JP2011102279A - 口腔用組成物 - Google Patents

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英悟 須山
Katsuto Kanai
克仁 金井
Satoru Ida
覚 伊田
Masahiko Kurashige
雅彦 倉重
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Abstract

【課題】特定の刺激や呈味、香味がないため、味付けに制限のない、唾液分泌促進作用を有する口腔組成物を提供する。
【解決手段】2−メチル酪酸又は/及び酢酸を含有する口腔用組成物は、2−メチル酪酸又は/及び酢酸の含有量が、呈味を感じない程度の極微量であっても、咀嚼の終了後の唾液の分泌を促進させる。口腔用組成物としては、キャンデー、グミ、チューインガム、トローチ、チュアブルタブレット等が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は咀嚼後においても唾液の分泌を促進する口腔用組成物に関する。
口腔内の唾液の分泌を促進させることは、様々な面で好ましい影響を与える。例えば、咀嚼の補助、デンプンの消化、歯の再石灰化の促進によるう蝕予防、のどの乾燥の防止、口腔内の洗浄作用、食物の飲み込みやすさの改善、口臭の予防改善等が挙げられる。
通常、食物を咀嚼すると唾液が分泌されるが、より唾液の分泌を促進する手段としては、クエン酸等の酸味による刺激や、重曹等の発泡成分の刺激を利用することが知られている。その他にも植物抽出物を利用するもの(特許文献1、2)、ポリグルタミン酸を用いるもの(特許文献3)等が提案されている。しかしながら、これらのものの多くは特有の刺激や呈味、香味を有しており、利用できる食品組成物、口腔用組成物が限られている。
特開2002−265375号公報 特開2005−162633号公報 国際公開WO2005/49050号パンフレット
本発明は、唾液分泌促進作用があるにもかかわらず刺激や呈味、香味がないため、味覚の制限がない口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を含有した口腔用組成物が唾液の分泌を促進することを見出し、本発明を完成した。2−メチル酪酸又は/及び酢酸は呈味を感じない程度の極微量でも効果を奏するため、味付けに制限なく口腔用組成物を設計できる。すなわち、本発明は以下に示すものである。
(1)2−メチル酪酸又は/及び酢酸の合計含有量が0.01〜1重量%である口腔用組成物。
(2)2−メチル酪酸と酢酸の重量比が24:0〜4:20である(1)に記載の口腔用組成物。
(3)pHが3.5以上である(1)又は(2)に記載の口腔用組成物。
(4)口腔用組成物が、キャンデー、グミ、チューインガム、トローチ、チュアブルタブレットである、(1)〜(3)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(5)2−メチル酪酸又は/及び酢酸が、結晶キャンデー中に含有されるものである(1)〜(4)のいずれかに記載の口腔用組成物。
(6)口腔用組成物が、結晶キャンデーと非結晶キャンデーが接触したものである(5)に記載の口腔用組成物。
(7)2−メチル酪酸又は/及び酢酸を100℃以下で添加することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の口腔用組成物の製造方法。
本発明により、咀嚼後も唾液の分泌が促進する口腔用組成物を得ることができる。本口腔用組成物は味覚に影響しないため、配合上の制限なく使用することができる。
本発明の口腔用組成物は、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を0.01重量%以上含有することを特徴とする。0.01重量%以上であれば唾液分泌促進効果を有する。また、1重量%を超えると、呈味的に好ましくない。特に好ましい含有量は0.01〜0.3重量%である。2−メチル酪酸と酢酸は、単独でも、両者が存在しても唾液分泌促進効果を有する。2−メチル酪酸と酢酸はいかなる重量比率であってもよいが、特に2−メチル酪酸:酢酸=24:0〜4:20とした場合に好ましく、22:2〜4:20とした場合はさらに唾液分泌促進効果が高まる。なお、本発明の唾液分泌促進効果とは、咀嚼の終了後にも唾液の分泌が促進されることを示す。
口腔用組成物は、口腔内で滞留するものが好ましく、キャンデー、グミ、チューインガム、トローチ、チュアブルタブレット等が好ましい。口腔用組成物は、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を使用する以外、使用する原料は特に制限されない。また、酸味を感じると唾液の分泌が促進されるが、本発明の口腔用組成物は、pH3.5以上の酸味を感じない領域においても効果を有する。
製造時に2−メチル酪酸又は/及び酢酸を添加する場合、添加温度は100℃以下が好ましい。それよりも高温で添加すると、酢酸や2−メチル酪酸が揮発してしまい、十分な効果が得られない。
本発明の口腔用組成物は、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコールを使用する結晶キャンデーとすることができる。該結晶キャンデーを製造する場合は、糖アルコールを含むシロップを煮詰めた後、キャンデー生地の温度を65〜95℃程度に保ち、結晶を析出させつつ流動性を保持した状態で2−メチル酪酸又は/及び酢酸を添加混合し、型に流し込み、冷却固化し、型から剥離して成型される。結晶を析出させる方法としては、糖質結晶を、該糖質結晶が溶融しない温度で添加して種結晶とする方法を用いると、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を添加混合する温度において添加でき、キャンデー生地の粘度の上昇も抑えられるため好ましい。
また、本発明の口腔用組成物を非結晶のキャンデーを製造する場合は、シロップを煮詰めた後、65〜95℃程度に冷却した状態でアームニーダー等の混合機で2−メチル酪酸又は/及び酢酸を添加混合し、スタンピングマシン等の成型機に供給して成型するのが好ましい。非結晶キャンデー生地は100℃よりも高温に保った状態で型へ流し込む必要があるため、型への流し込みによる成型は好ましくない。
本発明の口腔用組成物は、組成物全体重量の0.01重量%以上の2−メチル酪酸又は/及び酢酸が含まれていれば、2−メチル酪酸又は/及び酢酸は組成物全体に含まれるものでも、組成物の一部に含まれているものでもよい。例えば、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を含む結晶キャンデーと、前記を含まない非結晶キャンデーを接着させたキャンデー形態であってもよい。結晶キャンデーと非結晶キャンデーを接着させたキャンデーとした場合、結晶キャンデー生地は100℃以下でも流動性を保つことができるため、2−メチル酪酸又は/及び酢酸を添加後に型に流し込んで成型することができる。また、結晶キャンデーと非結晶キャンデーを接着させたキャンデーとした場合、唾液分泌促進効果が高まる。
以下に実施例を例示して、本発明の製造方法をさらに詳細に説明するが、これらは例示であって、本発明を限定するものではない。
試験例1
ソルビトール99重量部、植物油脂0.6重量部、水10重量部を混合して煮詰めた後、90℃まで冷却し、結晶ソルビトール0.2重量部及び、2−メチル酢酸及び/又は酢酸をMCT(中鎖脂肪酸)に混合した各サンプル(サンプルA〜F)のいずれか1つを0.2重量部添加混合して、ソルビトール結晶が析出したキャンデー生地を得た。得られたキャンデー生地4gを型に流し込み、その後冷却して型より剥離し、結晶ソルビトールキャンデーを製造した。一方、2−メチル酢酸及び/又は酢酸をMCTに混合したサンプルを添加しないで製造したキャンデーをコントロールとした。
得られたキャンデーをなめたときの摂取後の唾液分泌量を以下のように測定した。
試験を行う30分前より、被験者の飲食、喫煙を禁止した。キャンデーを4分間なめてもらい、残ったものは吐き出すこととした。摂食終了後、前傾姿勢を取り、吐き出す動作をすることなく、自然に流出する唾液を5分間採集した。
表1にサンプルA〜Fの組成(単位は重量%)と、各サンプル及びコントロールのキャンデーの摂食後の唾液量を示す。
Figure 2011102279
上記より、2−メチル酪酸及び酢酸を含むキャンデーは、摂食後の唾液の分泌が促進されることが明らかとなった。2−メチル酪酸及び酢酸の好ましい比率は、24:0〜4:20であり、より好ましい比率は22:2〜4:20である。
砂糖57重量部、水飴(糖度75)43重量部を混合し、煮詰めてキャンデー生地とした。得られたキャンデー生地を冷却しながらアームニーダーに供給し、生地温度を80℃前後に保持しながら、試験例1のサンプルBを0.8重量部混合した。これをスタンピングマシンに供給して1粒4gのキャンデーを製造した。
得られたキャンデーを用いて、試験例1と同様にして摂取後の唾液を収集したところ、摂食後唾液量は3.8gであった。このときのキャンデーはpH3.8であり、酸味は感じられなかった。
なお、砂糖57重量部、水飴43重量部のキャンデー生地にクエン酸を加えてpHを低くしていったところ、クエン酸を加えなかったキャンデーはpH4.6で酸味を感じず、0.1重量部添加した場合はpH3.4となり、わずかに酸味を感じるものであった。
砂糖34重量部、水飴(糖度75)66重量部を混合し、煮詰めてキャンデー生地Aとした。一方キシリトール77重量部、ポリデキストロース18重量部、水10重量部を混合して煮詰めた後、80℃まで冷却し、試験例1のサンプルB0.2重量部及び結晶キシリトール4.8重量部を添加混合して、キシリトール結晶が析出したキャンデー生地Bとした。キャンデー生地A1.5gを140℃にて型に流し込み、次に80℃にて1.2gのキャンデー生地Bをその上に流し込んだ。その後、再び1.5gのキャンデー生地Aをその上に流し込んだ。前記を冷却して型より剥離し、真ん中に結晶キシリトール層を有する、3層キャンデーを製造した。
得られた3層キャンデーを用いて、試験例1と同様にして摂取後の唾液を収集したところ、摂食後唾液量は4.0gであった。
ガムベース29重量部、キシリトール60重量部、炭酸カルシウム6重量部、香料4.5重量部、グリセリン0.1重量部、スクラロース0.05重量部、アセスルファムカリウム0.05重量部、試験例1のサンプルC0.3重量部を混合成形して、1枚3gのチューインガムを製造した。得られたチューインガムを用いて、試験例1と同様にして摂取後の唾液を収集したところ、摂食後唾液量は3.2gであった。
比較例1
サンプルCを混合しない以外は、実施例5と同様にして1枚3gのチューインガムを製造した。得られたチューインガムを用いて、試験例1と同様にして摂取後の唾液を収集したところ、摂食後唾液量は2.7gであった。
トローチの組成:
ブドウ糖 73重量部
乳糖 17重量部
アラビアガム 6重量部
タルク 2重量部
ステアリン酸マグネシウム 1重量部
試験例1のサンプルA 1重量部
チュアブルタブレットの組成:
結晶1−ケストース 47重量部
マルチトール 45重量部
乳酸カルシウム 5重量部
乳化剤 2重量部
香料 0.5重量部
試験例1のサンプルD 0.5重量部
グミの組成:
砂糖 35重量部
水飴 43.7重量部
ゼラチン 6重量部
濃縮果汁 14重量部
香料 0.1重量部
試験例1のサンプルE 1.2重量部

Claims (7)

  1. 2−メチル酪酸又は/及び酢酸の合計含有量が0.01〜1重量%である口腔用組成物。
  2. 2−メチル酪酸と酢酸の重量比が24:0〜4:20である請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. pHが3.5以上である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
  4. 口腔用組成物が、キャンデー、グミ、チューインガム、トローチ、チュアブルタブレットである、請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用組成物。
  5. 2−メチル酪酸又は/及び酢酸が、結晶キャンデー中に含有されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の口腔用組成物。
  6. 口腔用組成物が、結晶キャンデーと非結晶キャンデーが接触したものである請求項5に記載の口腔用組成物。
  7. 2−メチル酪酸又は/及び酢酸を100℃以下で添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の口腔用組成物の製造方法。
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