JP2008095026A - セルロース化合物、セルロースフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロース化合物、セルロースフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】面内のレターデーション(Re)の波長分散が逆分散となり、Reの値および、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散や値を幅広い範囲で自由に制御できるセルロースフィルム、それに用いるセルロース化合物、それらを用いた光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるセルロース化合物を含有するセルロースフィルム。
Figure 2008095026

【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース化合物、セルロースフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置に関し、さらに詳しくは、面内レタデ−ション(Re)の波長分散が逆分散で、Reの値、および厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散や値を幅広い範囲で自由に制御できるセルロースフィルム、それに用いるセルロース化合物、それらを用いた光学補償シート、偏光板および液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の普及に伴い、表示性能や耐久性に対する要求がより高くなり、応答速度の向上や、表示画像に対して斜め方向から観察した場合のコントラストやカラーバランスといった視野角をより広範囲で補償することが課題となっている。これらの課題を解決すべく、VA(Vertical Alignment)方式、OCB(Optical Compensated Bend)方式、あるいはIPS(In-Plane Switching)方式の表示素子が開発され、それぞれの液晶方式に応じた、様々なレターデーション発現性を有する光学フィルム材料が要求されている。とりわけ、位相差フィルムは、面内のレターデーション(Re)および、厚み方向のレターデーション(Rth)の値を多様な液晶方式それぞれに応じて制御することが求められている。このような要求に応じてレターデーション値を制御した光学フィルムが検討されている。例えば、アセチル基およびプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルを用いた光学フィルムが開示されている(特許文献1)。
しかしながら上記光学フィルムはReの値は30nm以下、Rthの値は60−300nmの範囲のみであり、多様化した液晶方式に応じた十分なレターデーションの発現にいたっていない。さらにレターデーションの波長分散性(本発明において「波長分散性」とは、各波長の光線における偏光状態(複屈折に起因する進相軸と遅相軸とでの位相差)のばらつきの度合をいい、そのばらつきが大きいとき波長分散性が高いという。)については検討がされていない。
液晶表示装置に用いられる位相差板は、各種表示モードのカラーTFT液晶表示装置等において広視野角での高コントラスト比と色シフトとを改善する目的で広く使用されている。この位相差板の種類には、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板(以下、「λ/4板」という。)、および直線偏光の偏光振動面を90°変換する1/2波長板(以下、「λ/2板」という。)等がある。しかし、従来の位相差板は、単色光に対しては、光線波長のλ/4またはλ/2の位相差に調整可能であるが、可視光域の光線が混在している合成波である白色光に対しては、各波長での偏光状態に分布が生じ、有色の偏光に変換されるという問題がある。これは、位相差板を構成する材料が、位相差について波長分散性を有することに起因する。
この様な問題を解決するため、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差板が種々検討されている。例えば、複屈折光の位相差が1/4波長である1/4波長板と、複屈折光の位相差が1/2波長である1/2波長板とを、それぞれの光軸が交差した状態で貼り合わせた位相差板が開示されている(特許文献2)。また、光学的位相差値が160〜320nmである位相差板を少なくとも2枚、それぞれの遅相軸が互いに平行でも直交でもない角度で積層してなる位相差板が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、上記の位相差板を製造するには、二枚の高分子フィルムの光学的向き(光軸や遅相軸)を調節するという煩雑な工程が必要になる。このような問題を解決するために、位相差板を積層しない、一枚の位相差板での広帯域λ/4板の作製方法が提案されている(例えば、特許文献4)。
この方法は、正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位と負の複屈折性を有するモノマー単位を共重合させた高分子フィルムを用い一軸延伸によって作製するものである。この延伸した高分子フィルムは波長分散が逆分散(本発明において「波長分散が逆分散」とは、特定の波長の光線における面内レターデーション(Re1)と長波長の光線における面内レターデーション(Re2)の絶対値が共に正であって、Re1をRe2で除した値(Re1/Re2)が1.0未満となる性質をいう。)を有するために、一枚の位相差フィルムで広帯域λ/4板を作製することができるが、得られる位相差値の範囲が狭いため何層もフィルムを積層しなければ十分な光学特性が得られない。その結果、偏光板が分厚く重くなる。
パネルの薄型化やコストの低減化が液晶表示装置に求められており、液晶表示装置に用いられる偏光板の保護フィルムに上記の位相差フィルムの機能を併せ持たせる方法が検討されるようになってきている。
セルロースアシレートフィルムはその透明性、強靭性および光学的等方性から、液晶表示装置向けの偏光板保護フィルムとして広く利用されている。例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの脂肪酸セルロースエステルセルロース混合アシレートを製膜して用いる光学フィルムが提案されている(特許文献5)。これらの脂肪酸セルロースはセルロースアセテートのレターデーション発現性を拡大する可能性を有する優れた素材であるが、脂肪酸セルロースのフィルムでは一枚で位相差フィルムの機能を併せ持つ偏光板の保護フィルムとして十分な波長分散の逆分散は得られなかった。
一方、芳香族基をもつセルロースとして芳香族カルボン酸とのエステルからなるセルロースアシレートを用いた光学フィルムも提案されているがレタデ−ションなどの光学特性については記載されておらず、セルロースアシレートについても芳香族基の置換位置や置換度についても記載がない(特許文献6)。芳香族置換基の置換位置を考慮したセルロースアシレートとしては2,3−di−O−アセチル−6−O−ベンゾイル−セルロースおよび6−O−アセチル−2,3−di−O−ベンゾイル−セルロースの合成が報告されているが、その用途は光学活性カラムであり、フィルムや光学特性に関する検討はされていない(非特許文献1)。
特開2001−188128号公報 特開平10−68816号公報 特開平10−90521号公報 国際公開第00/2675号パンフレット 特開2005−352620号公報 特開2002−179701号公報 Chirality(2000),12(9),670−674
上記問題点に鑑み本発明の目的は、本発明は、面内のレターデーション(Re)の波長分散が逆分散となり、Reの値および、厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散や値を幅広い範囲で自由に制御できるセルロースフィルム、それに用いるセルロース化合物、それらを用いた光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置の提供を目的とする。
本発明の上記課題は、下記手段により達成された。
(1)下記一般式(I)で表されるセルロース化合物を含有することを特徴とするセルロースフィルム。
Figure 2008095026
[式中、R16、R13およびR12はそれぞれ独立に水素原子、又は脂肪族基もしくは芳香族基を含む基を表す。−X16−、−X13−および−X12−はそれぞれ独立に、*1−O−、*1−OOC−および*1−OOCNH−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)を表す。n1は平均重合度を表し、10〜1500の整数である。なお、セルロース化合物中にn1個ずつ存在するR16、R13、R12、−X16−、−X13−および−X12−は構成単位ごとに同じでもそれぞれ異なっていても良い。さらに下記関係式(数式I)及び(数式II)を満たす。
(数式I)
DS16 long<DS13 long+DS12 long
(数式II)
2.5≧DS13 long+DS12 long+DS16 long>0.01
ここで、DS16 long、DS13 longおよびDS12 longはそれぞれ、6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。なお、ここで言う最も長波に吸収をもつ置換基とは−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmにおける吸収極大波長が最も長波にあり、かつ、そのモル吸光係数が2000〜1000000である置換基を表す。]
(2)3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基が芳香族基を含む基であることを特徴とする前記(1)記載のセルロースフィルム。
(3)3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基の置換度が下記関係式(数式III)を満たすことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のセルロースフィルム。
(数式III)
DS16 long2≧DS13 long2+DS12 long2
ここで、DS16 long2、DS13 long2およびDS12 long2はそれぞれ6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。
(4)3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基が芳香族基を含む基であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
(5)−X16−、−X13−および−X12−が*1−OOC−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
(6)R16、R13およびR12で表される3n個の基のうち少なくとも1個は脂肪族のみからなる基であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
(7)−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12で表される3n個の置換基のうち少なくとも1個は−OOC−CH3であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムを、少なくとも1方向に0.1%〜500%延伸したことを特徴とするセルロースフィルム。
(9)550nmにおける面内レターデーションの絶対値(Re(550))と、特定波長における面内レターデーションの絶対値(Re(λ))との比について下記数式(IV)および(V)を満足することを特徴とする前記(8)に記載のセルロースフィルム。
数式(IV)
0.5<Re(450nm)/Re(550nm)<1.0
数式(V)
1.05<Re(630nm)/Re(550nm)<1.5
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
(11)偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは前記(10)に記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
(12)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは前記(10)記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
(13)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは前記(10)に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
(14)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム、前記(10)記載の位相差フィルム、前記(11)に記載の偏光板、前記(12)に記載の光学補償フィルムおよび前記(13)に記載の反射防止フィルムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする画像表示装置。
(15)下記一般式(I)で表わされるセルロース化合物。
Figure 2008095026
[式中、R16、R13およびR12はそれぞれ独立に水素原子、又は脂肪族基もしくは芳香族基を含む基を表す。−X16−、−X13−および−X12−はそれぞれ独立に、*1−O−、*1−OOC−および*1−OOCNH−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)を表す。n1は平均重合度を表し、10〜1500の整数である。なお、セルロース化合物中にn1個ずつ存在するR16、R13、R12、−X16−、−X13−および−X12−は構成単位ごとに同じでもそれぞれ異なっていても良い。さらに下記関係式(数式I)及び(数式II)を満たす。
(数式I)
DS16 long<DS13 long+DS12 long
(数式II)
2.5≧DS13 long+DS12 long+DS16 long>0.01
ここで、DS16 long、DS13 longおよびDS12 longはそれぞれ、6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。なお、ここで言う最も長波に吸収をもつ置換基とは−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmにおける吸収極大波長が最も長波にあり、かつ、そのモル吸光係数が2000〜1000000である置換基を表す。]
(16)前記一般式(I)においてR16、R13およびR12で示される3n1個の基のうち少なくとも1個が水素原子であることを特徴とする前記(15)記載のセルロース化合物。
本発明のセルロース化合物を含んでなるセルロースフィルムは、面内レターデーション(Re)の波長分散が逆分散で、Reの値、および厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散や値を幅広い範囲で自由に制御できるという優れた効果を奏する。また、本発明のセルロースフィルムは、光学補償シート、偏光板、液晶表示装置等に好適に用いることができ、優れた表示性能を発揮することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
[セルロース化合物]
本発明において、セルロース化合物とは、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物をいう。
本発明のセルロースフィルムに含まれるセルロース化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2008095026
上記一般式(I)において、式中、R16、R13およびR12はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基あるいは芳香族基を含む基を表す。−X16−、−X13−および−X12−はそれぞれ独立に、*1−O−、*1−OOC−および*1−OOCNH−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)を表す。−X16−、−X13−および−X12−の組み合わせは特に限定されないが、*1−O−、*1−OOC−から選ばれるのが好ましく、*1−OOC−がより好ましい。n1は平均重合度を表し、10〜1500、好ましくは50〜1000、最も好ましくは100〜500である。
なお、本発明のセルロース化合物の末端に位置する2つのグルコピラノース環については、1位または4位の水酸基にも置換基を有することが可能であるが、その置換基の種類は特に限定されない。好ましい例としては、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、更に好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜12)、脂肪族アシル基(好ましくは炭素数2〜24、更に好ましくは炭素数2〜18、特に好ましくは炭素数2〜12)、芳香族アシル基(好ましくは炭素数6〜30、更に好ましくは炭素数6〜24、特に好ましくは炭素数6〜20)、および、前記一般式(I)において、−X16−R16、−X13−R13または−X12−R16で表される基などを挙げることができる。
16、R13およびR12が芳香族基を含む基の場合、芳香族基はX16、X13およびX12と直接結合しても、連結基を介して結合してもよい。ここでいう連結基とはアルキレン基、アルケニレン基、あるいはアルキニレン基を表し、連結基は置換基を有していても良い。連結基として好ましくは1以上10以下のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基、より好ましくは原子数が1以上6以下のアルキレン基およびアルケニレン基、最も好ましくは原子数が1以上4以下のアルキレンおよびアルケニレン基である。
また芳香族基は置換基を有しても良く、芳香族基に置換されている置換基および前述の連結基に置換されている置換基は、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、、n−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
また上記の芳香族基を含む基の、芳香族基とは1価の基に制限されず、さらに芳香族基上の原子又は基が除去されて2価以上の基の形態をとるものでもよい。
芳香族基に関し、芳香族とは理化学辞典(岩波書店)第4版1208頁に芳香族化合物として定義されており、対応する芳香族基はこれに従い、芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがより好ましく、6〜10のものがもっとも好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。そのヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、トリアジニル基、キノリル基が特に好ましい。
さらにR16、R13およびR12が脂肪族基を含む基の場合、脂肪族基を含む基とは上述の芳香族基を含まない基のことであり、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。最も好ましくはメチル基である。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
さらに−X16−、−X13−および−X13−とR16、R13およびR12の組み合わせとしては、芳香族基を含む置換基の場合、−X16−、−X13−および−X13−として−O−および−OOC−、R16、R13およびR12として芳香族炭化水素基および芳香族ヘテロ環基を含む基が好ましく,より好ましくは−O−および−OOC−と芳香族炭化水素基を含む基であり、さらに好ましくは−O−および−OOC−とフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基を含む基であり、最も好ましくは、−OOC−とフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基を含む基が好ましく、より好ましくは、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基の組み合わせが特に好ましい。
また芳香族基を含まない基からなる置換基の場合、−X16−、−X13−および−X13−として*1−O−および*1−OOC−、R16、R13およびR12としてアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。最も好ましくはメチル基である。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、よりより好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)が好ましく、より好ましくは*1−O−および*1−OOC−とアルキル基、さらに好ましくは−O−および−OOC−とメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、最も好ましくは−OOC−とメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基の組み合わせが特に好ましい。
なお、−X16−R16、−X13−R13および−X13−R12はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
さらに本発明のセルロース化合物は下記関係式(数式I)及び(数式II)を満たす。
(数式I)
DS16 long<DS13 long+DS12 long
(数式II)
2.5≧DS13 long+DS12 long+DS16 long>0.01
ここで、DS16 long、DS13 longおよびDS12 longはそれぞれ、6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。なお、ここで言う最も長波に吸収をもつ置換基とは−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmにおける吸収極大波長が最も長波にあり、かつ、そのモル吸光係数が2000〜1000000である置換基を表す。また、吸収極大波長とは、溶液中での270〜450nmにおいて最もモル吸光係数が大きくなる波長のことである。なお、本発明においては、CH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12なる化合物が複数の吸収ピークを示す場合においては、最も長波長側の吸収ピークの吸収極大波長を用いて表記する。また、本発明においてはCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12なる化合物の溶液吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液で測定することが好ましいが、ジクロロメタンへの溶解性が低くモル吸光係数の測定が困難な場合は、クロロホルム、メタノール、アセトニトリル、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、ピリジンなど任意の溶媒の中から、可溶性溶媒を選択して測定した値を代替してもよい。ジクロロメタンを含む複数の溶媒に溶解する場合には、ジクロロメタン溶液で測定した値を基準として用いる。
本発明において、最も長波に吸収をもつ置換基は、芳香族基を含むことが好ましい。また、最も長波に吸収をもつ置換基は、吸収極大波長が好ましくは210〜420nmであり、更に好ましくは230〜400nmであり、特に好ましくは、240〜390nmである。
吸収極大波長が210nmより短い場合は、レターデーションの発現性が十分ではないおそれがある。また、吸収極大波長が420nmより長い場合は、フィルムの着色が発生しやすく、光学フィルムとしての性能が低下するおそれがある。
本発明において、最も長波にある置換基から誘導されるCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12なる化合物の吸収極大波長でのモル吸光係数の範囲は、2000〜1000000である。モル吸光係数の単位は[L/(mol・cm)]である。好ましくは3000〜700000、更に好ましくは5000〜500000であり、最も好ましくは7000〜100000である。本発明の効果を得る上で、モル吸光係数は大きい方が好ましいが、可視域(波長430〜700nmの領域)でのモル吸光係数の最大値を2000以下とすることで、フィルムの着色がほとんど検知できない良好な光学フィルムを得ることができる。
最も長波に吸収をもつ置換基は、好ましくは芳香族基を含む基を含み、3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基よりも吸収極大波長が5nm以上大きいことがより好ましく、2番目に吸収をもつ置換基よりも吸収極大波長が10nm以上大きいこと最も好ましい。ただし、ここで言う最も2番目に長波に吸収をもつ置換基とは、−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での吸収極大波長が最も長波にある置換基の次に長波にある置換基のことである。
上記本発明に用いられるセルロース化合物が上記(数式I)を満たさず、左辺の値(DS16 long)が右辺の値(DS13 long+DS12 long)と等しいかそれより大きいときは、Reの波長分散が十分な逆波長分散性を示さず、発明の効果が得られない。
DS16 long、DS13 longおよびDS12 longは好ましくは(数式VI)を満たし、より好ましくは(数式VI−I)を満たし,最も好ましくは(数式VI−II)を満たす。
下記(数式VI)の規定する、(DS13 long+DS12 long)/DS16 longの値の範囲で、特にReの波長分散の傾きが十分に大きくなるという有利な効果を奏する。
(数式VI)
1.05<(DS13 long+DS12 long)/DS16 long
(数式VI−I)
1.1<(DS13 long+DS12 long)/DS16 long
(数式VI−II)
1.15<(DS13 long+DS12 long)/DS16 long
また、さらに下記関係式(数式III)を満たす。
(数式III)
DS16 long2≧DS13 long2+DS12 long2
ここで、DS16 long2、DS13 long2およびDS12 long2はそれぞれ6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで2番目長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。DS16 long2、DS13 long2およびDS12 long2は好ましくは(数式VII)を満たし、より好ましくは(数式VII−I)を満たし,最も好ましくは(数式VII−II)を満たす。
(数式VII)
1<DS16 long2/(DS13 long2+DS12 long2)≦50
(数式VII−I)
1<DS16 long2/(DS13 long2+DS12 long2)≦30
(数式VII−II)
1<DS16 long2/(DS13 long2+DS12 long2)≦10
前記の最も長波にある置換基の置換度は、0.01〜1.25が好ましく、0.02〜1.0がより好ましく、0.05〜0.8が特に好ましい。また、2番目に長波に吸収をもつ置換基の置換度は、0.01〜1.25が好ましく、0.02〜1.0がより好ましく、0.05〜0.8が特に好ましい。
(本発明のセルロース化合物において、この最も長波に吸収をもつ置換基(以下、最長波置換基ということがある)の置換度は上記の範囲が好ましいが、これは前記の一般式(I)で表されるセルロース化合物の、構成単位1個当りの平均値に相当する。このことは2番目に長波に吸収をもつ置換基の置換度の場合も同様である。)
本発明において、−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている置換基は芳香族基を含む置換基と芳香族基を含まない置換基とからなることが好ましく、より好ましくは最も長波にある置換基は芳香族基を含むことが好ましく,最も長波にある置換基と2番目に長波にある置換基は芳香族基を含むことが最も好ましい。
本発明において、−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている置換基が、最も長波にある置換基であるときの好ましい例は、4−メトキシベンゾイルオキシ、2,4−ジメトキシベンゾイルオキシ、2,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,4,6−トリメトキシベンゾイルオキシ、3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,3,4−トリメトキシベンゾイルオキシ、4−ニトロベンゾイルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、2−フェノキシベンゾイルオキシ、3−フェノキシベンゾイルオキシ、4−フェニルベンゾイルオキシ、2−ベンゾイルベンゾイルオキシ、3−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)ベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)フェニルベンゾイルオキシ、4−(2,2−ジシアノビニル)ベンゾイルオキシ、4−ブロモベンゾイルオキシ、4−クロロベンゾイルオキシ、2,4,6−トリブロモベンゾイルオキシ、フェノキシプロピオニルオキシ、ナフトキシアセチルオキシ、ナフトキシプロピオニルオキシ、ビフェニルアセチルオキシ、ビフェニルオキシアセチルオキシ、ビフェニルオキシプロピオニルオキシ、シンナモイルオキシ、4−メトキシシンナモイルオキシ、4−フェノキシベンジルオキシ、4−ベンジルオキシベンジルオキシ、3,5−ジベンジルオキシベンジルオキシ、ビフェニルオキシオキシ、4−メトキシベンジルオキシ、フェニルカルバモイルオキシ、ビフェニルカルバモイルオキシ、4−フェノキシフェニルカルバモイル、2−(ジシアノメチレン)−3−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾ−ル−5−カルボニルオキシなどを挙げることができる。
更に好ましくは、4−メトキシベンゾイルオキシ、2,4−ジメトキシベンゾイルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、2−フェノキシベンゾイルオキシ、3−フェノキシベンゾイルオキシ、4−フェニルベンゾイルオキシ、2−ベンゾイルベンゾイルオキシ、3−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)ベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)フェニルベンゾイルオキシ、4−(2,2−ジシアノビニル)ベンゾイルオキシ、ナフトキシアセチルオキシ、ナフトキシプロピオニルオキシ、ビフェニルアセチルオキシ、ビフェニルオキシアセチルオキシ、ビフェニルオキシプロピオニルオキシ、シンナモイルオキシ、4−メトキシシンナモイルオキシ、2−(ジシアノメチレン)−3−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾ−ル−5−カルボニルオキシ、2,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,4,6−トリメトキシベンゾイルオキシ、3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,3,4−トリメトキシベンゾイルオキシなどを挙げることができる。
特に好ましくは、4−メトキシシンナモイルオキシ、2−(ジシアノメチレン)−3−メチル−2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾ−ル−5−カルボニルオキシ、2,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,4,6−トリメトキシベンゾイルオキシ、3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,3,4−トリメトキシベンゾイルオキシなどを挙げることができる。
−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている置換基が、2番目に長波に吸収をもつ置換基であるときの好ましい例は、ベンゾイルオキシ、4−メトキシベンゾイルオキシ、4−メチルベンゾイルオキシ、2,4−ジメトキシベンゾイルオキシ、2,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,4,6−トリメトキシベンゾイルオキシ、3,4,5−トリメトキシベンゾイルオキシ、2,3,4−トリメトキシベンゾイルオキシ、4−ニトロベンゾイルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、2−フェノキシベンゾイルオキシ、3−フェノキシベンゾイルオキシ、4−フェニルベンゾイルオキシ、2−ベンゾイルベンゾイルオキシ、3−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)ベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)フェニルベンゾイルオキシ、4−(2,2−ジシアノビニル)ベンゾイルオキシ、4−ブロモベンゾイルオキシ、4−クロロベンゾイルオキシ、2,4,6−トリブロモベンゾイルオキシ、フェニルアセチルオキシ、フェニルプロピオニルオキシ、フェノキシアセチルオキシ、フェノキシプロピオニルオキシ、ナフトキシアセチルオキシ、ナフトキシプロピオニルオキシ、ビフェニルアセチルオキシ、ビフェニルオキシアセチルオキシ、ビフェニルオキシプロピオニルオキシ、シンナモイルオキシ、ベンジルオキシ、4−フェノキシベンジルオキシ、4−ベンジルオキシベンジルオキシ、3,5−ジベンジルオキシベンジルオキシ、ビフェニルオキシオキシ、4−メトキシベンジルオキシ、フェニルカルバモイルオキシ、ビフェニルカルバモイルオキシ、4−フェノキシフェニルカルバモイルなどを挙げることができる。
更に好ましくは、ベンゾイルオキシ、4−メトキシベンゾイルオキシ、2,4−ジメトキシベンゾイルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、2−フェノキシベンゾイルオキシ、3−フェノキシベンゾイルオキシ、4−フェニルベンゾイルオキシ、2−ベンゾイルベンゾイルオキシ、3−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)ベンゾイルオキシ、4−(4’−メトキシフェノキシ)フェニルベンゾイルオキシ、4−(2,2−ジシアノビニル)ベンゾイルオキシ、フェニルアセチルオキシ、フェニルプロピオニルオキシ、フェノキシアセチルオキシ、フェノキシプロピオニルオキシ、ナフトキシアセチルオキシ、ナフトキシプロピオニルオキシ、ビフェニルアセチルオキシ、ビフェニルオキシアセチルオキシ、ビフェニルオキシプロピオニルオキシ、シンナモイルオキシ、などを挙げることができる。
特に好ましくは、更に好ましくは、ベンゾイルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、2−フェノキシベンゾイルオキシ、3−フェノキシベンゾイルオキシ、4−フェニルベンゾイルオキシ、2−ベンゾイルベンゾイルオキシ、3−ベンゾイルベンゾイルオキシ、4−ベンゾイルベンゾイルオキシ、フェニルアセチルオキシ、フェニルプロピオニルオキシ、フェノキシアセチルオキシ、フェノキシプロピオニルオキシ、ナフトキシアセチルオキシ、ナフトキシプロピオニルオキシ、ビフェニルアセチルオキシ、ビフェニルオキシアセチルオキシ、ビフェニルオキシプロピオニルオキシ、などを挙げることができる。
本発明において、−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている置換基が、芳香族基を含まない置換基である例としては、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシプロポキシ、カルボキシメトキシ、フタリルオキシ、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
更に好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシを挙げることができ、特に好ましくはアセチルオキシを挙げることができる。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。本発明において置換度とは、2位、3位及び6位の水酸基のいずれかが特定の置換基に置換されている割合を示す。2位、3位及び6位の水酸基がすべて置換基に置換されたとき置換度は3.0となる。
さらに本発明において全置換度とは、2位、3位及び6位の水酸基を置換しているすべての置換基の置換度(前記の一般式(I)で表されるセルロース化合物全体の置換度を意味し、具体的には、該セルロース化合物について、構成単位1個当りの平均値に相当する)を表し、本発明のセルロース化合物は、全置換度が1.0〜2.99であることが好ましく、1.5〜2.99であることがより好ましく、1.7〜2.95であることが特に好ましい。
本発明において置換基の置換度および置換度分布は、Cellulose Communication,6,73−79(1999)およびChrality,12(9),670−674に書かれている方法を用いて、1H−NMRあるいは13C−NMRにより、決定することが出来る。
本発明のセルロース化合物を含有するフィルムが面内レタデ−ション(Re)の波長分散が逆分散で、Reの値、および厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散や値を幅広い範囲で自由に制御できる理由の詳細は明らかではないが、本発明のセルロース化合物においては、置換基のコンフォメーションが2位または3位に置換した場合と、6位に置換した場合とで異なっていることが推定され、その分布を本発明の範囲に制御することにより、本発明の効果が発現するものと考えられる。
一般式(I)で表されるセルロース化合物の最も好ましい例を以下に表1で示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。ただし、表1においてDSnon-aromaとは芳香族基を含まない置換基の置換度のことであり、吸収極大波長とは、置換基をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合にジクロロメタン溶液での270〜450nmにおいて最もモル吸光係数が大きくなる波長のことである。
表1
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本発明のセルロース化合物は、以下の文献ならびにこれらの引用文献に記載の一般的方法を単独または組み合わせて適用することによっても合成することができる。
「セルロースの事典」131−144ページ、セルロース学会編、2000年
「Comprehensive Cellulose Chemistry,Volume 2」、Wiley-Vch、2001年
本発明のセルロース化合物の合成法としては、1段階あるいは多段階の合成から選択できる。
1段階合成法は、セルロースからエステル化を実施することにより合成するもので、エステル化剤(酸無水物あるいは酸ハライドなど)として2種類以上の混合物または、2種類のカルボキシル基で構成される混合酸無水物を用いて反応させればよい。
多段階合成法は、セルロースをエステル化して合成中間体を一旦合成し、それを次工程の出発物質として別のエステル化剤でエステル化して目的のセルロース化合物を製造する方法である。
ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの安価な化合物をエステル化して本発明の化合物を合成する場合などに、特に有用である。工業的なセルロース化合物の製造法においては、エステル化、加水分解、解重合などを、中間体を取り出すことなく逐次的に行って製造する場合もあるが、このような合成法も多段階合成法の範疇と考えることができる。
本発明のセルロース化合物の製造は多段階合成法を採用するのが好ましく、最長波に吸収をもつ置換基によるエステル化を後段の反応し、その前段として上記置換基よりも短波長側に吸収をもつ置換基によりエステル化を導入するのが好ましい。又は、このようなより短波長側に吸収をもつ置換基をもつセルロース化合物を選択して長波に吸収をもつ置換基によるエステル化を行うことができる。
[セルロース化合物原料綿]
本発明のセルロース化合物の原料となるセルロースとしては、綿花リンタ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などの天然セルロースはもとより、微結晶セルロースなど木材パルプを酸加水分解して得られる重合度の低い(重合度100〜300)セルロースでも使用することができ、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)および「セルロースの事典(523頁)」(セルロース学会編、朝倉書店、2000年発行)に記載のセルロースを用いることができ特に限定されるものではない。
[セルロース化合物の重合度]
平均重合度を500以下とすることにより、セルロース化合物のドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を140以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明のセルロース化合物の分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mnの値としては、1.5〜4.0であることが好ましく、1.5〜3.5であることがより好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましい。
本発明のセルロースフィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、以下に記載する溶融製膜法または溶液製膜法により製造することが好ましい。
<溶融製膜>
本発明のセルロースフィルムを溶融製膜法により製造する場合の好ましい形態について説明する。
本発明のセルロースフィルムは、上記一般式(I)で表されるセルロース化合物を好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、最も好ましくは80質量%以上含有する組成物よりなる。本発明において、セルロース化合物は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明のセルロース化合物以外の高分子成分や、各種添加剤を適宜混合することもできる。混合される成分はセルロース化合物との相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上となるようにすることが望ましい。
溶融製膜に用いるセルロース化合物組成物の230℃の溶融粘度(製造されるセルロースアシレートフィルムの230℃の溶融粘度)は、150Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。。このような溶融粘度は、置換基組成を本発明の範囲内とし、さらに、分子量を調整することにより実現できる。分子量が好ましい範囲よりも大き過ぎると、溶融粘度が高くなり過ぎて製膜が困難になることがある。一方、重合度が好ましい範囲よりも小さ過ぎると、フィルムとしての強度が下がり過ぎるほか、溶融粘度が下がり過ぎて混練中に充分な剪断を掛けられず混練が不十分になることがある。
本発明のセルロース化合物には、一般的にセルロースアシレートに添加可能な種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を加えて組成物とすることができる。また、一般式(I)で表されるセルロース化合物への添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば、20℃以下の紫外線吸収剤と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いたりすることができる。具体的には、特開2001−151901号公報に記載の方法を採用できる。
(安定剤)
本発明においては、高温溶融製膜時のセルロース化合物の安定性を保つために、安定剤を添加することが有効である。特に、分子量500以上であるフェノール系安定剤の少なくとも一種、および分子量500以上である亜リン酸エステル系安定剤またはチオエーテル系安定剤から選ばれる少なくとも一種を添加することが好ましい。好ましいフェノール系安定剤は、公知の任意のフェノール系安定剤を使用することができる。好ましいフェノール系安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位に置換基を有することが好ましく、その場合の置換基としては炭素数1〜22の置換または無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する安定剤も好ましい素材として挙げられる。
これらは、市販品として容易に入手可能であり、下記のメーカーから販売されている。チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から、Irganox 1076、Irganox 1010、Irganox 3113、Irganox 245、Irganox 1135、Irganox 1330、Irganox 259、Irganox 565、Irganox 1035、Irganox 1098、Irganox 1425WL(以上、商品名)、として入手することが出来る。また、旭電化工業株式会社から、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80(以上、商品名)として入手できる。さらに、住友化学株式会社から、スミライザーBP−76、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80(以上、商品名)、として入手できる。また、シプロ化成株式会社からシーノックス326M、シーノックス336B(以上、商品名)、としても入手することが可能である。
また、酸化防止効果を有する分子量500以上の亜リン酸エステル系安定剤を含有することも好ましい。これらの化合物の例としては、特開2004−182979号公報の[0023]〜[0039]に記載の化合物、特開昭51−70316号公報、特開平10−306175号公報、特開昭57−78431号公報、特開昭54−157159号公報、特開昭55−13765号公報に記載の化合物から挙げることができる。さらに、その他の安定剤としては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)17頁〜22頁に詳細に記載されている素材の中から選択して用いることができる。これらは、旭電化工業株式会社からアデカスタブ1178、同2112、同PEP−8、同PEP−24G、PEP−36G、同HP−10(以上、商品名)として、またクラリアント社からSandostab P−EPQ(以上、商品名)として市販されており、入手可能である。
また、チオエーテル系安定剤としては、公知の任意のチオエーテル系安定剤を用いることができる。住友化学株式会社からスミライザーTPL、同TPM、同TPS、同TDP(以上、商品名)として市販されている。旭電化工業株式会社から、アデカスタブAO−412S(以上、商品名)としても入手可能である。これらの安定剤の使用に際しては、フェノール系安定剤の少なくとも一種、および亜リン酸エステル系安定剤またはチオエーテル系安定剤から選ばれる少なくとも一種がセルロースアシレートに対してそれぞれ0.02〜3質量%含有することが好ましく、特には0.05〜1質量%含有することである。フェノール系安定剤と、亜リン酸エステル系安定剤またはチオエーテル系安定剤の含有量はその比率は特に限定されないが、好ましくは1/10〜10/1(質量部)であり、より好ましくは1/5〜5/1(質量部)であり、さらに好ましくは1/3〜3/1(質量部)であり、特には1/3〜2/1(質量部)が好ましい。
さらに、本発明においては同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する安定剤も推奨される。それらの素材は特開平10−273494号公報に記載されている。市販品として、スミライザーGP(住友化学株式会社製、(以上、商品名))が挙げられる。さらに、特開昭61−63686号公報に記載の長鎖脂肪族アミン、特開平6−329830号公報に記載の立体障害アミン基を含む化合物、特開平7−90270号公報に記載のヒンダードピペリジニル系光安定剤、特開平7−278164号公報に記載の有機アミン等も使用し得る。好ましいアミン系安定剤は、旭電化からアデカスタブLA−57、同LA−52、同LA−67、同LA−62、同LA−77(以上、商品名)として、またチバ・スペシャリティーケミカルズ社からTINUVIN 765、同144(以上、商品名)として市販されている。アミン類の亜リン酸エステル類に対する使用比率は、通常0.01〜25質量%程度である。
(可塑剤)
溶融セルロースアシレートに可塑剤を添加すれば、セルロースアシレートの結晶融解温度(Tm)を下げることができる。本発明に用いる可塑剤の分子量は特に限定されないが、好ましくは高分子量の可塑剤が挙げられ、例えば分子量は500以上が好ましく、より好ましくは550以上であり、さらには600以上が好ましい。可塑剤の種類としては、リン酸エステル類、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、カルボン酸エステル類、多価アルコールの脂肪酸エステル類などが挙げられる。それらの可塑剤の形状としては固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。溶融製膜を行なう場合は、不揮発性を有するものを特に好ましく使用することができる。
リン酸エステルとしては、例えばリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸フェニルジフェニル等を挙げることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
カルボン酸エステルとしては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジエチルヘキシル等のフタル酸エステル類、およびクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類を挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独または併用することも好ましい。
これらの可塑剤の添加量は、溶融製膜に用いるセルロースアシレート体の0質量%〜15質量%が好ましく、0質量%〜10質量%がより好ましく、0質量%〜8質量%が特に好ましい。これらの可塑剤は、必要に応じて2種類以上を併用して用いてもよい。
(紫外線吸収剤)
溶融製膜に用いるセルロース組成物には、紫外線防止剤を添加してもよい。紫外線防止剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。その添加量は、調製する溶融物(メルト)の0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
これらの紫外線吸収剤は、市販品として下記のものがあり利用できる。ベンゾトリアゾール系としてはTINUBIN P(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TINUBIN 234(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TINUBIN 320(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TINUBIN 326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TINUBIN 327(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TINUBIN 328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミソーブ340(住友化学社製)、アデカスタイプLA-31(旭電化工業社製)(以上、商品名)などがある。また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、シーソーブ100(シプロ化成社製)、シーソーブ101(シプロ化成社製)、シーソーブ101S(シプロ化成社製)、シーソーブ102(シプロ化成社製)、シーソーブ103(シプロ化成社製)、アデカスタイプLA-51(旭電化工業社製)、ケミソープ111(ケミプロ化成社製)、UVINUL D-49(BASF社製)(以上、商品名)などを挙げられる。また、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤としては、TINUBIN 312(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)やTINUBIN 315(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)(以上、商品名)がある。さらにサリチル酸系紫外線吸収剤としては、シーソーブ201(シプロ化成社製)やシーソーブ202(シプロ化成社製)(以上、商品名)が上市されており、シアノアクリレート系紫外線吸収剤としてはシーソーブ501(シプロ化成社製)、UVINUL N-539(BASF社製)(以上、商品名)がある。
(微粒子)
本発明においては、溶融製膜に用いるセルロースアシレート組成物に微粒子を添加することも好ましく行われる。
本発明において微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられるが、いずれか一方でも、両方を含んでいてもよい。本発明におけるセルロース化合物に含まれる微粒子の平均一次粒子サイズは、好ましくは5nm〜3μmであり、より好ましくは5nm〜2.5μmであり、特に好ましくは20nm〜2.0μmである。微粒子の添加量は、セルロースアシレートに対して0.005〜1.0質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.8質量%であり、さらには0.02〜0.4質量%が特に好ましい。本発明において「平均一次粒子サイズ」とは、分散状態(非凝集状態)にある微粒子の粒子サイズをいい、平均一次粒子サイズは、動的光散乱法(数nm〜1μm)、レーザー回折(0.1μm〜数千μm)、Mie理論に基づくレーザー回折・散乱法(数十nm〜1μm)などの既知の方法により測定することができる。
無機化合物の微粒子の好ましい例としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、ZrO2、In23、MgO、BaO、MoO2、V25、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウム等が挙げられる。好ましく、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、ZrO2、In23、MgO、BaO、MoO2、およびV25の少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくはSiO2、TiO2、SnO2、Al23、ZrO2である。
前記SiO2の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製、(以上、商品名))等の市販品が使用できる。また、前記ZrO2の微粒子としては、例えば、アエロジルR976およびR811(以上、日本アエロジル(株)製、(以上、商品名))等の市販品が使用できる。またシーホスターKE−E10、同E30、同E40、同E50、同E70、同E150、同W10、同W30、同W50、同P10、同P30、同P50、同P100、同P150、同P250(日本触媒射精社製、(以上、商品名))なども使用される。また、シリカマイクロビーズP−400、700(触媒化成工業株式会社製、(以上、商品名))も利用できる。SO-G1、SO-G2、SO-G3、SO-G4、SO-G5、SO-G6、SO-E1、SO-E2、SO-E3、SO-E4、SO-E5、SO-E6、SO-C1、SO-C2、SO-C3、SO-C4、SO-C5、SO-C6、(株式会社アドマテックス社製、(以上、商品名))として利用する事も出来る。さらに、モリテックス(株)製シリカ粒子(水分散物を粉体化)8050、同8070、同8100、同8150(以上、商品名)も利用できる。
有機化合物の微粒子の好ましい例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂およびアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、シリコーン樹脂が特に好ましい。前記シリコーン樹脂としては、三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120および同240(以上、東芝シリコーン(株)製、(以上、商品名))等の市販品を使用できる。
さらに、無機化合物からなる微粒子は、セルロース組成物ならびにフィルム中で安定に存在させるために表面処理されていることが好ましい。無機微粒子は、表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としては、カップリング剤を使用する化学的表面処理と、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とがあるが、本発明においてはカップリング剤の使用が好ましい。前記カップリング剤としては、オルガノアルコキシ金属化合物(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等)が好ましく用いられる。微粒子として無機微粒子を用いた場合(特にSiO2を用いた場合)ではシランカップリング剤による処理が特に有効である。前記シランカップリング剤としてはオルガノシラン化合物が使用可能である。前記シランカップリング剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは無機微粒子に対して0.005〜5質量%使用することが推奨され、さらには0.01〜3質量%が好ましい。
微粒子は製膜のいずれの工程でセルロース化合物に混合してもよく、セルロースアシレートを製造する工程のうち、再沈殿の前までのいずれかの工程において微粒子を添加し、微粒子を含有する状態で再沈殿させることもまた好ましい。
(離型剤)
溶融製膜に用いるセルロース組成物は、フッ素原子を有する化合物を含むことも好ましい。前記フッ素原子を有する化合物は、離型剤としての作用を発現でき、低分子量化合物であっても重合体であってもよい。重合体としては、特開2001−269564号公報に記載の重合体を挙げることができる。前記フッ素原子を有する重合体として好ましいものは、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分として含有してなる単量体を重合せしめた重合体である。前記重合体に係わるフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体としては、分子中にエチレン性不飽和基とフッ素化アルキル基とを有する化合物であれば特に制限はない。またフッ素原子を有する界面活性剤も利用でき、特に非イオン性界面活性剤が好ましい。
(ペレット化)
上記セルロース化合物と添加物は溶融製膜に先立ち混合しペレット化するのが好ましい。
ペレット化は上記セルロース化合物と添加物を2軸あるいは1軸混練押出機を用い150℃〜250℃で溶融後、ヌードル状に押出したものを水中で固化し裁断することで作製することができる。水中に直接押出ながらカットするアンダーウオーターカット法でペレット化を行ってよい。混練押し出し機はベント式のものを用い減圧しながらペレットするのがより好ましい。さらに混練押し出し機中を窒素置換しながらペレット化するのもより好ましい。
好ましいペレットの大きさは断面積が1mm2〜300mm2、長さが1mm〜30mmであり、より好ましくは断面積が2mm2〜100mm2、長さが1.5mm〜10mmである。
押出機の回転数は10rpm〜1000rpmが好ましく、より好ましくは30rpm〜500rpm以下である。ペレット化における押出滞留時間は10秒〜30分、好ましくは30秒〜3分である。
(溶融製膜の具体的方法)
以下に、溶融製膜の具体的な方法について説明する。
(1)乾燥
溶融製膜に先立ちペレット中の水分を乾燥することが好ましい。好ましい含水率は0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
(2)溶融押出し
乾燥したセルロース樹脂を押出機の供給口からシリンダー内に供給する。
押出機のスクリュー圧縮比は2.5〜4.5が好ましく、より好ましくは3.0〜4.0である。L(スクリュー長)/D(スクリュー径)は20〜70が好ましい。より好ましくは24〜50である。溶融温度は上述の温度で行うことが好ましい。
樹脂の酸化防止のために、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。
(3)濾過
押し出し機出口にて、ブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。
高精度濾過のために、ギアポンプ通過後にリーフ型ディスクフィルター型を濾過装置を設けることが好ましい。濾過は、単段で行っても、多段で行ってもよい。
(4)ギアポンプ
厚み精度向上(吐出量の変動減少)のために、押出機とダイスの間にギアポンプを設置するのが好ましい。また、押出機とギアポンプ、ギアポンプとダイ等をつなぐアダプタの温度変動を小さくすることが押出圧力安定のために好ましい。
(5)ダイ
ダイ内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイのいずれのタイプでも構わない。また、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも好ましい。
樹脂が供給口から押出機に入ってからダイスから出るまでの樹脂の好ましい滞留時間は2分〜60分であり、より好ましくは4分〜30分である。
(6)キャスト
ダイよりシート上に押し出された溶融樹脂をキャスティングドラム上で冷却固化し、フィルムを得る。この時、タッチロールを用いることも好ましい。
キャスティングドラムは好ましくは1〜8本、より好ましくは2〜5本用い、徐冷することが好ましい。この後、キャスティングドラムから剥ぎ取り、ニップロールを経た後巻き取る。このようにして得た未延伸フィルムの厚みは30μm〜400μmが好ましく、より好ましくは50μm〜200μmである。
(7)巻き取り
巻き取り前に両端をトリミングすることが好ましい。トリミングされた部分はフィルム用原料として再利用してもよい。巻き取り張力は、一定の巻き取り張力で巻き取ってもよいが、巻取り径に応じてテーパーをつけ巻取ることがより好ましい。またニップロール間のドロー比率を調整し、ライン途中でフィルムに規定以上の張力がかからない様にすることも行ってよい。
巻き取り前に、少なくとも片面にラミネートフィルムを付けてもよい。
本発明のセルロースフィルムの、残留有機溶媒量は好ましくは0.03質量%以下、さらに好ましくは0.02%以下、特に好ましくは0.01%以下である。残留溶媒がこのような範囲にある場合には、溶媒の臭気の発生や、溶媒の蒸発によるフィルムの特性変化が起きにくく好ましい。溶融製膜法は残留溶媒を少なくするのに有効な方法である。
残留溶媒の量は、ガスクロマトグラフィー法などにより測定することができる。
<溶液製膜>
次に、本発明のセルロース化合物を溶液製膜法により製造する場合の好ましい形態について説明する。
本発明においては、セルロース化合物が溶解し流延,製膜できて、その目的が達成できる限りは、セルロース化合物の溶媒は特に限定されない。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤、ならびに非塩素系有機溶媒を挙げることができる。
本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ペンチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、セルロース化合物が溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、その塩素系有機溶媒は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明の併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
以上のセルロース化合物に用いられる主溶媒である塩素系有機溶媒と併用される非塩素系有機溶媒については、特に限定されないが、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサン、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステル、炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれる。なお好ましい併用される非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができる。
本発明のセルロース化合物は、有機溶媒に10〜35質量%溶解させることが好ましい。より好ましくは13〜30質量%であり、特には15〜28質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロース化合物を実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロース化合物溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロース化合物溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロース化合物溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
本発明のセルロース化合物溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく、さらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、さらに特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号各公報などにセルロースアシレート溶液の調製法、が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらに本発明のセルロース化合物溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロース化合物溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率がある範囲であることが好ましい。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用いて測定した。測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度n*(Pa・s)および−5℃の貯蔵弾性率G’(Pa)を求めた。なお、試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。本発明では、40℃での粘度が1〜400Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が500Pa以上が好ましく、より好ましくは40℃での粘度が10〜200Pa・sであり、15℃での動的貯蔵弾性率が100〜100万が好ましい。さらには低温での動的貯蔵弾性率が大きいほど好ましく、例えば流延支持体が−5℃の場合は動的貯蔵弾性率が−5℃で1万〜100万Paであることが好ましく、支持体が−50℃の場合は−50℃での動的貯蔵弾性率が1万〜500万Paであることが好ましい。
(溶液製膜の具体的方法)
次に、本発明のセルロース化合物の製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法および設備は、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロース化合物溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギアポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸などに分類される。
ここで、本発明においては流延部の空間温度は特に限定されないが、−50〜50℃であることが好ましい。さらには−30〜40℃であることが好ましく、特には−20〜30℃であることが好ましい。特に低温での空間温度により流延されたセルロース化合物溶液は、支持体の上で瞬時に冷却されゲル強度アップすることでその有機溶媒を含んだフィルムを保持することができる。これにより、セルロース化合物から有機溶媒を蒸発させることなく、支持体から短時間で剥ぎ取りことが可能となり、高速流延が達成できるものである。なお、空間を冷却する手段としては通常の空気でもよいし窒素やアルゴン、ヘリウムなどでもよく特に限定されない。またその場合の相対湿度は0〜70%が好ましく、さらには0〜50%が好ましい。また、本発明ではセルロース化合物溶液を流延する流延部の支持体の温度が−50〜130℃であり、好ましくは−30〜25℃であり、さらには−20〜15℃である。流延部を本発明の温度に保つためには、流延部に冷却した気体を導入して達成してもよく、あるいは冷却装置を流延部に配置して空間を冷却してもよい。この時、水が付着しないように注意することが重要であり、乾燥した気体を利用するなどの方法で実施できる。
本発明においてその各層の内容と流延については、特に以下の構成が好ましい。すなわち、セルロース化合物溶液が25℃において、少なくとも1種の液体または固体の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、および/または少なくとも1種の液体または固体の紫外線吸収剤をセルロース化合物に対して0.001〜5質量%含有しているセルロース化合物溶液であること、および/または少なくとも1種の固体でその平均粒子サイズが5〜3000nmである微粒子粉体をセルロース化合物に対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、および/または少なくとも1種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液であること、および/または少なくとも1種の剥離剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロース化合物溶液であること、および/または少なくとも1種の劣化防止剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロース化合物溶液であること、および/または少なくとも1種の光学異方性コントロール剤をセルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有していること、および/または少なくとも1種の赤外吸収剤をセルロース化合物に対して0.1〜5質量%含有しているセルロース化合物溶液であること、を特徴とするセルロース化合物溶液およびそれから作製されるセルロースフィルムであることが好ましい。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロース化合物溶液を同時およびまたは逐次共流延してもよい。2層以上からなる流延工程を有する場合は、作製されるセルロース化合物溶液およびセルロースフィルムにおいて、各層の塩素系溶媒の組成が同一であるか異なる組成のどちらか一方であること、各層の添加剤が1種類であるかあるいは2種類以上の混合物のどちらか一方であること、各層への添加剤の添加位置が同一層であるか異なる層のどちらか一方であること、添加剤の溶液中の濃度が各層とも同一濃度であるかあるいは異なる濃度のどちらか一方であること、各層の会合体分子量が同一であるかあるいは異なる会合体分子量のどちらか一方であること、各層の溶液の温度が同一であるか異なる温度のどちらか一方であること、また各層の塗布量が同一か異なる塗布量のどちらか一方であること、各層の粘度が同一であるか異なる粘度のどちらか一方であること、各層の乾燥後の膜厚が同一であるか異なる厚さのどちらか一方であること、さらに各層に存在する素材が同一状態あるいは分布であるか異なる状態あるいは分布であること、各層の物性が同一であるかあるいは異なる物性のどちらか一方であること、各層の物性が均一であるか異なる物性の分布のどちらか一方であること、を特徴とするセルロース化合物溶液およびその溶液から作製されるセルロースフィルムであることも好ましい。ここで、物性とは発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)6頁〜7頁に詳細に記載されている物性を含むものであり、例えばヘイズ、透過率、分光特性、レターゼーションRe、同Rth、分子配向軸、軸ズレ、引裂強度、耐折強度、引張強度、巻き内外Rt差、キシミ、動摩擦、アルカリ加水分解、カール値、含水率、残留溶剤量、熱収縮率、高湿寸度評価、透湿度、ベースの平面性、寸法安定性、熱収縮開始温度、弾性率、および輝点異物の測定などであり、さらにはベースの評価に用いられるインピーダンス、面状も含まれるものである。また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)11頁に詳細に記載されているセルロース化合物のイエローインデックス、透明度、熱物性(Tg、結晶化熱)なども挙げることができる。
<セルロースフィルムの処理>
(延伸)
以上のようにして、溶融製膜法あるいは溶液製膜法によって製造した本発明のセルロースフィルムは、面状の改良、Re,Rthの発現、線膨張率の改善などを目的として、延伸することが好ましい。
延伸は製膜工程中、オン−ラインで実施してもよく、製膜完了後、一度巻き取った後オフ−ラインで実施してもよい。すなわち、溶融製膜の場合、延伸は製膜中の冷却が完了しない実施してもよく、冷却終了後に実施してもよい。
延伸はTg〜(Tg+50℃)で実施するのが好ましく、より好ましくは(Tg+1℃)〜(Tg+30℃)、特に好ましくは(Tg+2℃)〜(Tg+20℃)である。好ましい延伸倍率は0.1%〜500%、さらに好ましくは10%〜300%、特に好ましくは30%〜200%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。ここでいう延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
このような延伸は縦延伸、横延伸、およびこれらの組み合わせによって実施される。縦延伸は、(1)ロール延伸(出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸)、(2)固定端延伸(フィルムの両端を把持し、これを長手方向に次第に早く搬送し長手方向に延伸)、等を用いることができる。さらに横延伸は、テンター延伸(フィルムの両端をチャックで把持しこれを横方向(長手方向と直角方向)に広げて延伸)、等を使用することができる。これらの縦延伸、横延伸は、それだけで行なってもよく(1軸延伸)、組み合わせて行ってもよい(2軸延伸)。2軸延伸の場合、縦、横逐次で実施してもよく(逐次延伸)、同時に実施してもよい(同時延伸)。
縦延伸、横延伸の延伸速度は10%/分〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20%/分〜1000%/分、特に好ましくは30%/分〜800%/分である。多段延伸の場合、各段の延伸速度の平均値を指す。
このような延伸に引き続き、縦または横方向に0%〜10%緩和することも好ましい。さらに、延伸に引き続き、150℃〜250℃で1秒〜3分熱固定することも好ましい。
このようにして延伸した後の膜厚は10〜300μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、30μm〜100μmが特に好ましい。
また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。即ち、縦延伸の場合は0°に近いほどよく、0±3°が好ましく、より好ましくは0±2°、特に好ましくは0±1°である。横延伸の場合は、90±3°または−90±3°が好ましく、より好ましくは90±2°または−90±2°、特に好ましくは90±1°または−90±1°である。
偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するためには、偏光膜の透過軸とセルロースフィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光膜の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、前記ロールフィルム状の偏光膜とロールフィルム状のセルロースフィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶媒量が2〜30質量%で好ましく延伸することができる。
乾燥後得られる、本発明に好ましく用いられるセルロースフィルムの厚さは、使用目的によって異なり、5〜500μmの範囲であることが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、光学用、特にVA液晶表示装置用としては、40〜110μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、セルロースフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
上述の未延伸または延伸セルロースフィルムは単独で使用してもよく、これらと偏光板を組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用してもよい。
[セルロースフィルムの光学特性]
本発明における各レターデーションについて説明する。本明細書において、Re、Rth(単位;nm)は次の方法にしたがって求めたものである。まず、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、プリズムカップラー(MODEL2010 Prism Coupler:Metricon製)を用い、25℃、相対湿度60%において、532nmの固体レーザーを用いて下記式(a)で表される平均屈折率(n)を求める。
式(a): n=(nTE×2+nTM)/3
[式中、nTEはフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、nTMはフィルム面法線方向の偏光で測定した屈折率である。]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルムの法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが一軸または二軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される。)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRにおいて算出される。
上記において、λに関する記載が特になく、Re、Rthとのみ記載されている場合は、波長590nmの光を用いて測定した値のことを表す。また、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRにおいて算出される。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率及び入力された膜厚値を基に、以下の式(b)及び式(c)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008095026
式(b)中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Figure 2008095026
測定されるフィルムが一軸や二軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRにおいて算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRにおいてnx、ny、nzが算出される。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本発明のセルロースフィルムのReは、配向フィルム試料でいうと、TD方向(配向方向)の屈折率からMD方向(TD方向と直交する方向)の屈折率を差し引いた値に厚さを乗じた値である(すなわち、Re=(nx−ny)dで表される)。したがって、Reが正であるとき、TD方向の屈折率(nx)がMD方向の屈折率(ny)より大きいことを意味する。
Rthは、フィルム面内の縦方向の屈折率と幅方向の屈折率との平均値(後述する配向フィルムでいうと、TD方向屈折率とMD方向屈折率の平均値)から厚さ方向の屈折率を差し引いた値に厚さを乗じた値である(すなわち、Rth={(nx+ny)/2−nz}dで表される)。したがって、Rthが正であるとき、面内屈折率の平均値((nx+ny)/2)が厚さ方向の屈折率(nz)より大きいことを意味する。
本発明のセルロースフィルムにおいては、配向方向に対してRe(550nm)が正でありかつ特定波長におけるReが下記数式(IV)及び(V)の範囲にあることが好ましい。
数式(IV)
0.5<Re(450nm)/Re(550nm)<1.0
数式(V)
1.05<Re(630nm)/Re(550nm)<1.5
このような光学特性の波長分散性を発現させるために、配向方向(以下、TD方向と示す)とそれに直交する方向(以下、MD方向と示す)における吸収波長と遷移モーメントの方向を上手く配置することが好ましい。
ReはTD方向の屈折率からMD方向の屈折率を差し引いた値であるため、TD方向の屈折率の波長分散性よりも、MD方向の波長分散性が、より右肩下がり(右を長波長側、左を短波長側とおいたときのReの傾き)であれば、その差し引いた値は、式(II)および式(III)を満足する。レターデーションの波長分散性は、Lorentz−Lorenzの式で表されているように、物質の吸収に密接な関係にあるため、MD方向の波長分散性をより右肩下がりにするためには、TD方向に比較してMD方向の吸収遷移波長をより長波化できれば、式(III)および式(IV)を満たすフィルムを設計することができる。
フィルムの幅方向のRe(590)値のばらつきは、±5nmであることが好ましく、±3nmであることがより好ましい。また幅方向のRth(590)値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることがより好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも、幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
Re(λ)値、Rth(λ)値は、それぞれ、以下の数式(VIII)、(IX)を満たすことが、液晶表示装置、特にVAモード、OCBモード液晶表示装置の視野角を広くするために好ましい。また特にセルロースフィルムが、偏光板の液晶セル側の保護膜に用いられる場合に好ましい。
数式(VIII):0nm≦Re(590)≦200nm
数式(IX):0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに好ましくは、
数式(VIII−I):30nm≦Re(590)≦150nm
数式(IX−I):30nm≦Rth(590)≦300nm
本発明のセルロースフィルムをVAモード、OCBモードに使用する場合、セルの両側に1枚ずつ合計2枚使用する形態(2枚型)と、セルの上下のいずれか一方の側にのみ使用する形態(1枚型)の2通りがある。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
(ヘイズ)
本発明のセルロースフィルムは、例えば、ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)社製)を用いて測定した値が0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましく、0.1以上0.60以下であることが特に好ましい。前記範囲にヘイズを制御することにより、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に高コントラストの画像が得られる。
(光弾性係数)
本発明のセルロースフィルムは、偏光板保護フィルム、または位相差板として使用されることが好ましい。偏光板保護フィルム、または位相差板として使用した場合には、吸湿による伸張、収縮による応力により複屈折(Re,Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、5×10-7(cm2/kgf)〜30×10-7(cm2/kgf)が好ましく、6×10-7(cm2/kgf)〜25×10-7(cm2/kgf)がより好ましく、7×10-7(cm2/kgf)〜20×10-7(cm2/kgf)であることが特に好ましい。
(表面処理)
未延伸、または、延伸後のセルロースフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液に浸漬してもよく、鹸化液を塗布してもよい。浸漬法の場合は、NaOHやKOH等のpH10〜14の水溶液を20℃〜80℃に加温した槽を0.1分から10分通過させたあと、中和、水洗、乾燥することで達成できる。
塗布方法の場合、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を用いることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがより好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗または酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。これらの鹸化方法は、具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
機能層との接着のため下塗り層を設けることも好ましい。この層は上記表面処理をした後、塗設してもよく、表面処理なしで塗設してもよい。下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載されている。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
<機能層との組み合わせ>
本発明のセルロースフィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板の形成)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
[偏光膜]
(偏光膜の素材)
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素または二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素または二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素またはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)58頁に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。バインダーには、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。
なかでも水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載されている。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、2種以上を併用してもよい。
バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋性の官能基を有するポリマー、モノマーをバインダー中に混合してもよく、バインダーポリマー自身に架橋性官能基を付与してもよい。架橋は、光、熱またはpH変化により行うことができ、架橋構造をもったバインダーを形成することができる。架橋剤については、米国再発行特許第23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
架橋反応が終了後でも、未反応の架橋剤は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。このようにすることで、耐候性が向上する。
(偏光膜の延伸)
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸により実施することができる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸により実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。ここでいう延伸倍率は(延伸後の偏光膜の長さ/延伸前の偏光膜の長さ)を表す。延伸はMD方向に平行に行ってもよく(平行延伸)、斜め方向に行ってもよい(斜め延伸)。これらの延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。より好ましいのが斜め方向に10度から80度の傾きを付けて延伸する斜め延伸である。
(イ)平行延伸法
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は通常1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、通常15〜50℃、好ましくは17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくして行うことができる。前記作用効果の点より好ましい延伸倍率(延伸後/初期状態の長さ比:以下同じ)は1.2〜3.5倍、より好ましくは1.5〜3.0倍である。この後、50℃〜90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
(ロ)斜め延伸法
斜め延伸法は、特開2002−86554号公報に記載されているように、傾斜め方向に張り出したテンターを用いて延伸することにより実施することができる。この延伸は空気中で行うため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%〜100%、より好ましくは10%〜100%である。
延伸時の温度は40℃〜90℃が好ましく、より好ましくは50℃〜80℃である。相対湿度は50%〜100%が好ましく、より好ましくは70%〜100%、特に好ましくは80%〜100%である。長手方向の進行速度は、1m/分以上が好ましく、より好ましくは3m/分以上である。
延伸の終了後、好ましくは50℃〜100℃、より好ましくは60℃〜90℃で、好ましくは0.5分〜10分、より好ましくは1分〜5分乾燥する。
このようにして得られる偏光膜の吸収軸は10°〜80°が好ましく、より好ましくは30°〜60°であり、特に好ましくは実質的に45°(40°〜50°)である。
(貼り合せ)
上記鹸化後のセルロースフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45°になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
このようにして得た偏光板の光線透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがより好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがより好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
さらに、このようにして得た偏光板はλ/4板と積層し、円偏光板を作製することができる。この場合λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。この時、λ/4板は特に限定されないが、より好ましくは低波長ほどレターデーションが小さくなるような波長依存性を有するものがより好ましい。さらには長手方向に対し20度〜70度傾いた吸収軸を有する偏光膜、および液晶性化合物からなる光学異方性層からなるλ/4板を用いることが好ましい。
[光学補償層の付与(光学補償シートの作製)]
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
(配向膜)
上記表面処理したセルロースフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、または液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例としては、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ基、ジアルコキシ基、モノアルコキシ基)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、または液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]に記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行ってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがより好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方性層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、通常20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。乾燥時間は通常1分〜36時間にすることができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、通常pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、液晶表示装置を製造する際に行う液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムまたはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
工業的に実施する場合、搬送している偏光膜のついたフィルムに対し、回転するラビングロールを接触させることで達成するが、ラビングロールの真円度、円筒度、振れ(偏芯)はいずれも30μm以下であることが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90°が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360°以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。フィルムの搬送速度は1〜100m/minが好ましい。ラビング角は0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましい。45°が特に好ましい。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
(光学異方性層)
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、または架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
1)棒状液晶性分子
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基あるいはカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報の段落番号[0064]〜[0086]に記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
2)円盤状液晶性分子
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されている
トルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載されている。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことができる。例えば、特開2000−155216号公報の段落番号[0151]〜[0168]に記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、または増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子または配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子または円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
(光学異方性層の他の組成物)
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、または配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基を有する液晶化合物に対して共重合性を示すものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1質量%〜50質量%の範囲にあり、5質量%〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースアシレートを挙げることができる。セルロースアシレートの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1質量%〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70℃〜170℃がより好ましい。
(光学異方性層の形成)
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
(液晶性分子の配向状態の固定)
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2,367,661号、同2,367,670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2,448,828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2,722,512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3,046,127号、同2,951,758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3,549,367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4,239,850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4,212,970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることが特に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
(偏光膜との組み合わせ)
この光学補償フィルムと偏光膜を組み合わせることも好ましい。具体的には、上記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフィルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作製される。本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示することができる。
偏光膜と光学補償層の傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
[反射防止層の付与(反射防止フィルムの作製)]
反射防止フィルムは、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明支持体上に設けてなる。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜の形成方法として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法等が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止フィルムとして、無機粒子をマトリックスに分散した分散物を塗布することにより薄膜を積層した反射防止フィルムも各種提案されている。塗布による反射防止フィルムとして、表面に微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した層を最上層に形成した反射防止フィルムも挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは上記いずれの方式で製造する反射防止フィルムにも適用できるが、塗布による方式(塗布型)で製造する反射防止フィルムに適用することが特に好ましい。
(塗布型反射防止フィルムの層構成)
透明支持体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)を順に形成した層構成からなる反射防止フィルムは、屈折率が以下の関係を満足するように設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間には、ハードコート層を設けてもよい。さらには、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなるものであってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載されているものが挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等に記載されるもの)等が挙げられる。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止フィルムの高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなる。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上の無機化合物が挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするためには、粒子表面を表面処理剤で処理する技術(例えば、特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報に記載されるシランカップリング剤で処理する技術や、特開2001−310432号公報等に記載されるアニオン性化合物あるいは有機金属カップリング剤で処理する技術)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とする技術(例えば、特開2001−166104等に記載される技術)、特定の分散剤を併用する技術(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1号明細書、特開2002−2776069号公報等に記載される技術)等を利用することができる。マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
さらに、ラジカル重合性および/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上有する多官能性化合物を含有する組成物、加水分解性基を有する有機金属化合物およびその部分縮合体の組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。これらの組成物に用いる化合物として、例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載される硬化性膜を挙げることができる。
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる層である。低屈折率層の屈折率は一般に1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性や防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させるためには表面に滑り性を付与することが有効であり、具体的には従来公知のシリコーン化合物や含フッ素化合物を導入した薄膜層の形成法を適用することができる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性または重合性の官能基を含む化合物であることが好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基または重合性官能基を有し、膜中で橋かけ構造を形成しているものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)社製、(以上、商品名)等)、両末端にシラノール基を有するポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素および/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤や増感剤等を含有する最外層形成用の塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応させて硬化したゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ(パーフルオロアルキルエーテル)基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報に記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成してもよい。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましく、60〜120nmであることが特に好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設けることができる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成することが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基を有する有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物であることが好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したものと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第O0/46617号パンフレット等に記載されるものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層の説明で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等に記載される技術を用いることができる。
(その他の層)
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(塗布方法)
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
(アンチグレア機能)
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
反射防止フィルムの表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層またはハードコート層)に比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明のセルロースフィルム、該セルロースフィルムを用いた偏光板、位相差フィルムおよび光学フィルムは、それぞれ液晶表示装置に好ましく組み込むことができる。液晶表示装置としては、TN型、IPS型、FLC型、AFLC型、OCB型、STN型、ECB型、VA型およびHAN型の表示装置が挙げられる。また、本発明のセルロースフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。以下に各液晶モードについて説明する。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
(IPS型液晶表示装置、ECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、IPSモードまたはECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置またはECB型液晶表示装置の光学補償シート、または偏光板の保護膜としても好適に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロースフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置、HAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00/65384号の記載に従って作製することができる。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
(TNモード液晶表示装置)
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4,583,825号、同5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensated Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(実施例1)
セルロースアセテートを出発原料として、6位優先的に反応する条件で酸クロリドと反応させ、その後、2,3位にも反応できる条件で、最初の反応で用いた酸クロリドとは異なる酸クロリドを反応させ、表2に示す本発明のセルロース化合物をそれぞれ得た。以下、各セルロース化合物の製造について詳しく説明する。
なお、実施例に用いた化合物について、−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmで最も長波な吸収極大でのモル吸光係数は、A−1〜A−3:24000(ジクロロメタン)、A−17:11400(ジクロロメタン)である。
[合成例1:中間体化合物(比較化合物)B−1の合成]
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコに置換度2.15のセルロースアセテート200g、ピリジン90ml、アセトン2000mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに240gの4−フェニルベンゾイルクロリド(東京化成)をゆっくりと粉体滴下し、添加後さらに50℃にて8時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール20Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的の中間体化合物(比較化合物)B−1を白色粉体として235g得た。平均重合度は255であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは、下記表2に示したとおりであり、(数式I)及び(数式II)を満足しない。
[合成例2:4−メトキシシンナモイルクロリドの合成]
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコに4−メトキシ桂皮酸(東京化成株式会社)200g、トルエン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに560gの塩化チオニル(和光純薬株式会社)、ジメチルホルムアミド10mlをゆっくりと滴下し、添加後さらに80℃にて1時間攪拌した。反応後、トルエンと未反応の塩化チオニルを減圧留去し、残留物にヘキサン500mlを激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のヘキサンで3回洗浄を行った。得られた白色固体を乾燥することで、目的の4−メトキシシンナモイルクロリドを白色粉体として194g得た。
[合成例3:例示化合物A−1の合成]
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体化合物B−1を40g、ピリジン400ml、アセトン100mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに先の反応で得られた4−メトキシシンナモイルクロリド100gをゆっくりと粉体滴下し、添加後さらに50℃にて8時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール10Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的の例示化合物A−1を白色粉体として50g得た。平均重合度は255であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは前記表1に示したとおりであり(数式I)及び(数式II)を満足する。
[合成例3:例示化合物A−2の合成]
先の例示化合物A−1の製造において、100gの4−メトキシシンナモイルクロリドを42gに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−2を白色粉体として46g得た。平均重合度は254であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは前記表1に示したとおりであり(数式I)及び(数式II)を満足する。
[合成例4:例示化合物A−3の合成]
先の例示化合物A−1の製造において、100gの4−メトキシシンナモイルクロリドを21gに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−3を白色粉体として41g得た。平均重合度は252であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは前記表1に示したとおりであり(数式I)及び(数式II)を満足する。
[合成例5:中間体化合物(比較化合物)B−2の合成]
先の例示化合物B−1の製造において、200gのジアセチルセルロースを250g、90mlのピリジンを114ml、2000mlのアセトンを3000ml、240gの4−フェニルベンゾイルクロリドの粉体滴下を160mlのベンゾイルクロリド(和光純薬)の滴下に変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物(比較化合物)B−2を白色粉体として210g得た。平均重合度は254であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは、下記表2に示したとおりであり、(数式I)及び(数式II)を満足しない。
[合成例6:中間体化合物(比較化合物)B−3の合成]
先の例示化合物B−1の製造において、ピリジン90mlを68ml、240gの4−フェニルベンゾイルクロリドを4−メトキシシンナモイルクロリド180gに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物(比較化合物)B−3を白色粉体として220g得た。平均重合度は255であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは、下記表2に示したとおりであり、(数式I)及び(数式II)を満足しない。
[合成例7:中間体化合物(比較化合物)B−4の合成]
先の例示化合物A−1の製造において、中間体化合物B−1をB−3、4−メトキシシンナモイルクロリドを4−フェニルベンゾイルクロリドに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物(比較化合物)B−4を白色粉体として48g得た。平均重合度は255であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは、下記表3に示したとおりであり、(数式I)及び(数式II)を満足しない。
[合成例7:例示化合物A−17の合成]
先の例示化合物A−1を製造において、中間体化合物B−1をB−2に、100gの4−メトキシシンナモイルクロリドを2,4,6−トリメトキシベンゾイルクロリド(アサロン酸クロリド)20.5gに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−17を白色粉体として50g得た。平均重合度は257であった。このセルロース化合物のDS16 long、DS13 long+DS12 longは前記表1に示したとおりであり(数式I)及び(数式II)を満足する。
比較化合物(中間体化合物)の置換基の種類、置換度分布、および全置換度を下記の表2および表3に示した。
なお、表2及び表3において、DS16 aroma、DS13 aromaおよびDS12 aromaは比較化合物としてのセルロース化合物の6位、3位および2位にそれぞれ置換されている芳香族基を含む置換基の置換度を表し、DSnon-aromaは芳香族基を含まない置換基の置換度を表す。
Figure 2008095026
Figure 2008095026
(実施例2)
<セルロース化合物溶液の調製>
下記の原料をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、溶解し、セルロース化合物溶液を有する溶液を調製した。
セルロース化合物溶液
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
このとき置換度2.86のセルロースアセテートに代えて、発明のセルロース化合物A−1、A−2、A−3、A−17、B−1、B−2、B−3、又はB−4を用い、上記と同様にして各セルロース化合物溶液を調製した。
<セルロースフィルム試料001〜009の作製>
セルロース化合物溶液組成の溶液562質量部を、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、160℃の条件で、テンターを用いて15%の延伸倍率で横延伸して、フィルム試料009(比較例、厚さ:80μm)を作製した。以下、特に断りがなければ、作製したフィルムの厚さはすべて80μmである。次に、同様にして、本発明のフィルム試料001〜004、及び比較用フィルム試料005〜008を作製した。
Figure 2008095026
フィルム試料の評価については、上記で得られた各フィルム試料の一部(120mm×120mm)を取り出し、レターデーション値については先に[セルロースフィルムの光学特性]の項で述べた手順により測定した。その結果を表4に示す。
表4の結果から分かるように、従来のセルロースアシレートおよび比較例から得たフィルム試料が面内方向のレターデーションの波長分散が
数式(IV)
0.5<Re(450nm)/Re(550nm)<1.0
および
数式(V)
1.05<Re(630nm)/Re(550nm)<1.5
のいずれかを満たさないのに対して、本発明のセルロース化合物A−1、A−2、A−3又はA−4から得たフィルム試料は数式(IV)および数式(V)を満たす面内方向のレターデーションの波長分散が逆分散性を発現するという、従来のものとは異なる性質を有することがわかる。
(実施例3)偏光板保護膜
実施例2の試料001〜009を用いて、特開平11−316378号公報の実施例1に記載の方法により、楕円偏光板試料001〜009を作製して評価した。本発明のセルロースフィルムにより得られた楕円偏光板の光学特性は優れたものであった。
(実施例4)液晶表示装置
実施例2の試料001〜009を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置を作製し、評価した。本発明のセルロースフィルムを用いて得られた装置では、いずれの場合においても良好な性能が得られた。

Claims (16)

  1. 下記一般式(I)で表されるセルロース化合物を含有することを特徴とするセルロースフィルム。
    Figure 2008095026
    [式中、R16、R13およびR12はそれぞれ独立に水素原子、又は脂肪族基もしくは芳香族基を含む基を表す。−X16−、−X13−および−X12−はそれぞれ独立に、*1−O−、*1−OOC−および*1−OOCNH−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)を表す。n1は平均重合度を表し、10〜1500の整数である。なお、セルロース化合物中にn1個ずつ存在するR16、R13、R12、−X16−、−X13−および−X12−は構成単位ごとに同じでもそれぞれ異なっていても良い。さらに下記関係式(数式I)及び(数式II)を満たす。
    (数式I)
    DS16 long<DS13 long+DS12 long
    (数式II)
    2.5≧DS13 long+DS12 long+DS16 long>0.01
    ここで、DS16 long、DS13 longおよびDS12 longはそれぞれ、6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。なお、ここで言う最も長波に吸収をもつ置換基とは−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmにおける吸収極大波長が最も長波にあり、かつ、そのモル吸光係数が2000〜1000000である置換基を表す。]
  2. 3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基が芳香族基を含む基であることを特徴とする請求項1記載のセルロースフィルム。
  3. 3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基の置換度が下記関係式(数式III)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースフィルム。
    (数式III)
    DS16 long2≧DS13 long2+DS12 long2
    ここで、DS16 long2、DS13 long2およびDS12 long2はそれぞれ6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。
  4. 3n1個の置換基のなかで2番目に長波に吸収をもつ置換基が芳香族基を含む基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
  5. −X16−、−X13−および−X12−が*1−OOC−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
  6. 16、R13およびR12で表される3n個の基のうち少なくとも1個は脂肪族のみからなる基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
  7. −X16−R16、−X13−R13および−X12−R12で表される3n個の置換基のうち少なくとも1個は−OOC−CH3であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースフィルムを、少なくとも1方向に0.1%〜500%延伸したことを特徴とするセルロースフィルム。
  9. 550nmにおける面内レターデーションの絶対値(Re(550))と、特定波長における面内レターデーションの絶対値(Re(λ))との比について下記数式(IV)および(V)を満足することを特徴とする請求項8に記載のセルロースフィルム。
    数式(IV)
    0.5<Re(450nm)/Re(550nm)<1.0
    数式(V)
    1.05<Re(630nm)/Re(550nm)<1.5
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
  11. 偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは請求項10に記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは請求項10記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースフィルムまたは請求項10記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースフィルム、請求項10記載の位相差フィルム、請求項11に記載の偏光板、請求項12に記載の光学補償フィルムおよび請求項13に記載の反射防止フィルムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする画像表示装置。
  15. 下記一般式(I)で表わされるセルロース化合物。
    Figure 2008095026
    [式中、R16、R13およびR12はそれぞれ独立に水素原子、又は脂肪族基もしくは芳香族基を含む基を表す。−X16−、−X13−および−X12−はそれぞれ独立に、*1−O−、*1−OOC−および*1−OOCNH−(*1はセルロース骨格の六員環側の結合を表す。)を表す。n1は平均重合度を表し、10〜1500の整数である。なお、セルロース化合物中にn1個ずつ存在するR16、R13、R12、−X16−、−X13−および−X12−は構成単位ごとに同じでもそれぞれ異なっていても良い。さらに下記関係式(数式I)及び(数式II)を満たす。
    (数式I)
    DS16 long<DS13 long+DS12 long
    (数式II)
    2.5≧DS13 long+DS12 long+DS16 long>0.01
    ここで、DS16 long、DS13 longおよびDS12 longはそれぞれ、6位、3位および2位に−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12として置換されている3n1個の置換基のなかで最も長波に吸収をもつ置換基の、6位、3位および2位における置換度を表す。なお、ここで言う最も長波に吸収をもつ置換基とは−X16−R16、−X13−R13および−X12−R12をCH3−X16−R16、CH3−X13−R13およびCH3−X12−R12とした場合の溶液中での270〜450nmにおける吸収極大波長が最も長波にあり、かつ、そのモル吸光係数が2000〜1000000である置換基を表す。]
  16. 前記一般式(I)においてR16、R13およびR12で示される3n1個の基のうち少なくとも1個が水素原子であることを特徴とする請求項15記載のセルロース化合物。
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