JP6862131B2 - チューインガム組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ふくよかで潤い感のある噛み心地のチューインガムを得るために、ガムベースにHLB値7〜11のジグリセリンモノミリステートまたはジグリセリンモノオレートを添加したチューインガムが開示されている。しかし、唾液抱き込み効果の測定および官能評価は10分後のみで、それより長時間の体積減少緩和効果について開示されていない。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤については、官能評価が非常に劣ると述べられている。
(1) HLB値が5.5以下である脂肪酸エステルを含有するチューインガムであって、前記脂肪酸エステルの脂肪酸残基の炭素数が22以上、または脂肪酸残基の炭素数が18以上かつ不飽和脂肪酸を有する、チューインガム。
(2) 前記脂肪酸エステルがショ糖脂肪酸エステルである、(1)に記載のチューインガム。
(3) 前記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸のいずれか一種、または二種以上である、(2)に記載のチューインガム。
(4) チューインガム生地に対し、前記脂肪酸エステルを0.1重量%以上4重量%以下含有することを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載のチューインガム。
(5) レシチンを含有する、(1)から(4)のいずれかに記載のチューインガム。
(6) 前記レシチンが、ヒマワリレシチン、大豆レシチン、菜種レシチン、卵黄レシチンの中から選択される一種、または二種以上である、(5)に記載のチューインガム。
(7) チューインガム生地に対し、前記レシチンを0.1重量%以上4重量%以下含有することを特徴とする、(6)に記載のチューインガム。
(8) (1)から(7)に記載の脂肪酸エステルを有効成分とするチューインガムの体積減少緩和剤。
(9) (1)から(7)に記載の脂肪酸エステルを添加することを特徴とするチューインガムの体積減少緩和方法。
チューインガム生地は、ガムベースに甘味料、香料、酸味料等を添加し、混合した生地である。チューインガムはチューインガム生地を圧延、切断成形する方法や、打錠成形する方法などで成形できる。チューインガムの形状は板状のものでも、粒状のものでもよく、形状に制限はない。チューインガムはチューインガム生地単独でも、成形した後に糖衣を施したものや、飴生地と組み合わせたものなどのチューインガム生地を使用した複合食品でもよい。
本発明によるチューインガム生地に添加できるガムベース原料は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物性樹脂、熱軟化性樹脂、ゴム、天然ワックス、油脂、および充填剤、並びにこれらの組み合わせから適宜選択することができる。
植物性樹脂としては、例えば、チクル、ジェルトン、ソルバなどが挙げられる。
熱軟化性樹脂およびゴムとしては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
天然ワックスおよび油脂としては、例えば、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、通常の植物油、およびこれらの水添硬化油などが挙げられる。
充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
非イオン界面活性剤のHLB値は次式で計算される。
HLB=20(MH/M)
ここでMHは親水基部分の分子量、Mは界面活性剤の分子量である。
本発明において長時間咀嚼しても体積を維持させるためにチューインガムに添加する脂肪酸エステルは、HLB値が5.5以下のものである。
レシチンとは、動植物の細胞に存在するグリセロリン脂質の一種で、古くから乳化作用があることで知られている。そして乳化作用の有効成分はフォスファチジルコリンで、主に卵黄、大豆、菜種、ヒマワリを原料とするもの等が市販されている。
実施例1
脂肪酸エステル、レシチンのどちらも添加しないチューインガムをコントロールとし、コントロールの配合をガムベース32重量部、キシリトール60重量部、マルチトール3重量部、香料5重量部 とした。ガムベースは一般的なガムベースを用いた。コントロールの配合に、ショ糖エルカ酸エステル(HLB2)をチューインガム生地に対して0.30重量部となるように添加し、実施例1のチューインガムを作成した。チューインガムはいずれも常法にて作成した。
チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。体積の測定には株式会社島津製作所製乾式自動密度計アキュピックII1340を用いて測定した。
噛み始めから30分後の体積測定値をコントロールと比較し、コントロールを100として相対値を算出した。
ショ糖エルカ酸エステル(HLB2)を添加することにより、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して119%となった。
脂肪酸エステルをショ糖ベヘン酸エステル(HLB3)に替えた以外は実施例1と同様にチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感を評価した。
ショ糖ベヘン酸エステル(HLB3)を添加することにより、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して105%となった。
脂肪酸エステルをショ糖オレイン酸エステル(HLB1)に替えた以外は、実施例2と同様にチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感を評価した。
比較例1〜5
脂肪酸エステルをそれぞれショ糖ステアリン酸エステル(HLB1)、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB3)、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB5)、ショ糖ステアリン酸エステル(HLB7)、ショ糖ラウリン酸エステル(HLB1)に替えた以外は実施例2と同様にそれぞれチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感を評価した。
得られた結果を表1に示す。
得られた結果から 、脂肪酸残基の炭素数が22以上、または脂肪酸残基の炭素数が18以上かつ不飽和脂肪酸を有する脂肪酸エステルにおいて、体積減少緩和に効果的であることが認められた。また、脂肪酸残基の炭素数が12の脂肪酸エステルは体積減少緩和の効果が低い結果であった。
また、実施例1と実施例2、実施例3と比較例1の結果は、脂肪酸エステルの脂肪酸残基が不飽和脂肪酸の方が、体積減少緩和に効果的であることを示すものである。
脂肪酸エステルをモノグリセリンオレイン酸エステル(HLB4.0)に替えた以外は、実施例2と同様にチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。
モノグリセリンオレイン酸エステル(HLB4.0)を添加したチューインガムの、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して112%であった。
脂肪酸エステルをソルビタンオレイン酸エステル(HLB5.1)に替えた以外は、実施例2と同様にチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感を評価した。
ソルビタンオレイン酸エステル(HLB5.1)を添加したチューインガムの、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して114%であった。
実施例2と同様に、コントロールの配合にショ糖エルカ酸エステル(HLB2)をチューインガム生地に対して0.1〜5重量%となるようにそれぞれ添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。
更に、官能評価パネルによる官能評価で食感および風味を評価した。
実施例2と同様に、コントロールの配合にショ糖エルカ酸エステル(HLB2)をチューインガム生地に対して5重量%となるようにそれぞれ添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。
更に、官能評価パネルによる官能評価で食感および風味を評価した。
実施例2と同様に、コントロールの配合にショ糖オレイン酸エステル(HLB15)をチューインガム生地に対して2重量%となるように添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。
咀嚼中に唾液にガムが溶けてしまったため、噛み始めから30分後の体積の測定をすることができなかった。
得られた結果を表2に示す。
HLB値が高い脂肪酸エステルを添加したチューインガムは、咀嚼中に唾液にガムが溶けてしまったため、噛み始めから30分後の体積の測定をすることができず、不適であった。
実施例1と同様に、コントロールの配合に、ヒマワリレシチンをチューインガム生地に対して0.3重量%となるように添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感を評価した。
ヒマワリレシチンを添加することにより、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して117%となった。
実施例1と同様に、コントロールの配合に、チューインガム生地に対してヒマワリレシチンを0.3重量%、ショ糖エルカ酸エステル(HLB2)を0.3重量%となるように添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感および風味を評価した。
ショ糖エルカ酸エステル(HLB2)とヒマワリレシチンを併せて配合することにより、噛み始めから30分後の体積はコントロールに対して143%となった。
得られた結果を表3に示す。
ショ糖エルカ酸エステル(HLB2)とヒマワリレシチンを併せて配合することにより、噛みごたえと柔らかさのバランスが良い食感を保ちつつ、体積減少抑制効果を高めることが可能となった。
実施例11と同様に、コントロールの配合に、チューインガム生地に対してヒマワリレシチンを0.15重量%かつ脂肪酸エステルをそれぞれ0.15重量%となるように添加したチューインガムを作成し、チューインガムを噛んで、噛み始めから30分後の体積を測定した。また、官能評価パネルによる官能評価で食感および風味を評価した。脂肪酸エステルはショ糖エルカ酸エステル(HLB2)、ポリグリセリンエルカ酸エステル(HLB3.7)、モノグリセリンリノール酸エステル(HLB4.2)、ポリグリセリンリシノール酸エステル(HLB3)を使用した。
得られた結果を表4に示す。
Claims (8)
- HLB値が5.5以下である脂肪酸エステルを含有するチューインガムであって、
前記脂肪酸エステルが、脂肪酸残基の炭素数が22以上である、または脂肪酸残基の炭素数が18以上であり、かつ不飽和脂肪酸を有し、
前記脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルであり、
チューインガム生地に対し、前記脂肪酸エステルを0.1重量%以上4重量%以下含有する、チューインガム。 - 前記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸のいずれか一種、または二種以上である、請求項1に記載のチューインガム。
- レシチンを含有する、請求項1または2に記載のチューインガム。
- 前記レシチンが、ヒマワリレシチン、大豆レシチン、菜種レシチン、卵黄レシチンの中から選択される一種、または二種以上である、請求項3に記載のチューインガム。
- チューインガム生地に対し、前記レシチンを0.1重量%以上4重量%以下含有する、請求項3または4に記載のチューインガム。
- HLB値が5.5以下であり、
脂肪酸残基の炭素数が22以上である、または脂肪酸残基の炭素数が18以上であり、かつ不飽和脂肪酸を有する、脂肪酸エステルを有効成分とし、
前記脂肪酸エステルが、ショ糖脂肪酸エステルであり、
チューインガム生地に対し、前記脂肪酸エステルの含有量が、0.1重量%以上4重量%以下である、チューインガムの体積減少緩和剤。 - 前記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸のいずれか一種、または二種以上である、請求項6に記載の体積減少緩和剤。
- HLB値が5.5以下であり、
脂肪酸残基の炭素数が22以上である、または脂肪酸残基の炭素数が18以上であり、かつ不飽和脂肪酸を有する脂肪酸エステルを添加することを含む、チューインガムの体積減少緩和方法。
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