JP2008101129A - 香料組成物およびそれが配合された化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】嗜好性がよく受け入れられやすい香りであり、かつリラックス効果を有する香料組成物を提供すること。また、この香料組成物を用いた有用な化粧料を提供する。
【解決手段】 ヘリクリサムストエカス植物抽出物を酸水溶液およびアルカリ水溶液にて洗浄処理して得られた中性画分を水蒸気蒸留して得られる精油が有効成分として配合された香料組成物。この香料組成物が配合された化粧料。
【選択図】 なし
Description
これまでに天然精油及び単体の合成香料については多くの心理生理測定が行われ、ストレス軽減や鎮静効果を持つものの探索が行われている(特許文献1〜8参照)。ところが、いずれも天然植物性香料や植物エッセンス、単品合成香料又は合成香料の併用、天然香料と合成香料の多種併用等、各香料原料の持つ鎮静効果やリフレッシュ効果等に関するものであり、その単独の香りの嗜好に関してはあまり芳しくないものが多かった。
一方、ヘリクリサムストエカス植物抽出物の香りがリラックス効果を有するとの文献は見当たらない。
また、本発明(2)は、前記の精油から炭化水素化合物を除いた精油が有効成分として配合された香料組成物であり、更には前記の精油が有効成分として配合されたリラックス効果を有する香料組成物である。
また、本発明(3)は、発明(1)または発明(2)記載の香料組成物が配合された化粧料である。
さらに本発明は、前記のヘリクリサムストエカス植物抽出物が、炭化水素類(石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン等)で抽出されること、また、炭化水素類で抽出した後、更に炭素数1〜5の低級アルコール類、特にはエチルアルコールで抽出されること、を特徴とする前記本発明(1)〜(3)を含むものである。
前記の溶媒の中でも前記炭化水素類が好ましく、更に前記炭化水素類で抽出した後、炭素数1〜5の低級アルコール類、特にエチルアルコールで抽出することが好ましい。
また、ヘリクリサムストエカス植物抽出物は市場で入手する事も可能で、例えばインモルテルアブソリュートなどが挙げられる。
また洗浄処理後の画分は、溶媒が残存していれば、その除去が行なわれ中性画分を得る。
前記の精油から炭化水素化合物を除くためには、カラムによる分画がある。即ち、前記精油をそのまま、あるいは溶剤(ヘキサン、ペンタンなど)で希釈した後カラムクロマトグラフィーに供する。カラムとしては順相のシリカゲルカラムクロマトグラフィーが好ましい。カラムクロマトグラフィーの操作には特に限定はなく、定法通りに行なわれる。例えば、用いられるシリカゲルの量はカラムに負荷した精油質量の5〜20倍程度である。また溶出液としてはヘキサン、ペンタン等の炭化水素類が好ましく用いられる。
次に、エーテル、酢酸エチル、クロロホルム、メチルアルコール等の溶剤、好ましくはエーテル、酢酸エチルをカラムに流すことによって炭化水素化合物を除いた精油を得る。得られた精油の匂いは、フレッシュなライム感をともなうグリーンウッディ調の香りである。
好ましくは、香水,コロン,ヘアコロン,入浴剤,スキンローション,ボディローション等の製品である。
はじめに本発明で用いた試験方法について以下に記す。
試験サンプルをクエン酸トリエチルにて1%の濃度に薄め、所定の容器に入れ50名の被験者によりその香りについて、香りの好みを下記判定基準にて試験を行った。被験者の判定結果が3以上、好ましくは4以上が本発明の効果を達成できるものである。
5:好ましい香りと答えた人数が45名以上
4:好ましい香りと答えた人数が35〜44名
3:好ましい香りと答えた人数が25〜34名
2:好ましい香りと答えた人数が15〜24名
1:好ましい香りと答えた人数が14名以下
随伴性陰性変動(CNV:Contingent Negative Variation,以下CNVと示す )と呼ばれる、陰性の電位の変化を測定することにより、リラックス効果の検討を行った。CNVは、注意、期待、予期等の心理過程、また、意識レベルの変動と連動する、脳の緩徐な電位変動として知られている。本発明におけるCNV測定は、以下の条件で行った。また、眼球運動の測定も併せて行った。なお、ヒトに、覚醒効果を示すカフェインを内服させると、CNVの振幅が増大し、鎮静効果を示すニトロゼパムを吸引させると、CNVの振幅が減少することが報告されている。
即ち、ブランク測定時に比較して試料測定時のCNV前記成分の面積が増加・減少した場合には効果があると判断し、ブランク(無臭刺激の場合)を100%として比較した百分率(%)で表し、これをリラックス効果についての指標とした。面積変動が105%を越える場合は、覚醒効果が、95%未満の場合は、リラックス効果が認められることを示している。
ヘリクリサムストエカスの乾燥した花1キログラムをヘキサン10リットルに室温で浸漬して花香成分を移行させた後、花を除いた。次に、溶媒を留去してコンクリート250グラムを得た。次にコンクリート250グラムをエチルアルコール2.5リットルに加温溶解して再抽出し、溶液を−15℃〜−25℃に冷却してワックスなどの不溶解物を除いた後、減圧下でエチルアルコールを留去し赤褐色、粘着状のアブソリュート190グラムを得た。アブソリュートは強いカレー臭を有していた。これを酢酸エチルに一定量を溶解させた。次に、1mol/L塩酸水溶液を加え良く攪拌した後、静止させ2層に分離させた後水層部分を除き、この操作を5回以上行った。この操作の最後に、水を加え、同じ操作を行い、有機層を残した。次に、有機層に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え良く攪拌した後、静止させ2層に分離させた後、水層部分を除き、この操作を5回以上行った。この操作の最後に、水を加え、同じ操作を行い、有機層を残した。PH試験紙でPH7になっていることを確認した後、乾燥硫酸マグネシウム又は乾燥塩化カルシウムを加え、数時間攪拌、放置した。その後、濾紙等を用いて有機層を濾過し、溶媒を除去して、ヘリクリサム属植物の抽出物の中性画分151グラムを得た。
次に前記中性画分100グラムを常法により水蒸気蒸留を行い、エーテル抽出後溶媒を除去して精油15グラムを得た。この精油の匂いは仄かなワインのような香りを伴うハーバルウッディな香りである。
製造例1で得た精油10グラムを順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ペンタン200ミリリットルで炭化水素化合物を溶出させ、次いでエーテル300ミリリットルで炭化水素化合物を除いた精油を溶出した。それぞれを常圧濃縮し、炭化水素画分5グラム、炭化水素化合物を除いた精油5グラムをそれぞれ得た。炭化水素化合物を除いた精油の匂いは、フレッシュなライム感をともなうグリーンウッディ調の香りである。GC-MSによる香気成分分析から、炭化水素化合物を除いた精油の主成分はborneol(10.8%)、α-terpineol(8.0%)、guaiol(7.2%)であり、その他多くの香気成分から構成されていた。
製造例1と同様にして得られた中性画分を常法により減圧蒸留を行い、精油を得た。
参考製造例4 減圧蒸留で得た精油から、炭化水素化合物を除いた精油の製造
製造例2と同様にして、製造例3で得られた精油から、炭化水素化合物を除いた精油を得た。
前記製造例1および2で得られた精油のCNV試験を行い、リラックス効果を評価した。その結果、ブランク(無臭刺激の場合)を100%とした場合、製造例1で得られた精油は78%、製造例2で得られた精油は79%であり、リラックス効果が認められた。
同様に、参考製造例3および4で得られた精油のCNV試験を行い、リラックス効果が認められた。
前記製造例1および2で得られた精油の香り嗜好度試験を行なった。その結果、好ましい香りと答えた人数が製造例1で得られた精油が39名で、製造例2で得られた精油が37名となり、両者共に判定結果が4となり優れた嗜好性を有することが確認できた。
同様に、参考製造例3および4で得られた精油の嗜好度試験を行い、両者共に判定結果が4であることが確認できた。
表1および表2に約60種の香料成分を含有する香料組成物の処方を、実施例1、実施例2および比較例1の3種に分けて記す。尚、処方量は全て%で記してある。これらの香料組成物をクエン酸トリエチルにて1%濃度に希釈し、嗜好性試験およびリラックス効果試験に供した。
以下に実施例1〜2の香料組成物を使用した、シャンプー、ボディシャンプー、ヘアーコンディショナー、スキンクリーム、スキンミルク2種、スキンローション各組成物の処方を記す。尚、処方量は全て%で記してある。これら組成物を定法に従い調製し、リラックス効果試験及び、香り嗜好度試験を行なった結果、いずれにおいても優れた値を示した。
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン 30
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 15
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3
ポリオキシエチレン(3)牛脂アルキル 3
ヒドロキシミリスチルエーテル
カチオン化セルロース 0.4
水酸化ナトリウム 0.4
1,3−ブチレングリコール 2
実施例1の香料組成物 0.7
防腐剤 適 量
精製水 残 量
N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン 6
N−ラウリルメチルタウリンナトリウム 3
ラウリン酸トリエタノールアミン 10
ミリスチン酸トリエタノールアミン 10
ラウリルイミダゾリニウムベタイン 5
ラウリン酸ジエタノールアミド 5
プロピレングリコール 7
実施例2の香料組成物 1
防腐剤 適量
キレート剤 適量
精製水 残量
セタノール 3.5
塩化アルキルトリメチルアンモニウム 2.5
実施例1の香料組成物 0.5
1,3−ブチレングリコール 2
アクリル樹脂・アミノ変性シリコーン縮合物 0.6
(シリコンFZ−3148;日本ユニカー社製)
精製水 残 量
流動パラフィン 15
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリド 5
ステアリン酸 2
セタノール 3
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
実施例1の香料組成物 0.1
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1
カルボキシビニルポリマー 0.1
防腐剤 適 量
精製水 残 量
ステアリン酸 1
イソステアリン酸コレステリル 2
ホホバ油 4
スクワラン 8
セスキオレイン酸ソルビタン 0.8
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.2
実施例2の香料組成物 0.05
1,3−ブチレングリコール 5
L−アルギニン 0.4
カルボキシビニルポリマー 0.2
防腐剤 適 量
精製水 残 量
ステアリン酸 1.2
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.7
コレステリン 0.5
セタノール 0.1
ポリオキシエチレン(6)セチルエーテル 1.2
ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル 0.9
流動パラフィン 12
濃グリセリン 4
水酸化カリウム 0.07
セチル硫酸ナトリウム 0.5
2%カルボキシビニルポリマー分散液 7.5
(カーボポール941;B.F.Goodrich社製)
実施例1の香料組成物 0.05
フェノキシエタノール 0.3
精製水 残 量
ジプロピレングリコール 3
濃グリセリン 3
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
実施例2の香料組成物 0.03
精製水 残 量
Claims (3)
- ヘリクリサムストエカス植物抽出物を酸水溶液およびアルカリ水溶液にて洗浄処理して得られた中性画分を水蒸気蒸留して得られる精油が有効成分として配合された香料組成物。
- 請求項1記載の精油から炭化水素化合物を除いた精油が有効成分として配合された香料組成物。
- 請求項1または請求項2記載の香料組成物が配合された化粧料。
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