JP4384016B2 - シュガーレスソフトキャンディ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、糖アルコールを主体とするシュガーレスの処方で製造されるシュガーレスソフトキャンディ及びその製造方法に関する。
ソフトキャンディとは、その名の通り比較的軟らかい食感を有した食品であり、噛んだ時に一定の歯脆さを伴って砕けるハードキャンディと対比して称されることもある。このソフトキャンディと呼ばれる食品類の具体例として、キャラメル、ファッジ、ヌガー、タフィ、フォンダン、などが挙げられる。これらソフトキャンディは、口腔内で舐め溶かし、場合によっては噛みながら舐める等、比較的長い期間口腔内に存在して、その食感、味わいを楽しむことができることから、主としてデザートやお菓子として、年齢、性別を問わず広く普及している。
しかしながら従来のソフトキャンディでは、ソフトキャンディを噛んだ場合に、歯の表面に唾液と共に押し付けられるため歯の表面にくっつき易く、一旦歯についたソフトキャンディは離れ難いことから、そのような感覚が好まれないことや、ソフトキャンディの主要な甘味料として使用される、砂糖、ブドウ糖、水飴、異性化糖等の甘味料が、口腔内に比較的長い期間存在することになるため、う蝕への懸念も指摘されている。
一方、近年では消費者の健康志向の高まりと共に、砂糖に比べて虫歯への影響が少なく低カロリーである糖アルコールが着目され、それをソフトキャンディの原料として用いた様々な新商品が開発されており、例えば、糖アルコールとしてエリスリトールを用いたソフトキャンディに関する発明(特許文献1)や、糖アルコールとしてラクチトールを用いたソフトキャンディに関する発明(特許文献2)や、糖アルコールとしてマンニトールやマルチトールを用いたソフトキャンディに関する発明(特許文献3)などが開示されている。
特開平7−123923号公報 特開平7−067537号公報 特開平9−075005号公報
しかしながら、糖アルコールを用いた従来方法であっても、シュガーレスソフトキャンディとしては必ずしも十分な品質改善が達成されたわけでは無く、製造時における糖アルコールの結晶化の制御が困難であったり、ソフトキャンディが固化するまでに長時間を要したりすることや、製造過程のソフトキャンディが装置に付着し易いこと、食べた時に歯に付着し易いことなど、製造工程や最終製品とした時の物性について未だ解決すべき問題点が残されており、更なる改良が求められている。
本発明者は、従来方法では十分といえなかった糖アルコールを主体としたシュガーレスソフトキャンディについて、その物性及び製造工程の更なる改善を行うべく鋭意研究を行った結果、特定の条件で配合された原料中に酒石酸塩を共存させることで、シュガーレスソフトキャンディの固化に要する時間が短縮され、製造過程でソフトキャンディ原料の装置への付着が抑えられ、食べた時にも歯つきの程度が減少し食べ易くなり、ソフトキャンディとしたときのダレが少ないなど、糖アルコールを用いたシュガーレスソフトキャンディが有していた物性や製造工程上の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の詳細は以下の通りである。
本発明の第一は、非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合物を主成分とし、固形物換算で0.001〜5.000重量%の酒石酸塩を含有するシュガーレスソフトキャンディである。
本発明の第二は、非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの比率が5:95〜95:5である混合物を固形物換算で60.0〜99.9 重量%含有する、第一に記載のシュガーレスソフトキャンディである。
本発明の第三は、非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液から、酒石酸塩の存在下で結晶性糖アルコールの晶出を行うことを特徴とするシュガーレスソフトキャンディの製造方法である。
本発明の第四は、固形物含有量が80重量%以上になるまで非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液を煮詰め、油脂、乳化剤、酒石酸塩、必要に応じ粉末状の結晶性糖アルコールを添加し、次いでゲル化剤を加え、熟成後、成形することを特徴とするシュガーレスソフトキャンディの製造方法である。
本発明によって得られるシュガーレスソフトキャンディとは、非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールの二種類の糖アルコールを主成分として調製され、そこにさらに酒石酸塩を含有させることで達成されるものである。なお、本発明で言うシュガーレスとは、実質的に糖類を含まない物の他に、栄養表示基準(平成8年5月20日厚生省告示第146号)で示される範囲を充足するものも含まれ、これらは本発明の実施を妨げない限り本発明の権利範囲に含まれる。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの原料には、糖アルコールと酒石酸塩の他に、油脂、乳化剤、ゲル化剤が使用される。この実施態様を採用することにより、糖アルコールを主体としたシュガーレス処方で調製されるシュガーレスソフトキャンディであるにも関わらず、結晶性糖アルコールの晶出及び結晶化が容易に行われ、固化し易く、装置への付着性が抑えられ、製造時間が短縮されるなど、製造時の操作性が改善され、また仕上げられたシュガーレスソフトキャンディは、口腔内で滑らかに溶け、噛んだ時に歯つきが起こりにくいなどの好ましい効果を有するようになる。
上述の効果は、本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの製造段階で調製されるソフトキャンディ原料液中に酒石酸塩を含有する場合にのみ特異的に見られる効果であり、酒石酸やあるいは酒石酸以外の有機酸や有機酸塩では、本発明に係る上述の効果が十分に発現しないばかりか、場合によっては非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液からの、結晶性糖アルコールの晶出及び結晶化を阻害したり、固化を遅らせたりするなど、逆に好ましくない影響を及ぼしてしまう。なお、本発明で云うソフトキャンディ原料液とは、本発明の最終製品形態であるシュガーレスソフトキャンディの調製段階における、全ての中間的形態を包含するものとして意味される。
本発明に用いられる酒石酸塩は、塩の形状であればL−酒石酸、D−酒石酸、それらのラセミ化合物、メソ酒石酸など、何れの立体構造の塩でもよく、それらは単独で用いても組合せて使用しても良い。これら酒石酸塩は、粉末状、水溶液状、スラリー状の何れの状態であっても好適に使用することができる。塩の種類については、通常の有機酸の対イオンとなり得る塩であれば特段の制限はなく、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、その他の各種金属塩が挙げられるが、シュガーレスソフトキャンディ製造時の操作性、その際製品中に発生する結晶の析出のしやすさ、固化性の容易さ、仕上がったシュガーレスソフトキャンディの食感や品質などから、カリウム塩を有した酒石酸塩を用いることが好ましく、具体的には酒石酸水素カリウムや酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)が特に好ましい酒石酸塩として例示できる。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディ中に含まれる酒石酸塩の含有量は、固形物換算で0.001〜5.0重量%であるが、好ましくは0.005〜1.0重量%、更に好ましくは0.01〜0.25重量%、特に好ましくは0.05〜0.10重量%である。酒石酸塩の添加量をこれらの範囲に収めることで、ソフトキャンディ原料液からの結晶性糖アルコールの析出を強く促し、成形性、歯つき、ダレ、柔らかさなど本発明に係る種々の好ましい効果が明確に発現し易くなる。
なお、酒石酸塩は酸味料としても使用されることがあるが、本発明では、ソフトキャンディ原料液中の結晶性糖アルコールの析出を強く促し、本発明に係る成形性、歯つき、ダレ、柔らかさなどの種々の効果について発現しさえすればよいので、本発明で要求される酒石酸塩の好ましい添加量としては、口にしたときに実質的に酸味を知覚することが出来る水準よりも低い添加量で十分である。
本発明を実施するに当たり、ソフトキャンディ原料液中に酒石酸塩を添加する時期に特に制限は無く、ソフトキャンディ原料液から結晶性糖アルコールを晶出させる際に、酒石酸塩がソフトキャンディ原料液中に含有していれば良い。例えば、第一の方法として非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液中に予め酒石酸塩を含有させ、その後、種結晶用の結晶性糖アルコールを添加するかまた添加せずに結晶性糖アルコールを晶出させる方法、第二の方法として非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液に、酒石酸塩と種結晶用の結晶性糖アルコールとの混合物を添加し、結晶性糖アルコールを晶出させる方法、第三の方法として非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液に、結晶性糖アルコールを添加した後、酒石酸塩を添加する方法などが挙げられるが、これらの例示した手法以外の、実質的に酒石酸塩が存在する状況下で結晶性糖アルコールの晶出が行われる方法であれば何れの方法でも良い。
本発明で用いられる糖アルコールは、非結晶性の糖アルコールと結晶性糖アルコールの二種類に分けられる。
本発明で用いられる非結晶性糖アルコールとしては、還元澱粉糖化物やその同義語である還元澱粉加水分解物として市販されている糖アルコール類が挙げられ、これらは、シュガーレスソフトキャンディとした時の好ましい食感、結晶析出の制御、固化した時の可塑性、食べたり舐めたりした時の滑らかさ等を付与する目的で使用される。
本発明で使用できる非結晶性糖アルコールの具体例としては、重合度4以上の水素化された糖類の含有量が固形物換算で20重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、最も好ましくは65重量%以上の還元澱粉糖化物が例示できる。還元澱粉糖化物の糖組成の特定には、高速液体クロマトグラフィーを用いた糖組成分析により得られるクロマトグラムを基に、各重合度別に得られるピーク面積を求め、その面積割合から各重合度別の含有量を算出すれば良い。
本発明で使用できる非結晶性糖アルコールは、別の指標として、デキストロース当量(DE)で表した場合に、DE45以下の澱粉糖化物を水素化して得られる還元澱粉糖化物であり、好ましくはDE35以下の澱粉糖化物を水素化して得られる還元澱粉糖化物であり、更に好ましくはDE25以下の澱粉糖化物を水素化して得られる還元澱粉糖化物であり、最も好ましくはDEが5〜20の澱粉糖化物を水素化して得られる還元澱粉糖化物が例示できる。
本発明で使用できる非結晶性糖アルコールは、さらに別の指標として、固形分濃度60重量%、液温25℃とした時のB型粘度計(株式会社東京計器製)による粘度測定値が50cp〜3000cp、好ましくは100cp〜2000cp、更に好ましくは200cp〜1500cp、特に好ましくは300cp〜1000cpの還元澱粉糖化物が例示できる。
本発明で使用できる非結晶性糖アルコールは、上述した重合度4以上の水素化された糖類の含有量、水素化される前の澱粉糖化物の状態でのDE値、粘度、以上の何れか一つあるいは複数以上の性状を実質的に満たす各種還元澱粉糖化物あるいは各種還元澱粉加水分解物であれば、粉末状や液状の形状に関わらず好ましく採用可能である。このような還元澱粉糖化物の具体例としては、東和化成工業株式会社製の還元澱粉糖化物シリーズである、「PO−40」、「PO−30」、「PO−20」、「PO−10」(いずれも商品名)などが挙げられ、特に好ましくは「PO−20」、「PO−10」が挙げられ、最も好ましくは「PO−20」と「PO−10」の混合物が挙げられる。なお、これら非結晶性糖アルコールの品質は、食品または食品添加物として販売されている程度の品質で充分である。
本発明で使用される結晶性糖アルコールには、非結晶性糖アルコールと共にソフトキャンディ原料液として一旦溶解し混合液とされるものと、これらの混合液から結晶性糖アルコールを晶出させる際、必要に応じて種結晶として使用される結晶性糖アルコールの二種類があり、それぞれ使い分けられる。
非結晶性糖アルコールと共にソフトキャンディ原料液として一旦溶解される結晶性糖アルコールとしては、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノースからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものが例示される。これらの結晶性糖アルコールは、粉末状、結晶状、含蜜結晶状、顆粒状、スラリー状、液状、ブロック状など、状態の如何を問わず使用することができ、その品質は食品または食品添加物として販売されている程度の品質で充分である。これらの結晶性糖アルコールの中でも、結晶の析出性、良好な味や非う蝕性、シュガーレスソフトキャンディとした際の良好な食感等を考慮した際に好ましいのはマルチトールとキシリトールであり、最も好ましいのはキシリトールである。
ソフトキャンディ原料液から結晶性糖アルコールを晶出させる際、結晶の析出を促すことや、晶出する結晶を制御すること、晶出する結晶粒子サイズの調製すること等の個々の目的や、それらの目的に関わらず必要に応じ、種結晶として粉末状の結晶性糖アルコールかあるいは結晶性糖アルコールを含有するスラリー状物質を添加、共存させても良い。
種結晶として用いられる結晶性糖アルコールとしては、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノースからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものが例示される。これらの結晶性糖アルコールは、粉末状、結晶状、含蜜結晶状、結晶を含有するスラリー状などの形態で使用することが好ましく、その品質は食品または食品添加物として販売されている程度の品質で充分である。
種結晶として使用する結晶性糖アルコールの形状は、上述の通り、結晶や含蜜結晶を粉末状にしたもの、あるいは結晶を含有するスラリー状などが挙げられるが、種結晶として粉末状の結晶性糖アルコールを使用する場合、比較的細かい粒径で粒度が調整されていることが好ましく、例えば50メッシュ(篩の目開き約300μm)の篩を通過したもの、更に好ましくは100メッシュ(篩の目開き約150μm)の篩を通過したものが例示できる。
なお、種結晶として使用する結晶性糖アルコールとしては、シュガーレスソフトキャンディ製造時の操作性、その際製品中に発生する結晶の析出のし易さ、固化性の容易さ、仕上がったシュガーレスソフトキャンディの食感や品質、仕上がり後のシュガーレスソフトキャンディの品質安定性、経時的変化の少なさなどから、ソフトキャンディ原料液として使用された結晶性糖アルコールと同種の糖アルコールを単独で使用することが好ましいが、ソフトキャンディ原料液からの結晶化を妨げない範囲であれば、異種の結晶性糖アルコールと組合せた物を種結晶として使用することや、異種の結晶性糖アルコールのみを添加し、ソフトキャンディ原料液から結晶性糖アルコールの晶出を促す方法であっても良い。
本発明では、シュガーレスソフトキャンディの原料として使用される非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコール、及び種結晶として使用される結晶性糖アルコールを合算した全ての糖アルコールの含有量は、固形物換算で60.0〜99.9重量%、好ましくは70.0〜99.0重量%、更に好ましくは80.0〜98.0重量%、特に好ましくは85.0〜95.0重量%である。糖アルコールの含有量をこれらの範囲に収めることで、他のソフトキャンディ原料と酒石酸塩の作用により、シュガーレスソフトキャンディ中に占める結晶性糖アルコールの析出が好適に実施され、シュガーレス化したソフトキャンディの調製が非常に容易となり、保形性の良さ、歯つきの少なさ、柔らかさ、ダレ難さなど、本発明に係るその他の好ましい効果も明確に発現し易くなる。
最終的に得られるシュガーレスソフトキャンディ中の非結晶性糖アルコールと、種結晶として用いた結晶性糖アルコールを含む結晶性糖アルコールの含有割合は、結晶性糖アルコールの種類によって若干変動するが、固形物換算では、5:95〜95:5であり、好ましくは20:80〜80:20、更に好ましくは30:70〜70:30、特に好ましくは40:60〜60:40である。シュガーレスソフトキャンディの原料として使用した結晶性糖アルコールがキシリトール単独の場合、非結晶性糖アルコールとキシリトールとの含有割合は、20:80〜70:30、好ましくは40:60〜55:45、更に好ましくは42:58〜53:47、最も好ましくはおおよそ45:55である。シュガーレスソフトキャンディの原料として使用した結晶性糖アルコールがマルチトール単独の場合、非結晶性糖アルコールとマルチトールとの含有割合は、10:90〜40:60、好ましくは20:80〜30:70、最も好ましくはおおよそ26:74である。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの製造では、種結晶として使用する結晶性糖アルコール中に予め酒石酸塩を含有させ、それをソフトキャンディ原料液に添加してもよく、具体的には、粉末状の結晶性糖アルコール中に酒石酸塩を添加して混合物としたものや、結晶糖アルコール含有スラリー状物質の中に酒石酸塩を添加して混合物としたものなどが挙げられる。
本発明に用いるゲル化剤の種類は、市販のゲル形成能を有する素材であれば、それらの原料や由来に関係なく何れも採用可能であり、例えば、ゼラチン、カラギーナン、寒天、タマリンド種子多糖類、ペクチン、アラビアガム、ヒドロキシメチルセルロース、プルラン、ローカストビーンガム、グアガム、カラヤガム、ジェランガム、キサンタンガム、カードランなどを単独もしくは組合せて使用することができる。これらの中でも、シュガーレスソフトキャンディ製造時の操作性、固化性の容易さ、仕上がったシュガーレスソフトキャンディの食感、仕上がり時のシュガーレスソフトキャンディの品質などから、ゼラチンやゼラチンと他のゲル化剤とを組合せた使用が好ましい。ゼラチンについては、豚皮ゼラチン、牛骨ゼラチン、魚由来ゼラチンなど、原料や由来に関係なく使用することができ、他のゲル化剤についても同様である。
本発明に用いることができる油脂の種類としては、市販される動植物性の油脂であれば何れも採用可能であり、例えば、大豆油、なたね油、からし油、綿実油、サフラワー油、ごま油、とうもろこし油、落花生油、カポック油、ひまわり油、こめ油、米ぬか油、やし油、パーム核油、パーム油、オリーブ油、桐油、あまに油、魚油、牛脂、豚脂、乳脂肪、マーガリン、バター、ショートニングなど、これら動植物性油脂やその硬化油などを単独もしくは組合せて使用することができる。
本発明に用いることができる乳化剤の種類としては、市販される食用に適した乳化剤であれば何れも採用可能であり、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどを単独もしくは組合せて使用することができる。これらの中でも、シュガーレスソフトキャンディ製造時の操作性、固化性の容易さ、仕上がったシュガーレスソフトキャンディの食感、仕上がり時のシュガーレスソフトキャンディの品質などから、レシチンやグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤の使用が好ましく、特に好ましいのはレシチンとグリセリン脂肪酸エステルとの併用である。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの調製で使用される上述の油脂、乳化剤、ゲル化剤などの配合量は、本発明の実施を妨げない範囲であれば、通常のソフトキャンディの調製で使用される公知の処方量が採用可能である。例えば、油脂については0.1〜30.0重量%、好ましくは2.0〜20.0重量%、更に好ましくは3.0〜15.0重量%、特に好ましくは5.0〜10.0重量%である。乳化剤については0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%、更に好ましくは0.10〜1.0重量%、特に好ましくは0.30〜0.50重量%である。ゲル化剤については0.01〜5.0重量%、好ましくは0.10〜3.0重量%、更に好ましくは0.50〜2.0重量%、特に好ましくは1.0〜1.5重量%である。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの製造にあたって、上記原料を配合する他は公知の方法が採用できる。また本発明の製造過程で、ソフトキャンディ原料液の調製に使用される非結晶性糖アルコール、結晶性糖アルコール、酒石酸塩、油脂、乳化剤、ゲル化剤などの各成分について、添加方法や溶解方法に特に制限はなく、任意の時期に調製して良いが、調製時の操作性を考慮すると、油脂や乳化剤は予め混合しておくか、更に種結晶を使用する場合はそれらと一緒に混合し懸濁させてから使用するか、油脂、乳化剤、種結晶、酒石酸塩を予め混合し懸濁させてから使用する等の方法が好ましい。また、ゲル化剤については、予め水に膨潤させるか溶解させた状態としたものが好ましく、添加時期も他のシュガーレスソフトキャンディ原料を全て包含させ、最後にゲル化剤を添加する方法が、調製時の操作性の点で好ましい。これらの成分を含有し、所定の固形分濃度まで煮詰められたソフトキャンディ原料液は、冷却工程を経て、ソフトキャンディ原料液から結晶性糖アルコールの晶出が徐々に始まり、熟成工程、成形工程などを経て最終的に柔らかい食感を有したシュガーレスソフトキャンディを得ることが出来る。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの形成を有利に進めるには、ソフトキャンディ原料液の調製段階で得られる非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液の固形分濃度を80.0〜99.9重量%になるまで煮詰め、その前後で必要な原料を投入し、冷却し、結晶性糖アルコールを晶出させていくことが、シュガーレスソフトキャンディとした時の成形性や保形性、結晶性糖アルコールの晶出のし易さ、最終製品の柔らかさなどが効果的に現れる点で好ましく、該固形分濃度として更に好ましくは85.0〜98.0重量%、特に好ましくは88.0〜97.0重量%、最も好ましくは90.0〜95.0重量%である。
本発明に係るシュガーレスソフトキャンディについて、製造方法の一例を以下に示す。
1.水に糖アルコールを添加し加熱溶解する。糖アルコールの溶解を効率的に進めるため、130℃近くまで加熱し煮詰めても良い。
2.完全に糖アルコールが水に溶解したら、水溶液を冷却し、約80℃程度になった時点で、油脂、乳化剤、酒石酸塩、種結晶用糖アルコール粉末を添加し、十分に攪拌する。
3.攪拌終了後、ゼラチン水溶液を加え、さらに1分間、十分に攪拌する。
4.約40℃の恒温装置の中で12〜24時間熟成させる。
5.適当な形に成形する。
本発明者によると、上述のようにして調製されたシュガーレスソフトキャンディは、短期間に結晶化及び固化が進行し、成形性に優れ、噛んだ時に歯つきが少なく、保形性に優れ、適度な柔らかさを維持したシュガーレスソフトキャンデイとすることが可能であった。
上述の効果の中でも成形性については、型枠へのソフトキャンディ原料液の押し込み作業や、型枠からの取り外しといった加工時の操作性で評価されたが、本発明品はいずれも良好な結果が得られた。
上述の効果の中でも保形性については、温度40℃、相対湿度65%に調製した恒温恒湿器内で14日保存し、保存前と保存後におけるシュガーレスソフトキャンディの直径の増加率で評価された。本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの場合、直径の増加率は25%以下、好ましくは23%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは18%以下であり、加湿加温状態下でダレが生じ難いことが認められた。
上述の効果の中でもシュガーレスソフトキャンディの柔らかさの評価については、破断強度測定装置として、レオメーター(型番:RE−33005−1、RE−33005−2、株式会社山電製)、プランジャー(型番:No.49、くさび型)、荷重センサー(20kgfロードセル、型番:LC−3305−2K、株式会社山電製)、サンプル厚さ計(型番:HC−3305−01、株式会社山電製)の装置を用いて、格納ピッチ0.05秒、プランジャー進入速度1mm/sec、測定歪み率90%、解析用ソフトウェア(破断強度解析 BAS-3305W Ver.1.0004)の条件で、対象サンプルへのプランジャーの押し込みに要する力の大きさを破断強度とし、柔らかさを評価した。測定歪み率とは、対象サンプルの高さに対してプランジャーによって押し込まれた距離の比率を指し、測定歪み率90%という状態は、測定サンプルの高さに対して、その90%に相当する距離まで押し込まれた状態を指す。
上記の測定装置及び測定方法によって計測される破断強度は、本発明に係るシュガーレスソフトキャンディの場合、16000gf以下、好ましくは14000gf以下、更に好ましくは13000gf以下、特に好ましくは10000gf以下、最も好ましくは8500gf以下の水準であり、ソフトキャンディとして好ましい柔らかさを維持していることが認められた。
上述の効果の中でも歯つきについては、訓練された専門のパネリストによる官能検査により評価し、噛んでも歯にくっつきが生じ難く、良好な結果であることが認められた。
本発明のシュガーレスソフトキャンディには、上記で例示した原料成分以外に、本発明の実施を妨げない範囲で、種々の高甘味度甘味料、糖類、フレーバー類、酸味料類、有機酸類、アミノ酸類、調味料類、ビタミン類、色素類、着色料類、などを添加しても良い。
高甘味度甘味料でその例を挙げれば、アスパルテーム、グリチルリチン、サッカリン、ステビオシド、レバウシド、アセスルファムK、スクラロース、ズルチン、アリテーム、トリクロロシュクロース等が挙げられる。
糖類でその例を挙げれば、虫歯にならないことや、カロリーが低いなどの特性を有するパラチノースや左旋糖(L−シュガー類)、トレハロースなどが好ましい糖類として例示される。
フレーバーでその例を挙げれば、ペパーミント、スペアミント、メントールなどのミント系フレーバー、フルーツフレーバー、バニラフレーバーなどを添加することができる。
各種酸味料類、各種有機酸類、各種アミノ酸類でその例を挙げれば、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、酢酸、食酢、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどであり、これらの塩類も使用可能である。
以下、実施例を交えて、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
シュガーレスソフトキャンディの調製(その1)
結晶性糖アルコールとしてキシリトール(商品名:キシリット、東和化成工業株式会社製)120g、非結晶性糖アルコールとして固形分含有量70重量%の還元澱粉糖化物(商品名:PO−20、東和化成工業株式会社製)128.6g(固形物換算重量90.0g)、非結晶性糖アルコールとして粉末還元澱粉糖化物(商品名:PO−10、東和化成工業株式会社製)90gの糖アルコールを用いて、水30gを添加して約130℃まで加熱し糖アルコールを溶解させた後、室温で放冷し、ソフトキャンディ原料液(糖アルコール水溶液)を得た。
油脂としてショートニング(商品名:コルディー30、日清オイリオ株式会社製)27.6gを用い、そこに乳化剤としてレシチン(試薬鹿1級:関東化学株式会社製)0.4gとグリセリン脂肪酸エステル(商品名:SYグリスターTS−5S、坂本薬品工業株式会社製)1.0gを加えて60℃に加温して溶解させた。次いでこの溶液に、酒石酸塩として酒石酸水素カリウム(試薬SAJ特級、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)0.30g、種結晶用の糖アルコール粉末としてキシリトール粉末(商品名:キシリット微粉、東和化成工業株式会社製)50gを添加し、攪拌してスラリー状にしたものを60℃に加温し、これを上述の糖アルコール水溶液の温度が80℃になった時点で、徐々に添加しよく混合して、ソフトキャンデイ原料液を調製した。
次いで、ゲル化剤としてゼラチン(商品名:AP−100、新田ゼラチン株式会社製)4.0gを用い、それに水6.0gを加えて60℃に加温したゼラチン水溶液を調製し、それをソフトキャンデイ原料液中に添加し、ミキサー(品名:ケンミックスアイコーA−907D型、株式会社愛工舎製作所製)を用いて1分間攪拌した。
攪拌した上記ソフトキャンディ原料液を、内表面にラップフィルムが敷き詰められた半球状の容器(ボール)内に流し込み、周囲のラップフィルムで原料液を包み、これをボールから取り出して、室温下で約1時間放冷した。
放冷後、ラップフィルムに包まれた状態のまま40℃の恒温層に入れて24時間静置し、可塑性のソフトキャンディが得られた。包んでいたラップフィルムを取り外し、可塑性のソフトキャンディを3gづつ取り出して、専用のスタンピング方式による型抜き機に押し込んでスタンピングし、直径18.9mm、厚さ10.0mmの円盤状のシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品1とした。
型枠及び成形時の詳細は以下の通りである。
シュガーレスソフトキャンディの成形に使用した型枠は、杵の外径が18.9mmの下杵を有した金属製の土台、外径40.3mm×高さ30.0mmの金属製の円盤で内部に内径18.9mmの円筒状空間を有する金属性臼、杵の外径が18.9mmの金属製の上杵、以上の3点からなり、それぞれが任意に脱着可能なスタンピング式のキャンディ成形用の型枠である。本発明では、臼に下杵を装填した後、そこに3gのソフトキャンディ原料液を押し込み、次いで上杵を装填し、約20kgfの力で約3秒間上杵を押し込みシュガーレスソフトキャンディの成形を行った。上杵による押し込み後、上杵及び下杵を取り外し、臼に残る成形されたシュガーレスソフトキャンディを上杵で軽く押出して臼から取り外し、直径18.9mm、厚さ10.0mmの円盤状に成形されたシュガーレスソフトキャンディ製品を得た。
実施例2
シュガーレスソフトキャンディの調製(その2)
溶解してソフトキャンディ原料液として使用するキシリトールの使用量を142.5gに変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を67.5g(固形物換算重量47.3g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を110.3gにそれぞれ変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品2とした。
実施例3
シュガーレスソフトキャンディの調製(その3)
酒石酸塩として酒石酸水素カリウムに代わって酒石酸カリウムナトリウム四水和物(試薬特級、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)0.403g(固形物換算重量0.30g)を用いた他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品3とした。
実施例4
シュガーレスソフトキャンディの調製(その4)
酒石酸水素カリウムの添加量を0.038gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品4とした。
実施例5
シュガーレスソフトキャンディの調製(その5)
酒石酸水素カリウムの添加量を3.83gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品5とした。
実施例6
シュガーレスソフトキャンディの調製(その6)
酒石酸水素カリウムの添加量を11.5gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品6とした。
実施例7
シュガーレスソフトキャンディの調製(その7)
溶解してソフトキャンディ原料液として使用するキシリトールの使用量を135gに変更し、種結晶用に使用するキシリトール粉末の使用量を35gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品7とした。
実施例8
シュガーレスソフトキャンディの調製(その8)
ゲル化剤として使用するゼラチンの使用量を3.5gに変更し、別のゲル化剤としてカラギーナン0.5gを使用した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品8とした。
実施例9
シュガーレスソフトキャンディの調製(その9)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールをマルチトールに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用するマルチトール(商品名:アマルティMR50、東和化成工業株式会社製)の使用量を170g、種結晶用に使用するマルチトール粉末(商品名:レシス微粉、東和化成工業株式会社製)の使用量を90gに変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を64.3g(固形物換算重量45.0g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を45gにそれぞれ変更し、酒石酸水素カリウムの使用量を0.80gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品9とした。
実施例10
シュガーレスソフトキャンディの調製(その10)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールをソルビトールに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用するソルビトール(商品名:ソルビットDP50、東和化成工業株式会社製)の使用量を160g、種結晶用に使用するソルビトール粉末(商品名:ソルビットDP50、東和化成工業株式会社製)の使用量を60gに変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を92.9g(固形物換算重量65.0g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を65gにそれぞれ変更し、酒石酸水素カリウムの使用量を0.60gに変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品10とした。なお、種結晶用に使用したソルビトールは、50メッシュ篩を通過した粉末である。
実施例11
シュガーレスソフトキャンディの調製(その11)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールをラクチトールに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用するラクチトール一水和物(商品名:ミルヘン、東和化成工業株式会社製)の使用量を157.8g(固形物換算重量150.0g)、種結晶用に使用するラクチトール粉末(商品名:ミルヘン微粉、東和化成工業株式会社製)の使用量を21.04g(固形物換算重量20.0g)に変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品11とした。
実施例12
シュガーレスソフトキャンディの調製(その12)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールをマンニトールに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用するマンニトール(商品名:マンニットS、東和化成工業株式会社製)の使用量を80g、種結晶用に使用するマンニトール粉末(商品名:マンニットP、東和化成工業株式会社製)の使用量を10gに変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を185.7g(固形物換算重量130.0g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を130gにそれぞれ変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品12とした。
実施例13
シュガーレスソフトキャンディの調製(その13)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールを還元パラチノースに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用する還元パラチノース一水和物(商品名:パラチニットPNタイプ、新三井製糖株式会社製)の使用量を147.3g(固形物換算重量140.0g)、種結晶用に使用する還元パラチノース粉末(商品名:パラチニットPNPタイプ、新三井製糖株式会社製)の使用量を21.04g(固形物換算重量20.0g)に変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を135.7g(固形物換算重量95.0g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を95gにそれぞれ変更した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品13とした。
実施例14
シュガーレスソフトキャンディの調製(その14)
実施例1で使用した結晶性糖アルコールであるキシリトールをエリスリトールに変更し、溶解してソフトキャンディ原料液として使用するエリスリトール(商品名:エリスリトール、三菱化学フーズ株式会社製)の使用量を100g、種結晶用に使用するエリスリトール粉末(商品名:エリスリトール微粉、三菱化学フーズ株式会社製)の使用量を20gに変更し、非結晶性糖アルコールであるPO−20の使用量を164.3g(固形物換算重量115.0g)に、非結晶性糖アルコールであるPO−10の使用量を115gにそれぞれ変更した他は、実施例1と同一の方法で、シュガーレスソフトキャンディを調製し、これを実施品14とした。
比較例1
シュガーレスソフトキャンディの調製(その15)
溶解してソフトキャンディ原料液として使用するキシリトールの使用量を135gに変更し、種結晶用に使用するキシリトール粉末の使用量を35gに変更し、酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品1とした。
比較例2
シュガーレスソフトキャンディの調製(その16)
溶解してソフトキャンディ原料液として使用するキシリトールの使用量を135gに変更し、種結晶用に使用するキシリトール粉末の使用量を35gに変更し、酒石酸水素カリウムに代わってクエン酸(SAJ一級、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)0.30gを使用した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品2とした。
比較例3
シュガーレスソフトキャンディの調製(その17)
溶解してソフトキャンディ原料液として使用するキシリトールの使用量を135gに変更し、種結晶用に使用するキシリトール粉末の使用量を35gに変更し、酒石酸水素カリウムに代わって酒石酸(試薬特級、ナカライテスク株式会社製)0.30gを使用した他は、実施例1と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品3とした。
比較例4
シュガーレスソフトキャンディの調製(その18)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例9と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品4とした。
比較例5
シュガーレスソフトキャンディの調製(その19)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例10と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品5とした。
比較例6
シュガーレスソフトキャンディの調製(その20)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例11と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品6とした。
比較例7
シュガーレスソフトキャンディの調製(その21)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例12と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品7とした。
比較例8
シュガーレスソフトキャンディの調製(その22)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例13と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品8とした。
比較例9
シュガーレスソフトキャンディの調製(その23)
酒石酸水素カリウムを使用しなかった他は、実施例14と同一の方法でシュガーレスソフトキャンディを調製し、これを比較品9とした。
上記、実施例及び比較例で用いられた原料の配合量については、固形物換算重量をg単位で表したものを表1〜表3に記載した。
Figure 0004384016
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シュガーレスソフトキャンディの成形性
実施例及び比較例で調製される各々のシュガーレスソフトキャンディについて、成形性を評価した。成形性とは、ソフトキャンディ原料に全ての成分を配合して調製された後の型抜きを行う際の加工性について評価した。評価は、◎:ベトつかず型抜きが容易であり非常に良好な成形性を備えている、○:ベトつきが少なく型抜きが容易であり良好な成形性を備えている、△:ベトつきがあり型抜きは容易でなく成形性は好ましくない、×:非常にベトついており型抜きには困難を要し成形性は悪い、以上の基準で評価した。
シュガーレスソフトキャンディの歯つき
実施例及び比較例で調製される各々のシュガーレスソフトキャンディを噛んだ時の歯つきについて、訓練された専門のパネリストにより評価した。評価は、◎:噛んでも歯にくっつかず極めて良好な噛み心地を有する、○:初期は噛んでも歯つきが少なく暫く噛み続けると若干歯つきを感じる程度であり良好な噛み心地を有する、△:噛んだ時に歯つき感を感じ噛み心地が良くない、×:噛んだ時に歯つき感が強く噛み心地が悪い、以上の基準で評価した。
シュガーレスソフトキャンディのダレ
各実施例及び比較例で調製された、スタンピング工程前の段階で得られる可塑性のソフトキャンディを、平らな台の上に置き、それをローラーで厚さ10mmの均一な板状になるまで引延ばした。厚さ10mmの板状に引延ばした可塑性のソフトキャンディに、直径40mmの円形の型枠を押し込む型抜きを行い、直径40mm、厚さ10mm、1個の平均重量が15gの円盤状物を得て、これをソフトキャンディのダレを測定するサンプルとした。
各実施例及び比較例で調製された測定用サンプルを5個づつ用意し、それぞれを温度40℃、相対湿度65%に設定した恒温恒湿器内(型番:ETAC−FX210P、楠本化成株式会社製)に14日間保存し、保存前と保存後でのシュガーレスソフトキャンディの直径の変化を測定し、直径増加分を保存前の直径で除した値を増加率として、5個の増加率の平均値を%で表した。ダレの評価としては、増加率が25%以下であれば許容される範囲のダレの少なさであると判定され、好ましくは23%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは18%以下である。一方、増加率が30%を越えるとダレの評価としては好ましくないものと判定される。
シュガーレスソフトキャンディの柔らかさ
各実施例及び比較例で調製された、1個の平均重量が3gで、直径18.9mm、厚さ10.0mmの円盤状のシュガーレスソフトキャンディを5個づつ用意し、それらをレオメーターにより鉛直方向に対象サンプル厚さの90%(9mmに相当する距離)までプランジャーを侵入させる方法で破断強度測定を行い、柔らかさを評価した。測定装置及び測定条件は以下の通りである。
○測定装置
レオメーター(型番:RE−33005−1、RE−33005−2、株式会社山電製)
プランジャー(型番:No.49、くさび型)
荷重センサー(20kgfロードセル、型番:LC−3305−2K、株式会社山電製)
サンプル厚さ計(型番:HC−3305−01、株式会社山電製)
○測定条件
格納ピッチ0.05秒
プランジャー進入速度1mm/sec
測定歪み率90%
解析用ソフトウェア(破断強度解析 BAS-3305W Ver.1.0004)、
シュガーレスソフトキャンディの柔らかさについては、破断強度が16000gf以下であれば許容される範囲の柔らかさであると判定され、好ましくは14000gf以下、更に好ましくは13000gf以下、特に好ましくは10000gf以下、最も好ましくは8500gf以下の各水準の柔らかさが所望される。一方、破断強度が17000gf以上になると、シュガーレスソフトキャンディとしては好ましくない柔らかさの水準となり、18000gf以上になると非常に硬いと判断される水準になる。
シュガーレスソフトキャンディの固化に要する時間
酒石酸塩を添加することにより、固化に要する時間がどの程度改善されるかを確認するため、酒石酸塩を添加して調製される実施品1と、酒石酸塩を添加せずに調製される比較品1をサンプルとして、固化に要する時間を測定した。シュガーレスソフトキャンディの調製では、使用される原料全てを配合し、それを放冷した後、内表面にラップフィルムが敷き詰められた半球状の容器(ボール)内にソフトキャンディ原料液を流し込んで、これをボールから取り出して、室温下で約1時間放冷した。放冷後、ラップフィルムに包まれた状態のまま40℃の恒温層に入れ静置した。本発明では、ソフトキャンディ原料液を恒温層内に設置した時点を起点として固化に要する時間を測定した。固化の判定は、ラップフィルムに包まれたシュガーレスソフトキャンディの表面を指で直接触った時に、ベトついた感覚が完全になくなった時点で固化したものとみなした。
上述で実施した、シュガーレスソフトキャンディの成形性、歯つき、ダレ、柔らかさについて、各実施品による測定結果を表4及び表5に、各比較品による測定結果を表6に示す。また、固化に要する時間については表7に示す。測定結果からも明らかなように、本発明の実施品はいずれも成形性に優れ、歯つきが少なく、ダレが生じにくく、柔らかさにおいてもシュガーレスソフトキャンディとして好ましい柔らかさを有しており、固化に要する時間も短いなど優れた結果を示した。一方、実施品の対比で調製された各比較品については、成形性が悪く、噛んだ時に非常に歯つきが生じてしまい、実施品よりダレが生じ易く、柔らかさの水準もシュガーレスソフトキャンディとして許容される水準にはならなかった。
Figure 0004384016
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Claims (4)

  1. 非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合物を主成分とし、固形物換算で0.001〜5.000重量%の酒石酸塩を含有するシュガーレスソフトキャンディ。
  2. 非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの比率が5:95〜95:5である混合物を固形物換算で60.0〜99.9重量%含有する、請求項1に記載のシュガーレスソフトキャンディ。
  3. 非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液から、酒石酸塩の存在下で結晶性糖アルコールの晶出を行うことを特徴とするシュガーレスソフトキャンディの製造方法。
  4. 固形物含有量が80重量%以上になるまで非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合液を煮詰め、油脂、乳化剤、酒石酸塩、粉末状の結晶性糖アルコールを添加し、次いでゲル化剤を加え、熟成後、成形することを特徴とするシュガーレスソフトキャンディの製造方法。
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