JP4638353B2 - 香りの多次元的機能評価方法および神経活動促進香料 - Google Patents

香りの多次元的機能評価方法および神経活動促進香料 Download PDF

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Description

本発明は香りの多次元的機能評価方法、その方法により見出された神経活動促進香料およびその香料を含有する香料組成物に関する。また、本発明は交感神経活動促進香料および該香料を含む組成物を有する香料組成物に関する。詳しくは、本発明は2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる交感神経活動促進香料に関する。また、2,2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減性交感神経活動促進香料に関する。さらに、本発明はそれら香料を含有する交感神経活動促進香料組成物あるいはそれら香料を含有するストレス低減性交感神経活動促進香料組成物に関する。
本発明は、また、気分状態改善香料およびその香料を含有する香料組成物に関する。より詳しくは大環状ムスク化合物およびカンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる気分状態改善香料およびその香料を含有する気分状態改善香料組成物に関する。
自律神経系は交感神経系と副交感神経系の2系統に大別され、交感神経系の作用と副交感神経系の作用はお互いに拮抗的に作用することが知られている。交感神経の作用としては、人の活動状態を促進する作用が知られており、たとえばエネルギーを発散させたり、汗を出したり、緊張を高めたりする働きがある。交感神経の作用を高めるためには、交感神経を高める薬を服用すればよいのであるが、交感神経の作用を促進する香料が身近に存在すれば、手軽に利用することができるうえ、香料の匂いを楽しむことができるので、好都合である。
すでに、ジャスミンアブソリュート、ローズオイル、クローブオイル、イランイランオイルなどが人の活動状態を高める作用を有することが知られており、それらは市販されているので容易に入手可能である。
最近、グレープフルーツ果実からの抽出物を身体の部分に塗布することにより局部的皮下脂肪過多に効果がある事が報告されており(特許文献1を参照)、また、グレープフルーツオイルが交感神経の働きを活発にする作用を有するとの報告がなされ(特許文献2参照)注目を浴びているところである。ここで開示されているグレープフルーツオイルを製造するためにはグレープフルーツ果実を製造原料とすることになるのであるから、天然物原料の品質や量を確保するときの不安定さが問題点として残されている。
なお、アニスアルデヒドにも生理的、心理的高揚効果があると報告されているが(特許文献3参照)、ここでも上記と同様な問題点を有する。
一方、近年の社会情勢の複雑化に応じて、多くの人は精神的ストレスあるいは神経的ストレスを余儀なく受けることとなる。このストレスを受けることにより、ヒトはたとえば免疫力の低下、ノイローゼなどの精神的障害、体調の不良などの身体への影響、不安や動揺、倦怠感ややる気の消失などの心理的影響を受けることがある。上記ストレスを解消するためにいろいろな方法が報告されているが、とくに香りの力を利用する方法は、注射や内服に頼る化学療法と違いヒトに優しい方法であり、それだけ有利である。その一つの方法として、いわゆるアロマテラピーが知られている。この療法はたとえば植物内に存在する天然香料など、すでに知られている香料を吸入することにより、香料が神経系などに微妙に作用し、人への安らぎ感や満足感などを与え、ストレスを解消する療法である。この方法は、人にやさしい方法であり、それだけ優れた方法であるということができる。
そして、上記アロマテラピーに使用されている香料としては、精油が多く用いられている。
一方、現在までに数多くの香料が報告され、いろいろと研究されているところであり、たとえばストレス緩和用の香料組成物が報告されている(特許文献4を参照)。ところが、この報告ではストレス緩和といっても、睡眠不足によるストレスを緩和することでしかなく、人への安らぎ感や満足感などを与えることによりストレスを緩和することではない。
また、ストレス性物質の分泌を抑制する香料組成物が報告されている(特許文献5を参照)。この報告ではメチルジヒドロジャスモネイトなどを含有する香料組成物が、角層中のプロテアーゼ活性を促進させ、角層の剥離・代謝を正常化することを開示しているにすぎない。
さらに、副作用が少ないあるいは全くない副交感神経作用剤としてミカン科精油、ユーカリ油、タイム油などが報告されている(特許文献6を参照)。そこでは経皮吸収剤に精油を含ませて皮膚に直接接触させることにより、心拍数の変化から算出したLF/HF値が低下することからこれらの精油による副交感神経の活性化を示している。
すなわち、従来の香りの生理的、心理的評価方法は、ほとんどの場合、香料の匂いを被験者が嗅ぎ、尿中の化合物の増加量を知るとか、香料を被験者の皮膚に接触させ、該皮膚の角層内の特定の化合物の増加量を知るとか、香料を被験者の腕表面に直接接触させ、その心拍数の変動を知る方法などのごとく、香料の匂いをひとつの指標と対応させて、その指標の数値の変動を解析し、もって香りを評価し、香料の機能の評価を行っているにすぎない。
また、上記香料は、そのほとんどがいわゆる精油といわれるものであり、原料としては天然物に由来し、気候などの予測不可能な事態に原料素材の品質や収穫量などが影響され、原料の確保に問題点があると指摘されている。
従来から優れた効能を有する香料を開発する研究が行われている。そして、香料をヒトが吸引したときに、その香料のヒトへの影響は極めて複雑であるにもかかわらず、従来からの研究方法のほとんどは、ある特定の香りに対して特定の指標一つに着目し、いろいろと検討しているにすぎない。また、その香りの評価も、香料の香りが有する機能を、何らかの単一指標で評価する場合が殆どであり、これは極めて一面的な評価方法であり、香料を適切に評価しているとはいえない。
特開平9−291038号公報 特開2002−193824号公報 特開2001−19992号公報 特開2001−49286号公報 特開2001−199832号公報 特開平11−209294号公報
そこで、本発明者らは、精神活動を促進する機能を有する香料、例えば気分状態改善に有効な香料を見出すべく研究する最中、香りと、ヒトと、ストレスとは極めて複雑な関係であるという点に着目し、香料の香りが有する機能を、何らかの単一指標で評価することは極めて一面的な評価方法であり、適切な評価方法ではないとの結論に至った。
本発明の課題は、香料の香りの機能評価をより適性な方法で評価する方法を開発することである。また。上記方法を多くの香料に適用し、精神活動を促進する機能を有する香料、例えば気分状態改善効果のある香料を見出し、提供することでもある。
また、本発明の課題は原料調達に不安定さがなく、副作用が少ないか全くない交感神経活動促進香料を提供することでもある。また、その香料を含む香料組成物を提供することが本発明の課題である。さらに、原料調達に不安定さがなく、ストレス低減性を示し、しかも副作用のない交感神経活動促進香料およびその香料を含む香料組成物を提供することも本発明の課題である。
なお、上記気分状態改善香料とは、香料から発せられる匂いをヒトが嗅いだときに、ヒトの気分状態を改善することができる香料を意味し、気分状態を改善するとは、ヒトの気分状態が良い気分状態になることを意味する。ここで、気分状態とはヒトの心理的、生理的な状態を意味し、良い気分状態とはヒトが望む気分状態を意味する。また、本発明での気分状態改善香料としては、副交感神経系活動促進香料、ストレス低減香料、鎮静香料を例示することができる。さらには、ヒトの心理的、生理的な状態は複雑であり、本発明での気分状態改善香料としては、ストレス低減性副交感神経系活動促進香料、ストレス低減性鎮静香料、副交感神経系活動促進性鎮静香料、さらにはストレス低減性のある副交感神経系活動促進性鎮静香料が好ましい。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究する一環として、ヒトとストレスと香料との関係をいろいろと調べている最中、香料を吸引したときの香料のヒトへの影響は複雑であること、およびそれにもかかわらず、従来からの研究方法のほとんどは、ある香りに対して特定の指標一つに着目し、検討していることに気づいた。そのような方法に固執するかぎり、新たな知見は得られないとの結論に達し、つぎのような新規な評価方法を開発した。
すなわち、中枢神経系指標に属する指標、自律神経系指標に属する指標、心理系指標に属する指標および行動系指標に属する指標から選ばれる少なくとも2種あるいは3種以上の指標を組み合わせて、香りを多次元的に機能評価する方法を開発した。これらの指標を複数個組み合わせると共に経過時間の要素を加えることで、香りのヒトへの影響を総合的に把握し、香料の機能を評価することができるので、あらたな知見が得られると予測した。
そして、上記香りの多次元的機能評価方法を数多くの香料に適用した結果、遂に下記のような発明を完成した。
また、本発明者らは香りの複雑さ、ストレス反応の複雑さをふまえて、中枢神経系の生理反応と自律神経系の生理反応をポリグラフイックに記録し、さらにストレス評価質問紙による心理指標、課題成績という行動指標も同時に計測することにより、香りとストレス反応の関係を多次元的に評価する方法に到達した。
さらに、自律神経系については、香りの効果というものを考えた場合、交感神経系・副交感神経系の反応をそれぞれ独立で評価できるように配慮し、他方の影響を受けにくい指標を選択した。
また、上記4つの指標の同時計測に加え、CNVによる香りの意識水準、すなわち香りの覚醒・鎮静効果というものも含めて多次元的な香りの機能の評価法を完成した。
さらに、その香りの多次元的機能評価法を他の香料に適用し、香料の機能を評価し、気分状態改善効果を有する香料を見出した。
すなわち、本発明は次のとおりである。
請求項1の発明は、成分(A):2,2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で交感神経系指標に属する指標が活性化を示す交感神経活動促進剤である。
請求項2の発明は、成分(A)の化合物が2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4,6−シクロヘキサジエンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4−
シクロヘキセンカルボン酸メチル、α−シクロゲラン酸メチル、β−シクロゲラン酸メチル、γ−シクロゲラン酸メチル、α−シクロゲラン酸エチル、β−シクロゲラン酸エチル、γ−シクロゲラン酸エチル、および2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルである請求項1記載の交感神経活動促進剤である。
請求項3の発明は、成分(B):大環状ムスク化合物および成分(C):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる1種あるいは2
種以上の化合物からなり、気分状態改善のために用いることを特徴とする中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標が活性化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示す副交感神経活動促進剤であるが、この発明は前記化合物からなることを特徴とする気分状態改善剤であるということもできる。
請求項4の発明は、成分(B)に属する化合物が3−メチルシクロペンタデカノン−1,3−メチル−4−シクロペンタデセン−1−オン、9−シクロペンタデカン−1−オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロヘキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセン−11又は12−オリド、シクロペンタデセン−7−オリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカジオエート、12−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリドであり、気分状態改善のために用いる請求項3記載の副交感神経活動促進剤であるが、この発明は前記化合物からなる請求項3記載の気分状態改善剤であるということもできる。
請求項5の発明は、成分(C)に属する化合物が3-メチル-5-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール、2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、(E)−(R)−2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタン−1−オール、3-メチル-5-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3−トリメチル−3’−シクロペンテン−1−イル)−4− ペンテン−2−オール、2-メチル-4-メチレン-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタノール、[1-メチル-2-(1,2,2 −トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルメチル)シクロプロピル]メタノールであり、気分状態改善のために用いる請求項3記載の副交感神経活動促進剤であるが、この発明は前記化合物からなる請求項3記載の気分状態改善剤であるということもできる。
以下、香りを多次元的に機能評価する方法を詳細に説明する。
香りを多次元的に機能評価する方法は、中枢神経系と自律神経系とを組み合わせることを特徴とする。すなわち、中枢神経系指標に属する指標、自律神経系指標に属する指標、心理系指標に属する指標および行動系指標に属する指標から選ばれる少なくとも2種あるいは3種以上の指標を組み合わせることを特徴とする香りを多次元的に機能評価する方法である。ここで、自律神経系指標に属する指標として、交感神経系指標に属する指標あるいは副交感神経系指標に属する指標がある。なお、これらの指標に加えて、内分泌系や免疫系などの生化学的計測による指標を加えてもよい。好適な生化学的指標としては、コルチゾール量、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)量、カテコールアミン量、免疫グロブリン量などが挙げられる。
まず、中枢神経系指標に属する指標について説明する。中枢神経系指標に属する指標の計測例として、脳波のα波、β波、θ波などの比率の計測、脳波のα波の周波数ゆらぎの測定、CNVによる香りの意識水準の計測、脳波のP300の測定、脳磁波の計測、脳内血流量の分布の測定などを挙げることができる。
中枢神経系指標に属する代表的な指標として、CNVによる香りの意識水準(覚醒効果、鎮静効果)、および脳波のα波の周波数ゆらぎを例示できる。
まず、CNVによる香りの意識水準(覚醒・鎮静効果)について説明する。このCNVによる意識水準の計測方法は香りの機能評価の一つの手法として公知の方法であり、香りの覚醒・鎮静効果について、香りを嗅いだ後の前頭葉の脳波(CNV)を測定し、香り機能を評価する方法である。CNVとは、Contingent Negative Variationの頭文字をとったもので、随伴性陰性変動と呼ばれており、中枢神経系反応のひとつである、脳電図のバリエーションのひとつであり、広義には事象関連電位と呼ばれるものの一種である。
次に、脳波のα波の周波数ゆらぎを説明する。脳波は、下は0.数ヘルツから上は約40ヘルツくらいまでの様々な周波数の波が混在しており、その中の周波数が8から12Hzのものを脳波のα波という。このα波の周波数を持つ波は時間とともに不規則に変化する。本発明では、ストレス負荷された被験者の脳波のα波を測定し、α波周波数ゆらぎのスペクトルから被験者の感情状態を測定した。
α波周波数ゆらぎが、ストレス負荷により生じる感情状態に対応して、0から−1の範囲で、そのゆらぎ係数(傾斜度:傾き)を変えていくのであり、α波周波数ゆらぎ係数が−1に近ければその人のその時の感情状態がポジティブであり、α波周波数ゆらぎ係数が0に近ければその人のその時の感情状態がネガティブであると評価できる。
なお、脳波は頭皮上に電極を装着するだけで測定可能である。
以下、自律神経系指標に属する指標について説明する。自律神経系指標に属する指標の計測例として、たとえば瞳孔反応の測定、心電図、血圧や呼吸の測定、表面血流の測定、指尖脈波の測定などが挙げられる。
自律神経は交感神経と副交感神経に大別されており、内臓器官などの調節を担っている。その際、神経末端から放出されるアドレナリン、アセチルコリンなどが作用を及ぼし、心臓、血管、瞳孔、胃腸活動、汗腺等の働きをほぼ拮抗的に調節している。従って、自律神経活動の測定方法としては、アドレナリンやアセチルコリン量などを直接的に測定する方法や、心拍、血流、血圧、発汗、瞳孔反応等を測定する方法が報告されている。香料の自律神経系に対する作用を測定するにあたっては、適切な方法であれば、特に測定方法は限定されない。
以下、自律神経系指標に属する指標の中で、交感神経系指標に属する指標について説明する。
本発明では交感神経系に属する指標の代表例として皮膚温度を採用したが、それに限定されないのであり、他の指標を採用してもよい。ヒトの表面皮膚温度は、外気温が一定の場合、皮膚組織内を循環する血流量に依存して変化し、この皮膚組織内を循環する血流量は血管平滑筋の収縮・拡張により調整されている。血管平滑筋が拡張すると局所血流量が増加し、皮膚温度が上昇すること、この血管平滑筋は主に交感神経性血管収縮繊維の支配を受けていることが知られている。このことから、交感神経活動が亢進すると血管平滑筋が縮小し、末梢循環が抑制されるため血流量の減少と皮膚温の低下が生じることになる。
ヒトの指尖部や鼻部などのヒトの皮膚温度を連続的に測定することにより交感神経活動を知ることができる。
自律神経支配を受けている心臓血管系の反応として、本発明では心電図の波形をも選び、指標とする。
以下、副交感神経系に属する指標について説明する。
本発明では自律神経支配を受けている心臓血管系の反応として、心電図の波形を選び、副交感神経系に属する指標の代表例としているが、それに限定されないのであり、他の副交感神経系に属する指標を採用してもよい。
心電図の波形を観察すると、R波と呼ばれるピークが観察できる。このR波のピークと次のR波とのインターバル(R−R間隔)は交感神経系の影響を受けない成分が含まれることが知られているので、その(R−R間隔)を解析することによって、副交感神経活動を知ることができる。
次に、心理系指標に属する指標について説明する。
ヒトの心理状態や感情状態を、多面的な尺度を用いて測定するために、心理指標を用いることは広く知られている。本発明では、それら公知の心理系指標に属する指標を適宜使用すればよいのであり、とくに制限されない。代表的な指標としては、一過性ストレス主観質問紙を挙げることができる。さらに詳しく説明すると、一過性ストレス主観質問紙によって得られる、心地よさ、怒り、不安・動揺、倦怠の4因子にストレス感という項目を指標として挙げられる。さらに、香りの強さと香りの快・不快の程度を指標として加えた。
次に行動系指標に属する指標について説明する。
ヒトの心理状態や感情状態への香りの効用を被験者の行動から測定する方法はすでに知られている。それらの方法としては、フリッカーテスト、クレペリンテスト、模擬的VTR作業、文字消去法などを例示することができる。
本発明では、それらの方法を適宜利用することができるのであって、とくに制限されない。本発明での具体的な負荷内容は、表示画面上でランダムに移動するターゲット(Target)がフレーム(Frame)内に収まるよう被験者がフレームを動かすことにある。フレーム内にターゲットが収まらない限り、大きな音が鳴るように設定されている。
以下、香りの多次元的機能評価方法を香料に適用して、新たに見出された有効な香料について説明する。
上記評価方法を香料に適用した結果、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で交感神経系指標に属する指標が活性化を示す交感神経活動促進香料を見出した。また、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標が活性化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示す副交感神経活動促進香料を見出した。なお、この副交感神経活動促進香料は、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標が活性化を示すか、交感神経系指標に属する指標が抑制化を示すか、副交感神経系指標に属する指標が活性化を示すと共に交感神経系指標に属する指標が抑制化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示すことを特徴とする副交感神経活動促進香料、および/または交感神経活動抑制香料であるということもできる。ここで、前記中枢神経系指標に属する指標が正の値を取るとは、中枢神経系指標に属する指標が正の感情状態を示す値を取るか、または活性化を示す値を取ることを意味する。
さらに、これらの香料に通常使用する香料あるいは慣用の配合剤を加えて香料組成物として賦香する対象物に添加・配合してもよい。
さらに、下記香料が交感神経活動促進香料あるいはストレス低減性交感神経活動促進香料として有効であることが判明した。
上記評価方法を香料に適用した結果、下記香料が交感神経活動促進香料あるいはストレス低減性交感神経活動促進香料として有効であることが判明した。
すなわち、2,2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類である。
上記化合物において、シクロヘキサン環あるいはシクロヘキセン環に結合するアルキル基がメチル基、エチル基であり、アルコール成分に由来するアルキルがメチル基、エチル基である化合物が代表的な化合物である。それら代表的な化合物を例示すると、2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル(テサロン:高砂香料工業株式会社)、2,2,6−トリメチル−4,6−シクロヘキサジエンカルボン酸エチル(エチルサフラネート:クエスト社)、2,2,6−トリメチル−4−シクロヘキセンカルボン酸メチル(メチルサフラネート:クエスト社)、α−シクロゲラン酸メチルβ−シクロゲラン酸メチル、γ−シクロゲラン酸メチル、α−シクロゲラン酸エチル、β−シクロゲラン酸エチル、γ−シクロゲラン酸エチル、および2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチル(ジベスコン:ジボーダン社)である。なお、2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルの異性体として2,2,5,6−テトラメチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルを挙げることができる。本発明では、2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルと2,2,5,6−テトラメチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルとの混合物も本発明の上記香料に属する。それら化合物は公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい。
上記、香料はすでに知られているが、それら香料が交感神経活動促進能を有することは全く知られておらず、ましてやそれら香料がストレス低減性をも有することは全く知られていなかった。
上記化合物自体だけでも交感神経活動促進香料として有効であるが、他の配合剤などを配合してもよい。他の配合剤としては、香料、交感神経活動促進剤、増量剤、抗菌剤などが挙げられる。配合剤の具体例としては、カプサイシン、スピラントール、ジンゲロン、ピペリン等の抗肥満・痩身能を持つ化合物、カフェイン等のキサンチン誘導体、カテキン等のカテキン類、中国茶、緑茶抽出物、ウイキョウ、シャクヤク、ショウキョウ、トウガラシ、ジンジャー、オランダセンニチ、ラベンダーなどの生薬、タマリンド、イノシット、デキストラン硫酸、ギムネマシルベスターなどがある。これら配合剤は1種あるいは2種以上併用してもよい。
それらの配合量は使用する交感神経活動促進香料や他の配合成分との関係等により適宜変更されるのであり、本発明の所期の効果を損なわない限り配合することができるが、たとえば、調合香料中における交感神経活動促進香料の好ましい配合量は統合香料を基準として約10〜80%(重量)である。また、交感神経活動促進香料を含む香料組成物において、交感神経活動促進香料の好ましい配合量は香料組成物を基準として約10〜50重量%である。
以下、上記機能評価方法を適用した結果、新たに見出された気分状態改善香料について説明する。
本発明でいう気分状態改善香料として、大環状ムスク化合物、カンフォレニル型サンダル類をあげることができる。
大環状ムスク化合物は、15〜16個の炭素原子からなる環状の化合物であり、さらに酸素原子が存在していてもよい化合物である。好ましい大環状ムスク化合物として、3−メチルシクロペンタデカノン−1(ムスコン)、3−メチル−4−シクロペンタデセン−1−オン(デヒドロムスコン)、9−シクロペンタデカン−1−オン(ジベトン)、シクロペンタデカノン(エギザルトン:フィルメニッヒ社)、シクロヘキサデセノン(アンブレトン:高砂香料工業株式会社)、シクロヘキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセン−11or12−オリド、シクロペンタデセン−7−オリド、シクロヘキサデカノリド(ヘキサデカノライド:IFF社)、エチレンブラシレート(ムスクT:高砂香料工業株式会社)、エチレンドデカジオエート(ムスクC−14:高砂香料工業株式会社)、12−オキサヘキサデカノリド(ムスク781:IFF社)、11−オキサヘキサデカノリド(ムスクR−1:クエスト社)、10−オキサヘキサデカノリド(オキサライド:高砂香料工業株式会社)を例示することができる。
それら化合物は公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい。
上記、香料はすでに知られているが、上記香料が気分状態改善香料として有効であるとは全く知られておらず、ましてやそれら香料が副交感神経系活動促進香料、ストレス低減香料として有効であるとは全く知られていなかった。
カンフォレニル型サンダル類は、2,2,3−トリメチルシクロペンテニル基を有する脂環式アルコールともいえる。好ましい上記脂環式アルコールとして、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール(サンダロア:ジボダン社)、2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(バクダノール:IFF社)、(E)−(R)−2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(レボサンドール:高砂香料工業株式会社)、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール(サンダルマイソルコア:花王株式会社)、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタン−1−オール(ブラマノール:シムライズ社)、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール(エバノール:ジボダン社)、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール(ポリサントール:フィルメニッヒ社)、2−メチル−4−メチレン−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタノール(フィルサントール:フィルメニッヒ社)、[1−メチル−2−(1,2,2−トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルメチル)シクロプロピル]メタノール(ジャバノール:ジボダン社)を例示することができる。
それら化合物は公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい。
上記、香料はすでに知られているが、上記香料が気分状態改善香料として有効であるとは全く知られておらず、ましてやそれら香料が副交感神経系活動促進香料、ストレス低減香料、鎮静香料として有効であるとは全く知られていなかった。
上記化合物自体だけでも気分状態改善香料として有効であるが、他の配合剤などを配合してもよい。他の配合剤としては、上記以外の香料、副交感神経活動促進剤、増量剤、抗菌剤などが挙げられる。配合剤の具体例としては、カテキン等のカテキン類、中国茶、緑茶抽出物、生薬、タマリンド、デキストラン硫酸、ギムネマシルベスターなどがある。これら配合剤は1種あるいは2種以上併用してもよい。
それらの配合量は使用する副交感神経活動促進香料、共存させる他の香料や他の配合成分との関係等により適宜変更されるのであり、本発明の所期の効果を損なわない限り配合することができるのであるが、たとえば、調合香料中における気分状態改善香料の好ましい配合量は統合香料を基準として約10〜80%(重量)である。また、気分状態改善香料を含む香料組成物において、気分状態改善香料の好ましい配合量は香料組成物を基準として約10〜50重量%である。
本発明の交感神経活動促進香料あるいはその香料を含む組成物は、および本発明の気分状態改善香料あるいはその香料を含む組成物は、多方面に利用することができる。例えばフレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、お香、雑貨;飲食品類、口腔用組成物、医薬品類に配合することができる。
これらに交感神経活動促進香料組成物を配合させる量はとくに制限されないが、通常約0.005〜2%(重量)である。また、気分状態改善香料組成物を配合させる量もとくに制限されないが、通常約0.005〜2%(重量)である。
上記フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなどが挙げられ、基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなどが挙げられ、仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなどが挙げられ、頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤などが挙げられる。
日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品などが挙げられ、薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマメントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料などが挙げられ、ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなどが挙げられ、石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などが挙げられ、身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどが挙げられ、浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどが挙げられ、洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸、などが挙げられ、柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアーなどが挙げられ、洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤などが挙げられ、台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤などが挙げられ、漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤、等)、光学的漂白剤、などが挙げられ、エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレーなどが挙げられ、消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなどが挙げられ、雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどが挙げられる。
また、飲食品類としては、例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓;和・洋菓子類、ジャム類、キャンディー類、ゼリー類、ガム類、パン類、コーヒー類、ココア類、紅茶類、ウーロン茶類、緑茶類の如き嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類、風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類など;口腔用組成物としては、例えば、歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム類など;医薬品類としては、ハップ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤、内服剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されないことはいうまでもない。
本発明によれば、香りの多次元的機能評価方法が提供でき、その評価法に従って香料を評価し、交感神経活動促進香料を提供することができる。また、ストレス低減性のある交感神経活動促進香料を提供することができる。さらにそれら香料を含む交感神経活動促進香料組成物およびストレス低減性のある交感神経活動促進香料組成物を提供することができた。上記香料あるいは香料組成物は多方面に利用することができ、交感神経活動促進作用やストレス低減性を与えることができる。さらには、痩身効果を有するので極めて実用的である。
また、本発明の香りの多次元的機能評価方法に従って香料を評価し、気分状態改善香料を提供することができる。また、副交感神経活動促進香料、ストレス低減性香料、鎮静香料やそれらの複数の作用を有する香料を提供することができる。さらに、前記香料をヒトに適用すると、ストレスを低減でき、鎮静効果によりゆったりとした満足感を持つことができ、気分状態がよくなるという実用的な効果をもたらすことができる。
(発明の実施の形態)
以下、図を参照しながら、本発明の香りの多次元的機能評価方法についてより具体的に説明する。
図1は、本発明のストレス負荷実験の実験パラダイムを示す図である。
実際の実験パラダイムは次のとおりである。香りを呈示しないコントロール条件と呈示するニオイ呈示条件は、ニオイ呈示の有無以外のパラダイムは同じである。最初に、被験者に脳波用電極、心電図用電極、皮膚温センサを装着した後に、最初に6分間、安静閉眼状態で脳波・心電図・皮膚温を記録し、その後に12分間、ストレス負荷であるトラッキング課題を行う。課題終了後、引き続いて20分間、安静閉眼状態で脳波・心電図・皮膚温を記録し、実験終了となる。つまり、脳波・心電図・皮膚温は、実験が始まってから終了するまで、連続的に記録されている。ニオイ呈示条件の場合には、このストレス負荷期にニオイを呈示する。
心理指標を記載した質問紙を、このグレーの三角形で示した各フェイズの境目、つまり安静期の初め、安静期とストレス負荷期の境目、ストレス負荷期と回復期の境目、回復期の終わりのそれぞれの時期に被験者に渡し、質問紙の質問に被験者が書き込むという形で心理評価を行う。なお、ニオイ呈示条件の場合には、ニオイ呈示終了時に、心理評価用の質問紙への書き込みと同時に、ニオイの主観的な強度と快−不快感を評定する。
まず、脳波の場合は、ストレス負荷直後の6分間の区間でのα波周波数ゆらぎの状態が、ニオイの有無でどう変化するか知る。また、自律神経系活動の場合、この12分間のストレス負荷期に生じる心電図と皮膚温度の変化パターンが、ニオイの有無によって、どのように変化したか知る。心理指標については、ストレス負荷直後の主観評価がニオイの有無でどう変わるか知る。
それらの生理指標・心理指標に加えて、行動指標としての作業成績がニオイの有無でどのように変化したか、それから別の実験で得られたCNVのデータから、そのニオイが覚醒水準にどのような効果を持っているのか知る。これらの変化を総合的に判断して、香りの機能を評価する。
図2はストレス課題と作業成績についての説明図である。
ストレス課題としては、トラッキング課題を用いた。このトラッキング課題は、コンピュータのディスプレイ上を、かなり小さなターゲットがランダムな軌跡を描いて移動する。画面上には、比較的大きなフレームも表示されており、このフレームは被験者が手元のマウスを操作することにより、自由に動かすことが出来る。被験者の課題は、手元のマウスを操作して、ランダムに逃げ回るターゲットが常にフレームの中にとどまるよう、フレームを移動させ追跡することである。ターゲットがフレーム外にある状態、つまり条件が達成されていない状態では、フレームがフラッシュし、コンピュータからフルボリュームで警告音であるビープ音が鳴り響くように設定されている。ブーブー・ブーブーと警告音にさらされながら、ちょこまかと逃げ回るターゲットを被験者は12分間連続で追跡し続ける。この課題の成績をエラー数、すなわち12分間で、何回ターゲットを逃がしたかという回数と、平均再捕捉時間、つまり、一旦とり逃がしたターゲットを再び捕まえるまでにかかった平均時間で評価する。
図3AおよびBはCNV計測法での電位変動を示す図である。
CNVを含む事象関連電位を計測する場合には、何らかの課題や刺激を与えることを繰り返し、数十回分の試行を加算平均することによって、課題や情報処理、または情動や覚醒水準などの大脳の状態に関連した電位変動が得られる。CNVの場合は、予告刺激(S1)と反応刺激(S2)、およびこの反応刺激に対して、例えばボタン押しなどの何らかの運動反応を求めるという、予告刺激−反応刺激−運動反応という一連のパラダイムにより大脳の状態に関連した電位変動が誘発され(図A)、図3Bに示されるような波形として示される。
CNVとは、このS1−S2間の陰性の変動成分のことを意味する。このCNVについては、S1呈示後0.4秒から1秒の早期成分と、S2に近い、S1呈示後1秒からS2呈示直前までの後期成分と2つの成分から成っている。早期成分は、課題に対する注意や覚醒水準に対応して変化することが知られている。つまり、課題に対する注意を操作しない条件下では、早期成分の変動で覚醒水準の変化を評価出来る。覚醒水準が下がると(鎮静的な香りの場合)、この部分の面積が小さくなる。反対に覚醒水準が上昇すると(覚醒的な香りの場合)、この部分の面積が大きくなる。
図4AおよびB、図5を用いて脳波のα波周波数ゆらぎ解析を説明する。
測定した脳波(Orinigal EEG)(図A)にフィルタをかけ、8から12Hzの周波数帯の波を抽出する(Filtered EEG)(図B)。このα波の周波数は微妙にゆらいでいる。例えば、8ヘルツ・11ヘルツ・9ヘルツ・10ヘルツ・8ヘルツ・12ヘルツ・・・のようである。このようにひとつひとつのα波の周波数の時系列ゆらぎをFFTスペクトル解析し、縦軸がエネルギー量で横軸がゆらぎ周波数である図5のような右下がりのスペクトルが得られる。すなわち、スペクトルの傾きが周波数、f分の1になるということで、f分の1スペクトルなどとも言われている。
さて、ヒトへのストレス負荷が非常に軽い場合、スペクトルの傾きが大きく、すなわちf分の1に近く、負荷が重くなるに従ってこのスペクトルの傾きが小さくなり0に近づいていく。このように、α波周波数ゆらぎを解析することによって、その人のその時の感情状態がポジティブなのかネガティブなのかということが評価できる。

図6を用いて副交感神経系の指標の解析を説明する。
自律神経系の指標としての心電図の波形でのそれぞれのピークの中のR波と呼ばれるピークのインターバル(R−R間隔)を解析することによって、副交感神経活動を測ることが出来る。このR−R間隔をFFTスペクトル解析を使って変動解析すると、右側のようなスペクトルが得られる。このように低周波側と高周波側にそれぞれピークを持つ二峰性のスペクトルを示すが、この2つのピークのうち、0.15Hzから0.5Hzの間のHF成分と呼ばれる高周波側のピークの面積は副交感神経の活動状態に対応して変化することが知られている。
そして、副交感神経活動が抑制されると、心拍数の増加や拍動ゆらぎの減少が起こり、その結果、R−R間隔が短縮し、HF成分が減少する。したがって、HF成分は、副交感神経神経活動が亢進すると増大し、副交感神経活動が抑制されると減少するという変化をする。
図7は一過性ストレス主観評価質問紙に記載された15項目の様々な感情状態を表す言葉を記載した図である。
心理指標についての解析方法について説明する。15項目の様々な感情状態を表す言葉から構成されている一過性ストレス主観評価質問紙を用い、これらの項目について、全く感じない(0点)から非常に感じた(10点)までの10点満点で被験者が回答する。これらの回答した素点を処理して、主観的なストレス状態を4つの因子で評価する。その4因子は、心地よさ、怒り、不安・動揺、倦怠である。また、独自にストレス感という項目を付け加え、総合的な主観的なストレス感を全く感じない(0点)から非常に感じた(10点)までの10点満点で評価する。ニオイ呈示直後の質問紙には、図7のように、ニオイの主観的な強度を10点満点で、快−不快を−5点から+5点の間で評価する。
なお、上記4因子と15項目との関係は次のとおりである。
心地よさは、気持ちよい、安心した、心地よい、さわやかな、の各項目に対応し、怒りは、腹立たしい、むしゃくしゃした、怒りを感じた、むっとした、の各項目に対応し、不安・動揺は、くよくよした、ふさいだ、うろたえた、びくびくした、の各項目に対応し、倦怠は、ぐったりした、気が滅入った、むなしい、の各項目に対応する。
上記4因子は対応するそれぞれの項目の評価点の平均値により、評価されることになる。
以下、上記香りの多次元的機能評価方法を適用して、得られた結果を示すレーダーチャートについて説明する。
図8は、そのレーダーチャートを示す。なお、図8はニオイを呈示していないときのレーダーチャートである。
レーダーチャートは全体的なストレス反応パターンとして表示できるので、レーダーチャートを観察・検討することによって、香料特性の理解を容易にすることができる。
上記測定し検討した指標は、それぞれ単位も違えば、変化する幅も異なる。それらを揃えて、全体の反応パターンとしての理解を容易にするために、データの標準化を行い、すべてのパラメータを平均が0、分散が1になるように変換してある。このデータの標準化は一般的に行われている方法を用いて行うことができる。
具体的には、α波周波数ゆらぎ係数の値が小さくなると、相対的にゆらぎ係数が0に近づくこと、すなわち感情状態が悪化したことを表す。また、反対にこの値が大きくなることは、相対的にゆらぎ係数が1/fすなわち、−1に近づき、感情状態が良くなったことを表す。したがって、このレーダーチャートでは上記変換処理を施した結果を示してあるので、感情状態がポジティブに変化すると外側に大きくなり、ネガティブに変化すると内側に小さくなる。ストレス負荷がかかると、感情状態が悪化するため、ゆらぎ係数が小さくなるため、内側に変化する。
CNVにより評価した香りの覚醒・鎮静効果では、覚醒効果がある香りの場合外側に大きくなり、鎮静効果がある香りの場合は、内側に小さくなる。なお、ニオイなしでのストレス反応では、ニオイの効果は表現できないので、便宜上、0とした。
皮膚温度解析により得られた交感神経系の反応では、交感神経系活動が亢進した場合、皮膚温度の低下が生じ、交感神経系活動が亢進した場合に外側に大きく、交感神経系活動が抑制された場合、これは皮膚温の上昇という形で現れ、この場合に内側に小さくなるように数値を変換して表現してある。ストレス負荷がかかることにより、交感神経系活動の亢進が生じ、このように外側に大きく変化する。
心電図R−Rインターバル解析によって得られた副交感神経系の反応では、副交感神経活動が亢進し、HF成分値が相対的に増大すると外側に大きく、副交感神経活動が抑制され、HF成分値が相対的に減少した場合、内側に小さくなる。ストレス負荷により、副交感神経活動が抑制されHF成分が減少する。
行動指標である課題成績では、反応の正確さの指標であるエラー数と、反応の速さの指標である再捕捉時間(反応時間)とになる。エラー数が減ると内側に、増えると外側に変化する。反応時間は短くなると内側に、長くなると外側に変化する。
行動指標については、CNVと同様に、ニオイのないコントロールの状態を基準とした相対変化で評価しているので、コントロール単独での評価は出来ないことになる。そこで、CNV同様、仮に0とした。
心理的指標(以下、PSSということがある)の因子1である心地よさの変化、因子2である怒り、因子3である不安・動揺、因子4である倦怠、そして、総合的なストレス感の評価値が記載されている。これらの心理指標はいずれも、得点が増えると外側に大きく、得点が減ると内側に小さくなるように表示してある。したがって、ストレス負荷がかかると、ポジティブな因子である心地よさが減少し、怒り、不安・同様、倦怠などのネガティブな因子が増加し、ストレス感も増加するという心理プロフィールになる。多次元評価における、一般的な一過性ストレス反応パターンとしては、中枢性反応としての気分状態の悪化、交感神経系の促進と副交感神経系の抑制、心理的にはポジティブな因子得点の減少とネガティブな因子得点の増加、及びストレス感の増加ということになる。
(実施例1)
ストレス負荷期に、被験者に2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル(テサロン)を含む組成物を嗅いでもらい、上記香りの多次元的機能評価方法を適用した。
図9に、その測定結果を示す。
その結果は次のとおりであった。
α波ゆらぎにはほとんど変化がない。しかしながら、覚醒効果を持ち、交感神経系反応を促進させる効果を持つ。副交感神経反応には目立った変化がないので、選択的に交感神経系を促進させている可能性がある。また、行動指標では、エラー数の減少が見られた。これは、テサロンには作業を効率良く進める作用、あるいは作業成績を円滑にする作用を有することを示す。さらに、α波ゆらぎについては、ストレス直後には顕著な差は見られなかったが、ストレス負荷開始後7〜12分に、1/fに近いポジティブな変化を示した。これは、テサロンにはストレスに対するポジティブな効果、あるいはストレスの低減作用があることを示す。
(実施例2)
本発明が規定する交感神経活動促進香料を含む交感神経活動促進香料組成物の処方例を下記に示した。
処方例
Figure 0004638353

この香料組成物はフルーティー様の香質を有する香料組成物である。この香料組成物は各種香粧品に配合でき、交感神経活動促進作用を有する香粧品あるいはストレスの低減作用を有する香粧品を提供することができるのであるが、とくに、溶媒に希釈させることにより交感神経活動促進作用を有する香水などとすることが有利である。
(実施例3)
本発明の多次元機能評価法をアンブレトンの香質の判別に適用した。
図10に、その測定結果を示す。
アンブレトンを被験者に呈示することにより、α波周波数ゆらぎは大きく、すなわち1/fに近い、ポジティブな方向に変化した。また、このアンブレトンは鎮静効果を持つことがCNVの測定でわかった。自律神経反応については、交感神経活動が抑制され、副交感神経活動が促進されていることがわかった。これらの生理反応に対して、行動指標はごらんのように特に変化は示さないのであるが、心理指標は、ポジティブな因子である心地よさの得点が増加し、ネガティブな因子である怒り、不安・動揺、倦怠の得点が減少し、主観的なストレス感も同様に減少した。典型的なストレス反応は、生理的には、α波ゆらぎの白色化、交感神経系の促進と副交感神経系の抑制。心理的には、ポジティブな因子の得点の減少とネガティブな因子の得点の増加ということであるから、アンブレトンを呈示することにより、これらのストレス反応パターンを抑制していることがわかった。
(実施例4)
本発明の多次元機能評価法をムスクTの香質の判別に適用した。
図11に、その測定結果を示す。
ムスクTの場合では、生理的には、α波周波数ゆらぎが大きく、すなわち1/fに近い、ポジティブな方向に変化し、鎮静効果を持ち、交感神経系を抑制し、副交感神経系を促進すること、心理的には、ポジティブな因子の得点を増やし、ネガティブな因子の得点を減らし、主観的なストレス感も減少するという反応プロフィールを得た。このように、ムスクTはアンブレトンと同様にストレス減少効果があることが反応プロフィールからわかった。そのほかのムスクTの特徴としては、中枢性の指標であるα波周波数ゆらぎの変化が、負荷直後から外側の方向への変化は生じたが、それがよりはっきりしたのは負荷後7〜12分であり、アンブレトンよりも遅い時間帯であった。また、行動指標にも変化が生じ、反応ストラテジーが、ゆっくり、しかし確実に反応するという方向に変化した。
(実施例5)
本発明の多次元機能評価法をレボサンドールの香質の判別に適用した。
図12に、その測定結果を示す。
レボサンドールは心理指標のみを見ると、コントロールとほとんど差がなく、また行動指標でも差がなかった。しかしながら、鎮静効果を持つこの香りは、α波周波数ゆらぎを、1/fに近い、ポジティブな方向に変化し、交感神経反応には影響を与えないものの、副交感神経反応を促進しており、ある程度のストレス軽減作用があるといえる。
(実施例6)
本発明が規定する気分状態改善香料を含む気分状態改善香料組成物の処方例を下記に示した。
処方例
香料組成物処方例
Figure 0004638353

この香料組成物はムスク様の香質を有する香料組成物である。この香料組成物は各種香粧品に配合でき、気分状態改善作用を有する香粧品を提供することができるのであるが、とくに、溶媒に希釈させることにより気分状態改善作用を有する香水などに応用できる。
(実施例7)
本発明が規定する気分状態改善香料を含む気分状態改善香料組成物の処方例を下記に示した。
処方例
Figure 0004638353

この香料組成物はウディフローラル様の香質を有する香料組成物である。この香料組成物は各種香粧品に配合でき、気分状態改善作用を有する香粧品を提供することができるのであるが、とくに、溶媒に希釈させることにより気分状態改善作用を有する香水などとすることが有利である。
本発明を下記のように記載することもできる。
(1)上記請求項1記載の香りの多次元的機能評価方法において、自律神経系指標に属する指標が交感神経系指標に属する指標あるいは副交感神経系指標に属する指標からなることを特徴とする請求項1記載の香りの多次元的機能評価方法。
(2)上記請求項1記載の香りの多次元的機能評価方法を香料に適用し香料の気分状態改善効果を判別する方法。
(3)上記請求項1記載の香りの多次元的機能評価方法を香料に適用し香料のストレス低減性交感神経活動促進効果を判別する方法。
(4)成分(A):2、2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなることを特徴とするストレス低減性交感神経活動促進香料。
(5)前記(4)に記載のストレス低減性交感神経活動促進香料を含有することを特徴とするストレス低減性交感神経活動促進香料組成物。
(6)成分(A): 2,2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる作業成績向上性交感神経活動促進香料。
(7)成分(A):2、2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減性のある作業成績向上性交感神経活動促進香料。
(8) 上記(6)記載の香料を含有することを特徴とする作業成績向上性交感神経活動促進香料組成物。
(9) 上記(7)記載の香料を含有することを特徴とするストレス低減性のある作業成績向上性交感神経活動促進香料組成物。
(10) 成分(A)の化合物が2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4,6−シクロヘキサジエンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4−シクロヘキセンカルボン酸メチル、α−シクロゲラン酸メチル、β−シクロゲラン酸メチル、γ−シクロゲラン酸メチル、α−シクロゲラン酸エチル、β−シクロゲラン酸エチル、γ−シクロゲラン酸エチル、および2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルである前記(4)記載のストレス低減性交感神経活動促進香料。
(11)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる作業成績向上香料。
(12)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる副交感神経系活動促進香料。
(13)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減香料。
(14)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる鎮静香料。
(15)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減性副交感神経系活動促進香料。
(16)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減性鎮静香料。
(17)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる副交感神経系活動促進性鎮静香料。
(18)成分(C):大環状ムスク化合物および成分(B):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるストレス低減性のある副交感神経系活動促進性鎮静香料。
(19)上記(12)〜(18)記載の香料であって、さらに作業成績向上性を有する香料。
(20)成分(C)に属する化合物が3−メチルシクロペンタデカノン−1、3−メチル−4−シクロペンタデセン−1−オン、9−シクロペンタデカン−1−オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロヘキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセン−11or12−オリド、シクロペンタデセン−7−オリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカジオエート、12−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリドである上記(11)〜(18)記載の香料。
(21)成分(B)に属する化合物が3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、(E)−(R)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタン−1−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、2−メチル−4−メチレン−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタノール、[1−メチル−2−(1,2,2−トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルメチル)シクロプロピル]メタノールである上記(11)〜(18)記載の香料。
(22)上記(11)〜(18)記載の香料を含む香料組成物。
図1は、本発明のストレス負荷実験の実験パラダイムを示す図である。 図2はストレス課題と作業成績についての説明図である。 図3はCNV計測法での電位変動を示す図である。 図4は測定した脳波およびそれから一定の周波数を抽出した脳波を示す図である。 図5はα波の周波数の時系列ゆらぎをFFTスペクトル解析して得られたスペクトルを示す図である。 図6は心電図の一部の波形およびR−R間隔を示す図である。 図7は一過性ストレス主観評価質問紙に記載された15項目の様々な感情状態を表す言葉を記載した図である。 図8は、本発明の多次元機能評価法をニオイの呈示せずに適用したときの測定結果を示すレーダーチャートである。 図9は、本発明の多次元機能評価法をテサロンに適用したときの測定結果を示すレーダーチャートである。 図10は、本発明の多次元機能評価法をアンブレトンに適用したときの測定結果を示すレーダーチャートである。 図11は、本発明の多次元機能評価法をムスクTに適用したときの測定結果を示すレーダーチャートである。 図12は、本発明の多次元機能評価法をレボサンドールに適用したときの測定結果を示すレーダーチャートである。

Claims (5)

  1. 成分(A):2,2,6−トリアルキルシクロヘキサンカルボン酸エステル類および2,2,6−トリアルキルシクロヘキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で交感神経系指標に属する指標が活性化を示す交感神経活動促進剤。
  2. 成分(A)の化合物が2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4,6−シクロヘキサジエンカルボン酸エチル、2,2,6−トリメチル−4−
    シクロヘキセンカルボン酸メチル、α−シクロゲラン酸メチル、β−シクロゲラン酸メチル、γ−シクロゲラン酸メチル、α−シクロゲラン酸エチル、β−シクロゲラン酸エチル、γ−シクロゲラン酸エチル、および2,2−ジメチル−6−エチル−5−シクロヘキセンカルボン酸エチルである請求項1記載の交感神経活動促進剤。
  3. 成分(B):大環状ムスク化合物および成分(C):カンフォレニル型サンダル類から選ばれる1種あるいは2
    種以上の化合物からなり、気分状態改善のために用いることを特徴とする中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標が活性化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示す副交感神経活動促進剤。
  4. 成分(B)に属する化合物が3−メチルシクロペンタデカノン−1,3−メチル−4−シクロペンタデセン−1−オン、9−シクロペンタデカン−1−オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロヘキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセン−11又は12−オリド、シクロペンタデセン−7−オリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカジオエート、12−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリドであり、気分状態改善のために用いる請求項3記載の副交感神経活動促進剤。
  5. 成分(C)に属する化合物が3-メチル-5-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール、2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、(E)−(R)−2-エチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、2-メチル-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタン−1−オール、3-メチル-5-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3−トリメチル−3’−シクロペンテン−1−イル)−4− ペンテン−2−オール、2-メチル-4-メチレン-4-(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ブタノール、[1-メチル-2-(1,2,2 −トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルメチル)シクロプロピル]メタノールであり、気分状態改善のために用いる請求項3記載の副交感神経活動促進剤。
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