JP2008101357A - 既設構造物の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強作業時に既設構造物の内部の使用状態を維持できるとともに、補強作業にかかる使用材料量を削減でき、費用を削減できる既設構造物の補強構造を提供すること。
【解決手段】既設構造物に対する外力の作用時に、既設構造物に生じる水平力を伝達する水平力伝達部材400と、一端が水平力伝達部材400に結合され、他端が地盤Gに固定されるよう傾斜配置され、水平力伝達部材400からの水平力伝達により生じる圧縮力及び引張力を処理可能な高剛性の補強軸材100、200と、を含むことを特徴とする、既設構造物の補強構造が提供される。かかる構成によれば、補強軸材100、200は、水平力を、軸方向に伝達させ、地盤Gに伝達することができ、水平力伝達部400材及び補強軸材100、200は、既設構造物に対して適切に耐震補強等の補強を施すことができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、既設構造物の補強構造に関する。
近年、地震等によって既設構造物が崩壊等するという被害が多発し、既設構造物の耐震強度が問題となっている。また、既設構造物の耐震強度だけでなく、既設構造物を拡張する際や、既設構造物に重量の大きな装置や物品等を積載する際にも、耐震強度が問題となる。そこで、耐震強度を増す既設構造物の補強が、盛んに行われている。
鉄骨で構成された既設構造物の耐震補強の場合、従来の一般的な既設構造物の補強として、既設部材であるブレース、柱、及び梁等の補強が、行われている。この補強は、例えば、ブレース、柱、及び梁等の構造部材に補強部材を接合し、構造部材の断面積を増加させ、耐震強度を高めるというものがある。この補強として、例えば、構造部材がH型鋼などの場合、H型鋼のフランジ間に外板を溶接等で接合したり、構造部材が等辺山形鋼である場合、構造部材の等辺山形鋼に同一の等辺山形鋼を溶接等で接合したり、柱に外板等を接合する等の、補強がされる。
このような構造部材に補強部材を取付ける補強では、既設構造物の内部の補強をする必要がある。よって、当該補強をする際に、既設構造物内での作業が発生するため、既設構造物内部の使用状態を維持できない。
また、他の補強方法として、特許文献1〜3に開示された方法がある。
特許文献1に開示された耐震補強構造は、地震等による外力(以下、地震力という。)によって、木造建築の柱等が浮き上がることを防止するものである。また、特許文献2に開示された耐震補強構造は、既設構造物に対して免振レトロフィットを施す場合又は曳家等を行う場合の耐震補強をおこなうものである。また、特許文献3に開示された耐震補強構造は、既設構造物の外部に設置された架構等によって、耐震補強を行うものである。
特開2003−268985号公報 特開2003−278391号公報 特開2003−286773号公報
しかし、上述の構造部材に補強部材を取付ける補強には、既設構造物の内部の使用状態を維持できないという問題があり、多くの構造部材に溶接等を施すために多くの労力及び費用がかかるという問題があり、また、多くの構造部材に補強部材を取付けるため、使用鋼材量が多くなり、多額の費用がかかるという問題があった。
また、特許文献1に開示された耐震補強構造は、柱等の浮き上がりを防止するためのものであり、柱等に加わる地震力を軽減することは、できない。また、当該補強構造は、地震力により既設構造物から伝達された引張力は処理できるが、圧縮力は処理できず、適切な補強効果が得られないという問題があった。
また、特許文献2に開示された耐震補強構造は、既設構造物に対して永久的に耐震補強を施すものではないという問題があった。また、当該補強構造は、補強に伴い、支持体、プレキャストコンクリートブロック、プレストレスを導入したPC鋼棒、及びクリアランス調整用のジャッキ等が必要であるため、構造部材及び使用器具が多く、それらの管理が複雑で、労力及びコストがかかるという問題があった。
また、特許文献3に開示された耐震補強構造は、既設構造物の外部に設置した架構で補強等を行う。よって、架構の柱に地震力を伝達させる部材が必要であった。また、地震力を処理するために当該柱は、軸方向と垂直な方向に高い強度が要求され、部材が大きくなった。したがって、使用鋼材量が多くなり、コストが増すという問題があった。また、当該補強構造は、補強架構を4方向に設置するため、極低降伏点鋼を使用し、その表面に対し鏡面仕上げ又はフッ素樹脂層を貼り付ける等の必要があった。そのために、労力及びコストが増加するという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、補強作業時に既設構造物の内部の使用状態を維持できるとともに、補強作業にかかる使用材料量を削減可能で、費用を削減可能な、新規かつ改良された既設構造物の補強構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、既設構造物に対する外力の作用時に既設構造物に生じる水平力を伝達する水平力伝達部材と、一端が水平力伝達部材に結合され、他端が地盤に固定されるよう傾斜配置され、水平力伝達部材からの水平力伝達により生じる圧縮力及び引張力を処理可能な高剛性の補強軸材と、を含むことを特徴とする、既設構造物の補強構造が提供される。
かかる構成によれば、水平力伝達部材は、地震等により既設構造物に外力(地震力等)が作用したときに既設構造物に生じる水平力を、補強軸材に伝達することができる。すなわち、構造部材を伝達する力は高い剛性を有する部材に集中するという特性により、水平力を補強軸材に伝達することができる。また、補強軸材は、水平力伝達部材から伝達された水平力を、軸方向に伝達させ、地盤に伝達することができる。すなわち、補強軸材は、水平力を軸力として処理することができる。よって、水平力伝達部材及び補強軸材は、既設構造物に対して適切に耐震補強等の補強を施すことができる。
また、補強軸材の一端は、水平力伝達部材の端部に連結され、補強軸材の他端は、既設構造物の屋外において地盤に固定されてもよい。かかる構成によれば、補強軸材は、既設構造物の屋外に配置することができる。よって、当該補強を成す補強工事中及び補強工事後において、工事前の既設構造物の使用状態を維持することができる。
また、水平力伝達部材は、既設構造物の既設部材又は既設部材に結合された追加補強梁であってもよい。かかる構成によれば、既設部材が水平力を伝達可能な強度を有さない場合等において、外部鉄骨梁が当該水平力を補強軸材に伝達することができる。
また、既設構造物に複数の水平力伝達部材が互いに略平行に配設され、複数の水平力伝達部材のうちの少なくとも1つ以上に、補強軸材がそれぞれ結合されてもよい。かかる構成によれば、水平力を複数の水平力伝達部材に分配することができ、複数の水平力伝達部材それぞれに接続された補強軸材に伝達することができる。よって、複数の補強軸材は、水平力を分担して地盤に伝達することができる。
また、複数の水平力伝達部材にそれぞれ結合された複数の補強軸材を相互に連結する第1連結材をさらに含んでもよい。かかる構成によれば、第1連結材は、各補強軸材の支点間距離を短縮し、各補強軸材の面外方向への「はらみ現象」すなわち、座屈を防止することができる。
また、補強軸材の略中間部と、既設構造物又は地盤とを連結する第2連結材をさらに含んでもよい。かかる構成によれば、第2連結材は、既設構造物と接続された場合、既設構造物から水平力の伝達を受け、この水平力を補強軸材に伝達することができる。よって、既設構造物からの水平力は、第2連結材、補強軸材を順次に介して、地盤又は既設構造物へと伝達されて処理されうる。また、第2連結材は、補強軸材の支点間距離を短縮し、補強軸材の面外方向への「はらみ現象」すなわち、座屈を防止することができる。
以上説明したように本発明によれば、補強作業時に既設構造物の内部の使用状態を維持できるとともに、補強作業にかかる使用材料量を削減でき、費用を削減できる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物の補強構造について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物の補強構造を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態は、既設構造物10と、3機のタンク20と、第1補強軸材100と、第2補強軸材200と、第1連結材310〜340と、水平力伝達部材400A、400B、400Cと、を含む。
既設構造物10は、一例として、以下では、主要構造部材を鉄骨で構成された工場等の大型建築物であるとする。また、既設構造物10は、略3層構造を成すとして以下では説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。既設構造物10は、例えば、マンション等の一般の構造物であってもよい。尚、既設構造物10のx軸方向の位置を、x軸正の方向(紙面左方)から、順次、a〜l通と区画して、以下では説明する。
タンク20は、既設構造物10の最上層である第3層内部に配置される。タンク20は、A−A線とB−B線との間において、B−B線よりA−A線に近い位置に配置される。また、タンク20は、相当な重量を有し、既設構造物10に新たに積載される。よって、既設構造物10は、当該タンク20を最上層内部に新たに積載することにより、地震等の外力に対する強度を増す必要があるとして、以下では説明する。
すなわち、本実施形態では、説明の便宜上、補強を施す既設構造物10として、新たに相当な荷重を有するタンク20を積載することにより、耐震補強が必要となった既設構造物10であるとして、以下では説明する。すなわち、タンク20を積載しない状態において既設構造物10は、十分な耐震強度を有するが、タンク20を積載することにより、地震等の外力が加わった際に発生する水平力を処理できず、耐震強度を増す補強が必要となったものとして、以下では説明する。
しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、新たに積載する物品は、その重量により耐震補強等が必要となる物ならばよい。すなわち、本発明は、新たな物品の積載、拡張や外装の変更等に伴い耐震補強が必要となった既設構造物にも適用できる。また、新たにタンク20等を積載せずに、単に耐震補強の必要性が生じた既設構造物であればよい。また、本発明の既設構造物10の補強構造は、既設構造物にのみ施されるものではなく、新たに新設される構造物にも、適用されうる。また、既設構造物10に作用する外力としては、地震等の地震力に限られず、クレーン等の走行や、積載物の移動等に伴い発生する反作用力等であってもよい。
また、ここで、水平力とは、上記地震等の外力が既設構造物10に作用した際に、タンク20、既設構造物10及び他の積載物等により発生する水平方向の力を意味する。以下では、説明の便宜上、この水平力としてタンク20により発生するものを中心に説明する。
本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、第1補強軸材100と、第2補強軸材200と、第1連結材310〜340と、水平力伝達部材400A、400B、400Cと、を含む。
尚、本実施形態において、既設構造物10の補強構造は、地震等による外力が加わった際に、タンク20及び既設構造物10によって生じた水平力を、図1のx軸正の方向に伝達させ、地盤Gに逃がす。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。すんわち、本発明は、図1のx軸負の方向、y軸正負の方向、又は任意の方向に、水平力を伝達させてもよい。また、水平力を伝達させる方向は、1方向以上でもよい。
水平力伝達部材400A、400B、400Cは、水平力を伝達するための構造物である水平力伝達部材の一例であり、x軸方向に沿って略水平方向に、互いに略平行となるよう延設される。水平力伝達部材400Aは、A−A線上に、配置され、一端をb通において第1補強軸材100に接続される。水平力伝達部材400B、400Cは、B−B線上に配置される。また、水平力伝達部材400Cは、一端をb通において第2補強軸材200に接続される。
第1補強軸材100は、b通において一端を水平力伝達部材400Aの端部に接続され、a通において他端を地盤Gと固定され、傾斜配置される。また、第2補強軸材200は、b通において一端を第1層中段の既設部材により構成された水平力伝達部材400Cの端部に接続され、a通において他端を地盤Gと固定され、傾斜配置される。第1補強軸材100と第2補強軸材200とは、略平行となるように配置される。尚、a通は、既設構造物10の屋外を通る地点に設定される。
また、第1連結材310〜340は、それぞれ、一端を第1補強軸材100に連結され、他端を第2補強軸材200に連結される。
以上が、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の上方からの概要構成である。また、次に、図2を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の概要構成を、既設構造物の側面から説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造を示す側面図である。尚、図2は、既設構造物10の補強構造を図1のy軸負の方向から見た側面図である。また、既設構造物10は、地表の高さをFL0とし、地表からの高さをFL1〜FL6(図4参照)の高さに分けて、以下では説明する。すなわち、図2において、既設構造物10の第1層は、FL0からFL2の上方までの高さを有し、第2層は、FL2の上方からFL3までの高さを有し、第3層は、FL3からFL4までの高さを有する。尚、第1層の一部は、FL2までの高さを有する(図6参照)。
既設構造物10は、上述のように、第3層(FL3上)に、3機のタンク20を有する。また、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、更に、第2連結材110〜130を含む。
第2連結材110は、FL1の第1補強軸材の略中間部と、既設構造物10のFL1に備えられた既設の水平力伝達部材(図3参照)と、に接続される。また、第2連結材120は、FL1の第1補強軸部材の略中間部と、FL0の既設構造物10とに接続される。また、第2連結材130は、第2連結材120の略中間部と、既設構造物10のFL1に備えられた既設の水平力伝達部材と、に接続される。
水平力伝達部材400Aは、b〜d通においてFL2に配置され、d〜e通においてFL2とFL3との間を連結し、e〜k通においてFL3に配置され、k〜l通においてFL3とFL2との間に傾斜配置される。また、b通〜l通において、水平力伝達部材400Bは、第1層の屋根部に配置され、水平力伝達部材400Cは、FL5に配置される。
第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、補強軸材の一例であり、角型鋼管で形成される。また、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、既設構造物10の主要な構造部材のうちで最も高い剛性を有する。また、荷重は、剛性の高い構造部材に集中するという特性により、水平力は、第1補強軸材100及び第2補強軸材200に集中して伝達される。また、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、水平力を軸方向に伝達し、地盤Gに伝達することができる。よって、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、この水平力を軸方向の軸力(圧縮力及び引張力)として処理できる高い剛性を有する。尚、このような補強軸材をバットレスとよぶ。
水平力伝達部材400A、400B、400Cは、水平力伝達部材の一例であり、既設部材または追加補強梁で構成される。すなわち、水平力伝達部材400Aは、一部を追加補強梁で構成され、残りを既設部材で構成される。また、水平力伝達部材400Bは、既設部材である既設の梁で構成される。そして、水平力伝達部材400Bは、複数の既設部材(梁、柱、ブレース等)が一体形成されて構成される。
このような水平力伝達部材は、水平力を補強軸材に伝達する部材である。つまり、地震等の外力が加わることで、タンク20等によって生じた水平力を、第1補強軸材100又は第2補強軸材200等の補強軸材に伝達(処理)可能な部材である。よって、既設部材がこの水平力を伝達するのに十分な強度を有していれば、水平力伝達部材は、当該既設の部材等であってよく、新たに追加補強部材を配置しなくてもよい。のなお、追加補強梁及び既設の梁は、傾斜配置されてもよい。
第1連結材310〜340は、第1補強軸材100と第2補強軸材200とに接続されることで、第1補強軸材100と第2補強軸材200とのそれぞれの支点間距離を短縮し、座屈を防止する座屈防止材の役割を担う。
第2連結材110、120は、第1補強軸材100と既設構造物10とに接続されることで、第1補強軸材100の支点間距離を短縮し、座屈を防止する座屈防止材の役割を担う。また、第2連結材130は、第2連結材120と既設構造物10とに接続されることで、第2連結材120の支点間距離を短縮し、座屈を防止する座屈防止材の役割を担う。
尚、ここで、座屈とは、軸方向に垂直荷重を受ける補強軸材等の部材に圧縮応力を加えると、その部材が、細長比の大きさによって面外方向にはらみ、荷重分担能力を失ってしまう現象を言う。但し、部材の長さ(支点間距離)が短い場合は、面外方向へのはらみが拘束されるため、長い部材の場合にのみ発生する現象である。よって、ここでは、当該支点間距離を短縮することにより座屈を防止することができる。このような座屈を防止しうる部材のことを、ここでは、横補剛材と呼ぶ。
本実施形態では、第2連結材110〜130は、図2のように配置されるが、本発明は、これに限定されるものではない。第2連結材が、第1補強軸材100の略中間部と、既設構造物10とを、任意の本数及び任意の位置で繋ぐことにより、本発明は、第1補強軸材100の支点間距離を短縮し、座屈を防止することができる。また、第2連結材110〜130は、他の部材、既設構造物、及び地表(FL0)によって、略三角形(トラス)を成すように、所定の位置に所定の本数配置することができる。
よって、例えば、第2連結材は、本実施形態における第1補強軸材100の略中間部と、既設構造物10のFL0の位置とに接続された、第2連結材120のみでもよく、第1補強軸材100の略中間部と、既設構造物10のFL1に備えられた既設の水平力伝達部材(図3参照)とに接続された、第2連結材110のみでのよい。
以上が、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の上方及び側方における概要構成である。このような構成を有する既設構造物10の補強構造のより詳細な構成及び作用等は、以下で説明する。また、次に、図3を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の構成を、詳しく説明する。
(既設構造物10の補強構造のA−A線における構成)
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造を、A−A線で切断した構成を示す断面図である。上述のように、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、第1補強軸材100と、第2連結材110〜130と、水平力伝達部材400Aと、を含む。タンク20が、既設構造物10の内部に配置される。
既設構造物10は、A−A線において、第1荷重支持既設梁31〜第3荷重支持既設梁33と、第1既設梁41〜第5既設梁45と、を含む。
第1荷重支持既設梁31〜第3荷重支持既設梁33は、FL3において第3層の床面に配置される。第1荷重支持既設梁31は、h通とi通との間に配置される。第2荷重支持既設梁32は、h通で第1荷重支持既設梁31に接続され、h通とg通との間に配置される。第3荷重支持既設梁33は、i通で第2荷重支持既設梁32に接続され、i通とj通との間に配置される。尚、第1荷重支持既設梁31〜第3荷重支持既設梁33は、水平力伝達部材400Aに含まれる既設部材の一例である。
第1既設梁41及び第2既設梁42は、FL3下方において第2層の屋根に配置される。第1既設梁41は、g通で第2荷重支持既設梁32に接続され、g通とf通との間に配置される。第2既設梁42は、f通で第1既設梁41に接続され、f通とe通との間に配置される。また、第3既設梁43、第4既設梁44、及び第5既設梁45は、FL2下方において第1層の屋根に配置される。第3既設梁43は、e通でe通に設置された柱を介して第2既設梁42と接続され、e通とd通との間に配置される。第4既設梁44は、d通で第3既設梁43と接続され、d通とc通との間に配置される。第5既設梁45は、c通で第4既設梁44と接続され、c通とb通との間に配置される。
なお、第1荷重支持既設梁31及び第2荷重支持既設梁32と、第1既設梁41〜第5既設梁45とのそれぞれは、各端部の各通(例えば、第1荷重支持既設梁31の場合、h通及びi通。)に配置された、既設の柱及びブレース等によって支持される。当該既設の構造については、一般的な既設構造物10の構造であってよいので、ここでは省略する。
また、タンク20は、j通とi通との間、i通とh通との間、h通とg通との間において第3層に配置される。すなわち、タンク20は、第1荷重支持既設梁31〜第3荷重支持既設梁33それぞれの上方近傍に積載される。
以下では、第3荷重支持既設梁33の上方近傍に配置されたタンク20の荷重についての説明は、他のタンク20と同様であるため省略する。
第1補強軸材100は、既設構造物10の端部(b通)の第2層上端(FL2)において、水平力伝達部材400Aの端部の一例である第5外部鉄骨梁450の端部に、一端を接続される。また、第1補強軸材100の他端は、a通においてFL0の地盤Gと固定される。この第1補強軸材100の他端の地盤Gに対する固定については、後に後述する。また、第1補強軸材100は、傾斜配置される。
第2連結材110は、一端をFL1の高さで既設構造物10の第1層の端部(b通)と結合される。すなわち、一端は、既設構造物10のFL1に配置された既設部材(梁)に接続される。この既設部材(梁)は、FL1に備えられた既設の水平力伝達部材の一例である。また、第2連結材110の他端は、第1補強軸材100の略中間部に接続される。また、第2連結材120は、一端をFL0の高さで既設構造物10の第1層端部(b通)と連結される。すなわち、一端は、既設構造物10のb通に配置された既設柱に接続される。また、第2連結材120の他端は、FL1の第1補強軸材100の略中間部と第2連結材110の他端とに連結される。また、第2連結材130は、一端をFL1の高さで既設構造物10の第1層の端部(b通)と、第2連結材110の一端と、に連結される。また、第2連結材130の他端は、第2連結材120の略中間部に接続される。
水平力伝達部材400Aは、一例として、追加補強梁である第1外部鉄骨梁410〜第5外部鉄骨梁450、外部鉄骨斜梁460、及び梁連結材461、462と、既設部材である上記の第1荷重支持既設梁31及び第2荷重支持既設梁32と、を含む。
第1外部鉄骨梁410は、g通とf通との間のFL3において第1既設梁41の上方に配置される。また、第1外部鉄骨梁410は、一端をg通において第1荷重支持既設梁31に接続され、g通とf通との間で適宜第1既設梁41に接続される。第2外部鉄骨梁420は、f通とe通との間のFL3において第2既設梁42の上方に配置される。また、第2外部鉄骨梁420は、一端をf通において第1外部鉄骨梁410に接続され、f通とe通との間で適宜第2既設梁42に接続される。
第3外部鉄骨梁430は、e通とd通との間のFL2において第3既設梁43の上方に配置される。また、第3外部鉄骨梁430は、一端をe通においてe通に設置された既設の柱を介して第2外部鉄骨梁420に接続され、f通とe通との間で適宜第3既設梁43に接続される。第4外部鉄骨梁440は、d通とc通との間のFL2において第4既設梁44の上方に配置される。また、第4外部鉄骨梁440は、一端をd通において第3外部鉄骨梁430に接続され、f通とe通との間で適宜第4既設梁44に接続される。第5外部鉄骨梁450は、c通とb通との間のFL2において第5既設梁45の上方に配置される。また、第5外部鉄骨梁450は、一端をc通において第4外部鉄骨梁440に接続され、c通とb通との間で適宜第5既設梁45に接続される。第5外部鉄骨梁450は、上述のように、b通において他端を第1補強軸材100の一端に接続される。
尚、各外部鉄骨梁410〜450とそれに対応する各既設梁41〜45(既設部材)との接続は、任意の方法で接続されてもよい。すなわち、この接続は、各既設梁41〜45上に直接、各外部鉄骨梁410〜450を溶接結合により成されてもよく、一定の間隔を空けて配置された1つ以上の柱が、各既設梁41〜45と各外部鉄骨梁410〜450との間に配置され、両者に溶接等によって結合されることで成されてもよい。
外部鉄骨斜梁460は、一端をe通のFL3において第2外部鉄骨梁420の端部に接続され、他端をd通のFL2において第3外部鉄骨梁430の端部と第4外部鉄骨梁440の端部とに接続される。
梁連結材461は、一端を外部鉄骨斜梁460の略中間部に接続され、他端をe通のFL2において第3外部鉄骨梁430の端部に接続される。また、梁連結材461は、傾斜配置される。梁連結材462は、一端を外部鉄骨斜梁460の略中間部と梁連結材461の一端とに接続され、他端を第3外部鉄骨梁430の略中間部に接続される。また、梁連結材462は、外部鉄骨斜梁460の略中間部と第3外部鉄骨梁430の略中間部とを垂直に結合する柱状に形成される。
また、上述の構成において、第1補強軸材100は、水平力伝達部材400Aから水平力の伝達を受けて、当該水平力を地盤Gに逃がす(伝達させる)役割を担う。また、第1補強軸材100は、水平力(応力)の伝達によって生じる圧縮力及び引張力を軸力によって処理することができ、水平力を軸方向に伝達することができる。このような役割を担う第1補強軸材100をバットレスという。
また、水平力伝達部材400Aは、タンク20等によって発生した水平力を、第2荷重支持既設梁から伝達され、第1補強軸材100に伝達する役割を担う。そして、第2連結材110〜第2連結材130は、第1補強軸材100の横補剛材として働き、第1補強軸材100の座屈を防止することができる。また、第2連結材110は、既設構造物10のFL1に設置された既設部材である梁から水平力の伝達を受け、その水平力を水平力伝達部材400Aに伝達することができる。
以上、図3を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のA−A線における構成について詳しく説明した。次に、以下では、図3を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のA−A線における各構成の作用について、詳しく説明する。
(既設構造物10の補強構造のA−A線における作用)
まず、地震等の外力が既設構造物10に作用した際、タンク20及び既設構造物10により上記水平力が生じる。この水平力は、i通からb通へと水平力伝達部材400Aを順次に伝達され、第1補強軸材100に伝達される。そして、水平力は、第1補強軸材100を軸方向に伝達され、地盤Gに伝達される。
すなわち、この水平力は、i通とh通との間のタンク20の場合、第1荷重支持既設梁31に伝達され、h通とg通との間のタンク20の場合、第2荷重支持既設梁32に伝達される。また、第1荷重支持既設梁31に伝達された水平力は、h通において第2荷重支持既設梁32に伝達される。なお、j通とi通との間のタンク20による水平力は上記同様に伝達されるため、ここでの詳しい説明は、省略する。
尚、第1荷重支持既設梁31と第2荷重支持既設梁32とは、タンク20による水平力、および、通常時のタンク20の荷重を処理可能(伝達可能)な強度を有するため、補強が成されていない。
第2荷重支持既設梁32に伝達された水平力は、g通において第1外部鉄骨梁410に伝達される。第1外部鉄骨梁410に伝達された水平力は、第1外部鉄骨梁410を水平に伝達し、f通において第2外部鉄骨梁420に伝達される。第2外部鉄骨梁420に伝達された水平力は、第2外部鉄骨梁420を水平に伝達し、e通において外部鉄骨斜梁460に伝達される。外部鉄骨斜梁460に伝達された水平力は、外部鉄骨斜梁460を斜めの軸方向に伝達し、d通において第4外部鉄骨梁440に伝達される。第4外部鉄骨梁440に伝達さえれた水平力は、第4外部鉄骨梁440を水平に伝達し、c通において第5外部鉄骨梁450に伝達される。第5外部鉄骨梁450に伝達された水平力は、第5外部鉄骨梁450を水平に伝達し、b通において第1補強軸材100に伝達される。第1補強軸材100に伝達された水平力は、第1補強軸材100の軸方向(斜め方向)に伝達し、a通において地盤Gに伝達され、処理されうる。
ここで、水平力伝達部材400Aは、追加補強部材(第1外部鉄骨梁410〜第5外部鉄骨梁450、外部鉄骨斜梁460、及び梁連結材461、462)を含むとした。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、既設部材によって、水平力が処理可能な場合、追加補強部材は、配置しなくてもよい。すなわち、例えば、第1荷重支持既設梁31及び第2荷重支持既設梁32に加え、既設部材(例えば、第1既設梁41〜第5既設梁45)が、水平力を伝達してもよい。
また、ここで、梁連結材461及び梁連結材462は、外部鉄骨斜梁460の支点間距離を短縮し、外部鉄骨斜梁460が座屈するのを防止することができる。すなわち、梁連結材461及び梁連結材462は、外部鉄骨斜梁460の略中間部を下方から支持することによって、外部鉄骨斜梁460の支点間距離を短縮することができる。
そして、第2連結材110及び第2連結材120は、第1補強軸材100の支点間距離を短縮し、第1補強軸材100が座屈するのを防止することができる。すなわち、第2連結材110及び第2連結材120は、第1補強軸材100の略中間部を下方から支持することによって、第1補強軸材100の支点間距離を短縮することができる。また、第2連結材110は、既設構造物10のFL1に設置された既設の梁を伝達する水平力の伝達を受け、この水平力を第1補強軸材100に伝達することができる。また、第2連結材130は、第2連結材120の支点間距離を短縮し、第2連結材120が座屈するのを防止することができる。すなわち、第2連結材130は、第2連結材120の略中間部を下方から支持することによって、第2連結材120の支点間距離を短縮することができる。
上述のように、梁連結材461、462は、外部鉄骨斜梁460の座屈防止材の一例であり、第2連結材110及び第2連結材120は、第1補強軸材100の座屈防止材の一例であり、第2連結材130は、第2連結材120の座屈防止材の一例である。また、これらの座屈防止材は、第1補強軸材100と既設構造物10と第2連結材110〜130と、又は、外部鉄骨斜梁460と第3外部鉄骨梁430とe通の既設構造物10とによって、略三角形(トラス)を形成するように配置されうる。本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、このように略三角形の形状を形成することにより、印加される荷重を効率よく分配することができる。
よって、例えば、第1補強軸材100等が座屈する恐れがない場合、すなわち、第1補強軸材100等が伝達される水平力に対して十分な軸力強度を有する場合、当該座屈防止材(第2連結材110〜130、梁連結材461、462)は、無くてもよい。また、例えば、第1補強軸材100の座屈防止材は、第2連結材120のみであってもよい。また、第2連結材120は、略垂直に形成され、第1補強軸材100の略中間部と地表とに直接接続されてもよい。すなわち、第2連結材120は、第1補強軸材100の略中間部を下方から垂直に支持することで、第1補強軸材100の支点間距離を短縮し、座屈を防止してもよい。
以上、図3を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のA−A線における構成及び作用について、詳しく説明した。次に、図4を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のB−B線における構成について、詳しく説明する。
(既設構造物10の補強構造のB−B線における構成)
図4は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造を、B−B線で切断した構成を示す断面図である。上述のように、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、第2補強軸材200と、水平力伝達部材400B、400Cと、を含む。また、既設構造物10の補強構造は、更に、補強ブレース500と、ブレース連結材510と、を含む。また、タンク20が、既設構造物10の内部に配置され、既設構造物10は、更に、第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57と、第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67と、を含む。
また、水平力伝達部材400Bは、一例として、既設構造物10の既設部材、すなわち第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57を含む。また、水平力伝達部材400Cは、一例として、既設構造物10の既設部材、すなわち第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67を含む。
第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57は、FL6上方において第1層の屋根に配置される。第1上段既設梁51は、i通とh通との間に配置される。第2上段既設梁52は、h通において第1上段既設梁51に接続され、h通とg通との間に配置される。第3上段既設梁53は、g通において第2上段既設梁52に接続され、g通とf通との間に配置される。第4上段既設梁54は、f通において第3上段既設梁53に接続され、f通とe通との間に配置される。第5上段既設梁55は、e通において第4上段既設梁54に接続され、e通とd通との間に配置される。第6上段既設梁56は、d通において第5上段既設梁55に接続され、d通とc通との間に配置される。第7上段既設梁57は、c通において第6上段既設梁56に接続され、b通とc通との間に配置される。また、第6上段既設梁56のc通における端部と、第7上段既設梁57のc通及びb通における両端部及び略中間部とは、補強ブレース500に接続される。
第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67は、FL5上方において第1層の中間層部に配置される。第1下段既設梁61は、i通とh通との間に配置される。第2下段既設梁62は、h通において第1下段既設梁61に接続され、h通とg通との間に配置される。第3下段既設梁63は、g通において第2下段既設梁62に接続され、g通とf通との間に配置される。第4下段既設梁64は、f通において第3下段既設梁63に接続され、f通とe通との間に配置される。第5下段既設梁65は、e通において第4下段既設梁64に接続され、e通とd通との間に配置される。第6下段既設梁66は、d通において第5下段既設梁65に接続され、d通とc通との間に配置される。第7下段既設梁67は、c通において第6下段既設梁66に接続され、b通とc通との間に配置される。また、第6下段既設梁66のc通における端部と、第7下段既設梁67のc通及びb通における両端部及び略中間部とは、補強ブレース500に接続される。そして、第7下段既設梁67のb通における端部は、第2補強軸材200に接続される。
なお、第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57と第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67とのそれぞれは、各端部の各通の間(例えば、第1上段既設梁51の場合、h通とi通と野間。)に配置された、既設の柱及びブレース等によって支持される。当該既設の構造については、一般的な既設構造物10の構造であってよいので、ここでは省略する。
また、本実施形態において第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57は、既設部材である複数の梁、複数の柱、複数のブレース等が一体形成されて構成される。
第2補強軸材200は、既設構造物10の端部(b通)の第1層の中間層部(FL5)において、水平力伝達部材400Cである第7下段既設梁67に一端を接続される。また、第2補強軸材200の他端は、a通においてFL0の地盤Gと固定される。この第2補強軸材200の他端の地盤Gに対する固定については、後に後述する。また、第2補強軸材200は、図4に示すように、傾斜配置される。そして、第2補強軸材200は、第1補強軸材100に対して略平行となるように配置される。
補強ブレース500は、b通とc通との間で、FL5とFL6との間に配置される。また、補強ブレース500は、第6上段既設梁56のc通における端部と、第7上段既設梁57のc通及びb通における両端部及び略中間部と、に接続される。そして、補強ブレース500は、第6下段既設梁66のc通における端部と、第7下段既設梁67のc通及びb通における両端部及び略中間部と、に接続される。
このような補強ブレース500は、新たに新設された補強用ブレースであってもく、当該箇所に設置された既設のブレース等に対して断面積を増やす補強を行うことにより、構成されてもよい。
また、上述の構成において、第2補強軸材200は、水平力伝達部材400Cから水平力の伝達を受けて、当該水平力を地盤Gに逃がす(伝達させる)役割を担う。また、第2補強軸材200は、水平力(応力)の伝達によって生じる圧縮力及び引張力を軸力によって処理することができ、水平力を軸方向に伝達することができる。このような役割を担う第2補強軸材200をバットレスという。
補強ブレース500は、第6上段既設梁56及び第7上段既設梁57を伝達した水平力を、第6下段既設梁66及び第7下段既設梁67に伝達させる役割を担う。
以上、図4を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のB−B線における構成について詳しく説明した。次に、以下では、図4を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のB−B線における各構成の作用について、詳しく説明する。
(既設構造物10の補強構造のB−B線における作用)
まず、地震等の外力が既設構造物10に作用した際、タンク20及び既設構造物10により上記水平力が生じる。この水平力の大半は、上述のようにA−A線において水平力伝達部材400Aと、第1補強軸材100とによって、地盤Gに伝達され処理されうる。しかし、この水平力(以下、単に水平力という。)は、図1においてy軸方向に伸びる既設構造物10の既設の構造部材(柱、梁、ブレース等)によって、B−B線上の水平力伝達部材400Bに伝達される。この水平力は、i通からb通へと水平力伝達部材400Bを順次に伝達され、補強ブレース500を介して水平力伝達部材400Cに伝達され、第2補強軸材200に伝達される。そして、水平力は、第2補強軸材200を軸方向に伝達され、地盤Gに伝達される。
すなわち、この水平力は、i通とh通との間のタンク20の場合、第1上段既設梁51に伝達され、h通とg通との間のタンク20の場合、第2上段既設梁52に伝達される。また、第1上段既設梁51に伝達された水平力は、h通において第2上段既設梁52に伝達される。なお、j通とi通との間のタンク20による水平力についての説明は、同様に伝達されるため、ここでは省略する。
尚、第1上段既設梁51と第2上段既設梁52とは、タンク20による水平力、および、通常時のタンク20の荷重を処理可能(伝達可能)な強度を有するため、補強が成されていない。また、同様に、第3上段既設梁53〜第7上段既設梁57と、第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67とも、同様の理由により、補強の必要が無く、補強が成されていない。
よって、水平力伝達部材400B、400Cは、既設部材である第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57及び第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67を含み構成される。
すなわち、本実施形態における水平力伝達部材は、地震等の外力が加わることで、タンク20等によって生じた水平力を、第1補強軸材100又は第2補強軸材200等の補強軸材に伝達(処理)可能な部材であればよい。よって、既設の部材等がこの水平力を伝達するのに十分な強度を有していれば、水平力伝達部材は、当該既設の部材等であってよく、新たに補強部材を配置しなくてもよい。
第2上段既設梁52に伝達された水平力は、上述のA−A線上の水平力の伝達のように、第3上段既設梁53〜第6上段既設梁56を介して、第7上段既設梁57に伝達される。また、第7上段既設梁57に伝達された水平力は、補強ブレース500を介して、第7下段既設梁67に伝達される。
また、第1上段既設梁51〜第7上段既設梁57を伝達する水平力の一部は、各梁の端部(i通〜b通)に配置された既設の柱及びブレース等を介して、それぞれの下方に配置された第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67に伝達される。そして、第1下段既設梁61〜第7下段既設梁67に伝達された水平力は、順次、隣接した下段既設梁に伝達され、第7下段既設梁67に伝達される。
そして、第7下段既設梁67に伝達された水平力は、b通のFL5において第2補強軸材200に伝達される。第2補強軸材200に伝達された水平力は、第2補強軸材200の軸方向(斜め方向)に伝達し、a通において地盤Gに伝達され、処理されうる。
以上、図4を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造のB−B線における構成及び作用について、詳しく説明した。次に、図5を参照して、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の第1補強軸材100のa通における地盤Gに対する固定について説明する。
(第1補強軸材100の地盤固定)
図5は、本発明の第1の実施形態にかかる第1補強軸材100の地盤固定を示す概略図である。なお、図5は、説明の便宜上、a通からb通において、第1補強軸材100および基礎600の構成を概略的に示す。よって、他の構成要素については、上記で詳しく説明したので、ここでは省略し、図5においても、省略する。また、図5において、(A)図は、第1補強軸材100の地盤固定を示し、(B)図は、第1補強軸材100の地盤固定の変形例を示す。
図5の(A)に示すように、本実施形態にかかる第1補強軸材100は、基礎600に接続されることにより、地盤Gに固定される。
基礎600は、複数の杭610と、基礎台620と、を含む。複数の杭610はそれぞれ、一端を基礎台620に接続され、他端を地中に埋められて地盤Gに固定される。また、基礎台620は、下方を地中に埋設され、杭610と接続される。また、基礎台620の上方は、地上に露出し、第1補強軸材100が連結される。
基礎600は、第1補強軸材100から軸力として伝達した水平力の伝達を受けて、この水平力を地盤Gに伝達して処理する。すなわち、水平力は、水平力伝達部材400Aから第1補強軸材100を介して基礎600の基礎台620に伝達される。そして水平力は、基礎台620から複数の杭610に分散して伝達され、地盤Gへと伝達される。
ここで、基礎600は、基礎台620と杭610と、を含むとした。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、基礎600は、例えば、一般的な深い基礎(上記のような杭基礎、ケーソン基礎、地中連続壁基礎、鋼管矢板基礎等)、直接基礎(フーチング基礎、ベタ基礎等)、又は併用基礎(パイル・ドラフト基礎等)等によって、構成されてもよい。この基礎600は、第1補強軸材100から伝達される水平力の大きさ、地盤条件、施工条件等によって、選択的に構成されうる。
また、第1補強軸材100は、変形例として、以下のように地盤Gに固定されてもよい。上記基礎600による地盤固定の変わりに、図5の(B)に示すように、第1補強軸材100の一端は、直接地中深く打ち込まれ、地盤Gと固定されてもよい。すなわち、FL0以下の第1補強軸材100が基礎となるため、第1補強軸材100は、水平力を地盤Gに伝達することができる。つまり、本変形例によれば、水平力は、水平力伝達部材400Aから第1補強軸材100に伝達され、第1補強軸材100を軸方向に軸力として伝達し、直接地盤Gに伝達されてもよい。
以上、第1補強軸材100を地盤Gに固定する構成について説明した。なお、第2補強軸材200と、後述する第3補強軸材700及び第4補強軸材800と、を地盤Gに固定する構成についても同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、図6を参照して、本実施形態にかかる第1連結材310〜340について詳しく説明する。
(第1連結材310〜340)
図6は、本発明の第1の実施形態にかかる第1連結材310〜340を示す概略平面図である。なお、図5は、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の前方(図1のC−C線、x軸正の方向)からの前面図である。
図6に示すように、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造は、更に、第1連結材310〜340を含む。
第1連結材310〜340は、それぞれ、第1補強軸材100と第2補強軸材200との間に配置され、第1補強軸材100と第2補強軸材200とに接続される。第1連結材310〜340は、上方より順次、一端が隣接する第1連結材310〜340に結合されるよう、傾斜配置される。また、第1連結材310〜340と、第1補強軸材100と、第2補強軸材200とは、略トラス構造を成す。
すなわち、第1連結材310は、一端が第1補強軸材100の上端に結合され、当該一端が上方になるよう傾斜配置され、他端が第2補強軸材200の上方の略中間部に結合される。第1連結材320は、一端が第2補強軸材200と第1連結材310の他端とに結合され、当該一端が上方になるよう傾斜配置され、他端が第1補強軸材100の略中間部に結合される。第1連結材330は、一端が第1補強軸材100と第1連結材320の他端とに結合され、当該一端が上方になるよう傾斜配置され、他端が第2補強軸材200の下方の略中間部に結合される。そして、第1連結材340は、一端が第2補強軸材と第1連結材330の他端とに結合され、当該一端が上方になるよう傾斜配置され、他端が第1補強軸材100の下端に結合される。
このような構成を有することにより、第1連結材310〜340は、第2連結材110〜130と同様に、第1補強軸材100と第2補強軸材200との支点間距離を短縮し、両者の座屈を防止することができる。
尚、この際、第2連結材110〜130と同じように、第1連結材310〜340は、略三角形の略トラス構造を成すように配置される。このように、各連結材によってトラス構造を成すことにより第1補強軸材100と第2補強軸材200とは、効率よく荷重を分配し、処理することができる。よって、第1補強軸材100と第2補強軸材200とは、より大きな荷重を処理することができる。
以上、図6を参照して説明したように、第1連結材310〜340は、第1補強軸材100と第2補強軸材200との座屈防止材としての役割を担う。
以上、図1〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造について詳しく説明した。
上記において、本実施形態における既設構造物10は、主要構造部材を鉄骨で構成された鉄骨既設構造物10であるとした。よって、上記の各構造部材は、それぞれ、同様に鉄骨で構成されてもよい。各構造部材は、例えば、角型鋼管、等辺山形鋼、H型鋼、溝型鋼、CT型鋼等の一般的な鋼材であってもよい。また、各構造部材は、それぞれが受け持つ荷重の大きさに応じ、当該荷重を処理可能な鋼材によって形成されてもよい。
また、各構造部材の接続は、上述のように、溶接等でおこなわれてもよく、他の一般的な鉄骨の接続方法でおこなわれてもよい。例えば、各構造部材の接続は、ボルトとナットと等による締結によって成されてもよい。
また、本実施形態において、上述のように、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、既設構造物10を構成するどの主要構造部材よりも、高い剛性を有するとした。第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、高い剛性を有するため、外力が加わった際に、タンク20及び既設構造物10により発生する水平力のうち、4〜5割程度の水平力の伝達を受け、地盤Gに伝達して処理することができる。すなわち、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、水平力を軸方向に伝達し、軸力すなわち引張力と圧縮力を処理できるよう高い剛性を有する。ここで、第1補強軸材100及び第2補強軸材200がどの構造部材よりも高い剛性を有するとしたのは、荷重は高い剛性の構造部材に集中するという特性を利用し、水平力を第1補強軸材100及び第2補強軸材200に集中するためである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、水平力が集中し処理できる程度に高い剛性を有していればよい。すなわち、第1補強軸材100及び第2補強軸材200は、当該水平力を伝達する主要構造部材の中で、最も高い剛性を有していればよい。よって、既設構造物10は、第1補強軸材100及び第2補強軸材よりも高い剛性を有する部材を含んでもよい。また、上記のように、第1補強軸材100及び第2補強軸材は、水平力が集中するように高い剛性を有すればよいので、第1補強軸材100及び第2補強軸材の剛性及び材質等は、既設構造物10等によって違ってくる。尚、これは、後述する第1、第2の変形例における第3補強軸材700及び第4補強軸材800でも同様である。
尚、上記水平力の伝達する経路は、上述のように、荷重が高い剛性の部材に集中するという特性を利用して形成される。しかし、全ての水平力が、上述の第1補強軸材100及び第2補強軸材200に伝達されなくてもよい。すなわち、水平力の一部は、既設構造物10の既設の構造部材を介して、地盤Gに伝達されてもよい。尚、これも、後述する第1、第2の変形例でも同様である。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造によれば、地震等の外力(地震力等)が既設構造物10に作用した際に発生する水平力を、水平力伝達部材400A、400B、400C等が、補強軸材(第1補強軸材100又は第2補強軸材200)に伝達する。そして当該補強軸材は、水平力を軸方向に伝達し、地盤Gに伝達する。よって、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造によれば、既設構造物10に対し、適切に耐震補強等の補強をすることができる。
また、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造によれば、新たに設置する補強材(第1補強軸材100、第2補強軸材200、水平力伝達部材400A、400B、400C、第1連結材310〜340及び第2連結材110〜130等)が既設構造物10の外部に配置される。よって、補強工事中及び補強工事後において、既設構造物10内部の使用状態を維持することができる。
また、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造によれば、従来の耐震補強に比べて、新たに設置する補強部材の数を少なくすることができ、使用鋼材量を削減することができる。また、補強部材の数を少なくできるため、容易に設置することができ、補強工事に要する労力を軽減することができる。よって、全体の補強工事にかかる費用を削減することができる。
そして、本実施形態にかかる既設構造物10の補強構造によれば、水平力(応力)は、上記補強軸材に、圧縮力又は引張力(軸力)として伝達される。よって、補強軸材は、水平力を軸方向の軸力として処理することができる。よって、補強軸材に必要とされる剛性を軽減することができるため、補強軸材の鋼材量を削減することができる。
以上、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造について、詳しく説明した。また、以下では、図7及び図8を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の第1の変形例及び第2の変形例について、概略的に説明する。
(第1の変形例)
図7は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の第1の変形例をを示す側面図である。本変形例における既設構造物10の補強構造は、第1の実施形態の構成に加え、更に、第3補強軸材700を含む。また、水平力伝達部材400Aは、更に、外部鉄骨梁710と、外部鉄骨斜梁720と、を含む。そして、既設構造物10は、更に第3荷重支持既設梁33を含む。本変形例における第3補強軸材700と、外部鉄骨梁710及び外部鉄骨斜梁720と、第3荷重支持既設梁33と、以外の構成は、上記の第1の実施形態と同様であるため、その詳しい説明は省略する。
第3補強軸材700は、補強軸材の一例であり、一端をl通のFL2において水平力伝達部材400Aの外部鉄骨斜梁720の端部に接続され、他端をm通のFL0において地盤Gと固定される。また、第3補強軸材700は、既設構造物10の右方側面に傾斜配置される。
外部鉄骨梁710及び外部鉄骨斜梁720は、追加補強梁の一例であり、j通からl通の間に、延設される。外部鉄骨梁710は、FL3に配置され、一端をj通において第3荷重支持既設梁33に接続され、他端をk通において外部鉄骨斜梁720に接続される。また、外部鉄骨斜梁720は、FL3とFL2との間に傾斜配置され、一端をk通において外部鉄骨梁710と接続され、他端をl通において第3補強軸材700の端部に接続される。
第3荷重支持既設梁33は、i通とj通との間のFL3に設置される。また、第3荷重支持既設梁33は、一端をi通のFL3において第1荷重支持既設梁31と接続され、他端をj通のFL3において外部鉄骨梁710と接続される。
また、i通とj通との間の第3層に配置されたタンク20は、この第3荷重支持既設梁33の上近傍に配置される。よって、タンク20の水平力は、第3荷重支持既設梁33に伝達される。そして、第3荷重支持既設梁33は、第1荷重支持既設梁31からの水平力の伝達も受ける。
よって、水平力は、第3荷重支持既設梁33から、外部鉄骨梁710及び外部鉄骨斜梁720を介して第3補強軸材700に伝達される。そして、第3補強軸材700は、伝達された水平力を軸方向に軸力として伝達し、m通において地盤Gに伝達することができる。
本変形例にかかる既設構造物10の補強構造によれば、上記構成を有することにより、第1の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。また、本変形例は、上記第1補強軸材100及び第2補強軸材200に加え、第3補強軸材700を備えることにより、効率的に水平力を両側(b通とl通)分散することができ、各補強軸材の使用鋼材量を削減することができる。これは、既設構造物10の両側において水平力を地盤Gに伝達させることにより、各補強軸材が伝達させる水平力が減少し、各補強軸材が必要とする強度を下がることができるためである。
以上、図7を参照して、第1の変形例について、概略的に説明した。また、以下では、図8を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の第2の変形例について、概略的に説明する。
(第2の変形例)
図8は、本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物10の補強構造の第2の変形例示す側面図である。なお、既設構造物10の構成についての説明は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
本変形例において、既設構造物10の補強構造は、第4補強軸材800と、水平力伝達部材400Dと、を含む。
第4補強軸材800は、一端をc通のFL2において水平力伝達部材400Dの端部と接続され、他端をb’通のFL0において地盤Gに固定される。すなわち、第4補強軸材800の一端は、第4外部鉄骨梁440の端部に接続される。は、また、第4補強軸材800は、既設構造物10の内部に傾斜配置される。
水平力伝達部材400Dは、上記の第1外部鉄骨梁410と、第2外部鉄骨梁420と、外部鉄骨斜梁460と、第4外部鉄骨斜梁460と、第1〜第3荷重支持既設梁と、外部鉄骨梁710と、外部鉄骨斜梁720と、を含む。
かかる構成を有する本変形例によれば、水平力は、タンク20から水平力伝達部材400Dをx軸方向に伝達し、第4補強軸材800に伝達される。そして、第4補強軸材800は、伝達された水平力を軸方向に伝達し、b’通において地盤Gに伝達することができる。
本変形例にかかる既設構造物10の補強構造によれば、第1の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。また、第4補強軸材800を外部に設置しないため、既設構造物10に隣接して他の構造物等があった場合でも、補強することができる。そして、第4補強軸材800が既設構造物10の内部に配置されるが、従来の耐震補強に比べて新たに設置する補強部材の数を少なくできるので、内部の使用状態に大きな影響を与えずに済む。
以上、図7を参照して、第1の変形例について、概略的に説明した。尚、第1の変形例及び第2の変形例において、既設構造物10の構造部材及び各既設構造物10の補強構造の詳細な配置等は、第1の実施形態で詳しく説明したので、ここでは省略した。
また、第1の変形例及び第2の変形例において、第3補強軸材700及び第4補強軸材800の地盤Gへの固定は、上記第1補強軸材100の地盤固定と同様の構成により成されるので、ここでの詳細な説明は省略する。
また、第1の変形例及び第2の変形例において、第3補強軸材700及び第4補強軸材800のそれぞれは、上記第1補強軸材100と同様の構成により形成されてもよい。また、第3補強軸材700及び第4補強軸材800のそれぞれは、上記第1の実施形態体の第1補強軸材100と第2補強軸材200との様に、複数本、略平行に備えられてもよい。
また、第1の変形例及び第2の変形例において、説明した各構造部材は、第1の実施形態で説明した構造部材により構成されてもよく、各構造部材の接続(結合)は、第1の実施形態で説明した方法によって成されてもよい。
また、第1の変形例及び第2の変形例において、各既設構造物10の補強構造は、第1の実施形態の第1連結材310〜340及び第2連結材110〜130と同様に、連結材を含んでもよい。尚、この連結材は、各補強軸材(第3補強軸材700又は第4補強軸材800)の座屈を防止するよう、第1連結材310〜340又は第2連結材110〜130と同様に構成することができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、既設構造物10の主要構造部材は、鉄骨であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、既設構造物10は、鉄骨で構成されず木材等で構成された木製の構造物であってもよい。尚、既設構造物10が木材等で構成された場合、第1の実施形態に記載された各構造部材は、木材等であってもよい。
また、上記実施形態では、第1の実施形態において、各補強軸材は、既設構造物10の1方向(b通)にのみ設置されるとして説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、補強軸材は、第1の変形例のように既設構造物10の両側(b通とl通)に配置されてもよく、3方向又は4方向に配置されてもよい。
また、上記実施形態では、各補強軸材に接続される水平力伝達部材は、既設部材(既設の梁、柱、ブレース等)又は新たに設置された追加補強梁であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、この水平力伝達部材は、構造部材に補強部材を取付ける従来の補強をすることで形成されてもよい。
本発明の第1の実施形態にかかる既設構造物の補強構造を示す平面図である。 同実施形態にかかる既設構造物の補強構造を示す側面図である。 同実施形態にかかる既設構造物の補強構造を、A−A線で切断した構成を示す断面図である。 同実施形態にかかる既設構造物の補強構造を、B−B線で切断した構成を示す断面図である。 同実施形態にかかる第1補強軸材の地盤固定を示す概略図である。 同実施形態にかかる第1連結材を示す概略平面図である。 同実施形態にかかる既設構造物の補強構造の第1の変形例を示す側面図である。 同実施形態にかかる既設構造物の補強構造の第2の変形例を示す側面図である。
符号の説明
10 既設構造物
20 タンク
31〜33 第1〜第3荷重支持既設梁
41〜45 第1〜第5既設梁
51〜57 第1〜第7上段既設梁
61〜67 第1〜第7下段既設梁
100 第1補強軸材
110、120、130 第2連結材
200 第2補強軸材
310、320、330、340 第1連結材
400A、400B、400C 水平力伝達部材
410〜450 第1〜第5外部鉄骨梁
460 外部鉄骨斜梁
461、462 梁連結材
500 補強ブレース
510 ブレース連結材
600 基礎
610 杭
620 基礎台
700 第3補強軸材
710 外部鉄骨梁
720 外部鉄骨斜梁
800 第4補強軸材
400D 水平力伝達部材

Claims (6)

  1. 既設構造物に対する外力の作用時に前記既設構造物に生じる水平力を伝達する水平力伝達部材と、
    一端が前記水平力伝達部材に結合され、他端が地盤に固定されるよう傾斜配置され、前記水平力伝達部材からの前記水平力伝達により生じる圧縮力及び引張力を処理可能な高剛性の補強軸材と、
    を含むことを特徴とする、既設構造物の補強構造。
  2. 前記補強軸材の一端は、前記水平力伝達部材の端部に連結され、
    前記補強軸材の他端は、前記既設構造物の屋外において前記地盤に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の既設構造物の補強構造。
  3. 前記水平力伝達部材は、前記既設構造物の既設部材又は前記既設部材に結合された追加補強梁であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の補強構造。
  4. 前記既設構造物に複数の前記水平力伝達部材が互いに略平行に配設され、
    前記複数の水平力伝達部材のうちの少なくとも1つ以上に、前記補強軸材がそれぞれ結合されたことを特徴とする、請求項1〜3に記載の既設構造物の補強構造。
  5. 前記複数の水平力伝達部材にそれぞれ結合された複数の前記補強軸材を相互に連結する第1連結材をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の既設構造物の補強構造。
  6. 前記補強軸材の略中間部と、前記既設構造物又は前記地盤とを連結する第2連結材をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の既設構造物の補強構造。
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