JP2008100593A - 通風路切替装置および車両用空調装置 - Google Patents

Abstract

【課題】シールリップ部が自励振動することによって生じる異音を防止する。
【解決手段】風圧でシール面に押される側のリップシール部１０２の先端シール部１０７での圧着方向の反力を、先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させている。 これによれば、先端シール部１０７での圧着方向の反力をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、先端シール部１０７での固有振動数が連続的に変化して負圧とのバランスによる共振を防ぎ、共振による異音の発生を防ぐことができる。
【選択図】図４

Description

本発明は、空気が流れる通風路の切り替え開閉を行う通風路切替装置、およびそれを備えた車両用空調装置に関するものであり、特に弾性体からなるリップシール部を有するドアによる通風路切り替えに関するものである。

従来、車両用空調装置などに用いられる通風路切替装置において、空気流れを切り替えるドアとして、ゴムやエラストマ（高分子弾性体）などの弾性体からなるリップシール部をドア基板部の外周縁部に設け、このリップシール部を通風路側のシール面に弾性的に圧着させることにより、シール効果を得るようにしたものが知られている（例えば、下記の特許文献１、２など）。
特開２００４−７４９４５号公報 特開２０００−１３５９１２号公報

図１１は、このようなリップシール部１０２を有したドア周縁部の一例の部分拡大斜視図である。樹脂など剛性の高い材料（換言すると、非弾性体）からなるドア基板部１００を有し、このドア基板部１００に図示しない回転軸を一体成形しているとともに、ドア基板部１００の外周縁部１００ｃにゴムやエラストマなどの弾性体からなるリップシール部１０２を固着させて額縁状に設けている。

そして、図示しないケース内に形成されたシール面に、このリップシール部１０２を圧着させることで通風路を閉塞させるようになっている。リップシール部１０２は、シール面に圧着してシールを成す先端シール部１０７と、この先端シール部１０７に弾性を持たせるため、外周縁部１００ｃと先端シール部１０７との間を略薄板平板状につなぐ薄板平板部１０８とを有している。

このようなリップシールでは、締切り力が不足する場合、もしくはリップがシール面に押し当る間際やリップがシール面から離れる間際などにリップとシール面との間に微小な隙間ができる状態がある。図１２は、異音の発生原因となる微小隙間時のリップ先端前後での圧力勾配を示す等圧線図である。図１２右側の圧力の高い領域（＋Ｐ部）は、先端シール部１０７と薄板平板部１０８とがケース２との間をシールすることで、図１２の左側領域（Ｐ≒０部）はほぼ大気圧となっている。

しかしながら、図１２に示すように、風圧によってシールされる側のシールリップ先端がケース２との間で微小な隙間となった場合、流路が急縮小となるため洩れ風速が速くなり、リップ先端近傍に大気圧より圧力が低くなる領域（−Ｐ部）が発生する。そして、その負圧とリップの反力とのバランスによってリップ先端側に自励振動が発生し、リップで「ブー」という耳障りな異音が発生するという問題点がある。

本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、シールリップ部が自励振動することによって生じる異音を防止することのできる通風路切替装置および車両用空調装置を提供することにある。

本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項１に記載の発明では、通風路を形成して開口部（１２、１７）を有するケース（２）と、
ケース（２）内に配設され、開口部（１２、１７）を開閉して空気流れを切り替えるドア（１３、１９）とを備え、
ドア（１３、１９）は、剛性の高い材質からなるドア基板部（１００）と、
ドア基板部（１００）の外周縁部（１００ａ〜１００ｃ）に固着された弾性体からなるリップシール部（１０２）とを有しており、
リップシール部（１０２）は、外周縁部（１００ａ〜１００ｃ）から外方側へ連続して延びる略薄板平板状であり、
開口部（１２、１７）の周縁部に形成されたシール面（１０３、１０４）にリップシール部（１０２）が圧着することにより、開口部（１２、１７）を閉塞する通風路切替装置において、
風圧でシール面に押される側のリップシール部（１０２）の先端シール部（１０７）での圧着方向の反力を、先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴としている。

この請求項１に記載の発明によれば、先端シール部（１０７）での圧着方向の反力をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、先端シール部（１０７）での固有振動数が連続的に変化して負圧とのバランスによる共振を防ぎ、共振による異音の発生を防ぐことができる。

また、請求項２に記載の発明では、請求項１に記載の通風路切替装置において、外周縁部（１００ａ、１００ｂ）から先端シール部（１０７）までの距離を、先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させていることを特徴としている。

この請求項２に記載の発明によれば、具体的には、ドア基板部（１００）の外周縁部（１００ａ、１００ｂ）から先端シール部（１０７）までの距離（換言すると、リップの長さ）をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部（１０７）での反力を連続的に変化させることができる。

また、請求項３に記載の発明では、請求項２に記載の通風路切替装置において、外周縁部（１００ａ）を外方側へ略正弦波状に凹凸した形状に形成して、先端シール部（１０７）までの距離を先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴としている。

また、請求項４に記載の発明では、請求項２に記載の通風路切替装置において、外周縁部（１００ｂ）を外方側へ略三角波状に凹凸した形状に形成して、先端シール部（１０７）までの距離を先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴としている。

これら請求項３または４に記載の発明によれば、より具体的に、外周縁部（１００ａ）を外方側へ略正弦波状、または略三角波状に凹凸した形状に形成することにより、外周縁部（１００ａ、１００ｂ）から先端シール部（１０７）までの距離をシール周縁に沿って連続的に変化させることができる。

また、請求項５に記載の発明では、請求項１に記載の通風路切替装置において、外周縁部（１００ｃ）と先端シール部（１０７）との間をつなぐ薄板平板部（１０８）の剛性を、先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させていることを特徴としている。この請求項５に記載の発明によれば、具体的には、薄板平板部（１０８）の剛性をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部（１０７）での反力を連続的に変化させることができる。

また、請求項６に記載の発明では、請求項５に記載の通風路切替装置において、薄板平板部（１０８）の厚みを、先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させていることを特徴としている。この請求項６に記載の発明によれば、より具体的に、薄板平板部（１０８）の厚みをシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、薄板平板部（１０８）の剛性を連続的に変化させることができる。

また、請求項７に記載の発明では、請求項５に記載の通風路切替装置において、薄板平板部（１０８）の固着側の基端部に厚肉部（１０８ａ）を形成するとともに、当該厚肉部（１０８ａ）の外方側への突出範囲を先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させていることを特徴としている。この請求項７に記載の発明によれば、より具体的に、薄板平板部（１０８）の固着側の基端部に形成した厚肉部（１０８ａ）の外方側への突出範囲をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、薄板平板部（１０８）の剛性を連続的に変化させることができる。

また、請求項８に記載の発明では、請求項１に記載の通風路切替装置において、先端シール部（１０７ａ）の剛性を、先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させていることを特徴としている。この請求項８に記載の発明によれば、具体的には、先端シール部（１０７ａ）の剛性をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部（１０７）での反力を連続的に変化させることができる。

また、請求項９に記載の発明では、請求項８に記載の通風路切替装置において、先端シール部（１０７ａ）の体積を、先端シール部（１０７ａ）に沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させていることを特徴としている。この請求項９に記載の発明によれば、より具体的に、先端シール部（１０７ａ）の体積をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、先端シール部（１０７ａ）の剛性を連続的に変化させることができる。

また、請求項１０に記載の発明では、請求項１ないし請求項９のうちいずれか１項に記載の通風路切替装置を、内外気切替手段、温度調節手段（７、２２）、吹出モード切替手段（１３、１６、１９）のいずれかに用いていることを特徴としている。この請求項１０に記載の発明によれば、通風路切替部のシールリップ部が自励振動することによって生じる異音を防止することにより、耳障りな異音が発生することのない車両用空調装置とすることができる。

なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。

（第１実施形態）
以下、本発明の第１実施形態について添付した図１ないし図５を用いて詳細に説明する。図１は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニット１の概略構成を示す縦断面図である。本実施形態の車両用空調装置は、いわゆるセミセンター置きレイアウトのものであって、車室内前方の図示しない計器盤内部のうち、車両左右方向の略中央部に空調ユニット１を配置している。

図１中の矢印は、車両の上下、前後方向に対する空調ユニット１の搭載方向を示している。そして、この空調ユニット１に空調用空気を送風する図示しない送風機ユニットが、空調ユニット１の助手席側の側方にオフセットして配置されている。この送風機ユニットは、周知の如く車室内空気（内気）または車室外空気（外気）を切り替え導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱から吸入した空気（内気または外気）を空調ユニット１に向けて送風する遠心式ファンと電動モータとからなる送風機とを備えている。

空調ユニット１は、樹脂製の空調ケース（本発明で言うケース）２を有し、空調ケース２の最も車両前方側（エバポレータ３の前方位置）で、且つ、助手席側の側面部には、送風機ユニットからの送風空気が流入する空気流入口５が形成してある。この空気流入口５から流入する送風空気は、空調ケース２の内部でエバポレータ３とヒータコア４とを通過して、車両前方側から車両後方側へと向かって流れる空気通路を形成している。

空調ケース２内の空気通路において、車両前方側にエバポレータ３が配置され、車両後方側にヒータコア４が配置されている。エバポレータ（冷媒蒸発器）３は周知の如く、冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調用空気から吸熱して空調用空気を冷却する冷却用熱交換器である。また、ヒータコア４は車両エンジンの冷却水（温水）を熱源流体として、空調用空気を加熱する加熱用熱交換器である。

そして、ヒータコア４の上方部には冷風バイパス通路６が形成され、エバポレータ３の直ぐ下流側（車両後方側）には、板状のエアミックスドア７が回転軸７ａを中心として回動可能に配置されている。このエアミックスドア７は、冷風バイパス通路６を通過する冷風とヒータコア４を通過して温風となる風との風量割合を調整して、車室内への吹き出し空気温度を所望温度に制御するもので、吹き出し空気の温度制御手段を構成している。

また、ヒータコア４直後の部位には上方へ向かう温風通路１０が形成され、この温風通路１０からの温風と冷風バイパス通路６からの冷風とが空気混合部１１にて混合される。空調ケース２の空気通路下流側には、複数の吹き出し開口部が形成されており、この吹き出し開口部のうちデフロスタ開口部（本発明で言う開口部）１２は、空調ケース２の上面部において車両前後方向の略中央部位で、空調ケース２内部に開口している。

そして、このデフロスタ開口部１２からは、図示しないデフロスタダクトを介して車両前面窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出すようになっている。デフロスタ開口部１２は、回動軸１３ａを中心として回動可能な板状のデフロスタドア（本発明で言うドア、吹出モード切替手段）１３により開閉される。

次に、フェイス開口部１５は、空調ケース２の上面部において、デフロスタ開口部１２よりも車両後方側の部位に開口している。このフェイス開口部１５からは、図示しないフェイスダクトを介して車室内の乗員頭胸部へ向けて主に冷風を吹き出すようになっている。フェイス開口部１５は回動軸１６ａを中心として回動可能な板状のフェイスドア（本発明で言う吹出モード切替手段）１６により開閉される。

次に、フット開口部（本発明で言う開口部）１７は、空調ケース２において、フェイス開口部１５の下方側に開口しており、フット開口部１７の下流側は空調ケース２の左右両側に開口したフロント側のフット吹き出し口１８と、空調ケース２の車両後方側下方に開口したリヤ側のフット吹き出し口２０とに連通している。

フロント側のフット吹き出し口１８からは、図示しないフロントフットダクトを介して前席乗員の足元部に向けて主に温風を吹き出すようになっており、リヤ側のフット吹き出し口２０からは、図示しないリヤフットダクトを介して後席乗員の足元部に主に温風を吹き出すようになっている。フット開口部１７は、回動軸１９ａを中心として回動可能な板状のフットドア（本発明で言うドア、吹出モード切替手段）１９により開閉される。

また、本実施形態では、ヒータコア４の直ぐ下流側（車両後方側）の空調ケース２内の仕切り壁１４に、温風バイパス開口部２１を設けている。この温風バイパス開口部２１は、回動軸２２ａを中心として回動可能な板状の温風バイパスドア（本発明で言う温度制御手段）２２によって開閉されようになっている。

温風バイパスドア２２は、空調ケース２の外側面に配置される図示しないリンク機構などで他のドアと連動するようになっている。そして、吹出モードがフット、もしくはフット、デフロスタモードで且つ、エアミックスドア７が冷風バイパス通路６を塞いで（図１に示す位置）送風空気の全てがヒータコア４を通過するマックスホット状態（最大暖房状態）の時に温風バイパスドア２２が開き（図１中の破線位置）、温風バイパス開口部２１から両方のフット吹き出し口１８、２０へ温風が流れて乗員の足元部に吹き出す温風量を増やすようになっている。

本実施形態において、上述した吹出モード切替手段としてのドア１３、１６、１９のうちデフロスタ部のドア１３とフット部のドア１９は、図２〜図４を用いて以下で説明するリップシールタイプのドアから構成されている。図２は、図１におけるドア１３、１９を例示する要部断面図であり、図３は、本発明を適用するドア１３、１９の全体形状を示す正面図である。そして図４は、本発明の第１実施形態におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。

ドア１３、１９は、長方形の平面形状を持つドア基板部１００を有し、このドア基板部１００は樹脂などの材料からなる剛性の高い部分（換言すると、非弾性体部分）を構成する。そして、本実施形態のドアはバタフライタイプであるため、ドア基板部１００の短辺方向（図３参照）の中央部に回転軸１０１（上述した回動軸１３ａ、１９ａに相当）を一体に成形している。

図３、図４に示すように、ドア基板部１００の外周縁部１００ａにエラストマ（高分子弾性体）からなるリップシール部１０２を額縁状に一体に固着している。なお、本実施形態では、ドア基板部１００とリップシール部１０２との固着面積を大きくするためにドア基板部１００の外周端面の厚み中央部に外周縁部としてのリブ１００ａを突出させ、リップシール部１０２の基端側はそのリブ１００ａを挟み持つようにして固着されている。

そして、本実施形態での要部として図４に示すように、ドア基板部１００の外周縁部としてのリブ１００ａを、外方側へ略正弦波状に凹凸した形状として形成している。これにより、ドア基板部１００の外周縁部１００ａから先端シール部１０７までの距離（換言すると、リップの長さ）がシール周縁に沿って連続的に変化することで先端シール部１０７での圧着方向の反力がシール周縁に沿って連続的に変化する。

このため、先端シール部１０７での固有振動数も連続的に変化して、課題の項で説明した負圧とのバランスによる共振を防いで、共振による異音の発生を防ぐことができる。図５は、本実施形態の変形例におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。図５に示すように、外周縁部の凹凸形状は、リブ１００ａだけではなくドア基板部１００の外周端面全体に形成しても良いし、リブ１００ａが無くて外周端面全体を凹凸形状に形成したものであっても良い。

このリップシール部１０２は、ケース２のシール面１０３、１０４に圧着してシールを成す先端シール部１０７と、この先端シール部１０７に弾性を持たせるため、外周縁部１００ｃと先端シール部１０７との間を略薄板平板状につなぐ薄板平板部１０８とを有している。

ここで、ドア基板部１００とリップシール部１０２との固着は、例えば次の如き一体成形で行うことができる。ドア基板部１００を予め成形しておき、このドア基板部１００を成形型内の所定部位に前もって挿入しておき、その後に、リップシール部１０２を形成するエラストマを溶融状態で成形型内に射出して成形することにより、ドア基板部１００とリップシール部１０２とを一体に固着できる。

なお、ドア１３、１９のドア基板部１００を構成する樹脂材料としては、ポリプロピレン、ナイロン、ＡＢＳなどの樹脂が好適であり、ガラス繊維などのフィラーを混入して強度アップを図るようにしても良い。また、リップシール部１０２のエラストマの具体的材質としては、サーモプラスティクエラストマ（ＴＰＥ）の一種であるオレフィン系エラストマが好適である。また、ケース２の樹脂材料としては、上記ドア基板部１００と同種の樹脂を用いることができる。

一方、ケース２の吹出開口部（本発明で言う開口部）１２、１７には、鋭角状に傾斜したシール面１０３、１０４を持つドア当接用リブ１０５、１０６を突出形成している。ここで、吹出開口部１２、１７の形状は、図３に示すドア１３、１９の長方形に対応した長方形になっている。そして、シール面１０３を持つドア当接用リブ１０５と、シール面１０４を持つドア当接用リブ１０６が、ドア１３、１９の回転軸１０１を境として、回転軸１０１の左右両側に区画して形成されている。

図２は、バタフライタイプのドア１３、１９の開放状態を示しており、この開放状態から回転軸１０１に回転方向の操作力を加えて、ドア１３、１９を図２の反時計回り方向に所定角度回転させると、ドア１３、１９のリップシール部１０２の先端シール部１０７がケース２の吹出開口部１２、１７のドア当接用リブ１０５、１０６のシール面１０３、１０４に圧着する。

ここで、リップシール部１０２の先端シール部１０７は、回転軸１０１と平行な長辺部分と、回転軸１０１と直交する短辺部分（側面部分）との双方において、ケース２のドア当接用リブ１０５、１０６に圧着する。これらにより、ドア基板部１００の外周部分をケース２に対してシールすることができ、吹出開口部１２、１７を閉塞できる。なお、シール面１０３、１０４を傾斜させるのは、リップシール部１０２の接触部の面圧を高めてシール効果を高めるためである。

ドア１３、１９のドア基板部１００の回転軸１０１は、その両端部でケース２の図示しない軸受孔に回動自在に支持されるとともに、回転軸１０１の一端部はケース２の外部へ突出し、図示しないドア駆動機構に連結される。このドア駆動機構は、周知の如く車両用空調装置の操作パネルに設けられた手動操作機構、あるいは、空調制御装置により制御されるモータなどを用いたアクチュエータ機構により構成される。

次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。まず、風圧でシール面に押される側のリップシール部１０２の先端シール部１０７での圧着方向の反力を、先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させている。これによれば、先端シール部１０７での圧着方向の反力をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、先端シール部１０７での固有振動数が連続的に変化して負圧とのバランスによる共振を防ぎ、共振による異音の発生を防ぐことができる。

また、外周縁部１００ａから先端シール部１０７までの距離を、先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させている。これによれば、具体的には、ドア基板部１００の外周縁部１００ａから先端シール部１０７までの距離（換言すると、リップの長さ）をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部１０７での反力を連続的に変化させることができる。

また、外周縁部１００ａを外方側へ略正弦波状に凹凸した形状に形成して、距離を先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させている。これによれば、より具体的に、外周縁部１００ａを外方側へ略正弦波状に凹凸した形状に形成することにより、外周縁部１００ａから先端シール部１０７までの距離をシール周縁に沿って連続的に変化させることができる。

また、上述の通風路切替装置を、車両用空調装置の内外気切替手段、温度調節手段７、２２、吹出モード切替手段１３、１６、１９のいずれかに用いている。これによれば、通風路切替部のシールリップ部が自励振動することによって生じる異音を防止することにより、耳障りな異音が発生することのない車両用空調装置とすることができる。

（第２実施形態）
図６は、本発明の第２実施形態におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。なお、以降の各実施形態では、上述した第１実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、上述した実施形態と異なる特徴部分について説明する。本実施形態では、外周縁部１００ｂとして外方側へ略三角波状に凹凸した形状に形成して、先端シール部１０７までの距離を先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させている。

なお、外周縁部の凹凸形状は、第１実施形態と同様に、リブ１００ｂだけではなくドア基板部１００の外周端面全体に形成しても良いし、リブ１００ｂが無くて外周端面全体を凹凸形状に形成したものであっても良い。これによれば、より具体的に、外周縁部１００ａを外方側へ略三角波状に凹凸した形状に形成することにより、外周縁部１００ｂから先端シール部１０７までの距離をシール周縁に沿って連続的に変化させることができ、これによっても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、連続して変化する形状であれば略正弦波状や略三角波状でなくとも良い。

（第３実施形態）
図７（ａ）は、本発明の第３実施形態におけるリップシール部１０２の部分拡大斜視図であり、（ｂ）は（ａ）中のＡＡ矢視図である。上述した各実施形態と異なる特徴部分について説明する。本実施形態では、図示しない外周縁部１００ｃと先端シール部１０７との間をつなぐ薄板平板部１０８の剛性を、先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させている。より具体的には、薄板平板部１０８の厚みを、先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させている。

これによれば、薄板平板部１０８の剛性をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部１０７での反力を連続的に変化させることができる。より具体的には、薄板平板部１０８の厚みをシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、薄板平板部１０８の剛性を連続的に変化させることができ、これによっても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

（第４実施形態）
図８は、本発明の第４実施形態におけるドア周縁部の部分拡大断面図である。上述した各実施形態と異なる特徴部分について説明する。本実施形態では、薄板平板部１０８の固着側の基端部に厚肉部１０８ａを形成するとともに、その厚肉部１０８ａの外方側への突出範囲を先端シール部１０７に沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させている。

なお、本実施形態では厚肉部１０８ａの外方側への突出範囲を、第１実施形態と同様に略正弦波状に変化させているが、第２実施形態と同様に略三角波状に変化させても良いし、これら以外の形状であっても良い。これによれば、薄板平板部１０８の固着側の基端部に形成した厚肉部１０８ａの外方側への突出範囲をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、薄板平板部１０８の剛性を連続的に変化させることができ、これによっても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

（第５実施形態）
図９は、本発明の第５実施形態におけるドア周縁部の部分拡大断面図である。また、図１０（ａ）は図９のＶ字リップ１０２ａの片側リップ（ＢＢ部）を部分拡大した斜視図であり、（ｂ）〜（ｄ）は（ａ）中のＣＣ−ＣＣ、ＤＤ−ＤＤ、ＥＥ−ＥＥの各断面図である。本実施形態のリップシール部は、図９に示すように、回動方向一方側でのリップシール部１０８ｂと他方側でのリップシール部１０８ｃとをそれぞれ有し、それら複数のリップシール部１０８ｂ、１０８ｃをＶ字状に配置して一体に形成したＶ字リップ１０２ａとなっている。

そして、それぞれのリップシール部１０８ｂ、１０８ｃの先端シール部１０７ａの反シール側部分（図１０では上面側）において、先端シール部１０７ａの体積（具体的には幅および高さ）を、シール周縁に沿った方向で連続的に変化させている。なお、先端シール部１０７ａのシール側部分（図１０での下面側）においては、先端シール部１０７ａのシール面は一定高さの均一形状としている。

上述した各実施形態と異なる特徴部分について説明する。本実施形態では、先端シール部１０７ａの剛性を、先端シール部１０７ａに沿った方向で連続的に変化させることで反力を変化させている。また、具体的には先端シール部１０７ａの体積を、先端シール部１０７ａに沿った方向で連続的に変化させることで剛性を変化させている。

これによれば、具体的には、先端シール部１０７ａの剛性をシール周縁に沿って連続的に変化させることで、先端シール部１０７での反力を連続的に変化させることができ、より具体的には、先端シール部１０７ａの体積をシール周縁に沿って連続的に変化させることにより、先端シール部１０７ａの剛性を連続的に変化させることができ、これによっても第１実施形態と同様の効果を得ることができる。

（その他の実施形態）
上述の実施形態では、バタフライドアに本発明を適用しているが、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、回転軸がドア基板部の一辺部に形成された片持ちの板ドア、回転軸に対してドア基板部が円弧上となったロータリドア、もしくは回動式ではなく摺動式のスライド式ドアなどのリップシール部に本発明を適用しても良い。要は、ドア基板部の外周縁部にリップシール部を形成したドア構造であれば本発明を適用可能であり、用途も車両用空調装置に限らず定置式の空調装置など、様々な用途の通風路切替装置に適用することができる。

本発明の実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニット１の概略構成を示す縦断面図である。 図１におけるドア１３、１９を例示する要部断面図である。 本発明を適用するドア１３、１９の全体形状を示す正面図である。 本発明の第１実施形態におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。 第１実施形態の変形例におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。 本発明の第２実施形態におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。 （ａ）は、本発明の第３実施形態におけるリップシール部１０２の部分拡大斜視図であり、（ｂ）は（ａ）中のＡＡ矢視図である。 本発明の第４実施形態におけるドア周縁部の部分拡大斜視図である。 本発明の第５実施形態におけるドア周縁部の部分拡大断面図である。 （ａ）は図９のＶ字リップ１０２ａの片側リップ（ＢＢ部）を部分拡大した斜視図であり、（ｂ）〜（ｄ）は（ａ）中のＣＣ−ＣＣ、ＤＤ−ＤＤ、ＥＥ−ＥＥの各断面図である。 リップシール部１０２を有したドア周縁部の一例の部分拡大斜視図である。 異音の発生原因となる微小隙間時のリップ先端前後での圧力勾配を示す等圧線図である。

符号の説明

２…空調ケース（ケース）
７…エアミックスドア（温度調節手段）
１２…デフロスタ開口部、吹出開口部（開口部）
１３…デフロスタドア（ドア、吹出モード切替手段）
１６…フェイスドア（吹出モード切替手段）
１７…フット開口部、吹出開口部（開口部）
１９…フットドア（ドア、吹出モード切替手段）
２２…温風バイパスドア（温度調節手段）
１００…ドア基板部
１００ａ〜１００ｃ…リブ（外周縁部）
１０２…リップシール部
１０３、１０４…シール面
１０７、１０７ａ…先端シール部
１０８…薄板平板部
１０８ａ…厚肉部

Claims (10)

1. 通風路を形成して開口部（１２、１７）を有するケース（２）と、
   前記ケース（２）内に配設され、前記開口部（１２、１７）を開閉して空気流れを切り替えるドア（１３、１９）とを備え、
   前記ドア（１３、１９）は、剛性の高い材質からなるドア基板部（１００）と、
   前記ドア基板部（１００）の外周縁部（１００ａ〜１００ｃ）に固着された弾性体からなるリップシール部（１０２）とを有しており、
   前記リップシール部（１０２）は、前記外周縁部（１００ａ〜１００ｃ）から外方側へ連続して延びる略薄板平板状であり、
   前記開口部（１２、１７）の周縁部に形成されたシール面（１０３、１０４）に前記リップシール部（１０２）が圧着することにより、前記開口部（１２、１７）を閉塞する通風路切替装置において、
   風圧でシール面に押される側の前記リップシール部（１０２）の先端シール部（１０７）での前記圧着方向の反力を、前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴とする通風路切替装置。
2. 前記外周縁部（１００ａ、１００ｂ）から前記先端シール部（１０７）までの距離を、前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで前記反力を変化させていることを特徴とする請求項１に記載の通風路切替装置。
3. 前記外周縁部（１００ａ）を前記外方側へ略正弦波状に凹凸した形状に形成して、前記先端シール部（１０７）までの前記距離を前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴とする請求項２に記載の通風路切替装置。
4. 前記外周縁部（１００ｂ）を前記外方側へ略三角波状に凹凸した形状に形成して、前記先端シール部（１０７）までの前記距離を前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させていることを特徴とする請求項２に記載の通風路切替装置。
5. 前記外周縁部（１００ｃ）と前記先端シール部（１０７）との間をつなぐ薄板平板部（１０８）の剛性を、前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで前記反力を変化させていることを特徴とする請求項１に記載の通風路切替装置。
6. 前記薄板平板部（１０８）の厚みを、前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで前記剛性を変化させていることを特徴とする請求項５に記載の通風路切替装置。
7. 前記薄板平板部（１０８）の固着側の基端部に厚肉部（１０８ａ）を形成するとともに、当該厚肉部（１０８ａ）の外方側への突出範囲を前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで前記剛性を変化させていることを特徴とする請求項５に記載の通風路切替装置。
8. 前記先端シール部（１０７ａ）の剛性を、前記先端シール部（１０７）に沿った方向で連続的に変化させることで前記反力を変化させていることを特徴とする請求項１に記載の通風路切替装置。
9. 前記先端シール部（１０７ａ）の体積を、前記先端シール部（１０７ａ）に沿った方向で連続的に変化させることで前記剛性を変化させていることを特徴とする請求項８に記載の通風路切替装置。
10. 請求項１ないし請求項９のうちいずれか１項に記載の通風路切替装置を、内外気切替手段、温度調節手段（７、２２）、吹出モード切替手段（１３、１６、１９）のいずれかに用いていることを特徴とする車両用空調装置。

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