JP2008109029A - 油入電気機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気機器本体が絶縁油を充填したタンク内に収納され、絶縁油の流路とならない部分に配置された絶縁ワッシャ3と絶縁アングル4のような絶縁部材同士が、重ね代5を介して組み合わされて一体的に構成された絶縁構造物を有する油入電気機器において、絶縁構造物の重ね代5部にスペーサ6を介在させて隙間7を形成した。
【選択図】図1
Description
従来の油入電気機器の絶縁構成として、例えば、巻線と絶縁物を備え、絶縁物同士を接合させて組み立て、巻線の絶縁を行う静止誘導機器において、絶縁物の接合面に突起を形成し、又は、係止用テープの貼付や粘着剤の塗布等の処置を施して、絶縁物相互の摩擦力を強化することにより位置ずれがないように固定する技術が開示されている。(特許文献1参照)。
例えば、発電所や変電所で使用される油入変圧器のような高電圧の油入電気機器では、非常に高い信頼性を要求されており、このため、絶縁耐力を低下する要因はわずかな懸念も取り除いて信頼性を確保する必要がある。
油入電気機器として、外鉄形変圧器を例にあげて説明する。図1は、外鉄形変圧器の巻線絶縁部分の部分断面の一例を示す図である。
一般に、変圧器は鉄心の脚部に高圧側巻線と低圧側巻線が巻回され、巻線同士及び巻線と鉄心間に絶縁物が挿入されて構成されている。鉄心,巻線,及びそれらを取り巻く絶縁物等で構成される変圧器本体(中身)は、絶縁油を充填したタンク(図示せず)内に収納されている。図1に示す部分は、低圧側巻線(図示せず)に対向する高圧側巻線の端部を示す部分断面図である。
絶縁構造物を絶縁ワッシャ3や絶縁アングル4のような複数の絶縁部材を組み合わせて構成するのは、複雑な構造の場合、単一の絶縁物では構成できず、また、材料の歩留まりや、加工の容易性、組立作業の利便性等を考慮してコスト低減を図るためである。
このような箇所に配置される絶縁構造物を複数の絶縁物を組み合わせて一体的に構成する場合には、従来は絶縁物同士を密着させて接合していた。
本実施の形態の発明の特徴とするところは、絶縁油の流路とならない箇所に配置され、複数の絶縁物同士が、重ね代を介して組み合わされて一体的に構成された絶縁構造物、すなわち、上記の絶縁ワッシャ3と絶縁アングル4とで構成されたような絶縁構造物において、重ね代5部にあえてスペーサ6を介在させて微小な隙間7を形成したことである。
巻線に絶縁構造物を組み込み、鉄心を組み立てて構成した変圧器本体をタンクに収納し、付属品を組み立てた後に絶縁油を注入するが、このとき、内部に気泡が残留すると絶縁耐力が大きく低下する。そこで、タンク内を真空引きした真空状態で、脱気した絶縁油を注油して油を満たすようにしている。こうすることで、残留する微量な空気が、脱気した油に溶解して気泡の残留が極少になる。
この過程において、絶縁物同士が密着した接合面を有する絶縁構造物がある場合、密着面にわずかな空気が残る虞があり、これが、気泡となって残留する懸念があった。この気泡を除去するためには、真空引作業での真空度を上げる必要がある。
図3は、接合面に微小な隙間を形成し絶縁油を含浸した絶縁構造モデルを、試験タンク内に収納し、タンク内部を真空引きしたときの、タンク内真空度とモデル内真空度の関係を示す図である。
絶縁構造モデルは、プレスボードのベース片にスペーサ片を貼り合わせて油隙を形成し、油隙寸法を0〜3.2mmに変化させたものを複数個用意し、タンク内を真空引きして、タンク内の真空度と同時に各モデル内の油隙部の真空度を測定した。
この結果、図に示すように、油隙寸法が0.8mm以上有れば、タンク内を真空引きしたとき、それに比例してモデル内の真空度も高くなるが、0.5mm以下に狭くなると到達真空度が急に悪くなることがわかった。絶縁物同士を密着させた場合には、到達真空度は更に悪くなり、10Torrよりも高くなった。
なお、必要以上に隙間を設ける必要はなく、隙間を設けることで絶縁構造物全体が大きくなるのを避けるためにも、例えば、絶縁物材料として使用されているプレスボードの一般的な厚さである、1.6mmや3.2mm以下に抑えるのが望ましい。
図4は実施の形態2による油入電気機器の絶縁物の接合個所を示す部分斜視図であり、実施の形態1の図2に相当する部分である。本図に示す以外の絶縁物の構成等は実施の形態1と同等なので、同等部分は同一符号を付して説明は省略し、相違点を中心に説明する。図2との相違点は、隙間を形成するスペーサの形状である。
なお、本構造においても、重ね代部の隙間7の寸法dについては、実施の形態1と同様に0.8mm以上とすれば、注油時の気泡の残留を効果的に抑制することができる。
3 絶縁ワッシャ 4 絶縁アングル
5 重ね代 6 スペーサ
7 隙間 8 スペーサ
9 接触箇所。
Claims (3)
- 電気機器本体が絶縁油を充填したタンク内に収納され、重ね代を介して一体的に組み合わされた複数の絶縁部材からなる絶縁構造物が、上記絶縁油の流路とならない部分に配置されて構成された油入電気機器において、
上記絶縁構造物の上記重ね代部にスペーサを介在させて隙間を形成したことを特徴とする油入電気機器。 - 請求項1記載の油入電気機器において、上記隙間の寸法を0.8mm以上としたことを特徴とする油入電気機器。
- 請求項1又は請求項2記載の油入電気機器において、上記スペーサはコルゲート加工した絶縁部材であることを特徴とする油入電気機器。
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2006
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