JP2018181976A - トランス、およびトランス用ボビン - Google Patents
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Abstract
【課題】巻枠にコイル二層分以上の高さの段差部が形成されたボビンであっても、コイルの巻線が精度良く整然と巻回されているトランスを提供する。
【解決手段】ボビン10bの巻枠20内に複数のコイル(P1、P2、S)が前後方向に延長する巻軸100に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランス1bであって、ボビンは矩形角筒状の巻軸部11を有し、複数のコイルは、絶縁テープを介して層状に配置されているとともに、前記巻枠の前後両端位置から所定の沿面距離(W1、W2)を隔てて配置されており、巻枠内において、巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部14bが形成され、段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺14sが外方に凸となる円弧状に形成されている。
【選択図】図5
【解決手段】ボビン10bの巻枠20内に複数のコイル(P1、P2、S)が前後方向に延長する巻軸100に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランス1bであって、ボビンは矩形角筒状の巻軸部11を有し、複数のコイルは、絶縁テープを介して層状に配置されているとともに、前記巻枠の前後両端位置から所定の沿面距離(W1、W2)を隔てて配置されており、巻枠内において、巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部14bが形成され、段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺14sが外方に凸となる円弧状に形成されている。
【選択図】図5
Description
本発明はトランス、およびトランス用ボビンに関する。
ボビンを用いたトランスでは、ボビンの巻き枠内に一次および二次巻線が巻回されている。コイルの巻軸方向を前後方向とすると、ボビンは、普通、巻線が巻回される筒状の巻軸部を有し、例えば、その巻軸部の前後両端面に鍔状に形成されたフランジが前後方向で互いに対面し、その対面領域がコイルの巻線が巻回される巻枠となっている。そして、商用電源に接続されるスイッチング電源用のトランスでは、ボビンの巻枠にコイルを配置する際、所定の安全規格に適合させるため、巻軸部の周囲に巻線が巻回されることで形成されるコイルの前後両端側に所定の沿面距離を確保する必要がある。一般的には、コイルの前後両端から巻軸の前後両端面に形成されているフランジまでが沿面距離となる。そして、一次および二次コイルの各巻き線の前後両端の外側には、目的とする沿面距離に相当する幅を有するバリアテープが配置されている。
また、最初に1本の巻線を巻枠内に巻回して一層目のコイルを形成したならば、その一層目のコイルの外層側に巻枠の前後長にわたって絶縁テープを配置し、一層目のコイルと2本目の巻線を巻回してなる二層目のコイルとの間を絶縁する。また、二層目のコイルの前後両端にもバリアテープを配置する。トランスは、このようにして、コイルを順次層状に形成することで構成される。
ところで、巻軸部に接する一層目のコイルについては、ボビンの巻軸部の前後両端に、一層分のコイルの高さの段差部を設け、その段差部をバリアテープの代わりにする場合もある。図1に、バリアテープに代替する段差部を設けたボビンの一例を示した。図1(A)は、当該ボビン10の斜視図であり、図1(B)は、ボビン10における巻枠20の領域を、巻軸100を含む面で切断したときの断面図である。図1(A)に示したように、ボビン10は、一次コイルと二次コイルの巻線を前後方向に導出させて、トランスが回路基板などに実装された際に、その実装面と巻軸100とが平行となる横型である。そして、図示したボビン10は、矩形角筒状の巻軸部11の前後両端面に鍔状に形成されたフランジ12を備え、当該フランジ同士(12、12)が対面する領域を巻枠20としている。
ここで、トランスが実装される回路基板などの実装面の法線方向を上下方向、前後および上下方向と直交する方向を左右方向とすると、巻軸部11は、前後方向から見ると、矩形の各辺が上下あるいは左右方向と平行となっている。また、各フランジ12の上下一方の端部には、端子台13が一体的に形成されている。そして、図1(B)に示したように、巻軸部11の前後両端側は、上下左右方向に所定の高さHで拡幅し、この拡幅した扁平角筒状の領域が段差部14として形成されている。なお、巻軸部11には、前後方向に貫通する矩形状の孔15が形成されており、この孔15には、EE型コアやEI型コアの中脚が挿入される。
図2にボビン10に段差部14を有するトランス1の概略図を示した。図2(A)は当該トランス1の等価回路図であり、例示したトランス1は、二つの一次コイル(P1、P2)と一つの二次コイルSを有している。図2(B)は、図2(A)に示したトランス1のコイル(P1、P2、S)をボビン10の巻枠20に配置したときの状態を示しており、ボビン10における巻枠20の領域を、巻軸100を含む左右方向と上下方向とを含む面で切断したときの断面図に対応している。そして、図2(B)に示したように、ボビン10の巻枠20には、巻軸部11に接する内層側から外方に向かって一次コイルP1、一次コイルP2、および二次コイルSがこの順で配置されている。
段差部14は、一次コイルP1の厚さtと同じサイズの高さHと、前後それぞれの沿面距離に相当する幅(W1、W2)を有している。そのため、一次コイルP1の巻線を巻軸部11の周囲に巻回すると、一次コイルP1は、所定の沿面距離(W1、W2)が確保されつつ、外周面21が段差部14の外周面16と段差がない状態で配置される。そして、一次コイルP1の外周面21には、巻枠20の前後長Lに渡って絶縁テープ22が巻回される。その絶縁テープ22の外周面23に一次コイルP2が配置される。また、巻枠20において、一次コイルP2の前後両端側には所定の沿面距離(W1、W2)を確保するためのバリアテープ24が配置される。さらに、一次コイルP2の外周面25には、絶縁テープ22が巻回され、二次コイルSがその絶縁テープ22の外周面26に配置される。そして、二次コイルSについても、前後両端側にバリアテープ24が配置され、二次コイルSの外周面27にも絶縁テープ22が配置される。
なお、以下の特許文献1には、バリアテープや段差部に替えて、巻芯(巻軸部)の前後一方の端部に角形の断面を有する沿面距離構成材を配置したトランスについて記載されている。また、以下の非特許文献1には、トランスの沿面距離に関する安全規格などについて記載されている。
ローム株式会社、"絶縁型フライバックコンバータ回路設計:トランス設計(構造設計)−その1"、[online]、[平成29年3月14日検索]、インターネット<URL:http://micro.rohm.com/jp/techweb/knowledge/acdc/acdc_pwm/acdc_pwm01/1061>
上述したように、トランスには各層のコイルが、上述した沿面距離を設けて配置されている。しかし、沿面距離を確保するためにバリアテープを用いる場合、バリアテープを配置するための工数が増えて製造コストを低減することが難しくなる。また、バリアテープ自体にも部品コストが掛かる。上記特許文献1に記載のトランスにおいても、バリアテープをシリコンゴムなどからなる沿面距離構成材に代替しただけであり、製造コストを低減させることができない。部品コストについてはバリアテープよりも高くなる可能性もある。したがって、段差部を備えたボビンを用いてトランスを構成すれば、少なくとも一層分のコイルについては、バリアテープを用いずに巻線を巻回することができる。そして、樹脂の一体成形品であるボビンの製造コストは、段差部の有無に関わらず、同じであると言える。したがって、全てのコイルの沿面距離をバリアテープによって確保するより、段差部を設けたボビンを用いることでコストダウンが図れる。
しかしながら、トランスには、他の電子部品と同様に、さらなるコストダウンが常に求められている。そこで、段差部の高さを二層分以上のコイルの高さにすることで、バリアテープとそれを配置する工程をさらに削減することが考えられる。ところが、巻枠内に積層状態で配置される複数のコイルの各層間には巻枠の前後長にわたって絶縁テープを配置する必要があり、段差部の高さを二層分以上にすると、一層分のコイルを巻回した時点では、段差部の高さを残した状態で絶縁テープを巻回することになる。そのため、特に、段差部が矩形角筒状の場合、前後方向から見て段差部の矩形平面形状の角の部分で絶縁テープに皺が寄る。そして、二層目のコイルの巻線を、その皺の寄った絶縁テープの上から巻回することになる。それによって、二層目以降のコイルの巻線を整然と精度良く巻回することが難しくなる。すなわち、コイルの表面を平坦にすることができない。そのため、トランスの特性に個体差が生じ易くなる。巻回中の巻線に張力を掛けてコイルの表面を強制的に平坦にすることも考えられるが、細い巻線では断線する可能性がある。可能な限り皺が寄らないように絶縁テープを慎重に巻回すれば、作業効率が悪化し、製造コストが増大する。
そこで本発明は、巻枠にコイル二層分以上の高さの段差部が形成されたボビンを備えつつ、コイルの巻線を精度良く整然と巻回することができるトランスと、そのトランス用のボビンを提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ボビンの巻枠内に、複数のコイルが前後方向に延長する巻軸に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランスであって、
前記前後方向に直交する2方向を上下方向および左右方向として、
前記ボビンは、前記巻枠内に、前記コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記複数のコイルは、絶縁テープを介して層状に配置されているとともに、前記巻枠の前後両端位置から所定の沿面距離を隔てて配置され、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランスとしている。
前記前後方向に直交する2方向を上下方向および左右方向として、
前記ボビンは、前記巻枠内に、前記コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記複数のコイルは、絶縁テープを介して層状に配置されているとともに、前記巻枠の前後両端位置から所定の沿面距離を隔てて配置され、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランスとしている。
また、本発明の範囲には、複数のコイルが前後方向に延長する巻軸に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランス用のボビンも含まれており、当該ボビンの一態様は、
巻枠内に、コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランス用ボビンとしている。
巻枠内に、コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランス用ボビンとしている。
本発明に係るトランスによれば、巻枠にコイル二層分以上の高さの段差部が形成されたボビンを備えている。それによって、バリアテープの使用量が削減され、より安価に提供することができる。また、絶縁テープに皺が寄らず、コイルの巻線が精度良く整然と巻回され、個体差が無い、均一な特性を確保することができる。
また、本発明に係るトランス用ボビンによれば、巻枠にコイル二層分以上の高さの段差部を備えて、バリアテープの使用量を低減させることができるとともに、コイルの巻線を整然と巻回することができる。それによって、トランスの特性を均一にすることができ、かつ安価なトランスを提供することができる。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===段差部について===
まず、本発明の実施例に係るトランスについて説明する前に、トランスのボビンにコイル二層分以上の高さの段差部を設けることによる問題点について具体的に説明する。図3に、コイル二層分の高さの段差部14aが形成されたボビン10aを備えたトランス(以下、従来例に係るトランス1aとも言う)を示した。なお、図3に示した従来例に係るトランス1aの等価回路は、図2(A)に示した等価回路と同じである。また図3を含め、以下の図では、図1、図2と同様にして、トランスやボビンにおける前後方向、上下方向、および左右方向を規定している。そして図3(A)は、従来例に係るトランス1aを前後方向から見たときの正面図を示しており、図3(B)は、従来例に係るトランス1aの巻枠20の領域を前後上下の各方向を含む面で切断したときの断面図を示している。
まず、本発明の実施例に係るトランスについて説明する前に、トランスのボビンにコイル二層分以上の高さの段差部を設けることによる問題点について具体的に説明する。図3に、コイル二層分の高さの段差部14aが形成されたボビン10aを備えたトランス(以下、従来例に係るトランス1aとも言う)を示した。なお、図3に示した従来例に係るトランス1aの等価回路は、図2(A)に示した等価回路と同じである。また図3を含め、以下の図では、図1、図2と同様にして、トランスやボビンにおける前後方向、上下方向、および左右方向を規定している。そして図3(A)は、従来例に係るトランス1aを前後方向から見たときの正面図を示しており、図3(B)は、従来例に係るトランス1aの巻枠20の領域を前後上下の各方向を含む面で切断したときの断面図を示している。
図3(A)に示したように、従来例に係るトランス1aは、ボビン10aの巻軸部11の前後両端に高さHの段差部14aが形成されており、この高さHは、二つの一次コイル(P1、P2)を積層したときの設計上の厚さに設定されている。しかし、各一次コイル(P1、P2)の層間には、絶縁テープ22が配置されるため、その絶縁テープ22が、前後方向から見たときに矩形平面形状を有する段差部14aの角14cの部分で皺になり易い。図3(B)に皺の発生状態を模式的に示した。図3(B)において、巻軸100に対して紙面下側には、前後方向から見たときに矩形平面形状を有する段差部14aの辺14sの部分における絶縁テープ22と一次コイル(P1、P2)の配置状態が示されており、巻軸100に対して紙面上側には段差部14aの角14cの部分における絶縁テープ22と一次コイル(P1、P2)の配置状態が示されている。
そして、巻軸100に対して紙面下側に示した段差部14aの辺14sの部分では、最も内層に配置される一次コイルP1の外周面21に配置される絶縁テープ22が、段差部14aと一次コイルP1の表面形状に追従する。そのため、段差部14aの辺14sの部分における絶縁テープ22の配置状態が段差部14aの全周にわたって実現されているのであれば、一次コイルP1の外層側に積層される一次コイルP2の巻線を整然と巻回することができる。
しかし、巻軸100に対して紙面上側に示した段差部14aの角14cの部分では、互いに隣接する2辺(14s−14s)に沿って配置された絶縁テープ22に余剰分が生じ、その余剰分が皺となる。すなわち、絶縁テープ22を段差部14aと一次コイルP1の表面形状に沿って配置することが難しくなり、一次コイルP1の上下両端側に、絶縁テープ22が一次コイルP1の外周面21から浮いた領域30ができる。したがって、段差部14aの角14cの部分では、一次コイルP2の巻線を整然と巻回することが難しくなる。もちろん、一次コイルP2の外層に配置される二次コイルSの巻線も整然と巻回することが難しくなる。
==実施例==
上述したように、トランスのボビンにおいて、バリアテープに代替する段差部を巻軸部の前後両端に設ける場合、その段差部の高さが大きくなると、コイルの巻線を整然と巻回することが難しくなる。そこで本発明の実施例に係るトランスでは、ボビンにおける段差部の形状を工夫することで、段差部の角の部分において、絶縁テープに皺が寄り難くしている。図4に、本発明の実施例に係るトランスのボビン10bを示した。図4(A)は、実施例に係るトランスのボビン10bを示す斜視図であり、図4(B)、(C)、および図4(D)は、それぞれ、当該ボビン10bを左右方向から見たときの側面図、前後方向から見たときの正面図、および上下方向から見たときの平面図である。なお、実施例に係るトランスの等価回路は、図2(A)に示したトランス1と同様であり、ボビン10bの巻枠20には、二つの一次コイルP1、P2と一つの二次コイルSが配置される。
上述したように、トランスのボビンにおいて、バリアテープに代替する段差部を巻軸部の前後両端に設ける場合、その段差部の高さが大きくなると、コイルの巻線を整然と巻回することが難しくなる。そこで本発明の実施例に係るトランスでは、ボビンにおける段差部の形状を工夫することで、段差部の角の部分において、絶縁テープに皺が寄り難くしている。図4に、本発明の実施例に係るトランスのボビン10bを示した。図4(A)は、実施例に係るトランスのボビン10bを示す斜視図であり、図4(B)、(C)、および図4(D)は、それぞれ、当該ボビン10bを左右方向から見たときの側面図、前後方向から見たときの正面図、および上下方向から見たときの平面図である。なお、実施例に係るトランスの等価回路は、図2(A)に示したトランス1と同様であり、ボビン10bの巻枠20には、二つの一次コイルP1、P2と一つの二次コイルSが配置される。
図4に示したように、実施例に係るトランスのボビン10bの外観や基本的な構造は、従来例に係るトランスのボビンとほぼ同様であり、角筒状の巻軸部11の前後両端面に平板状のフランジ12を備え、そのフランジ12の下方に端子台13が一体的に形成されている。また、巻軸部11の前後両端側に段差部14bを備えている。しかし、本実施例のトランスでは、ボビン10bにおける段差部14bの形状が従来のものとは異なっている。
図5に、本実施例に係るトランス1bを示した。図5(A)は、トランス1bを前後方向から見たときのボビン10bの段差部14bの平面形状を示している。なお、ここでは巻軸部11と段差部14b以外の構成を省略し、段差部14bと巻軸部11を、それぞれ異なるハッチングで示した。図5(A)に示したように、本実施例に係るトランス1bでは、前後方向から見たときの段差部14bの平面形状が矩形ではなく、矩形の四辺の少なくとも互いに対向する2辺14sが外方に向かって凸となるように円弧状に形成されている。ここに示した例では、四辺14sの全てが円弧状に形成されている。それによって、この段差部14の周囲に絶縁テープを巻回すると、矩形における直線状の辺よりも長い距離にわたって絶縁テープを沿わせることになる。すなわち、角14cの部分では余剰分となる長さが短くなる。その結果、段差部14の角14cの部分で皺が寄り難くなる。
次に、図5(B)を参照しつつ、絶縁テープ22が、段差部14の角14cの部分で皺が寄り難くなるという作用について、より具体的に説明する。図5(B)は、本実施例に係るトランス1bにおけるコイル(P1、P2、S)の配置状態を示している。ここでは、ボビン10bの巻枠20の領域について、巻軸100に対して紙面下側に、段差部14の辺14sの部分における絶縁テープ22とコイル(P1、P2、S)の配置状態が示されており、巻軸100に対して紙面上側には段差部14bの角14cの部分における絶縁テープ22とコイル(P1、P2、S)の配置状態が示されている。
図5(B)において、巻軸100に対して紙面下側に示したように、最も内層に配置される一次コイルP1の外周面21に配置される絶縁テープ22は、段差部14bにおける円弧状の辺14sの中央付近では、段差部14bから一次コイルP1に至る表面形状に対する追従性が、直線状の辺に対して若干劣るものの、一次コイルP1の外周面21に対して大きな浮きは発生しない。したがって、段差部14bの辺14sの部分では、一次コイルP1の外層側に積層される一次コイルP2の巻線は、大きく乱れることなく整然と巻回される。
そして、絶縁テープ22は、段差部14bの角14cの部分では、段差部14bの円弧状の辺14sの部分において、直線状の辺よりも長い距離にわたって巻回されている。そのため、段差部14bの角14cにおける余剰分が少なくなり、大きな皺が寄り難くなる。その結果、段差部14の角14cの部分においても、一次コイルP1の外周面21に対して絶縁テープ22が大きく浮くことがなく、段差部14bの角14cの部分においても一次コイルP2の巻線を整然と巻回することができる。すなわち、本実施例のトランス1bでは、特性のバラツキを抑制することができる。なお、段差部14bにおける円弧状の辺14sの曲率半径は、トランス1bの特性に大きなばらつきが生じないように、各コイル(P1、P2、S)の巻線の太さや巻数などに応じて適宜に設定することができる。
===その他の実施例===
上記実施例のトランス1bでは、ボビン10bを前後方向から見たときに、段差部14bの形状が矩形の四辺の全てが外方に凸となるように円弧状に形成されていたが、互いに対向する2辺のみを円弧状に形成してもよい。図6に、矩形において、互いに対向する2辺のみが円弧状に形成された段差部(114、214)の例を示した。図6(A)に示した例では、段差部114は、上下方向で対向する2辺115が円弧状に形成され、左右方向で対向する辺116が直線状となっている。図6(B)に示した例では、段差部214は、左右方向で対向する2辺215が円弧状に形成され、上下方向で対向する2辺216が直線状となっている。そして、図6に示したように、段差部(114、214)の2辺(115、215)のみを円弧状に形成したボビンを用いたトランスでは、例えば、ボビンの上下、あるいは左右方向の一方の幅を縮幅することができ、トランスをより小型にすることができる。
上記実施例のトランス1bでは、ボビン10bを前後方向から見たときに、段差部14bの形状が矩形の四辺の全てが外方に凸となるように円弧状に形成されていたが、互いに対向する2辺のみを円弧状に形成してもよい。図6に、矩形において、互いに対向する2辺のみが円弧状に形成された段差部(114、214)の例を示した。図6(A)に示した例では、段差部114は、上下方向で対向する2辺115が円弧状に形成され、左右方向で対向する辺116が直線状となっている。図6(B)に示した例では、段差部214は、左右方向で対向する2辺215が円弧状に形成され、上下方向で対向する2辺216が直線状となっている。そして、図6に示したように、段差部(114、214)の2辺(115、215)のみを円弧状に形成したボビンを用いたトランスでは、例えば、ボビンの上下、あるいは左右方向の一方の幅を縮幅することができ、トランスをより小型にすることができる。
上記実施例に係るトランス1bは、横型であったが、端子が前後一方のみから導出されて、実装面の法線方向と巻軸100とが平行となる縦型であってもよい。また、上記実施例に係るトランス1bでは、ボビン10bの巻枠20に、二つの一次コイル(P1、P2)と一つの二次コイルSの合計三層のコイルが配置されて、段差部14bは、内層側の二つの一次コイル(P1、P2)を積層したときの厚さに相当する高さHを有していた。もちろん、コイルの層数は四層以上であってもよいし、段差部の高さについても、三層以上のコイルに対して沿面距離を確保するように形成されていてもよい。
1,1a,1b トランス、10,10a,10b ボビン、11 巻軸部、
12 フランジ、13 端子台、14,14a,14b,114,214 段差部、
14s,115,116,215,216 段差部の辺、14c 段差部の角、
20 巻枠、22 絶縁テープ、24 バリアテープ
12 フランジ、13 端子台、14,14a,14b,114,214 段差部、
14s,115,116,215,216 段差部の辺、14c 段差部の角、
20 巻枠、22 絶縁テープ、24 バリアテープ
Claims (2)
- ボビンの巻枠内に、複数のコイルが前後方向に延長する巻軸に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランスであって、
前記前後方向に直交する2方向を上下方向および左右方向として、
前記ボビンは、前記巻枠内に、前記コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記複数のコイルは、絶縁テープを介して層状に配置されているとともに、前記巻枠の前後両端位置から所定の沿面距離を隔てて配置され、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランス。 - 複数のコイルが前後方向に延長する巻軸に対して放射外方向に向かって層状に配置されてなるトランス用のボビンであって、
巻枠内に、コイルの巻線が巻回される矩形角筒状の巻軸部を有し、
前記巻枠内において、前記巻軸部の前後両端には、最も内側の層から二層分以上のコイルに対する沿面距離を確保する段差部が形成され、
前記段差部は、前後方向から見て矩形の少なくとも対向する二辺が外方に凸となる円弧状に形成されている、
ことを特徴とするトランス用ボビン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017076795A JP2018181976A (ja) | 2017-04-07 | 2017-04-07 | トランス、およびトランス用ボビン |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2017076795A JP2018181976A (ja) | 2017-04-07 | 2017-04-07 | トランス、およびトランス用ボビン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018181976A true JP2018181976A (ja) | 2018-11-15 |
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ID=64276921
Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2017
- 2017-04-07 JP JP2017076795A patent/JP2018181976A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2020067491A1 (ja) | 2018-09-27 | 2020-04-02 | テルモ株式会社 | 医療デバイス |
KR20210087278A (ko) * | 2020-01-02 | 2021-07-12 | 케이에이치필룩스 주식회사 | 보빈 및 이를 구비하는 변압 장치 |
KR102315447B1 (ko) * | 2020-01-02 | 2021-10-20 | 케이에이치필룩스 주식회사 | 보빈 및 이를 구비하는 변압 장치 |
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