安定剤(D)及びフェノール系以外の耐熱安定剤(E)の他に、無機充填剤等を配合することができる。
前記無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
本発明においては、無機充填剤は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性、成形加工性の点から、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、通常100重量部以下、好ましくは2〜50重量部の割合で用いられる。
更に、本発明においては、熱可塑性エラストマー組成物中に、従来公知の耐候安定剤、帯電防止剤;金属セッケン、ワックス、シリコンオイル等の滑剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述したポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)の原料ゴム(B’)、軟化剤(C)及び所定の耐熱安定剤と、必要に応じて配合される無機充填剤等とを混合した後、架橋剤の存在下に動的に熱処理することによって得られる。ここで、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
本発明で用いられる架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノン又はその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等、熱硬化型ゴムで一般に使用される架橋剤が挙げられる。これら架橋剤の中でも有機過酸化物が特に好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく、なかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
このような有機過酸化物は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、引張特性、弾性回復、反発弾性、成形性の点で、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、通常0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部となるような量で用いられる。
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような架橋助剤、あるいはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
前記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、前記の被架橋処理物の主成分であるオレフィン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム等のゴムとの相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
前記のような架橋助剤又は多官能性ビニルモノマー等の化合物は、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)及び軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、通常2重量部以下、好ましくは0.3〜1重量部となるような量で用いられる。
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩等の分解促進剤を用いてもよい。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、ポリオレフィン(A)の融点から300℃の範囲であり、通常150〜280℃、好ましくは170〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で10〜50,000sec−1、好ましくは100〜20,000sec−1の範囲である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸又は二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましく、2軸押出機が特に好ましい。
本発明によれば、前述した動的な熱処理によって、ポリオレフィン(A)、架橋されたゴム(B)等を含んでなる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
なお、本発明において、熱可塑性エラストマー組成物中のゴムが架橋されたとは、下記の方法で測定したゲル含量が20重量%以上であることをいい、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが更に好ましい。
[ゲル含量の測定法]
熱可塑性エラストマー組成物の試料を100mg採取し、これを0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断した試料を、密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに23℃で48時間浸漬した後、試料を濾紙上に取出し、室温で72時間以上恒量になるまで乾燥する。
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のすべてのシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量、及びシクロヘキサン浸漬前の試料中のポリオレフィン(A)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料中のゴムの重量を、「補正された初期重量(X)」とする。
ここに、ゲル含量は、次の式で求められる。
ゲル含量[重量%]
=[補正された最終重量(Y)/補正された初期重量(X)]×100
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、130℃のエアーオーブン中で500時間エイジングした後の破断時伸びがエイジング前の80%以上を保持している高耐熱老化性熱可塑性エラストマー組成物である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物及びその原料について行った物性の測定方法は、下記のとおりである。
[物性の測定方法]
引張強さ及び破断時伸び:JIS K6301に準拠して測定した。但し、引張速度は200mm/分とした。
ブリードアウト性:プレスしたシートを40℃、湿度95%に保った恒温恒湿槽に240時間エイジングした後、以下の基準で安定剤のブリードアウト性を評価した。
3:安定剤のブリードアウトが認められない。
2:シート表面が僅かに白化し、安定剤のブリードアウトが僅かに認められる。
1:シート表面の白化が顕著で、安定剤のブリードアウトが明らかに認められる。
軟化剤の動粘度:JIS K2283に準拠して測定した。
アニリン点:JIS K2256に規定される試験管法で測定した。
イオウ含量:JIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定した。
環分析における%CP:JIS K2536に準拠して測定した。
全酸価:JIS K2501に準拠して測定した。
ヨウ素価:共重合体ゴムのヨウ素価は、滴定法により求めた。
ムーニー粘度:JIS K6300に準拠して測定した。
実施例及び比較例に使用した主な原料は以下のとおりである。
(A−1)プロピレンホモポリマー;MFR(ASTM D1238−65T、230℃、2.16kg)10(g/10分)
(B−1)油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム:エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)79/21、ヨウ素価13、ムーニー粘度ML1+4(100℃)140のポリマー100重量部にパラフィン系鉱物油(C−1,出光興産(株)製PW−380;環分析における%CP73、全酸価0.01(mgKOH/g)以下、アニリン点144℃、イオウ含量6ppm、40℃における動粘度382センチストークス)を50重量部油展
(B−2)油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム:エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)80/20、ヨウ素価6、ムーニー粘度ML1+4(100℃)140のポリマー100重量部にパラフィン系鉱物油(C−2,出光興産(株)製PS−430;環分析における%CP72、全酸価0.01(mgKOH/g)、アニリン点133℃、イオウ含量1600ppm、40℃における動粘度438センチストークス)を40重量部油展
(B−3)油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム:エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)80/20、ヨウ素価6、ムーニー粘度ML1+4(100℃)140のポリマー100重量部にパラフィン系鉱物油(C−1,出光興産(株)製PW−380;環分析における%CP73、全酸価0.01(mgKOH/g)以下、アニリン点144℃、イオウ含量6ppm、40℃における動粘度382センチストークス)を40重量部油展
(実施例1)
プロピレンホモポリマー(A−1)のペレット25重量部、油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のペレット75重量部(ゴムのポリマー50重量部、パラフィン系鉱物油25重量部)及びフェノール系耐熱安定剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、商品名イルガノックス1010)0.1重量部、硫黄系耐熱安定剤ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.1重量部、有機過酸化物[2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン]0.4重量部及びジビニルベンゼン(DVB)0.6重量部を加えてヘンシェルミキサー中で充分混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件で動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
動的熱処理条件
押出機:ウェルナー&フライデル社製ZSK−53、スクリュー径53mm
温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=140/160/180/220/220/200(℃)
最高剪断速度:2800(sec−1
押出量:50(kg/時)
次いで、このペレットを190℃でプレス成形(予熱6分、加圧4分、冷却5分)して厚み1mmのシートを作製し、それを打ち抜くことでJIS−3号試験片を作製し、前記測定方法に従って引張試験を行って引張強さと破断時伸びを測定した。更に、打ち抜いたJIS−3号ダンベルを130℃に保たれたエアーオーブン中で500時間エイジングした後、同様に引張強さと破断時伸びを測定した。また、エイジングの後に目視で外観の変化を確認するとともに、エイジング前後の試料についてハンター色差計により色差(ΔE)を測定し、熱老化による変色を評価した。更に先に述べた方法でゲル含量を測定するとともに、ブリードアウト性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
プロピレンホモポリマー(A−1)のペレット30重量部、油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−2)のペレット70重量部(ゴムのポリマー50重量部、パラフィン系鉱物油20重量部)及びフェノール系耐熱安定剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、商品名イルガノックス1010)0.1重量部、硫黄系耐熱安定剤ジステアリルチオジプロピオネート0.1重量部、有機過酸化物[2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン]0.2重量部及びジビニルベンゼン(DVB)0.3重量部から実施例1と同様に2軸押出機で動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
次いで、このペレットを実施例1と同様にプレス成形をへて、JIS−3号試験片を作製し、実施例1と同様に引張強さと破断時伸びを測定した。更に、実施例1と同様に130℃に保たれたエアーオーブン中で500時間エイジングした後、同様に引張強さと破断時伸び、外観、色差を測定した。更に先に述べた方法でゲル含量を測定するとともに、ブリードアウト性を評価した。結果を表1に示す。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において硫黄系耐熱安定剤の代わりにリン系の耐熱安定剤としてビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトを0.1重量部加えた以外は実施例2と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
プロピレンホモポリマー(A−1)のペレット30重量部、油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−2)のペレット70重量部(ゴムのポリマー50重量部、パラフィン系鉱物油20重量部)及びフェノール系耐熱安定剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、商品名イルガノックス1010)0.1重量部、硫黄系耐熱安定剤ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.1重量部、有機過酸化物[2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン]0.2重量部及びジビニルベンゼン(DVB)0.3重量部を加えてヘンシェルミキサー中で充分混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件で動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
動的熱処理条件
押出機:ウェルナー&フライデル社製ZSK−53、スクリュー径53mm
温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=140/160/180/220/220/200(℃)
最高剪断速度:2800(sec−1
押出量:50(kg/時)
次いで、このペレットを190℃でプレス成形(予熱6分、加圧4分、冷却5分)して厚み1mmのシートを作製し、それを打ち抜くことでJIS−3号試験片を作製し、前記測定方法に従って引張試験を行って引張強さと破断時伸びを測定した。更に、打ち抜いたJIS−3号ダンベルを130℃に保たれたエアーオーブン中で500時間エイジングした後、同様に引張強さと破断時伸びを測定した。また、エイジングの後に目視で外観の変化を確認するとともに、エイジング前後の試料についてハンター色差計により色差(ΔE)を測定し、熱老化による変色を評価した。更に先に述べた方法でゲル含量を測定するとともに、ブリードアウト性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例4において硫黄系耐熱安定剤の代わりにリン系の耐熱安定剤としてビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトを0.1重量部加えた以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例4においてフェノール系耐熱安定剤の添加量を0.2重量部とし、硫黄系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例4において油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−2)の代わりに油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−3)を用いた以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例5において油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−2)の代わりに油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−3)を用いた以外は実施例5と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例4において油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−2)の代わりに油展されたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−3)を用い、更にフェノール系耐熱安定剤の添加量を0.2重量部とし、硫黄系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1においてフェノール系耐熱安定剤と硫黄系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2においてフェノール系耐熱安定剤と硫黄系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例2と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2においてフェノール系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例2と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例4においてフェノール系耐熱安定剤と硫黄系耐熱安定剤を加えなかった以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例4においてフェノール系耐熱安定剤を加えずに硫黄系耐熱安定剤の添加量を0.2重量部とした以外は実施例4と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008133476

Claims (11)

  1. ポリオレフィン(A)10〜60重量部、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋されたゴム(B)30〜87重量部及び軟化剤(C)3〜50重量部[但し(A)、(B)及び(C)の合計量は100重量部]並びにフェノール系耐熱安定剤(D)0.02〜0.3重量部を含んでなり、130℃のエアーオーブン中で500時間エイジングした後のJIS K6301に準拠し引張速度200mm/分で測定した破断時伸びがエイジング前の値の80%以上を保持している熱可塑性エラストマー組成物であって、軟化剤(C)が、JIS K2256に規定される試験管法で測定したアニリン点140℃以下、JIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定したイオウ含量20ppm以上である熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 軟化剤(C)のJIS K2283に準拠して測定した40℃における動粘度が150〜1000センチストークスである請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 更に、硫黄系、リン系及びアミン系から選ばれるフェノール系以外の耐熱安定剤0.02〜0.3重量部を含んでなる請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. フェノール系以外の耐熱安定剤が硫黄系又はリン系の耐熱安定剤である請求の範囲第3項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. フェノール系以外の耐熱安定剤が硫黄系耐熱安定剤である請求の範囲第3項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 少なくとも、架橋されたゴム(B)の全部とポリオレフィン(A)の一部又は全部とを架橋剤の存在下で動的に熱処理することによって製造される請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 架橋されたゴム(B)が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムである請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. ポリオレフィン(A)がプロピレン系重合体樹脂であり、かつ架橋されたゴム(B)がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムである請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. ゴムが有機過酸化物で架橋されている請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 2軸押出機を用いて製造される請求の範囲第1項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. ポリオレフィン(A)10〜60重量部、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム及びエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種のゴム(B’)30〜87重量部及びJIS K2256に規定される試験管法で測定したアニリン点140℃以下、JIS K2541に規定される微量電量滴定式酸化法で測定したイオウ含量20ppm以上である軟化剤(C)3〜50重量部[但し(A)、(B’)及び(C)の合計量は100重量部]並びにフェノール系耐熱安定剤(D)0.02〜0.3重量部を架橋剤の存在下で動的に熱処理することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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