JP4998381B2 - リアクトル、およびコンバータ - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車などのコンバータの構成部品などに利用されるリアクトルに関するものである。
並列される一対のコイルと、各コイルをそれぞれ配置するコイル巻回部を有する環状のコアとを備えるリアクトルは、例えば、ハイブリッド自動車のコンバータなどの構成部品として使用される。このリアクトルに対しては、配置スペースの関係上、以前から小型化の要請があった。このような要請に応えるリアクトルとして、例えば、特許文献1に記載のリアクトルが提案されている。
図5(A)は、従来のリアクトルの斜視図、図5(B)は、当該リアクトルに備わるコアの斜視図である。このリアクトル100は、並列して配置される一対のコイル3,4と、環状のコア200とを備える。コア200は、コイル3,4がそれぞれ配置されるコイル巻回部23,24と、コイル3,4に覆われずに露出する露出部210,220とを繋げることで環状に形成される。
コア200の露出部210(220)は、コイル巻回部23,24の外周面の延長面からコア200の厚さ方向に突出する突出部210A,210C(220A,220C)をする。この突出部210A,210C(220A,220C)により、磁気飽和することのない断面積が露出部210(220)に確保されるため、コイル巻回部23,24の軸方向に対する露出部210(220)の長さを、二点鎖線で示す従来の露出部よりも短くできる。また、突出部210A,210C(220A,220C)が突出するスペースは、従来、デッドスペースであった部分である。従って、突出部210A,210C(220A,220C)を形成することで、コア200の小型化、即ち、リアクトル1の小型化を実現することができる。
特開2004−327569号公報
近年、ハイブリッド自動車などに対して需要が拡大するリアクトルは、小型であるだけでなく軽量であることも望まれている。しかし、特許文献1の技術は、小型化の要請は満たすものの、軽量化の要請に応えているとは言い難い。
具体的には、コア200は、磁性体である鉄を主として構成されるため、非常に重い。しかも、コア200の露出部210(220)は、コイル巻回部23,24の軸方向に短くなっているものの、体積は従来と変わらないため、その重量も軽くなっているとは言えない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の一つは、小型でありながら、軽量であるリアクトルを提供することにある。
本発明は、並列して配置される一対のコイルと、各コイルに覆われるコイル巻回部およびコイルに覆われることなく露出する露出部を有する環状のコアとを備えるリアクトルに係る。コアの露出部は、並列される一対のコイル巻回部の端面全体と接合する基部と、基部からコイル巻回部の外周面の延長面よりもコアの厚さ方向に突出する突出部とを有する。そして、この突出部が、一対のコイルの並列方向における中間を含む領域が最も突出量が大きい形状であることを特徴とする。
本発明リアクトルによれば、基部から突出する突出部により、磁気飽和することのない断面積を露出部に確保することができる。従って、露出部をコイル巻回部の軸方向に短くしても、磁束方向に直交する断面の面積が小さくなり過ぎて、露出部が磁気飽和することがなく、リアクトルの小型化を実現することができる。
また、突出部は、一対のコイルの並列方向における中間を含む領域が最も突出する形状である。言い換えれば、前記並列方向にわたって突出量が等しい突出部と比べた場合、並列方向の両端部側の領域を切り欠いたような構成である。この切り欠いた部分は、仮に存在しても、磁束があまり通らない部分であることを本発明者は試験により確認している。従って、本発明リアクトルの構成によれば、突出部を設けることで小型化を図ったリアクトルに比べて、特性を低下させることなく露出部の体積を減少させることができるので、コアの軽量化、即ち、リアクトルの軽量化を達成することができる。
以下、本発明の好ましい態様について説明する。
本発明リアクトルの一形態として、コアの突出部におけるコイル巻回部の軸に直交する断面の形状は、前記延長面側から離れるに従い幅が小さくなる概略台形状であることが好ましい。
このような形状であれば、コアの体積を減少させる割合を高くすることができ、しかも、減少させる割合を高くしてもリアクトルの特性が低下し難い。
本発明リアクトルの一形態として、コアの突出部におけるコイル巻回部の軸に直交する断面の形状は、角部のない形状であることが好ましい。
角部を有するコアは、この角部において磁束があまり通らないため、リアクトルの特性に影響しない。突出部を角部のない形状とすると、リアクトルの特性を低下させることなく軽量化することができる。
本発明リアクトルの一形態として、コアの露出部における磁束方向と直交する断面の面積は、前記コイル巻回部の磁束方向と直交する断面の面積以上であることが好ましい。
この構成によれば、露出部において磁束密度が高くなり過ぎて磁気飽和することがなくなるので、リアクトルの特性の低下を防止することができる。
本発明リアクトルの一形態として、コアの突出部は、リアクトルが取り付けられる取り付け面側に突出しており、突出部全体で取り付け面に当接するように、取り付け面の形状に沿った形状に形成されていることが好ましい。
リアクトルの取り付け面側に突出する突出部全体で取り付け面に当接することで、コアを介してリアクトルで発生した熱を効率よく放熱することができる。また、突出部は、コイル巻回部の外周面から突出する量がコイルの並列方向に異なるので、立体的な形状であると言える。そのため、リアクトルを取り付け面に配置したときに突出部と取り付け面とが係合するので、取り付け面に対するリアクトルの位置決めを行うことができる。なお、「突出部が取り付け面の形状に沿った形状に形成されている」とは、突出部の形状に合わせて、取り付け面の形状を変更することも含む。
本発明の構成によれば、磁気特性を低下させることなく、小型で軽量なリアクトルとすることができる。
以下、図面を参照して、本発明リアクトルの実施形態を説明する。
<実施形態1>
図1(A)は、実施形態1に係るリアクトルの斜視図、図1(B)は、当該リアクトルに備わるコアの斜視図である。また、図2(A)は、実施形態1に係るリアクトルの正面図、図2(B)は、当該リアクトルの左側面図である。
<リアクトルの全体構成>
図1、2に示すように、リアクトル1は、環状のコア2と、コア2に外周を覆うように配置されるコイル3,4とを備える。また、このリアクトル1は、コア2とコイル3,4との間に配置され、両者の絶縁を確実にするインシュレータ5を備える。このリアクトル1は、リアクトル1を取り付けるための取り付け面(紙面下側の面)に載置・固定されている。取り付け面は、リアクトルを収納するケースがある場合、ケースの底面である。また、リアクトルを冷却するための冷媒流路を備える冷却ベースにリアクトルを直接取り付ける場合、冷却ベースの外周面が、取り付け面となる。
<コイル>
コイル3,4は、後述するコイル巻回部23,24に巻回される巻線からなる。巻線は、導体と導体の周囲を覆う絶縁性の被覆とからなり、導体には導電性に優れる金属材料を、絶縁性の被覆にはエナメルなどを利用することができる。また、巻線として、その断面形状が円形、楕円形、多角形などの種々の形態を有するものを利用できる。特に、断面矩形の平角線は、断面円形のものに比べてコイルの占積率を高くすることが容易である。
コイル3の一端31とコイル4の一端41は、ジョイント部Jで連結されて、コイル3とコイル4とは電気的に接続されている。また、コイル3の他端32とコイル4の他端42は、コイル巻回部23,24から離れるように引き出され、リアクトル1に通電するための端子となる。従って、コイル3,4に通電すると、環状のコア2を周回する磁路が形成される。
<コア>
コア2は、コイル3,4が巻回されるコイル巻回部23,24と、コイル3,4に覆われずに露出する露出部21,22とを有する。コア2は、並列されるコイル巻回部23,24の一方の端部に露出部21が接続され、他方の端部に露出部22が接続されることで、環状に形成されている。
コイル巻回部23,24は、直方体状であり、通常、複数の磁性材部がギャップ部gを介して接合されて構成される。磁性材部は、例えば、軟磁性粉末の圧粉成形体や電磁鋼板の積層体を利用できる。ギャップ部gは、磁性部材の間に介在されて、コア2のインダクタンスを調節するために用いられ、アルミナなどの非磁性材料で構成される。
一方、露出部21,22は、コイル巻回部23,24と同様に磁性部材から構成され、通常、ギャップ部を有さない。露出部21,22は、磁束方向と直交する断面の面積が、前記コイル巻回部23,24の磁束方向と直交する断面の面積以上となるように形成されている。これにより、露出部21,22における磁束密度が増加しないようになっている。
また、露出部21(22)は、基部21B(22B)と、この基部21B(22B)から突出する突出部21A,21C(22A,22C)とからなる。これら基部21B(22B)と突出部21A,21C(22A,22C)とは、以降の説明において、図中の点線で示すように仮想的に分離して説明するが、実際には一体に形成されている。また、露出部21と22の構造は、同じであるので、以降は代表して露出部21のみ説明する。
基部21Bは、コア2の厚さ方向(紙面上下方向)にコイル巻回部23,24の厚さに等しい厚さを保った状態で、一対のコイル巻回部23,24の端面全体と接合する。仮に、基部21Bが、コイル巻回部23,24の端面の一部とのみ接合する構成であると、リアクトルの特性が著しく低下する。
突出部21Aは、露出部21のうち、基部21Bから取り付け面と反対側(紙面上側)に向かって突出する部分である。突出部21Aは、一対のコイルの並列方向における中間を含む領域が最も突出量が大きい。突出部21Aの突出量が大きい領域は、比較的多くの磁束が通る部分である。この露出部21を正面から見ると(リアクトルの左側面図である図2(B)を参照)、コイル巻回部の外周面の延長面(基部21Bと突出部21Aとの境界部である点線の部分に等しい)から離れるに従って幅が小さくなる概略台形状である。つまり、突出部21Aにおけるコイル巻回部の軸(図2(B)の紙面垂直方向)に直交するいずれの断面も、前記延長面側から離れるに従い幅が小さくなる一様な大きさの台形状断面である。
上述した形状の突出部21Aは、図5(B)で示した従来の突出部210Aを有するコア200に対して、突出部210Aの両端側が切り欠かれたようになっている。この切り欠かれた分だけ、本実施形態のコア2は軽量化されており、その結果、リアクトル1の軽量化も達成されている。ここで、切り欠かれた部分は、仮に存在したとしても、磁束があまり通らない部分である。そのため、本実施形態の突出部21Aのような形状であったとしても、リアクトル1の特性が低下することがない。
なお、突出部21Aは、コイル巻回部23,24の軸方向(図2(A)の紙面左方向、図2(B)の紙面垂直方向)に、コイル巻回部23,24から離れるに従って突出量が小さくなるようにしても良い。この場合、突出部21Aにおけるコイル巻回部23,24の軸に直交する概略台形状の断面は、コイル巻回部23,24から離れるに従って、台形の高さが低くなるように変化する。その他、さらなる軽量化のために、台形の角になっている部分にアールを持たせて、実質的に角部のない形状としても良い。
一方、突出部21Cは、リアクトル1を取り付けるための取り付け面側(紙面下側)に向かって基部21Bから突出する部分である。突出部21Cは、取り付け面に接触するコイル3,4と面一になるように突出しており、取り付け面に対向する端面が平滑な面となっている。そのため、突出部21Cの端面全体で取り付け面に接触し、コア2に生じる熱を効率よく取り付け面に放熱することができる。
以上説明した本実施形態の構成によれば、コア2の露出部21,22が、突出部21A,21C,22A,22Cを有するため、この露出部21,22をコイル巻回部23,24の軸方向に短くすることができる。その結果、コア2を小型化することができる。また、コア2の突出部21A,22Aのうち、仮にあったとしても磁束があまり通過しない部分を切り欠いているので、リアクトル1の特性を低下させることなくコアの軽量化、即ち、リアクトルの軽量化を達成することができる。
<実施形態2>
実施形態2に係るリアクトルを図3に基づいて説明する。実施形態1からの変更点は、リアクトルが取り付けられる取り付け面側に突出する突出部21Cの形状のみであるので、この変更点を中心に説明する。
このリアクトル1の突出部21Cは、コイル3,4の並列方向の中間を含む領域が、コイル巻回部23,24の外周面の延長面からコア2の厚さ方向(紙面下方向)に最も突出しており、突出部21Aを上下逆にした形状である。即ち、突出部21Cは、図1の突出部21Cの角部分を切り欠いたような形状になっている。この切り欠かれた部分は、仮に存在したとしても磁束のあまり通らない部分であるので、リアクトル1の特性が大きく低下することはない。
本実施形態の構成とすることにより、実施形態1に比べて、さらにコアを軽量化できる。また、リアクトル1を取り付け面に取り付けるときに、突出部21Cと取り付け面との係合により、取り付け面に対するリアクトル1の位置決めを容易に行うことができる。
<変形例>
突出部の形状は、中間を含む領域が最も突出量が大きくなるように形成されていれば良く、実施形態1や2に記載のような断面台形状のものに限定されない。例えば、図4(A)に示すように、突出部21Aの断面を概略三角形状に形成しても良い。その他、突出部は、その断面がドーム状になるように形成しても良い。
尚、本発明の実施の形態は、上述したものに限定されるわけではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、変更することができる。例えば、図2(B)において、露出部21,22は、紙面左右方向にコイル巻回部23,24の外周面の延長面よりも突出する部分を有していても良い。
本発明のリアクトルは、磁気特性に優れると共に、小型・軽量であるので、例えばハイブリッド自動車のコンバータの構成部品などに好適に利用可能である。
(A)は、実施形態1に係るリアクトルの斜視図、(B)は、当該リアクトルに備わるコアの斜視図である。 (A)は、実施形態1に係るリアクトルの正面図、(B)は当該リアクトルの左側面図である。 (A)は、実施形態2に係るリアクトルの斜視図、(B)は当該リアクトルに備わる視図である。 変形例に示すリアクトルの左側面図であって、突出部が概略三角形状のものである。 (A)は、従来のリアクトルの斜視図、(B)は、当該リアクトルに備わるコアの斜視図である。
符号の説明
1 リアクトル
2 コア g ギャップ部
21,22 露出部
21B,22B 基部 21A,21C,22A,22C 突出部
23,24 コイル巻回部
3,4 コイル
31,41 コイルの一端 32,42 コイルの他端 J ジョイント部
5 インシュレータ
100 リアクトル
200 コア
210,220 露出部
210B 基部 210A,210C,220A,220C 突出部

Claims (5)

  1. 並列して配置される一対のコイルと、各コイルに覆われるコイル巻回部およびコイルに覆われることなく露出する露出部を有する環状のコアとを備えるリアクトルであって、
    前記露出部は、並列される一対のコイル巻回部の端面全体と接合する基部と、基部からコイル巻回部の外周面の延長面よりもコアの厚さ方向に突出する突出部とを有し、
    前記突出部は、一対のコイルの並列方向における中央部を含む領域が最も突出量が大きい形状であり、
    リアクトルが取り付けられる取り付け面側に突出する突出部は、前記取り付け面に対向する端面全体で前記取り付け面に当接するように、前記取り付け面の形状に沿った形状に形成されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記突出部における前記コイル巻回部の軸に直交する断面の形状は、前記延長面側から離れるに従い幅が小さくなる概略台形状であることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記突出部における前記コイル巻回部の軸に直交する断面の形状は、角部のない形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル。
  4. 前記露出部における磁束方向と直交する断面の面積は、前記コイル巻回部の磁束方向と直交する断面の面積以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトルを用いたことを特徴とするコンバータ。
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