JP2007210344A - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ツレシワ、カールの発生を抑制した面状が優れているフイルムを製膜する。
【解決手段】ドープ12を流延ダイ21から回転ドラム22に流延する。回転ドラム22上で自己支持性を有するゲル膜25を剥ぎ取って軟膜27を得る。軟膜27の縦弾性係数を45万Pa以上として、渡り部30を搬送することにより、ツレシワ及びカールの発生を抑制する。発生したカールをニップローラにより矯正する。ツレシワは、軟膜27の搬送方向に延伸力を加えることで矯正する。その後にテンタ式乾燥機50に搬送する。軟膜27をテンタ式乾燥機50及び乾燥室51で乾燥して、フイルム28として巻取機54で巻き取る。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶液製膜方法に関し、更に詳しくは光学特性に優れたフイルムを製膜する溶液製膜方法に関するものである。
セルロースアシレート(以下、TACと称する)を原料として溶液製膜方法により製造されるTACフイルムは、液晶ディスプレーや感光材料に用いられている。特に液晶ディスプレーに用いられるTACフイルムは、液晶表示装置市場の需要増に伴い大幅な流延速度の向上、また液晶表示装置の小型化に伴うフイルムの薄手化といったことが求められている。TACフイルムの製造方法は、TACをジクロロメタンを主溶媒とした混合溶媒に溶解し、そのポリマー溶液(以下、ドープと称する)を加熱した支持体(例えば、流延ベルト,回転ドラムなど)上に流延してゲル膜を形成させる。その後ゲル膜が支持体上で自己支持性を有すると剥取ローラにより軟膜として剥ぎ取って、ローラによりテンタ式乾燥機などの乾燥部に搬送して乾燥させてフイルムを製膜している(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−315147号公報 (第5−6頁)
しかしながら、TACは溶媒(本発明において混合溶媒を含めた意味で用いる)への溶解性が低いため、調製されたドープの固形分濃度を高くすることには困難を伴う。そのため、生産性を向上するため製膜速度を増加したり、フイルムを薄手化すると、ゲル膜の強度が弱くなり、支持体から軟膜として剥ぎ取りテンタ式乾燥機に搬送するまでの間に軟膜にカールが生じたり、その面上にツレシワが発生したりする問題が生じる。テンタ式乾燥機は、フイルム両縁部(以下、耳端部と称する)を保持してローラを用いず搬送しながら乾燥させるため、フイルムの耳端部にカールが発生すると、両耳端部の噛み込ませが不安定になるという搬送上の問題がある。さらには、カールが大きく発生すると、テンタ式乾燥機に噛み込ませることができず、フイルム製膜ラインの連続運転を停止させるおそれもある。また、乾燥させる前の軟膜の表面にツレシワが発生すると、製膜されたフイルム面上にその跡が残り、面状に影響を及ぼす場合があり、その発生が多い場合には製品として用いることが不可能な場合もあるといった問題が生じていた。
本発明の目的は、フイルムを製膜する際に軟膜のツレシワ及びカールの発生並びに軟膜のローラへの接着を抑制し、面状及び光学特性に優れた薄手のフイルムを高速で製膜可能な溶液製膜方法を提供することにある。
本発明者らは、フイルム剥取からテンタ式乾燥機入口側での噛み込みまでの間(以下、渡り部とも称する)にフイルム強度(フイルム縦弾性係数)を増加させ、乾燥によるフイルムの収縮力を低減できることを見出した。また、渡り部に設けられたローラ上の表面状態を最適化し、渡り部のローラ間におけるドロー制御(引っ張り制御)を行うことで、渡り部における軟膜(フイルム)の搬送を安定化、特にツレシワ及びカールの発生を抑制できることを見出した。また、支持体接触面側と支持体接触反対面側との乾燥速度差を低減することで、カールを矯正できることも見出した。さらに、テンタ式乾燥機内においてフイルムを横延伸することによってもカールを矯正できることを見出した。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記ローラの表面温度を0℃以下とし、前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上とする。また、本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記搬送している際に、前記軟膜に0℃以下の風を吹き付け、前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上とする。さらに、剥取時の前記軟膜の厚みを30μm以上とすることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、剥取時の前記軟膜の厚みを30μm以上とし、前記搬送している際の前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上とする。また、前記軟膜を搬送している際に、前記軟膜の支持体接触反対面に乾燥風を吹き付けて、支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることが好ましい。なお、本発明において乾燥速度差(dW/dt)の単位を(kg・solv/kg・solid/秒)で示している。これは、(溶媒の重さ)/(固形分の重さ×時間)を意味している。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記軟膜を搬送している際に、前記軟膜の支持体接触反対面に乾燥風を吹き付けて支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とする。また、前記搬送している際に、前記軟膜の支持体接触面側をニップするためのニップローラを用いて、前記軟膜をニップすることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記搬送している際に、前記軟膜の支持体接触面側をニップするためのニップローラを用いて、前記軟膜をニップする。また、本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記軟膜の支持体接触面側を表面温度が0℃以下のニップローラを用いてニップし、かつ支持体接触反対面と前記支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とする。さらに、共流延方法又は逐次流延方法の少なくともいずれか1つの方法により、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを用いた場合であって、他のドープより高濃度のドープが前記軟膜の両縁部となるように流延し、前記両縁部の縦弾性係数を450000Pa以上とすることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、共流延方法又は逐次流延方法の少なくともいずれか1つの方法により、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、他のドープより高濃度のドープが前記軟膜の両縁部となるように流延し、前記軟膜の両縁部の縦弾性係数を450000Pa以上とする。また、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAを30μm≦A≦560μmとすることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAを30μm≦A≦560μmとする。また、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAと他の部分の厚みBとの比(A/B)を1≦(A/B)≦5とすることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAと他の部分の厚みBとの比(A/B)を1≦(A/B)≦5とする。また、前記搬送している際に、前記ローラを用いて前記軟膜の支持体接触反対面の両縁部を、その雰囲気中の溶媒ガスが液化する温度以下とし、前記溶媒ガスを前記支持体接触反対面側に液化付着させることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記搬送している際、前記ローラを用いて前記軟膜の支持体接触反対面の両縁部を、その雰囲気中の溶媒ガスが液化する温度以下とし、前記溶媒ガスを前記支持体接触反対面側に液化付着させる。また、前記縁部が前記軟膜の幅方向で、前記軟膜の縁から10mmの範囲であることが好ましい。
前記乾燥部にテンタ式乾燥機を用いて、前記テンタ式乾燥機の入口側で前記軟膜を噛み込ませることが好ましい。また、前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜を幅方向で1%以上延伸し、かつ80℃以上の温度で10秒以上乾燥することがより好ましい。より好ましくは、前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜を幅方向で1%以上20%以下の範囲で延伸し、かつ80℃以上140℃以下の温度範囲で10秒以上180秒以下乾燥することである。さらに、前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜の溶媒揮発分W1を0.05(kg・solv/kg・solid)≦W1≦1(kg・solv/kg・solid)の範囲とすることが好ましい。
前記ローラの表面粗さRaが、0.05μm≦Ra≦0.5μmの範囲のものを用いることが好ましい。また、前記ローラを複数本用いた場合であって、前記軟膜の搬送方向に対して上流側に設けられた一のローラの周速度V1(m/min)と、前記一のローラの下流側直後に設けられた他のローラの周速度V2(m/min)との周速度比(V2/V1)を1.0025≦V2/V1≦1.15の範囲とすることが好ましい。さらに、前記軟膜に加えられる延伸歪み速度を1.4×10-4(1/s)以上とすることがより好ましい。さらには、前記ローラ表面の静止摩擦係数μ0が、0.036≦μ0≦0.044の範囲であり、動摩擦係数μが、0.018≦μ≦0.022の範囲にあるものを用いることが好ましい。なお、本発明において静止摩擦係数μ0と動摩擦係数μとのいずれもが、鋼との間の摩擦係数を意味している。
前記ポリマーにセルロースアシレートを用いることが好ましく、より好ましくはセルロースアセテートであり、最も好ましいのはセルローストリアセテートを用いることである。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記ローラの表面温度を0℃以下とし、前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上とするから、前記軟膜のフイルム強度が向上してカールの発生を抑制できる。また、本発明の溶液製膜方法によれば、前記搬送している際に、前記軟膜に0℃以下の風を吹き付けても、前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上にできるから、前記軟膜のフイルム強度が向上してカールの発生を抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、剥取時の前記軟膜の厚みを30μm以上としても、前記搬送している際の前記軟膜の縦弾性係数を450000Pa以上にできるから、薄手のフイルムを製膜することが可能となる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記軟膜の支持体接触反対面に乾燥風を吹き付けて支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とするから、両面の乾燥速度が略同一となりカールの発生を抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記搬送している際に、前記軟膜の支持体接触面側をニップするためのニップローラを用いて、前記軟膜をニップするから、搬送中に発生したカールを容易に矯正することができる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記軟膜の支持体接触面側を表面温度が0℃以下のニップローラを用いてニップし、かつ支持体接触反対面と前記支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とするから、搬送中の軟膜にカールの発生が抑制され、カールが発生しても矯正を容易に行える。
本発明の溶液製膜方法によれば、共流延方法又は逐次流延方法の少なくともいずれか1つの方法により、他のドープより高濃度のドープが前記軟膜の両縁部となるように流延し、前記軟膜の両縁部の縦弾性係数を450000Pa以上とするから、特別な設備を設けることなく、カールの発生を抑制することができる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAを30μm≦A≦560μmの範囲に制御できるから、縁部の膜厚を厚くすることで利用してカールの発生を抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAと他の部分の厚みBとの比(A/B)を1≦(A/B)≦5に制御するから、前記縁部の膜厚を厚くでき、カールの発生を抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記搬送している際、前記ローラを用いて前記軟膜の支持体接触反対面の両縁部を、その雰囲気中の溶媒ガスが液化する温度以下とし、前記溶媒ガスを前記支持体接触反対面側に液化付着させるから、前記支持体接触面側との乾燥速度差を小さくすることができ、カールの発生を抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、軟膜のカールの発生を抑制できるから、前記テンタ式乾燥機の入口側で前記軟膜を噛み込む際、搬送不良を起こすことが抑制される。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜を幅方向で1%以上20%以下の範囲で延伸し、かつ80℃以上140℃以下の温度範囲で10秒以上180秒以下乾燥するから、テンタ式乾燥機に送る前に発生したカールを矯正できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記ローラを複数本用いた場合であって、前記軟膜の搬送方向に対して上流側に設けられた一のローラの周速度V1(m/min)と、前記一のローラの下流側直後に設けられた他のローラの周速度V2(m/min)との周速度比(V2/V1)を1.0025≦V2/V1≦1.15の範囲とするから、軟膜の搬送方向に過度な延伸力が加わらない、ツレシワの発生が抑制される。また、その延伸力により軟膜がローラに接着することが抑制される。
以上、本発明の溶液製膜方法によれば、軟膜を搬送する際に、ツレシワの発生、カールの発生及びローラへの付着が抑制される。また、ツレシワ及びカールが発生した際に、容易に矯正できる。このため、面状品質に優れたフイルムを製膜することが可能となる。そこで、ポリマーにセルロースアシレートを用いて本発明の溶液製膜方法を用いて製膜されたフイルムは面状品質に優れていると共に光学特性にも優れている。
[溶媒]
本発明に用いられるドープを調製するための溶媒は、公知のいずれの溶媒をも用いることができる。特に、メチレンクロライド(ジクロロメタン)などのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチルなどのエステル類、エーテル類、アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトンなど)などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、これら溶媒を複数混合した混合溶媒を用いることもできる。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されず、公知のいずれをも用いることができる。しかしながら、本発明に係る溶液製膜方法には、セルロースアシレートを用いることが好ましく、より好ましくは酢化度59.0%〜62.5%のセルローストリアセテート(TAC)を用いることである。製膜されたTACフイルムを用いて構成された光学用フイルム,偏光板,液晶表示装置は、光学特性の機能及び寸法の安定性に優れている。
[添加剤]
ドープには、公知の添加剤のいずれをも添加させることが可能である。例えば、可塑剤(トリフェニルホスフェート(以下、TPPと称する),ビフェニルジフェニルホスフェート(以下、BDPと称する)など)、紫外線吸収剤(例えば、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物など)、マット剤(例えば、二酸化ケイ素など)、増粘剤、オイルゲル化剤(例えば、シクロヘキサンジアミン誘導体など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの添加剤は、ドープを調製する際に、ポリマーと同時に混合しても良い。また、ドープを調製した後に、移送する際に静止型混合器などを用いてインライン混合しても良い。なお、本発明において前記ポリマーと添加剤とを併せて固形分と称する。
[ドープの調製]
前述した固形分(ポリマー及び添加剤)を前述した溶媒に仕込んだ後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させドープを調製する。このドープは濾過により異物を除去することが一般的である。濾過には濾紙,濾布,不織布,金属メッシュ,焼結金属,多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、製品フイルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
また、一度溶解したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で撹拌しながら加熱する方法、多管式、静止型混合器付きジャケット配管等の各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などがある。また、加熱工程の後に冷却工程を実施することも可能である。また、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。これらの処理を施すことにより、溶解性の低い未溶解物を完全に溶解することができ、フイルムの異物の減少、濾過の負荷軽減を図ることができる。なお、本発明において、ドープ中の固形分が、20重量%〜25重量%の範囲であると、支持体上に形成されたゲル膜を剥ぎ取る際に、十分な強度(縦弾性係数)を有することが可能となるので好ましいが、本発明に用いられるドープの固形分量は前述した範囲に限定されるものではない。また、フイルム強度を増加させる目的で、オイルゲル化剤をポリマーに対して0.1重量%〜2重量%添加することがより好ましい。
[溶液製膜方法]
図1は本発明に係る溶液製膜方法を実施するために用いられるフイルム製膜ライン10の概略図を示している。また、図2にフイルム製膜ライン10の要部である渡り部30の拡大図を示した。ミキシングタンク11内には、前述した方法で調製されたドープ12が仕込まれて、図示しないモータで回転する撹拌翼13で撹拌されて均一になっている。ドープ12は、ポンプ14により濾過装置15に送られて不純物が除去される。その後に一定流量で流延ダイ21に送られる。流延ダイ21は、支持体である回転ドラム22上に配置している。回転ドラム22は図示しない駆動装置により無端で回転駆動する。また、回転ドラム22に温度調整装置23を接続し、その表面温度を調整することが可能となっていることが好ましい。本発明の溶液製膜方法は冷却流延法に適用することが最も好ましいので、回転ドラム22の表面温度を−10℃〜0℃の範囲に冷却してあることが好ましい。また、回転ドラム22の移動速度は特に限定されないが、10m/min〜200m/minの広範囲にわたって本発明の溶液製膜方法に適用することが可能である。また、特に50m/min〜150m/minの範囲で高速製膜を行うことも可能である。
回転ドラム22上に流延ダイ21からドープ12を、乾燥後のフイルムの厚み(膜厚)が15μm〜150μmの範囲となるように流延して流延ビード24を形成することが好ましい。特に、本発明では15μm〜60μmのいわゆる薄手のフイルムを高速で製膜を行うことが可能である。流延ビード24は回転ドラム22上でゲル化が進行してゲル膜25となる。ゲル膜25が回転ドラム22の走行に伴って冷却されながら移動すると、ゲル化がさらに進行し、自己支持性を有するゲル膜25となる。このゲル膜25は剥取ローラ26により剥ぎ取って軟膜27となる。
回転ドラム22から剥取ローラ26により剥ぎ取られたゲル膜25から形成される軟膜27の縦弾性係数を450000Pa以上に保持すると渡り部30で軟膜27を搬送する際の搬送不安定化、例えば軟膜のツレシワ及びカールの発生並びにローラ上における接着の発生を抑制できる。また、ツレシワやカールが発生した場合にも、それらの矯正も容易に行える。なお、フイルム強度を保持する方法及びカールなどの矯正については、後に詳細に説明する。また、本発明において、軟膜27の縦弾性係数は、ロードセルを用いた延伸により行われた測定で得られた測定値を用いることが好ましい。
軟膜27の縦弾性係数は、前述した450000Pa以上であれば軟膜搬送中に発生するツレシワやカールの発生を抑制できる。また、その効果は600000Pa以上であることが好ましく、より好ましくは750000Pa以上である。軟膜の縦弾性係数が450000Pa未満では、軟膜の曲げ剛性が不足し、カールの発生を抑制することができない。また、剥取時の軟膜27の厚みは30μm以上であれば、座屈変形によるツレシワの発生を抑制できる。なお、本発明において軟膜27の厚みは30μm以上であることが好ましく、より好ましくは30μm〜550μmの範囲であり、最も好ましくは50μm〜350μmの範囲である。
渡り部30に設けられているローラ31,32,33,34,35,36は図示しない駆動装置により回転駆動する。なお、本発明において対向して設けられている各ローラ対(例えば、ローラ31とローラ34)において、いずれか1つが回転駆動し、他のローラは軟膜27の移動に伴って自由回転するローラであっても良い。各ローラ31〜36の表面粗さRaを0.05μm≦Ra≦0.5μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.1μm≦Ra≦0.4μmであり、最も好ましくは0.2μm≦Ra≦0.3μmの範囲である。この範囲にすることで、軟膜27とローラ31〜36表面との接着を抑制できる。ローラ31〜36の表面粗さが0.05μm未満であると軟膜27との接着力が向上してしまい、軟膜27の円滑な搬送が妨げられる場合がある。一方、表面粗さが0.5μmより大きいと、軟膜27の面上にローラ31〜36の周方向の研磨筋が写るという問題が生じる場合がある。
ローラ31〜36の表面の静止摩擦係数μ0及び動摩擦係数μも一定の範囲内のものを用いることにより、軟膜27にツレシワの発生を抑制できる。本発明において、静止摩擦係数μ0及び動摩擦係数μは、それぞれ鋼に対する値で規定する。また、0.036≦μ0≦0.044,0.018≦μ≦0.022の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.038≦μ0≦0.042,0.019≦μ≦0.021であり、最も好ましくは0.039≦μ0≦0.041,0.0195≦μ≦0.0205の範囲である。μ0が0.036未満であると軟膜27が隣接するローラ間(例えば、ローラ35とローラ36との間)で受ける乾燥収縮力により幅方向に移動し座屈変形を生じる場合がある。一方、μ0が0.044より大きいと軟膜27がローラ上で延伸されすぎるため、ローラに接触した直後に変形が生じ、ローラ上の保持力によりツレシワとして残ってしまう場合がある。
渡り部30には、図示したように複数のローラ31〜36が設けると、軟膜搬送時に隣接する各ローラ間の周速度を変えることで軟膜27の延伸を行うことが可能となり、ツレシワの発生を抑制できるために好ましい。例えば、ローラ35の周速度V1とその下流側直後に設けられたローラ36の周速度V2との周速度比(V2/V1)を1.0025≦(V2/V1)≦1.15の範囲が好ましく、より好ましくは1.005≦(V2/V1)≦1.10であり、最も好ましくは1.01≦(V2/V1)≦1.05の範囲とすることである。周速度比が1.0025未満であると軟膜27に加わる延伸力が不足して、ローラ上に軟膜が接着してしまう場合がある。また、周速度比が1.15より大きいとツレシワが発生してしまう場合がある。なお、本発明は3本以上のローラを用いてそれぞれの間の周速度比を一定値内にすることで、さらにツレシワの発生を抑制できる。例えば、軟膜搬送方向に対してa本のローラ(ローラ対でも良い)を設け、上流側のローラの周速度をVn とし、そのローラの下流側直後に設けられたローラの周速度をVn+1 とした場合に、1.0025≦(Vn+1 /Vn )≦1.15の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.005≦(Vn+1 /Vn )≦1.10であり、最も好ましくは1.01≦(Vn+1 /Vn )≦1.05である。なお、この場合にaは2≦であり、nは、1≦n≦(a−1)である。
前述したように隣接するローラ間の周速度比を一定値の範囲内にすることで、軟膜27の延伸歪み速度を1.4×10-4(1/s)以上と高くすることが可能となり、軟膜27に働く応力を増加することができ、ローラ上における軟膜の接着を抑制することができる。軟膜の延伸歪み速度が1.4×10-4(1/s)未満であるとローラ上における軟膜の接着を抑制する効果が不十分となる場合がある。本発明において延伸歪み速度は1.4×10- 3 (1/s)以上であることがより好ましく、最も好ましくは1.4×10-2(1/s)以上とすることである。
渡り部30のローラ31〜36の表面温度(以下、ローラ温度と称する)を低下させることにより軟膜27が冷却され弾性を増加することで軟膜の曲げ剛性を向上し、カールを抑制することができる。ローラ温度の調整を行うためにローラ31〜36に温度調整装置37が設けられていることが好ましい。温度調整装置37によりローラ温度を0℃以下にすると、軟膜27がローラ31〜36の表面に接触する際に伝熱により軟膜27の温度が調整されて、軟膜27の縦弾性係数(以下、フイルム強度とも称する)が向上する。ローラ温度が0℃よりも大きいとカールの発生を抑制するフイルム強度を増加させることが不十分な場合がある。ローラ温度は−10℃以下がより好ましく、最も好ましくは−20℃以下とすることである。なお、本発明において、軟膜27がゲル膜25であったときに、回転ドラム22に接触していた面を支持体接触面27aとし、その面27aの反対側を支持体接触反対面27bと称する。それぞれの面27a,27b側にそれぞれ設けられたローラ31〜33,ローラ34〜36のいずれか一方のみのローラ温度を調整しても良い。
また、軟膜27の温度を調整し、十分なフイルム強度とする方法には、図2に示したように送風機38a,38bを用いて風39を吹き付ける方法を用いても良い。送風機38a,38bから0℃以下の風39を軟膜27に吹き付けることにより、渡り部30で搬送されている軟膜27の縦弾性係数を450000Pa以上に保持し続けることが可能となり、軟膜27の曲げ剛性が向上しカールの発生を抑制することができる。本発明において、支持体接触面27a側に備えられている送風機38bと支持体接触反対面27b側に備えられている送風機38aとが、一体の送風機であって、それぞれの面側に送風口が設けられていても良いし、別体の送風機38a,38bをそれぞれの面27b,27a側に備えていても良い。また、送風機による風39の送風は支持体接触面27a側のみでも良いが、最も好ましくは図2に示すように両面27a,27b側に送風することである。なお、本発明において風39の温度は−10℃以下とすることがより好ましく、最も好ましくは−20℃以下とすることである。
風39を支持体接触反対面27b側に送風することで、面27bの乾燥が促進されて、溶媒をより多く含む支持体接触面27a側との乾燥速度差(dW/dt)を低減することができ、カールの発生を抑制できる。乾燥速度差(dW/dt)は、0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03(kg・solv/kg・solid/秒)以下であり、最も好ましくは0.01(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることである。なお、本発明においてWは、軟膜27中の(溶媒質量/固形分質量)から算出される値である。また、風39は湿度が5%以下の乾燥風を用いることがより好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
軟膜27を更に乾燥させるために乾燥部として、図1に示したように渡り部30の下流側にテンタ式乾燥機50が配置されている。前述したように軟膜27のカールの発生は抑制されているため、軟膜27をテンタ式乾燥機50に送り込む際に発生する、テンタ式乾燥機50の入口側での噛み込み不良を抑制できる。テンタ式乾燥機50を用いて80℃以上140℃以下の温度範囲で10秒以上180秒以下で軟膜27を乾燥させることが好ましい。またその際に、1%以上20%以下の範囲で軟膜27の幅方向に延伸することにより、軟膜27に残っていたカールを矯正することができる。1%未満の幅方向の延伸や、80℃未満の温度や、10秒未満の乾燥時間ではカールを矯正する効果が不足する場合がある。しかしながら、本発明では、前記各数値範囲に限定されるものではない。
また、テンタ式乾燥機50を用いて軟膜27の乾燥を行う際に、軟膜27の揮発分W1(kg・solv/kg・solid)を0.05≦W1≦1の範囲で行うことが好ましい。揮発分が低い領域においては、溶媒が少ないためポリマー分子間の相互作用が生じやすくなる。特にポリマーにTACを用いた際に、この相互作用が生じやすくなる。そのため、揮発分が高い領域よりも軟膜27に加わる応力が大きくなる。W1が0.05(kg・solv/kg・solid)未満では軟膜27を延伸することが困難となる場合がある。また、W1が1(kg・solv/kg・solid)を超えるとツレシワ及びカールを矯正する効果が少なくなる場合もある。
軟膜27は乾燥されフイルム28としてテンタ式乾燥機50から送り出される。フイルム28は、多数のローラ52が配置されている乾燥室51に送り込まれる。フイルム28は、それらローラ52に巻き掛かりながら搬送されながら乾燥される。乾燥室51の温度が100℃〜150℃の範囲であり、乾燥時間が5min〜20minの範囲であることが好ましいが、これら範囲内に限定されるものではない。さらに、冷却室53でフイルム28は室温程度まで冷却された後に、巻取機54で巻き取られる。なお、冷却室53での冷却温度は室温程度(約25℃)にすることが好ましいが、本発明においてフイルムの冷却温度はそれに限定されるものではなく、例えば約60℃程度まで冷却しても良い。また、本発明において、フイルム28は巻き取られる前に、耳切りが行われたり、ナーリングが付与されたりしても良い。なお、本発明の溶液製膜方法を実施するために用いられるフイルム製膜ラインは、図1及び図2に示したものに限定されるものではない。
図3を用いて本発明の溶液製膜方法を実施するための他の実施形態について説明する。なお、図1及び図2に示したフイルム製膜ライン10と同じ箇所の図示及び説明は省略する。図3に示した渡り部60には軟膜27をニップするニップローラ61とバックアップローラ62とが設けられている。ニップローラ61は支持体接触面27a側に配置されており、軟膜27に発生したカールをニップすることで矯正できる。ニップ圧力は特に限定されないが、0.1kPa〜1kPaの範囲とすると、カールの矯正を行いつつ、フイルムの面状を良好に保つことができるために好ましい。テンタ式乾燥機50へ軟膜27を搬送する前に、軟膜27をニップしカールの矯正を行うと、テンタ式乾燥機50の入口側での噛み込み不良を引き起こすことなくなる。
さらに、図3に示すようにニップローラ61の表面温度を温度調整装置63を用いて0℃以下とし、溶媒を多く含む支持体接触面27a側の乾燥を抑制し、支持体接触反対面27b側との乾燥速度差を低減することが可能となり、カールの発生をさらに抑制することができる。この場合の乾燥速度差(dW/dt)も前述したように0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下であることが好ましく、より好ましくは0.03(kg・solv/kg・solid/秒)以下であり、最も好ましくは0.01(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることである。
前述したように図1及び図2並びに図3に示した渡り部30,60には、ローラが軟膜を挟んで対になって配置されていた。しかしながら、本発明の溶液製膜方法を実施するための渡り部のローラの配置は前述したものに限定されるものではない。図4を用いて更に他の実施形態を説明する。なお、図1及び図2に示したフイルム製膜ライン10と同じ箇所の図示及び説明は省略する。渡り部70にはニップローラ71,72とローラ73,74,75とが軟膜27を挟んで千鳥状に配置されている。このようにローラ71〜75を配置することにより、支持体接触反対面27bを下に押さえつける力が働きカールの発生を抑制でき、またカールが発生したときには矯正を行うことが容易となる。なお、図4の実施形態においても、図示しない温度調整装置や送風機を用いることも可能である。また、駆動装置(図示しない)を接続して回転駆動させるローラは任意のものを選択できる。
[多層膜による溶液製膜方法]
前述した説明では単層用の流延ダイ21を一基用いた単層流延法による溶液製膜方法について説明した。しかしながら、本発明の溶液製膜方法は図1ないし図4に示した形態に限定されるものではない。例えば、支持体を回転ドラム22に換えて流延ベルトを用いることも可能である。さらに、他の実施形態、特に多層流延の実施形態については、図面を参照して説明する。なお、図1に示したフイルム製膜ライン10と同じ箇所についての説明及び図示は省略する。
図5に他の実施形態である共流延方法を説明するための要部断面図を示す。複数のマニホールド80,81,82を有するマルチマニホールド流延ダイ83のそれぞれのマニホールド80〜82にドープ84,85,86が供給され(供給用配管の図示は省略している)、合流部87で合流して、流延ベルト88にドープ84〜86を流延してゲル膜89を形成した後に剥ぎ取り軟膜を乾燥してフイルムが製膜される。得られたフイルムについては、後に詳細に説明する。
図6を用いて共流延方法の他の実施形態について説明する。流延ダイ100の上流側にフィードブロック101を取り付け、フィードブロック101に接続されている配管101a,101b,101cに給液装置(図示しない)からドープ102,103,104を送液してフィードブロック101内で合流させた後に流延ダイ100から流延ベルト105上に流延する。流延ベルト105上に形成されたゲル膜106を軟膜として剥ぎ取り、乾燥してフイルムを製膜する。得られたフイルムについては、後に詳細に説明する。なお、図5及び図6の支持体としては流延ベルトに換えて回転ドラムを用いることも可能である。
図7を用いて更に他の実施形態である逐次流延方法について説明する。本実施形態では、3基の流延ダイ110,111,112が流延ベルト113上に配置されている。各流延ダイ110〜112には、それぞれドープ114,115,116が給液装置(図示しない)から送液される。それらドープ114〜116を逐次的に流延ベルト113上に流延してゲル膜117を形成した後に剥ぎ取り軟膜を乾燥してフイルムが製膜される。得られたフイルムについては、後に詳細に説明する。
図8は、図5ないし図7で得られた多層流延方法(共流延方法及び逐次流延方法)で得られた3層構造の軟膜120を示している。なお、本発明において軟膜とは支持体上のゲル膜を剥ぎ取った後に乾燥されたフイルムになる間の膜を意味しており、前述したゲル膜やフイルムも軟膜と称する場合もある。また、軟膜の縦弾性係数をフイルム強度と称する場合もある。軟膜120は、表面層121と中間層122と裏面層123とから構成されている。本発明では、中間層122を形成するドープ85(図5),103(図6),115(図7)には、表面層及び裏面層を形成するドープ84,86(図5)、102,104(図6)、114,116(図7)よりも高濃度のドープ(以下、高濃度ドープと称する)を用いる。高濃度ドープから形成された中間層122は、フイルム強度が向上したものになっている。
共流延方法と逐次流延方法によれば、各層の流延幅の制御が可能であることから中間層122を高濃度ドープで流延し、表面層121と裏面層123とには中間層用ドープである高濃度ドープより低濃度の低濃度ドープを流延することで、カールが発生しやすい軟膜の耳端部120a,120bにフイルム強度を向上させた層を形成し、面状品質を確保するために必要となる表面層121及び裏面層123には低濃度ドープを用いる。なお、本発明において耳端部120a,120bとは、軟膜の縁120c,120dからL1(mm)の範囲と規定し、L1=10mmが最も好ましい。高濃度ドープは、軟膜120の耳端部120a,120bの縦弾性係数が450000Pa以上となるように、固形分重量が、20重量%〜25重量%の範囲のものを用いることが好ましい。また、低濃度ドープは、面状品質を良好なものに保つため、15重量%〜20重量%の範囲のものを用いることが好ましいが、いずれのドープもそれら各数値範囲内に限定されるものではない。なお、本発明の溶液製膜方法を多層流延で行う際の積層数は、3層に限定されるものではない。
図9に他の実施形態の軟膜を示す。図9(a)に示した軟膜130は、両耳端部130a,130bが中央部130cより厚く形成されている。このような軟膜130を形成するための流延ダイ140を図10(側面図)及び図11(断面図)に示して説明する。流延ダイ140にはドープ供給用配管141が取り付けられている。配管141の流路142からドープ143が流延ダイ140に送液される。流延ダイ140内のマニホールド144により流延幅に拡幅される。なお、マニホールドの両縁にはドープ143の漏れを防ぐために、マニホールド栓145が取り付けられている。ドープ143はスリット146を通り、ダイリップ147から支持体(図示しない)上に流延される。スリット146の両縁には拡散板148が取り付けられている。拡散板148は、ダイリップ147に対して傾斜角度Dを有している。また、ダイリップ147のスリット146の幅をW2(図10参照)とする。
傾斜角度Dとスリット幅W2とを最適な値とした流延ダイ140を用いると、図9(a)に示した軟膜130の両耳端部130a,130bの厚み(縁部の厚み)Aを中央部130cの厚み(他の部分の厚み)Bより厚くなるように流延することが可能となる。曲げ剛性は厚みの3乗に比例するから、耳端部130a,130bの厚みAの制御はカール抑制に効果的である。なお、この場合にはおいても、耳端部130a,130bの幅L1は、10mmであることが最も好ましい。剥ぎ取り時の耳端部130a,130bの厚みAは、30μm≦A≦560μmが好ましく、より好ましくは100μm≦A≦400の範囲であり、最も好ましくは150μm≦A≦350μmの範囲である。耳端部厚みAが30μm未満ではカールを抑制する効果が得られない場合がある。また、耳端部厚みAが560μmより大きいと軟膜の揮発分が高い状態では支持体上に剥げ残りが生じる場合がある。
また、軟膜130の耳端部130a,130bの厚みAと中央部130cの厚みBとの比(A/B)が、1≦(A/B)≦5の範囲であることが好ましい。厚み比(A/B)が1未満であると耳端部を厚くすることにより曲げ剛性を大きくしカールの発生を抑制するという本発明の効果が得られない場合がある。また、厚み比(A/B)が5より大きいと、支持体上への剥ぎ残りといった搬送に支障をきたすおそれが生じるからである。
耳端部130a,130bの厚みAを前述した範囲とするため、ダイリップ147のスリット幅W2は、500μm≦W2≦2000μmの範囲が好ましく、より好ましくは700μm≦W2≦1500μmであり、最も好ましくは800μm≦W2≦1000μmである。また、拡散板148の傾斜角度Dは、30°≦D≦90°の範囲が好ましく、より好ましくは40°≦D≦70°であり、最も好ましくは50°≦D≦60°であるが、本発明のスリット幅W2及び拡散板傾斜角度Dは、前述した範囲に限定されるものではない。
本発明の軟膜は図9(a)に示したように単層に限定されない。例えば図9(b)に示すように多層流延方法(共流延方法及び逐次流延方法)を用いた流延により多層構造(図では3層を)の軟膜131においても、耳端部131a,131bの厚みAを前述の範囲とすることが好ましい。また、耳端部131a,131bの厚みAと中央部131cの厚みBとの比も前述の範囲であることが好ましい。なお耳端部が軟膜の両縁でその厚みが異なる場合には、薄い方を耳端部厚みAとする。また、前述した中央部とは、軟膜からフイルムを形成した際に、フイルム製品となる箇所を意味している。なお、本発明の溶液製膜方法を多層流延で行う際の積層数は、図示した3層に限定されるものではない。
また、本発明の溶液製膜方法は、渡り部30(図2参照)の支持体接触反対面27b側に配置されているローラ34〜36の耳端部に対応した箇所のみを冷却することにより、カールの発生を抑制できる。図12に示したローラ対150は、軟膜27の支持体接触面27a側に配置されたローラ151と支持体接触反対面27b側に配置されたローラ152とからなる。ローラ151,152は図示しない駆動装置により回転し渡り部の軟膜27を搬送する。ローラ152は冷却部152aと中央部152bと冷却部152cに分割されている。冷却部152a,152cにはそれぞれ配管153,154が取り付けられており、それらの中に冷媒を流すことにより、冷却部152a,152cを冷却できる構造になっている。また、配管153,154は、それぞれ流路155,156、流路157,158を介して温度調整装置37と接続している。
温度センサ(図示しない)により冷却部152a,152cの温度を測定し、その値に基づいて流路155,配管153,冷却部152a,流路156に冷媒を流し、冷却部152aにより耳端部27cを冷却する。また、他端の耳端部27dも同様に流路157,配管154,冷却部152c,流路158に冷媒を流して冷却された冷却部152cにより冷却する。支持体接触反対面27b側の耳端部27c,27dを冷却することにより、耳端部27c,27dに気化溶媒が凝縮して溶媒が付着して、溶媒分を多く含む支持体接触面27a側との乾燥速度差が小さくなり、カールの発生を抑制することができる。冷却部152a,152cは、軟膜の縁27e,27fから長さL2として場合、L2=10mmであることが最も好ましい。また、冷媒には、グリコール系,フッ素系,アルコール系の物質(純物質であっても良いし、混合物であっても良い)などを用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
図2に示した渡り部30には3対のローラ対が配置されているが、本発明において全てのローラ対に対して図12に示したように支持体接触反対面27b側に配置されたローラ34〜36の耳端部に対応する箇所を冷却することにより、軟膜27にカールの発生を最も抑制できるため最も好ましい。また、本発明において、支持体接触反対面27bを冷却するローラは、図12に示したように必ずしもローラ対を構成している必要はない。例えば、図4に示した渡り部70のようにローラ71〜75が千鳥状に配置されている場合にも、支持体接触反対面27b側の少なくとも1つを冷却することでカールの発生を抑制できる。この場合には、最も上流側のローラ73を冷却することが好ましい。最も好ましいのは、支持体接触反対面27b側のローラ73〜75の耳端部に対応する箇所を全て冷却することである。
[フイルムなど]
本発明の溶液製膜方法を用いれば、15μm〜150μmの薄手のフイルムを容易に製膜することが可能である。なお、フイルムの厚みは35μm〜65μmがより好ましく、最も好ましくは35μm〜60μmのフイルムの製膜に適用することである。
本発明の溶液製膜方法を用いて製膜されたフイルム28は、偏光板保護膜などの光学用フイルムとして用いることができる。この偏光板保護膜をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、前記フイルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フイルム、防眩層をフイルム上に形成した反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品からは、液晶表示装置の一部である液晶表示板を構成すると、フイルムの面状が優れているため、光学特性に優れた液晶表示装置を製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。始めに、実験に用いるドープの調製方法を説明する。次に、フイルムのツレシワとローラへの接着とを調べた実施例1及び比較例1ないし比較例6を実験1として説明する。実験条件及び結果については後に表1にまとめて示す。なお、説明は実施例1で詳細に行い、比較例の実験条件で実施例1と同じ箇所については、説明を省略した。そして、カールの発生の有無を調べた実施例2ないし実施例4並びに比較例7及び比較例8を実験2として説明し、実験条件及び結果については後に表2にまとめて示す。なお、説明は実施例2で詳細に行い、その他の実施例及び比較例の実験条件で実施例2と同じ箇所については、説明を省略した。また、実施例2の説明において実施例1と同じ条件の箇所の説明も省略した。
[ドープAの調製]
ジクロロメタン(85重量%),メタノール(12重量%),n−ブタノール(3重量%)の混合組成比の混合溶媒100重量部を用いた。また、溶質(固形分)のポリマーとしてセルローストリアセテート(酢化度60.9%)26.8重量部を用いた。さらに、その他添加剤として可塑剤であるTPP2.1重量部,BDP1.1重量部を用いてドープAを調製した。このドープAの30℃粘度は、100Pa・sであり、−5℃貯蔵弾性は、10万Paであった。このドープAをミキシングタンク11に仕込んだ。なお、本発明において溶質の重量部とは、前述した混合溶媒に対する比を意味している。
[ドープBの調製]
酢酸メチル(85重量%),アセトン(5重量%),エタノール(5重量%),n−ブタノール(5重量%)の混合組成比の混合溶媒100重量部を用いた。また、溶質(固形分)のポリマーとしてセルローストリアセテート(酢化度59.6%)26.8重量部を用いた。さらに、その他添加剤として可塑剤であるTPP2.1重量部,BDP1.1重量部を用いて、ドープBを調製した。このドープBの30℃粘度は、100Pa・sであり、−5℃貯蔵弾性は、12000Paであった。このドープBをミキシングタンク11に仕込んだ。
<実験1>
フイルム製膜ライン10(図1参照)を用いてフイルムの製膜を行った。流延ダイ21にはコートハンガー型ダイを用いた。また、支持体である回転ドラム22には、ハードクロムメッキを施し、表面粗さを0.04Sとなるように鏡面仕上げをした。渡り部30のローラ31〜36は、表面粗さ(Ra)が0.2μm,静止摩擦係数(μ0)が0.04,動摩擦係数(μ)が0.02のものを用いた。ローラ35の周速度V1とローラ36の周速度V2との周速度比(V2/V1)は1.05とした。また、ローラ34の周速度V0とローラ35の周速度V1との比(V1/V0)も1.05とした。
前述した実験条件に設定した後に、30℃のドープAを乾燥後のフイルム28の膜厚(厚み)が40μmとなるように回転ドラム22上に流延速度を50m/minとして流延した。ゲル膜25を剥取ローラ26で剥ぎ取って軟膜27を得た。この軟膜27の縦弾性係数をロードセルを用いて測定したところ500000Paであり、膜厚は60μmであった。渡り部30で軟膜27の表面温度が−5℃となるように送風機38b(図2参照、支持体接触面27a側)で−5℃の風39を軟膜27に吹き付けた。さらに、軟膜27をテンタ式乾燥機50で135℃,3分間乾燥した後に、145℃の乾燥室51で15分間乾燥した後、60℃の冷却室53で2分間冷却した。最後に、フイルム28として巻取機54で巻き取った。フイルム28を目視で観察したところ、ツレシワの発生が無く(○)、ローラ31〜36への接着も全く見られない(○)、面状の良好なフイルムが得られた。また、フイルム28の面のレターデーションを測定したところ、2nmであり、光学異方性がない良好な光学特性を有するフイルムであった。
[比較例1ないし比較例6]
表1に示した実験条件以外は、実施例1と同じ条件で製膜を行った。なお、比較例2では製膜後のフイルムの膜厚を17μmとするため、軟膜の膜厚を25μmとなるように流延を行った。なお、各実験条件及び結果は表1に示す。
Figure 2007210344
表1より比較例1ではツレシワが発生(×)し、ローラ上に接着も発生した(×)。比較例3及び比較例5では、ツレシワの発生は見られなかった(○)が、ローラ上に弱い接着が発生した(△)。比較例4及び比較例6では、ツレシワの弱い発生が見られた(△)が、接着は発生しなかった(○)。このように、実施例1の実験条件では、ツレシワの発生が抑制されて、接着も生じなかった。また、比較例2ないし比較例6の各実験から得られたフイルムは、ツレシワ,接着のいずれかが実施例1よりも悪化したものであるが、それらフイルムを用いた製品の種類によっては、使用可能である。その場合には、比較例2ないし比較例6は、本発明の効果が生じた実施例と見なすことができる。
<実験2>
実施例1と同じフイルム製膜ライン10(図1参照)を用いてフイルムの製膜を行った。回転ドラム22の表面温度が−5℃に保持されるように温度調整装置23で調整を行った。渡り部30のローラ31〜36は、表面粗さ(Ra)が0.2μm,静止摩擦係数(μ0)が0.04,動摩擦係数(μ)が0.02のものを用いた。ローラ35の周速度V1とローラ36の周速度V2との周速度比(V2/V1)は1.05とした。また、ローラ34の周速度V0とローラ35の周速度V1との比(V1/V0)も1.05とした。
前述した実験条件に設定した後に、30℃のドープAを乾燥後のフイルム28の膜厚(厚み)が40μmとなるように回転ドラム22上に流延速度を80m/minとして流延した。ゲル膜25を剥取ローラ26で剥ぎ取って軟膜27を得た。この軟膜27の縦弾性係数をロードセルを用いて測定したところ500000Pa、膜厚は60μmであった。ローラ31〜36の表面温度が−5℃になるように温度調整装置37により調整した。渡り部30における支持体接触面27aと支持体接触反対面27bとの乾燥速度差(dW/dt)は0.04(kg・solv/kg・solid/秒)であった。軟膜27の耳端部130a,130bの膜厚Aは25μmであり、中央部130cの膜厚Bとの比(A/B)は0.42であった(図9(a)参照)。さらに、軟膜27をテンタ式乾燥機50で120℃,10秒間横幅方向に4%延伸しながら乾燥させた。この延伸時の溶媒揮発分W1は15重量%であった。その後に、145℃の乾燥室51で15分間乾燥した後、60℃の冷却室53で2分間冷却した。最後に、フイルム28として巻取機54で巻き取った。フイルム28の面のレターデーションを測定したところ、1.5nmであり、光学異方性がない良好な光学特性を有するフイルムが得られた。
[カール評価方法]
(1.全面カールの評価方法)
乾燥したフイルムの全面カール(なお、後に示す表2中では製品カールと称している)の評価を下記の方法により行った。幅(フイルム幅方向)35mm×長さ(搬送方向)3mmのサンプルを採取し、水温20℃〜25℃の水中に3分間浸した後に、真上から湾曲程度を目測で0.1mmまで測定し評価した。幅方向について5点サンプリングして平均値を下記の3段階で評価した。
−0.1cm-1以上3.5cm-1未満;○
3.5cm-1以上5cm-1未満;△
5cm-1以上;×
実施例2の全面カール(製品カール)の平均値は、1cm-1であり、良品(○)であった。
(2.耳端部カールの評価方法)
乾燥したフイルムの両耳端部を全面カールの評価方法と同じ方法でサンプリングして、処理、測定及び評価を行った。実施例2の耳端部カールの平均値は、1.5cm-1であり、良品(○)であった。
実施例2に用いたフイルム製膜ライン10の渡り部を図3に示したものに変更した以外は同じラインを用いた。なお、ニップローラ61は、その表面温度が−5℃となるように温度調整装置63を用いて制御した。30℃のドープBを乾燥後のフイルム28の膜厚が40μmとなるように回転ドラム22上に流延速度を80m/minとして流延した。ゲル膜25を剥取ローラ26で剥ぎ取って軟膜27を得た。この軟膜27の縦弾性係数をロードセルを用いて測定したところ450000Paであり、膜厚は60μmであった。ローラ31,32,34,35の表面温度が2℃となるように温度調整装置63により調整した。そして、ニップローラ61を用いて圧力0.2kPaで軟膜27をニップした。渡り部30における支持体接触面27aと支持体接触反対面27bとの乾燥速度差(dW/dt)は0.02(kg・solv/kg・solid/秒)であった。その後は実施例2と同じ条件で実験を行った。フイルム28の面のレターデーションを測定したところ、1.8nmであり、光学異方性がない良好な光学特性を有するフイルムであった。また、このフイルムを実施例2と同じ方法により全面カール(製品カール)と耳端部カールと測定したところ、いずれの結果も良好である(○)のものが得られた。
実施例2に用いたフイルム製膜ライン10中の回転ドラム22の表面温度を2℃に調整した以外は同じものを用いた。30℃のドープBを乾燥後のフイルム28の膜厚が40μmとなるように回転ドラム22上に流延した。ゲル膜25を剥取ローラ26で剥ぎ取って軟膜27を得た。この軟膜27の縦弾性係数をロードセルを用いて測定したところ450000Paであり、膜厚は60μmであった。ローラ31,32,34,35の表面温度が2℃となるように温度調整装置63により調整した。渡り部30における支持体接触面27aと支持体接触反対面27bとの乾燥速度差(dW/dt)は0.06(kg・solv/kg・solid/秒)であった。その後は実施例2と同じ条件で実験を行った。フイルム28の面のレターデーションを測定したところ、1.5nmであり、光学異方性がない良好な光学特性を有するフイルムであった。また、このフイルムを実施例2と同じ方法により全面カール(製品カール)と耳端部カールと測定したところ、いずれの結果も良好である(○)のものが得られた。
[比較例7及び比較例8]
表2に示した実験条件以外は、実施例2と同じ条件で製膜を行った。
Figure 2007210344
表2から比較例7の実験では全面カール(製品カール)の発生(×),耳端部カールの発生(×)が見られた。また、比較例8では、全面カール(製品カール)の発生が若干見られた(△)が、耳端部カールの発生は見られなかった(○)。そこで、比較例8の実験から得られたフイルムは、全面カール(製品カール)に若干の難があるが、そのフイルムを用いた製品の種類によっては、使用可能である。その場合には、比較例8の実験は、本発明の効果が生じた実施例と見なすことができる。
本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの概略図である。 図1に示したフイルム製膜ラインの要部拡大概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ラインの要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ラインの要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ラインの要部断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ラインの要部断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ラインの要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法により形成された軟膜の断面図である。 本発明の溶液製膜方法により形成された他の実施形態の軟膜の断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられる流延ダイの側面図である。 図10に示した流延ダイの断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるローラの概略図である。
符号の説明
10 フイルム製膜ライン
27 軟膜
27a 支持体接触面
27b 支持体接触反対面
28 フイルム
30,60 渡り部
37 温度調整装置
38 送風機
50 テンタ式乾燥機
61 ニップローラ
120a,120b,130a,130b 耳端部
130c 中央部
148 拡散板
A 耳端部厚み
B 中央部厚み
D 拡散板傾斜角度
L1 耳端部幅
W2 スリット幅

Claims (15)

  1. ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記軟膜を搬送している際に、
    前記軟膜の支持体接触反対面に乾燥風を吹き付けて支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記搬送している際に、前記軟膜の支持体接触面側をニップするためのニップローラを用いて、
    前記軟膜をニップすることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体上に流延ダイを用いて流延して、形成された軟膜を剥ぎ取り、乾燥部までローラを用いて搬送し、乾燥してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記軟膜の支持体接触面側を表面温度が0℃以下のニップローラを用いてニップし、
    かつ支持体接触反対面と前記支持体接触面との乾燥速度差(dW/dt)を0.05(kg・solv/kg・solid/秒)以下とすることを特徴とする溶液製膜方法。
  4. 共流延方法又は逐次流延方法の少なくともいずれか1つの方法により、ポリマーと溶媒とを含む複数のドープを用いた場合であって、
    他のドープより高濃度のドープが前記軟膜の両縁部となるように流延し、
    前記両縁部の縦弾性係数を450000Pa以上とすることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  5. 前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAを30μm≦A≦560μmとすることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  6. 前記流延ダイのリップ調整及び前記流延ダイの両縁部の拡散板の傾きにより、前記軟膜を剥ぎ取る際、前記軟膜の両縁部の厚みAと他の部分の厚みBとの比(A/B)を1≦(A/B)≦5とすることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  7. 前記縁部が前記軟膜の幅方向で、前記軟膜の縁から10mmの範囲であることを特徴とする請求項4ないし6いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  8. 前記乾燥部にテンタ式乾燥機を用いて、
    前記テンタ式乾燥機の入口側で前記軟膜を噛み込むことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  9. 前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜を幅方向で1%以上20%以下の範囲で延伸し、かつ80℃以上140℃以下の温度範囲で10秒以上180秒以下乾燥することを特徴とする請求項8記載の溶液製膜方法。
  10. 前記テンタ式乾燥機で、前記軟膜の溶媒揮発分W1を0.05(kg・solv/kg・solid)≦W1≦1(kg・solv/kg・solid)の範囲とすることを特徴とする請求項8または9記載の溶液製膜方法。
  11. 前記ローラの表面粗さRaが、
    0.05μm≦Ra≦0.5μmの範囲のものを用いることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  12. 前記ローラを複数本用いた場合であって、
    前記軟膜の搬送方向に対して上流側に設けられた一のローラの周速度V1(m/min)と、
    前記一のローラの下流側直後に設けられた他のローラの周速度V2(m/min)との周速度比(V2/V1)を1.0025≦V2/V1≦1.15の範囲とすることを特徴とする請求項1ないし11いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  13. 前記軟膜に加えられる延伸歪み速度を1.4×10-4(1/s)以上とすることを特徴とする請求項12記載の溶液製膜方法。
  14. 前記ローラ表面の静止摩擦係数μ0が、0.036≦μ0≦0.044の範囲であり、
    動摩擦係数μが、0.018≦μ≦0.022の範囲にあるものを用いたことを特徴とする請求項1ないし13いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  15. 前記ポリマーにセルロースアシレートを用いたことを特徴とする請求項1ないし14いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
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