JP2001315147A - セルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルムの製造方法

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JP2001315147A JP2000137092A JP2000137092A JP2001315147A JP 2001315147 A JP2001315147 A JP 2001315147A JP 2000137092 A JP2000137092 A JP 2000137092A JP 2000137092 A JP2000137092 A JP 2000137092A JP 2001315147 A JP2001315147 A JP 2001315147A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速生産により比較的残留溶媒量が多くなっ
ても、またフィルムが薄手になってもカールの小さな製
品フィルムを得ることが出来る。 【解決手段】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入口
までの間にロール搬送手段を有し、且つ該ロール搬送手
段が千鳥状に配列したロール群搬送手段を有する溶液流
延製膜装置によりセルロースエステルフィルムを製造す
る方法において、ウェブを、無限移行する無端の金属支
持体から剥離後、該千鳥状に配列したロール群搬送手段
にウェブの表面温度が50〜100℃となるように加熱
しつつ、通過時間を10〜70秒として搬送させること
を特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
感光材料あるいは液晶表示装置に有用なセルロースエス
テルフィルムの製造方法に関し、特に製造時のカールを
小さくするか、またはカールを矯正するセルロースエス
テルフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からの溶液流延製膜方法によるセル
ローストリアセテートフィルムの製造方法は図1に示し
たようなセルローストリアセテートフィルムの製造装置
により行われている。図1は溶液流延製膜セルロースエ
ステルフィルム製造装置の概略図である。セルロースト
リアセテートフィルムは、セルローストリアセテートフ
ィルム溶液(以下ドープとも呼ぶ)を鏡面処理された表
面を有する無限移行する無端の金属支持体(例えばベル
トあるいはドラム)3(以降、金属支持体または単に支
持体ということがある)上にダイ2から流延し、ドープ
膜1を(ウェブ1とも呼ぶ)剥離ロール4で剥離し、ロ
ール乾燥装置5に導入し、ロール群6によってウェブ1
を引き回し、その間にウェブ1は導入された乾燥ガス風
7によって乾燥されセルローストリアセテートフィルム
として巻取り機8で巻き取られ製造される。通常乾燥に
は、図1のようにウェブを多数の搬送ロールを千鳥状に
通し、乾燥風を当てるのが一般的であるが、米国特許第
2,319,053号明細書のように、赤外線などで乾
燥する方法もある。このウェブを直接ロールに掛けるの
ではなくエアを吹き出してその圧でウェブを浮上させる
ことにより掛架体と非接触状態で移動させる方式も開発
されている(例えば特開昭55−135046号公報な
ど)。一方、ポリエステル、ポリプロピレンなどのフィ
ルムの機械強度等を改善するために行われる延伸方法の
一つにフィルムの両側縁部をクリップ等で固定して2〜
6倍延伸するテンター方式がある。このテンター方式を
利用してフェノキシ樹脂等のフィルムから液晶表示パネ
ルの基板を製造する技術も開発されており(特開昭59
−211006号公報)、このフィルムにはセルロース
アセテートフィルムも使用出来ることがその中に示唆さ
れており、特開平4−284211号、特開昭62−1
15035号公報に示されているようなテンター乾燥装
置によりセルローストリアセテートフィルムの製造方法
が開示されている。
【0003】図2は、テンター乾燥装置を有する溶液流
延製膜セルロースエステルフィルム製造装置の概略図で
ある。剥離ロール4で剥離されたウェブ1はテンター乾
燥装置9に導入されウェブの両端をクリップで把持され
て幅を保持するかまたは幅延伸を若干行って乾燥され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セルロ
ースエステルフィルムの生産速度が益々速くなるに従
い、金属支持体からウェブを剥離する際のウェブに残留
する溶媒量(以降残留溶媒量という)が多くなり、ウェ
ブは柔らかくなるため、安定した搬送がし難くなる。ま
た金属支持体上の乾燥によりウェブの表裏の残留溶媒量
の違いがカールを起こす。ここで、表裏という語の使い
方は適切ではなく、流延部の金属支持体上でウェブを乾
燥している時の支持体にウェブの接している側と空気側
として表すのがよいが、言い回しが複雑のためベルト
面、略してB面及びエアー面略してA面というように以
降表すこととする。ウェブは金属支持体上での乾燥時
は、ウェブのA面側より金属支持体に接していたB面側
の方が有機溶媒の蒸発が行われ難く残留溶媒量が大きく
残り、剥離後のウェブのB面は解放され盛んに蒸発が行
われ急激に収縮が起こる。その結果剥離後B面側にカー
ルが起こる。このカールは剥離後時間が経たないうちに
矯正しないと、フィルムを形成した後も記憶されている
が如く同方向にカールし、カールが大きかったものは後
々大きなカールを示す。
【0005】また、剥離後いきなりテンター乾燥装置で
乾燥する方法は、ウェブの両端のカールが強く端部が丸
まるとテンター乾燥装置のクリッピングがしにくく、ウ
ェブに裂けが入るようなクリッピングの失敗があり、生
産性を極端に落としていた。
【0006】本発明の目的は、液晶画像表示装置やハロ
ゲン化銀写真感光材料に有用な、特に薄手の液晶画像表
示装置用のセルロースエステルフィルムを溶液流延製膜
法によりセルロースエステルフィルムの製造方法におい
て、高速生産により比較的残留溶媒量が多くなっても、
またフィルムが薄手になってもカールの小さな製品フィ
ルムを得ることが出来、また生産中の両端のカールによ
る折れや裂けの発生が起こり難く、生産性に優れたセル
ロースエステルフィルムの製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0008】(1) 溶液流延製膜装置によりセルロー
スエステルフィルムを製造する方法において、無限移行
する無端の金属支持体上のウェブを、ダイが設置されて
いる側の上部側の該金属支持体の表側からの加熱温度T
1(℃)とその裏側からの加熱温度T2(℃)との平均加
熱温度T(1,2)av(℃)と、下部側の該金属支持体の裏
側からの加熱温度T3(℃)とその表側からの加熱温度
4(℃)との平均加熱温度T(3,4)av(℃)との差を 55>{T(1,2)av−T(3,4)av}>5 として乾燥した後、剥離することを特徴とするセルロー
スエステルフィルムの製造方法。
【0009】(2) 剥離ロールからテンター乾燥装置
導入口までの間にロール搬送手段を有し、且つ該ロール
搬送手段の少なくとも一部が千鳥状に配列したロール群
搬送手段である溶液流延製膜装置によりセルロースエス
テルフィルムを製造する方法において、ウェブを、無限
移行する無端の金属支持体から剥離後、該千鳥状に配列
したロール群搬送手段にてウェブの表面温度が50〜1
00℃となるように加熱しつつ、通過時間を10〜70
秒として搬送することを特徴とするセルロースエステル
フィルムの製造方法。
【0010】(3) 剥離ロールからテンター乾燥装置
導入口までの間にロール搬送手段を有し、且つ該ロール
搬送手段の少なくとも一部が千鳥状に配列したロール群
搬送手段である溶液流延製膜装置によりセルロースエス
テルフィルムを製造する方法において、無限移行する無
端の金属支持体上のウェブを、ダイが設置されている側
の上部側の該金属支持体の表側からの加熱温度T
1(℃)とその裏側からの加熱温度T2(℃)との平均加
熱温度T(1,2)av(℃)と、下部側の該金属支持体の裏
側からの加熱温度T3(℃)とその表側からの加熱温度
4(℃)との平均加熱温度T(3,4)av(℃)との差を 55>{T(1,2)av−T(3,4)av}>5 として乾燥した後、ウェブを、該金属支持体から剥離
し、該千鳥状に配列したロール群搬送手段にてウェブの
表面温度が50〜100℃となるように加熱しつつ、通
過時間を10〜70秒として搬送することを特徴とする
セルロースエステルフィルムの製造方法。
【0011】(4) 前記ロール搬送手段のうちの最も
広いロール間隔を、最大でも剥離時のウェブ幅までとす
ることを特徴とする(2)または(3)に記載のセルロ
ースエステルフィルムの製造方法。
【0012】(5) 千鳥状に配列したロール群のロー
ル間隔を900mm以下とすることを特徴とする(2)
乃至(4)の何れか1項に記載のセルロースエステルフ
ィルムの製造方法。
【0013】(6) 剥離時のウェブの残留溶媒量を6
0〜120質量%とすることを特徴とする(2)乃至
(5)の何れか1項に記載のセルロースエステルフィル
ムの製造方法。
【0014】(7) 前記残留溶媒量を70〜120質
量%とすることを特徴とする(6)に記載のセルロース
エステルフィルムの製造方法。
【0015】(8) 剥離ロールからテンター乾燥装置
導入口までの間にロール搬送手段を有する溶液流延製膜
装置によりセルロースエステルフィルムを製造する方法
において、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口まで
の間ウェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過
させ、その間で、無限移行する無端の金属支持体上で乾
燥していた時のウェブの空気側の面にセルロースエステ
ルに対して溶解能または膨潤能を有する有機溶媒を付着
させることを特徴とするセルロースエステルフィルムの
製造方法。
【0016】(9) 剥離ロールからテンター乾燥装置
導入口までの間にロール搬送手段を有する溶液流延製膜
装置によりセルロースエステルフィルムを製造する方法
において、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口まで
の間ウェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過
させ、その間で、無限移行する無端の金属支持体上で乾
燥していた時のウェブの空気側の面をドラム及びアーチ
型ロールから選ばれる搬送手段に接触させながら搬送す
ることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造
方法。
【0017】(10) 剥離ロールからテンター乾燥装
置導入口までの間に、ロール間隔が900mm以下で、
且つ対をなすロールの組を連続して3組以上有する千鳥
状に配列したロール群搬送手段を有する溶液流延製膜装
置によりセルロースエステルフィルムを製造する方法に
おいて、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの
間ウェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過さ
せ、その間でウェブの両端の表面温度が50℃以上にな
るように加熱することを特徴とするセルロースエステル
フィルムの製造方法。
【0018】(11) ウェブの両端の表面温度が80
℃以上になるように加熱することを特徴とする(10)
に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0019】(12) ウェブの両端を加熱する手段が
近赤外線または遠赤外線の照射及び熱風を吹き付けから
選ばれるものにより行うことを特徴とする(10)また
は(11)に記載のセルロースエステルフィルムの製造
方法。
【0020】(13) ウェブの両端を加熱した後に同
部分を冷却ロールにより冷却することを特徴とする(1
0)乃至(12)の何れか1項に記載のセルロースエス
テルフィルムの製造方法。
【0021】(14) 溶液流延製膜装置によりセルロ
ースエステルフィルムを製造する方法において、剥離ロ
ールからテンター乾燥装置導入口までの間ウェブを残留
溶媒量30〜120質量%として通過させ、その間で、
無限移行する無端の金属支持体上で乾燥していた時のウ
ェブの空気側の面の両端にセルロースエステルに対して
溶解能または膨潤能を有する有機溶媒を付着させること
を特徴とすることを特徴とするセルロースエステルフィ
ルムの製造方法。
【0022】(15) 溶液流延製膜装置によりセルロ
ースエステルフィルムを製造する方法において、剥離後
の残留溶媒量が50質量%以下の領域で、ウェブの両端
を端から50mm以内の幅で切除することを特徴とする
セルロースエステルフィルムの製造方法。
【0023】始めに、本発明に係わる溶液流延製膜法に
よるセルロースエステルフィルムの製膜方法について説
明する。
【0024】先ず、セルロースエステルを有機溶媒に溶
解してドープを形成する。本発明に係るセルロースエス
テルフィルムに使用するセルロースエステルは、リンタ
ーパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプから選ばれる
セルロースを用い、それらに無水酢酸、無水プロピオン
酸、または無水酪酸を常法により反応して得られるもの
で、セルロースの水酸基に対する全アシル基の置換度が
2.5〜3.0のセルローストリアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブ
チレート、及びセルロースアセテートプロピオネートブ
チレートである。本発明に係るセルロースエステルのア
セチル基の置換度は少なくとも1.5以上は必要である
ことが好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換
度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に
準じて実施することが出来る。これらのセルロースエス
テルの分子量は数平均分子量として、70,000〜3
00,000の範囲が、フィルムに成形した場合の機械
的強度が強く好ましい。更に80,000〜200,0
00が好ましい。通常、セルロースエステルは反応後の
水洗等処理後において、フレーク状となり、その形状で
使用されるが、粒子サイズは粒径を0.05〜2.0m
mの範囲とすることにより溶解性を早めることが出来好
ましい。
【0025】セルロースエステルのフレークに対する良
溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌
しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で
行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点
以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同
9−95557号または同9−95538号公報に記載
の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379
号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法が
ある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで
次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は
10〜35質量%程度である。
【0026】セルロースエステルに対する良溶媒として
の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ア
ミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセ
ト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジ
オキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン、2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、メチレンクロライド、ブロモプロパン等
を挙げることが出来、酢酸メチル及びメチレンクロライ
ドが好ましく用いられる。しかし最近の環境問題から非
塩素系の有機溶媒の方が好ましい傾向にある。また、こ
れらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノー
ル等の低級アルコールを併用すると、セルロースエステ
ルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減
出来るので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエ
タノールが好ましい。
【0027】ドープ中に、フタル酸エステル、リン酸エ
ステルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マッ
ト剤などの添加剤を加えることにより、セルロースエス
テルフィルムに起因するハロゲン化銀写真感光材料や液
晶画像表示装置の性能を向上させることが出来る。
【0028】本発明において、セルロースエステルフィ
ルム中に可塑剤を含有させることが好ましい。用いるこ
との出来る可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エ
ステル系としては、トリフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフ
ェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等、フタル酸エステル系としては、
ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジ
メチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフ
タレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリ
コール酸エステル系としては、トリアセチン、トリブチ
リン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタ
リルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコ
レート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を挙げる
ことが出来る。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併
用して用いてもよい。セルロースエステルに用いる場
合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50%以下
が、セルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こ
しにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エステ
ル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、フタル
酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを
使用することが特に好ましい。可塑剤のセルロースエス
テルに対する添加量としては、0.5〜30質量%が好
ましく、特に2〜15質量%が好ましい。
【0029】また、本発明において、セルロースエステ
ルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させることが好まし
く、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波
長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な
液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収
が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波
長370nmでの透過率が10%以下である必要があ
り、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下であ
る。本発明において、使用し得る紫外線吸収剤として
は、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾト
リアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベ
ンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、
ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色
の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。しか
しこれらには限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用
いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ア
ルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有
機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから添加するか、また
は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のよう
に有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロース
エステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散して
からドープに添加する。本発明において、紫外線吸収剤
の使用量はセルロースエステルに対し0.5〜20質量
%の範囲で添加することが出来、0.6〜5.0質量%
が好ましく、特に好ましくは0.6〜2.0質量%であ
る。
【0030】更に、本発明のセルロースエステルフィル
ム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましく、酸
化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が
好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3
−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチ
ルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブ
チルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チ
オ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ
イト等を挙げることが出来る。特に2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−
ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例え
ば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等
のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安
定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セ
ルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0
%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0031】また本発明において、セルロースエステル
フィルム中に、微粒子のマット剤を含有するのが好まし
く、微粒子のマット剤としては、例えば二酸化ケイ素、
二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシ
ウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケ
イ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や
架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも
二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好
ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.
0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対
して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ
素のような微粒子には有機物により表面処理されている
場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低
下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物とし
ては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、
シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均粒径が大き
い方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方
は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平
均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜14nm
である。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム
中では、通常、凝集体として存在しセルロースエステル
フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させ
ることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエ
ロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、
300、R972、R972V、R974、R202、
R812,OX50、TT600等を挙げることが出
来、好ましくはAEROSILR972、R972V、
R974、R202、R812である。これらのマット
剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、
任意の割合で混合して使用することが出来る。この場
合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えばAERO
SIL 200VとR972Vを質量比で0.1:9
9.9〜99.9〜0.1の範囲で使用出来る。
【0032】ドープ中には、染料等も添加されることが
ある。ハロゲン化銀写真感光材料用にはライトパイピン
グ防止用の着色剤が添加される。これらの化合物の添加
量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm
〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好
ましい。また、この他、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油
剤等も加える場合がある。
【0033】これらの添加剤は、セルロースエステル溶
液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加
してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0034】次に、ドープを金属支持体上に流延する工
程、金属支持体上での乾燥工程及びウェブを金属支持体
から剥離する剥離工程について述べる。
【0035】金属支持体の表面は鏡面となっている。流
延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを
通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移
行する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの
金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程であ
る。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレ
ードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆
回転するロールで調節するリバースロールコーターによ
る方法等があるが、口金部分のスリット形状を調整出
来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイ
には、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも
好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイ
を金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重
層してもよい。膜厚の調節には、所望の厚さになるよう
に、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリッ
ト間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等をコ
ントロールするのがよい。
【0036】金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金
属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブ
とする)を支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程であ
る。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及び支持体裏側か
ら加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体に
より伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方
法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好まし
い。また、ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金属支
持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なってい
てもよい。
【0037】剥離工程は、無限移行する無端の金属支持
体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前
にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に
送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のこと
を剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロール
という。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの
残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難か
ったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離する
と、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。
通常、残留溶媒量が20〜150質量%でウェブの剥離
が行われる。製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来
るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが
出来る)として、残留溶媒量が多くとも剥離出来るゲル
流延法(ゲルキャスティング)がある。その方法として
は、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加
えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を
低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属
塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ膜を強く
することによって、剥離を早め製膜速度を上げることが
出来る。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウ
ェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離
張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質
との兼ね合いで残留溶媒量を決められる。液晶表示装置
に用いるセルロースエステルフィルムは乾燥後の膜厚が
20〜170μmの範囲にあり、その都度乾燥温度を変
えればよい。本発明においては、20〜100μmの範
囲のが好ましい。100μm以下のセルロースエステル
フィルムに対応するウェブは金属支持体上でかなり乾燥
されており、より低いレベルの残留溶媒量で剥離され
る。
【0038】本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表
せる。 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを11
0℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0039】本発明は、無限移行する無端の金属支持体
上での乾燥方法及びウェブを剥離後の搬送方法を改良す
ることによって、カールの小さいウェブまたはフィルム
を製造する方法である。またウェブの全体または両端で
生じるカールを矯正して小さなカールのウェブまたはフ
ィルムを製造する方法である。
【0040】図3は剥離ロールからテンター乾燥装置に
導入するまでの間に、ロール搬送手段及び/またはカー
ル矯正手段を有する溶液流延製膜装置の概略図である。
10はロール搬送手段及び/またはカール矯正手段であ
り、そのロール搬送手段の中に、カールを小さくする手
段やカール矯正手段である。なお、この図の11はロー
ル搬送手段を覆うカバーで、加熱や有機溶媒ガスを取り
扱ったり、また排気を行うところである。
【0041】本発明の構成(1)において、流延工程の
ダイからドープを流延してドープ膜(ウェブ)を金属支
持体上で乾燥する際、無限移行する無端の金属支持体が
ベルトの場合、中側の二つのドラム(駆動ドラムと支持
ドラム)に支えられて張られた無限移行する無端のベル
トには、上部側(二つのドラムの上側、またはダイが設
置されている側)、下部側(二つのドラムの下側)また
それぞれの金属支持体の表裏というように四つの乾燥領
域がある。つまり、上部側の表側は上部側のウェブが接
している金属支持体の表側、上部側のその裏側、下部側
の金属支持体の裏側及びそのウェブが接している表側と
である。本発明において、上部側の表側(上の表)の乾
燥域をB−1、その裏側(上の裏)をB−2、下部側の
裏側(下の裏)をB−3、及び下の表側(下の表)をB
−4と呼ぶことにする。
【0042】本発明の構成(1)は、上記の四つの加熱
(熱供給)領域で温度に関するもので、B−1の加熱温
度T1(℃)とB−2の加熱温度T2(℃)との平均加熱
温度T(1,2)av(℃)と、B−3の加熱温度T3(℃)と
B−4の加熱温度T4(℃)との平均加熱温度T(3,4)av
(℃)とが下記の不等式の範囲として、加熱を行うこと
によって非常にカールの小さいウェブまたはフィルムを
作製することが出来る。
【0043】55>{T(1,2)av−T(3,4)av}>5 金属支持体上でのウェブの本発明の乾燥方法が、カール
しにくいようなウェブ中の有機溶媒の分布をとることが
出来る。B−1、B−3及びB−4の加熱方法は温風や
輻射熱で行うことが出来るが、温風が好ましい。また、
B−2は支持体に温水を接触させる加熱方法でも、温風
を当てる熱供給方法でもよい。温風温度はウェブがドー
プに使用する主有機溶媒の乾燥中のウェブ中での気化が
急激に起こり発泡することがないような温度であれば、
制限なく設定出来るが、B−1のT1とB−2のT2は2
0〜90℃がよく、好ましくは30〜80℃である。ま
たB−3のT3とB−4のT4は、15〜60℃がよく、
金属支持体上での乾燥は、前半が高めで後半が低めが好
ましい。また熱供給のための温風の風速はB−1で10
〜20m/秒、B−2で10〜30m/秒、B−3では
20〜30m/秒、またB−4では10〜20m/秒程
度が好ましい。B−1〜4の各々の温度及び風速変えて
温風を分割して異なった温度、風速を加えてよい。
【0044】本発明の構成(2)〜(7)でいう千鳥状
に配列したロール群搬送手段というのは、ウェブの両方
の面が交互に接触するロールが一直線または互い違いに
配列したロール群である。従って、千鳥状に配列したロ
ール群手段の例としては、複数の上下のロールが平行に
配列したものでも、規則的に並んでいる方が好ましい
が、規則的に並んでいなくともよい。また、ロール間隔
とは、図4に示したように、ウェブがかかる2本のロー
ルの中心を結ぶ線上のロールのそれぞれの円の交点間の
距離をいう。図4はロール間隔を示す図であり、Lはロ
ール間隔、12はロール、1は2本のロール12にかか
るウェブである。また、ロール搬送手段は、上記千鳥状
に配列したロール群搬送手段がその手段のうち1部でも
大半であってもよい。ロール搬送手段には千鳥状に配列
したロール群の他に方向を変えるためのガイドロールな
どがあってもよく、ウェブが接触する面が交互でなく、
例えば表−表というような同じ面が連続して接触する2
本のロールもあってもよい。上記ロール群だけでは構成
されないため、大半という語を使用した。剥離ロールか
らテンター乾燥装置導入口までの間にあるロール搬送手
段の全てのロールのうちの最も広い間隔の隣る2本のロ
ール間隔は、最大でも剥離時のウェブ幅までの長さとす
ることで目的が達せられる。その最も広い間隔の隣る2
本ロールはロール搬送手段の何処にあってもよい。
【0045】本発明の構成(2)は、ウェブを剥離後、
剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの間にロー
ル搬送手段を設け、ロール搬送手段のロールの一部また
は大半を、千鳥状に配列したロール群搬送手段とし、こ
の千鳥状に配列したロール群搬送手段においてウェブの
表面温度が50〜100℃となるように加熱し、そして
その間の通過時間を10〜70秒として搬送させること
によって、カールが非常に小さなウェブまたはフィルム
を得ることが出来る。より好ましくはウェブの表面温度
を60〜90℃、且つ通過時間を20〜70秒、更には
40〜70秒として搬送するのがよい。
【0046】本発明の構成(3)は構成(1)と(2)
を同時に満足する製造方法で、金属支持体上の乾燥を行
い、更に千鳥状に配列したロール群で有効に乾燥、搬送
することによって、ほとんどカールのない平なウェブま
たはフィルムを得ることが出来る。
【0047】本発明の構成(4)及び(5)は、ロール
群搬送手段のうちの最も広いロール間隔を、最大でも剥
離時のウェブ幅までの長さとすることにより安定してカ
ールの小さなウェブまたはフィルムを得ることが出来
る。ウェブの幅に対するロール間隔は、同じかより狭い
ことがロール間でのウェブのカールを減少させるのに役
立つ。また、本発明の構成(2)の千鳥状に配列したロ
ール群搬送手段のロール間隔は出来るだけ小さい方がよ
く、ロール間隔を900mm以下、より好ましくは70
0mm以下である。ロール間隔が非常に小さい、例えば
10〜400mmの、いわゆる密間ロール群も好ましく
使用出来る。密間ロール群は一直線でも互い違い上下に
配列していてもよい。
【0048】本発明の構成(6)及び(7)は構成
(2)における乾燥及び搬送する際、ウェブの剥離時の
残留溶媒量を60〜120質量%として剥離し、好まし
くは70〜120質量%で剥離して高速製膜を行って
も、カールに対して非常によい結果を得ることが出来
る。このようなウェブはテンター乾燥装置導入する際、
折れ込み等のトラブルもなく、また最終的に出来上がっ
たセルロースエステルフィルムもカールがなく、後の工
程での取り扱いフィルムを得ることが出来る。
【0049】上記本発明の構成(3)と構成(4)〜
(7)を更に組み合わせることによって、更にカールの
ない平なウェブまたはフィルムを得ることが出来る。
【0050】本発明の構成(8)は、剥離時からロール
搬送手段で搬送している間をウェブの残留溶媒量が30
〜120質量%として、ウェブのA面全面にセルロース
エステルを溶解または膨潤し得る有機溶媒を付着させて
全体的にB面側に彎曲するカールを矯正するものであ
る。有機溶媒をウェブに付着させる方法としては、それ
が可能であれば制限なく使用出来るが、有機溶媒液を塗
布する方法、有機溶媒ガスを吹き付ける方法、有機溶媒
を霧状にして噴霧する方法などが好ましい。カールの大
きさに応じて有機溶媒を付着させる量を加減し、搬送方
向に1カ所でなく、数カ所で行ってもよい。有機溶媒を
塗布する方法は、可塑剤等添加剤が溶出しない程度に行
うのが好ましく、B面側が接触するガイドロール(搬送
ロール)のA面全体に、そのガイドロールをバックロー
ルにして有機溶媒を塗布する塗布ロールを設けて塗布す
ることが出来る。そしてその塗布ロールに有機溶媒を供
給する手段は均一に供給出来るものであれば制限なく使
用出来る。剥離ロールを塗布ロールとしてもよい。ウェ
ブのA面全面に有機溶媒ガス吹き付けるか、または有機
溶媒を霧状にして吹き付ける時の有機溶媒の濃度は、爆
発の起こらない範囲が好ましい。有機溶媒を付着させた
後、出来るだけ早く蒸発または余分のガスを吸引により
系外に排出するのが好ましい。有機溶媒としては、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エ
チル、酢酸プロピル等セルロースエステルに対して溶解
能または膨潤能を有するものを使用するが、カール度を
調整するために、セルロースエステルに対して溶解能ま
たは膨潤能のないメタノール、エタノール、プロパノー
ル、ヘキサン等と混合して用いる方が、前者を単独で使
用するより良い結果を得易い。混合比率は質量比とし
て、20/80〜90/10が好ましく、それぞれの有
機溶媒の組み合わせカール度により適宜決定される。
【0051】本発明の構成(9)は、剥離後のウェブの
残留溶媒量が30〜120質量%の領域で、A面側をド
ラム及びアーチ型ロールから選ばれる搬送手段に接触さ
せて搬送し全体的にA面側に彎曲するカールを低減する
方法で、これらに接触させながら搬送することによっ
て、B面全面のカールが抑制される。この場合、A面側
から加熱することにより効果がある。アーチ型ロールは
図5のように多数のロールがアーチ型に配列しているも
ので、いずれのロールもウェブの移行速度を同調して回
転している。しかし、擦り傷が出来やすいこともあり、
ロール間でウェブを吸引しながら密着させて搬送するサ
クションアーチ型ロールが好ましい。
【0052】図5はサクションアーチ型ロールのロール
搬送手段の概略図である。13はサクションロール、1
4は減圧チャンバーであり、15は減圧を示している。
ウェブ1のA面側はサクションロール13間が減圧され
ているため、ウェブ1のカールが引っ張られて矯正され
好ましい手段である。
【0053】図6は直径の大きいドラムでウェブを抱い
て搬送する搬送手段の概略図である。剥離後のウェブ1
の残留溶媒量が30〜120質量%の領域で、直径が3
00〜1000mmのドラム16でA面側を抱いて搬送
することにより全体的にA面側に彎曲するカールを矯正
する方法である。17はガイドロールである。ガイドロ
ール17でウェブ1に張力をかけてウェブ1がドラム1
6に密着するように押さえてカールを矯正する。ウェブ
1の搬送速度とドラム16の回転速度は同期している。
またドラム16の表面は鏡面仕上げか非常に細かいマッ
ト面仕上げとなっており、ウェブ1がドラム16に抱え
られている間にカールだけでなく平面性も矯正出来る。
ドラム16は加熱されていてもよく、加熱する場合はウ
ェブ表面温度が40℃以上となるように、60〜90℃
となるように設定するのが好ましい。
【0054】上記ドラム及びアーチ型ロールの搬送手段
は、何れかの一方でもよいが、同一手段を二つ以上直列
に配列してもよく、また二種の手段を二つ以上直列に配
列してもよい。
【0055】本発明の構成(10)〜(13)は、剥離
後、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの間
に、ロール間隔が900mm以下で、且つ対をなすロー
ルの組を連続して3組以上有する千鳥状に配列したロー
ル群搬送手段を有する溶液流延製膜装置を用いて、剥離
ロールからテンター乾燥装置導入口までの間ウェブ残留
溶媒量が30〜120質量%としてウェブを通過させる
際に発生し易い両端のカールを、その間でウェブの両端
を表面温度が50℃以上になるよう、好ましくは80℃
以上に加熱して、両端のカールを矯正する方法である。
両端に発生するカールはしばしば樋状になり次のロール
を通過する際に折れ込んだり、またテンター乾燥装置に
導入する際、テンター乾燥装置のクリップの把持し損な
いによって、切れ込みが入りウェブが破断する可能性が
ある。そのため、剥離後出来るだけ早いうちに両端のカ
ールを矯正することが重要で、剥離ロール後直ぐにでも
行うのがよい。カール矯正手段としては、両端を加熱出
来る手段であれば制限なく使用出来るが、ロール上で端
部を加熱風によって矯正する手段、ウェブを表裏から対
の加熱ロールで挟むことによって矯正する手段、近赤外
線や遠赤外線で間接的に加熱することにより矯正する手
段等を挙げることが出来る。加熱風は、ノズル、パイプ
断面あるいはパンチ孔を有するパイプから吹き出す風を
当てるのがよい。また加熱ロールは、幅が狭く両端だけ
のニップロールのようなロールを接触させるのがよい。
加熱する部分は、ウェブの両端の端から100mm以内
であり、好ましくは70mm、より好ましくは50mm
である。加熱する温度は50℃以上がよく、好ましくは
80℃以上、より好ましくは80〜100℃である。加
熱ロールの場合、ロールは金属ロールが好ましいが、セ
ラミックロールの方が好ましい場合もある。セラミック
ロールを赤外線で間接的にして発熱させる方法も好まし
い。加熱後そのままにしておくと両端のウェブは柔らか
いためカールが再び発生する場合があり、加熱したら出
来るだけ直ぐに加熱した部分のみを冷却するのが好まし
い。冷却する方法は、冷やすことが出来る方法なら制限
なく使用出来るが、冷却風をあてる方法や、冷却ロール
を接触させる方法が好ましい。冷却温度は加熱温度より
10℃以下低いことが好ましい。
【0056】本発明の構成(14)は、剥離後、剥離ロ
ールからテンター乾燥装置導入口までの間を残留溶媒量
30〜120質量%として通過させ、その間でウェブの
A面側の両端にセルロースエステルに対して溶解能ある
いは膨潤能を有する有機溶媒を付着させることによっ
て、両端に発生し易いカールを矯正する方法である。有
機溶媒をウェブの両端に付着させる方法としては制限な
いが、直接ウェブに有機溶媒を塗布する方法、有機溶媒
の蒸気を吹き付ける方法、有機溶媒を霧状にして噴霧す
る方法が好ましい。カールの大きさに応じて有機溶媒を
付着させる量を加減し、搬送方向に1カ所でなく、数カ
所で行ってもよい。これらのうち好ましい方法は、有機
溶媒を塗布する方法である。塗布する方法には制限ない
が、グラビアコータによる方法などがよい。両端部への
塗布のため可塑剤のような添加剤が溶出して若干汚して
も製品とする場合両端を裁ち落とすため問題はない。使
用し得る有機溶媒としては構成(8)で述べたものと同
様である。
【0057】本発明の構成(15)は、剥離後、ウェブ
の残留溶媒量が50質量%以下の領域で両端に発生する
カールを両端から50mm以内の幅で切除してカールを
矯正する方法である。残留溶媒が多い場合には、両端の
カールはただ切断しただけでは直ぐに再びカールが発生
して丸まり易いので、テンター乾燥装置の導入口の直前
やドライブロールの直前で切断するのが好ましい。
【0058】本発明は、剥離後、剥離ロールからテンタ
ー乾燥装置導入口までの間に上述の搬送手段及び/また
はカール矯正手段にウェブを通し、その後は必ずテンタ
ー乾燥装置に導入して乾燥する方法である。テンター乾
燥装置の後に図3のようなロール乾燥装置に導入して乾
燥してもよい。テンター乾燥装置としては、フィルム製
造用のテンター乾燥装置であれば制限なく使用出来る
が、特開平4−284211号、特開昭62−1150
35号公報に記載されているようなもの、ポリエステル
フィルム用のテンターなどが好ましい。テンター乾燥装
置内でのウェブは縮まない程度に緊張して把持するか、
それ以上に1〜6%延伸してもよく、好ましくは3〜5
%である。テンター乾燥装置内での温度は90〜120
℃が好ましい。テンター乾燥装置を出た後は、ロール乾
燥装置で乾燥しその後に冷却して巻き取りセルロースエ
ステルフィルムとする。ロール乾燥装置の乾燥温度は1
00〜140℃くらいがよい。
【0059】
【実施例】本発明を下記実施例により詳細に説明する
が、これらに限定されない。
【0060】〔評価及び測定〕 《カールの測定》 a.全面カール 乾燥したフィルムから幅方向を長さ方向として、幅(ウ
ェブ搬送方向に)2mm、長さ(フィルム幅手方向に)
50mmに切断したサンプルを10個切り出し、23
℃、55%RHの部屋で24時間調湿した後、カール測
定用テンプレート(ANSI PH 1.29−198
5に記載してあるようなテンプレート)を当てて、カー
ルを1/mの単位で測定する。測定点を10個とり、そ
の平均値で示す。
【0061】b.端部のカール 乾燥したフィルムから両端の端から幅方向を長さ方向と
して、幅(ウェブ搬送方向に)2mm、長さ(フィルム
の幅手方向に)50mmの大きさに切り出し、aの全面
カールと同様に測定する。なお、両端のカールが大き
く、端部が折れが起こり生産出来なくなると予想される
時は、生産途中で試料を採取し、カールを1/mの単位
で測定する。測定点を両端で10個とり、その平均値で
示す。
【0062】実施例1〜3及び比較例1〜2 アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート
(数平均分子量150,000)100質量部、チヌビ
ン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.5質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ社製)0.5質量部、アエロジル200V
(日本アエロジル(株)製)0.1質量部、エチルフタ
リルエチルグリコレート2質量部、トリメチルフォスフ
ェイト10質量部をメチレンクロライド450質量部と
エタノール50質量部を加圧密閉容器に投入し、60℃
に加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセル
ロースエステルを完全に溶解させドープを得た。このド
ープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用
して濾過し、更に日本精線(株)製のファインメットN
M(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶
対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過
精度を上げて使用)を使用して濾過し製膜に供した。ス
テンレスベルト上でのウェブの加熱温度条件を、T1
2、T3、T4、T (1,2)av、T(3,4)av及び{T(1,2)av
−T(3,4)av}として表1に示したように設定して、乾
燥した。ステンレスベルトから表1に示したような残留
溶媒量で剥離し、最大間隔1200mmの5本のロール
群を70℃で搬送し、続いてクリップで把持するテンタ
ー乾燥装置に導入した。テンター乾燥装置内では、2%
程度延伸しながら、90〜120℃で加熱し、その後ロ
ール乾燥装置で100〜130℃で乾燥し、25℃に冷
却し巻き取り80μmの厚さのセルローストリアセテー
トフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】実施例4〜6及び比較例3〜5 実施例1と同じ濾過したドープを用いてダイからステン
レスベルト上に流延した。A面側及びB面側両面より風
速15m/秒の50〜90℃の垂直風をあてて3分間乾
燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、25℃の冷
水を接触させて5秒間保持した後、表2に示したような
残留溶媒量で剥離した。剥離後、剥離ロールの次のロー
ルから千鳥状に配列したロール群搬送手段のロール間隔
を表2のようにし、それらの対の1組のロールを5組連
続で配列し、その他のロールの最大間隔を表1のように
して搬送し、その間を、表2に示したような加熱温度及
び搬送時間で搬送乾燥した。続いてクリップで把持する
テンター乾燥装置に導入し、テンター乾燥装置内では、
2%程度延伸しながら、90〜120℃で加熱した。そ
の後ロール乾燥装置で100〜130℃で乾燥し、25
℃に冷却し巻き取り80μmの厚さのセルローストリア
セテートフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例7〜9及び比較例6〜7 アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度
0.80、数平均分子量100,000のセルロースア
セテートプロピオネート100質量部、トリメチルフォ
スフェート10質量部、チヌビン326(チバ・スペシ
ャルティ・ケミカルズ社製)0.5質量部、チヌビン1
71(チバスペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5質
量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペン
タエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
0.5質量部、アエロジル200V(日本アエロジル
(株)製)0.1質量部、酢酸メチル350質量部、エ
タノール50質量部を加圧密閉容器に投入し、75℃に
加温して容器内圧力を2気圧とし、撹拌しながらセルロ
ースエステルを完全に溶解させドープを得た。ドープ温
度を35℃まで下げて一晩静置し、実施例1と同様に濾
過を行い、得られたドープを、ダイからステンレスベル
ト上に流延した。ステンレスベルト上でのウェブの乾燥
は表3に示したB−1〜4の条件で行い、剥離後は、表
3に示したロール搬送手段の条件で搬送し乾燥した。続
いて実施例1と同様にテンター乾燥装置及びロール乾燥
装置を通して乾燥し、25℃に冷却し巻き取り厚さ80
μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを
得た。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】実施例10 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速15m/秒の50〜90℃の
垂直風をあてて3分間乾燥した後、更にステンレスベル
トの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持し、
残留溶媒量80質量%で剥離した。剥離後、剥離ロール
の次に配置されているロールにおいて、アセトン/メタ
ノール(質量比70/30)の混合有機溶媒をスプレー
塗布した。塗布後の70℃の乾燥風を風速10m/秒と
して当て、直ぐに蒸発した有機溶媒を吸引し、有機溶媒
ガスの拡散を防いだ。更に5本のロールを経て、続いて
実施例1と同様にテンター乾燥装置及びロール乾燥装置
を通して乾燥し、25℃に冷却し巻き取り厚さ80μm
のセルロースアセテートプロピオネートフィルムを得
た。結果を表4に示す。
【0069】実施例11 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速15m/秒の50〜90℃の
垂直風を当てて3分間乾燥した後、更にステンレスベル
トの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持し、
残留溶媒量80質量%で剥離した。剥離後、図4に示し
たようなサクションアーチ型ロールを2連に直列した乾
燥装置に、ウェブのA面側を回転しているサクションロ
ールに接触するようにし、サクションロールとサクショ
ンロールとの間の膜をつくっているウェブを吸引し、そ
の静圧を20Paとして搬送した。この時、ウェブのB
面側から10m/秒の風速の70℃の温風を当て乾燥さ
せた。その後ガイドロールを3本を経て、続いて実施例
1と同様にテンター乾燥装置に導入し、更にロール乾燥
装置を通して乾燥し、25℃に冷却し巻き取り厚さ80
μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。結果
を表4に示す。
【0070】実施例12 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速15m/秒の50〜90℃の
垂直風を当てて3分間乾燥した後、更にステンレスベル
トの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持し、
残留溶媒量80質量%で剥離した。剥離後、図5に示し
たような直径400mm、温度50℃のドラムに、ウェ
ブをA面側が接触するようにし、ドラムに入ってから出
る間での張力を300N/m(幅)として搬送した。こ
の時、ウェブのB面側から風速10m/秒の70℃の温
風を当て乾燥させた。その後ガイドロールを3本を経
て、続いて実施例1と同様にテンター乾燥装置に導入
し、更にロール乾燥装置を通して乾燥し、25℃に冷却
し巻き取り厚さ80μmのセルローストリアセテートフ
ィルムを得た。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】実施例13 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速15m/秒の50〜90℃の
垂直風を当てて3分間乾燥した後、更にステンレスベル
トの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持し、
80質量%の残留溶媒量で剥離した。剥離後、剥離ロー
ルの後の2本のガイドロールを経た後、下記のロール搬
送手段とカール矯正手段にウェブを通した。ロール搬送
手段は、ロール間隔が700mmの3組連続の千鳥状に
配列したロール群であり、両端カール矯正手段は、ロー
ル間にウェブの搬送方向に平行のノズルを有する多数の
パンチ孔を有するパイプをウェブの両端に配したもので
ある。そのパイプは長さが550mm、直径が70mm
で多数の孔径が3〜10mmのパンチ孔が開いている吹
き出し口を有し、孔と孔との間隔は3〜10mmでパイ
プの幅に50mmにわたって開いている。そしてウェブ
とパイプ吹き出し口の距離を40mmとし、風速20m
/秒の90℃の風をウェブの両端50mmに当て加熱し
た。このロール群をウェブが通り終えたすぐのガイドロ
ール上で、直径50mmの筒3個の先から15℃、10
m/秒の風を当てて冷却した。続いて実施例1と同様に
テンター乾燥装置及びロール乾燥装置を通して乾燥し、
25℃に冷却し巻き取り厚さ80μmのセルローストリ
アセテートフィルムを得た。結果を表5に示す。
【0073】実施例14 ウェブの両端の加熱するカール矯正手段を500Wの近
赤外線線(日本ヒーター(株)社製、HQB型)をウェ
ブから50mmの距離からウェブのB面側に表面が80
℃となるように照射したカール矯正手段に変更した以外
は実施例13と同様にして厚さ80μmのセルロースト
リアセテートフィルムを得た。結果を表5に示す。
【0074】比較例8 吹き出し風の温度を40℃に変更し、冷却を行わなかっ
た以外は実施例13と同様に行い、厚さ80μmのセル
ローストリアセテートフィルムを得た。結果を表5に示
す。
【0075】比較例9 ロール間隔を1000mmとした以外は実施例13と同
様に行い、厚さ80μmのセルローストリアセテートフ
ィルムを得た。結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】実施例15 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速15m/秒の50〜90℃の
垂直風を当てて3分間乾燥した後、更にステンレスベル
トの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持した
後、80質量%の残留溶媒量で剥離した。剥離後、剥離
ロールの後に配置されている2本のガイドロールの2本
目のロールの両端(ウェブの両端に対応)をニップする
ような形で幅50mmの塗布ロールを介してグラビア塗
布方式でウェブの両端にアセトン/メタノール(質量比
70/30)混合有機溶媒を塗布した。なお、塗布した
ロールの後に、蒸発した有機溶媒を吸い込み排気した。
その後に3本のロールを60℃の温風で加熱して通し
た。続いて実施例1と同様にテンター乾燥装置及びロー
ル乾燥装置を通して乾燥し、25℃に冷却し巻き取り厚
さ80μmのセルローストリアセテートフィルムを得
た。結果を表6に示す。
【0078】実施例16 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速20m/秒の60〜90℃の
垂直風を当てて3分間乾燥した後、45質量%の残留溶
媒量で剥離した。剥離後、剥離ロールの次のロールの所
でロータリーカッターでウェブの両端を端部より50m
mの所を裁ち落とし後に、最大ロール間隔が1200m
mの千鳥状に配置した16本のロール群を60℃で通
し、続いてクリップで把持するテンター乾燥装置に導入
し、テンター乾燥装置内では、2%程度延伸しながら、
90〜120℃で加熱し、その後ロール乾燥装置で10
0〜130℃で乾燥し、25℃に冷却し巻き取り80μ
mの厚さのセルローストリアセテートフィルムを得た。
結果を表6に示す。
【0079】比較例10 実施例1と同じ濾過したドープを用い、裏面から38℃
の温度の温水を接触させて温度制御したステンレスベル
ト上で、A面側からは風速10m/秒の40〜70℃の
垂直風を当てて50秒間乾燥した後、更にステンレスベ
ルトの裏面に、25℃の冷水を接触させて5秒間保持し
た後、130質量%の残留溶媒量で剥離した。剥離後、
剥離ロールの次のロールの所でロータリーカッターでウ
ェブの両端を端より50mmの所を裁ち落とし後に、最
大ロール間隔が1200mmの千鳥状に配置した16本
のロール群を60℃で通し乾燥した。続いてクリップで
把持するテンター乾燥装置に導入し、テンター乾燥装置
内では、2%程度延伸しながら、90〜120℃で加熱
し、その後ロール乾燥装置で100〜130℃で乾燥
し、25℃に冷却し巻き取り80μmの厚さのセルロー
ストリアセテートフィルムを得た。結果を表6に示す。
【0080】
【表6】
【0081】(結果)表1〜6でわかるように、本発明
は端部及び全面のカールが小さく非常に良好で、また作
業性も良好であった。これに対して、比較例は端部及び
全面ともカールが大きく、作業性も悪かった。
【0082】
【発明の効果】溶液流延製膜装置の、流延部の乾燥条
件、また剥離ロールからテンター乾燥装置に導入するま
での間にロール搬送手段のロール間隔や乾燥条件などを
効果的に設定することによって高速製膜でも、薄手でも
カールが小さく平なセルロースエステルフィルムを得る
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜セルロースエステルフィルム製造
装置の概略図。
【図2】テンター乾燥装置を有する溶液流延製膜セルロ
ースエステルフィルム製造装置の概略図。
【図3】剥離ロールからテンター乾燥装置に導入するま
での間に、ロール搬送手段及び/またはカール矯正手段
を有する溶液流延製膜装置の概略図。
【図4】ロール間隔を示す図。
【図5】サクションアーチ型ロールのロール搬送手段の
概略図。
【図6】直径の大きいドラムでウェブを抱いて搬送する
搬送手段の概略図。
【符号の説明】
1 ウェブ(ドープ膜) 2 ダイ 3 金属支持体 4 剥離ロール 5 ロール乾燥装置 9 テンター乾燥装置 10 ロール搬送手段及び/またはカール矯正手段 11 カバー 13 サクションロール 14 減圧チャンバー 16 ドラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 1:10 C08L 1:10 Fターム(参考) 2H049 BB13 BB49 BC09 BC22 2H090 JB03 JD14 4F071 AA09 AG28 BA02 BB02 BC01 4F205 AA01 AC05 AG01 AK01 AK04 AM35 AP05 AR06 AR11 AR12 GA07 GB02 GC07 GF01 GF24 GN13 GN16 GN18 GN21 GN24 GN29 GW06 GW15 GW23 GW31

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液流延製膜装置によりセルロースエス
    テルフィルムを製造する方法において、無限移行する無
    端の金属支持体上のウェブを、ダイが設置されている側
    の上部側の該金属支持体の表側からの加熱温度T
    1(℃)とその裏側からの加熱温度T2(℃)との平均加
    熱温度T(1,2)av(℃)と、下部側の該金属支持体の裏
    側からの加熱温度T3(℃)とその表側からの加熱温度
    4(℃)との平均加熱温度T(3,4)av(℃)との差を 55>{T(1,2)av−T(3,4)av}>5 として乾燥した後、剥離することを特徴とするセルロー
    スエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入口
    までの間にロール搬送手段を有し、且つ該ロール搬送手
    段の少なくとも一部が千鳥状に配列したロール群搬送手
    段である溶液流延製膜装置によりセルロースエステルフ
    ィルムを製造する方法において、ウェブを、無限移行す
    る無端の金属支持体から剥離後、該千鳥状に配列したロ
    ール群搬送手段にてウェブの表面温度が50〜100℃
    となるように加熱しつつ、通過時間を10〜70秒とし
    て搬送することを特徴とするセルロースエステルフィル
    ムの製造方法。
  3. 【請求項3】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入口
    までの間にロール搬送手段を有し、且つ該ロール搬送手
    段の少なくとも一部が千鳥状に配列したロール群搬送手
    段である溶液流延製膜装置によりセルロースエステルフ
    ィルムを製造する方法において、無限移行する無端の金
    属支持体上のウェブを、ダイが設置されている側の上部
    側の該金属支持体の表側からの加熱温度T1(℃)とそ
    の裏側からの加熱温度T2(℃)との平均加熱温度T
    (1,2)av(℃)と、下部側の該金属支持体の裏側からの
    加熱温度T3(℃)とその表側からの加熱温度T4(℃)
    との平均加熱温度T(3,4)av(℃)との差を 55>{T(1,2)av−T(3,4)av}>5 として乾燥した後、ウェブを、該金属支持体から剥離
    し、該千鳥状に配列したロール群搬送手段にてウェブの
    表面温度が50〜100℃となるように加熱しつつ、通
    過時間を10〜70秒として搬送することを特徴とする
    セルロースエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ロール搬送手段のうちの最も広いロ
    ール間隔を、最大でも剥離時のウェブ幅までとすること
    を特徴とする請求項2または3に記載のセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 千鳥状に配列したロール群のロール間隔
    を900mm以下とすることを特徴とする請求項2乃至
    4の何れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 剥離時のウェブの残留溶媒量を60〜1
    20質量%とすることを特徴とする請求項2乃至5の何
    れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記残留溶媒量を70〜120質量%と
    することを特徴とする請求項6に記載のセルロースエス
    テルフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入口
    までの間にロール搬送手段を有する溶液流延製膜装置に
    よりセルロースエステルフィルムを製造する方法におい
    て、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの間ウ
    ェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過させ、
    その間で、無限移行する無端の金属支持体上で乾燥して
    いた時のウェブの空気側の面にセルロースエステルに対
    して溶解能または膨潤能を有する有機溶媒を付着させる
    ことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入口
    までの間にロール搬送手段を有する溶液流延製膜装置に
    よりセルロースエステルフィルムを製造する方法におい
    て、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの間ウ
    ェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過させ、
    その間で、無限移行する無端の金属支持体上で乾燥して
    いた時のウェブの空気側の面をドラム及びアーチ型ロー
    ルから選ばれる搬送手段に接触させながら搬送すること
    を特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 剥離ロールからテンター乾燥装置導入
    口までの間に、ロール間隔が900mm以下で、且つ対
    をなすロールの組を連続して3組以上有する千鳥状に配
    列したロール群搬送手段を有する溶液流延製膜装置によ
    りセルロースエステルフィルムを製造する方法におい
    て、剥離ロールからテンター乾燥装置導入口までの間ウ
    ェブを残留溶媒量30〜120質量%として通過させ、
    その間でウェブの両端の表面温度が50℃以上になるよ
    うに加熱することを特徴とするセルロースエステルフィ
    ルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 ウェブの両端の表面温度が80℃以上
    になるように加熱することを特徴とする請求項10に記
    載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 ウェブの両端を加熱する手段が近赤外
    線または遠赤外線の照射及び熱風を吹き付けから選ばれ
    るものにより行うことを特徴とする請求項10または1
    1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 ウェブの両端を加熱した後に同部分を
    冷却ロールにより冷却することを特徴とする請求項10
    乃至12の何れか1項に記載のセルロースエステルフィ
    ルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 溶液流延製膜装置によりセルロースエ
    ステルフィルムを製造する方法において、剥離ロールか
    らテンター乾燥装置導入口までの間ウェブを残留溶媒量
    30〜120質量%として通過させ、その間で、無限移
    行する無端の金属支持体上で乾燥していた時のウェブの
    空気側の面の両端にセルロースエステルに対して溶解能
    または膨潤能を有する有機溶媒を付着させることを特徴
    とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 溶液流延製膜装置によりセルロースエ
    ステルフィルムを製造する方法において、剥離後の残留
    溶媒量が50質量%以下の領域で、ウェブの両端を端か
    ら50mm以内の幅で切除することを特徴とするセルロ
    ースエステルフィルムの製造方法。
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