JP5721986B2 - 精神鎮静用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、精神を鎮静・安定化させる効果を有する、精神鎮静用組成物に関する。
現代社会には様々なストレスがあり、それらを解消するために様々な試みがなされている。香りの持つストレスを癒す効果についても着目され、近年香りの心理生理効果について様々な検討がなされている。
これまでに天然精油及び単体の合成香料についてはこれまでに多くの心理生理測定が行われ、ストレス軽減や鎮静効果を持つものの探索が行われてきた(特許文献1〜16参照)。
一方、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールは、僅かに花香を伴った穏やかな木様香気を持つ化合物で、香料として少量が利用されている。また、天然物中にはイエローパッションフルーツ等のフレーバー中やボローニャ等の精油中などにも微量存在することが知られている(非特許文献1、2参照)。
4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体およびラセミ体は、フローラル−ムスク系またはフローラル−アンバー系の香気を有することが知られている(特許文献17および18参照)。しかし、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体またはラセミ体が精神鎮静作用を有することは、これまで報告されていない。
特開平10−204473号公報 特開平7−305089号公報 特開平9−169993号公報 特開平9−20646号公報 特開平6−172781号公報 特開2000−86478号公報 特開平6−40906号公報 特開平7−316582号公報 特開平9−323918号公報 特開平5−286867号公報 特開2000−154394号公報 特開昭63−199292号公報 特開昭63−199293号公報 特開2003−119490号公報 特開2007−31347号公報 特開2008−101129号公報 特開2002−226415号公報 特開2002−226416号公報
Werkhoff, P. et al., J. Agr. & Food Chem., 46, 1076-1093, (1998) Weyerstahl, Peter et al., Liebigs Ann. Chem., 1043-1047,(1994)
しかしながら、精神的緊張の軽減効果を発揮すべき天然香料の選択や調合は、香り経験の豊富な熟練者の技術や知識、勘に頼るところが大きい。しかも、その効果も必ずしも明確でない場合が多い。さらに、実際に組み合わされた香りが効果を持つようにするには、試行錯誤を重ね、多大の時間と労力をかけ、ようやく達成されることが多い。
上記事情において、香り組成物に配合することにより、容易に精神的緊張の軽減効果をもたらす香り成分の開発が求められていた。
即ち、本発明の目的とするところは、配合することにより精神的な鎮静効果が認められる新たな香料成分を見出し、これを含有する精神鎮静用香料組成物を作出することにある。
本発明者は、この課題を解決するために、精神的な鎮静効果を有する香料成分がないか鋭意検討を重ねてきた。
その結果、天然精油に含まれる成分の中で、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オール(別名「ジヒドロ−β−ヨノール」)に精神的な鎮静効果(以下、「精神鎮静効果」と記載する場合もある。)が認められることを見出し、精神鎮静用組成物に係わる本発明を完成するに至った。
本発明において、精神鎮静用組成物とは、これを用いることにより、使用者に精神的な鎮静感を与える効果を発揮する組成物を意味する。
本発明において、精神鎮静効果とは、例えば、ヒトが日常生活で経験する緊張、いらいら、興奮、不安等の生理的心理状態から開放し、気分を穏やかにすると共に、精神活動を安定化する効果を意味するものであり、パネルを用いた官能テストや、精神的な鎮静感を検出可能な指標(例えば、CNV測定等)によりこれらの効果を確認することが可能である。
すなわち、請求項1に係る本発明は、(R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールまたは4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体からなることを特徴とする精神鎮静剤である。
請求項2に係る本発明は、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体からなることを特徴とする請求項1に記載の精神鎮静剤である。
本発明により、精神的な鎮静効果が認められる新たな香料成分が見出され、これを有効成分とする精神鎮静用組成物、並びに、この精神鎮静用組成物を含有する、飲食品、香粧品、医薬部外品、日用・雑貨品が提供される。
本発明の精神鎮静用組成物は、これを、化粧料等の外用組成物、部屋用の消臭剤やアロマキャンドル等の雑貨類、食品組成物等に含有させて、これらの製品に精神鎮静効果を付与することができる。
4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールについてのCNV測定結果を示す図である。縦軸は、早期成分の面積(単位:msec.×μV)を、無臭刺激の場合を0%とした百分率(%)で表したもので、上方向は覚醒状態を、下方向は鎮静状態を表す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る精神鎮静用組成物は、光学活性体である(R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オール、またはラセミ体である4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールを、有効成分とするものである。
4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体またはラセミ体は、常法(例えば、特許文献17、18参照)により製造して、本発明において用いることが可能であり、市販品を用いることも可能である。
本発明の精神鎮静用組成物は、有効成分である4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体またはラセミ体から実質的になる精神鎮静剤であってもよいし、香りの嗜好性を向上させる等のために、一般に使用される香料成分や精油等を、所望する精神鎮静効果が相殺されない限度内で適宜含有させて精神鎮静用の香料組成物とすることもできる。
また、前記の香料組成物には、さらに一般的に香料組成物において含有させることができる成分、例えば、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、紫外線吸収剤、色素等を含有させることもできる。
本精神鎮静用組成物は、他の精神鎮静効果を有する成分と配合して用いることもできる。
他の精神鎮静効果を有する香料素材や香料成分、溶媒等の成分には、例えばリモネン、カリオフィレン、ピネンなどの各種炭化水素類;アセトアルデヒド、α−シンナミックアルデヒド、シトラールなどの各種アルデヒド類;マルトール、ベンジルアセトン、ダマセノンなどの各種ケトン類;ブタノール、ベンジルアルコール、リナロールなどの各種アルコール類;ゲラニルエチルエーテル、ローズオキサイド、フルフラールなどの各種エーテル・オキサイド類;エチルアセテート、ベンジルアセテート、リナリルアセテートなどの各種エステル類;γ−デカラクトン、クマリン、スクラレオライドなどの各種ラクトン類;インドール、2−イソプロピル−4−メチルチアゾール、フェニルアセトニトリルなどの各種ヘテロ化合物類;ジャスミンアブソリュート、シダーウッドオイル、オリスコンクリートなどの各種天然素材類が挙げられる。
また、本精神鎮静用組成物に使用できる溶剤としては、例えばエタノール、ジプロピレングリコール(以下、DPGともいう。)、ベンジルベンゾエート、水、トリアセチン、トリエチルシトレートなどが挙げられる。
本発明の精神鎮静用組成物中の、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体またはラセミ体の含有量は、組成物を配合する製品の用途や性状、使用方法などにより一概には規定できるものではないが、精神鎮静効果が発揮され得る限度内で、製品の種類や配合する香料の種類等に応じて自由に選択することが可能であり、通常は、製品に対する香料の一般的な含有量に準じて選択することが可能である。
すなわち、本発明の精神鎮静用組成物全量に対して0.00001〜20.0質量%程度が好ましく、さらには0.0001〜5.0質量%であることが、嗜好性を考慮すると特に好適である場合が多い。かかる有効成分量が組成物に対して0.00001質量%未満であると、他の配合成分の影響を最小限にしても、十分な精神鎮静効果が発揮されない傾向があり、20.0質量%を超えて配合しても、有効成分の含有量に見合った精神鎮静効果の向上は認められなくなり、かつ香気のバランスが一般的に好ましくない傾向が認められる。
本精神鎮静用組成物は、主に、調合香料として、香料を含有させることが可能な製品に含有させて、精神鎮静作用を発揮させることができる。
かかる本発明の製品としては、飲食品;化粧料等の香粧品;スキンローション、スキンクリーム、スキンミルク等の医薬部外品;部屋用の消臭剤や芳香剤、アロマキャンドル等の日用・雑貨類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
かかる製品中の、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールの光学活性体またはラセミ体の含有量は、当該製品の用途や性状、使用方法などにより一概には規定できるものではないが、精神鎮静効果が発揮され得る限度内で、製品の種類や配合する香料の種類等に応じて自由に選択することが可能であり、通常は、製品に対する香料の一般的な含有量に準じて選択することが可能である。
すなわち、製品全量に対して0.00001〜20.0質量%程度が好ましく、さらには0.0001〜5.0質量%であることが、嗜好性を考慮すると特に好適である場合が多い。かかる有効成分量が製品に対して0.00001質量%未満であると、他の配合成分の影響を最小限にしても、十分な精神鎮静効果が発揮されない傾向があり、20.0質量%を超えて配合しても、精神鎮静効果を有する成分の含有量に見合った精神鎮静効果の向上は認められなくなり、かつ香気のバランスが一般的に好ましくない傾向が認められる。
本精神鎮静用組成物を含有させる製品には、本精神鎮静用組成物以外に、製品の種類に応じた一般的な構成要素が、本発明の所期の効果を失わない範囲内で用いられうる。例えば、製品が香粧品等の外用組成物である場合には、外用組成物の具体的な剤型(液剤、粉末剤、顆粒剤、エアゾール剤、固形剤、ジェル剤等)や製品形態に応じて、これらの外用組成物に含有される一般的な成分を、本精神鎮静用香料組成物の他に含有させることができる。
なお、外用組成物としての最も好適な態様の一つである香粧品としては、例えば、香水、オードトワレ、オーデコロン、クリーム・乳液類、化粧水、ファンデーション類、粉白粉、口紅、ポマード、石鹸、シャンプー・リンス類、ボディシャンプー、ボディリンス、ボディパウダー類、入浴剤等が、具体的な製品形態として例示される。
また、日用・雑貨品としては、部屋用の芳香剤や消臭剤、アロマキャンドル等が、具体的な製品形態として例示される。
なお、本発明は、本精神鎮静用組成物あるいは精神鎮静剤を吸引させることにより、非治療的に精神を鎮静する精神鎮静方法をも提供する発明でもある。
本精神鎮静用香料組成物を吸引させる対象は、通常は人間であるが、犬や猫等の非ヒト哺乳動物であってもよい。
また、吸引させる手段は、通常は、本精神鎮静用香料組成物を含有する製品(香粧品、日用・雑貨品、飲食品等)を介して行われる。すなわち、これら製品の通常の使用態様または指定された使用態様(例えば、香粧品等の外用組成物の外皮における使用、雑貨類であるアロマキャンドルの着火、芳香剤や消臭剤の部屋における設置や噴霧、飲食品の飲食等)に従い、製品に含有された本精神鎮静用香料組成物を吸引対象が吸引し、本精神鎮静用香料組成物中の精神鎮静成分により、吸引対象の精神が鎮静される。
以下、本発明について実施例を用いて、さらに具体的に説明する。なお、%で表した配合量は、配合対象に対する質量%である。
〔実験例〕
4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールはこれまで、旋光符号と絶対立体配置の関係が明らかになっていない。そのため、Ohtani, I.; Kusumi, T.; Kashman, Y.; Kakisawa, H. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 4092-4096の方法を用い、各光学異性体の絶対立体配置を決定した。
なお、下記の実験中の分析は下記の分析器を用いて行った。
<質量スペクトル>
機器:GCMS-QP2010ガスクロマトグラフ質量分析装置(イオン化電圧27eV)(株式会社島津製作所製)
<プロトン核磁気共鳴スペクトル(H NMR)
機器:DRX−500型(500MHz)(ブルカーバイオスピン社製)
(+)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールに対し、過剰量の(−)−α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸塩化物(以下(−)−MTPACl:東京化成社製)を作用させ、相当するMTPAエステル(化合物1a)を定量的に得た。
EIMS (m/z): [M] 412 (4), 189 (25), 178 (35), 163 (100), 136 (45), 123 (42)
H NMR (CDCl,・(ppm)): 0.94 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.29 (3H, d, J=6.2 Hz), 1.40 (2H, m), 1.55 (3H, s), 1,55 (2H, m), 1.64 (1H, m), 1.73 (1H, m), 1.89 (1H, t, J=6.2 Hz), 1.98 (1H, td, J=13.1, 4.7 Hz), 2.08 (1H, m, J=13.1, 4.7 Hz), 3,55 (3H, t, J=1.1 Hz), 5.13 (1H, m), 7.41 (3H, m), 7.55 (2H, m)
(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールに対し、過剰量の(−)−MTPACl(東京化成社製)を作用させ、相当するMTPAエステル(化合物1b)を定量的に得た。
EIMS (m/z): [M] 412 (4), 189 (25), 178 (35), 163 (100), 136 (45), 123 (42)
H NMR (CDCl,・(ppm)): 0.88 (3H, s), 0.90 (3H, s), 1.37 (3H, d, J=6.2 Hz), 1.37 (2H, m), 1,49 (3H, s), 1.54 (2H, m), 1.61 (1H, m), 1.67 (1H, m), 1.87 (2H, t, J=6.2 Hz), 1.93 (2H, m), 3.58 (3H, t, J=1.2 Hz), 5.15 (1H, m), 7.40 (3H, m), 7.56 (2H, m)
上記実験で得られた各々のMTPAエステルの側鎖を化1のようにラベルした。測定した1H NMRδ値をおよびその差分(Δδ値)は表1のようになった。
(*)Δδ値は化合物1aのケミカルシフト値から化合物1bのケミカルシフト値の差分
上記実験の結果から、(+)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールはS配置であり、(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールはR配置であると結論した。
〔CNV試験〕
随伴性陰性変動(CNV:Contingent Negative Variation、以下CNVと記す。)((「香料の随伴性陰性変動(CNV)に及ぼす影響」、第19回 味と匂いのシンポジウム論文集、65−68頁(1985);「香料の随伴性陰性変動(CNV)に及ぼす影響−第2報−」、第20回 味と匂いのシンポジウム論文集、149−151頁(1986)参照)と呼ばれる、脳波の陰性電位の変化を測定することにより、本発明組成物による精神鎮静効果の検討を行った。CNVは、注意、期待、予期等の心理過程、また、意識レベルの変動と連動する、脳の緩徐な電位変動として知られている。なお、ヒトに、覚醒効果を示すカフェインを内服させると、CNVの振幅が増大し、鎮静効果を示すニトロゼパムを吸引させると、CNVの振幅が減少することが報告されている。
本発明におけるCNV測定は、以下の条件で行った。また、特許文献12(特開昭63−199292号公報)、特許文献13(特開昭63−199293号公報)においても、CNVの測定及び評価方法について詳しく開示されている。
また、眼球運動の測定も併せて行った。
精神鎮静効果を有する試料を検索するために、S1(トーンバースト音)−S2(CRT上に表示された光刺激)の間隔を2.3秒に設定し、被験者にS2後ボタン押しによる運動反応(MR)を行わせるものとした。この一連の繰り返しの中で、試料は適宜希釈された状態で用い、被験者の鼻腔前方約10cmの位置に口の開いたガラス容器に入れて呈示した。コントロール(ブランク)条件の場合は、ガラス容器のみを呈示した。
CNV測定のための脳波電極は国際10−20法に従いFzに装着し、耳タブを不関電極として時定数5.0秒で単極誘導し、NEC社製 SYNAFIT2500 デジタル脳波計にて測定した。
CNVの加算平均は、誘発電位研究用プログラムEPLYZERIIを用い、眼球運動などのアーチファクトを除き、20回以上加算することによって求めた。また、CNVの基線(Base line)は、S1前500msec.の期間の脳波の平均電圧から求めた。測定により得られたCNV波形の評価方法についても鳥居らの方法に従い、警告音刺激(S1)後400〜1000msec.の早期成分値の面積(図中棒グラフ、単位:msec.×μV)により判定した。
即ち、ブランク測定時に比較して試料測定時のCNV早期成分の面積が増加・減少した場合には効果があると判断し、ブランク(無臭刺激の場合)を0%として比較した百分率(%)で表し、これを精神鎮静効果についての指標とした。面積変動が0%を越える場合は覚醒効果が、0%未満の場合は鎮静効果が、それぞれ認められることを示している。
〔試験例〕
試料として、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体(化学純度99%)、(S)−(+)−体(化学純度99%、光学純度97%ee)または(R)−(−)−体(化学純度99%、光学純度99%ee)を0.94g入れた遮光ビンを臭気ビンに入れて、健康な7〜8名の成人女性を被験者として、上記の要領でCNV試験を行った。
その結果を、図1に示す。図1により、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体及び(R)−(−)−体には、精神鎮静効果が認められることが明らかになった。
以下に、本発明の精神鎮静用香料組成物並びにそれを含有する外用組成物および雑貨類の典型的な製品形態の処方例を、実施例として示す。
これらの実施例は、それぞれの製品形態の典型的な使用態様における官能テストにより、精神鎮静効果が認められた。
〔実施例1〕精神鎮静用香料組成物
配合成分 配合量(質量%)
(R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オール 2.0%
ベンジルサリチレート 16.0%
ベータヨノン 9.0%
オイゲノール 4.5%
ヘリオトロピン 4.5%
l−シトロネロール 4.0%
リリアール 22.0%
リナロール 6.5%
ムスクT 6.0%
オービトン 19.0%
テルピネオール 6.5%
〔実施例2〕精神鎮静用香料組成物
配合成分 配合量(質量%)
(R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オール 1.0%
アリルアミルグリコレート 0.1%
アンブロキサン 1.0%
ベータヨノン 3.5%
クマリン 1.0%
デヒドロミルセノール 10.0%
ヘディオン 31.0%
ヘリオブーケ 2.8%
l−シトロネロール 1.0%
レモンオイル 7.0%
リナリルアセテート 15.0%
ムスクT 18.0%
オービトン 6.5%
フェニルエチルアルコール 2.0%
トリプラール 0.1%
〔実施例3〕精神鎮静用香料組成物
配合成分 配合量(質量%)
(R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オール 1.0%
アリルヘプトエイト 1.5%
ベンジルアセテート 3.5%
ベータヨノン 4.5%
シス−3−ヘキセノール 1.3%
シクラプロップ 6.5%
ガンマデカラクトン 2.0%
デルタダマスコン 0.5%
ジメチルベンジルカルビニルブチレート 1.5%
ガラクソリド 13.0%
ガンマウンデカラクトン 3.5%
ゲラニオール 2.5%
ヘディオン 8.0%
ヘリオトロピン 1.2%
ヘキシルシンナミックアルデヒド 15.0%
l−シトロネロール 3.0%
リリアール 4.5%
リナロール 7.0%
オレンジオイル 2.0%
オービトン 2.0%
テルピネオール 3.0%
ベルドックス 13.0%
〔実施例4〕スキンローション組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
ジプロピレングリコール 3.0%
濃グリセリン 3.0%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.03%
精製水 残 量
<製法>常法によりスキンローション組成物を得た。
〔実施例5〕スキンクリーム組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
流動パラフィン 15.0%
トリ−2−エチルへキサン酸グリセリド 5.0%
ステアリン酸 2.0%
セタノール 3.0%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3.0%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.1%
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1.0%
カルボキシビニルポリマー 0.1%
防腐剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法によりスキンクリーム組成物を得た。
〔実施例6〕スキンミルク組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
ステアリン酸 1.0%
イソステアリン酸コレステリル 2.0%
ホホバ油 4.0%
スクワラン 8.0%
セスキオレイン酸ソルビタン 0.8%
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン1.2%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.3%
1,3−ブチレングリコール 5.0%
L−アルギニン 0.4%
カルボキシビニルポリマー 0.2%
防腐剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法によりスキンミルク組成物を得た。
〔実施例7〕スキンミルク組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
ステアリン酸 1.2%
自己乳化型モノステアリン酸 0.7%
コレステリン 0.5%
セタノール 0.1%
ポリオキシエチレン(6)セチルエーテル 1.2%
ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル 0.9%
流動パラフィン 12.0%
濃グリセリン 4.0%
水酸化カリウム 0.07%
セチル硫酸ナトリウム 0.5%
2%カルボキシルビニルポリマー分散液 7.5%
(カーボポール941;B.F.Goodrich社製)
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.05%
防腐剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法によりスキンミルク組成物を得た。
〔実施例8〕シャンプー組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン30.0%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 15.0%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0%
ポリオキシエチレン(3)牛脂アルキルヒドロキシミリスチルエーテル3.0%
カチオン化セルロース 0.4%
水酸化ナトリウム 0.4%
1,3−ブチレングリコール 2.0%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.7%
防腐剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法によりシャンプー組成物を得た。
〔実施例9〕ボディシャンプー組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン6.0%
N−ラウリルメチルタウリンナトリウム 3.0%
ラウリン酸トリエタノールアミン 10.0%
ミリスチン酸トリエタノールアミン 10.0%
ラウリルイミダゾリニウムベタイン 5.0%
ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0%
プロピレングリコール 7.0%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 1.0%
防腐剤 適 量
キレート剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法によりボディシャンプー組成物を得た。
〔実施例10〕ヘアーコンディショナー組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
セタノール 3.5%
塩化アルキトリメチルアンモニウム 2.5%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 0.5%
1,3−ブチレングリコール 2.0%
アクリル樹脂・アミノ変性シリコーン縮合物 0.6%
(シリコンFZ−3148;日本ユニカー社製)
精製水 残 量
<製法>常法によりヘアーコンディショナー組成物を得た。
〔実施例11〕入浴剤組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
炭酸水素ナトリウム 70.0%
無水硫酸ナトリウム 28.8%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 1.0%
色素Y−202−1 0.2%
<製法>香料を除いた成分をV型ミキサーにて均一になるまで攪拌した後、精神鎮静用香料組成物を加え、さらに均一になるまで充分に攪拌して入浴剤組成物を得た。
〔実施例12〕室内用芳香剤組成物
<組成>
配合成分 配合量(質量%)
カラギーナン 3.0%
ローカストビーンガム 1.5%
エタノール 6.0%
プロピレングリコール 3.0%
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.5%
実施例1の精神鎮静用香料組成物 5.0%
酸化防止剤 適 量
防腐剤 適 量
キレート剤 適 量
精製水 残 量
<製法>常法により室内用芳香剤組成物を得た。
本発明により、優れた精神的な鎮静効果が認められる香料組成物を提供できる。本発明の組成物を様々な製品に含有させることにより、日常的に簡単に精神鎮静効果を得るための飲食品、香粧品、医薬部外品、日用・雑貨品を提供できる。

Claims (2)

  1. (R)−(−)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールまたは4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体からなることを特徴とする精神鎮静剤。
  2. 4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ブタン−2−オールのラセミ体からなることを特徴とする請求項1に記載の精神鎮静剤。
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