JP4504650B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶液製膜方法に関する
フイルムを製造する方法としては、従来から溶融押出方法と溶液製膜方法とが知られている。例えば、セルローストリアセテートフイルムは、一般的に溶液製膜方法により製造されている。溶液製膜方法は、溶融押出方法などの他の製造方法と比較して、光学的性質(光学等方性)や物性、厚み均一性に優れ、また異物も少ないフイルムを製造することができる。ポリマーにセルロースアシレート、特にセルローストリアセテート(以下、TACと称する)を用いて製膜されたフイルムは、写真フイルムのベースフイルム、偏光板保護フイルム、位相差フイルム、透明導電性フイルム、防眩性反射防止フイルムなどのオプト・エレクトロニクス製品の用途として利用されている。
図13に従来の溶液製膜方法を実施するために用いられている製膜設備(以下、フイルム製膜ラインと称する)150を示して説明する。ポリマーを溶媒に溶解したポリマー溶液(以下、ドープと称する)151をミキシングタンク152からポンプ153により濾過装置154に送液し、不純物を除去した後に、流延ダイ155より支持体(例えば、流延ベルトや回転ドラムなどが挙げられる)156上に流延して、流延膜(以下、ゲル膜とも称する)157を形成する。乾燥して自己支持性を有した後に剥取ローラ158で支持しながら支持体156より剥ぎ取って軟膜(以下、多量の溶媒を含んでいるフイルムを軟膜と称する場合もある)159を得る。
軟膜159には溶媒が多量に含まれており、軟膜159を乾燥して溶媒を揮発させる必要がある。そこで溶液製膜方法では、製膜されたフイルムの製品となるフイルム中央部に無接触で搬送乾燥が可能なテンタ乾燥機160で剥取後の軟膜159を乾燥することを通常行う。剥取ローラ158からテンタ乾燥機160までの間(渡り部と称する)161では、多数の渡りローラ162で軟膜159を搬送する。テンタ乾燥機160で乾燥された軟膜159はフイルム163として送り出され、乾燥室164、冷却室165を通り巻取機166で巻き取られる。しかしながら、溶媒が揮発する際に軟膜159の各部分からの揮発速度が異なるため、カールと呼ばれる軟膜の縁が湾曲する現象が生じる場合があった。また、テンタ乾燥機160は軟膜159の縁を挟持して搬送するために、軟膜159の縁にカール(以下、耳部カールとも称する)が発生していると、テンタ乾燥機入口側160aでの噛み込み不良の原因となり、フイルムの連続製膜の際に問題が生じていた。特にフイルム厚みが薄くなるほど、カールが発生しやすくなり、この耳部カールが大きくなると、軟膜(フイルム)159の搬送不能に陥る場合があった。
そこで、支持体からの剥取位置からテンタ乾燥機に搬送されるまでの間(以下、渡り部と称する)にカール矯正装置を設置する方法(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)や、渡り部にカールの発生を抑制し、フイルムと無接触の搬送ゾーンを設けたりする方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−090944号公報 特開2001−277267号公報
しかしながら、フイルム厚みが薄くなることにより、支持体から剥ぎ取った軟膜に大きなカールが発生し、搬送の不安定化が生じていた。
本発明は、フイルム厚みが薄くても、渡り部の搬送を安定化し、カールが発生することを抑制し、テンタ乾燥機に挿入される際の噛込不良を防止した溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明者は、渡り部の軟膜(溶媒を多量に含んでいるフイルムを意味している。)両面に対し、ガイド板を設け、ガイド板と軟膜とが接触しないように浮上風を与えることで、装置の大型化を図ることなく、カールの発生を抑制できることを見出した。また、ガイド板の前記軟膜に対している面(表面)には、溝や凹凸の加工を施したり、フッ素を素材としてコーティングを施したりすることにより表面エネルギーを下げることにより、軟膜がガイド板表面に接触しても、付着することが抑制されて搬送不良の低減を図ることも可能であることも見出した。さらに、ガイド板をテンタ乾燥機のフイルム噛込部の直前まで配置することにより、渡り部における軟膜の搬送不良を更に低減できることをも見出した。
本発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体に流延し、前記支持体と接触する支持体接触面及びこの支持体接触面の反対側にある支持体接触反対面を有する軟膜を前記支持体上に形成し、この軟膜を剥ぎ取り、テンタ乾燥機に搬送してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記支持体から前記軟膜を剥ぎ取った後、前記軟膜の縁の前記支持体接触面側及び前記支持体接触反対面側に設けられたガイド部を用いて、前記軟膜の前記支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、前記ガイド部と前記支持体接触反対面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送し、前記第1の風が吹き付けられる前記支持体接触反対面は下方を向いており、前記第1の風は、前記軟膜よりも下方から前記前記支持体接触反対面に向かって流れる浮上風であることを特徴とする。
また、本発明は、ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体に流延し、前記支持体と接触する支持体接触面及びこの支持体接触面の反対側にある支持体接触反対面を有する軟膜を前記支持体上に形成し、この軟膜を剥ぎ取り、テンタ乾燥機に搬送してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記支持体から前記軟膜を剥ぎ取った後、前記軟膜の縁の前記支持体接触面側及び前記支持体接触反対面側に設けられ、先端が前記テンタ乾燥機の内部まで伸びるように形成されたガイド部を用いて、前記支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、前記ガイド部と前記支持体接触反対面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送し、前記第1の風が吹き付けられる前記支持体接触反対面は下方を向いており、前記第1の風は、前記軟膜よりも下方から前記前記支持体接触反対面に向かって流れる浮上風であることを特徴とする。
前記第1の風の第1吹き出し口を前記ガイド部に設け、前記第1吹き出し口での前記第1の風の温度を20℃以下とすることが好ましい。また、前記第1の風の前記軟膜に対する吹き付け角度α1が5°以上85°以下の範囲であることが好ましい。更に、前記第1の風の第1吹き出し口を前記ガイド部に設け、前記第1吹き出し口の上縁部と下縁部との鉛直方向での段差β1が、−10mm≦β1≦10mmの範囲であることが好ましい。
前記ガイド部を用いて前記支持体接触面に第2の風を吹き付け、前記ガイド部と前記支持体接触面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送することが好ましい。また、前記第2の風の前記軟膜に対する吹き付け角度α2が5°以上85°以下の範囲であることが好ましい。更に、前記第2の風の第2吹き出し口を前記ガイド部に設け、前記第2吹き出し口の上縁部と下縁部との鉛直方向での段差β2が、−10mm≦β2≦10mmの範囲であることが好ましい。加えて、前記第1の風及び前記第2の風は、前記軟膜の搬送方向上流側から下流側への方向と、前記軟膜の中央部から前記軟膜側縁部側への方向との間のいずれかの方向へ向けられていることが好ましい。
前記ガイド部の前記軟膜側の面の純水との接触角が、45°以上のものを用いることが好ましい。また、前記ガイド部の前記軟膜面側の面に、フッ素を含む素材をコーティングしたものを用いることが好ましい。更に、前記ガイド部の前記軟膜面側の面に、前記軟膜搬送方向と前記軟膜の縁から前記軟膜が延伸される方向を正とした方向との成す角が0°〜45°の溝を設けることが好ましい。
前記ガイド部の前記軟膜面側の面の表面粗さ(Ra)が、50μm≦Ra≦500μmのものを用いることが好ましい。また、前記軟膜の両面側に設けられた前記ガイド部の間隔L1を1mm≦L1≦20mmの範囲のものを用いることが好ましい。更に、前記ポリマーにセルロースアシレートを用いることが好ましい。
本発明の第1の溶液製膜方法によれば、支持体から軟膜を剥ぎ取った後、軟膜の縁の支持体接触面側及び支持体接触反対面側に設けられたガイド部を用いて、軟膜の支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、ガイド部と支持体接触反対面とが非接触の状態で軟膜を搬送するから、渡り部における軟膜の搬送を安定して行うことができる。
本発明の第2の溶液製膜方法によれば、支持体から軟膜を剥ぎ取った後、軟膜の縁の支持体接触面側及び支持体接触反対面側に設けられ、先端がテンタ乾燥機の内部まで伸びるように形成されたガイド部を用いて、支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、ガイド部と支持体接触反対面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送するから、渡り部における軟膜の搬送を安定化でき、またテンタ乾燥機に軟膜を挿入する際の噛込不良を防止できる。また、前記ガイド部が、前記テンタ乾燥機の噛み込み部の拡縮と連動して拡縮し、前記テンタ乾燥機の挟持手段と干渉しないものを用いるから、製膜するフイルムの幅の変更に容易に対応できる。
本発明の第1及び第2の溶液製膜方法を行う際に、前記ガイド部で前記軟膜の前記支持体接触面に第2の風を吹き付け、前記ガイド部と前記軟膜とを非接触で搬送すると、軟膜の搬送高さが一定になり、より搬送の安定化を図ることができる。また、軟膜の耳端部のカールの発生を抑制することができ、またカールが発生した際に、カールの矯正を渡り部を搬送している間に行うことができる。
本発明の溶液製膜方法を行う際に、前記ガイド部の前記軟膜側の面に
1)純水との接触角が、45°以上のものを用いる。
2)フッ素を含む素材をコーティングしたものを用いる。
3)前記軟膜搬送方向と前記軟膜の縁から前記軟膜が延伸される方向を正とした方向との成す角が0°〜45°の溝を設ける。
4)前記ガイド部の前記軟膜面側の面の表面粗さ(Ra)が、50μm≦Ra≦500μmのものを用いる。
少なくとも上記1)〜4)の処理を行ったガイド板を用いることで、軟膜の付着を抑制することができる。
本発明の溶液製膜方法を行う際に、前記ガイド部の軟膜挿入部に前記軟膜を浮上させる浮上風や、前記軟膜の上面から風を吹き付けて搬送高さを所望の位置にする調整風を送風することで、前記軟膜が前記ガイド部に挿入される際に、ガイド部の縁に接触する事故を防止できる。
本発明の溶液製膜方法を行う際に、前記ポリマーにセルロースアシレートを用いると、偏光板保護フイルムや光学フイルムに適したフイルムを製膜することが可能となる。また、渡り部における軟膜の搬送が安定するので、乾燥後のフイルムの厚みが薄い、いわゆる薄手のフイルム製膜に用いることが可能となる。特に15μm〜125μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは25μm〜105μmの範囲であり、最も好ましくは35μm〜85μmのフイルムの製膜に適用することである。
[溶媒]
本発明の溶液製膜方法に用いられるドープを調製するための溶媒は、公知のいずれの溶媒をも用いることができる。特に、メチレンクロライド(ジクロロメタン)などのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチルなどのエステル類、エーテル類、アルコール類(例えば、メタノール,メタノール,n−ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトンなど)などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒を複数混合させた溶媒(以下、混合溶媒を称する)からドープを調製し、そのドープからフイルムを製膜することもできる。なお、本発明においてジクロロメタンを主溶媒とした混合溶媒をジクロロメタン系溶媒と称し、酢酸メチルを主溶媒とした混合溶媒を酢酸メチル系溶媒と称する。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されるものではない。例えば、セルロースアシレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いることが好ましく、特に酢化度59.0%〜62.5%のセルローストリアセテート(TAC)を用いることが好ましい。また、TACを用いる場合には、その原料が綿花リンタのものと木材パルプのものがあり、それらを単独で用いたTACであっても良いし、それらを混合したTACを用いても良い。
[添加剤]
ドープには、公知の添加剤のいずれをも添加させることが可能である。添加剤としては、可塑剤(トリフェニルホスフェート(以下、TPPと称する),ビフェニルジフェニルホスフェート(以下、BDPと称する)など),紫外線吸収剤(例えば、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールなど),二酸化ケイ素などのマット剤,増粘剤,オイルゲル化剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの添加剤は、ドープを調製する際にポリマーと共に混合することも可能である。また、ドープを調製した後、移送する際に静止型混合器などを用いてインライン混合することも可能である。なお、本発明において前記ポリマーと添加剤とを併せて固形分と称する。
[ドープの調製]
前述した固形分(ポリマー及び添加剤)を前述した溶媒(混合溶媒であっても良い)に仕込んだ後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させドープを調製する。このドープは濾過により異物を除去する事が一般的である。濾過には濾紙,濾布,不織布,金属メッシュ,焼結金属,多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、製品フイルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
また、一度調製したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で撹拌しながら加熱する方法、多管式、静止型混合器付きジャケット配管等の各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などもある。また、加熱工程の後に冷却工程を実施することもできる。また、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。これらの処理を行うことにより、微小の未溶解物を完全に溶解することができ、濾過の負荷軽減、フイルム中の異物の減少をはかることができる。
本発明において、ドープの固形分の重量百分率(ドープ固形分濃度)は、15重量%〜30重量%が好ましく、より好ましくは18重量%〜25重量%である。15重量%未満であると、ドープの固形分濃度が低すぎるため、ドープから形成されるゲル膜が好ましいフイルム応力を有するまでに時間がかかる場合があり、コストの点から問題が生じる場合がある。また、固形分濃度が低すぎるとドープを流延した際に、ゲル膜が形成されない場合もある。また、30重量%を超えると、ドープの粘度が高くなりすぎてビードのレベリング効果(平滑化)が発現しにくくなり、均一なフイルムの形成が困難な場合もある。
[溶液製膜方法]
図1は本発明に係る溶液製膜方法を実施するために用いられるフイルム製膜ライン10の概略図を示している。ミキシングタンク11内には、前述した方法で調製されたドープ12が仕込まれて、撹拌翼13で撹拌されて均一になっている。ドープ12は、ポンプ14により濾過装置15に送られて不純物が除去される。その後に、一定の流量で流延ダイ16に送られる。流延ダイ16は、流延ベルト20上に配置されている。流延ベルト20は回転ローラ21,22が図示しない回転駆動装置により回転することに伴い無端走行する。流延ダイ16からドープ12を流延ベルト20上に流延する。ドープ12は、流延ベルト20上でゲル膜23となる。ゲル膜23が自己支持性を有するようになった後に、剥取ローラ24により支持されながらゲル膜23を剥ぎ取って軟膜25を得る。なお、支持体に流延ベルトを用いた形態について説明するが、本発明に用いられる支持体はそれに限定されるものでなく、例えば流延ドラム(回転ドラム)などを用いても良い。
剥ぎ取られた軟膜25が、テンタ乾燥機30に搬送するまでの間を本発明において渡り部31と称し、その渡り部31に設置されているガイド装置(以下、第1タイプガイド装置と称する場合もある)32を図2に示して説明する。ガイド装置32には、ガイド板33,34が軟膜の両縁25a,25bに備えられ、さらに送風機35,36が接続している。なお、図2では、ガイド装置32とテンタ乾燥機30とに備えられているそれぞれの上蓋を外した状態のものを図示している。
図3に図2のIII-III 線の断面図を示す。ガイド板33は、軟膜25の支持体接触面25cに対向して配置している上部ガイド板本体37と支持体接触反対面25dと対向して配置している下部ガイド板本体38とが備えられている。軟膜25は、ガイド板本体37,38との間を搬送される。そして、軟膜25と下部ガイド板本体38の軟膜面側の面(以下、軟膜面と対向している面を表面と称する)38aとが接触しないように、配管39が下部ガイド板本体38に取り付けられ、送風機35から送風された浮上風(第1の風)40を配管39から下部ガイド板本体表面38aと軟膜の面25dとの間に流すことにより、軟膜25を無接触で搬送することが可能となる。また、浮上風40の特性は特に限定されるものではないが、浮上風出口39aでの温度を20℃以下にすると、軟膜25からの急激な溶媒の揮発が抑制され、カール25eの発生を抑制でき好ましい。なお、本発明において下部ガイド板本体表面38aと上部ガイド板本体表面37aとの間隔L1は特に限定されないが、1mm≦L1≦20mmの範囲であることが好ましい。
また、軟膜25は、搬送中の溶媒の揮発によりその縁25a側にカール25eが生じている場合がある。このとき、下部ガイド板本体表面38aと軟膜の面25dとの間のみ浮上風40を吹き付け、軟膜25を浮上させるとカール25eが上部ガイド板本体表面37aと接触するおそれがある。そこで、上部ガイド板本体37にも配管41を取り付け、軟膜25の位置決めを行う調整風(第2の風)42を支持体接触面25cと上部ガイド板本体表面37aとの間に流すことにより、カール25eの発生を抑制でき、また発生したカール25eの矯正を行うこともでき、軟膜25の搬送高さを一定に保持することが可能となり、渡り部31における軟膜25の搬送を安定して行うことができる。なお、調整風42の送風は、浮上風40を送風する送風機35を用いてもよいし、図示しない他の送風機を用いてもよい。なお、本発明において軟膜25のもう一方の縁25bに取り付けられているガイド板34及び送風機36も同様の構成であることが好ましく、また説明は省略する。
浮上風40の軟膜25に対する吹き付け角度αは、特に限定されるものではない。しかしながら、軟膜25の形態の変形や、搬送位置の位置ズレなどが生じないように5°以上85°以下の範囲であることが好ましい。また、調整風40の軟膜に対する吹き付け角度αも同様に5°以上85°以下であることが好ましい。また、配管39,40が下部ガイド板本体38、上部ガイド板本体37に取り付けられ、それぞれの風40,42の吹き出し口が形成されている。吹き出し口の上縁部と下縁部との段差βは、いずれも−10mm以上10mm以下の範囲とすることが好ましい。段差βが、−10mmよりも小さかったり、10mmよりも大きかったりする場合には、配管39,40の縁が軟膜25に接触するおそれがあるからである。なお、段差βは、図3に示されているように下部ガイド板本体38から上部ガイド板本体37に向けて方向を正とする。
流延ベルト20から剥取ローラ24により支持されながら剥ぎ取られた軟膜25は、前述したように渡り部31に設けられたガイド装置32により無接触でテンタ乾燥機30に搬送される(図2参照)。テンタ乾燥機30には、無端のチェーン43,44で接続された多数のテンタクリップ45,46が備えられている。テンタ乾燥機30の噛込部30aから軟膜25は、テンタクリップ45,46により縁25a,25bが挟持され搬送され乾燥する。なお、図2中のXは、軟膜が延伸される方向の正方向を意味し、Yは軟膜の搬送方向を意味している。本発明は、無接触搬送が可能となるため、乾燥後のフイルムの厚みが薄い、いわゆる薄手のフイルム製膜に用いることが好ましい。乾燥後のフイルムの厚みは、特に限定されないが15μm〜125μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは25μm〜105μmの範囲であり、最も好ましくは35μm〜85μmのフイルムの製膜に適用することである。
図3に示したように本発明では、軟膜25は、上部ガイド板本体表面37aと下部ガイド板本体表面38aとの間を搬送される。そのため、軟膜25に凹凸があったり、波打っていたりした場合に、それら表面37a,38aと接触し安定した搬送が行えない場合も生ずる。そこで、接触した際に、軟膜25がそれら表面37a,38aに付着しないように、表面37a,38aに付着し難い加工を施しておくとより好ましい。また、浮上風40,調整風42を送風する配管39,41の軟膜25に隣接する箇所も同様に付着し難い処理が施されたものを用いることが好ましい。それらについて図面を参照して説明する。
図4にガイド板本体60の断面図を示した。ガイド板本体60は基材60aとその基材60aにコーティングされたコーティング層60bとから作製されていることが好ましい。基材60aは、ガイド板本体60が耐久性を備えるようなSUS304,SUS316,SS材+HCrメッキ(ハードクロムメッキ)などから作製されている。また、コーティング層60bは、軟膜25(図3参照)が接触したときに、付着しにくいように表面張力が大きなものを選択することが好ましい。そのような例として、ポリパーフルオロエチレンのようにフッ素を含有している素材をコーティングすることが好ましい。また、ガイド板本体表面60c上に純水61を滴下したときに、その接触角D1が45°以上となるように形成されていることが好ましい。接触角D1が前述した範囲とするためには、図4に示したようにコーティング層60bを設けても良いし、基材60bにそのような特性をもつものを用いて、コーティング層を省略しても良い。なお、図4に示したガイド板本体60は、図3に示したように上部ガイド板本体37,下部ガイド板本体38のいずれにも用いることができ、好ましくは両本体37,38に用いることである。また、ガイド板34に備えられているガイド板本体(図示しない)にも、前述したガイド板本体60(後述する他の実施形態のガイド板本体を含む)と同じ形態のものを用いることが好ましい。
図5(a)にさらに他の実施形態のガイド板本体65の平面図を示す。ガイド板65の表面65aには、溝65bが形成されている。図2で説明したX方向と、Y方向とから規定される溝の角度D2は、0°≦D2≦45°であることが好ましい。溝65bは、浮上風,調整風の流路にもなり、ガイド板本体表面65aと軟膜との付着を抑制することができる。溝65bの作製方法は公知のいずれの方法を用いても良い。なお、溝の角度D2が45°を超えると、付着した軟膜を延伸する力が増大して軟膜のツレシワの発生の原因となり、激しい場合にはガイド装置内に詰まり、連続運転が困難になる場合もある。なお、溝の断面形状は特に限定されないが、図5(b)に示すガイド板本体66の溝66aのように加工しやすいようにその断面が凹型であっても良いし、図5(c)に示すガイド板本体67の溝67aのようにその断面が円弧状であっても良い。なお、図5では、溝などを誇張して図示している。また、溝の幅L2は、特に限定されないが0.1mm〜3.0mmの範囲が好ましく、深さdは、ガイド板本体の表面の平均値に対して30μm〜800μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明では、ガイド板本体37,38の表面37a,38a(図3参照)の表面粗さRaを50μm≦Ra≦500μmの範囲とし、若干の凹凸を持たせることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。50μm未満であると軟膜の付着を抑制する効果が発現しない場合がある。また、500μmを超えると、軟膜と接触した際に、軟膜が付着して搬送が不安定になり、軟膜にツレシワが発生したり、さらに付着が激しくなるとチギレが生じたりしてフイルムの連続製膜が困難になる場合もある。
以上説明したように、本発明の溶液製膜方法を用いることで、剥取ローラ24からテンタ乾燥機30までの渡り部31における軟膜25の搬送を安定的に行うことが可能となる(図2参照)。本発明においてテンタ乾燥機30で20℃〜200℃の範囲で、0.2min〜5min乾燥させることが好ましいが、これら範囲に限定されるものではない。以下、乾燥した軟膜25をフイルム70と称する(図1参照)。フイルム70は、テンタ乾燥機30から送り出され、さらに乾燥室71に送られることが好ましい。乾燥室71では、多数のローラ72に巻き掛かりながら搬送され乾燥される。本発明においては、乾燥室71の温度を20℃〜200℃の範囲に調整し、5min〜25minの間乾燥させることが好ましいが、これら範囲に限定されるものではない。さらに、フイルム70を冷却室73に送り出し、冷却(室温程度までが好ましいが特に限定されない)した後に巻取機74により巻き取ることが好ましい。なお、フイルム70を巻き取る前に、耳切処理を行ったり、ナーリング付与を行ったりしても良い。
図6に本発明の溶液製膜方法に用いられる他の実施形態のフイルム製膜ライン80を示して説明する。図7に渡り部82の要部概略図を示し説明する。ガイド装置(以下、第2タイプガイド装置と称する場合もある)83には、軟膜25の両縁25a,25bにガイド板84,85が設けられ、それぞれに送風機86,87が接続され、送風機86,87から風が送風される。
ガイド装置83の下流側先端部83aがテンタ乾燥機81内となるように配置されている。軟膜25は、渡り部82ではガイド板84,85にその縁25a,25bの搬送位置(高さ)が略一定となり、その搬送位置を保持したままテンタ乾燥機81の噛込部81aの上流側の直前まで無接触で搬送される。これにより、渡り部82における軟膜25の搬送をより安定して行うことができる。その後、テンタクリップ88,89に両縁25a,25bが挟持されて搬送される。以下、その形態を図8及び図9を用いて説明する。
図8に、VIII−VIII線の断面図を示す。テンタクリップ88のクリップ88aは、ガイド板84の開放部材90により上側に持ち上げられる。なお、開放部材90は図7では図示を省略しているが、テンタクリップ88の搬送路の曲率部に設けられている。クリップ88aの下部88bとテンタクリップ下部88cとの間にガイド板84の先端部84a(図7参照)を挿入でき、ガイド板84とクリップ88aとを干渉させないことが可能となる。また、テンタクリップ88が開放部材90より下流側に移動すると、クリップ88aが上側に持ち上げられていた構造から開放されてIX−IX線の断面を図示した図9のように軟膜25の縁25a側を挟持して搬送される。また、軟膜25の他の縁25bに取り付けられているガイド板85、送風機87も同様の構成であることが好ましく、説明は省略する。なお、本発明において開放部材90の形態は図示したものに限定されるものではない。
製品に合わせてフイルムの幅を変更することが可能なように、ガイド装置83,テンタ乾燥機81には、それぞれにシフト機構91,92が取り付けられている(図7参照)ことが好ましい。そして、シフト機構92により噛込部81aの幅を拡縮させると、それと連動してシフト機構91によりガイド板85の幅も拡縮させると、ガイド板84,85がテンタクリップ88,89と干渉しなくなる。本発明では、シフト機構の取り付け形態は図示したものに限定されるものではない。また、シフト機構91,92を省略することも可能である。
図10に示すようにガイド板85の上流側にパイプ93,94を取り付けて送風機87と接続することが、軟膜25がガイド板85に接触することなく、挿入されるために好ましい。軟膜25を下部ガイド板本体85cに接触させないために、送風機87からパイプ94を介して浮上風95を送風する。また、軟膜25の高さが所望の位置となると共に上部ガイド板本体85bと接触させないために送風機87からパイプ93を介して調整風96を送風することがより好ましい。なお、ガイド板84も同様にその入口側にパイプ97を介して送風機86を接続して送風を行うことで、入口での軟膜の接触事故を防止できる。
図11に示すように他の実施形態のガイド板100,101を用いることで、ガイド板本体と軟膜25との間の浮上風,調整風が吹き付ける方向を調整することができる。浮上風,調整風の方向は、軟膜25の搬送方向の風向き103aから軟膜25の中心部から軟膜側縁部への方向の風向き103bの間の方向であることが軟膜25の搬送を安定化するために好ましい。なお、前述の説明においては、風(浮上風,調整風)の供給配管を所望の吹き出し方向に向けて風向きを調節しているが、本発明はそれらの形態に限定されるものではない。例えば、フィンなどのガイド板を設けて、これにより風向きを調節しても良い。
図12に本発明の溶液製膜方法に用いられる更に他の実施形態のフイルム製膜ライン130の渡り部131及びその前後に設けられている装置の概略図を示して説明する。なお、図6のフイルム製膜ライン80と同じ箇所については、同一の符号を付し、説明は省略する。ゲル膜23が流延ベルト20上で自己支持性を有するようになると、剥取ローラ24により支持されながら軟膜25として剥ぎ取られる。軟膜25は、渡り部131に設けられた第1タイプガイド装置132、渡りローラ133,第1タイプガイド装置134,渡りローラ135により第2タイプガイド装置136まで搬送される。第2ガイド搬送装置136は、図7に示したようにテンタ乾燥機81の噛込部81aの直前までガイド板が設けられており、搬送を安定にしている。図12に示したようにテンタ乾燥機81,乾燥室71を支持体(図12では流延ベルト20を図示したが流延ドラムの場合も同様である)近傍に設置できず渡り部131が長くなる場合でも、ガイド板装置を用いることで、軟膜の搬送を安定して行うことが可能となる。すなわち、本発明では、軟膜25の搬送を安定にするためガイド装置を用いているが、ガイド装置は軟膜を搬送すると共に前述したようにカールの発生を抑制でき、また発生したカールを矯正することも可能である。そのため、渡り部に渡りローラを用いても搬送を安定に行うことが可能である。なお、図12では、第1タイプガイド装置132,134と渡りローラ133,135をそれぞれ2つ用いて、交互に配置したが本発明は、図示した形態に限定されず、渡り部131に渡りローラを用いないことも可能である。また、テンタ乾燥機81の上流側には第2タイプガイド装置136を設けた例を図示したが、第1タイプガイド装置(図1及び図2参照)を用いることも可能である。
本発明の溶液製膜方法により製膜されたフイルム70は偏光板保護膜などの光学用フイルム(光学フイルム)として用いることができる。この偏光板保護膜(偏光板保護フイルム)をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、上記フイルムに光学補償シートを貼付した光学補償フイルム、防眩層をフイルム上に形成した反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品から、液晶表示装置の一部である液晶表示板を構成することも可能である。
以下、実施例1及び実施例2を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。始めに、実施例1として実験1ないし実験7について説明し、後に表1にまとめて示す。なお、説明は実験1で詳細に説明し、その他の実験については、条件が実験1と同じ箇所の説明は省略する。そして、実施例2として実験8ないし実験14について説明し、後に表2にまとめて示す。なお、実施例2の説明で実験1と同じ箇所については説明を省略する。また、実験8で詳細に説明し、その他の実験については、実験8と同じ条件については、説明を省略する。
本発明に係る実施例1の実験1に用いられるドープAは、ジクロロメタン(64重量部)、メタノール(16重量部)、n−ブタノール(0.4重量部)からなるジクロロメタン系の混合溶媒を用いた。ポリマーには、木材パルプから合成された酢化度62%のセルロースアセテート(20重量部)を用いた。添加剤として可塑剤(TPP:BDP=2:1)を2.2重量部用いて、さらに紫外線吸収剤である(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(0.4重量部)とマット剤であるシリカ(0.05重量部)とを用いた。ドープ調製には、ジクロロメタンを主溶媒としたときの公知の方法により行った。得られたドープAの固形分濃度は、22重量%であった。
図6に示したフイルム製膜ライン80を用いてフイルムの製膜を行った。流延ダイ16にはコートハンガー型ダイを用いた。流延ベルト20の温度が20℃になるように温度調整を行った。また、製膜速度が60m/minとなるように回転ローラ21,22の回転駆動を制御した。流延ベルト20上に34℃のドープAを製膜速度60m/minで流延し、ゲル膜23を形成させた。流延は、乾燥後のフイルムの製品内平均膜厚T0が80μm,かつ製品外耳端部平均膜厚T1が123μmとなるように行った(以下、製膜条件1とする)。ゲル膜23が自己支持性を有するようになった後に、剥取ローラ24に支持されながらゲル膜23を剥ぎ取り、軟膜25を得た。
ガイド装置83のガイド板84,85表面は、接触角D1が50°、溝角度D2が0°になるように表面処理されたもの用いた。また、上部及び下部のガイド板本体にそれぞれパイプを取り付けた。なお、取り付け角度αは、いずれも45°とし、段差βは0.5mm(絶対値)とした。そして、20℃の風をそれぞれ5m/sで送風した、また、軟膜挿入側にも風を送風した(図11参照)。これにより軟膜25は無接触でテンタ乾燥機81の噛込部81aまで搬送される。軟膜25の両縁25a,25bをテンタクリップ88,89で挟持しながら搬送する。100℃に保持されたテンタ乾燥機81内を1分間搬送することによりフイルム70が得られた。
噛込部81aにおける軟膜25の噛み込み安定性を目視で確認し、フイルム耳部のテンター噛み込み失敗がない(○)、連続搬送可能だが失敗が散発(△)、搬送できない(×)の3段階で評価を行った。また、噛込部81aにおける噛み込みブツ(フイルム粉)の発生状況も目視で確認し、噛み込みブツの発生が皆無(◎)、わずかに噛み込みブツが発生したが、製品範囲には影響しない(○)、噛み込みブツが発生し、製膜されたフイルムを製品として用いることは不可能であった(×)の3段階で評価を行った。なお、噛込部81aで噛み込みブツ(フイルム粉)が発生すると、それがフイルム表面に付着し、欠陥の原因となる。なお、実験1では噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生も皆無(◎)であり、連続して製膜することが可能であった。
さらにフイルム70を120℃に保持されている乾燥室71に送り、10分間乾燥し、25℃の冷却室73で冷却した後に巻取機74により巻き取った。得られたフイルム70の面状には異常が無く、また連続して製膜を行うことが可能であった。
本発明に係る実験2では、乾燥後のフイルムの製品内平均膜厚T0が40μm、かつ製品外耳端部平均膜厚T1が98μmとなるように製膜(以下、製膜条件2とする)した以外は実験1と同じ条件で行った。結果は、噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生が若干見られた(○)が、製品として使用できるフイルム70を得ることが可能であった。
本発明に係る実験3ないし実験5では、実験3では浮上風温度を0℃、実験4では接触角D1を70°、実験5では溝角度D2を20°とした以外は実験2と同じ条件(製膜条件2)で実験を行った。結果は、実験3ないし実験5のいずれにおいても、噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生も皆無(◎)であった。これら各実験から製膜されたフイルムは良好な品質のものであった。
比較実験である実験6では、渡り部82にガイド装置83を設けず、公知の溶液製膜方法に用いられる駆動されたローラ(渡りローラとも称される)を3本設け、軟膜を渡りローラを用いてテンタ乾燥機81へ送った。それ以外の条件は実験1と同じ方法(製膜条件1)でフイルムを製膜した。テンタ乾燥機81で噛み込みを行うことは可能であったが、噛み込みの失敗が散発(△)し、そのたびにフイルム製膜ライン80の運転を止めて調整を行う必要が生じた。また、噛み込みブツの発生も顕著に見られ(×)、製品として用いることが可能なフイルムを得ることができなかった。
比較実験である実験7でも実験6と同様にガイド装置83を設けず、渡りローラを3本設け、軟膜を渡りローラを用いてテンタ乾燥機81へ送った。それ以外の条件は実験2と同じ方法(製膜条件2)でフイルムを製膜した。テンタ乾燥機81の噛み込みの失敗が連続し搬送できなかった(×)。また、噛み込みブツの発生も顕著に見られた(×)。
Figure 0004504650
本発明に係る実施例2の実験8で用いられるドープBは、酢酸メチル(64重量部)、エタノール(12重量部)、アセトン(4重量部)、n−ブタノール(0.4重量部)からなる酢酸メチル系の混合溶媒を用いた。ポリマーには、木材パルプから合成された酢化度59.6%のセルロースアセテート(20重量部)を用いた。添加剤には、ドープAと同じものを同じ条件で用いた。ドープ調製には、酢酸メチルを主溶媒としたときの公知の方法により行った。得られたドープBの固形分濃度は、22重量%であった。
実験8は、ドープBを用いた以外は、実験1と同じ条件(製膜条件1)で図6に示したフイルム製膜ライン80を用いてフイルムの製膜を行った。噛込部81aにおける噛み込み安定性を目視で確認したところ、噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生も皆無(◎)であり、連続して製膜することが可能であった。
本発明に係る実験9では、ドープBを用いた以外は、実験2と同じ条件(製膜条件2)で製膜を行った。結果は、噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生が若干見られた(○)が良好なフイルム70を得ることが可能であった。
本発明に係る実験10ないし実験12では、実験10では浮上風温度を0℃、実験11では接触角D1を70°、実験12では溝角度D2を20°とした以外は実験9と同じ条件(製膜条件2)で実験を行った。結果は、実験10ないし実験12のいずれにおいても、噛込安定性に優れ(○)、噛み込みブツの発生も皆無(◎)であった。これら各実験から製膜されたフイルムは良好な品質のものであった。
比較実験である実験13では、ドープBを用いた以外は、実験6と同じ条件(製膜条件1)で行った。テンタ乾燥機81の噛み込みを行うことが可能であったが、噛み込みの失敗が散発(△)し、そのたびにフイルム製膜ライン80の運転を止めて調整を行う必要が生じた。また、噛み込みブツの発生も顕著に見られ(×)、製品として用いることが可能なフイルムを得ることができなかった。
比較実験である実験14は、ドープBを用いた以外は、実験7と同じ条件(製膜条件2)で行った。テンタ乾燥機81の噛み込みの失敗が連続し搬送できなかった(×)。また、噛み込みブツの発生も顕著に見られた(×)。
Figure 0004504650
本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの概略図である。 図1に示したフイルム製膜ラインの要部概略平面図である。 図2の III−III 線の断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるガイド板の他の実施形態の断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるガイド板の他の実施形態の断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの他の実施形態の概略図である。 図6に示したフイルム製膜ラインの要部概略平面図である。 図7のVIII−VIII線の断面図である。 図7のIX−IX線の断面図である。 図7のX−X線の断面図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの更に他の実施形態の要部概略図である。 本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの更に他の実施形態の要部概略図である。 従来の溶液製膜方法に用いられているフイルム製膜ラインの概略図である。
符号の説明
10,80,130 フイルム製膜ライン
24 剥取ローラ
25 軟膜
25a,25b 縁
25e カール
30,81 テンタ乾燥機
30a 噛込部
31 渡り部
32,83 ガイド装置
33,34 ガイド板
35,36 送風機
40 浮上風
42 調整風
70 フイルム
88 テンタクリップ
90 開放部材
L1 面間隔

Claims (16)

  1. ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体に流延し、前記支持体と接触する支持体接触面及びこの支持体接触面の反対側にある支持体接触反対面を有する軟膜を前記支持体上に形成し、この軟膜を剥ぎ取り、テンタ乾燥機に搬送してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記支持体から前記軟膜を剥ぎ取った後、
    前記軟膜の縁の前記支持体接触面側及び前記支持体接触反対面側に設けられたガイド部を用いて、前記軟膜の前記支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、前記ガイド部と前記支持体接触反対面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送し、
    前記第1の風が吹き付けられる前記支持体接触反対面は下方を向いており、前記第1の風は、前記軟膜よりも下方から前記前記支持体接触反対面に向かって流れる浮上風であることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. ポリマーと溶媒とを含むドープを支持体に流延し、前記支持体と接触する支持体接触面及びこの支持体接触面の反対側にある支持体接触反対面を有する軟膜を前記支持体上に形成し、この軟膜を剥ぎ取り、テンタ乾燥機に搬送してフイルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記支持体から前記軟膜を剥ぎ取った後、
    前記軟膜の縁の前記支持体接触面側及び前記支持体接触反対面側に設けられ、先端が前記テンタ乾燥機の内部まで伸びるように形成されたガイド部を用いて、前記支持体接触反対面に第1の風を吹き付け、前記ガイド部と前記支持体接触反対面とが非接触の状態で前記軟膜を搬送し、
    前記第1の風が吹き付けられる前記支持体接触反対面は下方を向いており、前記第1の風は、前記軟膜よりも下方から前記前記支持体接触反対面に向かって流れる浮上風であることを特徴とする溶液製膜方法。
  3. 前記ガイド部が、前記テンタ乾燥機の噛み込み部の拡縮と連動して拡縮し、前記テンタ乾燥機の挟持手段と干渉しないものを用いることを特徴とする請求項2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記第1の風の第1吹き出し口を前記ガイド部に設け、
    前記第1吹き出し口での前記第1の風の温度を20℃以下とすることを特徴とする請求項1ないしいずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  5. 前記第1の風の前記軟膜に対する吹き付け角度αが5°以上85°以下の範囲であることを特徴とする請求項1ないしいずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  6. 前記第1の風の第1吹き出し口を前記ガイド部に設け、
    前記第1吹き出し口の上縁部と下縁部との鉛直方向での段差β1が、−10mm≦β1≦10mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  7. 前記ガイド部を用いて前記支持体接触面に第2の風を吹き付け、
    前記ガイド部と前記支持体接触面が非接触の状態で前記軟膜を搬送することを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  8. 前記第2の風の前記軟膜に対する吹き付け角度αが5°以上85°以下の範囲であることを特徴とする請求項記載の溶液製膜方法。
  9. 前記第2の風の第2吹き出し口を前記ガイド部に設け、
    前記第2吹き出し口の上縁部と下縁部との鉛直方向での段差β2が、−10mm≦β2≦10mmの範囲であることを特徴とする請求項7または8の溶液製膜方法。
  10. 前記第1の風及び前記第2の風は、前記軟膜の搬送方向上流側から下流側への方向と、前記軟膜の中央部から前記軟膜側縁部側への方向との間のいずれかの方向へ向けられていることを特徴とする請求項7ないし9いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  11. 前記ガイド部の前記軟膜側の面純水との接触角が、45°以上のものを用いることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  12. 前記ガイド部の前記軟膜面側の面に、フッ素を含む素材をコーティングしたものを用いることを特徴とする請求項1ないし11いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  13. 前記ガイド部の前記軟膜面側の面に前記軟膜搬送方向と前記軟膜の縁から前記軟膜が延伸される方向を正とした方向との成す角が0°〜45°の溝を設けることを特徴とする請求項1ないし12いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  14. 前記ガイド部の前記軟膜面側の面の表面粗さ(Ra)が、50μm≦Ra≦500μmのものを用いることを特徴とする請求項1ないし13いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  15. 前記軟膜の両面側に設けられた前記ガイド部の間隔L1が1mm≦L1≦20mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし14いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  16. 前記ポリマーにセルロースアシレートを用いることを特徴とする請求項1ないし15いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
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