JP4190531B2 - 制震構造、並びに、それに用いる制震パネル及び制震部材 - Google Patents

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Description

本発明は、躯体と面材との間に制震部材が設けられた制震構造、並びに、それに用いる制震パネル及び制震部材に関する。
住宅やビルなどの建物の耐震性を向上させて地震被害を軽減させる方法として、地震時のエネルギーを吸収するダンパーを建物の構造躯体に設置し、建物の振動を小さくさせるというものがある。ビルなどの大型の建物では、油圧ダンパーや鋼製ダンパーが使用されることが一般的であるが、これらのダンパーは、大型であるために変形をさせるのに相当な速度・力が必要であるので、住宅などの小型の建物には適用しにくい。
そこで、住宅などの小型の建物には適用可能な制震構造として、特許文献1には、柱、間柱、梁などの線材と、耐火ボードなど面材との組み合わせにより形成された建物において、柱および間柱と耐火ボードとのなす接合面に粘弾性体を介在させた状態で、これらを固定するようにすることが開示されている。そして、これによれば、変形能力の大きい材料で建築した場合においても優れた制震性能を発揮することが可能である、と記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示された制震構造では、柱、間柱、梁などの線材の躯体に、耐火ボードなど面材の面材を、粘弾性体を介在させてではあるが、直接固定するので、不陸や波打が生じる危険が懸念される。また、この構造は、弾性剛性が小さくて変形能力が大きい木材や鉄骨材で形成された戸建て住宅において、粘弾性体の変形により優れた制震性能を発揮させようとするものであるが、粘弾性体が1mm程度は遊びを有するために小さい地震に対しては粘弾性体の変形によるエネルギー吸収が期待できないという問題がある。
特開2002−61316号公報
本出願の目的は、揺れの大小に関わりなく優れた制震性能を得ることができる制震構造、並びに、それに用いる制震パネル及び制震部材を提供することである。
上記目的を達成する本出願の請求項1に係る発明は、躯体と面材との間に制震部材が設けられた制震構造であって、
上記制震部材は、一方が上記躯体に取り付けられ且つ他方が上記面材に取り付けられ、各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成される一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備え、
上記面材は、各々、該面材の表面側から通されて該面材に係合すると共に上記制震部材における上記制震材が設けられていない部分において面材側の取付材を貫通して躯体側の取付材に達するように設けられた複数の固定具により該制震部材に固定されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された制震構造において、
上記複数の固定具のそれぞれは、上記制震部材を貫通して上記躯体に達するように設けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載された制震構造において、
上記面材の上記躯体に対する対向方向を回転軸方向とした回転を規制する回転規制手段が設けられていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、面材と、該面材の一方の面に設けられた制震部材と、を備えた制震パネルにおいて、
上記制震部材は、一方が上記面材に取り付けられ、各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成される一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、躯体と面材との間に設けられる制震部材であって、
各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成され、一方が躯体に取り付けられ且つ他方が面材に取り付けられ一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、複数の固定具のそれぞれが面材の表面側から通されて面材に係合すると共に制震部材の面材側の取付材を貫通して躯体側の取付材に達するように設けられ、それによって面材が制震部材に固定された構造であるので、固定具が躯体側の取付材に達していることにより揺れに対する初期剛性が高く、従って、小さい地震のように揺れが小さい場合には、制震材の遊びに関係なく、その高い初期剛性により優れた制震性能を得ることができ、一方、大きな地震のように揺れが大きい場合には、固定具が塑性変形するものの、制震材の変形によるエネルギー吸収により優れた制震性能を得ることができる。つまり、揺れの大小に関わりなく優れた制震性能を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、複数の固定具のそれぞれが制震部材を貫通して躯体に達するように設けられているので、初期剛性がより高められる。
請求項3に係る発明によれば、回転規制手段が設けられているので、躯体が変形してもそれに伴う面材の回転が規制され、地震等の場合には、制震材に大きな変形が生じて高いエネルギー吸収性能を発揮し、より高い制震性能を得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、面材と制震部材とが一体となってユニットを構成しているので、これを躯体に取り付けるだけで簡単に制震構造を構成することができ、施工性が高められる。
請求項5に係る発明によれば、複数の制震材が一対の取付材間に相互に間隔をおいて設けられているので、制震材の数や材質の組み合わせによって制震構造の剛性や弾性を自在に調製することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る建物の制震部材10を示す。
この制震部材10は、一対の取付材11とそれらの間に相互に長さ方向に間隔をおいて設けられた複数の制震材12とを備え、例えば、長さ900〜2000mm、幅45〜105mm及び厚さ18〜30mmの細長の長尺板状に形成されている。
一対の取付材11のそれぞれは、例えば、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、木質材料、火山性ガラス質複層材料などの剛性を有する材料により、制震部材10それ自体と同様に長尺板状に形成されている。各取付材11には、内面側に、コの字状の欠損部が長さ方向に一定ピッチで間隔をおいて複数形成されている。一対の取付材11は、重ね合わされるように設けられ、相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部11aが構成されている。各取付材11は、例えば、厚さが、欠損部の部分で3〜30mmであり、その他の部分で12〜50mmである。欠損部は、例えば、長さが30〜150mmである。一対の取付材11は、当接するように設けられていても、また、間隔をおいて設けられていてもよく、従って、両者間の間隙は、例えば、0〜30mmである。
制震材12は、例えば、シリコン系粘弾性体、ジエン系粘弾性体、イソプレンゴム(IR)系粘弾性体、天然ゴム(NR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)やイソプレンゴム(IR)やニトリルゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)等をベースとした高振動減衰性のゴム組成物などの粘弾性を有する材料により、制震材収容部11aに収容可能な平板ブロック状に形成されている。各制震材12は、各制震材収容部11aに設けられており、一方の面が一方の取付材11の欠損部の底面に固定され、他方の面が一方の取付材11の欠損部の底面に固定されている。これらの固定には、例えば、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などが用いられる。各制震材12は、特に、5〜30℃の温度範囲における動的粘弾性特性として、周波数0.1〜10Hzの範囲で、損失正接が0.4以上で且つ貯蔵弾性率が1×10Pa以上であることが好ましい。各制震材12は、例えば、長さが10〜150mm、幅が30〜150mm、及び、厚さが3〜30mmである。なお、各制震材12は、制震材収容部11aよりもやや小さいことが好ましく、特に、制震材収容部11aの側壁との間に若干の隙間が形成される程度の大きさであることが望ましい。
以上のような構成の制震部材10によれば、複数の制震材12が一対の取付材11間に相互に間隔をおいて設けられているので、制震材12の数や材質の組み合わせによって制震構造20の剛性や弾性を自在に調製することができる。
次に、この制震部材10を用いた制震構造20について説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る制震構造20を示す。
この制震構造20は、躯体21に制震部材10を介して面材22である内装下地材、或いは、外装下地材が設けられたものである。
躯体21は、複数の柱21aとそれらの上下それぞれを連結するように掛け渡された梁や桁などの横架材21bとで組み立てられた構成となっており、そして、一対の柱21aと一対の横架材21bとによって、例えば、柱間隔900〜2000mm及び横架材間隔1000〜2000mmの縦長長方形の枠状体が形成されている。
躯体21を構成する柱21a及び横架材21bは、例えば、木製の角材により構成されている。これらは、耐震強度等が考慮されて、形状や断面積、材質が適宜選択される。
面材22を構成する内装下地材や外装下地材は、例えば、合板材料、OSBなどの木質材料、火山性ガラス質複層材料、石膏ボード、珪酸カルシウム板など、壁を構成したときに耐力要素となる程度の高い剪断剛性を有する材料により、躯体21を構成する枠状体を覆うような縦長長方形の板状に形成されている。内装下地材や外装下地材の寸法は、例えば、長さ900〜3000mm、幅900〜1820mm及び厚さ6〜13mmである。
この制震構造20は、躯体21と面材22との間に、各々、上下方向に延びる複数の制震部材10が相互に横方向に間隔をおいて設けられ(図2では、両側端部及び中央部の3つ)、制震部材10が縦胴縁と同様の機能を果たす構造に構成されている。具体的には、各制震部材10は、一方の取付材11が柱21aの前面に当接すると共に他方の取付材11が面材22の裏面に当接し、柱21aと面材22とで厚さ方向に狭持されるように設けられている。そして、面材22の表面側から複数の固定具23が打ち付けられて通され、図3に示すように、それぞれが面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して柱21aに達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10及び躯体21に取付固定されている。固定具23は、面材22に係合する頭部23aとそれに連続して面材22及び制震部材10に通される本体部23bとを備えた例えば釘やビスやピンネイル等で構成されている。また、固定具23は、本体の外径の5〜10倍程度の長さが躯体21に打ち込まれる長さのものが好ましい。なお、固定具23による固定に加えて、例えば、柱21aと制震部材10との間、及び/又は、制震部材10と面材22との間をエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などで接着する接着固定を組み合わせてもよい。また、柱21aと制震部材10との間、及び、/又は、制震部材10と面材22との間に凹凸の嵌合部分を設けたり、摩擦力の大きなシート等を挟み込んでもよい。
このような構成の制震構造20であれば、複数の固定具23のそれぞれが面材22の表面側から通されて面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して躯体21に達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10及び躯体21に固定された構造であるので、固定具23が躯体側の取付材11及び躯体21に達していることにより揺れに対する初期剛性が高く、従って、小さい地震のように揺れが小さい場合には、制震材12の遊びに関係なく、その高い初期剛性により優れた制震性能を得ることができ、一方、大きな地震のように揺れが大きい場合には、固定具23が塑性変形するものの、制震材12の変形によるエネルギー吸収により優れた制震性能を得ることができる。つまり、揺れの大小に関わりなく優れた制震性能を得ることができる。
また、制震部材10が胴縁のように機能するので、面材張り耐力壁の特性を生かした優れた制震効果を実現できることに加えて、面材22が制震部材10に取り付けられるので、躯体21の接合部にホールダウン金物や羽子板ボルト等の補強金物があっても、それらと干渉することなく施工でき、さらに、制震部材10が壁内に埋設された構造ではないので、壁内に断熱材を十分充填することができ、断熱欠損による結露の危険性が低い。
次に、この制震部材10を用いた制震パネル30について説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る制震パネル30を示す。
この制震パネル30は、面材22である内装下地材、或いは、外装下地材の裏面(一方の面)にその側辺に沿って相互に横方向に間隔をおいて並行に延びるように複数の制震部材10が設けられたものである(図4では、両側端部及び中央部の3つ)。そして、各制震部材10は、一方の取付材11がエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより面材22に接着固定されている。
このような構成の制震パネル30によれば、面材22と制震部材10とが一体となってユニットを構成しているので、これを躯体21に取り付けるだけで簡単に上記の制震構造20を構成することができ、施工性が高められる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る建物の制震構造20を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は、実施形態1と同一の符号で示す。
この制震構造20は、躯体21と面材22との間に、各々、横方向に延びる複数の制震部材10が相互に上下方向に間隔をおいて設けられ、制震部材10が横胴縁と同様の機能を果たす構造に構成されている。具体的には、制震部材10には、柱21aの前面間を掛け渡すように横方向に延びて設けられているものと、横架材21bの前面にそれに沿って延びるように設けられたものとがある。前者の制震部材10は、後ろに柱21aのある部分において、一方の取付材11が柱21aに当接すると共に他方の取付材11が面材22の裏面に当接し、柱21aと面材22とで厚さ方向に狭持されるように設けられている。後者の制震部材10は、一方の取付材11が横架材21bに当接すると共に他方の取付材11が面材22の裏面に当接し、横架材21bと面材22とで厚さ方向に狭持されるように設けられている。そして、前者の制震部材10は、後ろに柱21aのある部分において、面材22の表面側から複数の固定具23が打ち付けられて通され、それぞれが面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して柱21aに達するように設けられている。後者の制震部材10は、面材22の表面側から複数の固定具23が打ち付けられて通され、それぞれが面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して横架材21bに達するように設けられている。それらによって面材22が制震部材10及び躯体21に取付固定されている。
制震部材10の構成及びその他の制震構造20の構成は、実施形態1と同一である。
このような構成の制震構造20であれば、複数の固定具23のそれぞれが面材22の表面側から通されて面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して躯体21に達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10及び躯体21に固定された構造であるので、固定具23が躯体側の取付材11及び躯体21に達していることにより揺れに対する初期剛性が高く、従って、小さい地震のように揺れが小さい場合には、制震材12の遊びに関係なく、その高い初期剛性により優れた制震性能を得ることができ、一方、大きな地震のように揺れが大きい場合には、固定具23が塑性変形するものの、制震材12の変形によるエネルギー吸収により優れた制震性能を得ることができる。つまり、揺れの大小に関わりなく優れた制震性能を得ることができる。
なお、上記の制震構造20を構成するために、面材22の裏面に相互に上下方向に間隔をおいて並行に延びるように複数の制震部材10を設けた制震パネルを用いてもよい。
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る建物の制震構造20を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は、実施形態1と同一の符号で示す。
この制震構造20は、躯体21と面材22との間に、各々、横方向に延びる複数の制震部材10が相互に上下方向に間隔をおいて設けられ、制震部材10が横胴縁と同様の機能を果たす構造に構成されている。また、制震部材10は本構造のような横胴縁の構成に限定されず、例えば図2に示すような縦胴縁と同様の機能を果たす構造に構成されていてもよい。
また、この制震構造20は、下側の横架材21bに、制震部材10の下端を受けるように取り付けられた面材受け材24が設けられている。面材受け材24は、横架材21bよりも細い角材により構成されており、これにより面材22の躯体21に対する対向方向を回転軸方向とした回転を規制する。つまり、面材受け材24は、面材22の回転軸方向とした回転を規制する回転規制手段を構成している。
制震部材10の構成及びその他の制震構造20の構成は、実施形態1と同一である。
このような構成の制震構造20であれば、面材受け材24が面材22の躯体21に対する対向方向を回転軸方向とした回転を規制するので、地震等の場合には、制震材12に大きな変形が生じて高いエネルギー吸収性能を発揮し、より高い制震性能を得ることができる。
その他の作用効果は実施形態2と同一である。
なお、上記の制震構造20を構成するために、面材22の裏面に相互に上下方向に間隔をおいて並行に延びるように複数の制震部材10を設けた制震パネルを用いてもよい。
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4に係る建物の制震構造20を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は、実施形態1と同一の符号で示す。
この制震構造20は、躯体21と面材22との間に、各々、上下方向に延びる複数の制震部材10が相互に横方向に間隔をおいて設けられている。具体的には、各制震部材10は、一方の取付材11が柱21aに当接すると共に他方の取付材11が面材22の裏面に当接し、柱21aと面材22とで厚さ方向に狭持されるように設けられている。また、この制震構造20は、横架材21b上にそれに沿って延びるように制震部材10が設けられている。具体的には、制震部材10は、一方の取付材11が横架材21bに当接すると共に他方の取付材11が面材22の裏面に当接し、横架材21bと面材22とで厚さ方向に狭持されるように設けられている。そして、面材22の表面側から複数の固定具23が打ち付けられて通され、それぞれが面材22に係合すると共に制震部材10を貫通して柱21a、或いは、横架材21bに達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10及び躯体21に取付固定されている。
制震部材10の構成及びその他の制震構造20の構成は、実施形態1と同一である。また、作用効果は実施形態2と同一である。
なお、上記の制震構造20を構成するために、面材22の裏面に周縁部にロの字状に複数の制震部材10を設けた制震パネルを用いてもよい。
(実施形態5)
図8は、本発明の実施形態5に係る建物の制震部材10を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は、実施形態1と同一の符号で示す。
この制震部材10は、一対の取付材11とそれらの間に設けられた制震材12とを備え、例えば、長さ900〜2000mm、幅45〜105mm及び厚さ18〜30mmの細長の長尺板状に形成されている。
一対の取付材11のそれぞれは、例えば、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、木質材料、火山性ガラス質複層材料などの剛性を有する材料により、制震部材10それ自体と同様に長尺板状に形成されている。各取付材11は、例えば、厚さが9〜12mmである。
制震材12は、例えば、シリコン系粘弾性体、ジエン系粘弾性体、イソプレンゴム(IR)系粘弾性体、天然ゴム(NR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)やイソプレンゴム(IR)やニトリルゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)等をベースとした高振動減衰性のゴム組成物などの粘弾性を有する材料により、取付材11と同幅の長尺板状に形成されている。制震材12は、特に、5〜30℃の温度範囲における動的粘弾性特性として、周波数0.1〜10Hzの範囲で、損失正接が0.4以上で且つ貯蔵弾性率が1×10Pa以上であることが好ましい。制震材12は、例えば、厚さが3〜15mmである。
一対の取付材11のそれぞれと制震材12とは、例えば、エポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などにより接着されている。
この制震部材10を用いても、例えば図9に示すような実施形態1〜4に示すのと同様の制震構造20や制震パネル30を構成することができる。
(実施形態6)
図10は、本発明の実施形態6に係る建物の制震構造20を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は、実施形態1と同一の符号で示す。
この制震構造20は、制震部材10が実施形態5のものと同タイプのものであるが、面材取付側の取付材(一方の取付材)11よりも躯体取付側の取付材(他方の取付材)11の方が厚肉に形成されている。制震部材10は、面材取付側の取付材11の表面が柱21aの前面と面一となり且つ柱21aの側面に沿って上下方向に延びるように設けられ、厚肉の躯体取付側の取付材11の側面から固定具26が打ち付けられて柱21aに取付固定されている。そして、面材22は、柱21aの前面及び面材取付側の取付材11の表面に裏面が当接するように設けられ、表面側から複数の固定具23が打ち付けられて通され、それぞれが面材22に係合すると共に制震部材10の面材取付側の取付材11を貫通して躯体取付側の取付材11に達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10に取付固定されている。
その他の制震部材10の構成は実施形態5と同一であり、その他の制震構造20の構成は実施形態1と同一である。
このような構成の制震構造20であれば、複数の固定具23のそれぞれが面材22の表面側から通されて面材22に係合すると共に制震部材10の面材側の取付材11を貫通して躯体側の取付材11に達するように設けられ、それによって面材22が制震部材10に固定された構造であるので、固定具23が躯体側の取付材11に達していることにより揺れに対する初期剛性が高く、従って、小さい地震のように揺れが小さい場合には、制震材12の遊びに関係なく、その高い初期剛性により優れた制震性能を得ることができ、一方、大きな地震のように揺れが大きい場合には、固定具23が塑性変形するものの、制震材12の変形によるエネルギー吸収により優れた制震性能を得ることができる。つまり、揺れの大小に関わりなく優れた制震性能を得ることができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び4では、柱21aや横架材21bの前面に制震部材10が設けられ、柱21aや横架材21bが面材22で覆われた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、図11に示すように、柱21aの側面に沿って上下方向に延びるように設けられた角材状の部材受け材25がその側面から固定具26が打ち付けられて柱21aに取付固定され、制震部材10がその部材受け材25に取付固定され、それによって柱21aや横架材21bが露出した真壁納め構造を構成するようにしてもよい。
同様に、上記実施形態6では、柱21aの前面に面材22が重なる構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、図12に示すように、面材取付側の取付材11の表面が柱21aの前面よりも後方となり且つ柱21aの側面に沿って上下方向に延びるように制震部材10が設けられると共に、制震部材10の表面が面材22の裏面の側端部に当接するように面材22が設けられ、それによって柱21aが露出した真壁納め構造を構成するようにしてもよい。
また、実施形態6では、実施形態5と同タイプの制震部材10を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、実施形態1と同タイプの制震部材10を用いてもよい。
なお、実施形態6では、制震部材10に固定具23を打ち付けた構造としたが、図13に示すように、制震部材10を面材22に接着すると共に、面材22に直接的に柱21aに当接させて固定具27を打ち付けて固定した構造であっても同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、躯体と面材との間に制震部材が設けられた制震構造、並びに、それに用いる制震パネル及び制震部材について有用である。
実施形態1の制震部材を示す斜視図である。 実施形態1の制震構造を示す斜視図である。 実施形態1の制震構造を示す部分断面図である。 実施形態1の制震パネルを示す斜視図である。 実施形態2の制震構造を示す斜視図である。 実施形態3の制震構造を示す斜視図である。 実施形態4の制震構造を示す斜視図である。 実施形態5の制震部材を示す斜視図である。 実施形態5の制震構造を示す部分断面図である。 実施形態6の制震構造を示す斜視図である。 実施形態1及び4の変形例の制震構造を示す部分断面図である。 実施形態6の変形例の制震構造を示す部分断面図である。 参考例の制震構造を示す部分断面図である。
符号の説明
10 制震部材
11 取付材
12 制震材
20 制震構造
21 躯体
22 面材
23 固定具
24 面材受け材
30 制震パネル

Claims (5)

  1. 躯体と面材との間に制震部材が設けられた制震構造であって、
    上記制震部材は、一方が上記躯体に取り付けられ且つ他方が上記面材に取り付けられ、各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成される一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備え、
    上記面材は、各々、該面材の表面側から通されて該面材に係合すると共に上記制震部材における上記制震材が設けられていない部分において面材側の取付材を貫通して躯体側の取付材に達するように設けられた複数の固定具により該制震部材に固定されていることを特徴とする制震構造。
  2. 請求項1に記載された制震構造において、
    上記複数の固定具のそれぞれは、上記制震部材を貫通して上記躯体に達するように設けられていることを特徴とする制震構造。
  3. 請求項1又は2に記載された制震構造において、
    上記面材の上記躯体に対する対向方向を回転軸方向とした回転を規制する回転規制手段が設けられていることを特徴とする制震構造。
  4. 面材と、該面材の一方の面に設けられた制震部材と、を備えた制震パネルにおいて、
    上記制震部材は、一方が上記面材に取り付けられ、各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成される一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備えたことを特徴とする制震パネル。
  5. 躯体と面材との間に設けられる制震部材であって、
    各々、剛性を有する材料で長尺に形成されていると共に、内面側に欠損部が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、重ね合わされるように設けられることにより相互に対向する一対の欠損部により制震材収容部が構成され、一方が躯体に取り付けられ且つ他方が面材に取り付けられ一対の取付材と、該一対の取付材間における各制震材収容部に設けられた粘弾性を有する材料で形成された制震材と、を備えたことを特徴とする制震部材。
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