JP6153131B2 - ブルーロータス様香料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ブルーロータスの香りを再現した香料組成物に関する。
通称ブルーロータス(学名:Nymphaea caerulea)は、別名ブルーエジプト・ウォーターリリー、ウォーターリリーとも呼ばれるスイレン科の植物で、アフリカから東南アジアに分布している水生の植物である。古くからエジプト等においては、鎮静作用や催淫作用など様々な精神効果があると言われ、最も重要で神秘的な植物であったとされている。
近年では、ブルーロータスの種子抽出物を含有するスキンケア化粧料、ヘアケア化粧料が提案されている(特許文献1、2参照)。また、ブルーロータスの花抽出物、翡翠粉末、オーキッドブルーム抽出物を含有する抗老化化粧料が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、ブルーロータスの花の香気成分に関する研究は少なく、ブルーロータスの香気成分について、ヘッドスペース法を用いた報告(非特許文献1参照)がある程度であり、脂肪族および芳香族アルデヒド類、ケトン類やアニシル基を持つ化合物が香気的に重要である点が指摘されている。
欧州特許出願公開第1768684号明細書 欧州特許出願公開第1728503号明細書 欧州特許出願公開第2082730号明細書
香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会講演要旨集、Vol.43rd Page.25-27
しかし、非特許文献1に記載される香気成分の分析結果から、再現香料を作成してもその匂いはとてもブルーロータス本来の香気とは言いがたく、さらなる改良が必要なものであり、化粧品用香料、香水用香料、入浴剤、ヘアケア用、ボディケア、飲料、食品用香料の香気として利用できるものはなかった。
従って、本発明の課題は、ブルーロータスの香気の再現性が高く、かつ、優れた嗜好性を有する香料組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するためブルーロータスの香気成分について鋭意検討した結果、β―イオノン、β−イオノールなどの主要香気成分のうち、β―イオノールの光学異性体の存在が、ブルーロータス本来の香気として重要な成分であることを見出した。そして、β―イオノールの光学異性体である(2S)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールと(2R)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールの質量比を、9:1〜3:2の範囲とすることで、ブルーロータス本来のスミレ様の花香を想起させるブルーロータスの花らしい香りを再現することができ、しかも嗜好性の高い香料組成物が得られることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)β−イオノン、(B)β−イオノール、及び(C)β−フェニルエチルアルコールを含有し、(B)成分中の(2S)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールと(2R)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールの質量比が9:1〜3:2であるブルーロータス様香料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記のブルーロータス様香料組成物を含有する香粧品又は飲食品を提供するものである。
本発明のブルーロータス様香料組成物は、従来得ることのできなかったブルーロータス本来の香気を彷彿させ、優れた嗜好性を有する香料組成物である。本発明の香料組成物を用いれば、香粧品や飲食品にブルーロータス様の香気を付与することができる。
本発明のブルーロータス様香料組成物においては、ブルーロータスの花の香気の再現性の点から、ブルーロータスの花の主要香気成分である(A)β−イオノンを含有する。
β−イオノン(4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン)は、ウッディの香りを有する成分として知られており、市販品を用いることができる。
(A)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量は、ブルーロータスの花の香気再現性の点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、57質量%以上がさらに好ましく、また、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、63質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましく、57〜63質量%であることがさらに好ましい。
本発明で用いる(B)β−イオノールは、僅かにフローラル、フルーティ・ウッディ・アンバー様香気を有する化合物であり、キンモクセイ等の天然物の精油中にも存在するが、化学合成によっても得ることができる(Van Wageningen, Synthetic Communications,(1975), 5(3), 217-220参照)が、後述の製造法によっても合成することができる。前述の非特許文献1には、β−イオノールはブルーロータスの花の香気成分として記載されていない。
(B)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量は、ブルーロータスの花の香気再現性の点から、(A)成分100質量部に対して、36質量部以上が好ましく、42質量部以上がより好ましく、46質量部以上がさらに好ましく、また、58質量部以下が好ましく、55質量部以下がより好ましく、54質量部以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、(A)成分100質量部に対して、36〜58質量部であることが好ましく、42〜55質量部であることがより好ましく、46〜54質量部であることがさらに好ましい。
β−イオノール、すなわち、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オールの2位に水酸基がついた炭素は、不斉中心炭素であることから、二つの光学的に対掌な化合物、即ち(2R)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オール(一般式(1);以下、(2R)−β−イオノールと記載する)及び(2S)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オール(一般式(2);以下、(2S)−β−イオノールと記載する)が存在する。
Figure 0006153131
Figure 0006153131
ラセミ体である4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オールは、香気的にフローラル・ウッディ・アンバー・フルーティ調の香りであり、単調であるのに対し、(2R)−β−イオノールはフローラル−フルーティ・ウッディ調の香気を有し、(2S)−β−イオノールは、フローラル・アンバー・ウッディ調の共に香気的に高級感を表現する優れた香気を持つ。
本発明のブルーロータス様香料組成物においては、β−イオノールの光学異性体の存在がブルーロータス本来の香気として重要であり、特に(2S)−β−イオノールと(2R)−β−イオノールの質量比を、9:1〜3:2とすることが必要であり、好ましくは6:1〜3:2、より好ましくは3:1〜7:4である。(2S)−β−イオノールを多く含有することにより初めて、ブルーロータス調の軽やかで、スミレ様の花香を想起させる花の香りを再現することができるようになる。
本発明で用いる(C)β−フェニルエチルアルコールのブルーロータス様香料組成物中の含有量は、ブルーロータスの花の香気再現性の点から、(A)成分100質量部に対して、1.6質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、また17質量部以下が好ましく、14質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、(A)成分100質量部に対して、1.6〜17質量%であることが好ましく、3〜14質量%であることがより好ましく、5〜12質量%であることがさらに好ましい。
本発明のブルーロータス様香料組成物は、さらに、(D)ジヒドロ−β−イオノン(4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブタノン)及び/又はメチルベンゾエートを含有するのが好ましい。(D)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量は、ブルーロータスの花の香気再現性の点から、(A)成分100質量部に対して、0.08質量部以上が好ましく、0.16質量部以上がより好ましく、0.8質量部以上がさらに好ましく、また、5質量部以下が好ましく、3.4質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、(A)成分100質量部に対して、0.08〜5質量%であることが好ましく、0.16〜3.4質量%であることがより好ましく、0.8〜2.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明のブルーロータス様香料組成物は、さらに、(E)ベンジルアルコール、リナロール、シス−3−ヘキセニルアセテート及びシス−3−ヘキセノールから選ばれる1種又は2種以上を含有するのが好ましい。
本発明のブルーロータス様香料組成物における上記(E)成分の好ましい含有量を、下記表1に記載する。当該範囲であれば、ブルーロータス本来の香気を彷彿させ、嗜好性も高く、好ましい。
Figure 0006153131
本発明のブルーロータス様香料組成物には、必要により、エタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類などの溶剤を配合することができる。また、本発明の香気を妨げない範囲において、保留剤・保香剤、エンハンサー、冷感剤、温感剤、乳化剤、酸化防止剤、増粘剤、保存料、防黴剤などを配合することもできる。
本発明のブルーロータス様香料組成物は、香水、コロン、化粧水、クリーム、乳液、ファンデーション、化粧下地料、頬紅、口紅等の香粧品として好適に用いることができる。また、本発明のブルーロータス様香料組成物は、極めて汎用性が高く、香粧品以外に飲料、デザート、冷菓、菓子、調味料等の飲食品にも用いることができる。
本発明のブルーロータス様香料組成物の香粧品又は飲食品への添加量は、対象とする香粧品や飲食品の種類や賦香性により一概には規定することができないが、一般的に香粧品中の含有量としては0.0001質量%以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また100質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.0001〜100質量%であり、好ましくは0.01〜50質量%であり、より好ましくは0.1〜30質量%であり、0.5〜20質量%の範囲である。また、一般的に飲食品中の含有量としては、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、また10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。具体的な範囲としては、0.0001〜10質量%であり、好ましくは0.001〜1質量%の範囲である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物を開示する。
<1>(A)β−イオノン、(B)β−イオノール、及び(C)β−フェニルエチルアルコールを含有し、(B)成分中の(2S)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールと(2R)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールの質量比が9:1〜3:2であるブルーロータス様香料組成物。
<2>(A)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは57質量%以上であり、また好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは63質量%以下である<1>のブルーロータス様香料組成物。
<3>(A)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、好ましくは50〜70質量%、より好ましくは55〜65質量%、さらに好ましくは57〜63質量%である<1>又は<2>のブルーロータス様香料組成物。
<4>(B)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは36質量部以上、より好ましくは42質量部以上、さらに好ましくは46質量部以上であり、また、好ましくは58質量部以下、より好ましくは55質量部以下、さらに好ましくは54質量部以下である<1>〜<3>のブルーロータス様香料組成物。
<5>(B)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは36〜58質量部、より好ましくは42〜55質量部、さらに好ましくは46〜54質量部である<1>〜<4>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<6>(2S)−β−イオノールと(2R)−β−イオノールの質量比が、好ましくは6:1〜3:1、より好ましくは3:1〜7:4である<1>〜<5>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<7>(C)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは1.6質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは17質量部以下、より好ましくは14質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である<1>〜<6>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<8>(C)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは1.6〜17質量%、より好ましくは3〜14質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である<1>〜<7>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<9>さらに(D)ジヒドロ−β−イオノン及び/又はメチルベンゾエートを含有する<1>〜<8>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<10>(D)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.08質量部以上、より好ましくは0.16質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3.4質量部以下、さらに好ましくは2.5質量部以下である<9>のブルーロータス様香料組成物。
<11>(D)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.08〜5質量%、好ましくは0.16〜3.4質量%、さらに好ましくは0.8〜2.5質量%である<9>又は<10>のブルーロータス様香料組成物。
<12>さらに(E)ベンジルアルコール、リナロール、シス−3−ヘキセニルアセテート及びシス−3−ヘキセノールから選ばれる1種又は2種以上を含有する<1>〜<11>のいずれかのブルーロータス様香料組成物。
<13>(E)成分のブルーロータス様香料組成物中の含有量が、(A)成分100質量部に対してベンジルアルコールが0.8〜17質量部(好ましくは1.6〜34質量部)、リナロールが0.16〜5質量部(好ましくは0.8〜3.5質量部)、シス−3−ヘキセニルアセテートが0.015〜3.5質量部(好ましくは0.16〜1.6質量部)、シス−3−ヘキセノールが0.008〜3.5質量部(好ましくは0.16〜1.6質量部)である<12>のブルーロータス様香料組成物。
<14><1>〜<13>のいずれかのブルーロータス様香料組成物を含有する香粧品又は飲食品。
<15>ブルーロータス様香料組成物の含有量が、好ましくは0.0001〜100質量%、より好ましくは0.1〜50質量%である<14>の香粧品。
<16>ブルーロータス様香料組成物の含有量が、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である<14>の飲食品。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。尚、各成分の量は、質量%である。
<試験化合物>
下記の試験例及び実施例で用いた試料は下記のものを用いた。
(試料1):(2S)−β−イオノール
(2S)−β−イオノールは以下のように調製した。文献(Akai, S. et al. Organic Letters 2010年,12巻,4900-4903頁)の方法に従い、市販のβ−イオノンをNaBH4を用いて還元し(±)−β−イオノールを得た。(±)−β−イオノール(2.0g,10mmol)、Candida antarctica lipase B(ロシュ・ダイアグノスティックス製、6.0g)および酢酸ビニル(2.0mL)のアセトニトリル(80mL)懸濁液を室温で6.5時間攪拌した。セライトを通して反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得た。本品をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10:1)で精製し、(2S)−β−イオノール(0.90g,45%,99%ee)と(2R)−O−アセチル−β−イオノール(1.1g,46%,99%ee)を得た。(2S)−β−イオノールの光学純度は、ダイセルCHIRALCEL OD−H(hexane/i−PrOH=99.9:0.1)カラムを用いるHPLC分析によって決定した。
(2S)−β−イオノール. 無色液体. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 0.98 (3 H, s), 0.99 (3 H, s), 1.31 (3 H, d, J = 6.5 Hz), 1.43-1.45 (2 H, m), 1.57-1.62 (2 H, m), 1.66 (3 H, s), 1.97 (2 H, t, J = 6.5 Hz), 4.34-4.39 (1 H, m), 5.49 (1 H, dd, J = 6.5, 16.0 Hz), 6.05 (1 H, d, J = 16.0 Hz).
(2R)−O−アセチル−β−イオノール。無色液体。本品の1H NMR並びに13C NMRデータは文献値(Akai, S. et al. Organic Letters 2010年,12巻,4900-4903頁)とよく一致した。
(試料2):(2R)−β−イオノール
(2R)−β−イオノールは以下のように調製した。上記(2R)−O−アセチル−β−イオノール(99%ee,0.56g,2.4mmol)、炭酸カリウム(0.84g,6.1mmol)ならびにメタノール(8mL)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮した。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製し、(2R)−β−イオノール(0.45g,94%,99%ee)を得た。無色液体。
(2R)−β−イオノールの光学純度は、ダイセルCHIRALCEL OD−H(hexane/i−PrOH=99.9:0.1)カラムを用いるHPLC分析によって決定した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 0.98 (6 H, s), 1.31 (3 H, d, J = 6.5 Hz), 1.43-1.45 (2 H, m), 1.57-1.61 (2 H, m), 1.66 (3 H, s), 1.97 (2 H, t, J = 6.5 Hz), 4.34-4.39 (1 H, m), 5.48 (1 H, dd, J = 7.0, 16.0 Hz), 6.04 (1 H, d, J = 16.0 Hz).
実施例1〜7、比較例1〜6
表2の香料組成物からなるブルーロータス様香料組成物を製造した。得られた実施例及び比較例について、ブルーロータスの香気を想起させるか否かを官能評価した。評価方法及び評価点に示す。また、参考例及び比較例1は下記のようにして製造した。
参考例
摘んだ直後のブルーロータス100gを密閉ガラス容器に入れ、そこに窒素ガスを導入し、出口から流出してくる気体を、液体窒素中で捕集し、液状のブルーロータスの香気成分を約0.2mg得た。
比較例1
ブルーロータス300gをヘキサン溶液1Lで1時間浸漬し、その後、デカンテーションして花を除去した。残ったヘキサン溶液を蒸留し、乾燥固化させてブルーロータス抽出物3gを得た。得られたブルーロータス抽出物にエチルアルコール100gを加え、加熱して完全溶解させた後、冷却濾過して固形分を除去した。残ったエチルアルコールを蒸留して除き、ブルーロータスの香気(アブソリュート)成分約0.5gを得た。
(評価方法)
参考例のブルーロータスの香気と実施例及び比較例の香料組成物との匂いの対比を、専門パネラー5名による官能評価により行った。ブルーロータスの香気(参考例)が再現されているか、香りの特徴が表現されているかなどの観点から、下記評価点による合計点として表2に合わせて示す。
(評価点)
5点:非常にブルーロータスの香りの特徴が表現され、似ている。
4点:ブルーロータスの香りの特徴が表現され、似ている。
3点:ブルーロータスの香りを認める。
2点:すこしブルーロータスの香りを認める。
1点:類似するところなし。
Figure 0006153131
表2から、(D)β−イオノン、(B)β−イオノール、及び(C)フェニルエチルアルコールを含有し、(2S)−β−イオノールと(2R)−β−イオノールの質量比が、9:1〜3:2とすると良好なブルーロータス様香気が再現できることがわかる。
実施例8 ブルーロータス様香料組成物
Figure 0006153131
実施例8に示すブルーロータス様香料組成物は、参考例のブルーロータス香気に極めて類似した香気を有している。
実施例8のブルーロータス様香料組成物を用いた、下記処方のフローラル系調合香料処方を示す。
Figure 0006153131
実施例8のブルーロータス様香料組成物を用いた下記処方のスキンローション処方を示す。
Figure 0006153131
(製造方法)
水相、アルコール相を各々均一に溶解し、水相とアルコール相とを混合攪拌分散して可溶化を行い、次いで容器に充填する。使用時には内容物を均一になるよう振って使用する。

Claims (5)

  1. (A)β−イオノン、(B)β−イオノール、及び(C)β−フェニルエチルアルコールを含有し、(B)成分中の(2S)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールと(2R)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−1−イル)−3−ブテン−2−オールの質量比が、9:1〜3:2であるブルーロータス様香料組成物。
  2. ブルーロータス様香料組成物中、(A)成分100質量部に対して、(B)成分を36〜58質量部、(C)成分を1.6〜17質量部含有する請求項1に記載のブルーロータス様香料組成物。
  3. さらに、(D)ジヒドロ−β−イオノン及び/又はメチルベンゾエートを含有する請求項1又は2に記載のブルーロータス様香料組成物。
  4. さらに、(E)ベンジルアルコール、リナロール、シス−3−ヘキセニルアセテート及びシス−3−ヘキセノールから選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のブルーロータス様香料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のブルーロータス様香料組成物を含有する香粧品又は飲食品。
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