JP2008125474A - うるおい感のあるチューインガム - Google Patents
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Abstract
【課題】水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感のチューイングガムを提供すること。
【解決手段】ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとガムベースとを含むチューインガムであって、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数が14〜18である、チューインガム。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルのHLB値が7〜11である。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルはジグリセリン脂肪酸モノエステルである。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、ジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートである。
【選択図】なし
【解決手段】ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとガムベースとを含むチューインガムであって、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数が14〜18である、チューインガム。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルのHLB値が7〜11である。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルはジグリセリン脂肪酸モノエステルである。好ましくは、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、ジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートである。
【選択図】なし
Description
本発明は、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感のガムを提供することを目的とする。
チューインガムは、主として噛み心地を味わう菓子である。従来、さまざまな特性を有するチューインガムが開発されている。チューインガムの基剤はガムベースである。一般にガムベースは特有の粘弾性を有し、歯などの表面に付着しやすい。特に、入れ歯などの義歯には付着しやすい。そのため、義歯を使用している人はチューインガムを十分に楽しむことができなかった。また、チューインガムの噛みかすが道路、床などに捨てられて付着した後に乾燥すると、道路、床などから剥離することが極めて困難になる。チューインガムの投げ捨ては、駅構内などの公共施設で頻発しており、美観を損ねるために社会的問題がある。そのため、過度の付着性を防止するために種々の方法のチューインガムが検討された。なお、本明細書中では、チューインガムを単に「ガム」という場合もある。
特許文献1(特許2747533号公報)は、弾性体を32〜45重量%、ワックス類を7〜20重量%、乳化剤を12〜20重量%含有してなるガムベースが配合されている非付着性チューインガムを記載している。特許文献1は特に、義歯、床材などへの付着防止効果に優れており、かつ、風味およびその持続性、ならびに食感、生産性の良好な非付着性チューインガムを提供することを目的としている。特許文献1に記載のガムベース配合は、非付着性を優先させているため、弾性体の配合量が多い。そのため、この配合のガムベースを用いて得られるチューインガムは、ゴム感の強過ぎる食感になり、好ましくない。また、弾性体の配合量が多いと、特に咀嚼前半の香味の発現が遅くなり、嗜好の面で劣る。このように、特許文献1のチューインガムは、ガムベースの配合に制約がある。
特許文献2(特許2747534号公報)は、弾性体を5.5〜9.5重量%、ワックス類を46〜50重量%、乳化剤を12〜20重量%含有してなるガムベースが配合されている非付着性チューインガムを記載している。特許文献2は特に、義歯、床材などへの付着防止効果に優れており、かつ、生産性の良好な非付着性チューインガムを提供することを目的としている。特許文献2に記載のガムベース配合は、非付着性を優先させているため、融点の高いワックス類の配合量が多い。そのため、この配合のガムベースを用いて得られるチューインガムは、可塑感が強く、その上、噛み初めが非常に硬い食感になり、好ましくない。弾性体の配合量が少ないと、特に咀嚼前半の香味の発現は良いが、味の持続性に乏しくなり、嗜好の面で劣る。このように、特許文献2のチューインガムは、ガムベースの配合に制約がある。
特許文献3(特許2747535号公報)は、チューインガムベース組成物中に弾性体を32〜45重量%、ワックス類を7〜20重量%、乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルを1〜10重量%含有されている非付着性チューインガムを記載している。特許文献3は特に、義歯、床材などへの付着防止効果に優れており、かつ、風味およびその持続性、ならびに食感、生産性の良好な非付着性チューインガムを提供することを目的としている。特許文献3に記載のガムベース配合は、非付着性を優先させているため、弾性体の配合量が多い。そのため、この配合のガムベースを用いて得られるチューインガムは、ゴム感の強過ぎる食感になり、好ましくない。また、弾性体の配合量が多いと、特に咀嚼前半の香味の発現が遅くなり、嗜好の面で劣る。このように、特許文献3のチューインガムは、ガムベースの配合に制約がある。
特許文献4(特許3660522号公報)は、充填剤として炭酸カルシウムまたはタルクを含有すると共に乳化剤としてHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを含有するチューインガムを記載している。特許文献4に記載のチューインガムでは、多量の充填剤(タルクもしくは炭酸カルシウム)を配合することにより床面への付着軽減効果を獲得しており、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを配合することにより、充填剤に起因する食感を改善している。特許文献4に記載のチューインガムは、充填剤に起因するザラツキ感は緩和されるものの、充填剤の配合量が多いため、噛み初めが硬く、その後柔らかく可塑的な食感が強くなり、ふくよかで良好な食感はない。HLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを添加しても、このチューインガムは、多量の充填剤を配合することによって大きく損なわれた、ガムで望まれるふくよかな食感はごくわずかしか補われない。充填剤の配合量が多いと、水分の保持量は低下し、望まれるふくよかな食感は得られない。
特許文献5(特開2004−285228号公報)は、構成脂肪酸の総炭素数が56以上であって、かつ炭素数20以上の飽和脂肪酸が1〜2分子、炭素数18の飽和脂肪酸が0〜1分子、炭素数18以上でかつ二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸が1分子からなる、2飽和−1飽和不飽和トリグリセリドを油脂中に20%以上含むチューイング性付与剤を記載している。特許文献5に記載されるチューイング性付与剤は可食素材であってチューイング性を有するものであるが、このチューイング性付与剤によって付与される食感は、現在のチューインガムの食感と比べ極めて劣る。
特許文献6(特表平3−502166号公報)は、チューインガム基材、風味および風味強化量の乳化剤を含み、この乳化剤が約7より大きいHLB値を有するチューインガムを記載している。表1の試料2には、HLB値7のトリグリセロールモノステアラートを配合したチューインガムが記載されている。試料2のチューインガムは、試料1のチューインガムと比較して速い風味遊離およびわずかに長い風味持続を有すると記載されている。また、特許文献6には、乳化剤は好ましくは約10〜約14のHLB値を有すると記載されている。HLB値の高い乳化剤を配合すると、噛み心地は、柔らかくなりすぎる。HLB値の高い乳化剤を配合するとまた、製造後の吸湿性が強くなるため、ガム表面が湿ってしまうことが起きる危険性がある。
特許文献7(特許3301589号公報)は、重合度2〜10のポリグリセリンと、炭素数が16以上の飽和脂肪酸と炭素数16以上のモノエン酸である不飽和脂肪酸を含む混合脂肪酸とのエステル化生成物において、混合脂肪酸中の飽和脂肪酸のモル化率が40%以上であり、かつ飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸のモル化率が10:2.5〜2.3であって、ポリグリセリンのエステル化率が50%〜90%であるガム用ワックス様組成物を記載している。ガム用ワックス様組成物はワックス代替物である。特許文献7に記載されるガム用ワックス様組成物では、乳化剤のような水を抱き込む効果は得られない。また、望まれるふくよかな食感も得られない。
特許文献8(特開平8−308500号公報)は、グリセリンおよびジグリセリンの含有率の和が10%以下であるポリグリセリンをエステル化してなるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するチューインガムを記載している。特許文献8は、チューインガムへの油性香料の使用量を減らすと共に、香味の持続性を向上したチューインガム様油性香料製剤を提供することを目的としている。特許文献8は試験例6において、ジグリセリンモノオレート(HLB7)を30%含有する香料製剤を0.33重量%添加したチューインガムを開示している。特許文献8で用いているジグリセリン脂肪酸モノオレートの純度が80%であったとした場合においても、乳化剤としての添加量が0.11%(実効濃度0.09%)では、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地のよい食感のチューインガムが得られない。本発明の効果は、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを有効な量以上添加することによりはじめて顕著な効果として発揮されるものである。
通常のガムでは、HLB値の低い乳化剤を粘度低下の目的で、および酢酸ビニル樹脂の可塑剤として使用する。通常のガムで使用される乳化剤は、蒸留モノグリセリド、有機酸モノグリセリド等の安価なものであり、高価な乳化剤である蒸留ジグリセリンエステルは一般的に使用されない。
特許2747533号公報
特許2747534号公報
特許2747535号公報
特許3660522号公報
特開2004−285228号公報
特表平3−502166号公報
特許3301589号公報
特開平8−308500号公報
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感のチューイングガムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル(特に、蒸留ジグリセリンエステル)を配合することにより、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感のガムベースが得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
上記課題を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
項目1.ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルと、ガムベースとを含むチューインガムであって、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数が14〜18である、チューインガム。
項目1.ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルと、ガムベースとを含むチューインガムであって、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数が14〜18である、チューインガム。
項目2.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルのHLB値が7〜11である、項目1に記載のチューインガム。
項目3.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリン脂肪酸モノエステルである、項目1に記載のチューインガム。
項目4.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリンモノミリステートである、項目1に記載のチューインガム。
項目5.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリンモノオレートである、項目1に記載のチューインガム。
項目6.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が、ガムベース100重量部に対して0.56重量部〜1.39重量部である、項目1に記載のチューインガム。
項目7.前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルが、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物として配合されたものであり、該ポリグリセリンモノエステル含有組成物中の該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が70重量%以上である、項目1に記載のチューインガム。
ガムベースにポリグリセリン脂肪酸モノエステル(好ましくは蒸留ジグリセリンエステル、より好ましくはジグリセンリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレート)を配合することで、従来のガムベースより水分(唾液)をより多く抱き込んで、よりふくよかな食感でうるおい感のあるガムベースを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1.チューインガムの材料)
本発明のチューインガムは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含む。
本発明のチューインガムは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含む。
(1.1 ポリグリセリン脂肪酸モノエステル)
本明細書中では、「ポリグリセリン脂肪酸モノエステル」とは、ポリグリセリンと1分子の脂肪酸とがエステル結合することにより形成される化合物をいう。ポリグリセリンとは、グリセリンを脱水縮合するなどして得られる重合度2以上の化合物をいう。本明細書中では、「ポリグリセリン脂肪酸モノエステル」とは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルのみからなるものをいう。このとき、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、1種類のポリグリセリン脂肪酸モノエステルであっても、複数種類のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの混合物であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは単独で用いられてもよく、複数種類組み合わせて用いられてもよい。同様に、「ポリグリセリンモノミリステート」とは、ポリグリセリンモノミリステートのみからなる化合物をいい;「ポリグリセリンモノオレート」とは、ポリグリセリンモノオレートのみからなる化合物をいい;「ポリグリセリンモノステアレート」とは、ポリグリセリンモノステアレートのみからなる化合物をいう。他のポリグリセリン脂肪酸モノエステルについても同様に考えられる。
本明細書中では、「ポリグリセリン脂肪酸モノエステル」とは、ポリグリセリンと1分子の脂肪酸とがエステル結合することにより形成される化合物をいう。ポリグリセリンとは、グリセリンを脱水縮合するなどして得られる重合度2以上の化合物をいう。本明細書中では、「ポリグリセリン脂肪酸モノエステル」とは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルのみからなるものをいう。このとき、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、1種類のポリグリセリン脂肪酸モノエステルであっても、複数種類のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの混合物であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは単独で用いられてもよく、複数種類組み合わせて用いられてもよい。同様に、「ポリグリセリンモノミリステート」とは、ポリグリセリンモノミリステートのみからなる化合物をいい;「ポリグリセリンモノオレート」とは、ポリグリセリンモノオレートのみからなる化合物をいい;「ポリグリセリンモノステアレート」とは、ポリグリセリンモノステアレートのみからなる化合物をいう。他のポリグリセリン脂肪酸モノエステルについても同様に考えられる。
本明細書中では、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルに加えて、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル以外の化合物を含む組成物を、「ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物」という。工業的製造プロセスでは通常、他のエステルが混入する。このような他のエステルが混入した製品をポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物として用いることができる。同様に、「ポリグリセリンモノミリステート含有組成物」とは、ポリグリセリンモノミリステートに加えて、ポリグリセリンモノミリステート以外の化合物を含む組成物をいい;「ポリグリセリンモノオレート含有組成物」とは、ポリグリセリンモノオレートに加えて、ポリグリセリンモノオレート以外の化合物を含む組成物をいい;「ポリグリセリンモノステアレート含有組成物」とは、ポリグリセリンモノステアレートに加えて、ポリグリセリンモノステアレート以外の化合物を含む組成物をいう。他のポリグリセリン脂肪酸モノエステルについても同様に考えられる。
ポリグリセリンの重合度は好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、いっそう好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。常法ではしばしば、ポリグリセリンは、種々の重合度のポリグリセリンの混合物として得られる。そのため、通常市販されるポリグリセリンは、グリセリンと種々の重合度のグリセリン重合体との混合物である。このような混合物は、分類上水酸基価から得られる平均重合度により、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等の名称で市販されることが多い。本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸モノエステルを製造するためには、実質的に純粋なポリグリセリンを用いることが好ましい。ポリグリセリンは、常法によりグリセリンから製造され得る。本発明のポリグリセリンは、例えば、グリセリンを苛性ソーダなどのアルカリ触媒の存在下、高温条件下にて重合し、脱臭、脱色等の精製をすることにより製造され得る。あるいは、グリシドール、エピクロロヒドリン、グリセリンとエピクロロヒドリン、モノクロロヒドリン、ジクロロヒドリンまたはグリシドールを原料として化学合成して得られた反応物を脱臭、脱色することにより製造され得る。さらに分子蒸留、RO膜、クロマトグラフィー処理などの精製を行ってもよい。
ポリグリセリンと反応させる脂肪酸は、脂肪族モノカルボン酸であっても脂肪族ジカルボン酸であってもよい。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸である。脂肪酸は、任意の炭素数の脂肪酸であり得る。脂肪酸の炭素数は好ましくは、14以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは17以上である。脂肪酸の炭素数は好ましくは18以下である。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸という。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C30:0)などが挙げられる。飽和脂肪酸は好ましくは、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキジン酸(C20:0)およびベヘン酸(C22:0)からなる群より選択される。二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。不飽和脂肪酸は好ましくは、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)およびγ−リノレン酸(C18:3)からなる群より選択される。脂肪酸は好ましくはミリスチン酸(C14:0)またはオレイン酸(C18:1)である。
ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とを公知の方法によってエステル化した後、精製を行うことにより製造され得る。例えば、アルカリ触媒下、酸触媒下、または無触媒下にて、常圧もしくは減圧下においてエステル化が行われ得る。このような方法では通常、目的とするポリグリセリン脂肪酸モノエステル以外のエステルが混入するので、このような方法で得られるものは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物である。
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸モノエステルまたはポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、原料となるポリグリセリンの重合度、脂肪酸の種類等によって種々のHLB値のものであり得る。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルまたはポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物のHLB値は好ましくは7以上である。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルまたはポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物のHLB値は好ましくは11以下であり、より好ましくは10以下であり、最も好ましくは9以下である。
本明細書中で用いられる場合、「HLB値」とは、親水性疎水性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)をいい、一般に、20×MH/Mにより計算され、ここで、MH=親水基部分の分子量であり、M=分子全体の分子量である。HLB値は、分子中の親水基の量が0%のとき0であり、100%のとき20である。HLB値は、乳化剤では乳化剤分子を形成する親水性および疎水性の基の大きさと強さを表し、疎水性の高い乳化剤はHLB値が小さく、親水性の高い乳化剤はHLB値が大きい。
本発明のチューインガムの製造においては、純粋なポリグリセリン脂肪酸モノエステルを用いてもよく、あるいは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物を用いてもよい。ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、なるべく純度の高いものであることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、好ましくは、高純度ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物である。高純度ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物とは、分子蒸留法によってポリグリセリン脂肪酸モノエステルの高純度化を行ったものであって、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを70重量%以上の高純度に濃縮したものである。当該分野では、分子蒸留法によってポリグリセリン脂肪酸モノエステルの高純度化を行ったポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物を、「蒸留ジグリセリンエステル」ともいう。同様に、高純度ポリグリセリンモノミリステート含有組成物とは、分子蒸留法によってポリグリセリンモノミリステートの高純度化を行ったものであって、ポリグリセリンモノミリステートを70重量%以上の高純度に濃縮したものであり;高純度ポリグリセリンモノオレート含有組成物とは、分子蒸留法によってポリグリセリンモノオレートの高純度化を行ったものであって、ポリグリセリンモノオレートを70重量%以上の高純度に濃縮したものであり;高純度ポリグリセリンモノステアレート含有組成物とは、分子蒸留法によってポリグリセリンモノステアレートの高純度化を行ったものであって、ポリグリセリンモノステアレートを70重量%以上の高純度に濃縮したものである。
未精製のポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物(当該分野では一般に、ポリグリセリン脂肪酸エステルと呼ばれる)には、目的のポリグリセリン脂肪酸モノエステル以外の他のポリグリセリン脂肪酸エステルなどが多量に含まれているため、性能に悪影響を及ぼすので、本発明の効果が得られない場合がある。高純度ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、目的のポリグリセリン脂肪酸モノエステル以外の他のポリグリセリン脂肪酸エステルなどを多少は含むが、目的のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの純度が上がっており、本発明の効果が好適に得られる。本発明では、高純度ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物を使用することが好ましい。本発明においては、純粋なポリグリセリン脂肪酸モノエステルを使用することが好ましいが、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物を使用する場合、この組成物中での、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は、100重量%であることが好ましいが、工業的生産設備の精製技術の問題のために一般には約99重量%以下または約95重量%以下となる。ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物中のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は、該ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物100重量%のうち、好ましくは約50重量%以上であり、より好ましくは約55重量%以上であり、さらに好ましくは約60重量%以上であり、いっそう好ましくは約65重量%以上であり、ひときわ好ましくは約70重量%以上であり、きわめて好ましくは約80重量%以上であり、最も好ましくは約90重量%以上である。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、好ましくはジグリセリン脂肪酸モノエステルであり、水分量20%にて温度37℃のときにラメラ形の構造をとるジグリセリン脂肪酸モノエステルである。ここで、乳化剤−水の相図について説明する。乳化剤の濃度と温度による状態の変化を示したものを相図という。モノグリセリドの相図については、1965年にE.S.LuttonJ.Am.Oil Chem.Soc.42,1068(1965)が初めて発表した後、各種乳化剤について報告されている。ジグリセリン脂肪酸モノエステルの相図の例を図1に示す(月刊フードケミカル、2001年、2月、P39−44)。C14はミリステートを、C16はパルミテートを、C18はステアレートを、C18:1はオレートを示す。水分量20%にて温度37℃の点では、C14およびC18:1はラメラ形をとり、C16およびC18はβ結晶+水の形態をとる。水分量20%にて温度37℃という条件は、口中でのガムの条件に近い。理論は明らかではないが、この口中でラメラ形の構造をとることにより、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感をガムに与えるのに役立つと考えられる。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、好ましくは、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノオレートまたはジグリセリンモノステアレートである。もちろん、これらの化合物を含む組成物の形態で用いられてもよい。本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、より好ましくは、蒸留ジグリセリンモノミリステート、蒸留ジグリセリンモノオレートまたは蒸留ジグリセリンモノステアレートである。蒸留ジグリセリンモノミリステートは、理研ビタミン株式会社から製品名ポエムDM−100として販売されている。蒸留ジグリセリンモノミリステートは、高純度ジグリセリンモノミリステート含有組成物の一種である。蒸留ジグリセリンモノオレートは、理研ビタミン株式会社から製品名ポエムDO−100Vとして販売されている。蒸留ジグリセリンモノオレートは、高純度ジグリセリンモノオレート含有組成物の一種である。蒸留ジグリセリンモノステアレートは、理研ビタミン株式会社から製品名ポエムDS−100Aとして販売されている。蒸留ジグリセリンモノステアレートは、高純度ジグリセリンモノステアレート含有組成物の一種である。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物は、最も好ましくは実質的に純粋なジグリセリンモノミリステート含有組成物、実質的に純粋なジグリセリンモノオレート含有組成物または実質的に純粋なジグリセリンモノステアレート含有組成物である。「実質的に純粋な」とは、純度が70重量%以上のものをいう。本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物中のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの純度は、好ましくは約70重量%以上であり、より好ましくは約75重量%以上であり、さらに好ましくは約80重量%以上であり、より好ましくは約85重量%以上であり、より好ましくは約90重量%以上であり、より好ましくは約95重量%以上であり、より好ましくは約96重量%以上であり、より好ましくは約97重量%以上であり、より好ましくは約98重量%以上であり、より好ましくは約99重量%以上であり、最も好ましくは約100重量%である。
チューインガム中のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量は、ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量であり、好ましくはガムベース100重量部に対して約0.7重量部以上であり、より好ましくはガムベース100重量部に対して約0.8重量部以上であり、最も好ましくはガムベース100重量部に対して約1.2重量部以上である。チューインガム中のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量は、好ましくはガムベース100重量部に対して約4.7重量部以下であり、いっそう好ましくはガムベース100重量部に対して約2.4重量部以下であり、ひときわ好ましくはガムベース100重量部に対して約2.2重量部以下であり、極めて好ましくはガムベース100重量部に対して約2.0重量部以下であり、特に好ましくはガムベース100重量部に対して約1.6重量部以下であり、特に好ましくはガムベース100重量部に対して約1.39重量部以下であり、最も好ましくはガムベース100重量部に対して約1.22重量部以下である。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量が少なすぎると目的とする効果が発揮されにくい場合があり、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量が多すぎるとチューインガムが過度に柔らかくなってしまう場合がある。
本明細書中では、「ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量」とは、チューインガムを10分間咀嚼することによって官能評価した場合に、ふくよかさに優れており、潤い感があり、噛み心地がよいガムが得られる量をいう。このような量は、官能評価を行うことにより、当業者によって適切に設定され得る。
(1.2 ガムベース材料)
本発明のチューインガムには、当該分野で公知の任意のガムベース材料を用いることができる。ガムベースの材料としては、エステルガム、グリセリン脂肪酸エステル、タルク等の無機質(鉱物性)、ポリイソブチレン、ポリブテン、リン酸カルシウム類、酢酸ビニル樹脂、炭酸カルシウム、植物性ゴム含有樹脂(グアユーレ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、ゴム、ジェルトン、ソルバ、ソルビンハ、チクル、チルテ、ツヌー、ニガーグッタ、バラタ、ベネズエラチクル、マッサランドバチョコレート、マッサランドババラタ、レッチュデバカ、ロジディンハ等)、植物性ゴム非含有樹脂(エレミ樹脂、オポパナックス樹脂、カウリガム、グアヤク樹脂、コーパル樹脂、コパイババルサム、サンダラック樹脂、ダンマル樹脂、ニュウコウ、ファーバルサム、ベンゾインガム、マスチック、ミルラ、ロシン等)、動物性樹脂(シェラック等)、植物性ワックス(ウルシロウ、オウリキュウリロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、ホホバロウ、モクロウ、油糧種子ロウ等)、動物性ワックス(ゲイロウ、シェラックロウ、ミツロウ、ラノリン等)、鉱物性ワックス(オゾケライト、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンロウ等)等を例示することができる。なお、上記に掲げる各種のガムベース材料は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明のチューインガムには、当該分野で公知の任意のガムベース材料を用いることができる。ガムベースの材料としては、エステルガム、グリセリン脂肪酸エステル、タルク等の無機質(鉱物性)、ポリイソブチレン、ポリブテン、リン酸カルシウム類、酢酸ビニル樹脂、炭酸カルシウム、植物性ゴム含有樹脂(グアユーレ、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、ゴム、ジェルトン、ソルバ、ソルビンハ、チクル、チルテ、ツヌー、ニガーグッタ、バラタ、ベネズエラチクル、マッサランドバチョコレート、マッサランドババラタ、レッチュデバカ、ロジディンハ等)、植物性ゴム非含有樹脂(エレミ樹脂、オポパナックス樹脂、カウリガム、グアヤク樹脂、コーパル樹脂、コパイババルサム、サンダラック樹脂、ダンマル樹脂、ニュウコウ、ファーバルサム、ベンゾインガム、マスチック、ミルラ、ロシン等)、動物性樹脂(シェラック等)、植物性ワックス(ウルシロウ、オウリキュウリロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、ホホバロウ、モクロウ、油糧種子ロウ等)、動物性ワックス(ゲイロウ、シェラックロウ、ミツロウ、ラノリン等)、鉱物性ワックス(オゾケライト、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンロウ等)等を例示することができる。なお、上記に掲げる各種のガムベース材料は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
一般に用いられるガムベースの組成の例を以下の表1に示す。
チューインガム中のガムベースの量は、好ましくは約10重量%以上であり、より好ましくは約15重量%以上であり、最も好ましくは約20重量%以上である。チューインガム中のガムベースの量は、好ましくは約45重量%以下であり、より好ましくは約40重量%以下であり、さらに好ましくは約35重量%以下であり、特に好ましくは約30重量%以下であり、最も好ましくは約25重量%以下である。ガムベースの量が少なすぎるとチューインガムに適度な噛み心地が得られない場合があり、ガムベースの量が多すぎるとチューインガムが過度に堅くなったり、ボリュームがありすぎて適度な噛み心地が得られない場合がある。
(1.3 甘味料)
本発明のチューインガムでは、当該分野で公知の任意の甘味料を用い得る。本明細書では、「甘味料」とは、糖類を含んでいて良く、その例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、高甘味度甘味料を挙げることができる。具体的には、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、異性化糖、N−アセチルグルコサミンなどの単糖類;イソトレハロース、スクロース、トレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、マルトース、ラクチュロース、ラクトース等の二糖類;α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、イソマルオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース等)、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル(β1−3)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−3)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオース等)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース等)、スタキオース、テアンデオリゴ、ニゲロオリゴ糖(ニゲロース等)、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フコース、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストース等)、フラクトフラノシルニストース、ポリデキストロース、マルトシルβ−サイクロデキストリン、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオース等)、ラフィノース、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴等のオリゴ糖類;イソマルチトール、エリスリトール、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、パラチニット、マルチトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マンニトール、ラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴等の糖アルコール;α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウ茶抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ等の高甘味度甘味料;その他蜂蜜、果汁、果汁濃縮物等を例示することができる。これらの甘味料は1種単独で使用されても2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明のチューインガムでは、当該分野で公知の任意の甘味料を用い得る。本明細書では、「甘味料」とは、糖類を含んでいて良く、その例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、高甘味度甘味料を挙げることができる。具体的には、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、異性化糖、N−アセチルグルコサミンなどの単糖類;イソトレハロース、スクロース、トレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、マルトース、ラクチュロース、ラクトース等の二糖類;α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、イソマルオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース等)、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル(β1−3)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−3)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオース等)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース等)、スタキオース、テアンデオリゴ、ニゲロオリゴ糖(ニゲロース等)、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フコース、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストース等)、フラクトフラノシルニストース、ポリデキストロース、マルトシルβ−サイクロデキストリン、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオース等)、ラフィノース、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴等のオリゴ糖類;イソマルチトール、エリスリトール、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、パラチニット、マルチトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マンニトール、ラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴等の糖アルコール;α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウ茶抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ等の高甘味度甘味料;その他蜂蜜、果汁、果汁濃縮物等を例示することができる。これらの甘味料は1種単独で使用されても2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明のチューインガムで用いられる甘味料はこれらに限定されず、必要に応じて適宜選択され得る。
チューインガム中の甘味料の量は、好ましくは約10重量%以上であり、最も好ましくは約25重量%以上である。チューインガム中の甘味料の量は、好ましくは約90重量%以下であり、最も好ましくは約80重量%以下である。甘味料の量が少なすぎるとチューインガムに適度な甘みが得られない場合があり、甘味料の量が多すぎると相対的にガムベースの量が減り、目的とする潤い感のあるチューインガムが得られない場合がある。
(1.4 他の材料)
本発明のチューインガムは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの乳化作用に悪影響を与えない限り、必要に応じて、チューインガムの通常の材料を含み得る。チューインガムの他の材料としては、香料、着色料、酸味料、軟化剤などが挙げられる。これらの材料は当該分野で周知である。
本発明のチューインガムは、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの乳化作用に悪影響を与えない限り、必要に応じて、チューインガムの通常の材料を含み得る。チューインガムの他の材料としては、香料、着色料、酸味料、軟化剤などが挙げられる。これらの材料は当該分野で周知である。
(2.チューインガムの製造法)
本発明のチューインガムは、当該分野で公知の任意のガム製造法に従って製造され得る。チューインガムは、例えば、ガムミキサーに原料を投入して(例えば、約40分間)混合および練成し、エキストルーダーに移して(例えば、厚さ約30mm、幅約430mmに)押出し、圧延ロールで(例えば、厚さ1.5mmに)圧延し、クーリングトンネルで冷却し、カッターロールで(例えば、長さ約46mmのシートに)裁断することにより製造され得る。あるいは、チューインガムは、ガムベース原料をニーダーに投入し、(例えば、約110℃〜約130℃で)完全に溶解混合するまで十分に練ることによりガムベースを製造し、十分に練られたガムベースをガムミキサーに移し、水飴などを加えて均一に混合した後、他の甘味料、香料などを加えさらに混合してチューインガムに仕上げ、これをエキストルーダーに移して(例えば、厚さ約30mm、幅約430mmに)押出し、圧延ロールで(例えば、厚さ1.5mmに)圧延し、クーリングトンネルで冷却し、カッターロールで(例えば、長さ約46mmのシートに)裁断することにより製造され得る。
本発明のチューインガムは、当該分野で公知の任意のガム製造法に従って製造され得る。チューインガムは、例えば、ガムミキサーに原料を投入して(例えば、約40分間)混合および練成し、エキストルーダーに移して(例えば、厚さ約30mm、幅約430mmに)押出し、圧延ロールで(例えば、厚さ1.5mmに)圧延し、クーリングトンネルで冷却し、カッターロールで(例えば、長さ約46mmのシートに)裁断することにより製造され得る。あるいは、チューインガムは、ガムベース原料をニーダーに投入し、(例えば、約110℃〜約130℃で)完全に溶解混合するまで十分に練ることによりガムベースを製造し、十分に練られたガムベースをガムミキサーに移し、水飴などを加えて均一に混合した後、他の甘味料、香料などを加えさらに混合してチューインガムに仕上げ、これをエキストルーダーに移して(例えば、厚さ約30mm、幅約430mmに)押出し、圧延ロールで(例えば、厚さ1.5mmに)圧延し、クーリングトンネルで冷却し、カッターロールで(例えば、長さ約46mmのシートに)裁断することにより製造され得る。
(3.チューインガム)
本発明のチューインガムは、ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含む。本発明のチューインガムに含まれるポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数は、14〜18である。1つの実施形態では、本発明のチューインガムに含まれるポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数は、14または18である。
本発明のチューインガムは、ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含む。本発明のチューインガムに含まれるポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数は、14〜18である。1つの実施形態では、本発明のチューインガムに含まれるポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数は、14または18である。
本発明のチューインガムは、板ガムであっても、風船ガムであっても、糖衣ガムであってもよい。本発明のチューインガムは、任意の形状および任意のサイズであり得る。
本発明のチューインガムは、ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルを含み、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量は、好ましくはガムベース100重量部に対して約0.7重量部以上であり、より好ましくはガムベース100重量部に対して約0.8重量部以上であり、最も好ましくはガムベース100重量部に対して約1.2重量部以上である。チューインガム中のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量は、好ましくはガムベース100重量部に対して約4.7重量部以下であり、いっそう好ましくはガムベース100重量部に対して約2.4重量部以下であり、ひときわ好ましくはガムベース100重量部に対して約2.2重量部以下であり、極めて好ましくはガムベース100重量部に対して約2.0重量部以下であり、特に好ましくはガムベース100重量部に対して約1.6重量部以下であり、特に好ましくはガムベース100重量部に対して約1.39重量部以下であり、最も好ましくはガムベース100重量部に対して約1.22重量部以下である。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量が少なすぎると目的とする効果が発揮されにくい場合があり、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの量が多すぎるとチューインガムが過度に柔らかくなってしまう場合がある。
以下の実施例においては、ジグリセリンモノミリステート含有組成物として、理研ビタミン株式会社から製品名ポエムDM−100として販売されるものを用いた。ポエムDM−100は、ジグリセリンとミリスチン酸とのエステル化合物を含み、実際に用いたもののジグリセリンモノミリステート含有量は80.8%であった。
以下の実施例においては、ジグリセリンモノオレート含有組成物として、理研ビタミン株式会社から製品名ポエムDO−100Vとして販売されるものを用いた。ポエムDO−100Vは、ジグリセリンとオレイン酸とのエステル化合物を含み、実際に用いたもののジグリセリンモノオレート含有量は87.8%であった。
(実施例1〜2および比較例1〜6:チューインガムの製造)
以下の表2に示す配合で、常法に従って板ガムの形状のチューインガムを製造した。その後、このガム1枚(2.50g)を熟練の試験者が10分間咀嚼した後、残ったガムの重量を測定した。同時にガムの硬さ、ボリューム感、ふくよかさ、なめらかさ、潤い感および歯付き防止性について官能評価を行った。
以下の表2に示す配合で、常法に従って板ガムの形状のチューインガムを製造した。その後、このガム1枚(2.50g)を熟練の試験者が10分間咀嚼した後、残ったガムの重量を測定した。同時にガムの硬さ、ボリューム感、ふくよかさ、なめらかさ、潤い感および歯付き防止性について官能評価を行った。
ガムの硬さを、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムのボリューム感を、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムのふくよかさを、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムのなめらかさを、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムの潤い感を、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムの歯付き防止性を、◎=通常のガムと比較して非常によい、○=通常のガムと比較して良好、△=通常のガムと比較してやや劣る、×=通常のガムと比較して非常に悪いとして判断した。
ガムが水分をよく含むことの指標として含唾液率(%)を計算した。これは、
含唾液率(%)={(10分間咀嚼後のガムの重量)÷(ガムベースの重量)}×100
によって求められる。10分間咀嚼するとチューインガム中に含まれる甘味料はほぼ全て口中に溶け出し、ガム中に残らない。一方、ガムベースはほとんど溶けない。そのため、10分間咀嚼後のガムは実質的に、ガムベースと、唾液から吸収した水分とからなる。そのため、含唾液率を求めることにより、得られたチューインガムがどれくらい水分をよく含むかがわかる。
含唾液率(%)={(10分間咀嚼後のガムの重量)÷(ガムベースの重量)}×100
によって求められる。10分間咀嚼するとチューインガム中に含まれる甘味料はほぼ全て口中に溶け出し、ガム中に残らない。一方、ガムベースはほとんど溶けない。そのため、10分間咀嚼後のガムは実質的に、ガムベースと、唾液から吸収した水分とからなる。そのため、含唾液率を求めることにより、得られたチューインガムがどれくらい水分をよく含むかがわかる。
他方、他の乳化剤を用いた場合、構造が類似している蒸留モノグリセライドを用いた場合でさえ、これらの官能評価が非常に劣るチューインガムが得られることがわかった。
ジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートを用いることによってこのようなふくよかで潤い感がある噛み心地の良いチューインガムが得られることは極めて予想外のことである。
(実施例3〜10および比較例7〜10:チューインガムの製造)
以下の表3に示す配合で、常法に従って板ガム形状のチューインガムを製造した。その後、このガム1枚(2.50g)を熟練の試験者が10分間咀嚼した後、残ったガムの重量を測定した。同時にガムの硬さ、ボリューム感、ふくよかさ、なめらかさ、潤い感および歯付き防止性について官能評価を行った。含唾液率(%)についても計算した。評価基準は上記実施例1〜2と同じである。
以下の表3に示す配合で、常法に従って板ガム形状のチューインガムを製造した。その後、このガム1枚(2.50g)を熟練の試験者が10分間咀嚼した後、残ったガムの重量を測定した。同時にガムの硬さ、ボリューム感、ふくよかさ、なめらかさ、潤い感および歯付き防止性について官能評価を行った。含唾液率(%)についても計算した。評価基準は上記実施例1〜2と同じである。
このように非常に少量のジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートを用いることによってこのようなふくよかで潤い感がある噛み心地の良いチューインガムが得られることは極めて予想外のことである。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、水分を多く抱き込み、かつ、噛み心地の良い食感のチューイングガムが提供される。本発明において乳化剤として使用するジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートは、ごく少量で効果を発揮するので、配合に制約がないという顕著な利点を有する。
Claims (7)
- ふくよかで潤い感のある噛み心地のよいガムを得るに有効な量のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとガムベースとを含むチューインガムであって、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの脂肪酸部分の炭素数が14〜18である、チューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルのHLB値が7〜11である、請求項1に記載のチューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリン脂肪酸モノエステルである、請求項1に記載のチューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリンモノミリステートである、請求項1に記載のチューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルがジグリセリンモノオレートである、請求項1に記載のチューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が、前記ガムベース100重量部に対して0.56重量部〜1.39重量部である、請求項1に記載のチューインガム。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルが、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物として配合されたものであり、該ポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有組成物中の該ポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が70重量%以上である、請求項1に記載のチューインガム。
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