JP4610355B2 - セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、偏光板、偏光板用の保護フィルム、位相差フィルムならびに液晶表示装置 - Google Patents
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Description
[2] 前記有機溶剤が、炭素数3〜6のアルコールを全有機溶剤量の3.0質量%〜40.0質量%含有することを特徴とする[1]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[3] 有機溶剤にセルロースアシレートが溶解した溶液を用いて支持体上に膜状物を形成し、該膜状物中の有機溶剤を揮発させてウェブを形成し、該ウェブを支持体から剥離する工程を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法において、前記セルロースアシレートにおけるセルロースの水酸基に対する炭素数3〜6のアシル基の置換度が1.0〜3.0であり、かつ、前記有機溶剤が炭素数3〜6のアルコールを全有機溶剤量の3.0質量%〜40.0質量%含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[4] 前記有機溶剤が炭素数3〜6のアルコールを全有機溶剤量の3.0質量%〜20.0質量%含有することを特徴とする[3]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[5] 前記有機溶剤が塩素系有機溶媒を含有することを特徴とする[3]または[4]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[6] 前記支持体から剥離するときのウェブに残存する炭素数3〜6のアルコールが、全残存溶媒量に対して20.0質量%〜70.0質量%であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[7] 前記膜状物から有機溶剤を揮発させるときに、前記膜状物の支持体に接する側とは反対側に風速20〜40m/秒で気体を送風することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の製造方法で製造したセルロースアシレートフィルム。
[9] 面内のレターデーション(Re)〔nm〕と厚み方向のレターデーション(Rth)〔nm〕とが、下記式(1)〜式(3)の全てを満足することを特徴とする[8]に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(1) Re≦Rth
式(2) 0≦Re≦200
式(3) 100≦Rth≦500
[10] [8]または[9]に記載のセルロースアシレートフィルムからなる偏光板用の保護フィルム。
[11] [8]または[9]に記載のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板。
[12] [8]または[9]に記載のセルロースアシレートフィルムからなる位相差フィルム。
[13] [11]に記載の偏光板および/または[12]に記載の位相差フィルムを用いた液晶表示装置。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法は、有機溶剤にセルロースアシレートが溶解した溶液を用いて支持体上に膜状物を形成し、該膜状物中の有機溶剤を揮発させてウェブを形成し、該ウェブを支持体から剥離する工程を含む。そこでまず、本発明の製造方法に用いるセルロースアシレートとその溶液から説明する。
(セルロースアシレート)
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をエステル化した重合体(ポリマー)である。水酸基のエステル化の割合を示すために、本願では置換度を用いる。置換度は、2位、3位および6位の水酸基がエステル化している割合を合計したものであり、100%エステル化しているときは置換度は3となる。
2.5≦A+B≦3.0
1.25≦B≦3
より好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合
2.6≦A+B≦2.95
2.0≦B≦2.95
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合
2.6≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.5
さらに好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合
2.7≦A+B≦2.95
2.4≦B≦2.9
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合
2.7≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.0
本発明者らは、置換度Bを大きくすることにより、結晶化度を大きくすることが可能となることを見出した。さらにそのセルロースアシレートを光学フィルムとして用いると、外部刺激で複屈折特性が部分的に変化しにくく、大画面にても安定した補償効果を示すことが確認された。このため、光学フィルムとして用いる場合は、特に置換度Bを従来品よりも大きくすることが好ましい。
このような重合度の調整は、低分子量成分を除去することによって行うこともできる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施することができる。さらに重合方法でも分子量を調整することができる。例えば、低分子成分の少ないセルロースシレテートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、特に好ましくは3.0〜5.0である。
これらのセルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、セルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものを用いてもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。
さらに本発明では、可塑剤を添加することも好ましい。可塑剤を添加すれば、湿度変動によるRe,Rth変化を軽減するのに効果がある。可塑剤としては、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、リン酸エステルやカルボン酸エステル等が挙げられる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
カルボン酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル類、およびクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類が挙げられる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独あるいは併用するのも好ましい。
これらの可塑剤はセルロースアシレートフィルムに対し0質量%〜15質量%で用いることが好ましく、より好ましくは0質量%〜10質量%、さらに好ましくは0質量%〜8質量%である。これらの可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
次に、セルロースアシレートを溶液流延するために、セルロースアシレートを溶解する溶剤について説明する。
セルロースアシレートの溶解に用いる溶剤としては、下記の塩素系溶剤、非塩素系溶剤のいずれも用いることができる。これらの溶剤の中から種々の溶剤を組み合わせることで、製造されるフィルムの密度をコントロールすることができる。特に炭素数が3〜6であり且つ沸点が80℃以上のアルコールを少なくとも1種類使用することで、ウェブの弾性率を高くすることができる。このようなアルコールとしては、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。炭素数3〜6のアルコールは、全有機溶剤量の3.0質量%〜40.0質量%で使用することが好ましく、3.0質量%〜30.0質量%で使用することがより好ましく、3.0質量%〜25.0質量%で使用することがさらに好ましく、3.0質量%〜20.0質量%で使用することが特に好ましい。
塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは少なくとも50質量%使用することが必要である。
塩素系有機溶媒に併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例としては、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶剤の好ましい組成として、以下の具体例を挙げることができるが、本発明で用いることができる塩素系溶剤の組成はこれらに限定されるものではない(下記の括弧内の数字は質量部を示す)。
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/5/5/10)
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(80/10/5/5)
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/5/5/10)
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/5/5/5/10)
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/5/5/10)
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/5/15)
非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例としては、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/5/5/10)
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/5/5/5/10)
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/5/5/10)
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/10/5)
なお、種々の添加剤は、膨潤工程前、膨潤工程中、膨潤工程後のいずれの段階で添加してもよく、さらには、この後の冷却溶解中あるいは冷却溶解後で添加しても構わない。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、赤外吸収剤、界面活性剤などを挙げることができる。可塑剤は例えば特開2000−352620号公報に記載のものを使用することができ、セルロースアシレートに対して好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%含有させる。赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されるものを使用することができる。紫外線吸収剤としては、例えば特開2001−151901号公報に記載されるものを使用することができる。それぞれセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有させることが好ましい。微粒子は、平均粒子サイズが5〜3000nmのものを使用することが好ましく、金属酸化物や架橋ポリマーからなるものを使用することができ、セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有させることが好ましい。劣化防止剤はセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有させることが好ましい。光学異方性コントロール剤としては、例えば特開2003−66230号公報、特開2002−49128号公報に記載されるものを使用することができ、セルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有させることが好ましい。
得られたセルロースアシレート溶液は、濃縮してろ過することが好ましい。濃縮とろ過については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁に詳細に記載されている方法を採用することができる。
以下において、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法を詳しく説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法は、有機溶剤にセルロースアシレートが溶解した溶液を用いて支持体上に膜状物を形成し、該膜状物中の有機溶剤を揮発させてウェブを形成し、該ウェブを支持体から剥離する工程を少なくとも含む。
ウェブ形成工程は、−50℃〜80℃に保温した支持体上にセルロースアシレート溶液を流延し、前記セルロースアシレート溶液中の溶媒を蒸発させてセルロースアシレートウェブを形成する工程である。
具体的には、まず、溶解機(釜)から調製されたセルロースアシレート溶液(以下、「ドープ」という場合がある。)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、濾過、および、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。上記ドープを、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の−50℃〜80℃に保温された金属支持体上に均一に流延する。このとき、単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時およびまたは逐次共流延してもよい。2層以上からなる流延工程を有する場合は、各層のドープのセルロースアシレート、溶剤、添加剤の種類、濃度は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記流延部における金属支持体(金属支持体のウェブ形成面の温度)の温度は−50〜80℃が好ましく、−30〜25℃がより好ましく、−20〜15℃が最も好ましい。上記支持体の温度が−50℃未満であると、溶剤の蒸発が遅れ、剥離点での剥離の際に支持体上にセルロースアシレートの剥げ残りが発生してしまい好ましくない。80℃を超えると、溶剤の急速な蒸発による発泡にて面状が悪化してしまう。上記流延部における金属支持体の温度を上記温度に保つためには、上述のように流延部に冷却した気体を導入して達成することができ、或いは、冷却装置を流延部に配置して流得部(空間)を冷却してもよい。この時、水が付着しないように注意することが重要であり、乾燥した気体を利用するなどの方法で実施することが好ましい。
本発明における剥離工程とは、支持体上に形成されるフィルム状のセルロースアシレートウェブを該支持体から剥離する工程である。
剥離工程では、流延部においてエンドレスに走行している金属支持体がほぼ一周した点を剥離点とすることができ、生乾きのセルロースアシレートウェブを金属支持体から剥離する。
本発明において、金属支持体上から生乾きのセルロースアシレートウェブを剥ぎ取る際のウェブ中の残留溶剤量は、10質量%〜250質量%であり、15質量%〜230質量%がより好ましく、20質量%〜220質量%が最も好ましい。ここでいう残留溶剤量は下記式により得られる値である。
残存溶剤量=(M−N)×100/N
(Mは剥離時点でのセルロースアシレートウェブの質量であり、Nは該セルロースアシレートウェブを120℃で3時間乾燥させた後の質量を意味する。)
同様に、前記セルロースアシレートウェブを剥離する際、前記セルロースアシレートウェブの残存溶媒中における炭素数3〜6のアルコールの含有量が、全残存溶媒量に対して20.0質量%〜70.0質量%であることが好ましく、30.0質量%〜70.0質量%であることがさらに好ましく、40.0質量%〜70.0質量%であることが最も好ましい。アルコールの含有量が多すぎると剥ぎ取るウェブが白化するなど光学フィルムとして好ましくない現象が発生しやすくなり、少なすぎるとウェブが剥離時に伸びたり、切れたりする現象が発生しやすくなる傾向がある。
同様に、前記セルロースアシレートウェブを剥離する際、前記セルロースアシレートウェブの残存溶媒量がセルロースアシレートの質量に対して100質量%のときのウェブの弾性率は6MPa〜12MPaとし、7MPa〜12MPaであることが好ましく、8MPa〜12MPaであることがさらに好ましい。この弾性率が低すぎると剥離時に伸びたり切れたりする現象が発生しやすくなり、残留溶剤量が多すぎると剥離できずに生産性が悪化しやすくなる。
本発明においては、支持体から剥離して得られるフィルム状のセルロースアシレートウェブを乾燥する乾燥工程を設けるのが好ましい。乾燥工程においては、例えば、剥離して得られるセルロースアシレートウェブの両端をクリップで挟み、幅を保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取ることができる。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
本発明のようなセルロースアシレートフィルムからなる位相差板は、液晶表示装置内で偏光膜と貼り合わせて使用されることが多い。偏光膜はポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素を含浸し1軸延伸したものが多い。PVAは親水性のため湿度変化に伴い伸張、収縮を繰り返す。このため、一緒に貼り合わせられたセルロースアシレートフィルムは収縮、伸張応力を受け、この結果セルロースアシレート分子の配向に変化が生じ、ReおよびRthが変化する。このような応力に伴うReおよびRthの変化は光弾性として測定でき、この光弾性は5×10-7(cm2/kgf)〜30×10-7(cm2/kgf)が好ましく、より好ましくは6×10-7(cm2/kgf)〜25×10-7(cm2/kgf)が好ましく、さらに好ましくは7×10-7(cm2/kgf)〜20×10-7(cm2/kgf)である。
このような徐昇温乾燥は、昇温ゾーンをいくつかに分割し不連続に昇温してもよく、一つの乾燥ゾーン中の入口と出口との吹き込み風の温度を変え、乾燥ゾーン内に温度勾配を作製し、連続的に昇温してもよい。より好ましくは後者であり、これにより、より効率的に結晶化をさせることができる。
このような徐昇温中は延伸を行わないほうが好ましい。これは、セルロースアシレートは延伸中に体積が増大するため、同時に自由体積も増大し、徐昇温の効果を相殺するためである。
湿度によるReおよびRthの低下の原因と予想される吸湿によるセルロースアシレート分子の側鎖の回転を抑制する方法としては、セルロースアシレート分子間の隙間(自由体積)を小さくする方法が有効である。これには、乾燥完了後または延伸後の冷却速度を遅くするのが好ましく、乾燥ゾーンおよび延伸ゾーン出口温度から50℃までの間の冷却速度は、2℃/分〜60℃/分が好ましく、より好ましくは3℃/分〜40℃/分であり、さらに好ましくは4℃/分〜30℃/分である。通常は100℃/分以上で冷却されるため、上記条件は、かなりゆっくり冷却することになる。
このようなTg以上の温度からTg以下の温度への冷却は乾燥、延伸後に生じやすく、この際には上記のように徐冷することが特に好ましい。 該徐冷はどんな方式で実施してもよいが、例えば熱処理ゾーン出口をいくつかに分割し室温まで段階的に冷却することでも達成できる。また、熱処理ゾーン出口に温調風を吹き付けたり、熱源(例えば赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等)を設けたりすることによっても実施できる。
本発明の製造方法においては、上述の方法で乾燥させた後、両端をトリミングし、型押し加工(ナーリング付与)して、それを巻き取る巻き取り工程を実施することができる。このようにして乾燥の終了したセルロースアシレートフィルム中の残留溶剤は0%〜5%であることが好ましく、より好ましくは0%〜2%、さらに好ましくは0%〜1%である。乾燥終了後、両端をトリミングして巻き取る。好ましい幅は0.5m〜5mであり、0.7m〜3mがより好ましく、1m〜2mがさらに好ましい。好ましい巻長は300m〜30000mであり、より好ましくは500m〜10000mであり、さらに好ましくは1000m〜7000mである。
本発明の製造方法においては、ReおよびRthを発現させるために、セルロースアシレートフィルムを延伸する延伸工程を実施することが好ましい。延伸は、製膜中未乾燥の状態(例えば、流延後支持体から剥ぎ取った後から乾燥完了までの間)で実施してもよく、乾燥終了後に実施してもよい。これらの延伸は製膜工程中、オン−ラインで実施してもよく、製膜完了後、一度巻き取った後オフ−ラインで実施してもよい。
上記延伸はTg〜(Tg+50℃)で実施するのが好ましく、より好ましくは(Tg+1℃)〜(Tg+30℃)、さらに好ましくは(Tg+2℃)〜(Tg+20℃)である。好ましい延伸倍率は1%〜500%であり、より好ましくは3%〜400%であり、さらに好ましくは5%〜300%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。ここでいう「延伸倍率」とは、下記の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
このような延伸速度は10%/分〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20%/分〜1000%/分、特に好ましくは30%/分〜800%/分である。
また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°若しくは−90°に近いほど好ましい。即ち、縦延伸の場合は0°に近いほど好ましく、0±3°が好ましく、より好ましくは0±2°であり、さらに好ましくは0±1°である。横延伸の場合は、90±3°或いは−90±3°が好ましく、より好ましくは90±2°或いは−90±2°であり、さらに好ましくは90±1°或いは−90±1°である。
延伸前、後のセルロースアシレートフィルムのRe、Rthは下式を満足することが好ましく
Re≦Rth
0≦Re≦200
100≦Rth≦500
より好ましくは
Re×1.1≦Rth
10≦Re≦150
100≦Rth≦400
さらに好ましくは
Re×1.2≦Rth
20≦Re≦100
100≦Rth≦350
である。
未延伸、延伸後のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層との接着性の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
塗布方法の場合、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を用いることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。これらの鹸化方法は、具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
機能層との接着のため下塗り層を設けることも好ましい。この層は上記表面処理をした後、塗設しても良く、表面処理なしで塗設しても良い。下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載されている。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板の形成)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
(偏光膜の素材)
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)58頁に記載の化合物が挙げられる。
バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
架橋反応が終了後でも、未反応の架橋剤は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、耐候性が向上する。
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸により実施することができる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸により実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸はMD方向に平行に行っても良く(平行延伸)、斜め方向におこなっても良い(斜め延伸)。これらの延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
より好ましいのが斜め方向に10°から80°の傾きを付けて延伸する斜め延伸である。
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は通常1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、通常15〜50℃、好ましくは17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくして行うことができる。前記作用効果の点より好ましい延伸倍率(延伸後/初期状態の長さ比:以下同じ)は1.2〜3.5倍、より好ましくは1.5〜3.0倍である。この後、50℃〜90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
斜め延伸法には、特開2002−86554号公報に記載されているように、斜め方向に傾斜め方向に張り出したテンターを用いて延伸することにより実施することができる。この延伸は空気中で行うため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%〜100%、より好ましくは10%〜100%である。
延伸時の温度は40℃〜90℃が好ましく、より好ましくは50℃〜80℃である。相対湿度は50%〜100%が好ましく、より好ましくは70%〜100%、さらに好ましくは80%〜100%である。長手方向の進行速度は、1m/分以上が好ましく、より好ましくは3m/分以上である。
延伸の終了後、好ましくは50℃〜100℃、より好ましくは60℃〜90℃で、好ましくは0.5分〜10分、より好ましくは1分〜5分乾燥する。
このようにして得られた偏光膜の吸収軸は10°〜80°が好ましく、より好ましくは30°〜60°であり、さらに好ましくは実質的に45度(40°〜50°)である。
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45度になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
このようにして得た偏光板の光線透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
さらに、このようにして得た偏光板はλ/4板と積層し、円偏光を作成することができる。この場合λ/4板の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。この時、λ/4板は特に限定されないが、より好ましくは低波長ほどレターデーションが小さくなるような波長依存性を有するものがより好ましい。さらには長手方向に対し20度〜70度傾いた吸収軸を有する偏光膜、および液晶性化合物からなる光学異方性層から成るλ/4板を用いることが好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ基、ジアルコキシ基、モノアルコキシ基)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、液晶表示装置を製造する際に行う液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報の段落番号[0064]〜[0086]に記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載されている。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマーおよびポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基を有する液晶化合物に対して共重合性を示すものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2,367,661号、同2,367,670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2,448,828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2,722,512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3,046,127号、同2,951,758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3,549,367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4,239,850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4,212,970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 〜50J/cm2 の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2 の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2 の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
偏光膜と光学補償層の傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板や光学補償フィルムを用いて各液晶モードの液晶表示装置を製造することができる。
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4,583,825号、同5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号、特開2004−12731号、特開2004−215620号、特開2002−221726号、特開2002−55341号、特開2003−195333号公報に記載のものなどを使用できる。
ECBモードおよびSTNモードに対しても、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
反射防止フィルムは、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明支持体上に設けてなる。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜の形成方法として、化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止フィルムとして、無機粒子をマトリックスに分散した分散物を塗布することにより薄膜を積層した反射防止フィルムも各種提案されている。
塗布による反射防止フィルムとして、表面に微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した層を最上層に形成した反射防止フィルムも挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは上記いずれの方式で製造する反射防止フィルムにも適用できるが、塗布による方式(塗布型)で製造する反射防止フィルムに適用することが特に好ましい。
透明支持体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)を順に形成した層構成からなる反射防止フィルムは、屈折率が以下の関係を満足する。ように設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間には、ハードコート層を設けてもよい。また、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなるものであってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載されるものが挙げられる。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等に記載されるもの)等が挙げられる。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
反射防止フィルムの高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上の無機化合物が挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするためには、粒子表面を表面処理剤で処理する技術(例えば、特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報に記載されるシランカップリング剤で処理する技術や、特開2001−310432号公報等に記載されるアニオン性化合物または有機金属カップリング剤で処理する技術)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とする技術(特開2001−166104等に記載される技術)、特定の分散剤を併用する技術(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1号明細書、特開2002−2776069号公報等に記載される技術)等挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載される硬化性膜を挙げることができる。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる層である。低屈折率層の屈折率は通常1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性や防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させるためには、表面に滑り性を付与することが有効であり、具体的には従来公知のシリコーン化合物やフッ素化合物を導入した薄膜層の形成法を適用することができる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲内で含む架橋性または重合性の官能基を含む化合物であることが好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報の段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素および/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層形成用の塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応させて硬化したゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ(パーフルオロアルキルエーテル)基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成してもよい。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設けることができる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基を有する有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物であることが好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したものと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等に記載されるものが挙げられる。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等に記載される技術を用いることができる。
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
反射防止フィルム表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層またはハードコート層)に比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
以下に本発明で使用した測定法について記載する。
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C NMRにより求めた。
絶乾したセルロースアシレート約0.2gを精秤し、メチレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合溶剤100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を下記式により求めた。
ηrel=T/T0
[η]=(lnηrel)/C
DP=[η]/Km
T:測定試料の落下秒数
T0:溶剤単独の落下秒数
ln:自然対数
C:濃度(g/l)
Km:6×10-4
DSCの測定パンにセルロースアシレートフィルムを20mg入れた。これを窒素気流中で、10℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、30℃まで−10℃/分で冷却した。この後、再度30℃から250℃まで昇温してベースラインが低温側から偏奇し始める温度をTgとした。
セルロースアシレート溶液(ドープ)を流延した後、所定の時間乾燥し、支持体から剥ぎ取った後、直ちに下記条件で引張測定を行い、弾性率を求めた
チャック間:180mm
サンプル幅:35mm
引張速度 :83mm/秒
弾性率は、力を断面積で割って求めた。サンプルの厚み、幅は剥ぎ取り直後に測定して求めた。
フィルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃・相対湿度60%において、フィルム表面に対し垂直方向および遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差を測定し、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)とを算出させた。特に断らない場合ReおよびRthは、この値をさす。
(5)の試料を、25℃・相対湿度10%で(5)と同様に測定しRe(10%RH)、Rth(10%RH)を求めた。さらにこれらの試料を25℃・相対湿度80%で同様に測定し、Re(80%RH)、Rth(80%RH)を求めた。各試料について、下記式に従い湿度Re変動、湿度Rth変動を求めて湿度依存性を評価した。
・湿度Re変動(%/相対湿度%)=[100×{Re(80%RH)とRe(10%RH)の差の絶対値}/Re(60%RH)]/70
・湿度Rth変動(%/相対湿度%)=[100×{Rth(80%RH)とRth(10%RH)の差の絶対値}/Rth(60%RH)]/70
剥ぎ段ムラの有無は、剥ぎ取りフィルムの片面を、例えば黒インク等にてムラ無く均等に塗りつぶし、塗布した面とは反対側の面から透過光の反射像を、角度を変えて目視にて観察し、直線状のスジやムラが観察されるか否かで判断した。
(ア)1cm幅×10cm長のサンプルを、サンプルの長手方向がMD方向とTD方向になるように2種類切り出した。
(イ)これをエリプソ測定装置(日本分光製 M−150)にセットし、長手方向(10cm長)に沿って100g、200g、300g、400g、500gの荷重を掛けながら、順次25℃・相対湿度60%において632.8nmの光でReを測定した。
(ウ)横軸に応力(荷重をフィルム断面積で割った値(kgf/cm2))、縦軸にRe変化(nm)をプロットし、この傾きから光弾性(cm2/kgf)を求めた。
(エ)2種類のサンプルの測定値を平均して光弾性(cm2/kgf)とした。
[実施例1]
(1)セルロースアシレートの調製
セルロース(広葉樹パルプ)100質量部、酢酸135質量部を、還流装置を付けた反応容器に入れ、内温40℃で2時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、微細粉末−羽毛状を呈した。
別途、アシル化剤として酪酸無水物1080質量部、硫酸10質量部の混合物を作製し、−20℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に加えた。30分経過後、内温を20℃まで上昇させ、5時間反応させた。その後、内温を5℃まで冷却し、約5℃に冷却した12.5質量%含水酢酸2400質量部を1時間かけて添加した。内温を30℃に上昇させ、1時間攪拌した。硫酸触媒の2倍モル相当の酢酸マグネシウム4水和物に等質量の水と、等質量の酢酸を加えて溶解した混合溶液を作成し、反応容器に添加して、30分間攪拌した。酢酸1000質量部、50質量%含水酢酸2500質量部を徐々に加え、セルロースアセテートブチレートを沈殿させた。得られたセルロースアセテートブチレートの沈殿は温水にて十分に洗浄を行った。洗浄後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、70℃で乾燥させた。得られたセルロースアセテートブチレートはアセチル化度0.84、ブチリル化度2.12、重合度268であった。
(i)溶剤の調製
ジクロロメタン(81.6質量%)、メタノール(14.8質量%)、n−ブタノール(3.6質量%)からなる溶剤を調製した。
(ii)セルロースアシレートの乾燥
(1)で製造したセルロースアシレートを乾燥し含水率を0.5%以下とした。
(iii)添加剤の添加
下記組成の添加剤を(i)で得られた溶剤に添加した。なお、下記添加量(質量%)は全てセルロースアシレートの絶乾燥質量に対する割合である。
〔添加剤組成〕
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 3質量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 1質量%
光学異方性コントロール剤(特開2003−66230号公報に
記載の(化1)の板状化合物 3質量%
UV剤a(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−
トリアジン) 0.5質量%
UV剤b(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール) 0.2質量%
UV剤c(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ア
ミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール) 0.1質量%
微粒子(二酸化ケイ素、粒子サイズ20nm、モース硬度約7) 0.25質量%
クエン酸エチルエステル
(モノエステル:ジエステル(=1:1混合)) 0.2質量%
(iii)で得られた添加剤を含んだ溶液中に、(ii)のセルロースアシレートを撹拌しながら添加した。撹拌停止後、25℃で3時間膨潤させてスラリーを作製した。該スラリーを再度撹拌し、セルロースアシレートを完全に溶解した。
この後、前記スラリーを絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過し、セルロースアシレート溶液を得た。セルロースアシレート溶液の濃度は25質量%(全固形分×100/(全固形分量+溶剤量)であった。
上述のセルロースアシレート溶液を35℃に加温し、下記のバンド方法で鏡面ステンレス支持体上に流延した。該バンド方法においては、セルロースアシレート溶液をギーサーに通して、15℃に保温したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。使用したギーサーは、特開平11−314233号公報に記載の形態に類似するものを用いた。また、流延部の空間温度を40℃とし、さらに熱供給のための空気を風速30m/秒で流延して形成したウェブに送風した。残留溶剤が100質量%となった時点でセルロースアシレートフィルムを鏡面ステンレス支持体から荷重20g/cmで剥ぎ取り、剥ぎ取ったセルロースアシレートフィルムを速やかにジオキソランの入った秤量瓶にいれ、セルロースアシレートを十分に溶解した後、かかるセルロースアシレート溶液中の溶媒量をガスクロマトグラフィー(GC−18A:島津製作所(株)製)にて定量し、剥ぎ取ったフィルムに残存する溶媒の組成を求め、全溶媒量に対する炭素数3〜6のアルコールの組成を算出した。結果を工程適性と共に表1に示す。
上述のセルロースアシレート溶液を35℃に加温し、下記のバンド方法で鏡面ステンレス支持体上に流延した。該バンド方法においては、セルロースアシレート溶液をギーサーに通して、15℃に保温したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。使用したギーサーは、特開平11−314233号公報に記載の形態に類似するものを用いた。また、流延部の空間温度を40℃とし、さらに熱供給のための空気を30m/秒の風速で送風した。残留溶剤が100質量%となった時点でセルロースアシレートフィルムを鏡面ステンレス支持体から荷重20g/cmで剥ぎ取り、40℃〜120℃の間を昇温速度が30℃/分となるように昇温(除昇温)した。その後、120℃で5分、さらに145℃で20分乾燥した後、30℃/分で徐冷し、セルローストリアシレートフィルムを得た。得られたフィルムは両端を3cmトリミングした後、両端から2〜10mmの部分に高さ100μmのナーリングを付与し、3000mロール状に巻き取った。
実施例1において、セルロースアシレート溶液の溶媒組成をジクロロメタン(80.5質量%)、メタノール(14.7質量%)、n−ブタノール(4.8質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1において、セルロースアシレート溶液の溶媒組成をジクロロメタン(78.5質量%)、メタノール(14.3質量%)、n−プロパノール(7.2質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1において、セルロースアシレート溶液の溶媒組成をジクロロメタン(78.5質量%)、メタノール(13.9質量%)、イソプロパノール(9.6質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1において、セルロースアシレート溶液の溶媒組成を酢酸メチル(82,0質量%)、アセトン(10,0質量%)、メタノール(4,0質量%)、n−ブタノール(4,0質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1において、熱供給のための空気の風速を5m/秒にした以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1の「1.(2)(i)溶剤の調製」において、溶媒組成をジクロロメタン(67.0質量%)、エタノール(33.0質量%)になるように調製しした以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1の「1.(2)(i)溶剤の調製」において、溶媒組成をジクロロメタン(84.6質量%)、メタノール(15.0質量%)、n−ブタノール(0.4質量%)になるよう調製した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
実施例1において、セルロースアシレート溶液の溶媒組成を酢酸メチル(81.0質量%)、アセトン(8.0質量%)、メタノール(10.6質量%)、n−ブタノール(0.4質量%)に変更した以外は実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
2−1)延伸フィルムの作製
上述の各実施例の未延伸フィルムを延伸し、それぞれのセルロースアシレートフィルムのTgより10℃高い温度で、100%/秒でMD方向に延伸し、20%/秒でTD方向に延伸をした。延伸方法は縦延伸の後に横延伸を行う逐次延伸と、縦横同時に延伸する同時2軸延伸で実施した。かかる延伸方法で作製したセルロースアシレートフィルムのReおよびRthおよびこれらの湿度依存性、光弾性係数を測定した。実施例1〜6のセルロースアシレートフィルムはいずれも下記の範囲を満足する良好な結果を得た。
0nm≦Re≦200nm
100nm≦Rth≦500nm
0%/相対湿度%≦ΔRe≦90%/相対湿度%
0%/相対湿度%≦ΔRth≦90%/相対湿度%
5×10-7cm2/kgf≦光弾性係数≦30×10-7cm2/kgf
(1)セルロースアシレートフィルムの鹸化
上述の実施例1〜6および比較例1〜3において製造した未延伸の各セルロースアシレートフィルムと延伸した各セルロースアシレートフィルムに対して、下記の方法で鹸化を行った。
NaOHの1.5mol/L水溶液を鹸化液として用いた。鹸化液を60℃に調温し、セルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。この後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光膜を作製した。
このようにして得た偏光膜と、上記鹸化処理した未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムのうちから2枚を選び、これらで上記偏光膜を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とセルロースアシレートフィルムとの長手方向が90°となるように張り合わせた。このうち未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムを特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置液晶表示装置に25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。実施例1〜13を使用したものは、色調変化が小さく、表示むらの少ない良好な性能が得られた。
また、特開2002−86554号公報の実施例1に従い、テンターを用い延伸軸が斜め45°となるように延伸した偏光板を、同様に実施例1〜6のセルロースアシレートフィルムを用いて作製したところ、上記同様良好な結果が得られた。
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、上述の鹸化済みの延伸セルロースアシレートフィルムを使用し、これを、特開2002−62431号公報の実施例9に記載のベンド配向液晶セルに25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。実施例1〜6のセルロースアシレートフィルムを使用したものはコントラストの変化の小さい良好な表示性能を示した。
また、実施例1〜6のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板と位相差偏光板を使用して、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731号公報の図11に記載のIPS型液晶表示装置を製造したところ、いずれも良好な性能を示した。
発明協会公開技報(公技番号2001−1745、発明協会)の実施例47に従い、上述の延伸セルロースアシレートフィルムを用いて低反射フィルムを作製したところ、実施例1〜6のセルロースアシレートフィルムを使用したものは、良好な光学性能を示した。
さらに上記低反射フィルムを、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、良好な性能を示した。
Claims (12)
- 有機溶剤にセルロースアシレートが溶解した溶液を用いて支持体上に膜状物を形成し、該膜状物中の有機溶剤を揮発させてウェブを形成し、該ウェブを支持体から剥離する工程を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法において、
前記セルロースアシレートにおけるセルロースの水酸基に対する炭素数3〜6のアシル基の置換度が1.0〜3.0であり、
前記有機溶剤が炭素数3〜6のアルコールを全有機溶剤量の3.0質量%〜40.0質量%含有し、かつ、
前記支持体から剥離するときのウェブに残存する炭素数3〜6のアルコールが、全残存溶媒量に対して20.0質量%〜70.0質量%であることを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。 - 前記有機溶剤が炭素数3〜6のアルコールを全有機溶剤量の3.0質量%〜20.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 前記有機溶剤が塩素系有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 前記膜状物から有機溶剤を揮発させるときに、前記膜状物の支持体に接する側とは反対側に風速20〜40m/秒で気体を送風することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 前記ウェブを支持体から剥離した後に、40℃から120℃の間の昇温速度を4〜60℃/分で昇温して乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 前記乾燥後に2〜60℃/分の冷却速度で50℃まで冷却することを特徴とする請求項5に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で製造したセルロースアシレートフィルム。
- 面内のレターデーション(Re)〔nm〕と厚み方向のレターデーション(Rth)〔nm〕とが、下記式(1)〜式(3)の全てを満足することを特徴とする請求項7に記載のセルロースアシレートフィルム。
式(1)Re≦Rth
式(2)0≦Re≦200
式(3)100≦Rth≦500 - 請求項7または8に記載のセルロースアシレートフィルムからなる偏光板用の保護フィルム。
- 請求項7または8に記載のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板。
- 請求項7または8に記載のセルロースアシレートフィルムからなる位相差フィルム。
- 請求項10に記載の偏光板および/または請求項11に記載の位相差フィルムを用いた液晶表示装置。
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