JP2008127745A - 建物の外壁パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱材31がフィルム間に真空状態で封止された断熱シート30,40は従来の断熱材と比べ薄くできるので、この断熱シート30,40の採用により、断熱性を確保した制振装置20内蔵の外壁パネル10を形成することが可能となった。そして、このように外壁構造に制振装置20が配置されたことにより、建物の内壁側に制振装置20が配置された場合と比べて当該制振装置20による地震の吸収エネルギを格段に大きくできる。
【選択図】図3
Description
このように外壁構造に制振装置(20)が配置されることにより、建物の内壁側に制振装置(20)が配置された場合と比べて当該制振装置(20)による地震の吸収エネルギを格段に大きくできる。
なお、断熱シート(30,40)は、グラスウールなどの断熱コア材を二枚の金属製フィルム(32,33)の間に真空状態で封止密閉して形成される真空断熱シートと呼ばれるものである。このような断熱シート(30,40)では、それぞれ真空状態とされた複数の断熱材(31)が設けられていることから、万一、一部の断熱材(31)における真空状態が損なわれた場合でも、他の断熱材(31)において、断熱性能を変わらず発揮できる。
つまり、断熱シート(30,40)を取り付ける手段を問わず、釘打ちなどの作業性良好な取付手段などによって断熱シート(30,40)を容易に取付でき、取り付ける際に封止部(34)のフィルム(32,33)が傷ついたり孔が明いても断熱性能を確保できる。
また、封止部(34)が略格子状に形成されていることから、この封止部(34)に沿って断熱シート(30,40)を各種の外壁パネル(10)の寸法に応じた適切な縦横寸法にカットできる。
なお、この取付部材(35,45)は、断熱シート(30,40)の縦方向に沿って設けられていても横方向に沿って設けられていても良い。
また、封止部(34)が格子状に形成された構成においては、封止部(34)に沿って断熱シート(30)の略全体に亘り複数の透孔(341)を形成することが可能となり、これによってムラ無く調湿できる。
図1は、建物の外壁構造の一部切欠斜視図であり、図2は、この建物の外壁構造の横断面図である。
この外壁構造は、下梁1に設けられた外壁パネル9,10を有して構成されている。外壁パネル9,10には胴縁2が設けられ、胴縁2にはサイディング材3が取り付けられている。なお、図1中、4は基礎、5は下梁1に設けられた床パネル、6は水切りである。
外壁パネル9は、従来公知の構成であり、矩形枠状の芯材91の両側に面材92,93を備え、内部に断熱材としてグラスウール(図示せず)が充填されている。
外壁パネル10は、矩形状の外枠芯材11と、外枠芯材11の両側に設けられる面材12,13(図3では二点鎖線で図示)とを備えてパネル状に形成され、本実施形態では建物の構造材を構成する。
この外壁パネル10は、全体略パネル状の制振装置20と、二枚の真空断熱シート30,40とを内蔵する。
制振装置20は、外枠芯材11の内側に固定される矩形状の枠体21と、この枠体21に対向して設けられる一対の支持部22,22と、支持部22,22によって支持される振り子部材23と、枠体21に設けられる制振ボックス24とを備えている。
枠体21は、左右一対の縦フレーム211,211と、上下一対の横フレーム212,212とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
縦フレーム211,211はそれぞれ断面T字状に形成され、外枠芯材11の内周面に当接されビスで固定される取付板211Aと、この取付板211Aから立ち上がる立設板211Bとから構成されている。
取付板212Aの左右両端部にはそれぞれ、プレート212B,212Bが厚さ方向に対向して設けられており、これらのプレート212B,212Bの間には、縦フレーム211の立設板211Bの端部が挿入されている。
そして、プレート212B,212Bと立設板211Bの端部とを貫通する孔にボルト212Dが挿通され、このボルト212Dおよびナットにより、縦フレーム211と横フレーム212とが連結されている。
これら固定部材213,213の間の横フレーム212略中央部に制振ボックス24が設置されている。固定部材213,213は、制振ボックス24の両端の端板にそれぞれ当接され、ボルトで固定されている。
支持部22,22はそれぞれ、略二等辺三角形状に形成された一対の支持板221,221からなり、それぞれの頂部を振り子部材23の中央部において対向させて設けられている。
これらの支持板221,221の間には、縦フレーム211の立設板211Bが挿入され、支持板221,221は、立設板211Bにボルト221Dによって複数箇所で固定されている。
振り子部材23は、板状でかつ略菱形状に形成され長手方向を上下に向けて配置されており、振り子部材23の中央部の左半分は一方の支持部22の支持板221,221間に挟まれ、右半分は他方の支持部22の支持板221,221間に挟まれている。
また、振り子部材23の中央部には、左右に離間して孔が二つ形成されており、一方の孔は左右に長い長孔となっている。
ここで、振り子部材23に形成された各孔と支持部22,22それぞれの支持板221,221とには、ボルト等の軸部材231,231が振り子部材23を回転可能とするように挿通され、軸部材231,231の端部にはナットが螺合されている。
すなわち、振り子部材23は、軸部材231,231を軸として支持部22,22に支持されており、この振り子部材23は、震動によって支持部22,22が変位した際に、支持部22,22間の略中央部(軸部材231,231間の中央部)を中心として振れるように構成されている。
制振ボックス24は、底無の箱状とされ、横フレーム212,212それぞれにおいて、振り子部材23の端部に対向して設けられている。
制振ボックス24の長辺側板241,241の対向する内面にはそれぞれ、一対の制振ゴム242,242が接着剤等によって固着されている。これら制振ゴム242,242間には、連結プレート243が挿入されており、この連結プレート243の表面は制振ゴム242,242に固着されている。
連結プレート243の端面には、振り子部材23の端部が当接されている。振り子部材23と連結プレート243とは、振り子部材23の端部と連結プレート243の端部とに跨るように設けられたプレート244,244にそれぞれ、ボルトで固定されている。
図4は、断熱シート30の平面図であり、図5は断熱シート30の断面図である。断熱シート30は、グラスウールなどの複数の断熱材31を二枚の金属製フィルム32,33の間に真空引きしてそれぞれ個別に封止密閉して形成されている。
封止部34には、フィルム32,33を貫通し通気可能な複数の透孔341が略等間隔に形成されている。建物の屋内側から屋外側に透過した湿気はこの透孔341を通過して外気に放出される。
ここで、取付部材35は、断熱シート30の封止部34に沿って設けられ、釘342(図2)は封止部34を貫通して面材12に固定される。つまり、断熱材31には釘打ちされていないので、フィルム32,33間の真空状態が維持される。
また、本実施形態では使用してないが、屋内側から屋外側へと通気可能な防水透湿シートを断熱シート30の屋内側に重ね、これら断熱シート30および防水透湿シートを取付部材35で面材12に固定してもよい。これにより、屋内の湿気を屋外側に向けてより確実に放出できる。
また、面材12には胴縁2(図1)が設けられるが、この胴縁2を面材12に固定する際には、フィルム32,33間の真空状態を維持するために、断熱シート30の封止部34に対向する位置で胴縁2を釘等で固定する。あるいは、外壁パネル10の内部に予め下地材などを設けておき、この下地材に対向する位置で胴縁2を面材12に釘等で固定する。
断熱シート40は、透孔341が形成されていない点を除き、断熱シート30と同様の構成とされている。すなわち、断熱シート40は、複数の断熱材31が二枚の金属製フィルム32,33の間に真空引きしてそれぞれ個別に封止密閉されたものであり、格子状の封止部34を有している。
この断熱シート40も、断熱シート30と略同様に、封止部34に添って縦方向に二本略平行に設けられる取付部材45により、面材13の内側に釘342で取り付けられている。
以上説明した外壁パネル10による制振作用について説明する。
地震等の横揺れ震動により、この外壁パネル10を備える建物に変形が生じると、外壁パネル10の外枠芯材11が略平行四辺形状に変形する。これに伴い、制振装置20の枠体21も、横フレーム212,212が左右にずれるように変位して縦フレーム211,211が傾斜し、略平行四辺形状に変形する。
このように枠体21が略平行四辺形状に変形すると、支持部22,22が斜め上下に互いに離間するように変位する。
そして、この支持部22,22の変位により、振り子部材23が支持部22,22間の略中央部を中心として振れる。この振り子部材23の端部において、支持部22,22の変位が増幅される。
また、振り子部材23により、制振ゴム242,242の変形速度が建物の変形速度にから加速されるため、粘弾性材料による制振ゴム242によってより効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
本実施形態の外壁パネル10によれば、次のような効果が得られる。
(1)断熱材31がフィルム32,33間に真空状態で封止された断熱シート30,40は従来の断熱材と比べ薄くできるので、この断熱シート30,40の採用により、断熱性を確保した制振装置20内蔵の外壁パネル10を形成することが可能となった。
ここで、屋外側に配置される断熱シート30が透湿性を有し、かつ屋内側に配置される断熱シート40が防湿性を有することで、外壁パネルとして防露性を実現することができる。
また、格子状に形成された封止部34に沿って断熱シート30の略全体に亘り複数の透孔341が形成されているので、ムラ無く調湿できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されない。本発明の外壁パネルが内蔵する制振装置の枠体、支持部材、振り子部材、制振部材などの形状や位置などは適宜に構成できる。また、真空断熱シートの断熱材、フィルム等の材質、封止部の形状等の構成も適宜構成できる。
また、従来構造の外壁パネルと交換して本発明の外壁パネルを設けることが可能であることから、本発明の外壁パネルの建物への導入は容易であり、建物設計を容易に行える。
さらに、外壁パネルは、制振装置および断熱シートを内部に配設した状態で工場生産可能であるため、外壁パネルの現場施工が容易となる。
さらに、断熱シートの面材への取付態様は、取付部材を用いる前記実施形態に限られるものではなく、例えば接着剤による留め付け、タッカー留め付け等を含む適宜な手段により断熱シートを外壁パネルに内蔵させることが可能である。
またさらに、前記実施形態の外壁パネル10は、制振装置20の枠体21が固定される外枠芯材11を備えていたが、このような外枠芯材を備えずに、制振装置の枠体に直接面材を設けて外壁パネルを構成することも可能である。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
11 外枠芯材
12,13 面材
20 制振装置
21 枠体
22 支持部
23 振り子部材
24 制振ボックス
30,40 断熱シート
31 断熱材
32,33 フィルム
34 封止部
35,45 取付部材
242 制振ゴム(制振部材)
341 透孔
Claims (5)
- 枠体に設けられる一対の支持部、この一対の支持部に支持され前記枠体の震動によって前記支持部が変位した際に当該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成される振り子部材、および前記振り子部材の端部と前記枠体との間に設けられ前記振り子部材の振れを吸収する制振部材を有する制振装置と、
互いに対向するフィルム間に複数の断熱材が個別に真空状態で封止された断熱シートと、
前記枠体の両側に設けられる面材とを備え、
前記断熱シートは、前記面材の少なくとも一方の内側に取り付けられている
ことを特徴とする建物の外壁パネル。 - 請求項1に記載の建物の外壁パネルにおいて、
前記面材の内側には、前記断熱シートにおいて前記断熱材を封止する封止部の少なくとも一部が取り付けられている
ことを特徴とする建物の外壁パネル。 - 請求項2に記載の建物の外壁パネルにおいて、
前記複数の断熱材は、前記断熱シートの平面方向において縦方向および横方向にそれぞれ配列され、
前記封止部は、互いに隣り合う前記断熱材の間に沿って略格子状に形成されている
ことを特徴とする建物の外壁パネル。 - 請求項2または3に記載の建物の外壁パネルにおいて、
前記断熱シートは、前記封止部に沿って設けられる取付部材により、この取付部材と前記面材との間に挟まれた状態で前記面材に取り付けられている
ことを特徴とする建物の外壁パネル。 - 請求項2または3に記載の建物の外壁パネルにおいて、
前記断熱シートは、前記面材のうち少なくとも屋外側に配置される方に配設され、
屋外側に配置される前記面材に配設される前記断熱シートの前記封止部には、前記フィルムを貫通し通気可能な透孔が形成されている
ことを特徴とする建物の外壁パネル。
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